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Channel: 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・
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2月DVD特選映画【8】«医療と映画≫★映画のMIKATA「コンカッション」★映画をMITAKA

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特選映画という新しいブログ タイトルを以前作りまして、医療関係の洋画邦画のDVDのテーマを決めてまとめてたくさん見ました。そこでとりあげた作品を下記に洋画8点邦画11点を整理のために列挙しておきました。それぞれのコメントに関しては古い下記アドレスをご参照ください。(http://ameblo.jp/sasuganogyosui/theme11-10093302434.html)

今回は、もう既に映画館で公開された2015年公開の「医療の映画」の作品2点をDVD観賞の上…、洋画では「コンカッション」、邦画では「いしゃ先生」を掲載しました。いずれも評価の高い医療分野の作品なので追加掲載しました…。このテーマは、今後も継続して追加掲載するつもりです。まだまだ、私の知らない名作・傑作が「医療の映画」のテーマでとりあげても良い作品があるかもしれません。もしも隠れた名作傑作があるならば教えてください…。

 映画は、昨日と今日の現実と、歴史の悲劇と、未来への喜びと笑顔を映す鏡です。邦画でも洋画でもたくさんの医療ドラマがTVでも映画でも、毎日公開放映されています。その中には、医療とは「どうあるべきなのか…」とか、「医者はどうあるべきなのか…」という問題の片鱗が含まれている筈です。私が今まで選んだ特選映画、例えば、日本の医療が今進んでいる方向は「何か?」とか、医師会や厚労省の医療制度は、「どうなっている?」とかの関心から、市場原理によって利潤追求をとことん進める「医療の企業化」の最先端としてアメリカの医療制度を真っ向から批判した『シッコ』のドキュメンタリ―や、高度医療技術と高額化する治療費、それに伴う保険制度の矛盾を描いた「ジョンQ」も名作でした。特に、アメリカで新しい大統領の就任直後、この問題を解決しようと元大統領が医療改革を進めていた「オバマケア見直し」が大統領令によって撤回され、命の値段が医薬企業や大手保険会社より左右されるアメリカの保険制度が、トルンブバカ大統領のために、深刻な問題となりました。イスラム系の「入国禁止令」「TPP」側近スタッフの話題ばかりで、医療制度を日本人のマスコミは話題にしませんーネ。また、臓器移植にまつわる「尊厳死」とか「死」の判定、また、群馬医大の腹腔鏡手術の失敗と死亡の隠蔽を聞くと、医師の使命とか倫理などを考えさせる映画として『赤ひげ゜』や『孤高のメス』も傑作でした。これらの名作傑作を踏まえて、この「医療の映画」を掲載します…。


 今TBSで医療系のドラマ、キムタク主演のTVドラマ「A LIFE 」が放映されています。「A LIFE」の見込んでいた視聴率の数字は20%でしたが、第1話14,2%、第2話14,7%、第3話13,9%と、必ずしも期待どりに行っていない…。やはり、私が見る限り、医療の現実をドラマにしていないな・・・と思いました。主演の木村拓哉の演技だけが悪いともいえません。確かに、検事役のTVドラマ&映画の「HERO」で演じた、アウトローで個性的で自由な役柄、検事役久利生公平と全く同じぶっきら棒だか、有能な職業人の性格・演技と同じですーネ!!!「HERO」の検事役と「A LIFE 」の外科医沖田は、まるで金太郎あめです。それに、今時病院内の人間関係や不倫や権力争いなど、もうカビが生えているテーマですーヨ。TVドラマの脚本家やディレクターの目は曇っています、現実の医療現場を見ていない、頭の中は1960年代に生きているのか?!

 

★«洋画DVD≫<<<<<<<<<<<<<< 


①「レナードの」(1990年公開。 ペニー・マーシャル監督)
②「ロレンツォのオイル/命の詩」(1992年公開。監督:ジョージ・ミラー 。脚本:   ジョージ・ミラー、ニック・エンライト )。

③「パッチアダムス」(1998年公開。トム・シャドヤック 監督)
④「シッコ」(2007年公開。マイケル・ムーア監督)。 

⑤「アフェイク」(2007年公開。ジョビー・ハロルド監督)

⑥「ジョンQ -最後の決断-」(2002年公開。ニック・カサヴェテス監督)

 ⑦「21グラム」(2003年公開。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)  

⑧「小さな命の呼ぶとき」(2010年公開。監督:トムボーン。脚本:ロバート・ネルソン・ジェイコブス 原作:ジータ・アナンド)

⑨「コンテイジョン (2011年公開。スティーヴン・ソダーバーグ監督) 


⑩「コンカッション」(2015年、ピーター・ランデズマン監督)…引退したアメリカンフットボールの選手たちに頻発する、謎めいた死の真相に挑むナイジェリア人医師・ベネット・オマル(ウィル・スミス)は、ナイジェリアからアメリカへと渡った検死官として働いていた。オマルは、地元出身の元ピッツバーグ・スティーラーズのスター選手、マイク・ウェブスター(デヴィッド・モース)がアメリカンフットボールのプロリーグNFLを引退した後で変死解剖を担当することになった。野球と並ぶアメリカの国民的スポーツ、日本人の相撲と同じ「国技」ともいえる競技です。絶大的な人気とファンを持つアメリカンフットボールの選手たちが、コート内でゴール目指して肉弾を衝突しあう、あの激しい攻防によって、選手たちの脳骸骨内の「脳」が衝撃によって「慢性外傷性脳症」が発症し、選手に奇妙な後遺症を残す…ことが明らかになってきた。しかし、NFLは、プロスポーツリーグの中で最も人気のあるゲームであり、1試合の平均観客動員数が6万~7万人超の熱狂的なファンが群がる。プロスポーツリーグの中でも年間シーズン収益は、120億ドルを記録する経済的効果もあった。こんなアメリカ最大のスポーツイベンに真っ向から「危険」のサインを出したオマルは、医師会と連盟から猛反撃を受ける…。でも、この映画を見終わった後、今は「危険」なスポーツではないのかな、と疑問がわきました。やはり、巨額な利益のために、死の危険を承知で連盟と選手は続けているのだろうかな???日本では、そんなことが報道されたのかな…???  


★≪邦画DVD»<<<<<<<<<<<<<<
 


 ①「赤ひげ」(1965年公開。黒澤明監督。山本周五郎原作『赤ひげ診療譚』。小国英雄 他脚本) 

②「白い巨塔」(1966年公開。山崎豊子原作小説、山本薩夫監督。橋下忍脚本) 

④「震える舌」(1980年公開。 野村芳太郎監督) 

⑤「チーム・バチスタの栄光」(2008年公開。医師・海堂尊の原作小説。中村義洋監督 ) 

⑥「ディアドクター」(2009年公開。 西川美和監督)⑦「孤高のメス」(2010年公開。成島出監督。大鐘稔彦原作。加藤正人脚本) 

⑧「神様のカルテ」(2011年公開。医師・夏川草介の原作小説。深川栄洋監督) 

⑨『終の信託』(2012年公開。周防正行監督) 

⑩「救いたい」(2014年公開。神山征二郎監督)
⑪「風に立つライオン」 (2015年公開。 三池崇史監督)。




⑫「いしゃ先生」(2015年、永江二朗 監督) ・・・第2次世界大戦後の冬は雪深く、依然、神仏や呪術で急病を癒やそうとする病気に対する偏見と、、貧しい農民の多い山形県の無医村が舞台です。東京で医療の勉学に励む志田周子(平山あや)は、山形県大井沢の村長である父・荘次郎(榎木孝明)に、無医村の故郷の村でなり手のない診療所で3年間だけ医師を務めてくれと頼まれる。盲腸や結核で人が死ぬ無医村の僻地は医療は、大変だろうな。しかも、地方には、いろいろな感染病「風土病」がある…。山梨県甲府盆地の低湿部には中心巻貝の一種であるミヤイリガイ(宮入貝)に宿る寄生虫が媒介する「日本住血吸虫」が…、和歌山県の紀南地方には、「牟婁病」と呼ばれる水が原因で発生するとされる「筋萎縮性側索硬化症」(ALSまたはアミトロ)が発生していた…、新潟県、山形県、秋田県には、土壌昆虫の卵などを捕食する、0.2ミリほどの大きさの捕食性のダニ・ツツガムシの幼虫が媒介する「ツツガムシ病」が゛あった…。「エイズ」以外にも、その原因と治療方法と完治させる治療薬の研究開発の待たれている難病はたくさんあります。こうしたいろいろな難しい「病気」に、医者は無力ですーネ。医者が資本の論理に基づいて算術で医療に携わったら、人間のための医療は崩壊しますーネ。


今、アメリカの医療系ドラマの『ER緊急救命室』(原作はマイケル・クライトンの『五人のカルテ』)が再放映されています。 NBC放送で1994年9月9日から2009年4月2日にかけて331エピソードが放送されたそうです。ただね、昨今の日本の医療系ドラマのほとんどが、勿論、TBSの「A LIFE 」もこれを超えていないのです!!!寧ろ、超えるどころか難しい病名と治療説明ばかりで、お粗末なのです。恋愛と不倫とコメディーしか制作しなくなった「TV」の脚本家とディレクターは、恥ずかしくないのかな…。私は、何時手術ロボット「ダヴィンチ(ISGK)」が医療ドラマに登場するのを待ち望んでいるのですが、なかなか登場しないですーネ。私の知っている限り身近な川崎市立病院で導入したようです…ネ。今の所、医者が機械操作の練習のため、保険が適用されるので前立腺がんに多用しているのかな。因みに、ダビンチSiモデルの実勢価格は、税別2億4800万円らしいです。なんならば、ドラマ中の難しい脳腫瘍除去の脳外科手術に使ってほしいな…。

尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…



2月下旬特選映画【9】★映画のMIKATA「LA LA LAND」★映画をMITAKA

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映画監督の鈴木清順さんが2月13日、慢性閉塞性肺疾患のため93歳で死去しました。『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』、『夢二』など、独特の色彩感覚の映像作家でした。ご冥福をお祈りいたします。




もTVでの過剰な映画宣伝に操られて日曜日の夜に「ラ・ラ・ランド」を観に行きました。それも昼間は混んでいると予想して、敢えて遅い上映時間を選びましたが、客席は満員でした。あれだけアカデミー賞のノミネート作品、受賞間違いなし・・・と垂れ流しのTV宣伝をされては、ふだん映画など無関心でも、否応なく好奇心は沸騰しますーヨ。一つ言えることは、国民(世論)はTVなどのマス媒体を使えば簡単に操作できる…敢えて言えば、日本の大手映画配給会社の姑息な深謀遠慮なのかな…!!!元々は、傾いたハリウッドの映画業界から始まった映画界隆盛のためのPR宣伝でした。単に映画は作品の出来栄えだけでなくて、新しい映画論で作品にアプローチする必要があるのかも知れませんーネ。


ただ面白いことに、第89回アカデミー賞の授賞式は、舞台上で発表作品を取り違える漫才のようなミスとズッコケが起こってしまった。もしこれを演出した人がいるならば、物凄い脚色とプロデュースだな…。ハリウッドのアカデミー賞は、結局、作品賞が『ムーンライト』(バリー・ジェンキンス監督)が獲得ー、ミュージカル映画「LA LA LAND」(デイミアン・チャゼル監督)は主演女優賞、監督賞になどを受賞した。しかも授賞式は、イランなど7カ国からの入国を禁じる大統領令に抗議するトランプ批判の雰囲気に満ちていた。アスガー・ファルハディ監督のイラン映画「セールスマン」が外国語映画賞に選ばれ、授賞式では司会者や受賞者からトランプ大統領による「移民国家」アメリカ社会の分裂をもたらす対イスラム、対メキシコ政策への批判や皮肉が相次いだ。未だアメリカのデモクラシーと言論の自由は健在でしたーネ。流石に、スタッフにユダヤ人と黒人と移民と「LGBT」の多いハリウッドだな…と 、感心しました。それにしても、早く「ムーンライト」を見たいですーネ・・・!!!



少し遅れましたが、漸く2月下旬の特選映画をアップロードできました。今回4本を映画館で観賞、選んだ特選映画1本は、『ラ・ラ・ランド』でした。残念ながら、2月も邦画に傑出した作品はなかったです。邦画では勿論、石川慶監督の『愚行録』も観ましたが、私にはストーリ展開がこんがらがっていて、映像のテーマは何なんだ…と見乍らただ苛立っただけで、見応えはありませんでした。


今月2月は、「ドクター・ストレンジ」「スノーデンザ・コンサルタント」「新宿スワンII」「相棒-劇場版IV」「サバイバルファミリー」★「マリアンヌ 」「未来を花束にして」「トリプルX:再起動」★「ラ・ラ・ランド」「素晴らしきかな、人生」「愚行録」…など通算で12本を観賞しました。


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1本目は、お馴染みのNSAのエージェント、ザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)、コードネームは「xXx(トリプルX)」が、危険な敵の手に渡ってしまった世界中の軍事衛星を意のままに操作できる装置を奪還する『トリプルX:再起動』((2017年、D・J・カルーソー監督)でした。 


ヴィン・ディーゼルといえば寧ろこれまで8作品制作されているロングランのアドベンチャー&アクション映画『ワイルド・スピード』シリーズ(原題:THE FAST AND THE FURIOUS、監督:ロブ・コーエン1作目、ジョン・シングルトン2作目、ジャスティン・リン3-6作目、ジェームズ・ワン7-8作目)の主演俳優としての方が最もポピュラーです。「ワイルドスピード」シリーズはカーアクションの醍醐味が見せ場ですが、「トリプルX」はオートバイとスケボーの迫力あるアクションが見せ場です。どちらも、ヴィン・ディーゼルの持ち味を十二分に生かした作品です。

トレードマークは首の後ろに彫った「xXx」の入れ墨。自分のプレーをビデオ撮影して、ネットで販売していた。それが、危険で冒険好きで体を張った向こう見ずな無法者の若者たちから熱狂的な人気を得ていた。どんな危険な身体ゲームも難なくこなす驚異的な身体能力と冷静な判断力が、NSA(国家安全保障局)のエージェント、ギボンズの目に留まった。第一弾では、違法ビデオゲームの撮影のために上院議員のシボレー・コルベットを盗んで乗り回した上、橋から落として壊した罪で、刑務所に入るか、それともシークレット・エージェントになるかの選択をギボンから迫られ、強引にエージェントに任命された。ケイジへの指令は、チェコの犯罪組織「アナーキー99」潜入して、ソ連崩壊の際に犯罪集団に流れた化学兵器を使って、集団テロの陰謀と対決することであった。そして、第二弾の今作の指令は、軍事衛星を自由に操作できる装置を奪い返すことにあった。FCバルセロナ所属のサッカーブラジル代表のネイマールと会っている時に、宇宙空間の衛星がギボンズをめがけて落下して来る。

   

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2本目は、夢を追う人若い二人がロサンゼルス・ハリウッドで偶然出会い、夢と現実が儚くも悲しく交錯するミュージカル仕立ての悲恋のラブストー映画『ラ・ラ・ランド』(2016年、デイミアン・チャゼル監督)でした.二人の夢の一つは、何度も映画のオーディションに落ち、その都度希望を膨らませながらも何度も落とされて夢は萎え、意気消沈している女優の卵ミア(エマ・ストーン)と…、もう一つはクリスマスの夜に、レストランで食事をしているお客のBGMとして、気の乗らない他愛無いクリスマスソングを弾いているが、しかし、いつか自分のジャズの店で好きなジャズを思うままに弾けるジャズライブバーを開くことを夢見てるジャズピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)でした。


映画は、何度も繰り返し流していたTVの予告編と同じ映像から始まるオープニングのダンスシーン…でした。大渋滞しているロサンゼルスの高速道路で、オーディションに遅刻しそうなミアと、生活のためのアルバイトに行く途中のセバスチャンが時間を気にしながら、そんな苛立ち吹き飛ばすように、道路で身動きのできない車から、皆が次々に道路に飛び出して、息のそろったステップで歌って踊るダンスシーンがありました。長く延びる高速道路の上を縦横無尽に踊りまわるシーンは、私でなくてもどうやって撮影したのかな…と驚きます。私でも知っている往年の懐かしいミュージカルヒット作、例えば『ウエスト・サイド物語』(1961年公開、ロバート・ワイズ&ジェローム・ロビンス監督)、シェルブールの雨傘』(1964年公開、ジャック・ドゥミ監督)、、『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年公開、ロバート・ワイズ監督)等が記憶に甦ります。1960年代は、華やかなミュージカルの傑作が多かったです…ネ。


映画は、セバスチャンとミアが出会う≪winter≫から二人の熱い恋が始まった。二人の恋やがて≪春≫に移る。夢を実現する為にセバスチャンはキースのバンド「メッセンジャーズ」に入り、稼ぐために地方巡業の旅に明け暮れ、二人はすれ違いが続く≪夏≫に移る。それはセバスチャンの目指す古き良きジャズとは大きくスタイルが異なっていたが、稼ぐために割り切った。セバスチャンのバンドは次第に人気が出て、別々の時間が多くなった。ミアはミヤで自分で書いた脚本で一人芝居の舞台稽古に専念していた。が、一人芝居は不評で失敗に終わり、自分の才能に見切りを付けてネバダの実家に帰ってしまった。やがて≪秋≫に移り、映画関係者から、映画のオーディションがある連絡がミアの携帯に入る。二人の夢は、紆余曲折の末に現実に近づいたが、二人は別別に離れて夢を実現していた。5年後の≪冬≫に再び戻るストーリ構成でした。ラストの「冬」に、映画スターになることを夢見ていたミアと、自分のジャズの店で好きなジャズを弾くことを夢見たセバスチャンは、別れ別れになって、もはや別々の人生を歩み始めた5年後の夜、彼女は子供をベビーシッターに預けて夫と食事に出かけた時、偶然一件の懐かしい音楽の流れるお店に入る。お店の壁に昔、ミアがキースのために考えた店名とロゴ「SEB'S」の看板があった。ラストシーンで、映画の中の映画シーンで、セバスチャンとミアは結婚して、平和な家庭で家族団欒を過ごす映像が流れる…。二人の恋は悲恋に終わって、映画の中で実を結ぶこととなった…のかな。

 

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広告代理店の代表として成功を納めてたハワード(ウィル・スミス)だったが、愛する6歳の娘を脳腫瘍で失った悲劇を機に、仕事への意欲も生きる甲斐もなくし、絶望に沈んでいた。3本目は、そこから立ち上がる人生ドラマ『素晴らしきかな、人生』(2016年、デヴィッド・フランケル監督、アラン・ローブ脚本)でした。まだモノクロの古い映像で、同じ題名のアメリカ映画『素晴らしき哉、人生!』(原題:It's a Wonderful Life。1946年公開、フランク・キャプラ監督)を私は彷彿してしまいます。このウィルスミス主演、デヴィッド・フランケル監督の作品は、可なりフランク・キャプラ監督ジェームズ・ステュアート主演の「素晴らしき哉、人生!」を意識して、むしろ私はリメイク作品とも思えました…。

もう既にこの映画を名作の記憶にストックしている映画ファンは多いだろうが、未だ見たことのない方のために、或は昔を思い起こす為に物語を少し紹介しておきます。1945年のクリスマスイブ。ジョージ・ベイリー(ジェームズ・ステュアート)という男がニューヨークのベドフォード・フォールズという町で自殺を図ろうとしていた。彼を救いたいという周囲の人間の祈りが天国まで届き、翼をまだ持っていない二級天使のクレランス(ヘンリー・トラヴァース)が翼を得るために彼を助ける使命を引き受ける。自殺の動機はこうだ…、さまざまな不運がジョージを襲い、多額の借金と負債に打ちのめされて、最早苦しんで生きることに絶望して、通りかかった橋で投身自殺をして保険金を手にいれることを考える。が、彼が飛ぶ直前に老人に扮した天使のクレランスが川へ飛び込んだジョージを助ける。「生まれなければよかった」という彼のために、天使は「それでは望み通りにしよう」と言い、ジョージが生まれなかった場合の世の中を見せるのだった。そのもしも・・・という自分の居ない人生を夢現に眺めた末、後悔の中で自分の人生は素晴らしかった、と気づき、ジョージは橋の上で「元の世界に戻してくれ、もう一度生き直したい」と願う。元の現世へ戻ったジョージは再び家族の元に帰り、妻の呼びかけで町民や友人たちが彼のために紛失した8000ドルを寄付してくれる…という物語でした。


ニューヨークの広告代理店で出世したハワードは、初めに社員に向かって「どうして皆さんはここに居るのか?」と、問いかけ、会社で働くことも広告を作ることも、「人と繋がりたいからだー」と説く。人と関係を持つことはー、「時」と「愛情」と「死」が人間関係の大切な3つのキーワードという。彼が会社をも失う悲しみのどん底で自分の殻に閉じこもっていたときに、彼の同僚たちは、彼を再び仕事と家庭に戻そうと奇策を仕掛ける…。悲しみに打ちひしがれたハワードは、悲しみを癒すカウンセリングの手段として「時間」「愛」「死」に宛てた手紙を書く。それを知った同僚たちは、潰れそうな劇団の公演費用を支援する代わりに、悲嘆にくれるハワードの前に、「死」(ヘレン・ミレン)を演じる役者、「時間」(ジェイコブ・ラティモア)を演じる演技、「愛」(キーラ・ナイトレイ)を語る俳優を彼の前に登場させ…、彼の娘を喪った悲しみを受け入れられる祈りと救い与える。その結果、喪失の過去から生きる意味を見つけて立ち上がる…。

ハワードの前に。「時」「愛情」「死」を象徴する3人の奇妙な舞台俳優たちが現れ、彼と対話する…、彼らとの幻想的な出会いにより、ハワードの人生に転機が訪れる心温まる人生ドラマでした。いわば3人の俳優が天使のクレランスで、「時」「愛情」「死」の3つのキーワードが、彼の人生を追想させて、人生の意味をもう一度取り戻した…。ただねー、私は面白くなかったですーネ。原作あるのかー?ないならば脚本が最低でだめですーネ。けれども、妙に細かい演出ばかりに、私は感心してしまいました。例えば、会社の事務所を意気込んで飛び出す時に、部屋いっぱいに並べたドミノがガラガラ倒れ崩れる瞬間の心の崩壊感は見事な脚色です…ネ。


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4本目は、一年前に起きた未解決の一家殺人事件…、商社のエリート会社員・田向浩樹(小出恵介)と、大学の同期生だった妻・夏原友季恵(松本若菜)と娘の一家全員が何者かに惨殺された事件を執拗に取材する雑誌記者・田中武志(妻夫木聡)が主人公のミステリー映画『愚行録』(2016年、石川慶監督)でした。初めは、2000年に世田谷で現実に起きたい一家4人殺人事件をモデルにしているのかな、と思いましたが、未解決という点ばかりでなくて、もう一つ育児放棄で逮捕されて、今、刑務所に収監されている雑誌記者・田中の妹・光子(満島ひかり)が、ミステリーの横糸で登場しているので、少し事件展開は違っていました。

ミステリー作家の貫井徳郎の作品は『乱反射』しか読んでないし、またこの映画の原作を私は読んでませんので、脚本の出来不出来の問題もあるので、尚更に何ともハッキリ作品について批判できないのですが…、文慶大学?(慶応大学かな?)の同期生の一人であった妹の光子が、精神分析医の部屋で独り言のように告白していたこの未解決事件の真相…、田向と結婚した夏原に嫉妬して自宅の勝手裏から侵入して、台所の包丁で次々と刺し殺した…という映画ストーリの展開は、ちょっと最後に唐突過ぎる結末だな、と感じました。もうひとこと言えば、この事件を追い掛けて記事を書いていた雑誌記者・田中に対して、妹・光子をこの事件の関係者の一人にすることは、ややストーリの糸を複雑にしてしまい、ストーリを怪奇にしているのではないのかーナ


私は映画を見乍ら同じ大学生を主人公にした浅井リュウの直木賞受賞小説『何者』(三浦大輔監督)と、それを原作にした映画をどうしても思い浮かべ比較してしまいました…。「何者」は、何者の苦悩を顕在化しているのか…。女の善(母性愛と献身)と悪(嫉妬心と犯罪)、心の中に渦巻く男の眼を核にした心の嵐を描いたにしても、果たして「愚」なるものは、男なのか女なのかーナ、人間存在そのものを「愚行」と言っているのか…。そう言えば、これまで「親殺し」というテーマの小説も映画もあったが、「母親の子殺し」を正面から映像化した作品があったかな…。しばし私の頭を悩ませました。


この作品の舞台となった大学キャンパスが、もしも「慶応」大学をモデルとしているならば、むしろ私は歪になったエリート意識を描き切っていないな…と思いました。幼稚舎から小学校中学高校大学と一貫教育のある「慶応大学生」は、よく芸能人の子息子女たちがこの一貫教育の揺り籠の中で育てられ、金持ちの家柄とエリート意識の集団になっているのだろうかーと容易に想像できます。途中から大学に入学した学生は、この映画のような劣等感と競争意識があるのかもしれないな…。以前、慶応大学では葉山の合宿所で女子生徒を集団強姦した事件がありましたが、慶応医学部の学生など、異常に歪んエリート意識があるのではないかと想像します。もう少しこの辺りを映画にしてほしいです…!!!


