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Channel: 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・
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3月下旬特選映画【6】★映画のMIKATA「リリーのすべて」★映画をMITAKA

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初めに、長々と連載していたDVD特選映画「障害者と映画」のテーマ作品6本を取り上げます。簡単な紹介とコメントはいつも通りです。「障害者の映画」の過去の夥しい作品群を鑑賞することに、再び私は汲々としています。まして、昔見た映画をあらためて見たりしているので、なお更に時間はかかりました。

そろそろ作品紹介は切り上げて、次回からは「障害者と映画」のブックレビューと、次にDVD特選映画「女のヴァギナ、男のベニス」を掲載する予定でいます。


①「キャタピラー」 (2010年、若松孝二監督)…
太平洋戦争のさなかに戦地から妻シゲ子(寺島しのぶ)の元に帰ってきた「軍神」久蔵(大西信満)は、四肢を失い、ケロイドの顔、軍服の胸にに重々しい金ぴかの勲章をぶら提げている。それがまた痛々しいものでした。まして、中国大陸で女性を強姦してきた過去の幻影に魘され、それでも尚、妻シゲ子の肉体を求める久蔵の性欲は、人間の姿をしているとはいえ、決して「軍神」などではなかった。人間を戦争に駆り立てるものとは「何か?」、歴史に翻弄される「人間性とは何か?」を痛感する映画でした…。ダルトン・トランボ監督の名作『ジョニーは戦場へ行った』 にひけを取らぬ傷病兵を主人公にした反戦映画の名作でした。


②「アメリカン・スナイパー」(2014年、クリント・イーストウッド監督) 。…

イラク戦争で最も功績を挙げたアメリカ海軍特殊部

隊ネイビーシールズ所属のスナイパー、クリス・カイルの自叙伝を映画化した作品です。退役して家族の元に帰ってもなおかつ、身心に戦争の後遺症を抱える傷痍軍人を慰問して回る主人公・カイルが、帰還した負傷兵に射殺される悲劇でした。中東戦争で敵を何人も射殺して生き残ったカイルなのだが、無傷で帰還した彼の結末は、長く引きずる心に傷を持つ負傷兵の一人でした。この戦争映画は、イランイラク戦争の痛々しいアメリカの「生身の現実」、「英雄や正義」の名のもとに襲う平和の悲劇を見事に描いていました。昨年発刊されたジャーナリスト・David Finkelのノンフィクションレポート「帰還兵はなぜ自殺するのか」 (亜紀書房) は、戦争には「英雄も正義」ないことを考えさせられる作品でした。ブックレビューに取り上げたい本です。


③「はなれ瞽女おりん」(1977年、篠田正浩監督 )…

雪の降る東北から裏日本を町から町へ門付けし、旅籠から旅籠で津軽三味線をかき鳴らす旅芸人…、素足の草鞋で歩く漂泊の盲目の旅芸人・おりん(瞽女)を岩下志麻が演じる、美しくも哀しい日本文化の暗い物語でした…。盲目の子供を引き取り育て、芸を仕込み、成熟しても盲目の女たちは男を寄せ付けず女だけの集団で生活をしていた。男を知り子供を身籠った女は集団を放擲されて一人孤独な「はなれ瞽女」となった…。おりんは脱走兵として警察や憲兵隊から逃げまわっている男・平太郎(原田芳雄)と兄妹のような秘めた愛の道行きをする篠田正浩監督の傑作です。障害者と底辺の庶民が生きる手段だっ

た日本文化の底流「芸能」が随所に散りばめられて、まるで古い芸能文化史を見るようで素晴らしい名作です。永六輔の蘊蓄を込めたこの映画のコメントを聞きたかったな…。


④「ギルバート・グレイプ」 (1993年、ラッセ・ハルス

トレム監督) …

知的障害を持つ弟アーニー役に『レヴェナント/ 蘇えりし者』で、5度目のノミネートの末漸くアカデミー主演男優賞を受賞した若き日のレオナルド・ディカプリオが出演している作品なので、近頃俄かにこの映画のタイトルをよく耳にするようになった。知的障害を持つ弟アーニーと夫の自殺以来過食症を病む250kgの母親の世話をする青年ギルバート役にやはり若き日のジョニー・デップが演じる、私は「障害者と映画」の文脈で観賞しました。ただ、レオナルド・ディカプリオとジョニー・デップのファンならば見逃せない映画ですーね。


⑤「あの夏、一番静かな海。」 (1991年、北野武監督)…

ごみ回収業を仕事とする聾唖の青年・茂(真木蔵人)が海岸の堤防に捨てられた粗大ゴミのサーフボードを拾う。それを持ち帰えった茂はそれに発泡スチロールを継ぎ合わせ、リサイクルのサーフィンに乗り夢中になる。同じく恋人の聾唖の貴子(大島弘子)を誘い二人していつも海へ向かう。波乗りをする茂 と、それを砂浜に座って見つめる貴子の二人と、波と久石譲のメロディだけが流れる静謐な恋愛映画です。しかし、それを私は「障害者と映画」のテーマで観賞しました…。意外や意外、女性的な感性の映像だなーと感じました。しかし、北野武監督作品として、私は最高傑作だと思っています。やくざ映画よりもずっと見応えがあります。タケシろ、良い映作ったな!!!どうせならば、宮沢りえを脱がせて、全裸のベットシーンのあるポルノチックな「障害者とセックスボランティア」の映画を撮ってほしいな…。


⑥「だいじょうぶ3組」(2012年、廣木隆一監督)…
五体不満足」の著者、乙武洋匡は近頃何かとお騒がせな話題の人ですーね。自民党が夏の参院選で東京選挙区か比例代表での出馬を求めたられたとか…。5人の女性との不倫関係が、週刊誌『週刊新潮』(2016年3月31日号 )に報じられ、告白したとか、それをさらに妻と共に謝したこともさらに世間の視線が注がれました。


小学校教諭二種免許状を取得後に、杉並第四小学

校に勤務など、自分の教師体験を基に書いた小説を廣木隆一監督が映画化した。補助教員をTOKIO

の国分太一を、新任教師を乙武自身が演じる、障害をものともせず、「俳優」として演じきった教育論映画でした。ただーね、映画の中で脚色され演出された「教師」役と、現場の「教師」は違うものですーよね。障害者として介護され特別扱いされながらも、表社会に登場した勇気は凄いものです。ただーね、その時の一時の「教師」体験と、日常地道に教鞭に立ち苦労している教師の教育論との、ズレはあるだろう…よね。それに気が付かないほど乙武はバカか? 自惚れ舞い上がっているのかな…。彼が本当に障害者の「教育」を考えるならば、今までの自民党の「日教組潰し」の教育論を批判し、「生徒本位」の教育改革をするために、「弱者」のための教育と社会を下からの運動で実現すべきではないのかー


さて、3月下旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、4月は通算で8本を観賞し

ました。選んだ特選映画1本は、『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』を監督したトム・フーパー制作の『リリーのすべて』にしました。

1

1本目は、結婚50年を迎えた夫(橋爪功)に対して妻(吉行和子)が突然離婚届を突きつける山田洋次監督のホームコメディー映画『家族はつらいよ』(山田洋次監督)でした。

妻が小説の教養教室に通い、人生と趣味を楽しんでいるのに対して、夫は近くの飲み屋で酒を飲み、犬を散歩させる老後で、いたってマイホーム主義者です。妻・富子は夫・周造に、「おとうさんといると、ストレスを感じるのー」となじる。日本全国の何処にでもあるような、妻が夫に物足りなさを感じる離婚の危機的風景です。これが日本人の平均的な家族風景なのかもしれませんーね。


家族映画の巨匠・山田洋次監督の作品なのでつまらない訳がありませんーね。ただ、ラストシーンで小津安二郎監督の「東京物語」の映像で終わったのが納得がいかなかったです・・・。これが山田洋次独特の「家族」の持ち味なのかなと思いますが、チョット定番すぎるコメディー映画ですーね・・・。ワンパターンのコメディーと、女尊男卑の核家族と離婚風景は、もはや10年前の風潮ですねー。

2

売れない漫画家で、ピザ配達のアルバイトをする藤沼悟(藤原竜也)が主人公で、配達オートバイに乗っている路上で、横断歩道を渡る小学生と、走行するトラックに違和感を覚えるところから、時間が過去にループする現象と、現実の時間のリピート再現を経

験する…。ある日、母が彼のアパートで何者かに殺害された彼は、誤認逮捕されそうな警察から逃走する最中、突如18年前に戻り、小学生のころに起きた児童連続誘拐殺人事件と母の死の関連に気付い

た。2本目は、過去と現在の時空移動を繰り返しなが

ら、同じクラスの同級生・雛月加代が誘拐され殺される過去の未解決事件と向き合う『僕だけがいない

』(平川雄一朗監督)でした。


藤原竜也といえば、近作でも『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009年、佐藤東弥監督)や『藁の楯』(2013年、三池崇史監督)や『MONSTERZ モンスターズ』(2014年、中田秀夫監督)が浮かびます。演技のできる売れっ子俳優ですが、いくらシェークスピア演出家の蜷川幸雄が、その演技力を称賛しようが、私はこれまでの彼の演技は、何となく舞台俳優のセリフ回しのようで、スクリーンの藤原竜也がまるで腹話術の<操り人形>のようで、下手くそでぎこちなかったです。が、その下手でぶっきら棒なセリフ回しが、

もはやこの作品にはなかったです…。私は少し好きな俳優になりました。


3

3本目は、世界初の性転換手術を受けたデンマーク

人画家リリー・エルベと、その妻ゲルダとの愛を描いた伝記『世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語』(講談社)を映画化したトランスジェンダ映画『リリーのすべて』(トム・フーパー監督)でした。原題のTHE DANISH GIRLは「デンマーク人の女の子」という意味だそうです。デンマークの風景画家アイナー・ヴェイナー(エディ・レッドメイン)は、美術学校の同級生で、肖像画家の妻・ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)のために、゜バレリーナの服装を着てストッキングを見につけるうちに体の中に次第に「女性」性を感じ、性的倒錯に目覚めてしまうー。以来、妻のモデルをしながら女装したアイナーはリリーを名乗り、同性愛者の男・ヘンリク(ベン・ウィショー)と親しくなる。美しい妻ゲル役を演じたアリシア・ヴィキャンデルは、『第88回アカデミー賞』で助演女優賞を受賞しています。


アイナーは、悩んだ末に「ジェンダー・アイデンティティ」を確実にするために、男性器を切除、女性器の形成手術まで受たが、術後経過が悪化して亡くなる。実在のモデル、リリー・エルベはその後、子宮形成の手術までしていたようです。


さてさて、私の次のDVD特選映画のテーマに関連するので、特にこの映画に関心がありました。最近、ゲイとかレスビアンとかバイセクシャル、性転換トランスジェンダーの映画が多いですーね。総称して「LGBT」と言うようです。少し昔は、「おかま」とか「お鍋」とか言ってましたよーね。加えて「SM」もありますよね。男と女と「性」の役割が揺らいでいることの現れでもあろうーかな。映画の「LGBT」とブックレビューも追及してみるつもりです。


4
4本目は、高校の部活≪競技かるた≫クラブを舞台に、百人一首の世界を堪能できる青春映画『ちはやふる -上の句-』(小泉徳宏監督)でした。


小学生の頃よりかるた仲間で永世名人の孫・綿谷新役に千葉真一の息子真剣佑二が出演、高校の同級生で、『海街diary』で好演した広瀬すずがヒロインに、真島太一役に野村周平が、呉服屋の娘で古典大好き少女・大江奏役に上白石萌音が、新と太一と綾瀬と共に小さい頃よりかるた仲間の「肉まんくん」こと西田優征役に矢本悠馬が、ガリベンの秀才「机くん」役に駒野勉達が仲間でした。


原作は末次由紀の人気マンガ『ちはやふる』ですが、こんな漫画やアイドル達の映画で、本当に百人一首の古典的世界に興味を覚え、和歌に親しむ高校生が増えれば素晴らしいですーね。私も短歌が好

きで、下手の横づきでよく読みますが、「百人一首」全部覚えるのは大変ですーよ…。因みに私の雅号流石埜魚水の「魚水」は歌人西行の幼名だったと思

いました。


近頃、高校の部活が舞台の映画が多くなりました。脳裏にすぐ浮かぶのは、書道部を舞台にした猪股隆一監督の『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園

(2010年公開)と、吉田大八監督の『桐島、部活やめるってよ』 (2012年公開)かなー。野球やバスケットやテニスや水泳は古典的な舞台はありました。最近は新しい部活が増えましたね、囲碁とか競

技かる、弓道やフェンシングや天文部たなど新鮮なサークルですね…。高校の部活は、感覚が新鮮で、いかにも青春ドラマらしいー、観ていて心躍り弾みます。アイドルを起用しやすいからかな、人気漫画に部活が多いかかな…。



ご案内)下記アドレスでファンタジーノベル「ひまわり先生、大事件です。」序章~第6章連載№8までを掲載しました。宜しかったら、一度お立ち寄りください。感想もブログ内に頂ければ嬉しいです…!http://blog.goo.ne.jp/sasuganogyosuigyatei





尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文


章の校正をする時があります。予告なしに突然補訂正することがありますが、ご容赦ください…

DVD特選映画◆【障害者と映画】【1】ブックレビュー「セックスボランティア」◆

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いよいよ「障害者と映画」もブックレビューに辿りつきました。これまでコメントしながら取り上げた映画は、34本でした。新しい作品順に列挙するとー、邦画が11本、外国映画が23本でした。


「キャタピラー」 (2010年、若松孝二監督)
②「アメリカン・スナイパー」(2014年、クリント・イーストウッド監督) 。
「はなれ瞽女おりん」(1977年、篠田正浩監督 )
④「ギルバート・グレイプ」 (1993年、ラッセ・ハルストレム監督)

「あの夏、一番静かな海。」 (1991年、北野武監督)
「だいじょうぶ3組」(2012年、廣木隆一監督)
➆「恋する宇宙」 (2009年マックス・メイヤー監督)
⑧「モーツァルトとクジラ」 (2004年ペッター・ネス監督)
⑨「アンナとロッテ」 (2002年ベン・ソムボハールト監督)
「名もなく貧しく美しく」 (1961年松山善三監督&脚本)
⑪「I am Sam アイ・アム・サム」 (2001年ジェシー・ネルソン監督)
⑫『フォレスト・ガンプ/一期一会』 (1994年ロバート・ゼメキス 監督)
⑬『オアシス』 (2002年イ・チャンドン監督)
⑭『八日目』 (1996年ジャコ・ヴァン・ドルマル監督)でした。
⑮『ジョニーは戦場へ行った』 (1971年ダルトン・トランボ監督)
「AIKI 」(2002年天願大介監督)
⑰「ブラインドサイト ~小さな登山者たち~
「学校II」 (1996年山田洋次監督)
⑲「シンプル・シモン」 (2010年アンドレアス・エーマン監督)。
⑳「グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-」 (2013年ニルス・タヴェルニエ監督)。
㉑「我等の生涯の最良の年」 (1946年ウィリアム・ワイラー監督)
㉒「マラソン」 (2005年チョン・ユンチョル監督)。
「ジョゼと虎と魚たち」 (2003年犬童一心監督)
「くちづけ」 (2013年堤幸彦監督)

㉕「ウィニング・パス」 (2003年公開。中田新一監督)
㉖「エレファント・マン」(1980年公開。デヴィッド・リンチ監督)。
㉗「マイ・フレンド・メモリー」(1998年公開。ピーター・チェルソム監督)
㉘「トガニ 幼き瞳の告発」(2011年公開。ファン・ドンヒョク監督)
「おそいひと」(2004年。柴田剛監督)
㉚「奇跡のひと マリートとマルグリット」(2014年。ジャン=ピエール・

アメリス監督)

『暗闇から手をのばせ』 (2013年公開。戸田幸宏 監督)
㉜『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』 (1992年公開。マーティン・ブレスト監督)
㉝『海を飛ぶ夢』 (2004年。アレハンドロ・アメナーバル監督)
㉞『パンク・シンドローム』 (2012年。ユッカ・カルッカイネンJ=P・パッシ監督)

その他に、この映画ブログでコメントした映画が10本有りました(順不同)。忘れて漏れている作品がもっとあるかもしれませんかーね。

『ツリーの国』

㊱『エール

『抱きしめたい -真実の物語-』

㊳『最強の二人

㊴『チョコレートドーナッツ』

㊵『博士と彼女のセオリー

㊶『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

『マンゴーと赤い車椅子』

㊸『マルガリータで乾杯を

『さようならCP』


さてこれらの映画群をどのように分類しようか、思案しています。形式的に分類すれば、以下ようになるかーな。


●身体障害(視覚障害・聴覚障害・運動障害、内部障害etc)・・・肢体不自由、脳性麻痺、視覚障害、聴覚障害などの身体障害があてはまります。昔の日本では「かたわ」とか「不具者」として差別されてきた過去があります。

●精神障害・・・精神疾患の中には、統合失調症、うつ病、パニック障害などが含まれる。人間だれしも生きて生活する中で多かれ少なかれ会社の人間関係や世間の荒波に揺さぶられノイローゼ状態や鬱になります。精神疾患の罹患者は大人の10人に1人は精神疾患を経験するといわれています。また、精神の障害は、髄膜炎、内分泌疾患などの身体の疾患によって引き起こされる場合もあります。

●発達障害・・・発達障害は、発育期に発見され、一生にわたるハンディーにもなります。ダウン症、脳性麻痺(CP) 、知的障害、自閉症やアスペルガ症候群etcが含まれます。


「障害者の映画」のテーマでコメントを続ける過程で、寧ろ障害者を主人公に、障害者が抱える問題、障害者を取り巻く環境と社会が映画のテーマになっている・・・のではないかと思いました。

今回のブックレビュー第一弾は、映画『暗闇から手をのばせ』 (2013年公開。戸田幸宏 監督)と、この作品に関連した河合香織の著書「セックスボランティア」(2004年刊行、新潮社)に言及したいと思います。だから内容的には、障害者を主人公にして、障害者が抱える「性」の問題をルポしたブックレビューです。





戸田幸宏 監督の映画『暗闇から手をのばせ』 に登場する障害者は、一人は全身にタトゥーを入れたややヤクザぽい進行性筋ジストロフィー患者、二人目はオートバイ事故で家に閉じ籠る身体麻痺の青年はベッドの上で寝たきりの脊椎損傷者、三人目は障害者を口実に本番の挿入まで要求する先天性多発性関節拘縮症の車いすの常連客などです。彼等を相手に、在宅身体障害者向けの風俗店ハニーリップの派遣型風俗嬢として働くヒロイン・沙織が主役の映画でした。過剰で濃厚な性描写が逸脱するとポルノ映画になりかねませんが、ストーリの原作と脚本については何も書かれていないが、この本が原作ではないかと思わせる程、障碍者の性をリアルに描いています。私はもっとシリアルな障碍者の「性」を考える格好の映画ではないかと思います。



この本の全編に流れる障害者の本音は、・・・「障害者といえども性欲はあります」・・・という声です。障害者の映画を考えるとき、障害者の「何を?」テーマに据えるのかがハッキリとしないと、ドキュメンタリ―とドラマの違いはあるにしても、原一男監督の『さようならCP』(2015年公開)のようにただ障害者のリアルで凄惨な映像を鑑賞者に与えるだけになってしまう気がします。私は、この「障害者の性」の視点は避けては通れないでしょうーね。さらに、この問題を考えるには、「セックスボランティア」という本は絶好です。



寧ろこの『セックスボランティア』は、障害者の性を提供するボランティアを主役にルポを書いています。けれども、「性」のボランティア主体は、男にしても女にしても、相手の障害者の「男女」の性欲を抜きにしては語れません…。


この本の中の障害者の真紀さんは、鎖骨から下が麻痺して下半身も感覚がないので、勿論、性的快楽もオルガスムスも感じないです、がしかし、(p113)…性欲や抱かれたいという気持ちはある。イケなくても、男性のぬくもりが必要なんです。自分の中で無になれる時間が私には必要。それはセックスであったり、一人で飲むことであったり。精神をコントロールするためにセックスは欠かせませんという。



河合香織さんの「セックスボランティア」にはあるが、映画『暗闇から手をのばせ』 にも、また今まで私が見た映画群にもなかったのは、<知的障碍者>の「性」の問題だろうーかな。知的障碍者のカップルを対象にして性教育「セクシュアリ講座」を持っている立教大学コミニティ福祉学部の河東田博教授は、(p142)…こどもを作ることはおろか、セックスも禁止しているという現状が施設の中ではまだある…日本の多くの人たちが、知的障碍者や知的障碍者の性や結婚に対して、否定的なイメージを持っている…彼らを幼児視し、過小評価し、彼らは体が成熟しても性的には成熟しない、性の知識を与えると性の加害者になるのではないか、子供を育てる能力がない、といった間違った考えや偏見を持っているという。更に酷い先入観の結果は、施設では優性保護法の範囲で認められている卵管や精管の結索と切断を逸脱越境してして、介護軽減のために女性障害者に対して子宮摘出手術さえ行われているようです。


この本の優れている点は、性のボランティア先進国のオランダのアムステルダムの障害施設や、そこで、性欲を処理するために障碍者にセックスや添い寝の相手を有料で提供する団体「SAR」や組織「NVSH」の女性たちを取材していることです。オランダでは、売春が法律で認められているので売春宿「飾り窓」があり、同性愛の結婚も合法である。そうしたセックス事情もあるが、自治体がこうした団体や組織に対して、障害者のために市役所がセックス助成金を出していることは驚くことです。これは『初耳学』の問題になるかーな。


「SAR」の理念は、「私たちは石ではない。どんな重い障害者でも性的欲求がある」ー、だから(p166)…看護婦、介護士が無料で障害者の性介助を行えるような制度を作るべきです。通常の医療制度の中にセックスの介助も組み入れる…べきである。この理念は、オランダばかりでなく、日本でも共有したいイデアですーね!!!


