今月は切に見たい映画が少なかったので、そこでこれまで見逃した映画5本を、DVDで借りて1日中部屋に閉じこもって一気に見ました。そのタイトルは「6才の僕が大人になるまで」(2014年公開。チャード・リンクレイター監督&脚本)、「唐山大地震」(2010年公開。馮小剛監督)、「福福荘の福ちゃん」(2014年公開。藤田容介脚本&監督 )、「インヒアレント」(2014年公開。トマス・ピンチョンの原作小説『LAヴァイス』。ポール・トーマス・アンダーソン監督&脚本)、「東京難民」(福澤徹三原作小説。2014年公開。佐々部清監督)…でした。その中でも圧巻は「唐山大地震」でした。ちょうどこの映画の公開が迫ったころに、3.11の東北大震災が起こって間もない頃、同じ自然災害の悲惨な被災者の映画なので、影響が大きすぎるというので、上映中止となった…のです。そういえば、あのころは賑やかでどんちゃん騒ぎのお祭りや、ド~んと鳴り響く打ち上げ花火さえ被災者の冥福を祈るために自重する雰囲気になっていたからーね。
この天変地異の大地震や津波などの自然災害よる大惨事と被害を伝えるドキュメンタリー本や映像はたくさんリリースされました。2010年公開のクリント・イーストウッド監督の「ヒアアフター」も不思議な映画だったなー。インドネシア・スマトラを襲った大津波で溺死しそうになったフランスの女性ジャーナリストが経験した「臨死体験」を追及するストーリでした。2011年の東日本大震災で被災した岩手県釜石市の遺体安置所を題材にした君塚良一監督の「遺体 明日への十日間」 (2012年公開)も、あの累々と積まれた死体の山は、凄惨さを通り越して一瞬の津波によってもたらされる人間の「生」の脆さ、「死」の軽さを実感しました。人間の「生死」ってこんなに簡単でいいものかなーと思いました。原子力発電による放射能汚染の問題も含めて、まだ東日本大地震は少しも解決されていないなーと思います。…。
既に新作ではなくなった映画をまとめて見るのも悪くないーな。«地震と津波≫のテーマで映画をコメントしたいし、«医療映画»という括りで「医療とは何
か?」を書いてみたいですーね…。「DVD特選映画」というブログテーマを作ろうかな…。
さて、9月上旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、選んだ特選映画1本は、『わたしに会うまでの1600キロ』でした。

1本目は、事件や事故現場に急行して捉えたビデオ映像をテレビ局に売る報道パパラッチのルイス(ジェイク・ギレンホール)が、より高値で売れる刺激的な映像を求めるあまり、警察無線を傍受しては、警察到着以前に事件現場へ駆けつけ、高級住宅地での発砲殺人事件直後の惨殺現場を撮影、更により過激な映像を狙って、殺人犯を追跡、警察と犯人との逮捕銃撃現場まで映像に捉える 『ナイトクローラー』
(ダン・ギルロイ監督)でした。
有名俳優のゴシップや政治家の不倫交際やプレイボーイ実業家の遊び相手のグラマー女性の生写真を撮って、それを週刊誌や芸能新聞に売って大金を儲けるもの騒ぎなパパラッチの存在は、アメリカではそれを仕事としている人はたくさんいるようです。特に、ダイアナ元英皇太子妃がパリ・アルマ橋のトンネル内で事故死した現場に、片ひざを曲げて後部座席
の床に横たわるダイアナ元妃や、救急隊員がぐったりとした人物を車から運び出す様子を写した事故現場の映像は、一躍彼らの疎ましい存在を一躍クローズアップしました。スキャンダルを狙ったパパラッチの執拗な追いかけが事故の原因だともされています…。
高収入を得る財界の人脈も家族も、注目を浴びる技術も得意な分野での実績もなく、社会のハイソサイティーにもぐりこめる学歴も身分も家系もない青年・ルイスにとって、単にビデオカメラ一台を持って深夜の都会を徘徊し、ハイエナのように衝撃的な事件現場の獲物を撮影するだけで一獲千金の仕事にありつけるパパラッチは、唯一のアメリカンドリームであった…。私には、パパラッチが映画の主人公として登場すること自体が斬新で、新しい映画の主人公
の出現のような気がします。
2本目は、シェリル・ストレイドの自叙伝『Wild: From Lost to Found on the Pacific Crest Trail』を原作にしたアメリカ女性の自己発見のTRIPな映画『わたしに会うまでの1600キロ』(ジャン=マルク・ヴァレ監督)でした。
1600キロといえば、仙台市から鹿児島市までの日本列島を縦断するような驚くような距離です。私はこの映画を見たとき真っ先に、女性が自分を見つけるために主人公・リズ(ジュリア・ロバーツ) が一人でインドの各地を旅する「食べて、祈って、恋をして」 を思い出しました。
この映画も、母の死の悲しみに耐え切れずに夫と離婚、酒と麻薬と行きずりの男とのセックスに溺れる破綻した私生活を清算して、新しい自分を再生するために「PCT」に旅立った、そんな自分を再発見する映画です…。主人公のシェリル・ストレイド(リース・ウィザースプー ン)が、食料と水とテントとシラフと本と燃料などを詰めた重たいフレームザックを背負ってテクテクと砂漠と雪道と山脈の続く自然道コースを歩く「PCT」(Pacific Crest Trail)とは、初めいったい何なのかな?と思いました。アメリカ合衆国の長距離自然歩道のようです。アメリカには、同じようなこんな長い遊歩道が他に、「アパラチアン・トレイル」、「コンチネンタル・ディヴァイド・トレイル」という三大長距離自然歩道があるようです…。
私は未だ見てないのですが、オーストラリア西部の3,000キロに及ぶ砂漠を7か月間かけて単独横断した24歳の若い女性・ロビン(ミア・ワシコウスカ)を主人公にした『奇跡の2000マイル』(ジョン・カラン 監督)という映画があるそうです…。ところが、近隣では上映していないんですーね!