   

 

尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


3月上旬特選映画【10】★映画のMIKATA「彼らが本気で編むとき」★映画をMITAKA

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  3月上旬の特選映画をアップロードします。今回3本を映画館で観賞、今月3月に選んだ特選映画1本は、LGBTを主人公にした『彼らが本気で編むとき』でした。


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死刑囚のカラム・リンチの祖先はルネサンス期スペインで、テンプル騎士団から「エデンの果実」と呼ばれる、人間の自由意思をコントロールする秘密が隠された禁断果実を守る伝説のアサシン教団のアサシン・暗殺者だった。死刑台の上で執行の断末魔を迎えていた。しかし、次に目を覚ました時、アサシン教団に属する科学者の施設にいた。科学者たちは、遺伝子操作によってDNA組織に眠る彼の祖先の記憶を呼び覚まし、1942年にスペインでアサシンとして活躍した祖先の記憶と経験を追体験する実験台となった…。


1本目は、アサシン教団の遺伝子操作によって、現在と過去を行き来して、歴史の裏に隠された歴史の謎を解くため過去を追体験する、コンピュータゲーム「アサシン クリード」のキャラクターとストーリーを映画化したしたミステリー&アクション映画『アサシン クリード』(2016年、ジャスティン・カーゼル監督、マイケルレスリー脚本)でした。人間の無意識に潜む体験の裏に介入して、人格と行動を操作したり、無意識の催眠状態がそのままバーチャルリアリティーとなって、仮想現実の中で、仮想舞台で闘い攻撃し殺し傷つく仮想経験する・・・等々の映画はありましたが、「アサシンクリード」はリアリティーをさらに増幅させる一枚歴史の「謎」を被せた映画でした。アクション&アドベンチャー映画とはまた違った醍醐味がありますーね。


中世史には謎に満ちた秘話が残されています。コンピュータゲーム「アサシン クリード」の元となったキャラクターとストーリーを楽しむためには、少なくとも十字軍の歴史的意味と、中世ヨーロッパに伝わる都市伝説で、敵対勢力や十字軍の要人を暗殺する集団がイスラム教の一派、イスラム教シーア派のイスマイル派系ニザール派に存在した秘話の予備知識がないとーナ。この暗殺教団の伝説には、暗殺者に大麻(ハシシ)を服用させて、暗殺を実行させたとうエピソードが残っていました。ハシシを吸う者、アサシンの語源になった伝説です。予告編通りに、見応えのある作品でした。




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2本目は、母としてよりも女としての「恋」に忘我して、11歳の小学生・トモ(柿原りんか)を一人マンションに残してたびたび育児放棄、突然男と失踪する母親の代わりに、トモ(柿原りんか)を引き取り面倒を見る叔父のマキオ(桐谷健太)と、彼の恋人でトランスジェンダーのリンコ(生田斗真)との、3人の奇妙な共同生活を描いた人間ドラマ&家族&「LGBT」映画『彼らが本気で編むとき』(2017年、荻上直子監督&脚本)でした。

 

母親の愛情を生まれてから一度も知らない孤独な少女・トモは、彼女の好きな切り干し大根などの美味しい夕食の手料理やタコウィンナーなどを詰めた手厚いお弁当を作るトランスジェンダーのリンコに対して、母以上に母親の愛と家庭の温もりを感じるトモだった…。108個の毛糸で編んだペニスを海岸で燃やし、リンコは、トモを家族の一員として迎えるために性転換手術を受けて、完全な女の肉体になり、マキオと夫婦になりたいー、トモを養子に迎えようと決心するのだが、再び突然母が戻ってくる…。






邦画にもとうとうトランスジェンダーを主人公にする、家族とは「何だ?」という問いを現代に突き付ける近代的家族論から一歩踏み出た映画が公開されたか…と、ビックリしました。しかも、原作小説などなくて、荻上直子監督みずからの脚本のようですーネ、凄い…。


この『彼らが本気で編むときは』の制作動機につて、何故今回、トランスジェンダー(出生時に診断された性と自分が認識する性が一致しない人)の問題を正面から取り上げようと思ったのかを、"荻上直子 × 桐谷健太インタビュー"の中で、・・・きっかけはすごく身近な経験というか、疑問で、前作『レンタネコ』(2012年)を撮り終えた後、文化庁の新進芸術家派遣制度でアメリカに留学させてもらったんですね。向こうで暮らすとLGBT、いわゆるセクシュアル・マイノリティの友人が普通に増えていたんです。もちろん環境にもよるんでしょうが、少なくとも私の周りではみんな、構えることなく当然のこととして受け容れていました。それが日本に帰国したとたん、視界からさっと消えてしまった印象があって。『え、これって何なんだろう?』と(疑問に思った)・・・テレビをつけると、“オネエ”と呼ばれるタレントさんがたくさん出演していて。日本でも何となくLGBTが市民権を得たような雰囲気もありますよね。でも、本当にそうなのかなって。で、そんな疑問を抱いていたとき、ある新聞記事を目にしたんです。そこにはトランスジェンダーの息子のため、胸に着ける“ニセ乳”を作ってあげたお母さんの話が紹介されていました。そのお話を読んだとき、自分のなかで新しい映画への思いが膨らんでいきました。トランスジェンダーの人がただ悩んでいるのを描くんじゃなく、ときには傷付きながらも、現実にしっかり生きてる姿を映画にできないか・・・と、きっかけを明かしています。詳細は下記アドレスのインタヴュー記事をお読みください。http://www.neol.jp/culture/53819/2/


 

まあー、言ってみれば浮気や不倫や離婚やシングルマザーは近代的な家族論を少しはみ出たトラブル、その手枷足枷に踠いてる男と女と(出産嫡子の)子の永遠のトライアングルの中のドラマですが、「LGBT」の映画『彼らが本気で編むときは』は、また突出した異色の作品です…。明治の時代背景ならば、政治家や財界人や伝統芸能の師匠など、格式と地位を持つ金持ちの男は「妾」を持つのが当たり前、男は伝統と封建的な「家」を存続する為に、「女」はある意味で家督を譲る男子を出産する道具でもあったーのだがね。現代は未だ封建的家族制度の曲がり角の先にあるといってもいいです。荻上直子監督の他の作品も鑑賞したくなりました。「LGBT」は、その儒教的家族制度に対しての背信、或は、キリスト教文化圏では宗教的背徳なのかもしれません…ね。これについては、他の映画も含めてもう少し別の機会にコメントしたいです。


マキオ役の桐谷健太のこんな優しい演技を見るのは初めてでした、どちらかというと体格も容姿もがっちりとしていて、男らしい雰囲気でやくざ映画にぴったりのキャラクターですーネ。また、恋人でトランスジェンダーのリンコ役に、まさか二枚目俳優の生田斗真が女装して演じるとは尚更に驚きの名演技でした。もしも11月12月頃に早々公開されていたならば、日本アカデミー賞の助演男優賞に生田斗真を推挙し、荻上直子監督に優秀監督賞をノミネートしても可笑しくないよーナ。それにしても主演男優優秀賞に『64』の佐藤浩市の受賞は納得行かないな、異議あり…!?


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3本目は、腕っぷしの強いもめ事示談屋のヒーリー(ラッセル・クロウ)と、娘を育てるさえないシングルファザーの私立探偵マーチ(ライアン・ゴズリング)が、行方不明になった検事の少女アメリア捜しをするうちに、自動車の環境汚染に抗議する国家を揺るがす問題と陰謀に巻き込まれ、殺し屋に狙われる探偵映画、プラスチョットコメディーぼいズッコケ映画『ナイスガイズ!』(2016年、シェーン・ブラック監督&脚本)でした。

これまでの探偵映画と違う点は、マーチの13歳の娘ホリー(アンガーリー・ライス)が事件にチョコチョコ首を突っ込んで、事件を余計に大きく、混乱を広げてコメディ゜―風にしているところだろう…かな。探偵映画の本流といえば、事件の謎と犯人を怜悧な推理で解明する作品群があります。例えば、コナン・ドイル原作の『シャーロック・ホームズ』シリーズは、代表作でしょう。名探偵シャーロック・ホームズ役にロバート・ダウニー・Jr、相棒のジョン・ワトソン博士役にジュード・ロウが演じる映画はアクションとしても推理ものとしても面白かったです。探偵映画の古典といえば、当然アガサ・クリスティ原作の『名探偵ポワロ』や『オリエント急行の殺人』が最もポビラーでしょうーね。私の趣味としては、G・K・チェスタトン著の推理小説で、主人公・ブラウン神父が事件の謎をスパッと解明する「ブラウン神父」シリーズは、極上の読書時間を享受できるのですが、イギリスBBCのTVドラマでは放映されましたが、映画は未だハリウッドでは誰も製作しないようですネ…。その他邦画洋画も含めて、探偵映画は枚挙にいとまがありません。ただ言えることは、『ナイスガイズ!』は探偵小説の本流からはチョットはずれるかな…。まあ、橋本一監督の邦画『探偵はBARにいる』シリーズに似ているかな。

そうね、もしもこの作品で敢えて見どころがあるとするならば、自動車業界から賄賂をもらったアメリアの母で政府高官の検事の言葉だろう。「もしも自動車産業が滅びたら、デトロイトはどうなるーの、この国のために自動車産業を存続させるのよー」というトランプ発言と聞き間違えるような弁解の言い訳だろうかな…。それを除けば、探偵映画の駄作でした…。

  




  

下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画情報「なーりーの星空シアター」のサイトです。沖縄・那覇からFM電波で放送されます。「映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように…」の願いを込めた映画情報番組で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息の仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…。今週の3/9は映画『彼らが本気で編むときは』のコメントが放送されてます。また、来週3/16は『マリアンヌ』が話題に取り上げられる予定です。作品に興味がある人は是非自分の感想と比較してお聞きください。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 





尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…

3月下旬特選映画【11】★映画のMIKATA「パッセンジャー」★映画をMITAKA

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武田鉄矢が水戸光圀役を演じる時代劇TVドラマ{「水戸黄門」が、再び今年10月よりBS-TBSにて復活、再上映されるそうだーネ、吃驚たまげました…。武田鉄矢の水戸光圀役はミスキャストの不満の声が今から出ているそうだ…、そうね、武田鉄矢が「この印籠が目に留まらぬか」という格さん助さんの隣で「ハハハハハー」と笑う姿はどうもしっくりしないよーネ、因みに助さん格さんのキャストはまだ発表されていません。果たしてアニメで育った若年層に、漫画しか読まず漫画を絵本のように捲る10代に、アイドルの臭い台詞に感涙し心ときめく中学生たちに勧善懲悪の正義と、葵のご紋に平身低頭するウルトラ権威主義に魅力はあるのかな???松下幸之助の権威とお声がかりで「ナショナル」の番組提供が継続していた水戸黄門を応援する、電気メーカ衣料品メーカ銀行証券会社ソフトメーカゲーム会社はあるのだろうかーネ。


3月は映画の観賞よりも、世間を騒がす事件とニュースが多かったです。森友学園の事件を扱うワイドショーや、同じ証人喚問でも都議会の石原元都知事の豊洲移転問題の喚問も映画以上に見ていて面白かったです。また、国会喚問された学校法人「森友学園」の籠池理事長の発言を見ていると、イヤヤ霞が関に「シン・ゴジラ」が上陸して、政治家と官僚を踏み潰している…と錯覚しました。安倍昭恵さんと駕籠池夫人・籠池諄子さんと100万円を渡したのもらわないとの疑惑騒動は、今では「忖度」という言葉が流行語のようにニュースに飛び交っています。スポーツの番組もワクワクする試合がありました。「侍ジャパン」の優勝がかかっているWBCのTV放送には釘付けになりました。夕方、大相撲春場所で横綱「稀勢の里」の全勝優勝か…とハラハラする一番一番見守ってました。特に大阪府立体育会館で千秋楽を迎えた取り組みは、右肩に痛々しいテーピングをした負傷姿で強行出場した稀勢の里と照ノ富士との優勝決定戦、逆転優勝は映画以上の興奮とカタルシスでした。これは大相撲史に残る取り組みの一番でした。事実は「映画」よりも奇なりで、ワクワクドキドキする世相の出来事ばかりの3月でした。4月1日に誰か大ウソでもついて、世間をア~と驚かせないかな…。

そんな訳で、3月中旬の掲載はパスしました。映画よりも国際事件とニュースの騒動とスポーツ中継がより興味を引きました。けれども、今の所、延々236分のエドワード・ヤン監督の『嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』は見逃せないなーと思い、帰国後すぐに見てきました。けれど、長編なので2200円という特別料金を取られた上、ガックリ期待外れの退屈な作品でした。そして今日、高校生のクラブ活動を描いた青春映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」を見てきました。これはゲラゲラ笑える傑作でした。広瀬すずはやっぱりかわいいですね。明るい青春映画は、気分を爽快にさせます。『キングコング:髑髏島の巨神』は、1933年より長いキングコング映画史の中で、何か新しい新鮮なコンセプトが描かれているのかなーと、興味津々に見ていましたが、一貫したテーマ「キングコングと美女とマドンナ」は永遠のストーリでした。同じシリーズで「シンゴジラ」が、緊急事態の時の霞が関の官僚のなれ合いの事なかれ主義の自分第一の権威主義的な官僚体制を描いた視点は新鮮でしたが、でも、新しい視点も映像もなかったです。


3月下旬の特選映画をアップロードします。今回3月下旬に4本を映画館で観賞、今月は通算で8本『アサシン クリード彼らが本気で編むときは』『ナイスガイズ!』『嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』『キングコング:髑髏島の巨神パッセンジャー』を観賞しました。その中から選んだ特選映画1本は、『パッセンジャー』でした。


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1本目は、1961年6月に台湾で起った中学生男子による同級生女子殺傷事件、未成年よる台湾での初めての殺人事件で、当時思春期だったエドワード・ヤン監督に衝撃を与えた事件で、監督はこの事件をモチーフにした236分の長編青春映画『嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件/ A BRIGHTER SUMMER DAY 監督 』(1991年、エドワード・ヤン監督)でした。

大陸からの移住者が置かれた位相と、1960年代当時の台湾の社会的・精神的背景がよく分からないが、不良ぽい中学生同士の敵対関係と、ガールフレンドを廻る殺人事件は、思春期だった楊徳昌監督の記憶に相当残る強烈なインパクト、何ものかを訴える事件だったようです…。ただ、私には、単調な未成年の殺人事件のストーリのように思えました。私には従って退屈で長いだけの作品でした。


昨今、新聞紙面を大きな見出しで騒がれた殺人事件がヒントとなっている、或は茫漠と「例のアレー」と繋がる事件だな~という凶悪犯罪映画が増えました。例えば近近で挙げれば、『怒り』『葛城事件』『クリーピー 偽りの隣人』などの犯罪映画は夥しいです。これらの凶悪事件の絡んだ映画と比較した時に、寧ろ『嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』は単純な作品に見えました。
 

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2本目は、:福井県立福井商業高等学校の女子高チアリーダー部が、本場アメリカのチアダンス選手権大会で2009年3月に、全米大会を制覇・優勝した実話を映画化した青春映画『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』(2017年、河合勇人監督、林民夫脚本)でした。

 

県立福井中央高校に入学した友永ひかり役を演じる主人公・広瀬すずと、アメリカの全米大会優勝に闘志を燃やす顧問の女教師・早乙女薫役を演じる天海祐希の、ダンスに掛けた絡みがとても面白かったです。苦くもどかしい恋と、目標に向かって突き進み、失敗しても達成するにしても、青春を燃焼尽くす爽快感が青春映画にはあります。独特の笑いと汗と涙の感動は青春映画ならではではないでしょうか…ネ。


最近、高校生のクラブ活動を舞台とした、高校生の3年間の短い青春時代を生き生きと描いた映画が増えました。これは世間と社会の趨勢を映画が見事に作品化したと言えます。16歳から18歳という年齢は、勿論子供ではなく、また大人でもない、宙ぶらりんな時期、けれども最も多情多感な年齢です。性的には女生徒はもう立派に子供を生める成熟した肉体と心を持つ年齢です。男子生徒は、これからの80-90年間の長い人生をどう生きるか、趣味にしても仕事にしても一生の人生行路を決める、出港を待つ羅針盤を持った船の港のような年齢でもあります。主人公・綾瀬千早役の広瀬すずがかるた競技に青春を燃やす『ちはやふる』前編後編( 2016年公開、末次由紀原作、小泉徳宏監督)も良かったです。愛媛県立三島高等学校書道部を舞台となった『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』(2010年公開、猪股隆一監督、永田優子脚本)も青春映画らしかったですーネ。鈴木智役の妻夫木聡を主人公にした廃部寸前の唯野高校水泳部を舞台にした男子高校生のシンクロナイズドスイミングを描いた『ウォーターボーイズ』(2001年公開、矢口史靖監督&脚本)も確かに新鮮な青春映画でした。



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宇宙衛星がとらえた神話上の謎の島・髑髏島に君臨する巨大な神・キングコングと、ティラノサウルスのような獰猛で肉食の古代恐竜や始祖鳥が生存する巨大生物が跋扈する島には、恐竜に怯え乍ら原住民も住んでいた。彼らを守るキングコングは島民にとって神なる存在であった。3本目は、コンラッド(トム・ヒドルストン)率いる調査遠征隊が、未知の生物を探すべく、前線から帰還しようとするフル装備の兵器で武装した軍隊とともに神話的な謎の島に上陸して、巨大生物・キングコングに叩き潰され踏み潰され、戦闘状態になるキングコング対アメリカ軍の戦争&冒険映画キングコング:髑髏島の巨神』(2017年、ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督)でした。

キングコングにはさまざまな監督が制作した独自の「キングコング」映画史があります。猿にもゴリラでもない巨大な怪獣コングの個性の中で、有名な1シーンは、暗やみの空に聳えるエンパイヤ―ステートビルの頂上に美女を掌に載せたキングコングの姿です。私は淀川長治監修の世界クラシック名画100選で『キングコング』(1933年、監督: メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードサック、原作: エドガー・ウォレス )を懐かしくて、もう一度DVDで観賞しました。南海の秘境に来たロケ隊は、原住民から神と崇められる巨獣キング・コングと遭遇する。コングは捕獲され、ニューヨークへ見世物として連れてこられるが、鋼鉄の鎖をひきちぎり、街を踏み潰していく。美女のアン・ダーロウを片手に掴み、エンパイヤ―ステートビルの頂上まで攀じ登り、飛行機の攻撃で地上へ落下する…。「美女と野獣コング」というパターンがやはり共通しています。しかし、新作キングコング:髑髏島の巨神』で新しい視点は、ベトナム戦争で負け、中東戦争でも撤退したアメリカ軍が、恰も巨大な「反アメリカ」の象徴キングコングと戦争するかのようなアメリカ軍の参戦でしょうね…。ここだけが、現代版「キングコング」でした。



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4本目は、地球から惑星コロニーまで120年を要する搭乗員5000人乗の超大型宇宙船アヴァロン号の人工冬眠ポッドの故障によりパセンジャーの一人が冬眠から目覚めてしまう、壮大な宇宙を舞台としたSF映画&ラブストーリ『パッセンジャー』(2016年、モルテン・ティルドゥム監督、ジョン・スパイツ脚本)でした。

 

たった一人、冬眠から残り90年で惑星コロニーのパセンジャーのジム(クリス・プラット)だけが目覚めてしまった。目的まで他のクルーが覚醒するまで宇宙船の中で孤独に寿命を迎える運命にあった。広い宇宙船内で唯一話し相手はアンドロイドのバーテンダー・アーサー(マイケル・シーン)だけであった。余りに孤独で寂寞な船内に耐えられずに、ジムは冬眠室で120年の眠りについている作家・オーロラ(ジェニファー・ローレンス)の寝姿に一目惚して冬眠ポッドを壊して目覚めさせてしまう…。

冬眠スポットの故障は航行途中で小惑星と衝突した事故が原因だった。さらに、船内コンピュータの異常で乗組員スタッフのチーフ・ガス(ローレンス・フィッシュバーン)が冬眠から目覚めた。電力供給に不可欠な核融合炉の機能停止によって宇宙船は爆発炎上と破壊寸前の緊急事態が発生していた。

 

宇宙を舞台としたSF映画は今まで数多あったが、そこにラブストーリが挿入されているので、二人の人間の美しくも悲しい一生の終末がラブストーリになっています。きっと、人類が後100年もすると宇宙空間の別の惑星に移住する宇宙船に乗り込むと、こんなアクシデントが起きそうだーナ、という近未来の想像がわきます。ジムとオーロラの命がけの補修作業によって、目的地へ到着する航行は続けられていた。しかし、たった二人で死ぬまで宇宙船で寿命が尽きるまで老衰死する運命は変わらなかった。彼か決めた選択は,愛し合う男女として宇宙で過ごすことであった…。『さあ、あなたならどうする?』という難題を、夫婦で議論したらキット、「私ならば彼女を殺して、一人冬眠できるあの医療器具の中に入るなー」なんって離婚騒動になりそうな会話が生まれそうですーネ。でも、そんなことを許さない美しも悲しいラブストーリですネ。あの最後のシーン、箱庭のような小鳥が飛ぶ船内の緑の楽園は、二人の幸福な日々が想像できます。絶望的で孤独な運命を受け入れている内に、2人は宇宙の伴侶として惹かれ合っていた…。密室の恋愛映画で締めくくったジョン・スペイツの脚本も優れていますーネ。