先日公開されて、この映画ブログでもコメントを載せたインド映画『マルガリータで乾杯を!』(ショナリ・ボーズ監督)は、完全にこの障碍者への性的偏見を

超越した作品でした。この辺りの視点はインド映画の先進的な所ですーね。皆さんもう見ましたか?関心がありましたら是非、感想をお寄せください。







4月上旬特選映画【7】★映画のMIKATA「スポットライト」★映画をMITA

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ハリウッドのアカデミー賞を受賞した作品が国内でも徐徐に公開され始めました。作品賞の『スポットライト 世紀のスクープ』、監督賞の『レヴェナント 蘇えりし者』、脚本賞の『スポットライト 世紀のスクープ』、主演男優賞のレオナルド・ディカプリオの『レヴェナント 蘇えりし者』、主演女優賞のブリー・ラーソンの『ルーム』は観たいと思ってjます。時間を見つけては映画館へ通っています。さて、4月上旬の特選映画をアップロードします。今月は4本を映画館で観賞しました。選んだ特選映画1本は、『スポットライト 世紀のスクープ』でした。当分の間、アカデミー賞作品が続きそうですーね。でも、石井岳龍監督の『蜜のあわれ  』も一押しの傑作でした。

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丸いお尻とチャーミングな顔の「あたい」赤子(二階堂ふみ)、実は彼女は少女の姿に化けた、金魚の化身。「おじさま」と呼ぶ老作家・室生犀星(大杉漣)が一緒に暮らす恋人です。1本目は、奇妙でファンタスティクな映画蜜のあわれ  』(石井岳龍監督、港岳彦脚本)でした。

 

文豪・室生犀星や芥川龍之介や朔太郎が登場する文学好きには楽しい映画です。ヌードになった二階堂ふみを見るだけでも見る価値がありました。原作は、室生犀星が晩年の1959年に発表した会話の文の同名作品を、石井岳龍監督が制作しています。原作を読んでませんが、脚本も良くこなれていますーね。

 

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アメリカ人にとって少年の時より正義の味方で、地球上で一番強い憧れの二人のヒーローである、だからスーパーマンとバットマンがもしも戦えば、どちらが強いのかは興味津々です。スーパーマン(ヘンリー・カヴィル)とバットマン(ベン・アフレック)が、ある画面で互いに戦う姿は、まるで英雄が私念から闘っているような場面です。が、真相はレックスが地球でのスーパーマンの育ての親、ケント夫婦の妻を人質にとってスーパーマンに対してバットマンを倒すように企んだ陰謀でした。2本目のバットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 』(ザック・スナイダー監督)は、人気のヒーローを一つの映画で共演させた上、戦わすという異色で意外な作品でした。まあ、もうネタがなくなってしまったのかな、と勘繰りたくなる映画です。

 

悪役レックス・ルーサーがスーパーマンを倒す為に、崩壊したクリプトン星の怪物を復活させ、地球征服を画策した。おまけにスーパーヒロインのワンダーウーマン(ガル・ガドット)までもが登場してくる。ラストシーンでは、スーパーマンとバットマンとワンダーウーマンが協力して怪物を倒すというハッピーエンドでした。

 

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大学生・成留怪死事件を取材することで異様な死に方をした青年の死の原因を探るうちに、窓やカーテンの隙間などから自分に恐怖の視線を投げる「のぞきめ」が恐怖をそそる。3本目は、テレビ局でアシスタントディレクターをしている三嶋彩乃(板野友美)と、彼女の恋人(白石隼也)が主人公になって、鞘落と六部殺しの民話伝承とダムに沈んだ侶磊村の過去の民話が現代に生きていることを突き止め、謎解きをするホラー映画『のぞきめ 』(三木康一郎監督)でした。

 

三木康一郎監督はホラー映画に慣れていないのだろうかな、瞬間的に恐怖を呼び覚ますホラー映画にしては、テンポの鈍い、まどろっかしいシーンが幾つかありました。恋人の部屋に入って薄暗い部屋を徘徊する場面とか、「覗き目」の恐怖におびえる入院中の和世が路上でトラックに轢かれる時とか・・・。私はホラーは嫌いだが、映画としては予想以上にストーリが面白かったです。そのうえ私は、神話や民間伝承が好きなので、駄作とは言えませんーね。

 

4

4本目は、「The Boston Globe」の記者たちが、カトリック教会の牧師が幼児の性的虐待という醜聞を暴いた実話を基に描く社会派映画『スポットライト 世紀のスクープ』(トム・マッカーシー監督)でした。

 

紙の新聞に代わってネットによって社会の出来事やニュースや情報がリアルタイムに手に入る昨今、新聞の価値と役割をしみじみ考えさせる映画でした。カトリック系住民が多いボストンでは、神聖な教会の牧師の行為をスクープとはいえ記事の中で暴くのはタブーに近かった。それは、枢機卿やカトリック教会の組織そのものを批判することでもあった。第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞した作品なので、特別に私は鑑賞したかった三ツ星映画でした。最近、新聞よりも週刊誌の方があっと驚くスクープが多いですね。新聞記者も、また新聞社もサラリーマン化し、事なかれ主義になってしまいましたーね。新聞を鼓舞する映画だーね。私としては是非、安倍政権下での「貧困」や「医療」や「福祉」や「非正規労働」の問題をシリーズ化して、気鋭の社会部記者の連載を期待したいのだけれどもーね。

 

尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…

(ご案内)下記アドレスでファンタジーノベル「ひまわり先生、大事件です。」序章~第6章連載№8までを掲載しました。宜しかったら、一度お立ち寄りください。感想もブログ内に頂ければ嬉しいです…!http://blog.goo.ne.jp/sasuganogyosuigyatei

 

4月下旬特選映画【8】★映画のMIKATA「レヴェナント」★映画をMITAKA

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4月下旬の特選映画をアップロードします。今回5本を映画館で観賞、今月4月は通算で9本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、『レヴェナント』でした。今月もまた、ハリウッドのアカデミー賞受賞の作品が2本入っています。ただ、ハロルドが笑う その日まで 』も捨てがたい作品でした。これを見乍ら、「ルーム」と共にこれも誘拐映画なので、黒澤明監督、三船敏郎主演の『天国と地獄』からリュック・ベッソン制作、リーアム・ニーソン主演の96時間』(ピエール・モレル監督)まで、DVD特選映画のテーマに≪誘拐事件と映画≫を設定したく成りました。

 

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1本目は、高級家具店主・ハロルド(ビョルン・スンクヴィスト)が、北欧から1号店を開店させて、世界最大の家具店 IKEAの創業者カンプラード(ビヨーン・グラナート)の誘拐を企てる誘拐映画『ハロルドが笑う その日まで 』(グンナル・ヴィケネ監督)でした。

 

店の前に大型店IKEAができたことで、小さな家具専門店は倒産、さらに妻も失い、怒りに震えた結果の犯行でした。単に誘拐事件に終わらずに、更にもう一人、カンプラード誘拐の途中で偶然少女エバ(ファンニ・ケッテル)が計画に加わる点が、凶悪な誘拐事件を寧ろ犯罪性よりもコミカルな結末にしています…。同じ誘拐映画で、ビール会社社長をさらい身代金を要求する「ハイネケン誘拐の代償」(2015年公開、ダニエル・アルフレッドソン監督)とよく似ていますーね。

 

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2本目は、19歳のニューサム(ブリー・ラーソン)がある日、オールド・ニック(ショーン・プリージャース)に誘拐され、自宅の裏庭の施錠された狭い部屋監禁、2年後に妊娠してジャック(ショーン・ブリジャース)を出産、その後、二人でその部屋に7年間監禁された誘拐映画「ルーム」(レニー・アブラハムソン監督)でした。

これまで数々の誘拐映画が制作されましたが、大抵は身代金を支払う段階か、誘拐犯が逮捕されまでの警察の捜索劇か、誘拐された人質が殺されて発見されるドラマでしたー。が、この映画の興味津々で面白い特徴は、監禁部屋で生まれ、外の世界を知らないまま5歳になったジャックと、部屋から脱出して、奪われた青春の時間を取り戻すため、その後の二人の成長と変化まで描かれているところでしょうかーね。

 

ただね、この誘拐犯人の髭もじゃの中年「オールド・ニック」の逮捕後の姿と、犯罪心理がほとんど描かれていないことですかーね。ニューサムもまた、犯人のことをジャックの父親として完全に否定していたし、決して認めなかった。そこがまた、この誘拐映画の特徴でもあるのでしょう…。

 

3

西部開拓時代のアメリカ北西部、雪と氷が原野を覆う極寒の自然を舞台に、、インディアンの襲撃に怯え乍らお金儲けのために毛皮を採取する狩猟達が、川を船で逃げのびるストーリなのだが、逃げる途中にハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は熊に襲撃され、瀕死の重傷を負い、看病と死をみとる同行者のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされて、更にグラスを殺そうとする場面を息子のホークに目撃されて、ホークをナイフで殺してしまう。敵は白人を狙うインディアンと、人間を襲う獰猛な熊と、飢えと寒さが猛威を振るう大自然です。 3本目は、ハリウッドアカデミー賞の監督賞と、レオナルド・ディカプリオが主演男優賞を獲得した、自然との格闘劇&復讐劇、同時に西部開拓映画『レヴェナント 蘇えりし者(アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督)でした。

 

映画館のトイレの中で、同じ映画を見た中年男子が二人「アメリカ映画にしては、意外と暗いね・・・」「初めからスクリーンがモノクロみたいに暗いね・・・」と言ってましたが、成程確かに、白い雪と濁流の川の白と黒、山肌の黒がスクリーンをモノトーンにしていました。古い西部開拓映画とも違う、インディアンとドンパチ闘うシーンが満載しているわけでも、インディアンが倒れ殺される残酷そもないです。掘られた凍土の中から這い上がって、凍てついた大地をはい回りながらフィッツジェラルドを追いかける執念は物凄いものです。

 


4

猛烈な人口増加が起きた地球の未来を舞台に、人類はほかの惑星移住のために、火星の過酷な環境でも生息できる古来から地球に生息する生命力の強いコケとゴキブリを火星へと送り込む。4本目は500年後、火星移住計画の最終段階として、その生物の駆除のため火星に15人の隊員が派遣されるが、そこに出現したのが二足歩行に進化したゴキブリであったというSF映画『テラフォーマー』(三池崇史監督)でした。

 

舞台挨拶が丸の内ピカデリーより全国123映画館へ同時中継されるというので、公開初日の4月29日に、賑やかなイベントが好きな私は早速、横浜市都筑のセンター北へ見に行きました。13時30分からの上演でしたが、意外と観客は少なかったです。舞台上には伊藤英明、武井咲、山下智久、山田孝之、ケイン・コスギ、滝藤賢一、小栗旬、三池崇史監督が登壇、いわば主役級が全員顔をそろえた舞台挨拶でした。

 

三池崇史監督にしては、B級の娯楽映画にもなっていない低級な作品でした。まあ、漫画が原作なのでストーリの面白さを期待してはいけないが、豪華なキャストなのに俳優を生かしていない駄作でした…!!!私はこんな映画を評価しません、これではハリウッド映画にはとて敵わないーな。

 

5

5本目は、80歳の老境になったイギリス人作曲家フレッド(マイケル・ケイン)は、親友の映画監督ミック(ハーヴェイ・カイテル)と共に、アルプスの高級ホテルで休暇を楽しんでいた。ある日、エリザベス女王の使者が訪ね、フレッドの代表作を女王のために演奏してほしいと依頼するグランドフィナーレ』(パオロ・ソレンティーノ監督)でした。

 

宿直夜勤明けに桜木町の映画館「ブルグ13」に立ち寄りましたら、丁度タイミングよく『獣は月夜に夢を見る』と、が『フィフス・ウェイブ』が見れそうでした。ほかの劇場で上映していない作品を選ぼうと思って、迷った末に『グランドフィナーレ』を見たのですが、観賞後にこれを選んだ自分を後悔しました。

 

このイタリア人のパオロ・ソレンティーノ監督の作品は初めて観ましたが、前衛的なシーンの連続で、やや抽象的で私には難しく退屈な映画でした。

 

★尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)

★(ご案内)下記アドレスでファンタジーノベル「ひまわり先生、大事件です。」序章~第6章連載№8までを掲載しました。宜しかったら、一度お立ち寄りください。感想もブログ内に頂ければ嬉しいです…!尚、地震のシーンもここに書かれいますhtp://blog.goo.ne.jp/sasuganogyosuigyatei

私の妻も熊本出身で、故郷に家族や親戚が大勢住んでいるので、度重なる地震速報に敏感になっています。震災にみまわれた九州地方の被災者に、衷心よりお見舞い申し上げます。

5月上旬特選映画【9】★映画のMIKATA「追憶の森」★映画をMITAKA

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5月上旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、そして、選んだ特選映画1本は、ガス・ヴァン・サント監督の自殺願望の映画『追憶の森でした。さほどの秀作でもありませんが、人間と時代のアポリアを何とか映像により対象化しようとする「映像の思想家」の片鱗を見たからです。

 

中高年が富士山の樹海で自殺することなど、原初的ではあるが、今改めて新しく鋭角的な問題ではないですーね。がしかし、先日5月初旬頃、東京・品川区の東急大井町線荏原町駅構内で、13歳の女子中学生2人が手を握りながら通過する急行電車に道連れ投身自殺しました。これはちょっと分析したくなる特殊な問題ですかね…。

 

内閣府自殺対策推進室・警察庁生活安全局生活安全企画課が発表するところでは、平成27年中の自殺者の総数は24,025人、前年に比べ5.5%減でした。 性別では、男性が16,681人で全体の69.4%、40歳代が4,069人で全体の16.9%、50歳代が3,979人で16.6%、60歳代が3,973人の16.5%、70歳代が3,451人の14.4%でした。40代から70代が全体の64.4%でした。若年層の数字がよくわかりませんが、女子中学生が自殺することは極めて珍しいです。私はできたら、中高年よりも、若年世代が、学内での苛めや生き甲斐や生活に悲観して自殺する社会現象と、その精神病理を、是非ぜひ映画にしてほしかったです。私には社会の新しい現象のように思えて仕方ありませんでした。若年層の自殺を映像化した作品って、あったけカナ・・・?そうそう、「ソロモンの偽証」があったかな…。宮部みゆきや湊かなえは、そう言えばこの辺りのテーマをミステリー小説にしていたかな…。ただ、何となく私は、彼女らの「母性」の視線での描き方が、何なんか物足りなかったのです。

1
さて、1本目は、高校のかるた部が競技かるたの全国大会に挑戦する末次由紀の人気コミックを映画化した青春映画『ちはやふる-下の句-』(小泉徳宏監督)の後篇でした。ヒロインの千早役に広瀬すず、競技かるたの幼なじみの太一を野村周平が演じる。前編を見た私にとって、小泉徳宏監督は後編でどんな展開と内容を盛るのか、チョット興味がありましたので、敢えて鑑賞しました。もう一人、千早と太一の幼馴染の新(真剣佑)のライバルで、個人戦で日本一となったヒロイン・若宮詩暢役に、松岡茉優が登場するストーリが、続編らしい波乱を巻き起こす・・・とは、思わなかったーな。


近頃勿体付けた題名の洋画に騙されて、観賞後にがっかり後悔する映画が多いので、さて、ゴールデンウッィークの最中に観に行ったこの作品に感激できるかなと、私は疑心暗鬼でした。がしかし、こんな映画ならば余暇を映画で楽しんだーと満足できる娯楽性豊かな映画でした。私こんな青春ドラマが好きなんです…。

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2本目は、愛する妻を事故で喪い、生きることに絶望し、死に場所を求めて青木ヶ原樹海に遥々やって来たアメリカ人・アーサー(マシュー・マコノヒー)と、会社組織をリストラされそうなため自暴自棄から樹海を彷徨い歩き、しかしながら自殺を思いとどまって樹海から脱け出そうとする日本人・タクミ(渡辺謙)が出会う自殺願望の映画『追憶の森THE SEA OF TREES』(ガス・ヴァン・サント監督)

でした。

 

以前に一度聞いたことのある監督だなーと調べたら、やはり自らゲイであることを公表した活動家ハーヴィー・ミルクをショーン・ペンが演じたあの伝記的映画『ミルク』(2008年公開)のガス・ヴァン・サント監督でした。第81回アカデミー賞では作品賞を含む8部門にノミネートされ、主演男優賞と脚本賞を受賞した名作であるのにもかかわらず、以前この映画ブログで無惨にも掲載禁止となったので、尚更に私としては拘泥したい監督でした。この際、ガス・ヴァン・サント監督のほかの作品も観たくなったので、『グッドウィルハンティング』(1997年公開)と『エレファント』(2003年公開)の2本をDVDで観ました。チョット気になる監督作品は何本か続けて、作品の流れの中で観賞するのが一番ですーね。特に、「グットウィルハンティング」は、スラム育ちの、里子家で虐待された青年がー、しかも大学の構内掃除の仕事をしている街の不良が、難解な高等数学を解いてしまう、数学の天才の物語でした。もう一度見ても感動の傑作です。彼こそ若年層の自殺を映像化できる監督なのにーな…!!!

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3本目は、平成へと年号が変わる直前の一週間の昭和64年に起きた未解決の少女誘拐殺人事件「ロクヨン」をめぐり、県警警務部秘書課広報室の広報官・三上義信(佐藤浩市)を主人公に警察内部の本庁キャリアと県警本部との対立や県警記者クラブの匿名事件と事件公表などの衝突などを浮き彫りにしていた犯罪捜査&刑事映画『64-ロクヨン-前編』(瀬々敬久監督)でした。

 

TVの刑事ドラマではよく見ている横山秀夫の原作小説です。前編は、時効が目前に迫っていた平成14年に再び誘拐事件が起こるところまでストーリが展開する。後編でもう少し詳細コメントを書きます。ただ、刑事ドラマの多い昨今で、この佐藤浩市と「警視庁捜査一課長」の俳優・内藤剛志は、このベテラン刑事役がぴったりですーね…。

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4本目は、会社を大金横領で解雇されて、今はコンビニバイトで生計を立てている中津(東出昌大)と、驚異的身体能力を持つパンティー泥棒の常習犯でニートの土志田(窪田正孝)、彼がパンティーを盗む現場を目撃したことから仲間の一人になった女子高生のカオリ(小松菜奈)、両腕に忍ばせたハンマーで街の不良をボコボコに殴りローブで吊し上げる定年退職近いサラリーマン日下(片岡鶴太郎)が手を組み、街のクズのダニを懲らしめる自警団を結成する『ヒーローマニア-生活-』(豊島圭介監督)でした。

 

豊島圭介監督という人は、娯楽映画をそつなく面白く製作するが、観賞後に何の印象も、まして今年の暮れにはどんなストーリなのか何の記憶も残らない吉本の下手糞なお笑いドタバタ喜劇のような映画でした。

 

尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…

(ご案内)下記アドレスでファンタジーノベル「ひまわり先生、大事件です。」序章~第6章連載№8までを掲載しました。宜しかったら、一度お立ち寄りください。感想もブログ内に頂ければ嬉しいです…!

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DVD特選映画◆【障害者と映画】(2)ブックレビュー「癒しのセクシー・トリップ―」◆

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ベルはブックレビューの作品です≫


「キャタピラー」 (2010年、若松孝二監督)
②「アメリカン・スナイパー」(2014年、クリント・イーストウッド監督) 。
「はなれ瞽女おりん」(1977年、篠田正浩監督 )
④「ギルバート・グレイプ」 (1993年、ラッセ・ハルストレム監督)

「あの夏、一番静かな海。」 (1991年、北野武監督)
「だいじょうぶ3組」(2012年、廣木隆一監督)
➆「恋する宇宙」 (2009年マックス・メイヤー監督)
⑧「モーツァルトとクジラ」 (2004年ペッター・ネス監督)
⑨「アンナとロッテ」 (2002年ベン・ソムボハールト監督)
「名もなく貧しく美しく」 (1961年松山善三監督&脚本)
⑪「I am Sam アイ・アム・サム」 (2001年ジェシー・ネルソン監督)
⑫『フォレスト・ガンプ/一期一会』 (1994年ロバート・ゼメキス 監督)
⑬『オアシス』 (2002年イ・チャンドン監督)
⑭『八日目』 (1996年ジャコ・ヴァン・ドルマル監督)でした。
⑮『ジョニーは戦場へ行った』 (1971年ダルトン・トランボ監督)
「AIKI 」(2002年天願大介監督)
⑰「ブラインドサイト ~小さな登山者たち~
「学校II」 (1996年山田洋次監督)
⑲「シンプル・シモン」 (2010年アンドレアス・エーマン監督)。
⑳「グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-」 (2013年ニルス・タヴェルニエ監督)。

㉑「我等の生涯の最良の年」 (1946年ウィリアム・ワイラー監督)
㉒「マラソン」 (2005年チョン・ユンチョル監督)。
「ジョゼと虎と魚たち」 (2003年犬童一心監督)
「くちづけ」 (2013年堤幸彦監督)

㉕「ウィニング・パス」 (2003年公開。中田新一監督)
㉖「エレファント・マン」(1980年公開。デヴィッド・リンチ監督)。
㉗「マイ・フレンド・メモリー」(1998年公開。ピーター・チェルソム監督)
㉘「トガニ 幼き瞳の告発」(2011年公開。ファン・ドンヒョク監督)
「おそいひと」(2004年。柴田剛監督)
㉚「奇跡のひと マリートとマルグリット」(2014年。ジャン=ピエール・

アメリス監督)

ベル『暗闇から手をのばせ』 (2013年公開。戸田幸宏 監督)
㉜『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』 (1992年公開。マーティン・ブレスト監督)
㉝『海を飛ぶ夢』 (2004年。アレハンドロ・アメナーバル監督)
㉞『パンク・シンドローム』 (2012年。ユッカ・カルッカイネンJ=P・パッシ監督)


◆追加DVD

ベル㊺『セッションズ』 (2012年公開。 ベン・リューイン監督&脚本)。㊻『』(1945年公開。フェデリコ・フェリーニ監督)。㊼『レインマン』(1988年公開。バリー・レヴィンソン監督)…。


その他に、この映画ブログでコメントした映画が10本有りました(順不同)。忘れて漏れている作品がもっとあるかもしれませんかーね。

『ツリーの国』

㊱『エール

『抱きしめたい -真実の物語-』

㊳『最強の二人

㊴『チョコレートドーナッツ』

㊵『博士と彼女のセオリー

㊶『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

『マンゴーと赤い車椅子』

㊸『マルガリータで乾杯を

『さようならCP』


これまで「障害者の映画」のテーマでコメントしながら取り上げた映画は、34本でした。新しい作品順に列挙して、邦画を11本、外国映画を23本を前回の掲載で列挙しましたが、さらにその後、新しいDVDを鑑賞、DVD特選映画として追加したい作品が2本ありました。で、㊺ベン・リューイン監督の『セッションズ』(2012年公開)と㊻フェデリコ・フェリーニ監督の『』(1945年公開)と、改めてダスティン・ホフマン、トム・クルーズ主演、㊼バリー・レヴィンソン監督の「レインマン」(1988年公開)を追加観賞しました。






セッションズ』 は、幼少時に発症したポリオが原因で、38歳になるまで首から下が麻痺して動かない身体障碍者・マーク(ジョン・ホークス)が主人です。私もこのテーマでDVDをあれこれ検索していて、初めてこの作品を知りました。「障碍者と性」の問題を考えるに一番ふさわしい映画だなーと思いました。ストーリ設定は、呼吸障害も抱える彼は、巨大な呼吸器の中で昼も夜も生活していた。外出時は、酸素ボンベを積んで身体を横たえる寝台に乗り、生命維持装置と共に移動していた。舞台はそんなマークの性への願望・・・、死ぬ前に一度生身の女性とセックスしたい、童貞を捨てたいという願いを実現することでした。そこで、「セックス・サロゲート」(セックスセラピスト)役のシェリル(ヘレン・ハント)とベットを共にすることになる。マークの家はアメリカなのだが、私はどうしても、前回ブックレビュー「セックスボランティア」でレポートされていたオランダの障害施設や、そこでの障碍者の性欲を処理するためのセックスセラピストや添い寝の相手を有料で提供する団体や組織の女性たちを連想させました。顔を動かし口先に銜えたペンでパソコンから言葉をつむぐ詩人でもある彼の相談相手は、教会のブレンダン神父(ウィリアム・H・メイシー)であった…。


この映画を見たときにアメリカのセックスセラピスト

の事情を知りたくて安積 遊歩さんの「癒しのセクシー・トリップ― わたしは車イスの私が好き! 」(1993年刊行、太郎次郎社)に出会い、読みました。著者の安積 遊歩さんは、原因も治療法も分からない奇病、カルシュウムを吸収しにくい「骨形成不全症」という病気で、13歳になるまでの10年間に20回近くも骨折を繰り返していたという。養護学校と在宅障碍者の車いす生活をする中で、障碍者の性と人権を回復する障害者運動に関わりを持ちながら、ミスタードーナッツの主催で、障害者リーダの米国留学研修事業に幸いにも参加できた。1983年から半年間、カリフォルニア州バークレイ自立生活センター(CIL)にホームステイした経験がこの本に書かれていました。養護学校や病院での「障害者」にたいする世間の視線と通念、と同時に成長と共に女性として性に目覚める期から、それゆえに尚更に「性」への好奇心が募り、同じ障害者と同棲をしたり・・・、と障害者としての葛藤と「性」の問題意識が赤裸裸に書かれていました。・・・