二人の女性は荒野を一人過酷な「旅」をした後で、自分の何を発見したのだろうか…。私には、『わたしに会うまでの1600キロ』を見た後でも、それがはっきりと分からなかった。女は「男」がいなくても生きていけるということかなー、それとも、一人孤独と寂寥感を噛みしめる長い旅を体験したことで生きることの新鮮さを再認識したのかー、それとも…???
映画全編に流れる「サイモンとガールファンクル」の音楽は、この映画によく合っていました。やはり彼らの「詞」は心の弱さや挫折を飾らず率直にメロディーに乗せて吐露する歌だからだろうかな…。
3本目は、新宿と箱根駅間を走る特急ロマンスカー内でコーヒやアイスやお弁当を車内販売するアテンダント、26歳の独身・北條鉢子(大島優子)が主人公にしたコメディー映画『ロマンス』(タナダユキ監督)でした。
ある日、鉢子のもとに音信不通だった男好きの母・頼子(西牟田恵)から手紙が届いていた。映画ではたまたまその心が動揺した日と、いつも通り仕事をしていた彼女の台車に手を伸ばして商品を万引きする怪しげで飄々とした映画プロデューサー(大倉孝二)と偶然に1日母を捜し、一晩をラブホテルで共にする珍事が重なることになる…。
先日観た「海街daiary」の綾瀬はるかの演技を見たときに、綾瀬はもうアイドルではなくて女優だな…と思いましたが、この映画を見てさらに、大島優子も最早AKBのアイドルではなくて女優だなー、と見直しました。まだまだアイドルの演技と感じるのは、何度見ても堀北真希でかーね。あれはあれでどうしょうもない彼女の持ち味なのかな…?映画プロデュサー役の大倉孝二の独特の雰囲気がイイなと思いました。暇とお金に余裕があったら、観賞してください。
ドラマでお馴染みの刑事ものドラマシリーズの劇場版第3弾ですが、シリーズが長く続き続編が尾を引く程にストーリは複雑怪奇、支離滅裂になってきた『アンフェア the end 』(佐藤嗣麻子監督)でした。24歳差で結婚した舞台俳優・市村正親さん(65歳)と二児を出産したにもかかわらず、篠原涼子(41歳)の体のラインが少しも崩れていない。劇場版観賞で唯一収穫だったのは、シャワーを浴びるヌード姿を見れたことかな…。
先日も『アンフェア the movie』(2007年3月公開)の続編となる映画版『アンフェア the answer』が(2011年9月公開)がTVで放映されていました。雪平の娘・美央が爆破事件に巻き込まれ、病院に運び込まれ、その病院がテロリストに占拠されるという事件に、雪平が救出と解決に命をはるストーリでした。寧ろ映画版のシリーズ第3弾は、TVストーリに回帰して再び、ネットの「×サイト」に…雪平の復讐が始まった…の新しい謎の言葉から始まる。よくこれだけの単純なストーリをシリーズとしてズルズル延ばしたなーと呆れています。the end とタイトルになってるんですから、もう終わりですね…。
実は私は、誉田哲也原作の刑事ドラマ『ストロベリーナイト』の女刑事・姫川玲子役の竹内結子が大好きです。あの映画版をもう一度あと一本制作してほしいと望んでます。第一ね、あんな拳銃をぶっ放す雪平夏見の女刑事役篠原涼子は現実味が少しもありません。何度見ても好きになれない刑事役でした…悪しからず!
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