下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画情報「なーりーの星空シアター」のサイトです。沖縄・那覇からFM電波で放送されます。「映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように…」の願いを込めた映画情報番組で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息の仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…。私はよくお風呂の中でのんびり聴きます。今週の3/30は大友啓史監督の『3月のライオン前編』が放送されました。また、来週4/6は、いよいよ漸くオスカーのアカデミー賞作品賞を受けた『ムーンライト』が取り上げられる予定です。作品に興味がある人は是非自分の感想と比較してお聞きください。私もこの作品は絶対観賞しますーヨ。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68  


 

尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください… 

4月上旬特選映画【12】★映画のMIKATA「わたしは、ダニエル・ブレイク」★映画をMITAKA

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4月上旬の特選映画をアップロードします。今回6本を映画館で観賞、今月上旬に選んだ特選映画1本は、『わたしは、ダニエル・ブレイク』でした。敢えて、オスカーの受賞作品『ムーンライト』を選ばなかった…。何故ならば、このブログでもコメントした邦画『彼らが本気で編むときはの方が、"LGBT"に関しては面白いと思いました。また、麻薬の売人しか生きる術を持たない貧困地帯の黒人のやるせない運命、どう足掻いても黒人であることの定めに関して、この映画でこう考えました。黒人のオバマ大統領が誕生した今、南部の黒人への差別と弾圧は、緩いだとは思いますが、しかしまだまだ、警官が例えば軽い窃盗とかで容赦なく黒人を射殺した事件は後を絶たない…ということは十分知っています。またその逆で、その報復として警官が黒人に射殺された事件も知っています。しかし、黒人差別を打破しようとした、あの暗殺されたマーティン・ルーサー・キングを描いた『グローリー/明日への行進』(2014年公開、エイヴァ・デュヴァーネイ監督)や、更に、黒人への人種的偏見から投獄され、しかし、冤罪の不遇に屈しなかったボクサー・ルービン役をデンゼル・ワシントンが演じた『ザ・ハリケーン』 (1999年公開、ノーマン・ジュイソン監督) の方が゛私は もっと好きだからです。黒人と白人の許されない愛と結婚をテーマとした映画、例えば古くはスタンリー・クレイマー監督、シドニーポアチエ主演の『招かれざる客』、近近ではジェフ・ニコルズ監督の 『ラビング 愛という名前のふたり』もありました。ただーネ、『ムーンライト』が従来の黒人を主人公にした映画と違う視点で制作されていることは間違いありません…。


久しぶりに横浜市の南区に近い「J&B」で続けて2本観賞しましたが、しかし、『サラエヴォの銃声/Smrt u Sarajevu』も『汚れたミルク/あるセールスマンの告発/Tigers』も、私には傑作どころか、退屈な駄作でした。新しい作品を次々に上映するよりも、是非再上映のリクエストを館内に投稿箱を設置して応えて頂きたいものです。

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2014年6月28日に、第1次世界大戦開戦の引き金となったサラエヴォ事件から100年後、ホテルの前の通りは「スナイパー・ストリート」と呼ばれる事件のからほど近い現場で、借金だらけの赤字ホテルで、今にも銀行筋によって差し押さえされそうな事情に置かれていた館内で、サラエボ事件百周年の晩餐会で挨拶するその銀行の頭取がホテル内で殺されるという事件が起きた。1本目は、そんなことからサラエヴォという歴史的な地名とホテルが付けられ作品でした。が、しかし第1次世界大戦開戦とは全く無縁で、しかもストーリもつまらないのに、紛らわしく『サラエヴォの銃声/Smrt u Sarajevu』(2016年、ダニス・タノビッチ監督)という題名を被せた作品でした。

 

ホテル内では、ジャーナリストがサラエヴ事件に関する取材を屋上でしていた。賃金の未払いに従業員たちは職場放棄のストライキを計画しているホテルでした。敢えて見どころを挙げれば、ホテル内の人間模様が複雑に絡んでいる事なのかな。やたら「サラエヴォ」 などとという紛らわしく期待を持たすような作品名を付けないでほしい、と憤慨した駄作でした。

 

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2本目は、1990年代にパキスタンで起きた粉ミルクによる健康被害、乳児の死亡事件を作品に題材にした社会派監督・ダニス・タノヴィッチの『汚れたれたミルク/あるセールスマンの告発/Tigers』(2014年、ダニス・タノビッチ監督)でした。パキスタンの貧しい家庭では、母親は不衛生な水で粉ミルクを溶かして授乳させるため、その汚い水によって乳児が死亡する健康被害と死亡事件が起こっていることが発覚した。会社はその事実を黙殺していたが、アヤンはパキスタン国内での粉ミルク販売の中止を求め、さらに職を辞してWHOへ通報、マスコミにこの粉ミルクによる死亡事件をリークする行動をとった。しかし、この告発により欧州にあるグローバル大企業の粉ミルクメーカの本社から、パキスタン国内で大きな圧力がかかった。


パキスタンで粉ミルクのセールスを担当していたアヤン(イムラン・ハシュミ)は、世界最大の食品・飲料メーカーの営業職として中途採用されるが、会社のセールス戦略で産婦人科の医師に金品を渡して、母乳ではなく粉ミルクを乳児に飲ませる育て方を推奨してもら、セールス手段を実践した。パキスタンでどの程度上水道施設が整えられているか知らないが、恐らく、母乳の時は問題にならなかった、井戸水や川の水や水瓶に溜められた不衛生な水は、体内に免疫システムがない乳幼児には、危険な雑菌がたくさん混入しているのだろう。先日も、日本で生後6カ月の幼児にハチミツを混ぜた離乳食を食べさせたため、蜂蜜に含まれていたボツリヌス菌が体内で繁殖して、「乳児ボツリヌス症」で死亡したという事件が流れていました。


しかし私は丁度アメリカの裁判映画で、第73回アカデミー賞でジュリア・ロバーツが主演女優賞を受賞した水質汚染の裁判映画『エリン・ブロコビッチ』(2000年公開、スティーブン・ソダーバーグ監督)と、破産覚悟で告発に執念を燃やす弁護士・ジャン演じるトラヴォルタ主演の公害裁判『シビル・アクション』( (1999年公開、スティーヴン・ザイリアン監督 )を見たばかりなので、公害による健康被害を告発する裁判映画と比較した時、私にはややインパクトが弱かったです。

 

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3本目は、第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞したヒューマンドラマ&教養小説的映画の『ムーンライト(2016年、バリー・ジェンキンズ監督)でした。


音楽映画『セッション』で音楽家の狂気を描いたデイミアン・チャゼル監督が、ライアン・ゴズリング&エマ・ストーン主演で、捨て身で製作したミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が唯一逃したトロフィー、アカデミー賞作品賞を手にした、黒人スタッフだけで制作された、従来の黒人へ人種差別と偏見とは異色の映画なのでかなり期待したが、やや度肝をぬかれ、やや「この映画のテーマは何なのか…?」と当惑する作品でした。主人公の黒人少年・シャロンの成長譚が描かれているとするならば「教養小説的」映画です。たがしかし、マイアミのかなり危険な犯罪多発の貧困地域を舞台に、麻薬を常習している母親ポーラ(ナオミ・ハリス)、学校ではチビと呼ばれて虐められるシャロンを慰める心の支えは、キューバ移民の黒人で、街の麻薬ディーラーのホアン(マハーシャラ・アリ)、唯一シャロンの友だちはケビン(アンドレ・ホランド)だけであった成長の環境・・・。結局、少年の成長した姿は、どんなに抜け出そうともがいても貧しい黒人のゆき着く果ては、高級車を乗り回すが、少年院仲間から覚えた麻薬の密売人、しかも同性愛という暗い影を抱える青年だった…。そこが従来のさまざまな内面の葛藤を克服して少年から成年へと自己形成するゲーテやトーマスマンの描くドイツ文学の「成長」のストーリとは全く違いますーネ。この「ムーンライト」の作品テーマを、"LGBT"のトランスジェンダーの一語に収れんさせることは出来ないし、貧困地域で育った薬中を母親に持つ家庭の子供は所詮、黒人に麻薬を売る薬の密売人にしかなれない運命さ…、黒人が運命の鎖から解き放たれることはないというテーマへ押し込めようか…、私は迷います。


「ムーンライト」は、映画の脚本にも携わっていたというタレル・アルビン・マクレイニー氏が麻薬常習者だった母親がAIDSの合併症で亡くなったことをきっかけに、演劇の脚本として書いた自伝的な作品だという。この映画タイトル「ムーンライト」は、「In Moonlight Black Boys Look Blue」 (黒人の少年たちは月光のもとで青く見える)という脚本に由来するようです。それは映画の冒頭で、麻薬ディーラーのホアンが、幻想的な夜の月明かりの浜辺でシャロンに語った言葉でした。この「青」をこじつけて解釈する訳にもいかないが、まあ、差別され虐げられた黒人も、夜の美しい月光の下では、つまり、見方によっては高貴で美しく「青」く輝やかしい存在に見えるものさ…ということなのかな。

…。

 

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4本目は、1963年11月22日現地時間12時30分、テキサス州ダラスでパレードをしていたジョン・F・ケネディ大統領が隣に乗っていた妻のジャクリーン(ナタリー・ポートマン)の目前で暗殺された銃声の一瞬から、ベセスダ海軍病院での検死後、11月23日にホワイトハウスに帰宅、密葬、追悼式までの大統領葬儀までの数日間の妻・ジャクリーンの言動をドラマチックに描いたジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(2016年、パブロ・ラライン監督)でした。

 

結婚後2年10か月、34歳で未亡人となったジャクリーン・ケネディ・オナシスを、「ファーストレディ」としての視点と、突然暗殺され、夫を失った「妻の悲劇と動揺」という視点から描いた伝記的ドラマです。夫を暗殺された直後、ダラスから専用機に載せられて帰る機内で、交代の副大統領・ジョンソンの大統領就任の宣誓がすぐに行われ、悲しむ間も与えられず、ホワイトハウスで葬儀の出席者や墓地への葬列、ホワイトハウスからの退去のために執務室を整理することなど様々な対応に慌しく追われる姿が婦人を通して描かれています。妻のジャクリーン役を演じたナタリー・ポートマンが、大統領夫人としての「顔」と、二人の子供を抱える動揺する妻のとしての「顔」を良く演じているな…、と感じました。

 

実は、ジャクリーン・ケネディ・オナシスといえば、5年後の1968年にギリシャの大富豪アリストテレス・オナシスと再婚して、パパラッチたちのシャッタの的となり世界中を騒がせました。だから寧ろ、女としての「顔」の方が誰しも興味を持つのではないでしょうか。私としては、この再婚までの女の軌跡を、寧ろ映像化した部分を挿入してほしかったです。


夫の・ケネディ大統領を載せた車の中で妻のジャクリーンは、ジェームズ・ガーフィールドとウィリアム・マッキンリーという名前を知っている…と、質問する。そして、いずれも暗殺された大統領、と彼女は説明する。そんな中で、夫の「死」が周囲の政治家やスタッフからどう受け止められるか、或は、夫の「死」がアメリカ市民から何時忘れ去られるか…を気にする妻のジャクリーンは、暗殺された悲劇の大統領夫人の「顔」なのだろうーネ。

今何故、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』が上映されるのか?恐らく、45代アメリカ大統領に新しく就任したドナルド・トランプの政策を今、憂慮して眺める時、やはり回顧するのはこれまでの歴代大統領の政治と理想なのだろうーネ。 


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5本目は、ハンカ・ロボティックス社の開発したサイバー技術によって制作された脳以外は全身義体のサイボーグ少佐(スカーレット・ヨハンソン)が指揮する捜査組織公安9課が、サイバーテロ犯罪を取り締まる近未来の警察活動の活躍を描く『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年、ルパート・サンダーズ監督)でした。


恐らく、『ロボコップ』シリーズ(ポール・バーホーベン監督、1987年公開)の二番煎じ程度の作品でした。原作は士郎正宗のSF漫画「攻殻機動隊」のようです。何か特徴があるとするならば、荒巻大輔役にビートたけし、少佐(素子)の母親ハイリ役に桃井かおりが演じている事ぐらいだろうかーな。桃井かおりの英語がやけに流暢なのでビックリしたが、どうやら、大西多摩恵の吹き替えのようです―ネ。




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妻を亡くしたイギリス・ニューカッスルの59歳のベテラン大工、ダニエル・ブレイク(デイヴ・ジョーンズ)は、心臓病でドクターストップがかかり、失職したため福祉制度に頼って生活支援を得ようと福祉事務所へ相談に行くが、支給を決定する女性審査員から支給資格なしと判定されてしまう。6本目は、国の福祉制度に翻弄されるダニエルの悲劇を描いた『わたしは、ダニエル・ブレイク
(2016年、ケン・ローチ監督)でした。単にイギリスの福祉制度の矛盾と不満を描いているだけではない。カンヌ映画祭で最高賞パルムドールをとったこの作品は、サスペンスやホラー映画のようなハラハラするストーリもドキとする場面はない、アクションン&アドベンチャー映画のように肉体の衝突も拳銃の打ち合いもない、ハリウッドの華やかな女優やアクション俳優が出演しているわけでもない、割と地味な作品なので日本国内では話題になりませんでした。でもさ、今の世界の姿と、片隅で懸命に生きている市民の姿が描かれている映画なのです…。

 

しかし、真っ向から社会福祉制度の理不尽さ批判するだけの作品ではない。この作品の魅力は、官僚的な福祉制度、役所の窓口独特の手続の複雑怪奇な煩雑さ、全てをコンピュータによる申請が大きな壁となって、デジタル書類に慣れていない中年、コンピュータなどに無縁な貧しい庶民には、社会福祉制度は血の通ってない形式的事務手続で、遥か遠い存在という、現在でも共有する問題をはらんでいたためだろうか…ナ。でも、地味ではあるが庶民には共感できる傑作でした。


ロンドンから引っ越してき近所に住んでいるたシングルマザーのヒロイン役ケイティ(ヘイレイ・スクワイア)は、二人の子供を抱え、お金も食べるものもなくスーパーで万引きをして警備員に捕まり、とうとう売春宿で働き始める。自分の困窮を忘れて、困っているケイティを見るに見かねて、子供の世話などダニエルは彼女に手を差し伸べるのだが、彼自身は最後に心臓発作でトイレで亡くなってしまう。緊縮財政に反対し、大規模な公共支出を主張した英国労働党首のコービン氏は、保守党党首のメイ現首相に「この映画を見ろ」と、議会で言ってのけたという。保守党初の女性党首マーガレット・サッチャーも緊縮財政によって赤字国家から財政再建しようとした。その後も労働党から保守党に首相になったキャメロンもまた緊縮財政でした。その結果、真っ先に福祉の財政がカットされて、失業対策の財政が削減された。映画の中で登場する「フードバンク」の長い行列は、イギリスの低所得層の現実なのです。


先頃、福島の復興を担当する大臣がジャーナリストに対して「自己責任」という言葉で汚染地域から自主的に避難者した人々への支援打ち切りを当たり前のことのように怒鳴ったという…。最早、政治家の頭の中は政治家が誰のためにいるのか、何のために「政治」があるのかを忘れ、「公共」」とか「行政サービス」などという「国家」の役割を忘れて、財政再建、緊縮財政などの経済的合理性で政策を決定することしかないようです。私は「自己責任」という言葉と同時に、福祉切り捨ての抗弁としてよく使われる「自助努力」という言葉も大嫌いです。


 

下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。今週の4/13は、映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』のコメントが放送されます。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 






(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)


4月下旬特選映画【13】★映画のMIKATA「ワイルド・スピード 」★映画をMITAKA

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 毎年の常套句のようですが、いよいよGWが始まりましたーネ。日本全国のサラリーマンの皆さ…ん、満員の通勤電車から解放されてホットしていますか!まだ社会人生活が始まったばかりの新卒入社のの皆さん、GWを堪能していますーか。もう会社辞めようかな…なんて嫌気がさしてませんか?突然のリストラ解雇や、企業の契約解除と雇止めの冷酷な仕打ちに、落胆し怨念に満ちているパートの方々、GWにはハローワークもお休みですーよ!夜もおちおち熟睡できないなんって憔悴せずに、たまには落語でも聞いて笑いましょう…よ。じっと部屋のベッドに寝転んでいる閉じこもりの青年諸君、将来の生活なんって、「そのうち何とかなるだろう…」と楽天的に考えましょう、天国は皆さんのものです。財布に一万札が一枚あると、お金持ちになった気がする、その日暮らしの独身貴族のサラリーマンの皆さ~ん、その内に美女がふいに現れ、一目ぼれして求愛しますよ。男と女の恋なんって、動物と同じお互いのホルモンの匂いで相性が決まるのですから…ね。幻想と夢想こそ「人類」の進化の証です。郵便ポストにクレジットの請求書がギッシリ詰まって、崖っぷちに立たされているパートの中高年の皆さ~ん、それでも心は裕福さ…と虚勢を張ってください。本当の幕末の貧乏藩の下級侍の「サムライ」の本質は虚勢なんですーヨ。自分たちばかり懐に現金ばかり集めあがる世襲議員の奴らめ…、地獄に落ちやがれ!安倍自民党内閣の憲法改正にはもう我慢できな~い、と呆れてる国民の皆さん、もうすぐ選挙が始まりーヨ、この一票は国民の拳骨の一発と力をこめるましょう。この際、臨時福祉給付金で乾杯しましょう…か。


大手企業によっては4/29土曜日より、中小零細会社では2日の有給休暇を挟んでかな…、5/7迄9連休という本当にゴールデンの休暇の真っ最中です。ハワイの避暑地に行けない皆さんも、ゴルフのショートホールで優雅な気分でいる人も、お金のない人も、たまには映画で1800円(シニアは1100円)の贅沢をして見ませんか…!!!


実は今月も4月中旬の掲載をカットしました。先日お風呂場の床に足をとられて滑って転んで、背中をガクーンと打って、どうやら骨にひびが入ったようです。1-2週間、イタイイタイと呻吟して、布団に寝るのも起きるのも痛みを堪えて唸っていました。そんな訳で、映画の椅子に座れませんでしたので、ブログは臨時休業でした。漸く痛みも和らいでので、『ワイルド・スピード ICE BREAK』で映画鑑賞を解禁しました。1800円の価値がありました。


4月下旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、今月4月は通算で10本、『サラエヴォの銃声/Smrt u Sarajevu』『汚れたれたミルク/あるセールスマンの告発/Tigers』『ムーンライト』『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』『ゴースト・イン・ザ・シェルわたしは、ダニエル・ブレイク』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』『グレートウォール/長城/THE GREAT WALLワイルド・スピード ICE BREAK』・・・を観賞しました。4月下旬で選んだ特選映画1本は、『ワイルド・スピード』でした。今月も邦画で面白い作品がなかったなー、邦画はまだまだまだ不毛地帯です。再びオスカーのアカデミー賞作品「ムーンライト」を避けました。また、アドベンチャーの傑作グレートウォール/長城/THE GREAT WALL』と、人間ドラマの秀作『LION/ライオン ~25年目のただいま~も避けました。何故ならば、私の捻くれた偏執的好みです。シリーズも第8弾乍ら「ワイルド・スピード」には飽きがありませんでした。こんな時代に、気分がすっきりする映画です、心にたまった鬱屈したルサンチマンがすっきりしました…。


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インドのスラム街「ガネストレイ」に住む5歳の少年サルーが、停車中の長距離列車に迷い込んで、そのまま家から遠く離れた見知らぬ大都市カルカッタまで来てしまう。言葉も通じない街で゛迷子になったサルーは施設に収容され、オーストラリア人夫婦の養子としてインドから離れ、大学生になるまで愛情深く育てられる。1本目は、25年後の青年サールを映画の主人公にして、生き別れになった母や兄への郷愁が募り、Google Earthで故郷を探し出すという物語『25年目のただいま/ 5歳で迷子になった僕と家族の物語』を映画化した『LION/ライオン ~25年目のただいま~』(2016年公開、ガース・デイヴィス 監督、ルーク・デイヴィーズ脚本)でした。原作はサルー・ブライアリー著のノンフィクションです。

アカデミー賞で、作品賞他全6部門でノミネートされ、ゴールデングローブ賞でも4部門ノミネートされた「LION ライオン 25年目のただいま」の主人公を演じたサルーは、あの『スラムドッグ$ミリオネア』でジャマール役を演じたデブ・パテール、養子の母・スー・ブライアリー役にニコール・キッドマンが出演しています。過去の作品で見せた絶世の美貌とグラマラスな肉体も、「彼女もいい年だなー」と思わせる、円熟した演技でしたーね。


  インドでは、犯罪組織によって年間5万人の子どもたちが誘拐・失踪して、中東の石油金満家たちの性的おもちゃの犠牲になったり、児童買春組織に売られたり、臓器売買されたうえで身体障碍者として路上で乞食として働かされたりする人身売買の商品にされるそうですーね…。いや、私は単に石井光太のルポ『物乞う仏陀』などを読んだにすぎないのだけれども、そんな犯罪組織の犠牲にサルーがならずによかったなーと思うだけです。


私には一面、地球の隅から隅まで自宅のパソコンですぐに一ぼうできるなんて「Google Earth」って凄いな、と感嘆するばかりですが、他面、グーグルの宣伝のようにも思えましたーヨ。でも、グーグルという会社は大したものですーネ


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2本目は、中国国境付近で馬賊に攻撃され、生き残った二人で火薬を求めてシルクロードを旅する傭兵ウィリアム(マット・デイモン)とトバール(ペドロ・パスカル)は、更に「饕餮(とうてつ)」という謎の怪物に襲われ、秦?宋?の時代の軍隊、禁軍が守る堅牢壮大な万里の長城の中に捕縛され、最後は都を襲撃する怪獣・饕餮と戦う『グレートウォール/長城/THE GREAT WALL』(2016年年、チャン・イーモウ監督)でした。ディズニー映画でも、スティーブン・スピルバーグにもリドリー・スコットにも制作できない、中国人監督らしいSF&冒険&アクション映画でした。

匈奴のような北方の異民族の侵攻に備えるために築かれた6千キロ以上の城壁「万里の長城」は世界遺産であるばかりでなくて、いまだに「世界の七不思議」です。それを映画は、60年前に襲来した謎の怪物「饕餮」と戦うために戦闘の武器と作戦を練って築かれた…というストーリが面白いですーネ。壮大な戦闘シーンを見ていると、『レッドクリフ』を制作したジョン・ウー監督の作品かなー と、錯覚しそうな迫力のある映像でした。「饕餮」が宇宙人の攻撃なのかな…とも初め思いましたが、体は牛か羊で、曲がった角、虎の牙、人の爪、人の顔などを持つ中国神話の怪物のよぅです。ジョン・ウー監督のリアリティーに対して、そこはチャン・イーモウ監督らしく、少し神話的要素が入っているようです。女将軍役の中国人女優のジンティエンが東洋人のヒロインならば、そこにアクションの得意な俳優、マット・デイモンを抜擢、西洋人のヒーロにしているところがまたまた映画を面白くしていますーね。ジンティエンさんって綺麗デスーネ。抱きしめたくなりました…。私はこの映画を見てからなお更に、中国へ行って万里の長城を見たくなりました。ヤハリ依然として世界の七不思議の世界遺産ですーネ
 