障害者の「性」の問題は、この『セッションズ』をコメントしながら、安積 遊歩さんの「癒しのセクシー・トリップ― わたしは車イスの私が好き! 」(1993年刊行)をブックレビューとしてとりあげることが最も適切だと思いました。 まず、カリフォルニア州バークレイでのアメリカ留学で得た一番の意識改革は、障害者として「障害」の肯定と、「障害」が個性ならば、ありのままの自分をより自己実現するという意識変革で

した。(p142)かつて私は、絶望的な自己否定のただ中で「障害は個性」という見方に出会い、そう信じ、そのことばを日々、叫びつづけていた。それが、アメリカに来てみると、そんなことはあたりまえすぎて、改めてことばにするまでもないといった感じなのだ…個性を自分のものとし、自由を追求する姿勢のたくましさを、私はアメリカでつくづく学んだと思う。医学も、リハビリも、CILも、すべてそのための援助…につながていると言う。さらに、障害があることで、自分が女としての「性的存在」であることを暗に意識から消し、その反面、性を奪われてきたことで大きな飢餓感や欠乏感も感じていたのである。しかし、料理をしたり洗濯をしたりなどの、女だから当たり前のように押し付けられる家事労働やブラジャーやスカートを着たりする「女らしさ」からも免れていたという。


普通私たちは、自分の生まれた社会や土地の風俗や習慣や宗教に縛られているものです。そこに、「男」「女」を縛り付ける男女の役割「らしさ」のイメージの頸木もあります。アメリカ留学で得た二番目の「性文化」の視点は、奔放な性意識でした。(p150)…性の多様なあり方…レズビアンやゲイの友だちとなかよくなればなるほど、私はその生き方に強くひかれていった…まず彼女たちのもつ自由さと身軽さ…男との関係、あるいは男社会のあまりのひどさに絶望し、「こんなの、私はイヤだ」というところからレズビアンで生きることを選択した女たち。彼女たちのなかには、もっとナチュラルに、たんに、「女を愛する女」でありたいという人もいる…「こうあらねば」という囚われから、みごとにみずからを解き放ているセクシャリティーには、あまりに刷りこまれ、決めつけられてきた長い歴史かあって、多くの人が、硬直したパターンと意識に縛られている気がする。人間が異性としか愛し合わないということに「ノン」を言ってくれたのがホモセクシャルの人たちだとするなら、「すべての人たちがバイセクシャル(両性愛者)だ」と気づき、これから人類におとずれるかもしれない・・・と、大変大胆なLGBT(レズビアン、ゲイバイセクシャル、トランスジェンダー)の性文化論を述べています。このセクシャリティーは、個人の自由な選択だという彼女の到達した性意識は、今までの常識的な性によって、そこから女としての属性を否定され、個人史の中でもがいてきた彼女を、セックスにおいて性交がすべてではないと気づかせることになる。(p156)性交をしなくても、さまざまな交歓をを経て、その女性が徐々にエクシタシーを感じていく姿は、私にはかなりの衝撃だった。それまで信じていた「性交こそがセックスだ」という性の神話は一気に崩れた。そして、かわりに私のなかに生まれた確信は、ペニスが問題ではないということ。セックスで大切なのは、それをとおして二人がどれだけコミニケーションをかわし、どれだけ気持ちよぃ状態を共有することができるかだということだった…と結論を出しています。


私はすぐにあの乙武洋匡さんの『五体不満足』(1998年刊行、講談社)を想起しました。あの本の中には男としての「性」の悩みや障害者としての「性」の問題が書かれていなかったーなと思いました。障害者なが乍ら高校・大学へと進学し、さらに大学院まで勉強している頭脳明晰な彼です。学生のころより自己主張し、賛同する仲間を集めてボランティアたちと政治活動を始め、スポーツライターになって記事を書き、教育問題にも切り込み、言論の幅を広げる乙武さんの活躍を考慮して、出版社の編集者が性の赤裸裸な告白を避けたのかもしれませんーね。しかし、私は、この安積 遊歩さんの「癒しのセクシー・トリップ― わたしは車イスの私が好き! 」を読んだ後も、尚更に彼の性意識に関心を持ちます。だってさ、2001年に健常者の女性と結婚して、子供を2015年には三人もうけているのだから、障害者の「男」のセックスをもっと赤裸々に語ってもいい気がしますーよね。しかも、2016年3月に5人の女性との不倫関係が『週刊新潮』に報じられ経緯もあるのだから、尚更に障害者の「性」について語る必要があるだろうーよ。でなければ、彼は偽善者だよな…。




5月下旬特選映画【10】★映画のMIKATA「エンド・オブ・キングダム」★映画をMITAKA

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漸く壊れたパソコンの修理が完了して、手元に届きました。そんな訳で映画ブログをアップ出来ました。今回は液晶パネルを交換しました。こんなに早く東芝のノートパソコン「Dynabook」が壊れようとは思いませんでした。東芝の家電製品といえば、昔はデザインは野暮ったいが、堅牢で品質に定評がありましたが、最近ではそうではないのでしょうかーね…?ブログを始めてからは、パソコンは私の書斎には必要不可欠の道具になりました。もしこの世から「パソコンがなくなったらー」と思ってしまう私です。これも、

世界から猫が消えたなら』の影響でしょうかーね。そのくらいにこの映画は面白かったです。


さて、5月下旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、その中から選んだ特選映画1本は、『エンド・オブ・キングダム』でした。今月5月

は通算で8本を観賞しました。『世界から猫が消えたなら』も良かったですが、ただ、この西部劇のような武装テロとの激しい交戦は、幻想的作品よりも、さらに一段上の興奮と醍醐味を感じました。


1

1本目は、ある日突然、配達中の自転車から意識を失い転倒する郵便配達員(佐藤健)を主人公に、医師から余命短いと診断された彼の前に悪魔(佐藤健)が出現するファンタジーノベルのような幻想的映

画『世界から猫が消えたなら』(永井聡監督)でした。彼と瓜二つの悪魔は、彼の身の回りの大切なものと引き換えに一日の命をくれるという。


初恋の女性(宮崎あおい)と関係した、まず初めに友だちと楽しい会話ができる電話が消え、彼女とデートをした懐かしい映画が消え、時計職人であった父親との懐かしい記憶の時計などが次々に消えていく。「物」が一つ一つ消えるたびに、物にまつわる記憶、物が支える彼の存在意義が消えてゆく…。人間は物との関係で実存するーという、極めてサルトルの

実存主義的な哲学映画なのかな…。私はそんな風に観賞してしまいました。


余裕があれば、対象化疎外などという言葉についても言及したいガーナ。


2

2本目は、シェイクスピアの四大悲劇の一つである戯曲『マクベス』(ジャスティン・カーゼル監督)を、中世スコットランドのマクベス将軍にマイケル・ファスベン

ダーが演じ、とマクベスの妻にマリオン・コティヤールが演じる映画です。「王になるだろう」という魔女の

予言に権力への欲望を募らせるマクベスの、欲望に肉体が乗っ取られて操られ、破滅への幻覚にさいなまれる姿が、この作品からありありと読み取れました。


因みにシェークスピア劇の舞台演出家として有名な蜷川幸雄さんが亡くなった訃報が 先日伝わりましたが、そんな時だったので今回この「マクベス」を鑑賞しました。私も舞台の蜷川シェークスピア劇も、映画も観ていないのです、たかだか翻訳された戯曲を数冊読んだだけなので、映画の感想を書くだけが精いっぱいの所です・・・。シェイクスピア映画についてもっとたくさんの作品を見ることを、私の今後の課題としたいです。それにしても、最近「演劇」の舞台を見ないな…。人気のあるのは、お笑い「演劇」ばかりですーね。とことん、権力欲に満ちた政治や、金に執着する政治家を揶揄する演劇や劇団があってもいいよな…。


3

第39回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞など4つの最優秀賞を受賞した、  吉田秋生の漫画を原作にした是枝裕和監督の『海街diary』は、未だ私の映画体験の感動的な作品として記憶

に新しい映画です。鎌倉に暮らす4姉妹を、女優の綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが演じた家族映画でした。


3本目は、同じ是枝裕和監督なので『海よりもまだ深く』(原作&脚本*是枝裕和)もまた公開したらすぐに期待に膨らませて鑑賞しましたが、やや失望しました。ストーリは、昔に1度だけ文学賞を受賞したが、その後、鳴かず飛ばずに小説家になる夢を諦め切れないまま、探偵事務所でアルバイトする良多(阿部寛)を主人公に、たまたま台風の一夜に、一人寂れた古い団地に住む良多の母・淑子(樹木希林)の実家に集まった家族の物語です。離婚したが、思いが未だ燻っている元妻の響子(真木よう子)、次第に成長して男らしくなる息子の真悟(吉澤太陽)と共に過ごす。その意図は家族の持つ親和力を映像化しているのだが、『海街diary』の二番煎じのような映画ではないのかな。ただ、山田洋次監督作品の家族映画と違う点は、日本の封建制から近代的な家族制度の崩壊と胎動を緻密に描いてきた作品に対して、是枝裕和監督作品は、今一歩進めて、現代の新しい家族関係を未だに見つからずに、人間どうしの

「絆」を«女と男≫«親と子»«近隣地縁»、さらに≪職場会社≫の人間関係という既存の近代的な家族制度と組織の中に彷徨する「男」の今の迷いを描いている点だろう…かな。「ゲマインシャフトとゲゼルシャフト」とか、社会学の言葉で解説するのも虚しいな…。


4

厳重に侵入者をブロックし排除する堅牢堅固なホワイトハウスを、こともあろうにアジアの武装テロ集団が占拠するアメリカの危機に対して、失業中の元シークレット・エージェント・マイケル(ジェラルド・バト

ラー)がたった一人で人質になった大統領を救出しようと奮闘交戦する『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013年公開。アントワーン・フークア 監督)の続編に

なる作品が公開されました。


4本目は、今度はイギリス首相の葬儀がロンドンで行われ、アメリカ合衆国大統領ベンジャミン(アーロ

ン・エッカート)も出席することになるが、今回もシークレットサービスのマイク(ジェラルド・バトラーが護衛のために同行する。しかし、フランス、ドイツなど各国首脳がロンドンへと参集する中で、彼らをターゲットにした同時多発テロが発生する武装テロ映画『エンド・オブ・キングダム』(ババク・ナジャフィ監督)でした。


日本でも先日5月26日と27日に伊勢志摩サミットが三重県の賢島で厳戒態勢の警戒で開催されました。日本の一角にG7主要国首脳会議が集まった盛大な国際政治のイベントでしたが、ここにもアメリカ大統領・オバマが参加しました。サミット終了後の27日に、被爆都市・広島の「原爆慰霊碑」を原爆投下のアメリカ大統領が訪問する日米間の歴史上記念碑的な墓参がありました。でも私は、日本の映画監の誰か? 武装テロリストが賢島を襲撃する映画が同じ設定で作れそうな気がするのだがーね。






尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章
の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


6月上旬特選映画【11】★映画のMIKATA『サウスポー』★映画をMITAKA

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6月上旬の特選映画をアップロードします。今回5本を映画館で観賞、今月6月はデッドプール探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海』『サウスポーヒメアノ~ル』『64-ロクヨン-後編』の5本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、ボクシング映画『サウスポー』(アントワーン・フークア監督)でした。新しいボクシング映画の名作が誕生かなーと思いました。

未成年の凶悪犯罪が社会問題化して、未成年の犯罪と刑罰を擁護軽減する「少年法」が問いかけられています昨今、邦画では「ヒメノアール」が見応えがありました。古くは1999年に山口県光市で18歳少年により主婦と、その娘の乳児(生後11カ月)も殺害された少年犯罪事件「光市母子殺害事件」がありました。私の住む川崎市でも多摩川土手で中学生を少年たちが残酷に殺害する事件がありました。先日観賞したマイケル・ムーアの『世界侵略のススメ』が一つの答えを出している気がしました・・・。この作品は次回コメントを載せる予定です。

 

 

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恋人との結婚も決った元特殊部隊の傭兵・ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)が、死期を逃れようと怪しい組織に頼り、「ミュータント」になる遺伝子を試験的に注入され、健康な肉体を取り戻そうとジタバタした結果、肉体は不死身のスーパーマンになっものの、体の皮膚は捩れ爛れ、無惨な妖怪のような容姿になってしまうというストーリ『デッドプール』(ティム・ミラー監督)でした。

 

1本目は、「ミュータント」に変身したウェイドが正義の味方のスーパーヒーロではなくて、スパイダーマンのような赤いコスチームに身を包み、口汚い卑猥なジョークと、「ミュータント」になる遺伝子を試験的に注入して自分を変身させた、怪しい組織に復讐をぶつける、そうね、怨念のバイオレンスアクションが炸裂するダーティヒーロの映画、うーんもっと言えば、ヒーローが突然変異した異色の「ブラックヒーロー」登場の映画ですーネ。

 

どんなコメントよも、百聞は一見に如かず、映画は観なくてはダメだよ。予告編やテレビの宣伝文句で分かったつもりになるのは、「映画知らずの映画アホ」です…。掛け値なしにゲラゲラ笑える映画です。人生に深くなやんでいる青少年よー、この映画を見て、思い切って善悪の彼岸の自由な境地「ブラック人間」になろうよ…。

 

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2本目は、天才的な推理力を持つ脳科学者の大学教授・御手洗潔(玉木宏)が、半年間に6体もの身元不明ま死体が海岸に漂着する「死体島」の謎を解く探偵映画『探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海』(和泉聖治監督。脚本*中西健二)でした。ミステリー作家・島田荘司の探偵ドラマ「御手洗潔」のシリーズを原作にしている謎解きの探偵ものなのだが、何よりも、杉下右京と彼の相棒刑事が怪事件難事件を解決するテレビ朝日系の人気刑事ドラマ尚且つ、時々映画版も上映され、絶大な観客を動員するヒット作のあの『相棒』シリーズ(和泉聖治監督、輿水泰弘脚本)の和泉聖治が監督を務めている作品ゆえ、ひとさら興味を持ちました。そろそろ、「相棒シリーズ」もどんなに相棒のキャスト俳優を変えてもマンネリになったかなー、やはり新しい探偵シリーズ第一弾の野心的な企画かなーと、思ってしまいました…。

 

だかチョットね、ストーリの骨子となる3件の謎、つまり、瀬戸内海の興居島に死体が海流する変死体事件、広島県福山市の竜神の滝に縛られてた夫婦と赤ん坊の死体、それとアパートのベッドで発見された外国人女性の変死体…などが、あまりに複数の事件が複雑にからも過ぎて、なぞ解きを面白くするために無理矢理に推理の糸が繋ぎ合わされている気がしました。おまけに、ネス湖の「ネッシー」のような恐竜伝説や「星籠」まで登場しては、エピソードが多すぎますーネ。映画は率直に行って、探偵ものとしても刑事ものとしてもヒットしそうにないB級の駄作でした。でも、視聴率の高いテレビドラマを映画化するパターンは、同じヒット作製造方法なのですーネ。

 

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養護施設育ちの荒々しい気性と、世間への「怒り」をパンチに込めて、ダウン寸前でも対戦相手を一撃で殴り倒すパワーボクシングスタイルの、ライトミドル級の世界チャンピオン、ビリー・ホープ(ジェイク・ギレンホール)を主人公に、試合のいざこざが原因で妻(レイチェル・マクアダムス)を殺され、失意のうちに生きる気力をなくしたビリー・ホープは、麻薬におぼれ財産も栄光もチャンピオンベルトも娘さえも失った転落人生を歩むことになる。3本目は、ビリー・ホープが再び娘と共に暮らす為に、チャンピオンベルトを取り戻す為に、下町の少年たちにアマチアボクシングのトレーナーを務めるティック(フォレスト・ウィテカー)の協力を得て、現チャンピオンへ挑戦するグローブをはめるボクシング映画『サウスポー』(アントワーン・フークア監督)でした。

 

ボクシング映画の名作といえば、私は一番にまず黒人差別に基づく冤罪事件「ルービン・カーター事件」を題材としている、ルービン役にデンゼル・ワシントンが演じる『ザ・ハリケーン』(1999年公開、ノーマン・ジュイソン監督。脚本*アーミアン・バーンスタイン&ダン・ゴードン )を思い浮かべます。その次に、シルヴェスター・スタローンがロッキー・バルボア役で主演するボクシング映画ロッキー』(1976年公開、ジョン・G・アヴィルドセン監督。シルヴェスター・スタローン脚本)から「ロッキー2」  (1979年公開) 、「ロッキー3」  (1982年公開)、 「ロッキー4/炎の友情」  (1985年公開) 、「ロッキー5/最後のドラマ」  (1990年公開、)「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006年公開)などのロッキーシリーズがやはりボクシング映画の名作に数えられるでしょうーね。でもここに新しいボクシング映画の名作が生まれたな、と思いました。そのくらい私は感動しました。

 

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4本目は、ビル清掃会社のパートタイマー岡田進(濱田岳)は同僚の先輩・安藤勇次からカフェの店員ユカ(佐津川愛美)との恋のキューピット役を頼まれる。始まりはまるでラブストーリのような『ヒメアノ~ル』(吉田恵輔監督)でしたが、岡田はそこで高校時代の同級生・森田(森田剛)と再会する。ユカから森田につけ狙われ、ストーキングに悩まされていると相談される。森田は次第にかつていじめられていた記憶が復讐心へと変わり高校時代に彼を虐めた同級生を襲撃して殺していく「殺人鬼」へと彼を変身させていく。ところで、「ヒメノアール」とは、何の意味ですかーね?

 

『行け!稲中卓球部』『ヒミズ』などを創作した漫画家古谷実が『週刊ヤングマガジン』(講談社)に連載していた人気漫画が原作のようです。が、こんなストーリは確かに小説にし難いな・・・。こんな凶暴で連続殺人を続けるサイコキラーが主人公の小説は、実はもう使い古された素材なのです。だから小説としてはあまり魅力がないのです…ネ。小説に書いても余り評価されないのです。その辺の隙間を漫画が「原作」に狙っているのですーよ。

 

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5本目は、昭和64年の終わる直前の一週間に発生した雨宮芳男(永瀬正敏)の娘の誘拐殺人事件・通称「ロクヨン」が未解決のまま14年の時が流れた平成14年、時効目前のシーンから始まる『64-ロクヨン-後編』(瀬々敬久監督。原作:横山秀夫。脚本:久松真一、瀬々敬久)でした。かつて警務部の広報三上義信は、刑事部刑事として「ロクヨン」の捜査にも携わった経験があった。そんなある日、スポーツ店経営の目崎正人の娘が誘拐されるというロクヨンを模したかのような新たな誘拐事件が発生する。そこには雨宮とかつての少女誘拐事件の脅迫電話を受けた刑事の誘拐狂言があった…。

 

前編は誘拐事件の導入のような内容でしたので、仕方無く渋々の観賞となりましたが、さすがにこれだけの俳優を登場させる映画だな、謎の誘拐事件の真相を明かすラストシーンは、流石に見せ場の連続シーンがたくさんありました。テレビドラマの2時間で完結するTVドラマとは違う枝葉の説明的謎解きの余分なシーンが、映画らしかったです…。誘拐映画に関してはDVD特選映画で改めて企画したいと思っています。

 

(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)

 


6月中旬特選映画【12】★映画のMIKATA「世界侵略のススメ」★映画をMITAKA

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最近の大きなTVの話題といえば、やはり舛添要一東京都知事の辞任劇かな・・・。都知事の辞任ニュースといえば、政治ドラマを見ているように面白おかしくー、政治資金で美術品絵画を購入したとか、湯河原の別荘へ通う私用に公用車を使うとか、家族団欒のホテル滞在なのに会議を装ったりとか、シルクの中国服を公費で買ったりとか…、吉本のお笑いのネタになるようなニュースばかりです。でも、私には西部邁・舛添要一といえば、東大医学部の研修医制度への抗議に端を発した東大紛争、東大安田講堂、そして1988年(昭和63年)に起こった「東大駒場騒動」などの60年代70年代の時代背景と共に記憶に残っている事件と人物なのです…が。当時、東大教養学部教授だった西部邁が、あの「チベットのモーツァルト」(1983年、せりか書房)を書いた中沢新一を、社会科学科助教授に推薦するのだが、教授会で拒絶された。それに抗議して西部邁などと共に大学を辞職した一人であった。私の記憶違いもあるかもしれませんが、私は西部・舛添の名前をこう記憶しています。東京大学教養学部政治学助教授から、将来、東大教授にもなった学者ですが、辞任後2001年に自民党参議院議員に初当選、2014年東京都知事選挙に当選する、輝かしい経歴の中で、エリートコースを蹴って政治家に転身した彼の政治理論と象牙の塔に踵を返した叛骨精神を期待したのだけれども、それがそれなのに…ナ。国政でも都政で大胆な政治手腕を振るってほしかった政治家でしたが・・・ネ。決して「SEKOI」などという和製英語を残す人になってほしくなかったと、私は思うのです。国会議事堂内の高級官僚と国会議員のOBさえたくさん輩出する東大の「政治学」とは、そんなに役に立たない脆弱な学問を教えいるのか???都議会で彼の政治資金の実態を暴こうといろいろな質問を都議員が投げましたが、私は残念でたまりません。どうして彼に、「舛添都知事よー、あんたの政治目的とは何だ?」、或はまた、「政治家の使命とは何だと思いますか?」と、問いかける議員が一人もいないのか…と胡乱に思いました。私は、彼の口からその答えを聞きたかったです。再び都知事選の選挙に誰が立候補するのかの、興味本位の候補者ニュースが流れています。が今度こそ、人気投票ではなく、政治の目的と、政治家の使命をはっきり掲げる東京都知事を選んでほしいです…ね!

 

ハリウッドの映画ならば、自民党の陰のシンクタンクが舛添辞任に向けてマスコミを使って世論操作をした…、参議院圧勝のために選挙対策のための一手…、全てが巧妙に仕組まれたどす黒い保守政権の裏工作だった、となるのだがーナ。

さて、6月中旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、今月6月は今の所、初旬デッドプール探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海』『サウスポーヒメアノ~ル』『64-ロクヨン-後編』、中旬『二ツ星の料理人』『マネーモンスターマイケル・ムーアの世界侵略のススメ10 クローバーフィールド・レーン』の9本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、ドキュメント映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメでした。こんなのんびりした企業でフアフア気分の国家では、例えば、有給休暇が年/8週間もあるイタリアのオートバイメーカー「ドゥカテ」の本社工場の従業員と経営者のコメントを見ると、しのぎを削る世界の金融システと経済競争には勝てないで、ギリシャのように国家経済は破たんするゾ…と言うかもしれませんーね。ただ、マイケル・ムーアは、合衆国の1パーセントの資産家が「お金」を独占するアメリカの高度資本主義と富が資本家に集中するアメリカに「No!」と言っています…。

 

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料理の舌とフライパンを操る腕は一流、皿を盛る料理センスは芸術家、しかし、どうしたものか調理場とオーナとの間でついついトラブルを起こし、キャリアを台なしにするシェフ、アダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)が主人公。1本目は、突然パリの二ツ星レストランから姿を消して3年後、それでも依然伝説の有名シェフの評判が残るアダムは、ロンドンの友人トニー(ダニエル・ブリュール)のレストランに現れ、新天地ロンドンで三ツ星獲得を目指して奮闘を始める料理映画『二ツ星の料理人』(ジョン・ウェルズ監督)でした。

 

料理映画といえば、過去に数々の名作傑作があるジャンルです。率直に言って、ラーメンとカレーライスとチャーハンとコロッケと焼きそばが好きな私は、余りグルメではないのです。だから、私は「料理映画」はあまり夢中になって見れないのです。近頃記憶に残るそれらの映画では、洋画のシェフ 三ツ星フードトラック始めました」(2014年公開、ジョン・ファヴロー監督 )かな…。邦画ではまず、『深夜食堂』(2015年公開、松岡錠司監督)がシミジミ旨味が染みた映画でした。次はそう、「南極料理人」 (2009年公開、沖田修一監督) が最後まで楽しめた映画でした…。

 

私の名作傑作の基準の一つは、ラストシーンがコメントを書くときに鮮やかに蘇って来るかどうか―です。料理映画『二ツ星の料理人は、どうも感動が甦ってこないのです…ね。

 

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リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)が司会を務める財テク番組「マネーモンスター」に拳銃を手にしたカイル(ジャック・オコンネル)が生放送中のスタジオに憤って乱入して、この番組の株式情報によって貯金を全て失い破産したという。スタジオジャックは、番組ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示で、そのままカイルの出演するスタジオテロ事件の同時生中継になってしまう。2本目は、巧みな話術で株価予想や視聴者への助言を行う経済情報番組、財テク番組が推奨した株価の激変の裏に隠された株価操作を暴露した『マネーモンスター』(ジョディ・フォスター監督)でした。

 

え~あの女優ジョディ・フォスターが監督した映画なのーと驚きましたが、これまでリトルマン・テイト』『それでも、愛してる』などを制作しているようです。2014年4月、パートナーの女性写真家アレクサンドラ・ヘディソンと同性結婚した彼女です、次回作品では是非とも,「同性愛」をテーマとした映画を作って欲しいです。

 

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3本目は、ある日、アメリカ国防総省のお歴々のお偉方たちに呼ばれて、惨敗続きの国防総省に代わりに映画監督のマイケル・ムーアは、アメリカの「侵略者」として空母艦ロナルド・レーガンに乗り込み、ヨーロッパへと向かう、彼独特のジャーナリスティクでアイロニカルな、とことんラジカルなアメリカ批判の『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(マイケル・ムーア監督)でした。

 

コロンバイン高校の銃乱射事件に題材をとり、銃社会アメリカを痛烈に批判した『ボウリング・フォー・コロンバイン』 (2002年公開)や、皆保険制度のないアメリカ合衆国の高額な保険医療制度と、キューバなどの医療制度を取材した「医療問題」をテーマにしたドキュメント映画シッコ』(2007年公開)、2008年9月に起こった「サブプライムローン」と、証券会社「リーマン・ブラザーズ」の破綻が引き金となって生起した金融危機と世界金融恐慌の真実を描くためにニューヨークのウォール街へと乗り込んでいく取材映画キャピタリズム~マネーは踊る~』 (2009年公開)など、アメリカが今直面している社会問題をドキュメント風に仕立てるマイケル・ムーア監督の視点と傑作は、既に数々残されています。今度の『世界侵略のススメ』では、本来ならばアメリカが起源だが、しかしながら、アメリカにはない、既にアメリカから消滅した社会保障制度や労働環境、教育制度や司法制度などを求めてヨーロッパ各国を幅広く取材しています。例えば、有給休暇が年間に8週間もある、イタリア・ボローニャを拠点とするオートバイメーカー「ドゥカティ(Ducati 」の本社工場を訪問して、従業員と経営者を取材しています。例えば、休日を寛いでいる家庭や、会社を退勤後の時間帯に上司がスタッフに連絡をすると法律違反なるドイツの労働環境、例えば、麻薬使用が合法であるポルトガルの司法制度、例えば、手錠も鉄格子も死刑制度も無く、出入り自由な孤島の一軒家に自由に生活するノルウェー刑務所の囚人たちがいる司法制度と刑罰、例えば、家庭での宿題もなく、週に20時間しか授業がないのに、学力水準は世界トップクラスのフィンランドの教育制度が紹介されています…。

 

彼はその都度アメリカの国旗を「侵略」の証として置くのでした。つまり、アメリカ起原の制度と組織と人間観が、その国のその社会システムに根付いているから―なのです。

 

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4本目はニューヨーク市街を巨大怪獣が襲い、都市の破壊に逃げ惑う市民の恐怖を描いた、2008年の怪獣パニック映画「クローバーフィールド HAKAISHA」(マット・リーヴス監督、脚本:ドリュー・ゴダードのサスペンス編とも言っていい作品『10 クローバーフィールド・レーン』(ダン・トラクテンバーグ監督。J・J・エイブラムス製作)でした。

 

恋人の元に車を走らせる主人公の女性・ミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)は、突然の事故で車は道路から転落反転して、目覚めると怪我をして、コンクリートの壁に囲まれた部屋に、点滴を注射され、鎖と手錠によって束縛されたマットの上の自分に気が付く。ここは怪獣の襲撃から難を逃れるシェルター内で、この中には、彼女をここへ運び襲撃から救助したと主張するシェルターの所有者・ハワード(ジョン・グッドマン)と、シェルターの避難同居者・エメット(ジョン・ギャラガー・Jr)が、この中で既に共同の非難生活をしていた。この作品かサスペンスである理由は、ミシェルは、モンスターが地球を襲い汚染された外は危険だー、この地下シェルターに留まれーという彼らの言葉が、寧ろ生命を擁護している言葉としてよりも、ミシェルをコンクリートの中に自由を拘束されている・・・と疑心暗鬼になってくる心理的な疑惑が持ち上がって来るところです。

 

ただ、最後のシーンでハワードから逃げ、地下シェルターを抜け出して、そして、怪獣の出現に車で方向もわからずに逃げ去る時に、ラジオから生存者のSOSを聞くところで、車をヒューヘストンへ方向転換して、ハンドルを切る場面で終わります。ア~続編がありそうだな・・・という予感と共に、ストーリが中途半端に閉じられ、作品を堪能しきれない不満を持つ映画でした。

 

 

(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)

7月上旬特選映画【13】★映画のMIKATA「帰ってきたヒトラー」★映画をMITAKA

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7月は色々なことがありました。或いはこれからも色々なことがありそうですーね。


最近のその話題の一つが、7月22日に「ポケモンGO」の日本での配信が始まったことかなー。先行配信した米国では既に街をうろつく若者の間で加熱しているようです。配信当日朝からマスコミがこの話題を映像で大量に流しています。あれれ、これはマスコミを使った情報操作なのかな、或は、株価操作、いやや、マーケティング戦略ならばいいが、私などついつい「政治」戦略と勘繰ってしまいます・・・???東京都知事選挙の街宣カーの近くにピカチューのゲットするのがレアなマスコットが出現したよ・・・などと「噂」が流布したら、それこそ選挙宣伝の効果満点ですねー。


日本でも今、些か異常に沸騰しています。ガラ系の携帯から完全に「スマホ」の時代が到来した観です。個人と個人の通信手段が、LINEによって一斉に瞬時に情報が集団へと伝達され、壁に囲まれた部屋の中の個人の、孤独な秘密の会話が、今や、「スマホ」によって街の中でワイワイガヤガヤと騒ぎながらスマホのソフトを媒介に他人との間で「仮想現実」の会話が始まり、ポケモンの情報交換をするようになった。「ポケモンGO」の魔法によってスマホが共感と共同の集団意識を付与したといってもいいのかな・・・。「ポケモンGO」には三つの魔法のキーワードが隠されているのではないのかな。今まで単にゲームでの異空間の対戦でしか過ぎなかった「ソーシャルネットワークゲーム」が見事に拡張したー。「たまごっち」のような孤独な意識に籠っていたゲーム性が、街中に出て地図の中でポケモンをゲットするというゲームの解放性が、幻想的な共時性を持つようになった、ブームとはいえ共同幻想さえも与えたーのかな。最後に、「ポケストップ」と「ジム」がゲームに組み込まれることで、ゲームとキャラクターが商品の購買意欲を喚起するだけでなくて、ポケモンのキャラクターが「ゆりかごから墓場」までの千変万化の商品とつながった…。文房具や鞄バックやTシャツばかりでなく、その内に、霊園の墓石や神社仏閣の境内に、或は、離乳食や乳母車にピカチュウキャラクターが登場する、さらにスニーカーやハイヒールの上にピカチューマスコットが登場する時代が到来するーのかな・・・。確実に新しいビジネスモデルを登場させた―のです。任天堂やマクドナルドの株価もポケモンGOのニュース発信前から高騰しているという。

繰り返しますが、7月は色々なことがありました。或いはこれからも色々なことがありそうですーね。


参議員選挙投票(7月10日)がありました。240万人の新しい18歳有権者の一票が、どの党のどの候補者に流れるのかなーと、私は興味津々でした。が、間違いなく彼等に政治意識はあるのだろうけれども、親の家で親の経済と保護の傘下にある、生活体験と企業内の組織体験と、お金で動く冷徹な「利益」の経済原則の経験希薄な高校生にとっては、政治と生活を繋ぐ「社会保障」や「医療費」や「高齢社会」・・・、「失業保険」や「保育園」や「養育費」や「年金」や「老人介施設」などは無縁なお金の世界ですーね。ついに「アベノミクス」の山は動かせなかったーな。その一因は、戦略を持てない「民進党」の選挙ベタが原因カナ…。政党と選挙のためにお金をかけて「シンクタンク」と選挙参謀を雇わないとねー!!!自民党が「経済」を選挙戦のテーマに掲げたら、それに対抗できる政治テーマは「社会保障」ではないのカナ・・・。憲法を守れと呼びかけるならば具体的に「憲法9条と25

条を守れ!」と掲げないとねー。


桝添要一都知事の辞任(7月12日)の後、都知事選挙(7月31日投開票)では、注目の立候補者の選挙活動は今たけなわーですね。その一人、TVキャスターというよりも癌を克したジャーナリストの鳥越俊太郎[76才]。何よりも、野党統一候補(民進・共産・社民・生活)と、3度目の都知事選出馬を譲った苦労人の元日弁連会長の宇都宮健児の辞退は残念ですーね。私は彼に都知事になってほしかったです。もう一人は、岩手県知事や総務大臣などを歴任した増田寛也[64才]。東大法学部卒のコチコチの官僚です。さらに、元女性ニュースキャスターから自民党国会議員へ転身した小池百合子[64才]。大胆にも自民党の推薦はないのだが、当選9回で環境大臣・防衛大臣などを歴任したキャビキャビの議員。もう一人、忘れてはならない存在が、目立たないが、ジャーナリストの上杉隆[48才]は異質な候補者ですーね。


 六八コンビで、中村八大さんが作曲した音楽に詞を付けたヒット曲の作詞家でもあった、ラジオ番組や草創期のテレビ番組に携わったテレビ界寵児であった永六輔さん83才が逝去しました(7月7日)。 ジェリー藤尾さの歌声が印象深い「遠くへ行きたい」など、ヒット曲がありました。


東京・浅草の「最尊寺」の住職の17代目の息子でもあった永六輔さんは、勿論、私など旅番組「遠くへ行きたい」をよく見ていたのですが、それよりもラジオ好きの私は、TBSラジオの土曜日に一日中声を聴いていたので余計に寂しい気がしました。


水原弘さんの「黒い花びら」、坂本九さんの「上を向いて歩こうよ」等々、いろいろな歌手が歌ってる昭和歌謡を代表する名歌を残してくれました。


更に続けて、『11PM』、『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』、『クイズダービー』、『世界まるごとHOWマッチ』など人気番組の司会を数多く務めた人気司会であり、タレントの大橋巨泉(大橋克巳)さんが12日、度重なるがんの手術の末に死去(82才)しました。昭和の文化よ、さらば…。ご冥福をお祈りいたします。


7月は禍々しい時期なのですーね。事実は小説より奇なり、いや、映画は事実よりより奇なり~。映像は時代の人間模様を写す魔法の鏡・・・です。殺人事件は時代の人間の歪みを暴く、メリメリバリバリ音を響かせる「真実の軋み」ですかね~。


7月上旬のこのブロクが、なんとなんと7月も下旬にまでズレて遅れてたのは、ありていに言えば、年内に設備関連の資格取得のために、私は二つ国家試験を抱えているます。中年になっても知識を詰め込むのはシンドイが、映画を見る時間がないのは、束縛以上に辛いものですーね、本当に映画を鑑賞する時間がありませんでした。中高年になると経験ばかりでなく、この資格も大切な生き残りの条件になっています。転職再就職ともなるなお更に必要条件となります。「一億総活躍社会」かー、言葉だけの政治スローガンかーな…。

 

もう一つこの映画ブログのアップが遅れた理由は、最近、海外TVドラマに嵌ってしまっています。テレビ朝日の昼ドラに、サスペンス流行作家「キャスル」と、ニューヨーク市警の美人刑事「ベケット」がコンビを組んで、難事件を解決する面白い海外ドラマ「キャスル」の放映がありま

した。あのTVー、貴方も見たことありますかー???その「シリーズ4」で突然放送が打ち切られました。レンタルショップの海外ドラマの棚には「シリーズ5」と「シリーズ6」のDVDのケースがズラーと並んでいました。「シリーズ4」の最後が、キャスルの家のドアーで二人が抱き合い、いい雰囲気で愛し合う場面で終わったのです…。この先のシーンがぜひとも、どうしても見たくて、レンタルショップへ連日のように2-3巻ずつDVDを借りに行きました。それがドキドキするくらい面白い、ワクワクするくらい次の巻が見たくなり、とうとう「シリーズ6」まで見終わってしまいました。映画館で上映される新作よりも見応えがありました…。


さて、7月上旬の特選映画をアップロードします。もう既に7月下旬なのに、上旬でコメントできる映画は4本を観賞するにとどまっています。その中で私の選んだ特選映画1本は、『帰ってきたヒトラー』でした。過去の凶悪犯罪を彷彿させる犯罪映画&サスペンス仕立ての邦画二本、クリーピー 偽りの隣人』も『葛城事件』も、一押しの作品でした。ただ、敢えて<ナチズムとヒットラー>をコミカルに映像化した『帰ってきたヒトラー』を選びました。ゲラゲラ笑うコミカルな映画ではな

かったですが、ヒットラーに似た「お笑い芸人」の政治演説が、やがて過去の遺物のアジテーションの筈なのに、その「お笑い演説」が、マスコミから流された途端に、新鮮なイデオロギーとして支持される滑稽な政治シーンが、次第にシリアルになってきて、なんか怖ろしい気がしました。ホロコーストとナチズムは時代と状況によってー、不満と憎悪と不信の感情と結びつくと政治に振り回され、「ナチズム」はゾンビのように復活する…という教訓がありましたーね。


滑稽な笑いは、やがて怖ろしい恐怖政治へと変遷する教訓的な映画でした・・。前置きが予想外に長くなりました。さて、漸く映画のブログらしい文章にたどり着けました

導入文章が長くなりましたので、この続きは次回に掲載します。



7月上旬特選映画【14】★映画のMIKATA「帰ってきたヒトラー」★映画をMITAKA

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繰り返しますが、7月は色々なことがありました。或いはこれからも色々なことがありそうですーね。


7月は禍々しく欝々しい時期なのですーね。このブログを掲載した直後に、相模原の障害者施設「津久井やまゆり園」に、午前2時50分頃に刃物を持った元職員・植松聖男が侵入したうえ暴れまわり、19人が

心肺停止20人が重傷した。津久井警察署は殺人と建造物侵入の疑いで緊急逮捕した・・・ニュース速報が現場取材の映像と共に流れました。近年稀な無差別で凶悪な殺人事件が障害者介護施設で起こりま

した。過去の歴史の中では、ナチズムが障害者を抹殺する政治思想を、ユダヤ人をガス室に送る虐殺以前に始めています。いまだ背景にあるこの殺人犯の思想的動機や、影響を受けたイデオロギーはハッキリ解明されてませんが、歴史から忘れけた抹殺の「思想」が古い歴史の地層の下から突然隆起したような錯覚を持ちました。社会的批判や政治への反対運動や言動が、反社会性の高い疑いを刻印されて「強制措置」の対象となり、ウルトラ正義の力を持たないことを願うだけです。この事件からどんなムチャナ議論が派生するか、強かな「政治」屋たちの動向を私は見守りたいです・・・。この事件も映画にしてほしいな!!!


事実は小説より奇なり、いや、映画は事実よりもさらに奇なり~。映像は時代の人間模様を写す魔法の鏡・・・です。殺人事件は時代の人間の歪みを暴く、メリメリバリバリ音を響かせる「真実の軋み」ですかね~。


再び前置きが予想外に長くなりました。さて、漸く映画のブログらしい文章にたどり着けました

7月初旬で観た映画は、『クリーピー 偽りの隣人』、『帰ってきたヒトラー』、『葛城事件』、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』の4本

でした。その中の一本『帰ってきたヒトラー』を特選映画に選びました。兎も角、時間がないのでこれだけは最低限観たい作品だ…、この映画だけは見逃せない作品だ・・・というのを映画コメントに載せました。今回の4作品とも率直に行って秀作ばかりですー。4本作品とも奥行きの広い、テーマとしても思索の重みを伴う映画なので、単に映画館へ観に行くだけでは終わらなかったです。同じ監督の別の作品や、ホロコーストのテーマで製作された作品なども鑑賞してみました。『帰ってきたヒトラー』をきっかけに、DVD特選映画「ホロコーストとナチズムとヒトラーの映画」を掲載したいー、と新しいテーマさえ企画する段階まで進んでいます…。


7月中までに、以前見たもの、既に鑑賞済みの作品も含めて「ナチズムとホロコースト」の映画を23本を載せておきます。①「顔のないヒットラーたち」②「スベャリスト/自覚なき殺戮者」③「ハンナアレント」④「ディファイアン」⑤「灰の記憶」⑥「ワルキューレ」⑦「愛を読む人」⑧「縞模様のパジャマの少年」⑨「アイアン・スカイ」⑩「黄色い星の子供たち」⑪「アンネの日記」⑫「帰ってきたヒトラー」⑬「サラの鍵」⑭「戦場のピアニスト」⑮「サウルの息子」⑯「ミケランジェロの暗号」⑰「シンドラーのリスト」⑰「善き人」⑱「ライフイズビューティフル」⑲「ヒトラーの贋札」⑳「黄金のアデーレ 名画の帰還」㉑「杉原千畝 スギハラチウネ」㉒「ヒトラー暗殺、13分の誤算 」㉓「ミケランジェロ・プロジェクト」…。残念ながら、名作の誉れ高い「ソフィーの選択」と「夜と霧」は、ツタヤの棚にもゲオの在庫にもありませんでした…。残念乍ら、「アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち」(2015年公開)は、見逃しました。まだDVDがリリースされてないので、待ち遠しいです。


黒沢清 監督の『クリーピー 偽りの隣人』から、2012年10月に発覚した兵庫県尼崎市の≪尼崎連続変死事件≫を手繰り寄せ、黒澤監督の「叫」をもう一度鑑賞しました。更に、この現実の殺人事件の詳細が知りたくて、これを究明したルポ本の「家族喰い――尼崎連続変死事件の真相」や、「モンスター 尼崎連続殺人事件の真実」なども読みたくなりました…。その内に、DVD特選映画の一つのテーマに「殺人事件と映画」が出来そうです。或は、同じく赤堀雅秋監督の『葛城事件』を観た後で、同じ監督の作品「その夜の侍」を鑑賞しました。『葛城事件』に勝るとも劣らない人間の情念と復讐と犯罪をテーマとする映画でした。また、この映画の現実的な無差別殺人事件、学校内で児童7人を刺殺した≪付属池田小事件≫の犯人・宅間守についての詳細が知りたくなりまして、やはり、この事件を追いかけたルポ本「池田小児童惨殺犯・宅間守の父と語った100時間」や「宅間守 精神鑑定書 精神医療と刑事司法のはざまで」が読みたくなりました。この映画ブログのブックレビューで取り上げたい本です…。

さてまたまた前置きが長くなりました。導入が長たらしい割には、コメン トが物足りないーなと言われそうです。ただ、映画は、映画の社会的背景や、監督のクリエイティブな意識の底にあるテーマもまた、映像理解のために必要ではないでしょうかーね。


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1本目は、過去に衝撃を与えた凶悪犯罪『尼崎連続変死事件』(2012年10月発生)を素材とした犯罪映画クリーピー 偽りの隣人』(黒沢清 監督)でした。


精神異常のある犯罪者によって署内で刺され、刑事から大学勤務の犯罪心理学者に転身した高倉(西島秀俊)はある日、以前刑事の同僚だった野上(東出昌大)から6年前の一家失踪事件の犯罪分析を頼まれる。だが、その事件のたった一人の生存者である長女の早紀(川口春奈)の記憶の糸をたぐっても、依然事件の真相は謎に包まれていた。一方、高倉が妻(竹内結子)と一緒に転居した住宅地に、謎の隣人・西野(香川照之)が住んでいた。どこか捉えどころがなく、正体がつかめない怪しくも謎の私生活を営む隣人でした…。 その娘早紀(川口春名)はある日、高倉家に飛び込んできて、追いかけてくる西野から逃げるように「助けて」「私は本当の娘ではないの」ーと訴える。その内に近隣から火事と爆発が起こり、西野家を探っていた刑事の野上の死体が、近隣の家族の死体と共に発見される…。謎と殺人の連鎖から、映画は始まる。黒沢清 監督の特徴だろうかな、映画のストーリが謎の解決と解明に向かって展開するのではなくて、謎の連鎖によって、事件がすっきり解決する結末ではなくて、鑑賞しているものには却って、より人間存在の不可解さが深まるばかりの、事件のカオスの中に置き去りにされる気がします。


もう多くの日本人は忘れてしまったが、2012年10月に兵庫県尼崎市で発覚した連続殺人死体遺棄事件を彷彿とさせる映画です。暴行や監禁によって主犯格の角田美代子という老女が、血縁関係にない他人を集めて同居させ、恰も家族のような共同生活を強制しながら生活していた。しかし同居人相互が監視し合い殺し合い牽制する、異常で不可解な事件でした。腕力もなくただ脅かしの言葉だけで、屈強な男たちや素早い若い女たちをどのように支配したのだろうか…という疑問が、私には、この事件発生当時から最後の最後まで残りました。この映画の「原」テーマでもあります。獄中での主犯・角田美代子の自殺によってこの事件は幕が降りました…。恐らく、黒沢清 監督の胸中にもこの納得できない事件の謎と、人間心理の迷路が残っているのだろうーね…。

黒澤清監督に興味を覚えて過去の作品を調べて見ましたが、私がすでに鑑賞していた映画が3本ありました。「」(2007年)、「リアル〜完全なる首長竜の日〜」(2013年)、「岸辺の旅」(2015年)の作品群の中で、私はどうしても「叫」が難解すぎて理解できなかったです。

ただ、最新作「クリーピー 偽りの隣人」は、彼の初期の黒澤作品のテーマに戻ったような気がしました。もう少しこの監督の作品を観たくなりました。


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2本目は、独裁者アドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)が突如として現代に甦り、、ナチスドイツがドイツ国民を魅了し、支配した同じ思想と同じ演説をしながら、再び現代ドイツの国民の人気を博するー、奇想天外ですが、マスコの恐ろしい扇動力を感じさせる、ある意味でコルディーめいた映画『帰ってきたヒトラー』(ダーヴィト・ヴネント監督)でした。ヒトラーの最後の隠れ家だった洞窟、歴史的遺跡の看板の近くでヒトラーが出現するというシーンから映画は始まる…。