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3本目は、メキシコ湾沖80キロメートルにある大規模な石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン」で、掘削試験の手抜きが原因で大爆発が発生、現場で働いていた作業員126人のうち数人が逃げ遅れて死亡する大惨事となる『バーニング・オーシャン』(2016年、ピーター・バーグ監督)でした。

海底から逆流してくる原油の噴出と、次々と施設を吹き飛ばすガスの爆発は、確かに迫力のある大惨事のドラマなのだが、そこに物語のストーリの仕掛けも複雑な推理の糸も敵と遭遇して戦うアクションもない純粋な災害映画です。海上の油掘削施設といえば私には、007のジェームズ・ボン役のドロジャー・ムーアがテログループに占拠された油田基地で活躍するイギリスの映画『北海ハイジャック』(1979年公開、ピーター・バーグ監督)の方がよほど印象的です。まずまずの作品で甲乙つけがたいですがーネ、うー寧ろ私には面白くない映画でした…。

 




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4本目は、何よりも”ファミリー”の強い結束で仲間が仲間を絶対に見捨てない、裏切らない犯罪集団…、だが時として政府の依頼を受けてテロリストたちとガチに戦う主人公・ドミニク(ヴィン・ディーゼル)が、サイバーテロリスト・サイファー(シャーリーズ・セロン)に可愛いベイビーを人質に取られて、ファミリーと敵対する『ワイルド・スピード』シリーズ第8弾の『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年、F・ゲイリー・グレイ監督)でした。

いかにもアメリカの国際政治の現状を映画の舞台に選んだ作品です、キューバ・ハバナでハネムーンのバカンスを楽しんでいたドミニクとレティの前にサイバーテロリスト・サイファーが現れ、レイティーの愛児が誘拐され、結果、脅迫と戦うために、ファァミリー最大の敵デッカート・ショウ(ジェイソン・ステイサム)と手を組む…。

アメリカのTVドラマはどうして面白いのかなむーと、いつも思います。GW前からレンタルショップで『パーソン オブ インテレストというテロリスト対策のために開発されたAIコンピュータが、凶悪な犯罪を未然に防ぐために未知の人間の素性を特定する。それを元CIAのエージェント・リースが、探索と捜査と活動を始める…というストーリ設定です。既にアメリカでは国際空港を初め街路の監視カメラまで隅々に、顔認証システムが危険人物を判別し警報しシグナルする大型コンピュータの犯罪システムが動いているという。例の9.11テロの時よりテロ防止の大規模な警戒システムです。説明がチョット脱線しましたが、『ワイルド・スピード ICE BREAK』では、アメリカ全土の膨大な組織のコンピュータネットワークをハッキング、手玉に取って自由に操るサイバーテロリスト・サイファーが現れ、上空の飛行機から遠隔操作でコンピュータ制御の自動運転の車をエンジンを始動させ、キヤーを入れ、ハンドルを回し、アクセルを踏み衝突させ、車を武器に変えてしまう…。最近では国内メーカの日産もトヨタもホンダも競って国内の道路をコンピュータが、渋滞とか道路状態を判断して、ブレーキを踏み減速しアクセルで加速する無人自動運転車が開発されています。この新しい自動車のコンピュータ制御は、新しい車の可能性として、例えば居眠り運転や高齢者の誤作動による事故を防ぐ一方で、犯罪誘発への鍵として「危険性」を今から警告が発せられています。それがこの映画は、現実の犯罪手段として使われています。車の自動運転の危険性を既に先取りした映画で、私は大変刺激的でした。



   

下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。今週の5/4はケン・ローチ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』のコメントが放送されます。

イギリスとフランスで、移民によって仕事がなくなり、失業と低賃金と貧困層が国内に恐ろしい感染病のように広がり、経済と財政によって緊縮財政と福祉削減の政治政策が決められる。国民の心を蝕んでいる「英国病」「EU病」の現状に対して…、何故どうしてEU離脱の政策と政治の混迷が続くのかー、この映画で多少理解できそうですーカネ。併せ在英保育士でライターの「ブレイディみかこ」の小気味よい下記サイトのコメントを読んでください。

 https://news.yahoo.co.jp/byline/bradymikako/20170324-00069042/

 

私は毎週土曜日にTBSラジオの夜10時から2時間生放送されるラッパーで映画のコメンテイターの、”ライムスター宇多丸”の『週間映画時評 ムービーウォッチメン』を放送当初から聞いてます。が、昨今、次第に映画のコメントが雑で映画批評の水準が次第に落ちて、いい加減なコメントになってきました…ネ。短い時間ですが、私は今の所「なーりーの星空シアター」のファンです。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 


尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


 

5月上旬特選映画【14】★映画のMIKATA「」★映画をMITAKA

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5月上旬の特選映画をアップロードします。今回  本を映画館で観賞、今月4月は通算で 本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、『』でした。


1本目は、謎の老人から永遠の命を与えられ、死ぬことのできない無限の肉体を持つ不死身の剣士・万次(木村拓哉)が、剣客集団・逸刀流の首領である天津影久(福士蒼汰)に二天一流の道場主の父を殺された少女・浅野凛(杉咲花)から復讐のために用心棒として雇われ、壮絶な戦いに身を投じる姿が描かれる『無限の住人』(2017年、三池崇史監督)でした。


数少ない時代劇の中で、久々にしかも木村拓哉主演の時代劇です・・・。TVでも頻繁に映画宣伝を流していました。が、鳴り物入りの時代劇にしては、GW中に私は見に行きましたが、館内は閑散としていました、人気は今一つ低迷しているように思われますーネ。単に斬り合いと殺戮だけの映像の連続で、私も観賞後に胸糞悪い後味しか残りませんでした。舞台は時代劇ですが、戦争映画や西部劇と同じで、幕府の役人を相手に万次と逸刀流の天津影久が、バッタバッタと着られる映像が続くだけです…。どうしてこんな面白くもない胸糞悪い映像を長々と流すのかなー、何故なのか不思議でした?西部劇でも、インディアンと軍隊の襲撃と打ち合い殺し合いがありました、マカロニウエスタンでも、拳銃の打ち合い殺し合いを続けましたが、時代劇のあのチャンバラの斬りあいは、残酷で凄惨でーネ。監督は言わずと知れた三池崇史です。ホラーコメディーバイオレンス初め幅広い作品を制作するエンターティナーですが、過去の時代劇には、『十三人の刺客』(2010年公開)に次いで、今回で時代劇第二作目です。この作品は、1963年(昭和38年)の工藤栄一監督、片岡千恵蔵主十三人の刺客』のリメイク版でした。将軍の異母弟にあたる暴虐・無法の明石藩主松平斉韶を討ち取ることを決意した御目付役の島田新左衛門は多勢の侍を従える松平斉韶一行が通過する寂れた小さな村・落合宿で、集められた13人の刺客が迎え撃つ少数対多勢の集団抗争時代劇でした。暴力団同士の抗争と同じで血みどろの殺陣が続くシーンの連続です。三池崇史監督はこの時代劇の手法をそのままこの作品でも踏襲したようですーが、元々は沙村広明のコミック時代劇が原作なので、対してストーリなどある訳がないです。だから、テーマなき漫画的ハチャメチャのドタバタ喜劇です。しかもまだアイドルを脱皮できないキムタクの拙い演技のため、従来の形式でも時代劇の駄作にもなってなかった…ネ。今年最低最悪の作品かもしれません。




2本目は、『』(年、監督)でした。


3本目は、『』(年、監督)でした。


4本目は、『』(年、監督)でした。


5本目は、『』(年、監督)でした。
6本目は、『』(年、監督)でした。
7本目は、『』(年、監督)でした。
8本目は、『』(年、監督)でした。

下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。今週の2/23は映画『スノーデン』のコメントが放送されます。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 


(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)


5月下旬特選映画【15】★映画のMIKATA「メッセージ」★映画をMITAKA

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5月下旬の特選映画をアップロードします。今回下旬で5本を映画館で観賞、今月5月は通算で8本、邦画3本『無限の住人』『追憶』『帝一の國』、洋画5本『カフェ・ソサエティ』『ノー・エスケープ/自由への国境』『スプリット/SPLIT』『メッセージマンチェスター・バイ・ザ・シーを観賞しました。選んだ特選映画1本は、『メッセージ』でした。


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1本目は、1930年代の都会、野心的な成功を秘めてニューヨークの青年ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は、ハリウッドで映画業界の敏腕エージェントで活躍している叔父フィル(スティーヴ・カレル)のもとで働き始め、ハリウッドの社交界(カフェ・ソサエティー)にデビューする。そこでフィルの秘書・ヴォニー(クリステン・スチュワート)の美しさに心を奪われ結婚まで空想するが、彼女は彼女で密かに交際中の別の男性がいた。さらに、ボビーはボビーでもうひとりの美女ヴェロニカ(ブレイク・ライブリー)と出会い、恋の行方に戸惑うという、いかにも男と女の社交界のロマンティックコメディ映画『カフェ・ソサエティ』(2016年、ウディ・アレン監督)でした。


ミッドナイト・イン・パリ(2011年)、『マジック・イン・ムーンライト』(2014年) など、ウディ・アレン監督の作品は何本か見ているのだが、ほとんど見ていないも同じなので、率直に行ってウディ・アレンの作品はよく分からない…しかも、さほど面白くないですーネ。誰か?ウディ・アレン作品の面白さを教えてください…。
 

2

2本目は、メキシコとアメリカの国境地帯を密入国しようと灼熱の砂漠を歩き続けるメキシコ移民たちを、何者かによって次々とライフルで狙撃され、ただ生き延びるためにアメリカを目指して逃げ惑うサバイバル映画『ノー・エスケープ/自由への国境』(2015年、ホナス・キュアロン監督)でした。ちょうど、メキシコ人に限らずアメリカの移民が置かれた今の絶望的な状況を映画化したと言って良いです。


『ゼロ・グラビティ』で宇宙空間の狭間で人間存在の生きる意味を覚醒する映画を製作したアルフォンソ・キュアロンがプロデュース、息子のホナス・キュアロンが監督を務めた今作では、砂漠の懸命に生きるサバイバルスリラーを制作した。でもそこから伝わるメッセージは、アメリカは、未だ命を懸けて国境の砂漠を不法入国するほどの、魅力的な自由な国家なのか…という、自由と平等を掲げる移民国家・アメリカの建国の存在意義を根底から揺るがす作品ですーネ。

 

3

高校生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)と、クラスメートのクレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)と、クレアの親友マルシア(ジェシカ・スーラ)は誕生パーティーの帰りに、駐車場から見ず知らずの男(ジェームズ・マカヴォイ)に拉致・誘拐され、三人は、薄暗く狭い密室で目を覚まし、奇妙な会話する男がドアーを開ける。3本目は、時にデザイナー、時に少年、時に女性などの複数の人格を共有する多重人格の男(ジェームズ・マカヴォイ)に幽閉される誘拐&スリラー映画『スプリット/SPLIT』(2017年、M・ナイト・シャマラン監督)でした。
 

さてさて、シックス・センス』を製作したM・ナイト・シャマランが、新しくどんなスリラーを監督したのか興味津々でした。が、つまらなくない傑作なのだが、多重人格の誘拐映画か…と、チョットね、ナイト・シャマランの映画の限界を見たような気がしました。


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世界各地12か所に正体不明の未知の円錐状卵型の宇宙船が地球外から現れ、世界中を震かんさせ、地球を謎の混乱に陥れた。4本目は、地球外生命とコンタクトを取るために言語学者のルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)と、数学者のイアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)が、アメリカ軍大佐のウェバー(フォレスト・ウィテカー)より宇宙人の正体を解明する密命を受ける『メッセージ/ARRIVAL』(2016年、ドゥニ・ヴィルヌーヴ 監督)でした。


果たして地球への飛来の目的は何か、地球侵略のためなの…か、宇宙人の船体内部に入り探索、黒い煙のような円環を恰も文字のように吐き出す、未知の得体のしれない言語を持つ生物とコミュュニケーションをとり始める。テッド・チャンのSF短編小説『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫SF、公手成幸 翻訳)を基にしたSF映画なのだが、最後の「理由と目的」、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と目的、人類に向けられた唖然とするメッセージを判明した時に、私はエ~と啞然としながらも、原作者とドゥニ・ヴィルヌーヴ 監督の鬼才ぶりに感心しました…。 今迄にない未知との遭遇の映画、従来の宇宙人対地球人の侵略戦争の既存の通念を覆して、真相は、彼らは3000年後に人類から助けられたため、贈り物をするのだというメッセージをルイーズに告げる…。その意味は、冒頭の娘の誕生と病死のルイーズの過去の悲しい生活史の映像のストーリによってはじめて分かりました。バンクス博士は、結婚し妊娠する以前から娘と自分と人生の全てを、現在いま、時間的に未来の時制に属するイメージを、宇宙人よりメッセージとして受け取っていたのでした…。チョット、原作の翻訳を読みたくなった作品でした。

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5本目は、ボストン郊外で暮らす便利屋リー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョー(カイル・チャン
ドラー)の急死を機に帰郷し、16歳の甥パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人として一度離れた故郷に戻り、世話をする内に、子供たちの焼死の悲劇と、家族を一瞬で失った自身の抱えるトラウマと向き合う家族ドラママンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016年、ケネス・ロナーガン監督&脚本)でした。


リーの心の奥に秘められた心理的な謎解きのこの映画製作にマット・デイモンがプロデューサーとして参加している、ということ以外、大して特徴のない作品でした。敢えて見どころを挙げるとするならば、友達とバンド演奏を楽しみ、ガールフレンドを何人も持ち、バンドのボーカルの女の子とセックスを楽しみ青春を満喫している甥のパトリックに対して、子供たちを焼死させた罪悪感と、生き残った酒浸りの妻だった家族を捨てて故郷を離れて孤独な生活に自分を閉じ込めた暗い人生観との対比と映像描写は、見事だなと感心しました。






下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。 6/1の放送での映画は何かな???まだ未発表のようですーネ、楽しみに待っています。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 




(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)


6月上旬特選映画【16】★映画のMIKATA「ちょっと今から仕事やめてくる」★映画をMITAKA

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映画館は、この時代には結構安くて手頃な娯楽ですーネ。デートに映画、年金生活の老夫婦には、余生を生きるいい時間の過ごし方です。中学生高校生には、情操教育に役にたってます。だから、姿勢をただしてかしこまって静粛に観賞しろ・・・とはまで言わないが、煎餅をバリバリバリと音を立てて食べながら観てる人は、苦言を呈したくなります。気になりますーネ、静かにしてほしいですーネ。しっとりと盛り上がったシーンの名場面も興ざめしてしまいます。お煎餅でなくても、袋をガサガサ、ポリポリサクサクお菓子を食べる雑音も、隣席の人にたらうるさくはないのかーナと少し想像を働かせてほしいですーネ。友達同士で上映中もヒソヒソコソコソおしゃべりしている一団も、恋人同士仲睦まじくしゃべっているのも、また「場所をわきまえろ―ヨ」と怒鳴りたくなります。そもそも、映画館の売店で売っている出来立てのポップコーンから匂うバターの風味は、密閉された館内に充満すると、私は吐き気をもよおします…!!!ハリウッドの映画の見方をそのまま日本の映画館でまねしてるのかな…。もっともっと席と席との間隔は、ゆったり空けてもいいのではないのではないのかな…。だって、ウークデーの昼間の座席は、がら空きの時間帯もありますよーネ。まあ、おやつを食べながら、観賞したい人は、どうか家の一室のTVで孤独に見てほしいな。

 

6月上旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞しました。今月はいい邦画が待ちに待って、漸く公開されました、私としては、どの作品を特選映画に挙げるか迷いました。選んだ特選映画1本は、自殺映画『ちょっと今から仕事やめてくる』でした。『』は河瀬直美監督しか撮れない映像だなーと想わせる作品でした。山田洋次監督の『家族はつらいよ2』も、山田作品らしい喜劇だなーと思います。


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1本目は、永瀬正敏が演じる弱視のカメラマン雅哉と、視覚障害者向けに映画の音声ガイドを制作する美佐子(水崎綾女)が主演するヒューマンドラマ『』(2017年、河瀬直美監督)でした。私、この作品ですぐに水崎綾女のファンになりました。卵型の顔立ちにナントも知れない愛らしい魅力を感じました・・・。こんな女性と付き合ったら、毎日楽しいだろうな!!!


症状が悪化し、次第に視力が衰え光を失いつつある雅哉は、かつては既に離婚した妻の映像を光の中で捉えようとしていた…。それを身近に傍観する美佐子自身も、生きる希望の光を求めていた。小さいころに父親が失踪し、田舎に認知症の母親を抱える都会の孤独な娘は、夕日の日没の光に浮かぶ父親の姿を求めていた…。河瀬直美の映画の面白さは、常に使われる緑の自然、人間を包む自然の優しさですーカネ。


殯の森』(2007年)では、疾走した認知症の老人と、行方を懸命に探す女性介護士が出逢った場所が、緑に包まれた森林の中でした。緑は人と人が交わる優しさの色であると同時に、人間を包む癒しの風景でもありました。「光」でも同じような似た緑の風景と風に揺れる竹の葉群れの情景がありました。


日常の千変万化を盲人でもわかるように「コトバ」で描写する音声ガイドの美佐子は言葉がどうしても包摂できない言外の「現実」をもどかしく思い、光の中に浮かぶ現実を撮影できなかった雅哉は、光を失いつつあった…。それが、一本の映画のナレーションと共に進むのが、大変斬新な構成でした。


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ノルマが厳しい広告代理店に大学新卒で入社した青山隆(工藤阿須加)は、部長の山上(吉田鋼太郎)から叩かれ誹られ怒鳴られ罵詈雑言を浴びされて、仕事のストレスは限界に達し、心身共に疲れ果てた青年タカシは、深夜まで一人続けたサービス残業の帰り、プラットホームで失意のどん底から意識を失い、寸前で電車に飛び込もうと体が線路に傾斜した。はねられそうになる瞬間をヤマモト(福士蒼汰)と名乗る青年に助けられる。明るく活発で屈託のないヤマモトは、タカシの命を支えた…。2本目は、小学校の幼なじみを名乗り、仕事に疲弊して絶望の淵を彷徨、命を捨てようとするタカシの自殺願望を引き止めるヤマモトは、青山との交流を通じて再び生き方を見詰め直させ、生きる目的を探すことを諭しはじめる、チョット特異な自殺映画『ちょっと今から仕事やめてくる』(2017年、成島出監督)でした。


映画は昨日と今日の現実と、歴史の悲劇と、未来の希望を映す鏡です。この映画は、2015年に第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞した北川恵海の小説を映画化した作品です。丁度、平成27年3月、24歳東大卒、電通に新卒入社した女性社員・高橋まつりさんが月130時間の残業を強いられ、1日2時間の睡眠不足が続き、「これが続くなら死にたい」「死んだほうがよっぽど幸福」と訴えた結果、自殺した事件をこの映画から私は連想しました。

広告業界ナンバーワンの「電通」がブラック企業とは言いたくないが…、どんなに立派な大手企業も、「働く」ことを金儲けのためと会社の利益のためと思いこんでいる企業は、どんな会社もブラック企業に転落します。広告業界の企業間の競争も、社内での生き残りのための競争も激しいです…。ただ、私も業界紙に身を置いた人間なので、新聞紙面を埋めるために企業を営業したこともありますし、或は、広告代理店を廻って企画書を渡しながら広告掲載を依頼していたこともありました…。そんな訳で、タカシと同じような苦労もしたし、失敗もミスも経験したことがあります…ヨ。だから、こんな非人道的でバカらしい広告代理店は、早く辞めてしまえ…!!!と思いました。


映画の終盤で「流山霊園」行の送迎バスに乗るヤマモトを偶然見かけ、ヤマモト純が既に自殺してこの世にいない事実を知ると、もしやヤマモトはこの世にいない「幽霊」ではないのか???と疑い、ネットを糸口に純の来歴を調べ始める。最後に辿り着いたのが、養護施設長の大場玲子(小池栄子)であった。純と一緒に育ったもう一人の「山本純」に瓜二つの兄「山本優」が自殺したことが分かった…。でも、最後にネ、ボランティアで、子供たちに勉強を教える海外の学校にヤマモトを追いかけていく隆のストーリは、いかにも蛇足だな…と思いました。でもこんな、ブラック企業の餌食にならないために若者を覚醒させ、滅私奉「会社」に疑いも持たない新入社員を増やさない為に、こんな映画は必要なのだろう。いいタイミング公開されました。若者よりも、苦しいサラリーマン生活を強いられてきた中高年の方が、この映画に共感する人が多いのではないでしょうかーネ。日本にはまだまだ日本独特の家族的企業精神「年功序列・終身雇用」はとうに崩壊していると思っていましたが、今だ若者を束縛しているんですーネ。


★★★蛇足になるかもしれませんが下記アドレスで、コブクロの小渕健太郎、黒田俊介、そして映画の主人公・ヤマモトを演じた福士蒼汰、ブラック企業で働く青山隆を演じた工藤阿須加の座談会を掲載しています…。映画への理解を深めるために参考にしてください。

https://www.facebook.com/music.natalie

  
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平田周造(橋爪功)と妻・富子(吉行和子)との離婚騒動から、山田洋次がまたまたpart2を制作した。今作の騒動は、周造の運転免許証を家長の幸之助(西村雅彦)はじめ家族全員が返上を説得するところが発端となり、偶然巡り合った故郷広島の高校時代の同級生・丸田吟平(小林稔侍)と再会するが、行きつけの居酒屋のおかみ・かよ(風吹ジュン)のお店でとことん飲み、酔いどれて自宅へ一晩泊めた朝、零落して路上の警備員をしていた吟平は孤独に妻のベッドで心停止した姿で発見される。3本目の作品は、山田洋次独特の笑いとペーソスを持った中高年の「ヒトの死」が、ほろりと泣かせ、急死の騒動がまた平田家全員を巻き込むコメディー映画『家族はつらいよ2』(2017年、山田洋次監督)でした。


これまで日本の近代的家族制度の中で生きる人間像を描いてきた山田洋次監督ですが、時代は、新しい人間と社会の”窮地”を描き始めました。それは、高齢化社会を迎えた近代社会の関係性の「無縁社会」や老人の孤独死、老人だけが残され核家族化された”家”の「老老介護」などです。それに対して、山田洋次監督は前近代的「大家族化」

への方向を示唆しました。 私としては、新しい家族形態として新しい地域「共同体」をテーマとした映画を是非制作してほしいですーネ。敢えて、part3には、介護施設で働く20代の男を主人公に、町内で施設に入れない孤老したが、認知症で徘徊していたストーリの「家族はつらいよ」を望みます。


ここ数か月、笑いを忘れストレスに神経をすり減らしているサラリーマンの皆さまには、この映画はいい精神安定剤になるかもしれませんーネ。それだけゲラゲラ手放しで笑えます。

 


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4本目は、戦国時代の京都の頂法寺の執行として聖徳太子を祀っている「六角堂」の本尊如意輪観音に花を供えていた「池坊」の僧侶・専好(野村萬斎)を主人公に、その時代の権力者・信長秀吉の為政を舞台とした時代劇『花戦さ』(2016年、篠原哲雄監督)でした。時代背景は、織田信長(中井貴一)の威勢が本能寺の変で突然終焉し、信長亡きあと、天下を手中に収めた豊臣秀吉(市川猿之助)の政治が始まる。この時代劇でも、秀吉物語のエポックメーキングの事件、千利休(佐藤浩市)が秀吉によって自害に追い込まれる。その供養と秀吉の傍若無人な圧政を諫めるために、僧侶・専好は松と花を生ける…。


手応えのある時代劇の公開なのかな…と、かなり期待して観ました。池坊専好役の野村萬斎の時代劇出演は、「陰陽師」(2001年)、「陰陽師II」 (2003年)、「のぼうの城」(2012年)等があるが、前作「のぼうの城」での武将・成田 長親役の演技がどうもいかにもお道化た狂言のようで、私としては印象が悪かったです。今回も、池坊専好役の萬斎はやはり、顔の表情セリフ回し所作など、なにもかも「狂言」そのものでした。まるでまるで浅草ロックのエノケンの喜劇を彷彿としました。アンナに大げさにワザとらしく呵呵大笑しなくてもいいものだし、眼を大きくギロギロしなくてもいいものなのにな…と、それはそれで特徴といえば言えるのだが、私はミスキャストだと思いました。能舞台上での伝統的な演技には、定番のことなのだろうが、時代劇の役者としては、私は3流ではないのかな…???