カメラの前で堂々と過激な演説を繰り出す姿に対して、視聴者はその演説に度肝を抜かれ、かつてのヒトラーを模したものまね芸人と拍手喝采する。クビになったテレビ局への復帰をもくろむテレビマンにスカウトされてテレビに出演する。ドイツ人はヒトラーそっくりのコスプレ男だと勘違いして、テレビ局はヒット番組の主役として持て囃した。次第に彼の気迫に満ちた演説を繰り出すうちに、ヒトラー芸人はテレビの人気者となる。しかしある日、戦争を体験したテレビマンの母親は、ヒットラー芸人が、実は過去の歴史に生きた「本物のヒトラー」だと気付く…。


最近ナチスやヒトラーやホロコーストを扱った映画がたくさん公開されました。「黄金のアデーレ 名画の帰還」(2015年)「杉原千畝 スギハラチウネ」(2015年)「ヒトラー暗殺、13分の誤算 」(2015年)「サウルの息子」(2015年)「ミケランジェロ・プロジェクト」(2014年)
「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち」(2015年)
等々はつい最近、ほとんどの作品は映画館で観賞したものです。「帰ってきたヒトラー」(2016年)に刺激されて、作品だけを羅列してみました。これを眺めただけでも、夥しい数ですね…。何故、ナチズムがドイツ国民の支持を得て政権を取ったのか?ユダヤ人収容所での虐殺のシーンを観ていると、平気でガス室に毒薬を散布し、裸体の死体を物のように運ぶ映像は、気分を暗くしますが、あのドイツ兵の残虐行為を支えた「意識」は何なのだろうか?或は、人間は同じ人間の命を書くも簡単に奪えるものなのか?私には、いや、ホロコーストの映画を鑑賞した人間のほとんどは、同じ疑問を持つだろう…。その答えが最近公開の作品も含めて、それらの疑問に一つの答を導き出し言いるのでは着ないのかーナ。


歴史の残虐は、忘れられたころに再び起こる可能性があります。レンタルショップのツタヤのカウンターで、「夜と霧」はどうして絶版になっているのですかーと店員に聞いたら、「夜と霧」って何ですか…と問い返されました。私はフランクルの本「夜と霧」も活字で読んだことがあるので、尚更に私は唖然としました。既に、戦争もナチズムもホロコーストも知らない世代がいよいよ現れた…ノカ。


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3本目は、街のちいさな金物屋の二代目の葛城清(三浦友和)の築いた何ともない平凡な家族四人のつながりが綻び、徐徐に「家庭」の協和が亀裂し崩壊する過程を描いた犯罪映画『葛城事件』(赤堀雅秋監督&脚本)でした。「家族」の生成流転の物語は家族の内部の崩壊から始まった。次男・稔(若葉竜也)は、家に閉じこもり、劣等感の塊のような人格障害を持ちながら、結局、「稔」の無差別殺人事件がマイホームの起承転結の「結」となった。『葛城事件』の葛城家も普通の家庭で普通の家族の一家になる筈でしたが。がしかし、出来のいい長男・保(新井浩文)は、独立して家庭を持って、もうじき、子供が生まれる妊娠した妻を抱えながら、リストラに合い、お昼は公園のベンチで食べていたー。「保」はとうとう一家の崩壊に耐えられなくて飛び降り自殺する。これがもう一つの「結」でした。稔(若葉竜也)を育て上げた妻の伸子(南果歩)もまた、理想の家族と生活を手に入れられなかった。


地方出身の男女が仕事場で、或は趣味やスポーツのサークルで出会い結婚し、住宅ローンで一戸建てのマイホームを買い、家計を懸命に切り盛りし、マイホームを手に入れる。一姫二太郎の子供が生まれ、子供をいい大学に入学させるために、給与袋を計算しながら塾に通わせ、時々遊園地に子供を連れて家庭サービスをして、子供を一流の会社に入社すること事を目標に育てる・・・。そして息子は結婚し

た長男の孫の誕生を楽しみにしている・・・。これが近代日本の平均的で平凡な共同体のライフ循環です。果たしてこの葛城家の崩壊の「起承転結」の転機とは何だったのかーな。特に妻の不倫があったわけでもなかった、金物屋の商売が赤字で、収入がなくなったわけでもないー。時代の外圧によって家族崩壊したわけでもない・・・。私に藻掘族の崩壊の原因がよく分かりません。

 

21歳になった稔は、8人を殺傷する無差別殺人事件を起こして死刑囚になってしまう。自分の育て方に間違いがあったのかと、マイホームの庭の木の枝に首つり自殺しようとする清。女として妻として自問自答

する中、母の伸子は精神的に病んでしまう。保は勤めていた広告代理店を解雇され、自殺する。結末のエピソードは、やがて、稔と獄中結婚したいと出現する女・星野が現れる。


私は以前見た映画、獄中死刑囚・南木野淳と獄中結婚する女性・川原薫が主人公の映画「真幸(まさき)くあらば(2010年公開、御徒町凧監督、小嵐九八郎原作)を思い出しました)。でも、この映画の原作のモデルでもあった事件、附属池田小学校に侵入して、児童を次々に襲撃した結果、児童8名が殺害され無差別殺人事件「附属池田小学校事件」(2001年発生)の死刑囚・宅間宅(事件当時37歳)もまた、この事件の死刑判決確定後、死刑廃止運動家の女性と文通を経て獄中結婚をした。現実の事件と映画の曲職されたプロットを比較してもしょうがないが、現実の事件に何か足され、なにが脚色されているのかが問題でしょうーね


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4本目は、地球侵略を企む地球外生物と人類の闘いを描いたSF映画『インデペンデンス・デイ』の続編で、アメリカ大統領が戦いの最前線に立って、この戦いを人類の独立記念日と鼓舞して勝利してから20年後を舞台にした『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(ローランド・エメリッヒ監督)でした。宇宙人に勝利した人類は、侵略者の科学技術を学んで、さらに新しい航空技術と地球防衛システムを開発した。そして今、人類は再び侵略者と対決を迫られる。娯楽映画としては、観て損しない映画でした。それ以上のコメントは不要でしょうーね。


尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…






 

8月上旬特選映画【15】★映画のMIKATA「トランボ」★映画をMITAKA

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7月31日に行われた都知事選挙は、ドタバタ喜劇と、野党連合の大敗で終わりました。結果は、元女性ニュースキャスターから自民党国会議員へ転身、元防衛相の小池百合子氏(64)が早々と当選確実を決め、初の女性都知事の誕生でした。小池さんが選挙戦で訴えた政策スローガンは、オリンピックの経費削減初め、行財政改革や知事報酬の削減などを主張した。何より、自民都連や都議会自民との対峙、自民党の推薦も拒絶されながらも、都議会の「冒頭解散」さえも打ち出した対決姿勢だった。私の疑り深い「勘繰り」から言えば、初めから終わりまで自民党の選挙戦略のような気がします。世耕弘成、やったな…。


小池さんは291万票を獲得。次点の岩手県知事や総務大臣を歴任した増田寛也さんの得票数は、1,793,453票で、100万票以上の大差。自民党が擁立して全面バックアップしたのにも拘らず完敗でした。第3位のジャーナリスト・鳥越俊太郎氏の得票数は1,346,103票。元日弁連会長の宇都宮健児さんを辞退させながら、野党統一(民進・共産・社民・生活)候補の期待を背負って出馬したものの、従来型の人気選挙、タレント候補者の集票力は今回の都知事選では無力でした。その知名度故に却って、選挙活動中に週刊誌に過去の女性スキャンダルを逆手に取られた。完全に選挙戦略の失敗でした。参議員選挙、都知事選は深慮遠謀に欠けましたね…。衆議院選挙には必ず「憲法25条」と社会保障しか再生の作戦はありませんーヨ。私は、「ミスター年金」と呼ばれた長妻議員を党首に推したいです。無所属で立候補したジャーナリストの上杉隆さん[48才]は12位で179,63万票でした。私が選挙参謀ならば、猪瀬直樹元都知事を応援に、福祉と経済と地方自治の気鋭の学者を副知事に据え、福祉と平和と経済のスローガンを掲げて票を集めるけれどもな…。次回の衆議院選挙にはぜひとも、私を選挙参謀の一人に雇って、社民党で立候補してください・・・。


私は選挙程フィクションを越えるドラマはないと思ってます。しかし、未だに選挙の喜劇性も、ドキュメント性も、ドラマティックな瞬間を描いた映画がないですーね。あー、私がそんな映画の脚本が書きたいです。

再びギリギリですが、7月下旬を飛ばして、申し訳ないが、8月初旬をアップします。あと10月初旬までもう一つ設備関連の試験が待ち受け

てますので、こんなペースで載せたいです。それまでは、息抜きで映

画館の席に座り、気分転換でブログを書いて発行します。


8月初旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、8月はまだまだ通算で4本しか観賞してません。が、見たい映画はたくさんあります。これだけは見たい必見の秀作の中で、選んだ特選映画

1本は、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』でした。


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1本目は、赤狩り(マッカーシズム)と呼ばれた反共運動の最初の標的とされたハリウッド映画界の著名な10人のブラックリスト(ハリウッド・テン)の中に数えられ、ハリウッドの映画界から追放された脚本家ダルトン・トランボの半生を描く伝記映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(ジェイ・ローチ監督、ショーン・マクナマラ脚本、原作:ブルース・クック)でした。追放されながらも、偽名で執筆を続け、『ローマの休日』(1953年公開。ウィリアム・ワイラー 監督。1976年にトランボの死後、イアン・マクレラン・ハンターの執筆とされていたこの作品が追

放中のトランボが1953年に書いたものであったことが判明し、アカデミー原案賞は1993年に改めてトランボに贈られることになっ。)『ジョニーは戦場へ行った』(1939年の反戦小説である。ベトナム戦争最中の1971年、彼の脚本・監督により映画化された。)『黒い牡牛』(1956年公開。アーヴィング・ラパー監督。ロバート・リッチの偽名で書いた脚本、アカデミー原案賞)などの名作を手掛けてきたハリウッドに復帰した後も、『パピヨン』(1973年)『ダラスの熱い日』(1973年)の脚本を最後に1976年死去した。


以前にDVD特選映画<映画と医療>の作品で、「ジョニーは戦場へ行った」コメントを載せたことがあります。反共キャンペーン下院非米活動委員会による第1回聴聞会で、アメリカ合衆国憲法修正一条(言論と集会の自由を規定した条項)を理由に証言を拒み、議会侮辱罪で逮捕され、禁固刑の実刑判決を受た。刑期終了後に映画界から完全に追放さていた苦境に対して、家族ともどもメキシコに移住、貧困のただ中でもB級映画作品を次々に書き飛ばしていた。映画のストーリそのものです。でもーね、本当に才能のある人だなーと思いました。


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2本目は、息子ダンの死を機に、ターミナルケアの患者を世話する介護ヘルパー・デヴィッド(ティム・ロス)は、ある老人患者から安楽死の手伝いをしてほしいと頼まれる、終末期患者の安楽死の映画『或る終焉』(ミシェル・フランコ監督)でした。第68回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したドラマというコメントに魅かれて鑑賞しましたが、完全な駄作でした。悲しくも胸が締め付けられるカタルシスのない映画でした。特に、ラストシーンで、外をジョギングしていたデヴィッドが、突然車に轢かれる…、いやそんな想像を想起させる衝突音と、映画のラストの唐突さは、映像だけでは説明不十分で訳も分からない締めくくりでした。


私はこの『或る終焉』を横浜市南区にある「ジャック&ベティ」という映

画館で見ました。意外や意外、川崎横浜のTOHO系の映画で公開されてない、寧ろ従来東京まで見たい映画があれば観に行かなければ

ならない作品が、ここで上映されていました…。映画好きの私としては、え~という喜びでした。


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休暇で独り秘境のビーチに来た医学生のナンシー(ブレイク・ライヴリー)は、サーフィンを楽しんでいた。が、波に乗って楽しんでいた最中に漂流していたクジラの死体の近くで岩礁に脚を負傷して血を流す。3

本目は、海に沈む岩場に取り残されたヒロインが、危険な人食いサメに狙われ襲われ、逃げ延びるパニックサメ映画『ロスト・バケーション

(ジャウマ・コレット=セラ監督)でした。


サメの背びれを見て急いで、近くの岩場にたどり着いたが、孤立無援の海中で巨大なサメが周囲を旋回して、獰猛な牙がナンシーを狙っていた。海岸までおよそ200メートルだが、その岩場が満潮で海面下に沈む寸前に海中に浮かぶ照明ブイまで泳ぎ渡る。通常のサメ映画と違うは、彼女の医学知識と機転で、サメの餌食にならずにハッピーエンドで救助されるところだろう―かな。


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4本目は、エドガー・ライス・バローズの古典的ジャングル小説「ターザ

ン」シリーズを原作に、映画『ハリー・ポッターシリーズの最後の4作を

監督したデビッド・イェーツ監督が新しく製作した『ターザン:REBORN』でした。


幼児の時アフリカのコンゴの密林でゴリラに育てられ、「ターザン」と呼ばれていた。アフリカのジャングルにいた学者の娘で、今は美しい妻となったジェーンと結婚して、イギリスの貴族であり、また実業家として裕福な暮らしをしていた。子供をターザンに殺されたと、彼を敵と狙うジャングルの族長が、ターザンの命とダイヤを交換条件として、ベル

ギー王の特使、レオン・ロム(クリストフ・ヴァルツ)が、ジェーンを人質にコンゴへターザンを呼び寄せた。アフリカの奴隷売買なども絡んだストーリになっている。南北戦争に参加した元アメリカ軍兵士のジョージ・ワシントン・ウィリアムズ(サミュエル・L・ジャクソン)がターザンに同行する。


昔々、私がモノクロTVで見た「ターザン」は、誰の作品だったのかな…と思うくらい懐かしい映画でした。ア~ア~と密林で叫ぶジョニー・ワイズミュラー主役のターザンから始まる、『類猿人ターザン』(1932年公開。W・S・ヴァン・ダイク監督)だったのかな…。昭和7年ではあまりに古すぎるかーナ、ともかく娯楽映画として楽しめました。



尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…






8月中旬特選映画【16】★映画のMIKATA「X-MEN」★映画をMITAKA

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7月は色々なことがありました。8月も或いは、これからも様々なことがありそうです。在るかもしれない…ということ以上の確信を述べると、予言めいてしまいますーね。リオオリンピックの金メダルレースに、日本中が毎日TVに釘づけです。北にも南でも地震がやけに頻発しますーね。その中で、日本各地で停止していた「原子力発電所」は、日本を底知れぬ放射能汚染の危険にさらします。とうとう「福島」を忘れて、禊の選挙も終えて自民党は、「原子力発電爆弾」ようなものを再び抱えてしまった。天皇陛下の生前退位も、SMAPの解散も衝撃的なニュースだけれども、愛媛県の伊方原発3号機が再稼働か…!!!は、それ以上に深刻なニュースですね。とうとうアーアやってしまったね。


945年8月6日に広島市に投下されました、そして、8月9日に長崎市に原爆が投下されました。今年は原爆に関してどんな映画が放映されたかな…と注目していたが、民放各局の何処も原爆投下の映画はなかったです…。戦争を知らない世代が多くなったとはいえ、18歳選挙権を新しく持った240万人の若者たちの、仮想現実の世界でしか知らない「戦争体験」と、飢も知らない飽食に生きる「飽満の時代」のヤングだから仕方ないーねと、諦めてはいられない、だから団塊の世代が奮起しなくてはいけない時代ですーね。悲しいですーね、情け

ないですーね、靖国へ参拝した女性国会議員は、長崎広島の慰霊堂、沖縄のひめゆりの塔へ寧ろ参拝すべきですよーね。これでも被爆国の政治家なのかーナ。広島の当時の人口が42万人の時に、広島の死者行方不明者は約12万人(被爆後5年間の間に広島で20万人死亡)、長崎の人口24万人の時に、約7万人(長崎で14万人死亡)が犠牲になりました。だが、その御霊は「靖国神社」などに安らかに眠ってはいない…です。今村昌監督の 『黒い雨』(1989年5月公開。原作:井伏鱒二)か、最早古典ともいえる、市川崑監督の1959年版「野火」(1959年11月公開。脚本:和田夏十)、か或は、塚本晋也監督の「野火」でもいいですーね。せめては山田洋次監督の『母と暮せば』(2015年12月公開)をテレビで放映してほしかったです。8月15日当たりにどんな映画が放映されるか、まあ、民放の良心に期待しましょう、因みに、原田眞人監督の「日本のいちばん長い日」(2015年公開、原作:半藤一利の『日本のいちばん長い日 決定版』)をテレビ朝日「日曜洋画劇場」で8月14日(日)21時~に放映します。ただね、私はこの映画の視聴前にもう一度、岡本喜八 監督の『本のいちばん長い日』(橋本忍 脚本、

原作:大宅壮一『日本のいちばん長い日』 )を鑑賞してほしいです。俳優の顔ぶれと、敗戦濃厚な軍属の狂気の姿は圧巻です。



さて、敗戦記念日8月15日も近いので、そろそろDVD特選映画<ナチズムとホロコースト>のテーマを始めましょうか…ね。まずは、画家になれなかったヒットラーは、美術や絵画に対する執念を持ち続け、ナチスのナンバー2のゲーリングも次々に美術品を集めた。特に芸術の中でも印象派や近代美術の新潮流に対して「退廃」を非難のマイナス極に置き、退廃美術の烙印を押して約2万点の美術品を徹底的にユダヤ人収集家のコレクションから没収し、ベルリンの倉庫に集めたー。ヒットラーが青年時代を過ごしたオーストリアのドナウ河畔のリンツに世界最大の美術館を建設する夢を抱いた「リンツ特別計画」の始まりでした。ナチスのために収奪された美術品は、戦後も元の持ち主に返却されることなく行方不明のまま残され、その作品は10万点

はあるといわれてます。そんな、ヒトラと美術にまつわる映画を4本『ミケランジェロの暗号』、『黄金のアデーレ 名画の帰還』、『ミケランジェロ・プロジェクト』、『アドルフの画集』をまず取り上げておきます…。


①『ミケランジェロの暗号』(ヴォルフガング・ムルンベルガー 監督。2011年公開)・・・第80回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『ヒトラーの贋札』のスタッフが映画化した。ユダヤ人美術商のカウフマンの息子・ヴィクトルは、家族内で代々伝わるミケランジェロの絵画の秘匿場所を、親友のルディに教えるが、しかしルディはナチスの一員となっていて、その秘密を出世のために売り渡していた。イタリアのムッソリーニのご機嫌をとり、軍事条約を優位に結ぶために、その絵を欲しがっていた。ドイツ軍は絵を奪い、ヴィクトルとその両親は収容所へと送られた。がしかし、軍が簒奪した絵は贋作とわかる。収容所に送られた母の救済と交換に、本物のミケランジェロの絵画を渡す条件を出す。息子ヴィクトールは、父親が遺した謎のメッセージから、父親の肖像画の裏に隠されていると暗号を解明する。 一家の宝の隠し場所は、カウフマン家の財産をすべて奪った裏切り者のルディの作品の中にあった…。


②『黄金のアデーレ 名画の帰還』(サイモン・カーティス監督。2015年公開)・・・アメリカ在住の82歳のマリア・アルトマン(1916-2011)は、第2次世界大戦中にナチスの圧政で、オーストラリアからアメリカへ命からがら逃亡をしたユダヤ人の一人であった。その後、ナチスに奪われたグスタフ・クリムトが描いた伯母の肖像画「アデーレの肖像」が、オーストリアの美術館に展示されてることを知り、それを元の持ち主、「私」に返せ―と訴える。この作品は、ナチズムの美術品をユダヤ人から強奪した悲しい歴史を描いていると同時に、ヒトラとナチズムの歪んだ美術収集の歴史が「現代」まで引きずっていることをリアルに描いています。彼女は、十二音技法のシェーンベルクの孫で、まだ新米弁護士ランディの助けを借り、オーストリア政府に絵画の返還を求める訴訟を起こす。現実的には、7年間の裁判の末、その返還訴訟に勝訴した結果、今はNYの美術館「ノイエ・ギャラリー」に展示されている。この映画もまた、史実に基づいた埋もれた現代史です。


③『ミケランジェロ・プロジェクト』(ジョージ・クルーニー監督。2013年公開) ・・・ドイツ軍が侵攻した欧州各国の美術品を略奪して、美術品は、ミュンヘンにあった元総統官邸の中央集積所に集められた。数年前の実際のニュースで、戦争中ナチスに強奪され、行方がわからなくなった美術品が、ナチス時代に略奪美術品の売買を任されていた4人の美術商の一人の息子のミュンヘン自宅から1500点あまりの美術品が発見されることがあった。ドイツ軍の文化への蛮行に、ジョージ・クルーニー演じるハーバード大学付属美術館の館長・ストークスが調査を始める。彼はルーズベルト大統領を説得し、彫刻家、美術商、歴史家、美術史学などを招集して「モニュメンツ・メン」を結成する。 発見した美術品の中には、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』やレンブラントの『自画像』やフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』などの絵画、ミケランジェロの『聖母子像』、ピカソ、マティスなどの傑作も含まれていた。連合軍がドイツでみつけた美術品の隠し場所は1400ヶ所以上であったと言われています。この映画もまた、史実に基づいた埋もれた現代史です。


④『アドルフの画集』 (2002年公開、 メノ・メイエス監督)・・・画家を目指すもののなかなか才能が開花せず、やがて政治活動に傾倒していく、独裁者アドルフ・ヒトラーの若き日の姿を描いた作品です。1918年ドイツ・ミュンヘンを舞台に、独裁者になる前の青年アドルフ・ヒトラが、政治活動にのめりこんでいく姿がそこに描かれている。初めの一歩は、第一次世界大戦で右腕を失い、軍を除隊し後、裕福な画商として暮らしていたユダヤ人のマックス・ロスマンと、たまたまそこにいた画家を夢見る16連隊の復員兵伍長、アドルフ・ヒトラーが、マックスの画廊の前で、出会う運命から始まる…。不思議に初めは、青年アドルフは感情的な反ユダヤ主義者でもなかったーナ。それが次第に、政治こそ最高のアートだー、文化を腐敗させる吸血ユダヤと、大衆を前に絶叫するファナティックな演説は、既に後のヒトラーの血の陶酔とユダヤ人虐殺とを表していました…。何故どおして、絵画に熱中する青年が演説に陶酔するのかー、脚本家&監督のメノ・メイエスは、青年ヒトラーを括弧の中にいれたままである気がしました。まあ、それで絵画とヒトラーの結合因子は分かりました。どうしてドイツ人は、ヒトラーを「ハイル ヒトラー」と讃え、どうして国民はユダヤ人虐殺を支持したのかーは、恐らく、その時代のドイツの雰囲気に投げこまれないと、わからないのだろうーね。「それでも、何故ドイツ人はヒトラーを選んだ・・・」のかな???という疑問は尚残ります。


さて、導入が長くなりました。8月中旬の特選映画をアップロードしま

す。今回4本を映画館で観賞、今月8月は、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(ジェイ・ローチ監督)、『或る終焉』(ミシェル・フランコ監督)、『ロスト・バケーション(ジャウマ・コレット=セラ監督)、ターザン:REBORN』(デビッド・イェーツ監督)、『ニュースの真相』(ジェームズ・バンダービルト監督)、『秘密』(大友啓史監督)、『X-MEN:アポカリプス 』(ブライアン・シンガー監督)をー、通算で8本を観賞しました。その中で選んだ特選映画1本は、『X-MEN:アポカリプス』でした。暑い時には、迫力満点の、スカートする炭酸飲料のようなアクション娯楽映画が一番です。シリーズで最高の出来ではないかと思います…。一瞬間、腰砕けで日和見主義の日本のマスコミに喝!を入れるために

ニュースの真相』もイイかなと思いましたが、止めました…。所詮今の日本の報道機関は、サラリーマン記者しか居なくなった―ンダナ。


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1本目は、2004年、再選を目指すブッシュ大統領を脅かすスキャンダル、ベトナム戦争中、大物政治家だった父親の力を使って兵役を逃れるため州兵になったという疑惑をスクープ報道して波紋を広げたCBSのTV番組「60ミニッツⅡ」を描いた報道映画『ニュースの真相』(ジェームズ・バンダービルト監督)でした。


ジョージ・W・ブッシュ米大統領が丁度再選を目指していた04年、アメリカのメジャー放送局CBSの辣腕女性プロデューサー、メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)は、ジャーナリストのダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)がアンカーマンを務める看板番組で、ブッシュの軍歴詐欺疑惑をスクープ報道する。しかし次第に、その証言と証拠は偽造と疑われ、報道に関わった番組スタッフは、局の内部調査委員会から断罪される。


同じ報道映画でいまだ記憶に新しい映画は、カトリック教会の聖職者による幼児への性的虐待を暴露したアメリカ「ボストン・グローブ紙」の記者たちを描き、2015年第88回アカデミー賞の作品賞と脚本賞を受賞した映画「スポットライト 世紀のスクープ」(トム・マッカーシー 監督、脚本:ジョシュ・シンガー、トム・マッカーシー)がありました。この作品はブログでもコメントを載せました。ナンカ、あの映画の二番煎じのような気がしました。


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死者の脳内神経組織をスキャンし、それで得た死者の直前の網膜に映った映像を、第三者の脳内にデータを送って見ることもできた。連続殺人の被害者の記憶を映像化することによって殺害時の犯人捜査に利用していた。2本目は、このシステムを導入した科学警察研究所「第九」研究室が組織され、室長・薪剛(生田斗真)の元で未解決の連続

殺人事件を解明する『秘密』(大友啓史監督)でした。


清水玲子の人気コミックを映画化したサイコサスペンスなのですが、

網膜に残る映像記憶から殺人犯を捜査するサイコミステリーは、今更新鮮味がありませんでした。二番煎じのアイドル映画なのか…と安易な制作姿勢に呆れました。また、原作がコミックゆえにストーリに一貫性がなく、事件と人物が多すぎて、ミステリーが余りに複雑すぎて難解ー、いや、混乱錯乱していて判り難いです。率直に行ってサイコミステリーの駄作でした…。


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3本目は、コロンビア大学の物理学者エリン(クリステン・ウィグ)、幽霊研究本の共同執筆者で、高校時代の親友アビー(メリッサ・マッカーシー)、アビーの相棒ジリアン(ケイト・マッキノン)の、女性ばかりの幽霊退治人たちのドタバタコメディー『ゴーストバスターズ 』(ポール・フェイグ監督)でした。


ゴーストがオドロオドロシイ幽霊の出没する、妖怪や魑魅魍魎の呪わしい幽霊屋敷のうろつくホラ映画ではなくて、それを退治する女性3人組のコメディーであるところが、ニューヨーク・コロンビア大学で超常現象や幽霊・霊体研究を行っていたピーター・ヴェンクマン博士、レイモンド・スタンツ博士、イゴン・スペングラー博士の、三人組の科学者が主役の、旧作コメディ映画「ゴーストバスターズ」(アイヴァン・ライトマン監督)をそのまま引き継いた作品でした。1984年北米興行収入第1位という大ヒット記録、アメリカばかりでなく日本の映画ファをも沸かせた人気コメディー故に、再び今また、その人気にあやかって制作されたのだろうー。が、今回はどうでしょうかーね???


私は、ナンカ映画のラストがどうもゲラゲラ笑って、ハッピーに一件落着という終わり方をしてなくて、ナンカ続編含みの中途半端なラストだな…とすっきりしなかったです。まあまあ、それでも娯楽映画として楽しめた作品でした。リオのオリンピックを見飽きた人たちの、これもまた暇つぶしかもしれませんーね。でも、日本の映画監督には、幽霊をコメディーにする発想はないよーナ。


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エジプトの廃墟から数千年の眠りの後、崇拝者の祈りによって目覚めたミュータントの始祖・アポカリプスが、人間と文明を崩壊させようと破

壊活動を始める。4本目は、人類の終末・アポカリプスのミュータントに

対して、プロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)、ミスティーク(ジェニファー・ローレンス)らがその行動を阻止しようと立ち向かう『X-MEN:アポカリプス 』(ブライアン・シンガー監督)でした。

「X-メン」シリーズ第1弾の 「X-メン (X-Men)」 (2000年公開、ブライア

ン・シンガー監督)、第2弾の「X-MEN2 (X2)」 (公開、ブライアン・シンガー)、第3弾の「X-MEN: ファイナル ディシジョン」(2006年公開、ブ

レット・ラトナー監督)、第4弾の「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」(2011年公開、マシュー・ヴォーン監督)、第5弾の「X-MEN: フューチャー&パスト」(2014年公開、ブライアン・シンガー監督)に続くシリー

ズ第6弾「X-MEN: アポカリプス」は最新作でした。


まあ、日本中の何処も「お盆休み」です。子供連れの家族で映画館も満員でした、娯楽映画として充分に楽しめた作品でした。 もう少し感動的な、涙腺を流す映画が見たいです…が。正直、夏休みはガキを

喜ばすアニメとディズニーファンタジーの上映が多いです。「X-MEN」はその中で一番マシな娯楽映画でした。


(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)











8月下旬特選映画【17】★映画のMIKATA「ストリート・オーケストラ」★映画をMITAKA

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前回でヒトラーと美術にまつわる映画を4本、①『ミケランジェロの暗号』、②『黄金のアデーレ 名画の帰還』、③『ミケランジェロ・プロジェクト』、④『アドルフの画集』のコメントを掲載しました。敗戦記念日8月15日もリオオリンピックの「がんばれニッポン」の応援と熱狂とともに過ぎました。が、残念乍ら戦争に関連した映画のTV放映は、原田眞人監督の「日本のいちばん長い日」唯一でしたーネ。以前は今村昌平監督の『黒い雨』や野坂昭如原作の『火垂るの墓』や山田典吾監督の 『はだしのゲン』などの映画やアニメがよく放送されていたのですがーね。原爆投下の映画放映も尚更のごとく、皆無でした。それ故に私は、DVD特選映画<ナチズムとホロコースト>の続編part2を急いで掲載することにしました。確実に「何か?」・・・、日本人の戦争意識が変わってしまった…と感じました。そんなことゆえに、広島の原爆に関連した是枝裕和監督の映画『いしぶみ』と、DVD『夕凪の街 桜の国』(2007年公開、佐々部清監督)を敢えて鑑賞しました。その内に、DVD特選映画<戦争映画と日本人>を載せたいですーね。


私は『アドルフの画集』の中で一つの疑問を投げておきました。独裁者になる前の青年アドルフ・ヒトラーが政治活動にのめりこんでいく過程で、少なくても映画では青年アドルフは、さほどの感情的反ユダヤ主義者ではなかったーナ。が、それが次第に大衆の前でユダヤ人の虐殺を絶叫するファナティックな演説をするようになり、ユダヤ人虐殺支持までドイツ国民を誘導し、熱狂的な支持を得るまで世論操作するー。そこで、何故?一介の退役軍人が、国家社会主義ドイツ労働者党で頭角を現し、ドイツ国民から支持されるようになったのか?或は、どうしてドイツ人は、ヒトラーを「ハイル ヒトラー」と讃え?、どうして平凡な国民が生身の生きてい女や子供さえ、ユダヤ人というだけで射殺し、事務的にガス室へ送り毒殺するのか、黙認することはナチズムを支持した事と同じです。脚本家&監督のメノ・メイエスは、その回答を括弧の中にいれたままで、映画の中では、その疑問に解答を与えていませんでした・・・。ナチズムを了解するには、恐らく、その時代のドイツの雰囲気に投げこまれないと、わからないのだろうーと、私は問いの難解さにお茶を濁して書きました。しかし、ナチズムを体験したドイツ人自身ももまた同じ問いと疑問と保留を持ち、映画の中で模索していた…筈です。


何故にドイツ人とドイツ国民は、ヒトラー独裁政権を支持し誕生させたのか?また、生身の生きているユダヤ人を事務的に虐殺したのか・・・?その時代にヒトラーを政治の表舞台に登場させ政治の力学は何なのかー、ドイツの政治・経済史をまずは見てみます。


国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)による権力掌握(Machtergreifungマハトエアグライフング)の成立過程に関しては、アカデミックな解答が既に定説があります。権力掌握のまず端緒は、1919年の第一次世界大戦終結の戦勝国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア等の三国協商)に対して敗戦国ドイツ、オーストラリア(三国同盟)の陣営に分かれて世界戦争が始まりました。ベルサイユ条約はドイツに対して1320億マルクの賠償金の支払い義務を初め、すべての海外植民地と権益と侵略領土を放棄すること、徴兵制を廃止して、陸軍と海軍の兵員を制限され、航空機・潜水艦の武装は禁止された…などを条約を批准した。しかし、ドイツ国民に政治的不満をもたらしました。ヒトラーは、ドイツ国民に対してそれらを転覆することを掲げ、支持を得る。更にナチ党の政治勢力を押し上げたのは、1929年のニューヨーク株式市場の暴落によるアメリカ経済の破綻「大恐慌」だった。アメリカでは1200万人の失業者を生み、ドイツでもまた600万人が失業、国民は経済的困窮に陥った。世界恐慌によってナチ党は、選挙においてドイツ議会の最大党へ議席を延ばした。1930年3月20日にドイツ社会民主党のヘルマン・ミュラー首相が辞職、ナチ党はこの年9月14日の選挙でさらに107議席を得て議会第2党となった。そして、 1933年1月30日にヒトラー内閣が成立、次第に警察国家への組織を固めていった。3月5日の選挙では、ナチ党は圧倒的な288議席を獲得、連立の「国家人民党」の52議席を合わせて、過半数を越えた。ナンカ、今の自民党と公明党が議会で連立する安倍政権のようですね…。ここから次々に「全権委任法法」と「議院運営規則改正」などの法案が議会に提出されて、大統領令を次々に発令して治安権力を掌握、言論を統制、国会を掌握、ヒトラーの独裁体制を確立した…。独裁体制は、議会制民主主義の中で生まれた…。歴史は繰り返されそうですーね。


⑤「顔のないヒットラーたち」 (2014年公開、ジュリオ・リッチャレッリ 監督)・・・1945年11月20日~1946年10月1日に第二次世界大戦終結後において、ドイツによって行われた戦争犯罪を裁く国際軍事裁判、「ニュルンベルク裁判」が開かれた。「東京裁判」と共に勝戦国が敗戦国の戦争責任を問う軍事裁判です。特にナチズムとユダヤ人虐殺、ヒトラーとアウシュビッツの戦争責任は断罪されました…。ただ、アドルフ・ヒトラー総統や宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルス、SS長官のハインリヒ・ヒムラーらはすでに自殺、起訴は勿論不可能であったし、また、ナチ党最大の実力者マルティン・ボルマンも行方不明のまま欠席裁判(死刑判決)でした。ナチの残党は、アメリカの「脱ナチ化法」と政策によって、ドイツ占領基本指令1067号において、ナチ残党だけではなく、ナチズムの支持者全を公職から排し、政府の要職に就任するためにナチ党との関係を審査された。その結果、公務員の3分の1を解雇した。この辺りが、日本の戦後政治とは違っていた…。


第2次世界大戦の終結から10年以上が経過した後、既にニュルンベルク国際軍事法廷でナチスの主要指導者たちは裁かれていました。が、暴力的な親衛隊(SS)に対する訴追は続いていたが、決め手となる証拠は集まらなかった。またドイツ国内では、過去の戦争犯罪に対して、ナチ党員の活動歴を隠す裁判官や検事が存在し、ナチズムを過去の忌まわしい出来事として訴追を望まない風潮もあった。ドイツ国民の感情もアウシュビッツ強制収容所の裁判に、軍人なんだから上官の命令に背けないだろう…、異常な戦時下で今更、過去の罪を問えない…などの世論もあった。映画は検察官のヨハン(アレクサンダー・フェーリング)が、アウシュビッツ強制収容所にいたナチスの親衛隊員が、非ナチ化法による公職追放に違反している教師を発見、前歴を暴いて、戦争裁判へ持ち込もうとした。 フランクフルト裁判の起訴の発端は、アウシュビッツ強制収容所からの一人の生還者が持ち帰った書類が証拠となり、それが起訴資料となった。


⑥「スベャリスト/自覚なき殺戮者」(1999年公開、エイアル・シヴァン監督)・・・アイヒマンは1941年11月に親衛隊中佐に昇進、1942年1月20日、ヴァンゼー会議に出席、ユダヤ人を絶滅収容所へ移送して絶滅させる「ユダヤ人問題の最終解決」政策決定に関与した。ゲシュタポ・ユダヤ人課課長としてヨーロッパ各地からユダヤ人をポーランドの絶滅収容所へ列車輸送する最高責任者となる。1942年3月6日と10月27日に行われたヴァンゼー会議でアイヒマンは、議長を務めている。1942年3月から絶滅収容所への移送が始まったが、その移送プロジェクトの中枢にアイヒマンがいた。2年間で約500万人ものユダヤ人を貨物列車で運んだ。1944年3月にアイヒマンはハンガリーに派遣され、40万人ものユダヤ系ハンガリー人をガス室に送った。


元親衛隊(SS)中佐アドルフ・アイヒマンは、戦後、アメリカ軍によって逮捕されるが、偽名を使い、捕虜収容所から脱出した。ドイツ、イタリアなどを逃走し、1950年、親ナチだったファン・ペロン政権下のアルゼンチンに渡り、「リカルド・クレメント」の名前で逃亡生活を送った。終戦から15年後のこと、1960年にイスラエル諜報機関(モサド)によってブエノスアイレス市内で身柄を拘束され、イスラエルに連行される。1961年4月11日にイスラエル・エルサレムで裁判が始まった。「人道に対する罪」、「ユダヤ人に対する犯罪」などの15の犯罪で起訴され、12月に有罪・死刑判決が下される。1962年5月に絞首刑になった。


この映画に関して、エイアル・シヴァン監督は、ハンナ・アーレントの著作『イェルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』を参照して、既存の映像を編集・再構成したものである。ニュールンベルグ裁判以降に逃亡していた最大のナチ残党の裁判でした…。

 

➆「アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち」(2015年公開、ポール・アンドリュー・ウィリアムズ監督) ・・・1961年、エルサレムで開廷された世紀の裁判「アイヒマン裁判」に対して、TVプロデューサーのミルトン・フルックマンは、この裁判を世界中にテレビ中継する企画を立てた。
この裁判撮影のスタッフには、アメリカの赤狩り(マッカーシズム)のブラックリストに挙げられ、10年以上もハリウッドから仕事を干されていドキュメンタリー撮影監督、レオ・フルヴィッツを登用した。フルヴィッツは、アイヒマンを残虐な殺人鬼ではなくて、普通の有能な事務官将校としての素顔を撮影した。裁判を通して、アイヒマンの淡々とした陳述は印象的
でした。今回の映画は、世界37カ国で放映され、4ヶ月に渡る裁判の映像と、実在の人物をベースに、若手プロデューサー(ミルトン・フルックマン(マーティン・フリーマン)と、撮影監督レオ・フルヴィッツ(アンソニー・ラパリア)の製作ドラマです。近近10月頃、レンタルショッの棚にも並ぶ予定ですから、是非ご鑑賞ください。 


⑧『愛を読むひと」(2008年公開、スティーヴン・ダルドリー監督、ベルンハルト・シュリンク『朗読者』が原作。デヴットヘア脚本)・・・この映画は、15歳の少年マイケルが学校の帰り道で「しょう紅熱」のために体調を崩し、路上で嘔吐していた所を、路面電車の車掌をしていた21歳も年上のハンナ・シュミッツ(ケイト・ウィンスレット)と出会い、アパートで介抱される所から始まる。私はナチズムの映画であるばかりでなく、ラブストーリとしても名作だと思っています。浴槽の中で熟女の肉体に抱かれ、ハンナのためにベットの中で『オデュッセイア』、『犬を連れた奥さん』などの作品を朗読したり、一緒に地方の田舎にサイクリングをしたりした。彼はすっかり性の虜になってしまう。前半のストーリは、ひと夏の喜びに満ちた青い性の体験を描いたラブロマンスです。後半の映画では、ハンナと疎遠になった後、マイケルはハイデルベルク大学

法学部に入学し、ロール教授(ブルーノ・ガンツ)の ゼミ研究のために、ナチスの戦争裁判、アウシュビッツ裁判を傍聴することになる。ここからが、DVD特選映画「ナチズムとホロコースト」に関係が部分です。なんと、その被告席に、青春の忘れられない1ページになっていた甘酸っぱい記憶の女性、ハンナ・シュミッツハンナがアウシュヴィッツ強制収容所の女性看守の一人として告発されている姿を見つける。ハンナは、アウシュヴィッツ強制収容所の元囚人・イラーナマーサーの自伝的著書に、ハンナがクラクフ近郊の強制収容所の女性看守6人の一人として名前が挙げられていた。しかも、収容した囚人を「選別し」、アウシュヴィッツへ送致する「死の行進」の責任者として、つまり、選別した囚人がアウシュビッツへ送られれば、ガス室で殺されることを知って選別したー、「故意による殺人容疑」が問われ、更にまた、街が爆撃を受け、収容所の教会が全焼になった時、開錠すれば閉じ込められた300人の囚人が焼死することはなかったのに、開錠しなかったことによる、「故意による殺人容疑」が問われた…のであった。ロール教授は講座の初めに「社会は法によって動かされている。単にアウシュビッツで働いていたというだけでは罪にはならない。実際あそこで8000人が働いていたのだが、その内で有罪はたったの19人、殺人罪はたったの6人。明確な殺意を立証しなければならないからだ。それが法だ、問われるのは悪いことをしたかではなくて、法の基準を犯したかどうかだ・・・」と、学生に講義する。私は、戦争裁判を考えるうえでも必見の映画だと思っています。



公判でハンナは囚人の死を決定する「選別する」仕事の罪状を問われるとー、「私の仕事でしたから…」「私の仕事の選び方」が悪かったのですか…と、罪の意識も後悔もなく、ただ呆然と検事に反問する。また、次々と送り込まれる新しい囚人を受け入れるために、収容所は満杯になるから、既に収容されている囚人選別して「アウシュヴィッツに送るのはやむを得なかった・・・」と事務的な選別だったことを証言する。収容所の火災の時に何故開錠して非難させなかったのかーの質問に対して、「市街地の外に収容所を開錠して囚人を出すことはできなかった、だって仕事の責任を放棄するのだから…」と証言する。また、羞恥心から文盲を隠していたため、囚人30人の焼死も死の行進の選別も、すべてハンナの指図とされ、女性看守からも全責任と罪を着せられる。筆跡鑑定さえ断り、自分が作成した報告書の偽装も反論しなかった…。

 


結局判決は、ハンナ一人だけが無期懲役でした。この「愛を読むひと」が単にナチスの戦争裁判だけの映画に終わらず、私が初めにあげた「問い」・・・どうしてドイツ人は、ヒトラーを讃え?、私は、どうしてドイツ国民・ドイツ兵は、生身の生きているユダヤ人を事務的にガス室で毒殺し、虐殺するナチズムを支持し、実行したのか?・・・にこの映画のハンナ・シュミッツの証言が応えている気がしました。マックス・ウェーバーが第一次大戦の後に確立した官僚制社会の形式的合理性の問題なのかな…と思いました。ドイツの社会学者M・ウェーバー(1864年~1920年)は、近代の合理主義的社会・官僚制組織の特徴として、個人の人格・意思が組織目的の中に埋没する「官僚的合理性」にその答えの一端を分析した。私にはその答えが見えてきました。


マイケルは、ハンナの刑務所に本を朗読したテープを送り始める。ハンナは少しずつ所内で文字を学び、マイケルに手紙を出すようになる。20年後に仮出所が許され、マイケルへ身元引受人の電話がある。マイケルはそれを了解し、刑務所のハンナと面会する。しかしハンナは、出所の日に首をつって自殺してしまう。私はこの映画をこのコメントを書く気前にもう一度DVDを見ましたが、やはり「ナチズムとホロコースト」の名作でした。


⑨「ハンナアレント」(2012年公開、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)・・・1960年、ナチス親衛隊でユダヤ人の強制収容所移送の責任者だったアドルフ・アイヒマンが、イスラエル諜報(ちょうほう)部に逮捕される。ニューヨークで暮らすドイツ系ユダヤ人哲学者ハンナ(バルバラ・スコヴァ)は、アイヒマン裁判を傍聴記事を、『イェルサレムのアイヒマン──悪の陳腐さについての報告』として1963年に雑誌『ザ・ニュー

ヨーカー』に連載した。彼の死刑が執行されるまでを記した裁判記録は、ドイツ国内のユダヤ人内でも大きな波紋を呼んだ…。 映画は、彼女のこの裁判記録を廻る自伝的映画です。この映画で、ハンナはアイヒマンをユダヤ人虐殺の極悪人被告として描くのではなくて、むしろ彼の姿と発言に対して、アイヒマンをごく普通の「小心者」の将校、合理的事務的処理をする単なる役人に過ぎなかったとさえ描いている。だから却って、ユダヤ人ゲットーの評議会指導者に対してさえもホロコーストへの責任を負うものと指摘した結果、ユダヤ人社会からも仲間を裏切る行為として非難された。



さてまた、DVD特選映画の導入部が長くなりました。8月下旬の特選映画をアップロードします。今回5本を映画館で観賞、今月8月は、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(ジェイ・ローチ監督)、『或る終焉』(ミシェル・フランコ監督)、『ロスト・バケーション(ジャウマ・コレット=セラ監督)、ターザン:REBORN』(デビッド・イェーツ監督)、『ニュースの真相』(ジェームズ・バンダービルト監督)、『秘密』(大友啓史監督)、『X-MEN:アポカリプス 』(ブライアン・シンガー監督)、『あなた、その川を渡らないで』(2014公開、チン・モヨン監督)、『いしぶみ』(是枝裕和監督)、『ストリート・オーケストラ』(セルジオ・マシャード監督)、ブルックリン』(ジョン・クローリー監督)・・・、通算で12本を観賞しました。その中で選んだ8月下旬の特選映画1本は、『ストリート・オーケストラ』でした。今回も横浜市中区にある映画館「ジャック&ベティ―」(横浜市中区若葉町3-51。TEL.045-243-9800)http://www.jackandbetty.net/ で4本を仕事の帰りに見てしまいました。メジャーな映画館やTOHO系の映画館では上映されていない作品が並んでるので、私はすっかりこの映画館のファンになってしまいました…。



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98歳のチョ・ビョンマンと89歳のカン・ゲヨル夫婦は、若い夫婦のように買い物で手をつないで歩き、春の花を髪に飾り合い、冬は落ち葉をじゃれ乍ら投げ合い、雪の降った冬には雪の塊をぶつけ合いう。まるで恋人同士のように仲睦まじく老後を川のほとりで過ごしている。淡々とした縁側の喉かな生活を描いた1本目は、結婚76年目にして仲むつまじく暮らす老夫婦、『あなた、その川を渡らないで』(2014公開、チン・モヨン監督)でした。



ところが、ある日、妻は夫の死を迎える。自然の摂理でした。咳を聞きながら「天国でも着られるように」と夫の服をたき火にくべる。
煙は妻の願い通りに天に昇り、夫を見守った。そして夫が亡くなった後でもまた、この冬の肌着はねー、と次々、夫の服を焚火に燃やしていく・・・。どうしたら人生を締めくくるかー、どうしたら最愛の伴侶の死を迎えるかーは、高齢化社会で無くても、人間にとって大きな問題です。この映画を見終わった後で誰しも、こんな老夫婦のように老後と死を迎えたいと思いますーかね。


国連の2016年版「世界幸福度報告書」の発表だと、幸福度ランキングの1位は、デンママークで、2位はスイス、アイスランド、ノルウェー、フィンランドと続く。因みに日本は日本53位、韓国57位、中国83位・・・。アジアの先進資本主義工業国は、金持ちと貧乏人の大きな格差社会の中で、お金を稼ぎ物を買い漁り、生活を豊かにすることに汲々としているようです。そう見ると、この萎びた田舎家が、世界で一番幸福な村の一軒家のように思えてきます。今の日本でも、「一億総活躍社会」のスローガンと共に、死ぬまであくせくと働け―という社会になってしまいました。日本では、老後をのんびりと「年金」で夫婦で生きることもできないようですーね。そんな日本を痛烈に批判する映画に思えてきました…!!!