秀吉役の4代目市川猿之助の時代劇出演は、「天地明察」(2012年)、「超高速!参勤交代」(2014年) 、「超高速!参勤交代リターンズ」(2016年)など何本かあるが、流石に時代劇の雰囲気に浮いてはいない、むしろかなり迫力の演技がありました。 十一代目市川 海老蔵の時代劇と比較した時、歌舞伎役者の癖を完全に払拭した演技は優れていましたーネ。





 下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。今週の6/8は映画『メッセージ/ARRIVAL』のコメントが放送されます。最近は、沖縄関連のゲストインタビューが多くなりました。変化があっていいですね。隣の人は、戦略塾主宰の小畠宏さんです。ただね、チョット気になるのは、「戦略」ということば、「戦略」「戦術」「戦火」「戦闘」etc、ついつい「戦争」をイメージさせてしまいます。経済さえも「経済戦争」だからね。沖縄らしくないよな・・・。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 

 




 

(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)


6月下旬特選映画【17】★映画のMIKATA「TAP」★映画をMITAKA

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今日6月23日は戦後72年、「沖縄慰霊の日」だった。この日には沖縄戦最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式が行なわれました。私も観光旅行でしたが、「平和記念公園」に立ち寄りましたよ。沖縄県の翁長雄志知事は、辺野古阻止「不退転」の平和の誓いを読み上げました。それにしても、追悼式には、安倍晋三首相や衆参両院議長ら約4900人が出席して、犠牲になった約20万人の戦死者の冥福を祈り、1分間の黙とうを捧げました。どうせならば、沖縄だけの特別な休日「慰霊の日」にせずに、日本全国の「慰霊の日」の休日にすればいいのにーナ!!! でもね、安倍晋三の米軍基地の「負担軽減」に関する演説の中の、「確実に結果を出す決意だ」という言葉は、沖縄県民の心情と民意を蹂躪する白々しく厚顔無恥な言葉でしたーネ。


6月下旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、今月6月は、自殺映画『ちょっと今から仕事やめてくる』、映像詩のような作品、『は河瀬直美監督しか撮れない映像だなーと想わせる作品でした。山田洋次監督の喜劇映画『家族はつらいよ2』、能狂言のような『花戦さ』、『22年目の告白-私が殺人犯です-』、『LOGAN/ローガン』、『昼顔』、『TAP THE LAST SHOW』…通算で8本を観賞しました。その中で、下旬に選んだ特選映画1本は、水谷豊監督&主演の『TAP THE LAST SHOW』でした。映画のラスト場面でのタップショーは、迫力のある舞台でした。あの数分間のタップショ―だけでも見る価値が有ります


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1995年、5件の連続殺人事件が起こったが、犯人は逮捕されることなく時効を迎え、手がかりもなく迷宮入りとなった。がある日、曾根崎雅人(藤原竜也)と名乗る男が、犯人しか知り得ない事件の真相を綴った手記「私が殺人犯です」を出版する。、時効の成立した事件をめぐり、残虐な殺人という罪が消える時効制度の理不尽さそのものへの矛盾に世間は非難を浴びせ、連続殺人犯を許せない事件被害者は犯人への憎悪と無念さと嘆きを募らせた。妹がその事件の被害者であり、事件捜査の途中で同僚刑事をむざむざ殺された担当刑事の牧村航(伊藤英明)と、警察関係者と、その殺人事件のの記憶を共有する世間を巻き込んで、センセ―ショナルな一過性の「空騒ぎ」として社会問題になるまで事件は空転し騒然とさせた。1本目の作品は、謎の先に意外などんでん返しの真犯人を暴くサスペンス映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』 (2017年、入江悠監督 )でした。


入江 悠監督の作品の中で、私は日々ロック』(2014年公開)しか観賞したものがありませんでした、しかし、これは面白いと認める作品でした。それにしても、この「22年目の告白」は、ストーリも謎解きの伏線とドンデン返しもよく練れているので拍手したいくらいでした。ただ、映画そのものが韓国映画『殺人の告白 (2012年、チョン・ビョンギル監督&脚本)のリメイクだそうなので、私は韓国映画をレンタルショットで借りと見て見ました。確かに画面は暗くカメラワークが巧くないですーネ。また、連続殺人事件の犯人だと告白するイ・ドゥソク(パク・シフ)と、犯人をずっと追いかけているチェ刑事(チョン・ジェヨン)と、事件に絡む周辺の人間関係がドラマの進展を見ててもはっきりしないです…ね。白い仮面を被った。真犯人を車で追いかけるカーチェイスは、やや漫画チックで幼稚でした。これを見ている邦人監督は、私ならばもっとスリリングにサスペンス映画妹らしく制作できると…と思うだろうーネ。ただ、着想は非常に面白いが、映画製作のスキルがまだまだ韓国映画は未熟のような気がしました。リクメイク版日本映画に私は軍配を挙げます。


 

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2本目は、数々の続編シリーズで映画化された米コミックのヒーロー「X-MEN」(2000年、ブライアン・シンガー監督)のその後の近未来のミュータントの最終章ともいえる『LOGAN/ローガン』 (2017年、ジェームズ・マンゴールド監督) でした。この作品では、遺伝子の突然変異により超人的パワーを持つミュータントの中でも肉体派の戦闘員ローガン「ウルヴァリン」(ヒュー・ジャックマン)は、人工的に実験室で製造されたミュータント「X-24」との戦いによって息の根を止められ、肉体組織の治癒能力も衰えて死亡する結末で終わった…。初めはよれよれの老いた酔っぱらいの姿で登場、メキシコの車泥棒を相手に殴られ倒され銃弾を受ける…。最早、ローガンは送迎ドライバーとしてミュータントが絶滅の危機に直面しする時代に、メキシコ国境近くの工場跡で生き残ったチャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)とキャリバンたちと隠れてひっそりと暮らしていた。


25年が経った2029年に、ローガンと瓜二つの両手に爪を持つ実験室で遺伝子操作と人工授精によって誕生したローラ(ダフネ・キーン)という11歳の少女が、ノースダコタ州にある「エデン」まで送り届けて欲しいという、その研究室の看護師だった女性と共に助けを求めて現れる。チャールズはミュータントが生き残るための唯一の希望であると、ローラと研究室によっての誕生したミュータントの子どもたちの運命を托した。最後の力をふり絞ってローガンは、人間兵器として人工的にミュータントを製造する企業のザンダー・ライス博士 たちと戦う…。


ローラは、特殊な弾丸でX-24を射殺してローガンを窮地に追い込まれた戦いを終わらせた。が、致命傷を負ったローガンはその場で亡くなる。石を積み上げた墓標の前でローラは『シェーン』の一節を引用して弔辞を述べ、墓標の十字架を「X」の形に置き直して国境の山を超えてゆく…。「X-MEN」シリーズの中で一番見応えのある名作でした。


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、夫がいる身でありながら妻のいる東京理科大の講師・北野裕一郎(斎藤工)と惹(ひ)かれ合い、不倫関係に陥った笹本紗和(上戸彩)が主人公。不倫の結末は、二度と会わないという誓約書を交わして、佐和は北野と離れ夫とも別れて、杉崎尚人(平山浩行)が経営するレストランで見習い調理師として働く…。3本目は、ある日もはや記憶から忘れかけていた紗和の前に、公民館で蛍の講演に来た北野と再会、肉体の疼きと喜びが再燃する、TVドラマの続編で、不倫映画の代名詞のような『昼顔』(2017年年、西谷弘監督、井上由美脚本)でした。


私は直言って、2014年7月17日~9月25日まで、フジテレビ系で放送されたTVドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(西谷弘演出、井上由美脚本、プロデューサー:三竿玲子、清水一幸、)を一度も見たことがなかったです。ひょっとしたら、人妻になった上戸彩のベットシーンと露骨な濡れ場が見れるのかな…といやらしい好奇心で見たのですが、二人の肉体が絡み合ったベットシーンは一回だけでした。映画は、TVドラマ11話で離婚した笹本紗和のその後のストーリから始まる。紗和も教師の北野裕一郎も同じ配役で、監督脚本も同じスタッフなので、TVドラマの続編であり、結末でもありました。エンディングストーリは、二人の不倫がめでたく結婚寸前へと近づいた時、裕一郎は、離婚届を手にして妻・乃里子(伊藤歩)と自動車ごと崖下へ転落して、紗和のいる白浜の盆踊りの夜に亡くなる…。不倫の末の幸福の刹那と、不幸な悲劇の終焉…、不倫は結局に悲劇の破綻で終わる、と言う教訓めいた結末なのかな。


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4本目は、晴れ舞台から落下する負傷事故で、大事な足に後遺症の残る怪我をして、今は足を引きずり酒におぼれる日々を送っていた、落ちぶれたが元は天才タップダンサーの渡真二郎(水谷豊)は、負債を抱えた旧い劇場支配人の毛利(岸部一徳)から「最後に最高の、異色のタップダンス映画〚TAP THE LAST SHOW』(2017年年、水谷豊監督、両沢和幸 脚本、HIDEBOHダンス監修)でした。


最早『相棒』シリーズの杉下右京役に飽き飽きした私は、水谷豊が初監督と主演を務めた映画が公開されたというので、早速に見に行きました。どんな作品で水谷豊かなどんな役柄でどんな演技をするのかな…と、興味津々でした。


タップダンスをテーマにショウビジネス界の華やかさと厳しさ、それでもダンスに生活と生き甲斐と運命を賭ける若いダンサーたちの姿を描いた作品に、水谷自らが零落した天才タップダンサーを演じています。ただーネ、酒浸りになって「ジャックダニエル」の酒瓶をラッパ飲みする姿を。何度も何度も繰り返し映していたが、チョットあのシーンはしつこかったよな…。でも、映画のラスト場面でのタップショーは、迫力のある舞台でした。あの数分間のタップショ―だけでも見る価値が有りました

 

あるインタビューで、映画にしたいと構想を長い間温めていたタップにひかれた理由について「…人をそこまで(魅了)させるものを持っているんです。普通、タップというと足の動きを想像されると思うのですが、この映画のように、あらゆる曲に対応できる動きがあり、別世界に連れて行かれてしまうようなショーにもなる。この作品でタップのイメージを変えられたら…」と、抱負を答えています。


この映画「TAP THE LAST SHOW」のロケ地は、東京・鶯谷にある「ダンスホール新世紀」の可能性が高そうです。このホールは、1996年の映画「Shall we ダンス?」の舞台モデルになったダンスホールだそうです。





 

下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。

次回6/29は、太平洋戦争の沖縄戦、浦添城址の南東にある「前田高地」と呼ばれた日本軍陣地を題名とする映画『ハクソー・リッジ』のコメントが放送されます。残念ですが、この放送もこの回が最終回だそうです。沖縄の放送局らしい、しかも最終回らしい映画です。私は、映画の情報番組としてはイイトークだな…と思て応援していたのですが、重ね重ね残念ですーネ。もしも、「もっと放送を続けて…!!!」という声がたくさん届いたら、継続されるかもしれませんよ。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 




尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…

7月上旬特選映画【18】★映画のMIKATA「」★映画をMITAKA

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7月上旬の特選映画をアップロードします。今回  本を映画館で観賞、今月4月は通算で 本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、『』でした。


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第2次世界大戦中、デズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、人を殺してはいけないという「セブンスデー・アドベンチスト教会」の信仰に従って、ライフルを手にする軍隊の教練に入っても「人を殺さない」という信念を頑として貫き、「良心的兵役拒否」変えようとしなかった。彼は、人の命を奪うことを禁ずる宗教の教えを守ろうとするが、最終的に軍法会議にかけられ、衛生兵として戦場に赴くことさえできなかった。その上、休暇を取って後に妻(テリーサ・パーマー)となる看護師のドロシー・シュッテとの結婚式にも兵舎を出られなかった。しかし、父(ヒューゴ・ウィーヴィング)はの尽力により、アメリカ合衆国憲法修正条項によりデズモンドの良心的兵役拒否は擁護され、武器の携行なしに戦場に向かうことを許可され…


1本目は、1945年5月、先発部隊が6回登って6回撃退された末に壊滅した沖縄の激戦地「ハクソー・リッジ(ノコギリ崖)」と呼ばれる断崖の先に広がる高地に衛生兵として第77師団と共に前線に上陸したデズモンドを主人公とする戦争映画『ハクソー・リッジ  HACKSAW RIDGE』((2016年、メル・ギブソン監督)でした。沖縄戦において、浦添城址の南東にある「前田高地」と呼ばれた日本軍陣地で、北側が急峻な崖地となっているので、米軍がこの崖につけた呼称(Hacksaw=弓鋸)と呼んだ。


これは俳優としてもに近未来&アクション映画『マッドマックス』(1979年公開)や、刑事&アクション映画『リーサル・ウェポン』(1982年公開)シリーズなどに出演したメル・ギブソン監督の映画ですが、監督としても、アカデミー監督賞を受賞しているの『ブレイブハート』(1995年公開)や、私財30億を投じてイエス・キリスト張りつけを描いた原始キリスト教の世界を描いた『パッション』(2004年)を製作している。その制作手法と歴史解釈と表現方法は大変意欲的で、独特の視点を持っているな…と、感じさせます。この「ハクソー・リッジ」も戦争映画としては「良心的兵役拒否」の平凡なアメリカ青年の新しいアメリカ人ヒーローと沖縄描いた点で、大変ユニークですーネ。彼自身も避妊や妊娠中絶反対を表明している熱心な純潔運動家としても知られているカトリック教徒であるようです…。


ただね…、この映画はアメリカ人の視点で描かれた太平洋「戦争」であり、敗戦間近の激戦地「沖縄戦」ですーネ!!!


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2本目は、『いつまた、君と ~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~』(2017年、深川栄洋監督)でした。


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3本目は、『』(年、監督)でした。


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4本目は、『』(年、監督)でした。


55本目は、『』(年、監督)でした。




6本目は、『』(年、監督)でした。
7本目は、『』(年、監督)でした。
8本目は、『』(年、監督)でした。



下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。今週の2/23は映画『スノーデン』のコメントが放送されます。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 


尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


2月DVD特選映画【8】«医療と映画≫★映画のMIKATA「コンカッション」★映画をMITAKA

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特選映画という新しいブログ タイトルを以前作りまして、医療関係の洋画邦画のDVDのテーマを決めてまとめてたくさん見ました。そこでとりあげた作品を下記に洋画8点邦画11点を整理のために列挙しておきました。それぞれのコメントに関しては古い下記アドレスをご参照ください。

http://ameblo.jp/sasuganogyosui/theme12-10093302434.html

今回は、もう既に映画館で公開された2015年公開の「医療の映画」の作品2点をDVD観賞の上…、洋画では「コンカッション」、邦画では「いしゃ先生」を掲載しました。いずれも評価の高い医療分野の作品なので追加掲載しました…。このテーマは、今後も継続して追加掲載するつもりです。まだまだ、私の知らない名作・傑作が「医療の映画」のテーマでとりあげても良い作品があるかもしれません。もしも隠れた名作傑作があるならば教えてください…。

 映画は、昨日と今日の現実と、歴史の悲劇と、未来への喜びと笑顔を映す鏡です。邦画でも洋画でもたくさんの医療ドラマがTVでも映画でも、毎日公開放映されています。その中には、医療とは「どうあるべきなのか…」とか、「医者はどうあるべきなのか…」という問題の片鱗が含まれている筈です。私が今まで選んだ特選映画、例えば、日本の医療が今進んでいる方向は「何か?」とか、医師会や厚労省の医療制度は、「どうなっている?」とかの関心から、市場原理によって利潤追求をとことん進める「医療の企業化」の最先端としてアメリカの医療制度を真っ向から批判した『シッコ』のドキュメンタリ―や、高度医療技術と高額化する治療費、それに伴う保険制度の矛盾を描いた「ジョンQ」も名作でした。特に、アメリカで新しい大統領の就任直後、この問題を解決しようと元大統領が医療改革を進めていた「オバマケア見直し」が大統領令によって撤回され、命の値段が医薬企業や大手保険会社より左右されるアメリカの保険制度が、トルンブバカ大統領のために、深刻な問題となりました。イスラム系の「入国禁止令」「TPP」側近スタッフの話題ばかりで、医療制度を日本人のマスコミは話題にしませんーネ。また、臓器移植にまつわる「尊厳死」とか「死」の判定、また、群馬医大の腹腔鏡手術の失敗と死亡の隠蔽を聞くと、医師の使命とか倫理などを考えさせる映画として『赤ひげ゜』や『孤高のメス』も傑作でした。これらの名作傑作を踏まえて、この「医療の映画」を掲載します…。


今TBSで医療系のドラマ、キムタク主演のTVドラマ「A LIFE 」が放映されています。「A LIFE」の見込まれていた視聴率の数字は20%でしたが、第1話14,2%、第2話14,7%、第3話13,9%と、必ずしも期待どりに行っていない…ようです。私も鑑賞に堪えない期待外れの駄作だなー、私が見る限り、医療の現実をドラマにしていないなー、と思いました。主演の木村拓哉の演技だけが悪いともいえません。確かに、検事役のTVドラマ&映画の「HERO」で演じた検事役久利生公平ー、アウトローで個性的で自由な役柄ー、同じぶっきら棒だか有能な職業人の性格・演技と、「A LIFE 」の外科医沖田は同じで、まるで金太郎あめですーネ!!!それに、今時病院内の人間関係、男たちの嫉妬や権力争い女と男の不倫など、もうカビが生えているテーマですーヨ。TVドラマの脚本家やディレクターの目は曇っていますーネ、現実の医療現場を見ていない、頭の中は1960年代に生きているのか?医療はもっとぺつの大きな問題を抱えている筈です…!!!

 

★«洋画DVD≫<<<<<<<<<<<<<< 


①「レナードの」(1990年公開。 ペニー・マーシャル監督)
②「ロレンツォのオイル/命の詩」(1992年公開。監督:ジョージ・ミラー 。脚本:   ジョージ・ミラー、ニック・エンライト )。

③「パッチアダムス」(1998年公開。トム・シャドヤック 監督)
④「シッコ」(2007年公開。マイケル・ムーア監督)。 

⑤「アフェイク」(2007年公開。ジョビー・ハロルド監督)

⑥「ジョンQ -最後の決断-」(2002年公開。ニック・カサヴェテス監督)

 ⑦「21グラム」(2003年公開。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)  

⑧「小さな命の呼ぶとき」(2010年公開。監督:トムボーン。脚本:ロバート・ネルソン・ジェイコブス 原作:ジータ・アナンド)

⑨「コンテイジョン (2011年公開。スティーヴン・ソダーバーグ監督) 


⑩「コンカッション」(2015年、ピーター・ランデズマン監督)…引退したアメリカンフットボールの選手たちに頻発する、謎めいた死の真相に挑むナイジェリア人医師・ベネット・オマル(ウィル・スミス)は、ナイジェリアからアメリカへと渡った検死官として働いていた。オマルは、地元出身の元ピッツバーグ・スティーラーズのスター選手、マイク・ウェブスター(デヴィッド・モース)がアメリカンフットボールのプロリーグNFLを引退した後で変死解剖を担当することになった。野球と並ぶアメリカの国民的スポーツ、日本人の相撲と同じ「国技」ともいえる競技です。絶大的な人気とファンを持つアメリカンフットボールの選手たちが、コート内でゴール目指して肉弾を衝突しあう、あの激しい攻防によって、選手たちの脳骸骨内の「脳」が衝撃によって「慢性外傷性脳症」が発症し、選手に奇妙な後遺症を残す…ことが明らかになってきた。しかし、NFLは、プロスポーツリーグの中で最も人気のあるゲームであり、1試合の平均観客動員数が6万~7万人超の熱狂的なファンが群がる。プロスポーツリーグの中でも年間シーズン収益は、120億ドルを記録する経済的効果もあった。こんなアメリカ最大のスポーツイベンに真っ向から「危険」のサインを出したオマルは、医師会と連盟から猛反撃を受ける…。でも、この映画を見終わった後、今は「危険」なスポーツではないのかな、と疑問がわきました。やはり、巨額な利益のために、死の危険を承知で連盟と選手は続けているのだろうかな???日本のアメフトでは、そんなことが報道されたのかな…???  