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1945年7月25日、第33代トルーマン大統領が原爆投下を承認、スパーツ陸軍戦略航空軍司令官(戦略航空隊総指揮官)は原爆投下を指令した。気象観測機B-29「ストレートフラッシュ号」が、観測用のラジオゾンデを吊るした落下傘を三つ降下。「エノラ・ゲイ号」は、広島市街上空の天候を「目視」可能と確認、原爆投下を広島と決定する。佐々部清監督の『夕凪の街…』(2007年公開、)のタイトルの意味がよく分からなかったが、この原爆投下時の空を表していたのでセスーね。投下目標 を広島市中央を流れる太田川の相生橋に合わせ、1945年8月6日、8時15分17秒、原爆「リトルボーイ」が投下された。爆心地の広

島市細工町29-2の島病院(現島外科内科)の南西側の上空約600

メートルで炸裂した。500m圏内に閃光と爆風が襲った。島病院の建物

は一瞬で完全に消え、院内の約80名の職員と入院患者全員が即死した。


勿論、映画「いしぶみ」の舞台となった旧制広島県立広島第二中学校1年生は投下当時、爆心地600メートルの場所、現在平和記念公園が

ある中島新町、新大橋周辺の河岸に生徒たちは集まって、建物解体作業中だった。そこにいた旧制広島県立広島第二中学校1年生321名

全員が死亡する・・・ここで悲劇が起こった。


1969年10月9日に広島テレビの制作で、この『碑』(企画:薄田純一郎、構成:松山善三、演出:杉原萌)のタイトルで、日本テレビほか全国23局で放送された。広島市出身の女優・杉村春子が、爆死した生

徒の遺影写真の中で、遺族の証言や生徒の最期を語る朗読と生徒の

映像が流れた。


1969年版のリメイクとして、再び広島テレビの制作により、2015年8月1日に、『戦後70年特別番組 いしぶみ〜忘れない。あなたたちのことを〜』のタイトルで、日本テレビ系列29局ネットで再び放送されました。


2本目のいしぶみ』(是枝裕和監督)は、この『戦後70年特別番組』を

劇場用に再編集した作品でした。最後に広島出身の朗読者・綾瀬は

るかは、最後に、平和記念公園前に置かれた「碑」に立ち寄ってください、と語りかけます。私もまだ広島の原爆ドームも平和祈念資料館も訪れたことがないのでー、ぜひぜひ近近訪ねたいです。そんな広島に関心を寄せる映画でした。小・中学校では広島・長崎の社会見学、高校では沖縄の社会見学をさせたいですーね。それが義務教育課程のまっとうな「平和教育」ではないですか…ネ。

 

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音楽の才能では神童と言われたバイオリニストのラエルチ(ラザロ・ハーモス)は、音楽で身を立てたるためブラジルのサンパウロ交響楽団のオーデションに応募するが、本番には弱いのか、最終審査に落ちてしまいう。3本目は、家賃さえ督促状が届く生活難になり、スラム街の子供たちが集まる学校でバイオリンを教え、スラムの暴力と麻薬と貧困が瀰漫している街にクラッシックが鳴り響く音楽映画『ストリート・

オーケストラ』(セルジオ・マシャード監督)でした。


ただ、ブラジルのスラムに住む少年少女は、クラッシックを弾くどころか、家庭内での親との確執や、生存競争の激しい過酷なスラムの日常を生きのに精一杯の生活であった。それでも尚、彼が目にしたのは最後に、音楽を心の安らぎにしている少年の純粋な心であった…。

主演のバイオリニスト・ラエルチ役のラザロ・ハーモスはブラジルでは人気の俳優のようです。暴力と窃盗と麻薬のスラムにも明るい未来はある…ということをこの映画は奏でているのかなー。


音楽映画で私が感動した一本は、パガニーニの伝記的映画『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト (2013年公開、バーナード・ロー

ズ監督)以来の感動作でした。インドのムンバイとブラジル・サンパウロのファヴェーラとの違いはあるけれども、私はこのスラム街が舞台になっている『スラムドッグ$ミリオネア』(2008年公開、ダニー・ボイル監督)と、二作の映画を混ぜ合わせたような作品でした…。

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4本目は、アイルランドの片田舎からアメリカのニューヨークへ渡った移民の娘・エイリシュ(シアーシャ・ローナン)が、ブルックリンに住

み、デパートで売り子をしながら、大学で勉強して経理と簿記を習い、アメリカでイタリア移民の男と恋に陥る青春ラブロマンス映画『ブルックリン』(ジョン・クローリー監督)でした。


イタリア移民の男と、アイルランド移民の女がニューヨークで出会い、恋に落ちる、という甘いラブロマンスなのだが、いかにも人種のるつぼのアメリカらしい映画でした。片田舎で一生をその土地で終わる『あなた、その川を渡らないで』と、生まれ故郷を出て大都会で暮らすこの映画は、対をなすような映画と思いました。














(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)

9月上旬特選映画【18】★映画のMIKATA「栄光のランナー」★映画をMITAKA

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9月上旬の特選映画をアップロードします。今回、『後妻業の女』、『栄光のランナー/1936ベルリン』、『神様の思し召し』、『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』・・・の4本を映画館で観賞しました。選んだ特選映画1本は、『栄光のランナー/1936ベルリン』でした。この作品はDVD特選映画<ナチズムとホロコースト>のテーマに入れてよい作品です。ベルリンオリンピックの開催は、もともと1916年にベルリン開催が候補地に上がったが、第一次世界大戦のドイツ敗戦によって中止された。が再び、1933年の国家社会主義ドイツ労働者党政権下、ヒトラーが独裁政権を掌握した時に開催が決定された。そして、ベルリン開催は、1936年8月1日から8月16日にわたり夏季オリンピックベルリン大会として開かれました。いわば「ナチのリンピック」であったのです。この作品には、<ナチズムとホロコースト>のテーマに相応しい映像が多数含まれているばかりでなく、≪ベルリンオリンピック≫の時代の複雑な社会背景全体が映像化されています…。大会への参加は、当初よりヒトラーの独裁とユダヤ人排斥を認めることだとして、アメリカのユダヤ人組織や、ユダヤ人選手がベルリン大会のボイコットを支持、 多数の委員が参加ボイコット表明していた中、揺れる米国オリンピック委員会(AOC)の委員長アベリー・ブランデージの黒い噂、建設業の経営者でもあったブランデージが、ナチのスポーツ施設の建設業者として指名されるナチスとの密約に、オリンピック不参加の決定に左右された賄賂の噂があったー、また、ヒトラーの愛人ではないかーとのゴシップもあった映画「オリンピア」のレニ・リーフェンシュタール監督が登場しているー、ヨーゼフ・ゲッベルス宣伝相などもここにはヒトラーの姿と共に現れています。黒人のメダリスト・オーエンスのコーチ、オハイオ州立大学のコーチ、ラリー・シュナイダーがランニングシューズを調達しようと工場を探していた時に見かけた街中には、強制的にユダヤ人をアウシュビッツに連行する風景・・・などもここにはありました。


1945年8月15日の敗戦という「戦争の意識」は、日本人から薄れてきました…。日本では確実に「戦争の意識」の何かが変わった気がしました。日本においても欧州においても、多くの尊い命が犠牲になり、「戦後70年」は、70年の節目だと言うばかりでなく、平和への新たな決意となっているのだろうかネー。2015年は「戦後70年」でしたが、ここで戦争の過去の歴史を振り返ることは、ヒロシマとナガサキの原爆犠牲者から発せられる平和へのメッセージに耳を傾けると同時に、「ナチズムとホロコースト」からの叫び声を聞くことでもあります。昨年に続いて今年も「ナチズムとホロコースト」映画の公開が不思議に多いです。私が最近観賞した映画を数えて見れば、8本有りました。列挙しますと、黄金のアデーレ 名画の帰還』(サイモン・カーティス監督。2015年公開)、『顔のないヒットラーたち』 (2014年公開、ジュリオ・リッチャレッリ 監督)、『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち」(2015年公開、ポール・アンドリュー・ウィリアムズ監督)、『帰ってきたヒトラー 』(2015年公開、ダーヴィト・ヴネント監督) 、『サウルの息子』 (2015年公開、ネメシュ・ラースロー監督) 、『ヒトラー暗殺、13分の誤算 』(2015年公開、オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督) 、『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』 (2014年公開、マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール 監督、私は未だ見ておりませんが…。)、そして、今回観賞した『栄光のランナー/1936ベルリン』(スティーヴン・ホプキンス 監督』などがあります。


戦後も70年余年も経過すれば、「原爆」も「アウシュビッツ」も知らない世代はますます増えます。ただせめて映画が、アメリカによる広島と長崎の「原爆」投下の惨劇と、「アウシュビッツ」のホロコーストの映画を製作し続ける限り、70年前の太平洋戦争で何があったのか、決して人間の文化と政治は戦争の悲劇を忘れないでしょう…ネ。


結局そんな訳で、今月9月上旬は<ナチズムとホロコースト>のテーマpart3は次回に廻しました。もしも今回『栄光のランナー/1936ベルリン』がなければ、詐欺師映画『後妻業の女』を特選映画に挙げても良かった位です。この作品はゲラゲラ笑えるコメディー的要素、ゆらゆら燃える高齢者の消えない「性欲」の怪奇もあり、「オレオレ詐欺」に見られるような、高齢者を狙った巧妙で許されない詐欺行為に警告を発する映画でもあり、傑作に挙げてふさわしい作品でした…。


今回も4本の内2本は、「ジャック&ベティ―」で鑑賞しました。『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』もここで上映予定なので、観るつもりています。


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1本目は、結婚相談所所長・柏木(豊川悦司)が主催するお見合いパーティーで金持ち・資産持ちで未だに性欲を燃やしている独身の高齢者をカモにして、後妻に入り、男を手玉に翻弄して、病死自然死事故死を偽装して、全財産を根こそぎ略奪するエロ詐欺師・武内小夜子(大竹しのぶ)を主役する詐欺師映画『後妻業の女』(鶴橋康夫監督&脚本、 黒川博行原作)でした。


小夜子の餌食になった高齢者の一人は、教育者だった耕造(津川雅彦)だった。小夜子と結婚して2年後に耕造は病院で病死を偽装され亡くなる。葬式場、親戚身内の集まる中で小夜子は、耕造の娘・朋美(尾野真千子)と尚子(長谷川京子)に向かって遺言公正証書を突き付け、全財産を相続する権利を宣言する…。朋美は興信所と私立探偵・本多(永瀬正敏)を雇い、小夜子と老父との結婚を調査依頼する。次第に、結婚相談所の柏木と、エロ詐欺師・小夜子が企んだ「後妻業」と判明するのだったー。


男を手玉にとる小夜子役の大竹しのぶの演技が素晴らしかったですーネ。TBSのドラマディレクター・服部晴治と結婚、吉本のお笑い芸人・明石家さんまと再婚、劇団演出家の野田秀樹と同棲生活など、女の魅力で男たちを手玉に取った「業」の女、ヒョットしたら大竹しのぶの「素」の演技なのかもしれませんーネ。女を磨かないと、中々アンナ巧妙な演技はできないです。


ただ、黒川博行の原作小説を読んでないので、私のすっきりしない疑問がどうなってるのか不明ですが、だが、最後のシーンで柏木を強請った私立探偵・本多の終末のストーリが如何なったのかよく分からなかったです…。


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2本目は、1936年のナチス独裁政権下で行われた、ベルリンオリンピックに参加、オリンピック史上初の4冠を達成しましたアメリカ陸上の黒人選手、ジェシー・オーエンスを主人公にしたスポーツ映画『栄光のランナー/1936ベルリン』(スティーヴン・ホプキンス 監督、ジョー・シュラプネル&アナ・ウォーターハウス脚本)でした。


リオオリンピックも幕を下ろし、今、9月7日〜18日までパラリンピック
 がマラカナン競技場で開幕しました。参加国数が178カ国、 4,350人が参加しています。 リオオリンピック開催以前から、2020年の東京開催の不正招致疑惑がフランス検察当局から告発されていました。疑惑は、
日本の銀行口座から、国際陸上競技連盟のラミン・ディアク前会長の息子が関連するシンガポールの会社の口座に約2億2000万円の送金があり、これは五輪招致のための賄賂であるーという。これは疑惑のまま、今も曖昧模糊としています。1936年のベルリンオリンピックのボイコット問題で、国際オリンピック委員会(AOC)の委員長ブランデージの黒い疑惑と賄賂と根っこは同じです。オリンピックは、もはや企業利益が絡んだ「スポーツショー」となってしまいました。唯一スポーツ精神が残っているのは、パラリンピックだけなのかもしれません…ネ。


1936年のベルリンオリンピックといえば、日本も参加しました。前畑秀子が200m平泳ぎで金メダルを取った時の瞬間、マルタ・ゲネンゲルとの接戦で、アナウンサーが 「前畑ガンバレ!」と連呼する映像をご覧ください。 
https://www.youtube.com/watch?v=312hnBM1vZE

レニ・リーフェンシュタール監督の映画「オリンピア」を一度観たいとツタヤの在庫を探したのですが、残念乍ら最早無いようですーね。た

だ、Youtubeに映像資料がありました。

https://www.youtube.com/watch?v=bV81Py5fAQY

https://www.youtube.com/watch?v=EtB0sUG1CyQ


参考のために是非ご覧ください。幸いのことにレニ・リーフ

ェンシュタールの歴史的映像もありました。


https://www.youtube.com/watch?v=xjgYS8uXwFk

https://www.youtube.com/watch?v=PXl4r0vLi8M


1936年ベルリンオリンピック出場のジェシー・オーエンスは、オハイオ州立大学に入学して、コーチのスナイダー(ジェイソン・サダイキス)の訓練によってさらに陸上の才能を磨き、男子短距離100m、200m、走幅跳、4×100mリレーの第1走者として出場して優勝、金メダルの4冠を達成した。ジェシー・オーエンスの生まれ育った南部オハイオ州のコロンバスは、黒人差別人種偏見の激しい土地です。カール・ルイス出現以前は四冠王は破られなかったアスリートとして未だに名高い選手です。


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3本目は、医師として優秀だが傲慢で皮肉な心臓外科医のトンマーゾ(マルコ・ジャリーニ)が、自分の後継者として期待していた医大生の長男アンドレア()が、突然神父になりたいと言い出したことから始まるイタリアのコメディー『神様の思し召し』(エドアルド・ファルコーネ 監督、 エドアルド・ファルコーネ脚本)でした。第28回東京国際映画祭で観客賞を受賞したイタリア発のコメディで、海外でも様々な賞を受容した作品に魅かれて観賞しました。が、私は、エリート医師と神父の「どちらが価値のある職業か」の争いは、確かに面白いのだけれども、息子を廻る父親と後継者の争いとみると、ありきたりで新鮮味がない

なーと思いました。私は駄作として観ました。神父になりたい理由が、派手なパフォーマンスで人気のあるピエトロ神父(アレッサンドロ・ガスマン)の影響と知る…。ピエトロ神父とトンマーゾ医師、人の命を助ける医者と、人の心に神の恩寵と愛を与える牧師の、二人のどちらが意味のある職業か、2人がマッコウから対決するのが、日本では信じられない価値観の「軸」ですよね。結局お互いに「尊敬」の念が芽生えるという結末でした。月並みだよね…。


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人間の視覚に幻覚を与えるマジックショーの舞台上で、不可能とも思える強盗を同時に行う、4人組のイリュージョニスト集団が、強盗になる・・・4本目は、トランプ手品や催眠術や奇想天外なトリックなどの特

技を持つマジッシャンたちが、ハイテク企業の不正を暴きー、遠く離れた堅牢厳重な銀行の金庫の中の現金をまんまと盗み取る・・・、しかもそれを観客大衆の前で、恰もマジックショーのように騙し暴露するフォー・ホースメンの幻想的な手品ショー&サスペンス映画『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』(ジョン・M・チュウ監督、 エド・ソロモン脚本)でした。


先日もpart1をTV放送した『グランド・イリュージョン』(2013年、ルイ・ルテリエ 監督)は観ましたが、ストーリの構成は、登場する配役も続編ながら似たり寄ったりでした。スーパー・イリュージョニスト・チーム…、フォー・ホースメン、ジェシー・アイゼンバーグ(J・ダニエル・アトラス)やマーク・ラファロ(ディラン・ローズ)、ウッディ・ハレルソン(メリット・マッキニー) 、デイブ・フランコ(ジャック・ワイルダー)、ダニエル・ラドクリフ(ウォルター・メイブリー)たちが正体不明の再び謎の司令塔の「アイ」(モーガン・フリーマン)に招集された、が、個別の携帯電話から個人情報を盗み取る怖ろしいソフトを開発したハイテク企業の不正を暴き、情報操作のできるソフトを、反対に詐取する「罠」を仕掛けたが、途端に天才的なハイテク・エンジニア、ウォルター・メイブリー(ダニエル・ラドクリフ)たちによって逆に「罠」にはめられる…というストーリでした。


私はこの手の手品やイリュージョン関連の映画はあまり見ていないので、詳しくはありません。が、私の印象に残る古い名作映画が一本だけありました。ニューヨークの大物ロネガンの賭博の上がりの金を詐取する『スティング』 (1973年公開、ジョージ・ロイ・ヒル監督) は傑作でした。けれども、あの時のドンデン返しの驚きと、まんまとしてやったりの興奮は、残念ながら、 『グランド・イリュージョン』シリーズにはなかったです。寧ろ、フォー・ホースメン達が街頭で見せた、例えば、アトラスが雨の中「Stop」という、雨を自由に操るイリュージョンや突然異国へ空間移動するシーンは面白かったですーヨ。


 (尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…







9月DVD特選映画【19】★映画のMIKATA「マーダーボール」★映画をMITAKA

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リオオリンピックも幕を下ろし、今、9月7日〜18日までパラリンピックがマラカナン競技場で開幕しました。参加国数178カ国、 4,350人が参加。リオオリンピック開催以前から、2020年の東京オリンピックの不正招致疑惑がフランス検察当局から告発されていました。疑惑は、日本の銀行口座から、国際陸上競技連盟のラミン・ディアク前会長の息子が関係するシンガポールの会社に約2億2000万円の送金があり、これは五輪招致のための賄賂である・・・と看做されています。もしもこれが、腐れ切った政治家森 喜朗・東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会会長と石原都政から猪瀬・舛添前都知事まで連綿と続いた闇の資金が賄賂として使われたとするならば、小池都知事に是非暴いてほしいものです・・・!!!。この疑惑はそのまま、今も曖昧模糊としています。1936年のベルリンオリンピックのボイコット問題で、国際オリンピック委員会(AOC)の委員長ブランデージの黒い疑惑と賄賂と根っこは同じです。オリンピックは、もはや巨額な企業利益が絡んだ商業的「スポーツショー」となってしまいました。金メダルのため、勝つためにロシアの国がらみの「ドーピング」疑惑や、国家発揚という意味では「ナチオリンピック」と同じです。唯一スポーツ精神が残っているのは、パラリンピックだけなのかもしれません…ネ。


ただこれだけは観てほしいスポーツが...あります。頸髄損傷や四肢の切断、脳性麻痺等で四肢に障害を持つ者がボールをめぐって競う「ウィルチェアーラグビー」です。欧米では広く普及している車椅子による国際的なスポーツで、当初はその競技の激しさから「マーダーボールMURDERBALL(殺人球技))」と呼ばれていました。パラリンピックで唯一、車いす同士のぶつかり合いが認められているチームスポーツで、すごい迫力です…。


リオパラリンピックで日本代表の試合日程は、NHK総合テレビでLIVE放送予定が組まれています。9月15日 03:30~05:30 日本 × スウェーデン (03:30 NHK-G LIVE・16:00 NHK-BS1)、9月16日 03:30~05:30 日本 × フランス、9月17日 03:30~05:30 日本 × アメリカ(09:00 NHK-G LIVE・17:00 NHK-BS1)、9月18日 準決勝(組合せは未定)18:00~17:50 録画BS1が組まれていますーヨ。


時間がありましたら、以前私の映画ブロク「障害の映画」で紹介したDVD「マーダーボール」 (2005年公開、ヘンリー=アレックス・ルビンダナ・アダム・シャピーロ 監督 )を是非ご覧ください。2002年にスウェーデンで開催された、車椅子ラグビー世界選手権大会で世界ランキング5位のカナダとアメリカの対戦が見れます。 ちなみに日本は現在世界3位で、金メダルが期待されている競技の1つです。

9月中旬特選映画【20】★映画のMIKATA「奇跡の教室」★映画をMITAKA

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9月中旬の特選映画をアップロードします。今回、『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』、『キング・オブ・エジプト』、『ラスト・タンゴ』、『怒り』…の4本を映画館で観賞、今月は通算で8本を観賞しました。今回も横浜市中区にある映画館「ジャック&ベティ―」(横浜市中区若葉町3-51。TEL.045-243-9800)http://www.jackandbetty.net/ で4本の内2本を仕事の帰りに見ました。メジャーな映画館やTOHO系の映画館では上映されていない作品が並んでるので、私はすっかりこの映画館のファンになってしまい、足繁く通っています…。昔は町内に必ず映画館が1-2件あって、身近だったのですがね。


 観たくても時間に追われてまだ見れない映画もたくさんあります。ただ、時間に追われ、観賞した映画の本数を自慢するため、數だけをこなす為に無理して映画館のスクリーンを見るのもまた、シンドイですーネ。でも、感動的な映画を見終わった時の、あのジーンとこみあげ

てくる興奮の余韻、カタルシスがあるからこそ、また映画館の暗い椅子に座るのですーね。読書とは違った、感性的映画の楽しみです。


さて、選んだ特選映画1本は、『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』でした。この作品も<ナチズムとホロコースト>のテーマに関係深い作品でした。この映画は、ドイツ軍侵略によってナチスの傘下に入ったフランス政府がユダヤ人排斥政策に協力した慙愧の歴史、フランスユダヤ人の大量虐殺を描いた悲しい作品でした。「黄色い星を~」の映画のラストシーンのキャプションでは、1万3000人のフランスユダヤ人のうち生存者はたったの25人。母親から引き離されて列車で収容所に送られた4051人の子供たちは、一人も帰らなかった…とあった。


特選映画のもう一本の候補に、八王子で夫婦が殺害され、その現場に血文字で「怒」という文字が乱暴に残され、逃亡を続ける犯人「山神一也」が指名手配される『怒り』(2016公開、李日監督)も中々見ごたえがありました。だから、特選映画の一本に選びたかったですが。率直に言って、映画製作の手法として、過去の凶悪犯罪をモデルにしたこの手の映画は、既に手垢のまみれた作品になってしまったのでは…。それは樹木希林のセリフで、朴訥で素朴な年寄りの吐く昭和の懐かしいカレンダーの片隅に印刷された格言のようなものー、もはや辟易と感じ、嫌味な小言のようですね…!!!