★≪邦画DVD»<<<<<<<<<<<<<<
 


 ①「赤ひげ」(1965年公開。黒澤明監督。山本周五郎原作『赤ひげ診療譚』。小国英雄 他脚本) 

②「白い巨塔」(1966年公開。山崎豊子原作小説、山本薩夫監督。橋下忍脚本) 

④「震える舌」(1980年公開。 野村芳太郎監督) 

⑤「チーム・バチスタの栄光」(2008年公開。医師・海堂尊の原作小説。中村義洋監督 ) 

⑥「ディアドクター」(2009年公開。 西川美和監督)

孤高のメス(2010年公開。成島出監督。大鐘稔彦原作。加藤正人脚本) 

⑧「神様のカルテ」(2011年公開。医師・夏川草介の原作小説。深川栄洋監督) 

⑨『終の信託』(2012年公開。周防正行監督) 

⑩「救いたい」(2014年公開。神山征二郎監督)
⑪「風に立つライオン」 (2015年公開。 三池崇史監督)。




⑫「いしゃ先生」(2015年、永江二朗 監督) ・・・第2次世界大戦後の冬は雪深く、依然、神仏や呪術で急病を癒やそうとする病気に対する偏見と、、貧しい農民の多い山形県の無医村が舞台です。東京で医療の勉学に励む志田周子(平山あや)は、山形県大井沢の村長である父・荘次郎(榎木孝明)に、無医村の故郷の村でなり手のない診療所で3年間だけ医師を務めてくれと頼まれる。盲腸や結核で人が死ぬ無医村の僻地は医療は、大変だろうな。しかも、地方には、いろいろな感染病「風土病」がある…。山梨県甲府盆地の低湿部には中心巻貝の一種であるミヤイリガイ(宮入貝)に宿る寄生虫が媒介する「日本住血吸虫」が…、和歌山県の紀南地方には、「牟婁病」と呼ばれる水が原因で発生するとされる「筋萎縮性側索硬化症」(ALSまたはアミトロ)が発生していた…、新潟県、山形県、秋田県には、土壌昆虫の卵などを捕食する、0.2ミリほどの大きさの捕食性のダニ・ツツガムシの幼虫が媒介する「ツツガムシ病」が゛あった…。「エイズ」以外にも、その原因と治療方法と完治させる治療薬の研究開発の待たれている難病はたくさんあります。こうしたいろいろな難しい「病気」に、医者は無力ですーネ。医者が資本の論理に基づいて算術で医療に携わったら、人間のための医療は崩壊しますーネ。


今、アメリカの医療系ドラマの『ER緊急救命室』(原作はマイケル・クライトンの『五人のカルテ』)が再放映されています。 NBC放送で1994年9月9日から2009年4月2日にかけて331エピソードが放送されたそうです。ただね、昨今の日本の医療系ドラマのほとんどが、勿論、TBSの「A LIFE 」もこれを超えていないのです!!!寧ろ、超えるどころか難しい病名と治療説明ばかりで、お粗末ものです。恋愛と不倫とコメディーしか制作しなくなった「TV」の脚本家とディレクターは、恥ずかしくないのかな…。私は、何時手術ロボット「ダヴィンチ(ISGK)」が医療ドラマに登場するのを待ち望んでいるのですが、なかなか登場しないですーネ。私の知っている限り身近な川崎市立病院で導入したようです…ネ。今の所、医者が機械操作の練習のため、保険が適用されるので前立腺がんに多用しているようです。将来はもっとがん治療とか、脳外科手術などに使われるのではないかな…。因みに、ダビンチSiモデルの実勢価格は、税別2億4800万円らしいです、メスを持った人間の手と指先と比較して。ロボットアームの精密機械の手と、どちらが外科手術の主流となるのか…?なんならば、ドラマ中の難しい脳腫瘍除去の脳外科手術に使ってほしいな…。

尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


7月上旬特選映画【18】★映画のMIKATA「ハクソー・リッジ 」★映画をMITAKA

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7月上旬の特選映画をアップロードします。今回3本を映画館で観賞、その中で選んだ特選映画1本は、メル・ギブソン監督の『ハクソー・リッジ  HACKSAW RIDGE』でした。一部にはこの作品に対して、…日本国内の宣伝では配給会社のキノフィルムズが『ハクソー・リッジ』が沖縄戦を描いた映画であることを巧妙に隠していた。…という批判もあります。でも、アメリカ人監督による対日戦争の激戦地の凄惨な地獄を描いたという視点、「良心的兵役拒否」しという戦争の新しいヒーロを描いたという視点から、私は、メル・ギブソン監督を評価したいです。





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第2次世界大戦中、デズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、人を殺してはいけないという「セブンスデー・アドベンチスト教会」の信仰に従って、ライフルを手にする軍隊の教練でも、決して「人を殺さない」という信念を頑として貫き、「良心的兵役拒否」変えようとしなかったです。彼は、人の命を奪う「人殺し」を禁ずる宗教の教えを守ろうとする。が、抵抗を守ろうとした先に最終的に軍法会議にかけられ、彼の戦争参加の唯一絶対の意志である衛生兵として戦場に赴くことさえ許されなかった。その上、休暇を取って妻(テリーサ・パーマー)となる看護師のドロシー・シュッテとの結婚式にも兵舎を出られなかった。しかし、第一次世界大戦に参戦し、過去の戦争体験のトラウマ、人を殺し人が死ぬことに悩んでいた父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の尽力により、アメリカ合衆国憲法修正条項によりデズモンドの良心的兵役拒否は擁護され、武器の携行なしに激戦地・沖縄の戦場に向かうことが許可された…。非戦闘への軋轢も大きいが、流石に、南北戦争で自由を勝ち取った国家ですーネ。

1本目は、1945年5月、先発部隊が6回登って6回撃退された末に壊滅した沖縄の激戦地「ハクソー・リッジ(ノコギリ崖)」と呼ばれる断崖の先に広がる高地に衛生兵として第77師団と共に前線に上陸した衛生兵・デズモンドを主人公とする戦争映画『ハクソー・リッジ  HACKSAW RIDGE』(2016年、メル・ギブソン監督)でした。沖縄戦において、浦添城址の南東にある「前田高地」と呼ばれた日本軍陣地で、北側が15メートルの急峻な崖地となっているので、米軍がこの崖につけた呼称(Hacksaw=弓鋸)でした。彼はこの前線で瀕死の仲間を背負って崖を降り、15人の戦友の命を助けて、後日名誉勲章を授与されたという。

 

これは俳優としてもに近未来&アクション映画『マッドマックス』(1979年公開)や、刑事&アクション映画『リーサル・ウェポン』(1982年公開)シリーズなどに出演したメル・ギブソンの監督映画ですが、監督としても、アカデミー監督賞を受賞している『ブレイブハート』(1995年公開)や、私財30億を投じてイエス・キリストが張りつけになった原始キリスト教徒とその時代を描いた歴史&宗教映画『パッション』(2004年)を製作する実績も残している。その制作手法と歴史解釈と表現方法は大変意欲的で、独特の視点を持っているようだ…と、感じさせます。この「ハクソー・リッジ」も戦争映画としては、珍しい「良心的兵役拒否」の平凡なアメリカ青年の「非アメリカ人ヒーロー」と、沖縄描いたという点で、大変ユニークですーネ。彼自身も避妊や妊娠中絶反対を表明する熱心な「純潔運動家」として知られているカトリック教徒であるようです…。


ただね…、この映画はアメリカ人の視点で描かれた太平洋「戦争」であり、アメリカ人の視点で描かれた敗戦間近の激戦地「沖縄戦」の新しいアメリカの英雄の姿ですーネ!!!でも私は残念でたまりません…。この沖縄の戦場を、何故どうして?日本人監督が映画化できなかったのだろうかな…という、大きな疑問を持つからです。ベトナム戦争や中東戦争等々で直接に徴兵され、他国と戦い、肉身兄弟を戦地で亡くしたアメリカ人の方がリアルに「戦争」を映画化できるのかも知れませんし、更に、アメリカ人にとって個人の運命を左右する生き死の大きな問題であり、身近なテーマなっているのかもしれない。クリント・イーストウッド監督の父親たちの星条旗/FLAGS OF OUR FATHERS」(2006年)、「硫黄島からの手紙」 (2006年) は、終戦記念日に太平洋戦争の代表作として日本のTV上映されるくらいですからーネ、呆れます。今年2017年の8月15日にはどんな映画がTV放映されるだろうかな…。日本の軍国右傾化の指標として、私は注目しています。


岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」(1967年、)、そのリメイク版の原田眞人監督の「日本のいちばん長い日」(2015年)は旧作以上の斬新な解釈でした。軍部の財宝を隠匿する終戦の日本軍を描いた浅田次郎原作、佐々部清監督の「日輪の遺産」(2011年)も面白い戦争映画でした。フィリピンの前線を描いた敗戦色濃い東南アジア前線を描いた市川崑監督の「野火」(1959年)は、人肉映画としても話題作でした。そのリメイク版の塚本晋也監督の「野火」(2015年)も独特の傑作でした。原爆の広島を描いた佐々部清監督の「夕凪の街 桜の国」(2007年)も、また、故郷へ手足を失って帰京、村の軍神となった兵士を描いた若松孝二監督の「キャタピラー (2010年) も、戦争における軍隊と人間の歪み表現した名作として後世に残る作品でした。最近ヒットしたアニメの戦争映画が終戦記念日にTV放映されるかな…?


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向井理の祖母・芦村朋子さんが亡き夫・吾郎(向井理)と苦難を過ごした戦中の中国と戦後の混乱期の日々と半生を書き残した「何日君再来」と題した手記を祖母はパソコンに残した。2本目は、深川栄洋監督がその手記を映画化した『いつまた、君と ~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~』(2017年、深川栄洋監督)でした。向井自身が祖父役と、大学生の孫役を演じ、若い時の祖母役・芦村朋子を尾野真千子が、81歳になった老いた母の姿を野際陽子が演じた。野際にとっては遺作となった作品でした。第二次世界大戦戦争を経験した日本の庶民の誰もが同じように経験して、同じ辛酸を舐め、「戦争はイヤだ」と同じように感じ、次の世代にその気持ちを是非とも残したいと思った、「庶民」の共通認識と歴史観に違いないーナ…。この映画を見て私は、そんなことを考えました。


 

近頃日本の映画監督は、戦前の日清日露から太平洋戦争に至る富国強兵策と軍国化、侵略戦争への道程、軍国主義と広島長崎の原爆投下と焦土と化した、昭和の日本人が経験した戦後の混乱した日本を描か亡くなったーナ…。戦後生まれの社会科学者は、「世界」が歴史の変遷の中で受難した戦争による虐殺と、政治経済が無慈悲に「市民」を陥れる政治の力学と、それを抑制する平和の政治・社会理論を研究しなくなったーナ…。最早、日本人映画監督も学者も、若い戦争を世知らない世代も、世界のどこかで「戦争」が今現在も勃発し、防弾と銃器の炸裂する戦闘状態が続いていることを、そして、再び日本と周辺アジアで、激しい戦争が今現在起こることを忘れている人も多くなりました。或は、恰も痛みと血を伴わない仮想「ゲーム」のように、恰も空想と心情の中でだけしかとらえようとしなくなったーナ…。もっともっとリアルで血みどろの戦争映画が制作されるべきではないのかな。原爆と戦争のアニメが教科書から削除されるPTAの反対があるバックドラフトの平和の時代だからな…。


 

寧ろ邦画では、戦争アニメの方が話題を呼んでいます。例えば「火垂るの墓」(高畑勲監督、1988年)、「君の名は。」(新海誠監督、2016年)、『この世界の片隅に』(片渕須直、2016年)…等がすぐに思い浮びます。俳優と現実を舞台とするリアルな映画は、戦争のテーマ設定と時代背景と制作そのものもしにくくなっているのかもしれませんーネ。私は、井伏鱒二原作、今村正平監督の『黒い雨』がもう一度見たいです。

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3本目は、病に侵されベットでベッドで養生する母と、かぎっ子のように食事を自分で作り、母の病気の面倒を見る孤独な13歳の少年コナー(ルイス・マクドゥーガル)と母と別居中(父は離婚しているようだ)の父親と、母の祖母の3人と怪物の登場するファンタジー成長物語『怪物はささやく/A MONSTER CALLS』(2016年、A・バヨナ 監督)でした。


 

私との観賞途中の第一印象としては、これは…大変に難解な映画だな…と思いました。この映画のメインテーマは何なのか…???の疑問が持ち上がっていました。ある夜、彼の部屋の窓の外に、闇夜に蠢く樹木の姿をした大きな怪物が現われ、「わたしが三つの真実の物語を語り終えたら、四つ目の物語はお前が話せ」と告げ、夜な夜な怪物は現れるようになりました。コナーを訪れる幻想的なアニメの樹木の怪物が、コナーに謎を仕掛ける…。リアルな写実映画とアニメの怪物が登場するファンタジーめいた作品でした。子供から大人への少年が母の愛情の庇護から大人になる最後の謎は、病院で母の死を看取り、母の死によって母に甘えられない一人で生きること、つまり「独立心」へ導く謎でした…。子供が大人になる成長のきっかけは、父でもなく祖母の力でもなく、母の死という大きな母の愛情の喪失という怪物でした…。

 

私はアメリカの作家、パトリック・ネスの小説を今まで読んだことかありません、というよりも初めて知る名前でした。『怪物はささやく』も(池田真紀子訳、あすなろ書房、2011年出版)も既に日本語の翻訳があるようですーネ。その他、『心のナイフ』<上・下>『問う者、答える者』<上・下> (東京創元社、金原瑞人、樋渡正人訳)、 『まだなにかある』<上・下>(三辺律子訳<辰巳出版)…数多出版されているので、日本でも隠れた読者が沢山いるようです。活字を読むのが苦手になった私ですが、原作ぐらい是非読みたいです。




   

7月下旬特選映画【17】★映画のMIKATA「ザ・マミー」★映画をMITAKA

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暑中お見舞い申し上げます。毎日暑いですね、もうじきお盆休みです、映画で暑さを忘れましょう…。私は高校野球の西東京大会決勝戦で、東海菅生と早実の試合を見ていて、余りにも「清宮がんばれ、キヨミヤキャー、打て
ホームラン」の応援に辟易しました。却って、テレビ観戦をしていて余計に熱くなりました…。期待が余りに大きすぎる、プロに入団しても途中でつぶれるのではないのかな…???

最近、映画の題名から、「その作品はどんな内容なのかな…???」と興味をそそられる映画の作品名が増えましたーネ。例えば、昨年公開された中野量太監督、宮沢りえ主演の『湯を沸かすほどの熱い愛』など、まずは題名に魅かれました。先日レンタルショップで、その題名が目に留まって借りて見たDVD映画『走れ、絶望に追いつかれない速さで/TOKYO SUNRISE 』(2015年、中川龍太郎監督)も、内容以前にまずは題名がありました。まだ見てはいないのですが、現在公開中の作品で、川翔 監督、吉田智子脚本の『君の膵臓をたべたい』や、石井裕也監督&脚本、最果タヒ原作の『夜空はいつでも最高密度の青色だ』なども、その題名に先ずは「何んの映像なのかな、どんな言葉が隠されているのかな…???」と、想像が刺激され、そそられます―ネ。私など、エ~人肉の怪奇映画だとか、ウーン北極のオーロラの風景を連想してしまいます。こりゃー、みな観なきゃソン損なのかな…。



映画コメントのブログにTVドラマやTV番組の話題を持ち込むのは、やや場違いでしょうかーネ。私は今、遊川和彦脚本、高畑充希主演、日本テレ放送の『過保護のかほこ』というTVドラマに嵌っています。流石に映画『恋妻家宮本』で面白い喜劇を見せてくれた脚本家だけある、ゲラゲラ笑わせてもらっています…。流石に演技上手の高畑充希です、万華鏡のようにクルクル変化する顔の表情と天真爛漫な言葉の連発は、見ていて楽しいですーネ。


もう一つTVドラマについてコメントを。超高層ビルの建つ近代都市の新宿の街だが、時代の流れから取り残された新宿の裏街に深夜に暖簾をだす食堂に、サラリーマンやOLや水商売の女たち、家出少女やヤクザやオカマ達が、深夜食堂のカウンターに座り、素朴な家庭料理や、酒肴の手軽な摘みに舌を喜ばせ、秘密の私情と隠したい心の悩みを抱えて、毎夜集まる食べもののドラマ「深夜食堂」…。そのドラマの中心にいるのが小林薫でした。連続TV番組としても、映画としても、食べものとカウンターを挟んで、狭い空間の中で人情ドラマが繰り広げられる何とも味のある番組でした。私も楽しませてもらいました。同じ食べもの番組でも、テレビ東京放送の重松豊主演の「孤独のグルメ」も平板な食べ物紹介に終わってはない。今新しくTBS系テレビで栗山圭介原作の、「居酒屋ふじ」というTVドラマが始まった。一応売れない俳優の卵という永山絢斗演じる西尾を主人公に、西尾を中心に毎回居酒屋にもめ事を持ち込み、いつもの常連が相談にのるストーリで終わる。何故にこうも「食」のドラマが次々と制作され、面白いのだろうかーナ??? 「食」のドラマの面白さと、ドラマとしての可能性は何処にあるのだろうか…、是非、読者の方にこの質問の答えを聞きたいです。

 

 

さて、7月下旬の特選映画をアップロードします。今月7月は上旬にハクソー・リッジ  HACKSAW RIDGE』、『いつまた、君と ~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~』、『怪物はささやく/A MONSTER CALLS』の3本、下旬で4本を鑑賞して、今月7月は通算で7本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、トムクルーズ主演の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』でした。ただ、エジプトを舞台としたワンパターンのホラー&アドベンチャ作品で、期待した以上の斬新な作品ではないかな…と思いました。



宇宙空間を舞台とした「ライフ」もまたワンパターンだな…と同じことが言えるのですがーネ。先日、公開中に見逃したインド映画「PKピーケイ」(ラージクマール・ヒラニ 監督)をDVDで見ましたが、黄色いヘルメットを被って大きなラジカセを持ち、神様を探してさまざまな宗教に問いかけ、もう一度円盤を呼ぶリモコン機器を探す為に、チラシを配布する裸の宇宙人は、ハチャメチャに面白いSFコメディー映画です。見事にハリウッド映画の地平を越えていました。同じ宇宙人のSFなのだが、ワンバターからはるか遠くに逸脱しているインド映画でしたネ。

 

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男女6人の宇宙飛行士、医者のデビッド・ジョーダン(ジェイク・ギレンホール)、検疫官のミランダ・ノース(レベッカ・ファーガソン)、航空エンジニアのローリー・アダムス(ライアン・レイノルズ)、システム・エンジニアのショウ・ムラカミ(真田広之)、宇宙生物学者のヒュー・デリー(アリヨン・バカレ)、司令官のエカリーナ・“キャット”・ゴロフキナ(オルガ・ディホヴィチナヤ)が搭乗していた。彼らは国際宇宙ステーションに集結し、火星で採取された土壌から人間の起原さえ明かす地球外生命体の存在をを探っていた。がそこから、細胞めいた未知の地球外生命体の存在を、隔離した宇宙ステ―ションのラボで発見する。やがて、小さく無害で可愛らしい細胞は「カルビン」と命名され、次第に大きく成長し、攻撃性と知能を持つ存在へと進化した。未知の細胞は宇宙船内と船外の宇宙空間を逃げて、抹殺しようとする宇宙飛行士たちを翻弄しようとした。孤絶した宇宙で、完全に火星の生命体に宇宙ステーションを征服され、次第にクルーは未知の生命体の攻撃によって追い詰められ、残った二人の飛行士は、少なくても地球を滅ぼしかねないこの未知の生命体を地球へ持ち帰ってはならない…と、宇宙ステーションを捨てて脱出ポットで宇宙空間へ飛び立つ。 が、初めの計画では、最後に生き残った1人・デヴィットは宇宙空間へと「カルバン」を道連れにする…、もう一人ミランダは地球へとこの生命体を知らせるため脱出する予定だったのだが…。1本目は、未知の生命体と地球の危機を描いたSF映画『ライフ』(2017年、ダニエル・エスピノーサ監督)でした。


最後のシーンで、東南アジアの何処かの海に宇宙から落下して無事に着水したカプセルには、宇宙ステーションで進化した未確認生物「カルビン」と、デヴィットが乗っていた。海上でそのポットを確認した漁師は船で近寄り、直ぐに救助しようとするのだが、デヴィットは懸命に開けるなー、近寄るなーと叫ぶのだが゛理解されなかった…!!!またまた続編を期待させるクローズだな、と感じさせました。むしろそれを狙った制作を初めから企画しているのかもしれませんーネ。



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殺し屋稼業から身を引いて静かに生活している主人公のジョン・ウィックを演じる身長186センチの二枚目俳優、『マトリックス』シリーズで人気を博したキアヌ・リーヴスの名前は、まるでフランス菓子のようなので仏蘭西人かと錯覚していたが、レバノン出生のカナダ国籍の俳優でした。

前作chapter1を鑑賞後に2015年10月下旬特選映画【32】で、私はこう書いてます。…ロシアン・マフィアの凄腕の殺し屋から足を洗い、愛妻との平穏と安らぎの毎日に満足しているジョン・ウィックは、妻を病気で喪い、悲しみに暮れる葬式の日に、マフィアのボス・ヴィゴの息子・ヨセフに、妻から贈られた子犬を殺され、愛車のムスタングを暴力で無理矢理に奪われる。…その安息を破られた復讐を誓い、コンクリートで固めて床下に封印していた殺人の武器と金貨を手に、殺しのスキルを再び惹起する。…邪魔する多勢の子分を次々に倒し、逃げ隠れていた息子のヨセフを仕留め、マフィアのボス・ヴィゴとの死闘を生き抜いた伝説の殺し屋ジョン・ウィックが、ラストシーンで、瀕死の傷口を手当てするために港付近の動物病院に侵入した後、愛犬に似た愛らしい犬を一匹連れて深夜の道路を去っていく場面には、凄惨な殺しを非情に続ける彼のヒロイックなアクションとのあまりの落差に、私は寧ろ滑稽さを感じてしまいました…。あれは脚色の失敗だーね。…と書きました。


2本目の『ジョン・ウィック:チャプター2(2017年、チャド・スタエルスキ監督)は、chapter1の続編なのだが、初めは、奪われたフォード・マスタングを取り戻すために盗難車専門のマフィアの自動車工場へ突撃するシーンから始まる。そこで再び愛車のマスタングの奪い合いで息子のヨセフと衝突する。

chapter1とストーリ設定と壮絶な復讐劇はchapter2でも同じなのですが、こんどの相手は、そのリベンジの5日後、ジョン・ウィックは闇社会のイタリアンマフィアのサンティーノ(リッカルド・スカマルチョ)から新たな殺人、彼の姉を暗殺してくれ、と依頼される。殺し屋稼業から足を洗い静かな生活を望むジョンは断るのだが、サンティーノによって終の棲家をバズーカ砲で木っ端みじんにされてしまう。愛車を奪われた復讐と同じく、サンティーノと対決するのだが、ジョン・ウィックには7億円の懸賞金がかけられ、殺し屋稼業全員のターゲットとなった…。エ~、ジョン・ウィックはどうなるんだ…と期待させ、続編がまた公開されそうな気がしますーネ。

 

率直に行って、芸のない映画を恥ずかしげもなく世界に向けて公開するものだな…と呆れました!!!二番煎じのコンコンチキの駄作でした。ただ、この毎日うだる暑さに、昼間の避暑地として私は映画館へ行くのですが、夏の一時の暑さを忘れさせてくれる惚れ惚れする格闘技と、見事な拳銃裁きの壮絶なアクション映画でした。同じアクション俳優でも、格闘映画を撮り慣れているリュック・ ベッソン監督ならば、リアム・ニーソンやジェイソン・ステイサム主演の類似作品ならば、もう少しまともに制作していたね。「ヒロイズム」の解釈が、ロマンティクで歪んでいるのかな…。


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中東で戦闘に従事する、あわよくば古代の財宝を盗もうと狙うやや手癖の古いアメリカ軍人兵士の2人、ニック・モートン(トム・クルーズ)と相棒のクリス・ヴェイル(ジェイク・ジョンソン)は、イラクの反乱軍の街で危機一髪の所を空爆援護で救出された後、偶然にも古代エジプトの文字が刻まれたアマネット王女の墓と石棺が発見される。その発掘に居合わせたのが、考古学者のジェニー(アナベル・ウォーリス)で、優秀な医者であり科学者であり、自身の心に潜む邪悪な悪魔を取り除こうとするラッセル・クロウ演じるジキル博士が率いる悪魔研究の≪プロディジウム≫が出動、彼女と共に調査のために石棺をイギリスに飛行機で運ぶ。のだが途中墜落…。3本目は、イギリスの地下から発見された十字軍の棺と、皇位継承をめぐり、悪魔に魂を売り一族を皆殺しにして権力を手にしようとした古代エジプト女王・アマネットのストーリが絡むホラー&冒険アクション『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(2017年、アレックス・カーツマン監督)でした。

 

ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』公開初日に見に行ったのだが、些か肩透かしにあった気がしました。と言うのは、古代エジプトを舞台にする作品ならば、既に1999年公開のスティーブン・ソマーズ監督・脚本のアドベンチャー映画『ハムナプトラ/失われた砂漠の都/The Mummy』と同工異曲だったからです。この作品自体が、そもそも1959年公開の『ミイラの幽霊』(テレンス・フィッシャー監督)、そのリメイク版の1932年公開の『ミイラ再生』(カール・フロイント監督)の、リメイクのリメイク版だったので、古代エジフトとピラミッドの呪いとミイラの登場する舞台とストーリは、新鮮味がなかったのですーネ。ただ唯一の特徴と魅力は、この作品の主演が、トム・クルーズだということです。彼の「ミッションインポッシブル」で見せたアクションと謎解きがあるのかな…という期待感が、少なくても私にはありました。もう一つの特徴は、この作品がユニバーサル・ピクチャーズが手掛ける「モンスター・ユニバース」の第1弾であることです。故に、ここに唐突にもジキル博士が登場するのです。

 


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4本目は、共に小さな劇団で役者をする夫婦、夫のマッド・エテサミ(シャハブ・ホセイニ)と、妻のラナ・エテサミ(タラネ・アリドゥスティ)は、ちょうど劇作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演していました。マッドは教師として教壇に立ち、妻と共に劇団の仕事にも情熱を注いでいた。今まで住んでいた自宅が崩壊の危機のため建設工事する為に引越を余儀なくされました。たまたま引っ越し先の転居したばかりの家で、夫の帰りを待つ夜に浴室でシャワーを浴びていた時に、慣れないアパートなので、ドアーの鍵を解除したまま妻は何者かの侵入によって乱暴されレイプされてしまう、レイプ&犯罪映画『セールスマン/FORUSHANDE/THE SALESMAN 』(2016年、アスガー・ファルハディ監督)でした。


ただーネ、単純にレイプ&犯罪映画とだけ言えない作品です。アスガー・ファルハディはイラン・イスファハン出身の映画監督です。イランの映画は日本では未公開作品が多く、余りに馴染がありませんが、ナントなんと、『彼女が消えた浜辺』(2009年)ではベルリン国際映画祭の銀熊賞(最優秀監督賞)に輝き、『別離』(2011年)では同映画祭の金熊賞を授与され、また同作品ではアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、イラン映画として初めてのオスカーを獲得した監督でした。この作品では、カンヌ国際映画祭の脚本賞を受賞し、2度目のアカデミー外国語映画賞を受賞した、最早イラン映画界ばかりでなく、世界の映画業界注目の監督です。尚且つ気骨もある。トランプ政権の移民政策等への反対を表明するためアカデミー外国語映画賞の授賞式をボイコットしました。


では何故、イラン人の制作する映画の何処に私たちの胸を打つのだろうか…ナ???文明と宗教と民族を越えて共感と感動の共時性は何処にあるのだろうか…???
夫のマッドは妻を怪我させた侵入者の正体を、乗り捨て逃げたトラックから探しあて、街のパン屋のオヤジを突き止め、店主の老人が妻をレープした犯人だと暴く。パン屋の店主は心臓が悪く、彼は、旧い引越前のアパートに彼を閉じ込め、報復のために家族に事情をぶちまけると脅す。その時、妻のラナは、こうこれ以上苦しめるならば、「もう私たち、終わりーネ…」と夫を攻めるのであった…この辺りは、私には予想外のラナの反応でした。ラナは、そこに夫マッドに残酷な暗い人間性を感じたのだろうな…。そこで、アーサー・ミラー原作の戯曲劇中劇『セールスマンの死/Death of a Salesman』とオーバーラップする。年老いた63歳のセールスマンと、ウィリィ・ローマンと、夫に献身的な妻のリンダとの間に流れる人間の絆に映像は重なるのでした…。恐らくラナには、舞台で演じているウィリィ・ローマンと妻のリンダの姿が、浴室に忍び込み乱暴しレイプしたパン屋の老いた年寄りと、彼の妻の献身的な愛情関係が重なって見えたのでしょうーネ。資本主義のアメリカの、当たり前の価値感と社会ルール、競争社会に敗れた人間は価値の低い人間、人間本来の「愛」は、金銭の価値よりも低く、セールスマンの敗残者としての「死」が、イスラム社会の監督によって再現されたのです。 





  

(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)

3月下旬特選映画【11】★映画のMIKATA「パッセンジャー」★映画をMITAKA

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武田鉄矢が水戸光圀役を演じる時代劇TVドラマ{「水戸黄門」が、再び今年10月よりBS-TBSにて復活、再上映されるそうだーネ、吃驚たまげました…。武田鉄矢の水戸光圀役はミスキャストの不満の声が今から出ているそうだ…、そうね、武田鉄矢が「この印籠が目に留まらぬか」という格さん助さんの隣で「ハハハハハー」と笑う姿はどうもしっくりしないよーネ、因みに助さん格さんのキャストはまだ発表されていません。果たしてアニメで育った若年層に、漫画しか読まず漫画を絵本のように捲る10代に、アイドルの臭い台詞に感涙し心ときめく中学生たちに勧善懲悪の正義と、葵のご紋に平身低頭するウルトラ権威主義に魅力はあるのかな???松下幸之助の権威とお声がかりで「ナショナル」の番組提供が継続していた水戸黄門を応援する、電気メーカ衣料品メーカ銀行証券会社ソフトメーカゲーム会社はあるのだろうかーネ。


3月は映画の観賞よりも、世間を騒がす事件とニュースが多かったです。森友学園の事件を扱うワイドショーや、同じ証人喚問でも都議会の石原元都知事の豊洲移転問題の喚問も映画以上に見ていて面白かったです。また、国会喚問された学校法人「森友学園」の籠池理事長の発言を見ていると、イヤヤ霞が関に「シン・ゴジラ」が上陸して、政治家と官僚を踏み潰している…と錯覚しました。安倍昭恵さんと駕籠池夫人・籠池諄子さんと100万円を渡したのもらわないとの疑惑騒動は、今では「忖度」という言葉が流行語のようにニュースに飛び交っています。スポーツの番組もワクワクする試合がありました。「侍ジャパン」の優勝がかかっているWBCのTV放送には釘付けになりました。夕方、大相撲春場所で横綱「稀勢の里」の全勝優勝か…とハラハラする一番一番見守ってました。特に大阪府立体育会館で千秋楽を迎えた取り組みは、右肩に痛々しいテーピングをした負傷姿で強行出場した稀勢の里と照ノ富士との優勝決定戦、逆転優勝は映画以上の興奮とカタルシスでした。これは大相撲史に残る取り組みの一番でした。事実は「映画」よりも奇なりで、ワクワクドキドキする世相の出来事ばかりの3月でした。4月1日に誰か大ウソでもついて、世間をア~と驚かせないかな…。

そんな訳で、3月中旬の掲載はパスしました。映画よりも国際事件とニュースの騒動とスポーツ中継がより興味を引きました。けれども、今の所、延々236分のエドワード・ヤン監督の『嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』は見逃せないなーと思い、帰国後すぐに見てきました。けれど、長編なので2200円という特別料金を取られた上、ガックリ期待外れの退屈な作品でした。そして今日、高校生のクラブ活動を描いた青春映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」を見てきました。これはゲラゲラ笑える傑作でした。広瀬すずはやっぱりかわいいですね。明るい青春映画は、気分を爽快にさせます。『キングコング:髑髏島の巨神』は、1933年より長いキングコング映画史の中で、何か新しい新鮮なコンセプトが描かれているのかなーと、興味津々に見ていましたが、一貫したテーマ「キングコングと美女とマドンナ」は永遠のストーリでした。同じシリーズで「シンゴジラ」が、緊急事態の時の霞が関の官僚のなれ合いの事なかれ主義の自分第一の権威主義的な官僚体制を描いた視点は新鮮でしたが、でも、新しい視点も映像もなかったです。


3月下旬の特選映画をアップロードします。今回3月下旬に4本を映画館で観賞、今月は通算で8本『アサシン クリード彼らが本気で編むときは』『ナイスガイズ!』『嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』『キングコング:髑髏島の巨神パッセンジャー』を観賞しました。その中から選んだ特選映画1本は、『パッセンジャー』でした。


1

 

1本目は、1961年6月に台湾で起った中学生男子による同級生女子殺傷事件、未成年よる台湾での初めての殺人事件で、当時思春期だったエドワード・ヤン監督に衝撃を与えた事件で、監督はこの事件をモチーフにした236分の長編青春映画『嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件/ A BRIGHTER SUMMER DAY 監督 』(1991年、エドワード・ヤン監督)でした。

大陸からの移住者が置かれた位相と、1960年代当時の台湾の社会的・精神的背景がよく分からないが、不良ぽい中学生同士の敵対関係と、ガールフレンドを廻る殺人事件は、思春期だった楊徳昌監督の記憶に相当残る強烈なインパクト、何ものかを訴える事件だったようです…。ただ、私には、単調な未成年の殺人事件のストーリのように思えました。私には従って退屈で長いだけの作品でした。


昨今、新聞紙面を大きな見出しで騒がれた殺人事件がヒントとなっている、或は茫漠と「例のアレー」と繋がる事件だな~という凶悪犯罪映画が増えました。例えば近近で挙げれば、『怒り』『葛城事件』『クリーピー 偽りの隣人』などの犯罪映画は夥しいです。これらの凶悪事件の絡んだ映画と比較した時に、寧ろ『嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』は単純な作品に見えました。
 

2

2本目は、:福井県立福井商業高等学校の女子高チアリーダー部が、本場アメリカのチアダンス選手権大会で2009年3月に、全米大会を制覇・優勝した実話を映画化した青春映画『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』(2017年、河合勇人監督、林民夫脚本)でした。

 

県立福井中央高校に入学した友永ひかり役を演じる主人公・広瀬すずと、アメリカの全米大会優勝に闘志を燃やす顧問の女教師・早乙女薫役を演じる天海祐希の、ダンスに掛けた絡みがとても面白かったです。苦くもどかしい恋と、目標に向かって突き進み、失敗しても達成するにしても、青春を燃焼尽くす爽快感が青春映画にはあります。独特の笑いと汗と涙の感動は青春映画ならではではないでしょうか…ネ。


最近、高校生のクラブ活動を舞台とした、高校生の3年間の短い青春時代を生き生きと描いた映画が増えました。これは世間と社会の趨勢を映画が見事に作品化したと言えます。16歳から18歳という年齢は、勿論子供ではなく、また大人でもない、宙ぶらりんな時期、けれども最も多情多感な年齢です。性的には女生徒はもう立派に子供を生める成熟した肉体と心を持つ年齢です。男子生徒は、これからの80-90年間の長い人生をどう生きるか、趣味にしても仕事にしても一生の人生行路を決める、出港を待つ羅針盤を持った船の港のような年齢でもあります。主人公・綾瀬千早役の広瀬すずがかるた競技に青春を燃やす『ちはやふる』前編後編( 2016年公開、末次由紀原作、小泉徳宏監督)も良かったです。愛媛県立三島高等学校書道部を舞台となった『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』(2010年公開、猪股隆一監督、永田優子脚本)も青春映画らしかったですーネ。鈴木智役の妻夫木聡を主人公にした廃部寸前の唯野高校水泳部を舞台にした男子高校生のシンクロナイズドスイミングを描いた『ウォーターボーイズ』(2001年公開、矢口史靖監督&脚本)も確かに新鮮な青春映画でした。



3

 

宇宙衛星がとらえた神話上の謎の島・髑髏島に君臨する巨大な神・キングコングと、ティラノサウルスのような獰猛で肉食の古代恐竜や始祖鳥が生存する巨大生物が跋扈する島には、恐竜に怯え乍ら原住民も住んでいた。彼らを守るキングコングは島民にとって神なる存在であった。3本目は、コンラッド(トム・ヒドルストン)率いる調査遠征隊が、未知の生物を探すべく、前線から帰還しようとするフル装備の兵器で武装した軍隊とともに神話的な謎の島に上陸して、巨大生物・キングコングに叩き潰され踏み潰され、戦闘状態になるキングコング対アメリカ軍の戦争&冒険映画キングコング:髑髏島の巨神』(2017年、ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督)でした。

キングコングにはさまざまな監督が制作した独自の「キングコング」映画史があります。猿にもゴリラでもない巨大な怪獣コングの個性の中で、有名な1シーンは、暗やみの空に聳えるエンパイヤ―ステートビルの頂上に美女を掌に載せたキングコングの姿です。私は淀川長治監修の世界クラシック名画100選で『キングコング』(1933年、監督: メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードサック、原作: エドガー・ウォレス )を懐かしくて、もう一度DVDで観賞しました。南海の秘境に来たロケ隊は、原住民から神と崇められる巨獣キング・コングと遭遇する。コングは捕獲され、ニューヨークへ見世物として連れてこられるが、鋼鉄の鎖をひきちぎり、街を踏み潰していく。美女のアン・ダーロウを片手に掴み、エンパイヤ―ステートビルの頂上まで攀じ登り、飛行機の攻撃で地上へ落下する…。「美女と野獣コング」というパターンがやはり共通しています。しかし、新作キングコング:髑髏島の巨神』で新しい視点は、ベトナム戦争で負け、中東戦争でも撤退したアメリカ軍が、恰も巨大な「反アメリカ」の象徴キングコングと戦争するかのようなアメリカ軍の参戦でしょうね…。ここだけが、現代版「キングコング」でした。



4

 

4本目は、地球から惑星コロニーまで120年を要する搭乗員5000人乗の超大型宇宙船アヴァロン号の人工冬眠ポッドの故障によりパセンジャーの一人が冬眠から目覚めてしまう、壮大な宇宙を舞台としたSF映画&ラブストーリ『パッセンジャー』(2016年、モルテン・ティルドゥム監督、ジョン・スパイツ脚本)でした。

 

たった一人、冬眠から残り90年で惑星コロニーのパセンジャーのジム(クリス・プラット)だけが目覚めてしまった。目的まで他のクルーが覚醒するまで宇宙船の中で孤独に寿命を迎える運命にあった。広い宇宙船内で唯一話し相手はアンドロイドのバーテンダー・アーサー(マイケル・シーン)だけであった。余りに孤独で寂寞な船内に耐えられずに、ジムは冬眠室で120年の眠りについている作家・オーロラ(ジェニファー・ローレンス)の寝姿に一目惚して冬眠ポッドを壊して目覚めさせてしまう…。

冬眠スポットの故障は航行途中で小惑星と衝突した事故が原因だった。さらに、船内コンピュータの異常で乗組員スタッフのチーフ・ガス(ローレンス・フィッシュバーン)が冬眠から目覚めた。電力供給に不可欠な核融合炉の機能停止によって宇宙船は爆発炎上と破壊寸前の緊急事態が発生していた。

 

宇宙を舞台としたSF映画は今まで数多あったが、そこにラブストーリが挿入されているので、二人の人間の美しくも悲しい一生の終末がラブストーリになっています。きっと、人類が後100年もすると宇宙空間の別の惑星に移住する宇宙船に乗り込むと、こんなアクシデントが起きそうだーナ、という近未来の想像がわきます。ジムとオーロラの命がけの補修作業によって、目的地へ到着する航行は続けられていた。しかし、たった二人で死ぬまで宇宙船で寿命が尽きるまで老衰死する運命は変わらなかった。彼か決めた選択は,愛し合う男女として宇宙で過ごすことであった…。『さあ、あなたならどうする?』という難題を、夫婦で議論したらキット、「私ならば彼女を殺して、一人冬眠できるあの医療器具の中に入るなー」なんって離婚騒動になりそうな会話が生まれそうですーネ。でも、そんなことを許さない美しも悲しいラブストーリですネ。あの最後のシーン、箱庭のような小鳥が飛ぶ船内の緑の楽園は、二人の幸福な日々が想像できます。絶望的で孤独な運命を受け入れている内に、2人は宇宙の伴侶として惹かれ合っていた…。密室の恋愛映画で締めくくったジョン・スペイツの脚本も優れていますーネ。



下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画情報「なーりーの星空シアター」のサイトです。沖縄・那覇からFM電波で放送されます。「映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように…」の願いを込めた映画情報番組で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息の仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…。私はよくお風呂の中でのんびり聴きます。今週の3/30は大友啓史監督の『3月のライオン前編』が放送されました。また、来週4/6は、いよいよ漸くオスカーのアカデミー賞作品賞を受けた『ムーンライト』が取り上げられる予定です。作品に興味がある人は是非自分の感想と比較してお聞きください。私もこの作品は絶対観賞しますーヨ。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68  


 

尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください… 


4月上旬特選映画【12】★映画のMIKATA「わたしは、ダニエル・ブレイク」★映画をMITAKA

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4月上旬の特選映画をアップロードします。今回6本を映画館で観賞、今月上旬に選んだ特選映画1本は、『わたしは、ダニエル・ブレイク』でした。敢えて、オスカーの受賞作品『ムーンライト』を選ばなかった…。何故ならば、このブログでもコメントした邦画『彼らが本気で編むときはの方が、"LGBT"に関しては面白いと思いました。また、麻薬の売人しか生きる術を持たない貧困地帯の黒人のやるせない運命、どう足掻いても黒人であることの定めに関して、この映画でこう考えました。黒人のオバマ大統領が誕生した今、南部の黒人への差別と弾圧は、緩いだとは思いますが、しかしまだまだ、警官が例えば軽い窃盗とかで容赦なく黒人を射殺した事件は後を絶たない…ということは十分知っています。またその逆で、その報復として警官が黒人に射殺された事件も知っています。しかし、黒人差別を打破しようとした、あの暗殺されたマーティン・ルーサー・キングを描いた『グローリー/明日への行進』(2014年公開、エイヴァ・デュヴァーネイ監督)や、更に、黒人への人種的偏見から投獄され、しかし、冤罪の不遇に屈しなかったボクサー・ルービン役をデンゼル・ワシントンが演じた『ザ・ハリケーン』 (1999年公開、ノーマン・ジュイソン監督) の方が゛私は もっと好きだからです。黒人と白人の許されない愛と結婚をテーマとした映画、例えば古くはスタンリー・クレイマー監督、シドニーポアチエ主演の『招かれざる客』、近近ではジェフ・ニコルズ監督の 『ラビング 愛という名前のふたり』もありました。ただーネ、『ムーンライト』が従来の黒人を主人公にした映画と違う視点で制作されていることは間違いありません…。


久しぶりに横浜市の南区に近い「J&B」で続けて2本観賞しましたが、しかし、『サラエヴォの銃声/Smrt u Sarajevu』も『汚れたミルク/あるセールスマンの告発/Tigers』も、私には傑作どころか、退屈な駄作でした。新しい作品を次々に上映するよりも、是非再上映のリクエストを館内に投稿箱を設置して応えて頂きたいものです。

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2014年6月28日に、第1次世界大戦開戦の引き金となったサラエヴォ事件から100年後、ホテルの前の通りは「スナイパー・ストリート」と呼ばれる事件のからほど近い現場で、借金だらけの赤字ホテルで、今にも銀行筋によって差し押さえされそうな事情に置かれていた館内で、サラエボ事件百周年の晩餐会で挨拶するその銀行の頭取がホテル内で殺されるという事件が起きた。1本目は、そんなことからサラエヴォという歴史的な地名とホテルが付けられ作品でした。が、しかし第1次世界大戦開戦とは全く無縁で、しかもストーリもつまらないのに、紛らわしく『サラエヴォの銃声/Smrt u Sarajevu』(2016年、ダニス・タノビッチ監督)という題名を被せた作品でした。

 

ホテル内では、ジャーナリストがサラエヴ事件に関する取材を屋上でしていた。賃金の未払いに従業員たちは職場放棄のストライキを計画しているホテルでした。敢えて見どころを挙げれば、ホテル内の人間模様が複雑に絡んでいる事なのかな。やたら「サラエヴォ」 などとという紛らわしく期待を持たすような作品名を付けないでほしい、と憤慨した駄作でした。

 

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2本目は、1990年代にパキスタンで起きた粉ミルクによる健康被害、乳児の死亡事件を作品に題材にした社会派監督・ダニス・タノヴィッチの『汚れたれたミルク/あるセールスマンの告発/Tigers』(2014年、ダニス・タノビッチ監督)でした。パキスタンの貧しい家庭では、母親は不衛生な水で粉ミルクを溶かして授乳させるため、その汚い水によって乳児が死亡する健康被害と死亡事件が起こっていることが発覚した。会社はその事実を黙殺していたが、アヤンはパキスタン国内での粉ミルク販売の中止を求め、さらに職を辞してWHOへ通報、マスコミにこの粉ミルクによる死亡事件をリークする行動をとった。しかし、この告発により欧州にあるグローバル大企業の粉ミルクメーカの本社から、パキスタン国内で大きな圧力がかかった。


パキスタンで粉ミルクのセールスを担当していたアヤン(イムラン・ハシュミ)は、世界最大の食品・飲料メーカーの営業職として中途採用されるが、会社のセールス戦略で産婦人科の医師に金品を渡して、母乳ではなく粉ミルクを乳児に飲ませる育て方を推奨してもら、セールス手段を実践した。パキスタンでどの程度上水道施設が整えられているか知らないが、恐らく、母乳の時は問題にならなかった、井戸水や川の水や水瓶に溜められた不衛生な水は、体内に免疫システムがない乳幼児には、危険な雑菌がたくさん混入しているのだろう。先日も、日本で生後6カ月の幼児にハチミツを混ぜた離乳食を食べさせたため、蜂蜜に含まれていたボツリヌス菌が体内で繁殖して、「乳児ボツリヌス症」で死亡したという事件が流れていました。


しかし私は丁度アメリカの裁判映画で、第73回アカデミー賞でジュリア・ロバーツが主演女優賞を受賞した水質汚染の裁判映画『エリン・ブロコビッチ』(2000年公開、スティーブン・ソダーバーグ監督)と、破産覚悟で告発に執念を燃やす弁護士・ジャン演じるトラヴォルタ主演の公害裁判『シビル・アクション』( (1999年公開、スティーヴン・ザイリアン監督 )を見たばかりなので、公害による健康被害を告発する裁判映画と比較した時、私にはややインパクトが弱かったです。

 

3

3本目は、第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞したヒューマンドラマ&教養小説的映画の『ムーンライト(2016年、バリー・ジェンキンズ監督)でした。


音楽映画『セッション』で音楽家の狂気を描いたデイミアン・チャゼル監督が、ライアン・ゴズリング&エマ・ストーン主演で、捨て身で製作したミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が唯一逃したトロフィー、アカデミー賞作品賞を手にした、黒人スタッフだけで制作された、従来の黒人へ人種差別と偏見とは異色の映画なのでかなり期待したが、やや度肝をぬかれ、やや「この映画のテーマは何なのか…?」と当惑する作品でした。主人公の黒人少年・シャロンの成長譚が描かれているとするならば「教養小説的」映画です。たがしかし、マイアミのかなり危険な犯罪多発の貧困地域を舞台に、麻薬を常習している母親ポーラ(ナオミ・ハリス)、学校ではチビと呼ばれて虐められるシャロンを慰める心の支えは、キューバ移民の黒人で、街の麻薬ディーラーのホアン(マハーシャラ・アリ)、唯一シャロンの友だちはケビン(アンドレ・ホランド)だけであった成長の環境・・・。結局、少年の成長した姿は、どんなに抜け出そうともがいても貧しい黒人のゆき着く果ては、高級車を乗り回すが、少年院仲間から覚えた麻薬の密売人、しかも同性愛という暗い影を抱える青年だった…。そこが従来のさまざまな内面の葛藤を克服して少年から成年へと自己形成するゲーテやトーマスマンの描くドイツ文学の「成長」のストーリとは全く違いますーネ。この「ムーンライト」の作品テーマを、"LGBT"のトランスジェンダーの一語に収れんさせることは出来ないし、貧困地域で育った薬中を母親に持つ家庭の子供は所詮、黒人に麻薬を売る薬の密売人にしかなれない運命さ…、黒人が運命の鎖から解き放たれることはないというテーマへ押し込めようか…、私は迷います。