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1本目は、神と人間が共存してた古代エジプト…、ナイルの肥沃な土地で繁栄していた「生産の神」オシリス王が統治していた古代エジプトの神話的な時代が舞台で、その子の天空の神ホルス(ニコライ・コスター=ワルドー)と、オシリス王を殺してホルスから王座を奪ったオシリス王の弟で、砂漠の神セト(ジェラルド・バトラーとの間で王座を廻る戦がメインテーマの冒険&アクション映画『キング・オブ・エジプト』(2016年公開、アレックス・プロヤス監督)でした。


王座獲得の命運を握るのが翼を持った天空の神ホルスの力の源である「神の眼」を盗む泥棒の若者・ベック(ブレントン・スウェイツ)でした。

エジプトの神々を制圧し、民衆を奴隷にする圧政の王セトの宝物庫に侵入して、キラキラと光る神の片眼を奪う…。そこから、ホルスとセトとの復讐の戦いが始まる。


これまで、古代ギリシャの神々や英雄が主人公となった映画や神話的世界が舞台になった映画はたくさん製作されています。例えばアキレスやアレキサンダー大王など…。勿論、古代エジプトが舞台の映画もたくさんあります、それこそ、アドベンチャー映画の宝庫です。例えば「ハムナプトラ」シリーズや「スコーピオン・キング」シリーズなど名作がありました。ただ、太陽神ルーが登場するというのは珍しいですね。娯楽映画としては、見る価値がありました。


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2本目は、アルゼンチンタンゴを世界的に広めた、老いてもなお輝きと情熱を失わないダンスペア、マリア・ニエベスとフアン・カルロス・コペスの軌跡を、タンゴの軽いテンポに乗せてドキュメンタリー風のダンス映画『ラスト・タンゴ(2015年公開、ヘルマン・クラル 監督)でした。


ダンスには全く疎い私は、『Shall we ダンス?』(周防正行監督、1996年公開)位しか観ていないので、 コメントなどできないのです。が、アルゼンチンタンゴのマリア・ニエベスとフアン・カルロス・コペスというペアは、アルゼンチンタンゴの代名詞的存在のようですーね、初めて知りました。二人の躍る姿が美しいと思いました。ただ、自分もこの映画を見て踊りたいとは思わなかったです…ネ。


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3本目は、貧困層が暮らすパリ郊外のレオン・ブルム高校と、落ちこぼれ劣等生の集まる子供たちを導いていくベテラン教師・美術史と歴史の教師・アンヌ・ゲゲン(アリアンヌ・アスカリッド)とたちの交流を描いた教育ドラマ『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』(2014年公開、マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール監督。原題「LES HERITIERS/ONCE IN A LIFETIMEでした。


映画は初め、スカーフをつけたまま校内に入ったイスラム教徒の女子生徒に対して、学内では「スカーフを外しなさい」と詰るシーンから始まった。オヤヤヤ、フランスの武装テロ事件やイスラム教の中東地域での跋扈が問題になるのかな、と一瞬思いました。が、いろいろな人種と宗教の集まる、この学校独特の教育の場での難しさを冒頭暗示していました。


アンヌは、この町の無気力の劣等生に対して「アウシュヴィッツ」を素材にした「ナチスの強制収容所における子供たち」というテーマで全国歴史コンクールへの参加を生徒たちに提案した。フランスといえば自由・平和・平等・愛の理念を掲げ、レジスタンス運動の激しい抵抗があったとばかり思いがちですが、事実はドイツ軍による占領下のフランスのヴィシー政府は、ナチス・ドイツの傘下で、ユダヤ人の迫害に従順に加担した歴史があった。


アンヌは、フランスのユダヤ人迫害と強制収容所の死の歴史を調べ、その一環で収容所の生存者の老人が授業に招かれました。ヒトラー独裁政権下のフランス国内のユダヤ人家族の悲運を語る時、生徒たちは…、生粋の白人フランス人、スカーフをかぶるアラブ人、ユダヤ人、黒人、アジア人ー、宗教も家庭環境も異なる種々雑多な人種と民族が一つのクラスに集う生徒たちの関心は、終いには自分たちの抑圧され差別された貧しい境遇と重なりあい、俄然輝き始める…。


恥ずかしいのですが、私はいまだ「アウシュヴィッツ」も、ヴェル・ディヴ跡地にある慰霊碑も訪れたことがありません。時間とお金が許されるならば明日にも訪れたいです…。レオン・ブルム高校のゲゲンの生徒たちが調べていたのは、1942年7月16日~17日に行われたユダヤ人大量検挙事件、つまり、街でユダヤたちが検挙され閉じ込められた「ヴェロドローム・ディヴェール冬期競輪場」のことであった。丁度、私がDVD特選映画<ナチスとホロコースト>のテーマでこれまで観たサラの鍵』(2010年公開、ジル・パケ=ブランネール監督) や『黄色い星を付けた少年たち』(2010年公開、ローズ・ボッシュ監督)は、ナチス占領下のパリにおいて、ユダヤ人を競技場に強制連行するこの事件を舞台にしていました。この作品のコメントは後日載せます。


フランスのユダヤ人は、後にアウシュビッツを初めとする東欧各地の絶滅収容所へと送られました。この「ヴェルディヴ事件」は、今でも7月16日は国民の日として、パリその他で記念式典を開催することを定められてます。2000年7月10日法で,「人種差別と反ユダヤ主義にもとづく犯罪」におけるフランス国家の責任が公式に認められました。フランスの凄いのは、フランス人は決して国家の過ちを許さず忘れなかった。歴史コンクールでアンヌ・ゲゲン先生の落ちこぼれ生徒たちが優勝したのは、おそらくこの記念式典でのコンクールなのでしょう…。教育映画としても、素晴らしかったです。

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ある夏、八王子で夫婦が殺害される事件が起き、その現場には手のひらの血で「怒」という文字が乱暴に書き殴られ、その犯人は「山神一也」と判明するも、彼は逃亡を続ける。4本目は、凄惨な未解決殺人現場のシーンから始まるから『怒り』(2016公開、李相日監督&脚本、吉田修一原作) でした。


1年後にテレビ電波で、犯人と思われる整形した顔写真が公開捜査で流れ。そこから、この手配の顔写真を見た千葉、東京、沖縄の三つの地域の三つの家族が舞台となって、男女の三つのストーリーが動き始める。人間の情念とはー、「愛と性」は人の信頼の礎となるのかー、沖縄や朝鮮の「抑圧と戦争」は、心の問題なのかー、都会の下層社会に蠢く犯罪は、病んだ心の復讐なのかー、「怒」の放たれた血のメッセージは何のテーマなのか…、疑問を投げながら映画が展開する。


一方で八王子で起きた凄惨な一家惨殺事件の刑事たちの犯人探しと謎解きが縦糸として進む。その事件に絡む三つの地域の三つの男女のカップルがストーリーを織りなす。家出して東京の風俗店で働き、荒れ果てた肉体を横たえる娘の愛子(宮崎あおい)を、千葉の漁港まで連れて帰る漁師の父親・洋平(渡辺謙)と、突然千葉に現れ、愛子が伴侶として結婚を望んだ、しかし、前歴が謎に包まれた田代(松山ケンイチ)という青年が一本の横糸として絡まっていた…。さらに、東京で大手企業に勤めるゲイのサラリーマン優馬(妻夫木聡)は、ゲイパーティーで直人(綾野剛)という得体の知れない青年と知り合い、意気投合して同居を始める。このゲイカップルが2本目の横糸…です。母親の都合で沖縄の波照間島に引っ越して、米兵にレープされる女子高生・泉(広瀬すず)と、同級生の民宿屋の息子・辰也たちが探検した無人島で、ひげもじゃのバックパッカーの浮浪者・田中(森山未來)という正体不明の男と遭遇する。後に辰也の民宿で手伝いを始める。ラストシーンで、田中は心のバランスを喪って下宿先の食堂をめちゃくちゃに破壊して再び逃亡の末、無人島で元の隠居生活を送る。田中の寝床の廃墟の壁面には八王子殺人事件の際の壁に書かれていたのと同じ「怒」の文字が刻まれていた。そう、彼こそが凶悪殺人逃亡犯の山神一也でした…。3本の横糸の男女は、お互いの正体を疑心暗鬼しながら、指名手配の殺人犯ではないか、と揺れている。


吉田修一の原作を映画化した「悪人」の李相日監督が再び、吉田原作の小説を映画化した。犯罪こそ現実の矛盾を縮小したものです。


渡辺謙主演に、森山未來、松山ケンイチ、広瀬すず、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡などの俳優をキャストにそろえてます。さぞかし出演料と製作コストが高いだろうなと思われる映画でした…。それにしても、髪をボサボサに伸ばし、髭ボウボウで振り乱した森山未來の姿は、今まで見たこともないの彼の演技でした。もう一つ、綾野剛と妻夫木聡のゲイカップルが愛撫しあう肉体シーンは、さすがに俳優だな…と驚くリアルな同性愛の演技でした。


事実は小説より奇なり、いや、映画は事実よりもさらに奇なり~です。映像は時代の人間模様を写す魔法の鏡・・・です。殺人事件は時代の

歪みを暴く、メリメリバリバリと音を響かせる「真実の軋み」です~。再びこのフレーズを使いたくなった映画でした。私はこの映画『怒り』を、『クリーピ―』や『葛城事件』の系譜で位置づけています。この作品から私は、「八王子」の未解決殺人事件というと、「怒り」のストーリーからは1995年7月30日に「八王子」のスーパー殺人事件を思いおこします。スーパーマーケットのアルバイトの女子高生他3人が殺害された、依然謎の解けない未解決で事件でした。


或は、殺人犯の長い逃亡生活といえば、2007年に千葉県市川市において、英語講師リンゼイ・アン・ホーカーが市橋達也に殺害された「リンゼイ・アン・ホーカー殺害事件」も彷彿させます。顔を整形をして逃亡生活をした点など映画の原点かなーと思わせます。









(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)

9月DVD特選映画【21】★映画のMIKATA「ホロコースト」★映画をMITAKA

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NHKETV特集アンコール(午前23:00~24:00)、「ホロコーストのリハーサル~障害者虐殺70年目の真実」を是非録画をして観賞して下さい。相模原障害者施設「津久井やまゆり園」殺傷殺人事件」までつながっています・・・!!!



「ホロコースト -アドルフ・ヒトラーの洗礼-」 (2002年公開、監督/コスタ=ガヴラス。原題/AMEN./EYEWITNESS/DER STELLVERTRETER)をまずはご紹介しておきます。


この映画は衛生学の権威、科学者クルト・ゲルシュタイン親衛隊中尉(ウルリッヒ・トゥクル)は、いつの間にか、ナチス強制収容所で使用する青酸ガス「チクロンB」の開発に協力していたことを知り、敬虔なクリスチャンであった彼は、更にユダヤ人絶滅計画以前に実行されていた、障害者絶滅計画「T4」で可愛がっていた親戚の障害者の姪を殺されたことに大きな衝撃を受ける。更に強制収容所での大量殺戮を目の当たりにして、中尉は密かにアメリカやスウェーデン大使館やベルリン駐在の枢機卿にもこの恐るべきユダヤ人虐殺の事実を耳うちし、この非人道的な惨殺を世界に告発しようと試みる。しかしこの告発と密告を誰も信じなかった…。ただ、一人教皇庁秘書官の息子で正義感にあふれるリカルド神父だけが、バチカンに掛け合うが、教皇もその側近も、ドイツナチズムの報復が恐ろしくて、「祈ること」以上の弁解しかしようとしなかった。絶望した神父は、ダビデの星を胸に付け、ユダヤ人達と運命を共にすべく強制収容所の貨物車に乗ってガス室に身を投じる。


このNHKのETV特集(午前23:00~24:00)、アンコール「ホロコーストのリハーサル~障害者虐殺70年目の真実」は、日本の障害者運動を率いてきた藤井克徳さん(視覚障害)がアウシュヴッツ収容所の現場を訪ねるレポートになっています。この番組を見た後でも是非一度、DVDを借りて観賞してみてください…!!!


この番組の案内は下記サイトで詳しいです。
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259520/


もう一つ、先日発生した相模原障害者施設「津久井やまゆり園」殺傷殺人事件の概要をご案内しておきます。2016年7月26日未明に神奈川県の障害者福祉施設で、元職員の26歳・植松聖(ウエマツサトシ)が施設に侵入、刃物によって19人が刺殺され(同施設の入所者の男性9人、女性10人)、26人が重軽傷を負った事件です。


冒頭に掲げた手記は、この殺人犯の狂気の沙汰、障害者は生きている価値がない存在、<障害者は不幸を作ることしかできません><障害者を大量に殺害する>動機と理由を自身が書いた手紙です。http://twitterism.net/archives/1455


最近私の映画ブログで、DVD特選映画「ナチスとホロコースト」という連載をしていて、障害者の排除や優生思想、ナチの障害者抹殺「T4」の思想背景に関心を持っていました。ヒットラーは過去の負の歴史かと思っていましたが、未だに根づよくあったのものです・・・。それが、ナチズムの思想がこんなところに突然噴出するとは驚天動地です…!!!



9月下旬特選映画【22】★映画のMIKATA「アンナとロッテ」★映画をMITAKA

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再びNHKETV特集アンコール、「ホロコーストのリハーサル~障害者虐殺70年目の真実」をご案内します。先日、9月24日(土)午前23:00~を見逃した方も多いようですので、もう一度、10月1日(土) 午前0時00分~(60分) に再放送がありますので、ご案内します。障害者の生命と人権について、先日の刺殺事件、相模原障害者施設「津久井やまゆり園」殺傷殺人事件」について考えるうえでも、また、「ホロコースト」を知る上でも参考になります、是非録画をしてご観賞して下さい。私も近近、映画ブログ「ナチズムとホロコースト」のテーマでコメントとブックレビューを掲載する予定です。その時は、1930年代ナチス・ドイツの人種政策にコミットした「優生学」の権威、エルンスト・リューディンまで論じたいと思ってます。


この番組の案内は下記サイトで詳しいです。
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259520


「ホロコースト」に関係のあるDVD『アンナとロッテ』をもう一本ご紹介しておきます。障害者虐殺について直接のシーンは少ないのです。が、ドイツ侵略がヨーロッパを席巻した時代、ドイツに住んでいた姉妹が、過酷な運命に翻弄されるストーリです。ドイツのケルンに住んでいた双子の姉妹が主人公です。両親を亡くし、生まれた家から引き取られ、双子の姉妹は別別に引き離されて里子に出される。その一人アンナは、ドイツ国内の遠い親戚だが、アンナを学校にも通わせず、小作人のように労働をさせ、勉強も遊ぶ時間さえ与えない貧しい農家に・・・、もう一人のロッテは、ピアノを習い、教育も充分受けられるオランダの裕福な家庭に・・・、それぞれ別々に引き取られる。映画は、姉妹の過酷な運命の中で成長する姿を描いてます。その中で文盲故に世間はアンナを精薄児とみなしたため、ゲシュタポが「断種」をしようと捜査するシーンがありました。関連の映画として、この番組を見た後にでも是非観賞してみてください…。


アンコール「ホロコーストのリハーサル~障害者虐殺70年目の真実」は、日本の障害者運動を率いてきた藤井克徳さん(視覚障害)がアウシュヴッツ収容所の現場を訪ねるレポートになっています。

10月上旬特選映画【23】★映画のMIKATA「ハドソン川の奇跡」★映画をMITAKA

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10月の特選映画をアップロードします。今月10月初旬は5本を観賞しました。そして、選んだ特選映画1本は、『ハドソン川の奇跡』でした。≪ジャック&ベティ―≫で見た『好きにならずにいられない』も特選映画として選んでいい名作でした。ただ、『ハドソン川の奇跡』の持つ社会的インパクト、ストーリの盛り上がりの波がないなーと思いました。2作品を比較した時に、一人の男の周辺の人間関係だけで描かれた小さな世界なので、やや地味かなー、と感じました。いや、それはそれで、一人の男を深く深く掘り下げることで、人間学の壮大で深遠な視点も描けるのだけれども、ただ私には、「フーシよ、お前はシェヴンを喪ったままで、明日から元のような忍耐強い静かな生活に戻れるのか?」と質問したいです。男ならば、シェヴンをその謎の男から略奪しろ…!と叫びたいです。或は、もしもクリント・イーストウッド監督ならば、一年後に彼女の前に現れて、スリムでカッコいいスタイルで、彼とわからない顔に整形して、誘惑するだろうーね。彼と彼女を殺して、忽然と消え去るだろうーな。人間の「情念」はそんなに淡白でもなく、「復讐心」なんて、そう簡単に忘れられないだろうよーネ。巨匠コッポラ監督の言うようには、「フーシ、君のような人が増えたなら、世界はもっと幸せになれる」と感想を漏らしたそうですが、確かに、人と争うことも、女を奪い合うことも、お金が無駄になったなど後悔しない人間ばかりならば、戦争もないだろうーね。少なくても、私はそんな廃人のような人間にはなれません…。


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1本目は、群雄割拠の戦国、関ヶ原合戦から10年後の、天下統一を着々と進めている徳川家康と、豊臣勢の雄、天下の武将・真田幸村と豊臣秀頼の勢力は、真田十勇士を急先鋒にして徳川に反旗を翻す合戦の時代劇『真田十勇士』(2016年公開、堤幸彦監督)でした。2014年に上演された舞台「真田十勇士」(マキノノゾミの脚本、堤幸彦の演出、猿飛佐助役の中村勘九郎が主演)を映画化した時代劇です。


丁度、NHKの大河時代劇真田丸』(三谷幸喜作)が2016年1月より全50回で放映している影響なのか、この時代劇映画に関心を持って観てしまいました。堺雅人さんが真田信繁(幸村)役を演じる大河ドラマだけあって、豊臣勢の残党にして名将・真田幸村が最強の砦「真田丸」を作りあげるまでの人生を描く戦国ドラマです。NHKの人気時代劇とあって、今の所視聴率は15%から18%前後を推移している。が映画は、コミカルなアニメのようで、合戦のシーンはまるで舞台のようで、映像の迫力は全くなかったです。率直に言って退屈な三流作品でした。


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2本目は、空港の荷物係として真面目に勤務する43歳独身の巨漢、フーシ(グンナル・ヨンソン)が、小柄な女性シェヴン(リムル・クリスチャンスドウティル)と偶然ダンススクールの外でヘビメタを聞いていた時に、強い吹雪の夜に出会い、家まで送ったのをきっかけに彼女に瞬く間に恋に落ちる恋愛映画『好きにならずにいられない (2015年公開、ダーグル・カウリ監督)でした。


43歳独身で女性経験まるでなし、ヘビメタ好きで、戦車や兵士の小さなフィギュアを集めてジオラマを作るオタクで、内向的でコンプレックスを持った冴えない大男のフーシに対して、心に傷を負った孤独な女性・シェヴンに恋する…。花屋のお店を持ちたいと願う彼女のために、内緒のサプライズで店舗を買い、一緒に住むという所まで関係は親しく発展したのに、最後の最後に、無様にも彼女の部屋に男が一人現れ、二人の恋は破断する、というストーリの結末でした。献身的で誠実な大男のフーシの淡く心温まる不器用な恋は実らなかった…。こんなラブストーリは、30代40代の日本人独身男にもよくある失恋ですかーね。激しいセックスシーンも、洒落たウェデングドレスもないハリ

ウッドの恋愛映画とは一味違っう秀作映画でした。


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3本目は、2009年1月15日、鳥との衝突、全エンジン停止という飛行中の危機的トラブルに見舞われながらも、機長チェスリー・サレンバーガー、ニックネーム「サリー」(トム・ハンクス)の機転によってハドソン川へ緊急に不時着して、乗客155人全員が生還した航空機事故の原因究明に迫る奇跡の脱出映画『ハドソン川の奇跡』(2016公開、 クリント・イーストウッド監督)でした。


USエアウェイズ1549便不時着事故後には、ニューヨク市民は、乗客乗務員が全員無事生還の奇跡を讃え、マスコミは初め英雄として称賛した。が次第にその評価も、何故どうして、氷点下6度、水温2度の、凍死する危険のある真冬のハドソン川に、危険を冒して敢えて不時着するのではなくて、近隣の飛行場に安全に緊急着陸しなかったのかー、殺人罪の嫌疑と疑惑も生まれた。


クリント・イーストウッド監督は何を描きたかったのかーな???最終的判断は、国家運輸安全委員会の厳しい追及を受けることになる。飛行シュミレーションでは、飛行場への帰還は可能であった、と結論がでた。が、機長のサリーは、事故直後の人間的な判断の迷いや事故時の衝撃や感覚の躊躇など、30秒の隙間の時間を、シュミレーションの飛行時間にプラスするように要求する…。緊急時の判断は、コンピュータの機械的飛行計算ではなくて、人間的要素を無視しては、「現実」事故時の飛行状況は再現できないー。月に宇宙船が飛び立つ方法も、コンピュータの計算なしには、成層圏から宇宙に飛び出せない。全てが「コンピュータ」が優先される科学時代です。だけれども、そこに人間的な要素、生きている人間の感覚と判断を排除してはならないのだ・・・という教訓カナ。


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カリフォルニア州の漁村で暮らす少年が主人公。子供たちの中で一番背が低いことから「リトル・ボーイ」と言われていた8歳の少年ペッパー(ジェイコブ・サルヴァッティ)は、父親ジェイムズ(マイケル・ラパポート)のようになりたいと思っていた。ある日、扁平足で入隊できない兄(デヴィッド・ヘンリー)に代わり父が徴兵されてしまいう…。 4本目は、、『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』(アレハンドロ・モンテベルデ監督)でした。

メキシコの監督で、撮影もメキシコ・ロサリトのバハ映画スタジオに建てられたオープンセットで行われたようです。しかも、戦地に出兵した父親ジェイムズを生きて帰還させるため、完遂すれば願いがかなうというリストをこなしていく少年と、マサオ・クメ(尾崎英二郎)という日本人が少年に勇気と希望を与える・・・ちょっと珍しいストーリです。結末は死亡通知の届いた父が、戦死ではなくて他人の兵士の爆死と、とり違いだったーという奇跡で終わるストーリでした。ただ私は、あの日本人が主人公の空手の映画「ベスト・キッド」シリーズ(1984年、ジョン・G・アヴィルドセン監督 ) の沖縄人のミヤギ( ノリユキ・パット・モリタ )と弟子のダニエル(ラルフ・マッチオ)を思い出してしまいます。白人と東洋人が主人公の映画のあの「ベストキッド」の水準は超えていないなーと、私は思いました。駄作ではないが、予告編で期待した感動はありませんでした。


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5本目は、暗殺ターゲットを密かに仕留める暗殺者の仕事から事故死を偽装した後、足を洗い穏やかな日々を送るビショップ(ジェイソン・ステイサム)に、武器商人のフィクサー・クレインが、武器市場を牛耳ろうとビショップを操り、暗殺計画を無理矢理を依頼するアクション映画『メカニック:ワールドミッション』(デニス・ガンゼル監督)でした。


ジェイソン・ステイサム主演の『メカニック』シリーズは、「メカニック1」  (1972年公開、マイケル・ウィナー監督)も「メカニック2」  (2011年公開、サイモン・ウェスト監督 ) も観たが、今回は前作以上に面白かったです。同じジェイソン・ステイサム主演のフランク・マーティン役の「トランスポータ」シリーズとはまた違った、男の魅力あふれるアクション作品でした。


今までの2作と違う点は、殺しを請け負うが、武器商人クレインの魔の手から女性を救うためにクレイの敵を暗殺する。恋のために暗殺することは、シリーズで初めてだろうかな…?


(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)







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