「ムーンライト」は、映画の脚本にも携わっていたというタレル・アルビン・マクレイニー氏が麻薬常習者だった母親がAIDSの合併症で亡くなったことをきっかけに、演劇の脚本として書いた自伝的な作品だという。この映画タイトル「ムーンライト」は、「In Moonlight Black Boys Look Blue」 (黒人の少年たちは月光のもとで青く見える)という脚本に由来するようです。それは映画の冒頭で、麻薬ディーラーのホアンが、幻想的な夜の月明かりの浜辺でシャロンに語った言葉でした。この「青」をこじつけて解釈する訳にもいかないが、まあ、差別され虐げられた黒人も、夜の美しい月光の下では、つまり、見方によっては高貴で美しく「青」く輝やかしい存在に見えるものさ…ということなのかな。

…。

 

4

 

4本目は、1963年11月22日現地時間12時30分、テキサス州ダラスでパレードをしていたジョン・F・ケネディ大統領が隣に乗っていた妻のジャクリーン(ナタリー・ポートマン)の目前で暗殺された銃声の一瞬から、ベセスダ海軍病院での検死後、11月23日にホワイトハウスに帰宅、密葬、追悼式までの大統領葬儀までの数日間の妻・ジャクリーンの言動をドラマチックに描いたジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(2016年、パブロ・ラライン監督)でした。

 

結婚後2年10か月、34歳で未亡人となったジャクリーン・ケネディ・オナシスを、「ファーストレディ」としての視点と、突然暗殺され、夫を失った「妻の悲劇と動揺」という視点から描いた伝記的ドラマです。夫を暗殺された直後、ダラスから専用機に載せられて帰る機内で、交代の副大統領・ジョンソンの大統領就任の宣誓がすぐに行われ、悲しむ間も与えられず、ホワイトハウスで葬儀の出席者や墓地への葬列、ホワイトハウスからの退去のために執務室を整理することなど様々な対応に慌しく追われる姿が婦人を通して描かれています。妻のジャクリーン役を演じたナタリー・ポートマンが、大統領夫人としての「顔」と、二人の子供を抱える動揺する妻のとしての「顔」を良く演じているな…、と感じました。

 

実は、ジャクリーン・ケネディ・オナシスといえば、5年後の1968年にギリシャの大富豪アリストテレス・オナシスと再婚して、パパラッチたちのシャッタの的となり世界中を騒がせました。だから、女としての「顔」の方が誰しも興味を持つのではないでしょうか。私としては、この再婚までの女の軌跡を、寧ろ映像化した部分を挿入してほしかったです。


夫の・ケネディ大統領を載せた車の中で妻のジャクリーンは、ジェームズ・ガーフィールドとウィリアム・マッキンリーという名前を知っている…と、質問する。そして、いずれも暗殺された大統領、と彼女は説明する。そんな中で、夫の「死」が周囲の政治家やスタッフからどう受け止められるか、或は、夫の「死」がアメリカ市民から何時忘れ去られるか…を気にする妻のジャクリーンは、暗殺された悲劇の大統領夫人の「顔」なのだろうーネ。

今何故、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』が上映されるのか?恐らく、45代アメリカ大統領に新しく就任したドナルド・トランプの政策を今、憂慮して眺める時、やはり回顧するのはこれまでの歴代大統領の政治と理想なのだろうーネ。 


 5


5本目は、ハンカ・ロボティックス社の開発したサイバー技術によって制作された脳以外は全身義体のサイボーグ少佐(スカーレット・ヨハンソン)が指揮する捜査組織公安9課が、サイバーテロ犯罪を取り締まる近未来の警察活動の活躍を描く『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年、ルパート・サンダーズ監督)でした。


恐らく、『ロボコップ』シリーズ(ポール・バーホーベン監督、1987年公開)の二番煎じ程度の作品でした。原作は士郎正宗のSF漫画「攻殻機動隊」のようです。何か特徴があるとするならば、荒巻大輔役にビートたけし、少佐(素子)の母親ハイリ役に桃井かおりが演じている事ぐらいだろうかーな。桃井かおりの英語がやけに流暢なのでビックリしたが、どうやら、大西多摩恵の吹き替えのようです―ネ。




6


妻を亡くしたイギリス・ニューカッスルの59歳のベテラン大工、ダニエル・ブレイク(デイヴ・ジョーンズ)は、心臓病でドクターストップがかかり、失職したため福祉制度に頼って生活支援を得ようと福祉事務所へ相談に行くが、支給を決定する女性審査員から支給資格なしと判定されてしまう。6本目は、国の福祉制度に翻弄されるダニエルの悲劇を描いた『わたしは、ダニエル・ブレイク
(2016年、ケン・ローチ監督)でした。単にイギリスの福祉制度の矛盾と不満を描いているだけではない。カンヌ映画祭で最高賞パルムドールをとったこの作品は、サスペンスやホラー映画のようなハラハラするストーリもドキとする場面はない、アクションン&アドベンチャー映画のように肉体の衝突も拳銃の打ち合いもない、ハリウッドの華やかな女優やアクション俳優が出演しているわけでもない、割と地味な作品なので日本国内では話題になりませんでした。でもさ、今の世界の姿と、片隅で懸命に生きている市民の姿が描かれている映画なのです…。

 

しかし、真っ向から社会福祉制度の理不尽さを批判するだけの作品ではない。この作品の魅力は、官僚的な福祉制度、役所の窓口独特の手続の複雑怪奇な煩雑さ、全てをコンピュータによる申請が大きな壁となって、デジタル書類に慣れていない中年、コンピュータなどに無縁な貧しい庶民には、社会福祉制度は血の通ってない形式的事務手続で、遥か遠い存在という、現在でも共有する問題をはらんでいたためだろうか…ナ。でも、地味ではあるが庶民には共感できる傑作でした。


ロンドンから引っ越してき近所に住んでいるたシングルマザーのヒロイン役ケイティ(ヘイレイ・スクワイア)は、二人の子供を抱え、お金も食べるものもなくスーパーで万引きをして警備員に捕まり、とうとう売春宿で働き始める。自分の困窮を忘れて、困っているケイティを見るに見かねて、子供の世話などダニエルは彼女に手を差し伸べるのだが、彼自身は最後に心臓発作でトイレで亡くなってしまう。緊縮財政に反対し、大規模な公共支出を主張した英国労働党首のコービン氏は、保守党党首のメイ現首相に「この映画を見ろ」と、議会で言ってのけたという。保守党初の女性党首マーガレット・サッチャーも緊縮財政によって赤字国家から財政再建しようとした。その後も労働党から保守党に首相になったキャメロンもまた緊縮財政でした。その結果、真っ先に福祉の財政がカットされて、失業対策の財政が削減されました。映画の中で登場する「フードバンク」の長い行列は、イギリスの低所得層の現実なのです。


イギリスに大工のダニエル・ブレイクがいるならば、フランスにティエリー・トグルドー(バンサン・ランドン)がいた。彼はリストラ解雇され、妻と10歳の障害の息子を抱えて1年半の職探しの末に漸く、スーパーマーケットの警備員の職を得るが…、スパーで社会的弱者を容赦なく断罪する監視の仕事に憂鬱になる…。サラリーマンの悲哀と生きることの憂鬱を描いたフランス映画『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(2015年公開、ステファヌ・ブリゼ監督)も、また福祉予算削減の代わりに「自助努力」の原則をすり替え、弱肉強食と低所得者層を切り捨てる現代社会の断面を描いています…!!!。


先頃、福島の復興を担当する大臣がジャーナリストに対して「自己責任」という言葉で汚染地域から自主的に避難者した人々への支援打ち切りを当たり前のことのように怒鳴ったという…。最早、政治家の頭の中は政治家が誰のためにいるのか、何のために「政治」があるのかを忘れ、「公共」」とか「行政サービス」などという「国家」の役割を忘れて、財政再建、緊縮財政などの経済的合理性で政策を決定することしかないようです。私は「自己責任」という言葉と同時に、福祉切り捨ての抗弁としてよく使われる「自助努力」という言葉も大嫌いです。


 

下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。今週の4/13は、映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』のコメントが放送されます。来週4/20は、いよいよ「ライオン/25年目のただいま」が放送されます。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 





(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)

4月下旬特選映画【13】★映画のMIKATA「ワイルド・スピード 」★映画をMITAKA

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 毎年の常套句のようですが、いよいよGWが始まりましたーネ。日本全国のサラリーマンの皆さ…ん、満員の通勤電車から解放されてホットしていますか!まだ社会人生活が始まったばかりの新卒入社のの皆さん、GWを堪能していますーか。もう会社辞めようかな…なんて嫌気がさしてませんか?突然のリストラ解雇や、企業の契約解除と雇止めの冷酷な仕打ちに、落胆し怨念に満ちているパートの方々、GWにはハローワークもお休みですーよ!夜もおちおち熟睡できないなんって憔悴せずに、たまには落語でも聞いて笑いましょう…よ。じっと部屋のベッドに寝転んでいる閉じこもりの青年諸君、将来の生活なんって、「そのうち何とかなるだろう…」と楽天的に考えましょう、天国は皆さんのものです。財布に一万札が一枚あると、お金持ちになった気がする、その日暮らしの独身貴族のサラリーマンの皆さ~ん、その内に美女がふいに現れ、一目ぼれして求愛しますよ。男と女の恋なんって、動物と同じお互いのホルモンの匂いで相性が決まるのですから…ね。幻想と夢想こそ「人類」の進化の証です。郵便ポストにクレジットの請求書がギッシリ詰まって、崖っぷちに立たされているパートの中高年の皆さ~ん、それでも心は裕福さ…と虚勢を張ってください。本当の幕末の貧乏藩の下級侍の「サムライ」の本質は虚勢なんですーヨ。自分たちばかり懐に現金ばかり集めあがる世襲議員の奴らめ…、地獄に落ちやがれ!安倍自民党内閣の憲法改正にはもう我慢できな~い、と呆れてる国民の皆さん、もうすぐ選挙が始まりーヨ、この一票は国民の拳骨の一発と力をこめるましょう。この際、臨時福祉給付金で乾杯しましょう…か。


大手企業によっては4/29土曜日より、中小零細会社では2日の有給休暇を挟んでかな…、5/7迄9連休という本当にゴールデンの休暇の真っ最中です。ハワイの避暑地に行けない皆さんも、ゴルフのショートホールで優雅な気分でいる人も、お金のない人も、たまには映画で1800円(シニアは1100円)の贅沢をして見ませんか…!!!


実は今月も4月中旬の掲載をカットしました。先日お風呂場の床に足をとられて滑って転んで、背中をガクーンと打って、どうやら骨にひびが入ったようです。1-2週間、イタイイタイと呻吟して、布団に寝るのも起きるのも痛みを堪えて唸っていました。そんな訳で、映画の椅子に座れませんでしたので、ブログは臨時休業でした。漸く痛みも和らいでので、『ワイルド・スピード ICE BREAK』で映画鑑賞を解禁しました。1800円の価値がありました。


4月下旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、今月4月は通算で10本、『サラエヴォの銃声/Smrt u Sarajevu』『汚れたれたミルク/あるセールスマンの告発/Tigers』『ムーンライト』『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』『ゴースト・イン・ザ・シェルわたしは、ダニエル・ブレイク』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』『グレートウォール/長城/THE GREAT WALLワイルド・スピード ICE BREAK』・・・を観賞しました。4月下旬で選んだ特選映画1本は、『ワイルド・スピード』でした。今月も邦画で面白い作品がなかったなー、邦画はまだまだまだ不毛地帯です。再びオスカーのアカデミー賞作品「ムーンライト」を避けました。また、アドベンチャーの傑作グレートウォール/長城/THE GREAT WALL』と、人間ドラマの秀作『LION/ライオン ~25年目のただいま~も避けました。何故ならば、私の捻くれた偏執的好みです。シリーズも第8弾乍ら「ワイルド・スピード」には飽きがありませんでした。こんな時代に、気分がすっきりする映画です、心にたまった鬱屈したルサンチマンがすっきりしました…。


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インドのスラム街「ガネストレイ」に住む5歳の少年サルーが、停車中の長距離列車に迷い込んで、そのまま家から遠く離れた見知らぬ大都市カルカッタまで来てしまう。言葉も通じない街で゛迷子になったサルーは施設に収容され、オーストラリア人夫婦の養子としてインドから離れ、大学生になるまで愛情深く育てられる。1本目は、25年後の青年サールを映画の主人公にして、生き別れになった母や兄への郷愁が募り、Google Earthで故郷を探し出すという物語『25年目のただいま/ 5歳で迷子になった僕と家族の物語』を映画化した『LION/ライオン ~25年目のただいま~』(2016年公開、ガース・デイヴィス 監督、ルーク・デイヴィーズ脚本)でした。原作はサルー・ブライアリー著のノンフィクションです。

アカデミー賞で、作品賞他全6部門でノミネートされ、ゴールデングローブ賞でも4部門ノミネートされた「LION ライオン 25年目のただいま」の主人公を演じたサルーは、あの『スラムドッグ$ミリオネア』でジャマール役を演じたデブ・パテール、養子の母・スー・ブライアリー役にニコール・キッドマンが出演しています。過去の作品で見せた絶世の美貌とグラマラスな肉体も、「彼女もいい年だなー」と思わせる、円熟した演技でしたーね。


  インドでは、犯罪組織によって年間5万人の子どもたちが誘拐・失踪して、中東の石油金満家たちの性的おもちゃの犠牲になったり、児童買春組織に売られたり、臓器売買されたうえで身体障碍者として路上で乞食として働かされたりする人身売買の商品にされるそうですーね…。いや、私は単に石井光太のルポ『物乞う仏陀』などを読んだにすぎないのだけれども、そんな犯罪組織の犠牲にサルーがならずによかったなーと思うだけです。


私には一面、地球の隅から隅まで自宅のパソコンですぐに一ぼうできるなんて「Google Earth」って凄いな、と感嘆するばかりですが、他面、グーグルの宣伝のようにも思えましたーヨ。でも、グーグルという会社は大したものですーネ


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2本目は、中国国境付近で馬賊に攻撃され、生き残った二人で火薬を求めてシルクロードを旅する傭兵ウィリアム(マット・デイモン)とトバール(ペドロ・パスカル)は、更に「饕餮(とうてつ)」という謎の怪物に襲われ、秦?宋?の時代の軍隊、禁軍が守る堅牢壮大な万里の長城の中に捕縛され、最後は都を襲撃する怪獣・饕餮と戦う『グレートウォール/長城/THE GREAT WALL』(2016年年、チャン・イーモウ監督)でした。ディズニー映画でも、スティーブン・スピルバーグにもリドリー・スコットにも制作できない、中国人監督らしいSF&冒険&アクション映画でした。

匈奴のような北方の異民族の侵攻に備えるために築かれた6千キロ以上の城壁「万里の長城」は世界遺産であるばかりでなくて、いまだに「世界の七不思議」です。それを映画は、60年前に襲来した謎の怪物「饕餮」と戦うために戦闘の武器と作戦を練って築かれた…というストーリが面白いですーネ。壮大な戦闘シーンを見ていると、『レッドクリフ』を制作したジョン・ウー監督の作品かなー と、錯覚しそうな迫力のある映像でした。「饕餮」が宇宙人の攻撃なのかな…とも初め思いましたが、体は牛か羊で、曲がった角、虎の牙、人の爪、人の顔などを持つ中国神話の怪物のよぅです。ジョン・ウー監督のリアリティーに対して、そこはチャン・イーモウ監督らしく、少し神話的要素が入っているようです。女将軍役の中国人女優のジンティエンが東洋人のヒロインならば、そこにアクションの得意な俳優、マット・デイモンを抜擢、西洋人のヒーロにしているところがまたまた映画を面白くしていますーね。ジンティエンさんって綺麗デスーネ。抱きしめたくなりました…。私はこの映画を見てからなお更に、中国へ行って万里の長城を見たくなりました。ヤハリ依然として世界の七不思議の世界遺産ですーネ
 
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3本目は、メキシコ湾沖80キロメートルにある大規模な石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン」で、掘削試験の手抜きが原因で大爆発が発生、現場で働いていた作業員126人のうち数人が逃げ遅れて死亡する大惨事となる『バーニング・オーシャン』(2016年、ピーター・バーグ監督)でした。

海底から逆流してくる原油の噴出と、次々と施設を吹き飛ばすガスの爆発は、確かに迫力のある大惨事のドラマなのだが、そこに物語のストーリの仕掛けも複雑な推理の糸も敵と遭遇して戦うアクションもない純粋な災害映画です。海上の油掘削施設といえば私には、007のジェームズ・ボン役のドロジャー・ムーアがテログループに占拠された油田基地で活躍するイギリスの映画『北海ハイジャック』(1979年公開、ピーター・バーグ監督)の方がよほど印象的です。まずまずの作品で甲乙つけがたいですがーネ、うー寧ろ私には面白くない映画でした…。

 




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4本目は、何よりも”ファミリー”の強い結束で仲間が仲間を絶対に見捨てない、裏切らない犯罪集団…、だが時として政府の依頼を受けてテロリストたちとガチに戦う主人公・ドミニク(ヴィン・ディーゼル)が、サイバーテロリスト・サイファー(シャーリーズ・セロン)に可愛いベイビーを人質に取られて、ファミリーと敵対する『ワイルド・スピード』シリーズ第8弾の『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年、F・ゲイリー・グレイ監督)でした。

いかにもアメリカの国際政治の現状を映画の舞台に選んだ作品です、キューバ・ハバナでハネムーンのバカンスを楽しんでいたドミニクとレティの前にサイバーテロリスト・サイファーが現れ、レイティーの愛児が誘拐され、結果、脅迫と戦うために、ファァミリー最大の敵デッカート・ショウ(ジェイソン・ステイサム)と手を組む…。

アメリカのTVドラマはどうして面白いのかなむーと、いつも思います。GW前からレンタルショップで『パーソン オブ インテレストというテロリスト対策のために開発されたAIコンピュータが、凶悪な犯罪を未然に防ぐために未知の人間の素性を特定する。それを元CIAのエージェント・リースが、探索と捜査と活動を始める…というストーリ設定です。既にアメリカでは国際空港を初め街路の監視カメラまで隅々に、顔認証システムが危険人物を判別し警報しシグナルする大型コンピュータの犯罪システムが動いているという。例の9.11テロの時よりテロ防止の大規模な警戒システムです。説明がチョット脱線しましたが、『ワイルド・スピード ICE BREAK』では、アメリカ全土の膨大な組織のコンピュータネットワークをハッキング、手玉に取って自由に操るサイバーテロリスト・サイファーが現れ、上空の飛行機から遠隔操作でコンピュータ制御の自動運転の車をエンジンを始動させ、キヤーを入れ、ハンドルを回し、アクセルを踏み衝突させ、車を武器に変えてしまう…。最近では国内メーカの日産もトヨタもホンダも競って国内の道路をコンピュータが、渋滞とか道路状態を判断して、ブレーキを踏み減速しアクセルで加速する無人自動運転車が開発されています。この新しい自動車のコンピュータ制御は、新しい車の可能性として、例えば居眠り運転や高齢者の誤作動による事故を防ぐ一方で、犯罪誘発への鍵として「危険性」を今から警告が発せられています。それがこの映画は、現実の犯罪手段として使われています。車の自動運転の危険性を既に先取りした映画で、私は大変刺激的でした。



   

下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。今週の5/4はケン・ローチ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』のコメントが放送されます。

イギリスとフランスで、移民によって仕事がなくなり、失業と低賃金と貧困層が国内に恐ろしい感染病のように広がり、経済と財政によって緊縮財政と福祉削減の政治政策が決められる。国民の心を蝕んでいる「英国病」「EU病」の現状に対して…、何故どうしてEU離脱の政策と政治の混迷が続くのかー、この映画で多少理解できそうですーカネ。併せ在英保育士でライターの「ブレイディみかこ」の小気味よい下記サイトのコメントを読んでください。

 https://news.yahoo.co.jp/byline/bradymikako/20170324-00069042/

 

私は毎週土曜日にTBSラジオの夜10時から2時間生放送されるラッパーで映画のコメンテイターの、”ライムスター宇多丸”の『週間映画時評 ムービーウォッチメン』を放送当初から聞いてます。が、昨今、次第に映画のコメントが雑で映画批評の水準が次第に落ちて、いい加減なコメントになってきました…ネ。短い時間ですが、私は今の所「なーりーの星空シアター」のファンです。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 


尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


 

5月上旬特選映画【14】★映画のMIKATA「追憶」★映画をMITAKA

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アメリカのTVドラマは面白いですね。一本観始めるとその先のその次のストーリが気になります。関東圏の日本テレビでシーズン1から公開され、現在シーズン3が深夜に放映されています『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』にひと言だけ書きたくなりました。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件、9.11の世界貿易センタービルテロ以来、アメリカは急速に監視社会を、社会正義の星条旗の旗の下に進めてきました。国際空港は勿論、賑やかな繁華街の街頭にさえテロ防止のため顔認証システムによってテロリストや危ない犯罪者や指名手配犯を常に監視しています…。それが時に軍事や政治にまで情報収集のため適用範囲が広がっている…と言うのが、アメリカの監視社会の現状ですかーネ。スノーデンの告発は、時の政権によって外国の要人や大使館や、一般のアメリカ市民さえも監視されるという危機感からでした。日本の自民党政権が画策している≪共謀罪≫の法案も、テロ防止を建前にして、この情報収集と市民への管理と監視手段にしようとする悪知恵ですーネ。AIコンピュータがニューヨーク市の凶悪犯罪を防止するサインを出す犯罪ドラマ『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』(CBS。製作総指揮、J・J・エイブラムス、ブライアン・バーク、ジョナサン・ノーラン他 )は、シーズン1より政府がこのシステムを政治権力によって丸ごと取り込まれるかどうかが大きな問題となっていました。時の政治権力に弱腰の日本の民放テレビ局では製作できない番組ですかね。


シーズン7が漸くレンタルショップの棚に並んで『キャッスル 〜ミステリー作家は事件がお好き』(ジョン・ターレスキー、ロブ・ボウマン、 ビル・ロウ監督)のDVDを真っ先にレンタルしまして、私は目下夢中です。売れっ子の探偵小説作家のキャスルと美人女刑事のベケットの、チョトお色気たっぷりの犯罪ドラマです。日本でも数々の刑事ものの犯罪ドラマが制作されています。日本の刑事ドラマは荒唐無稽で余りリアリティーがなくてつまらないですーネ。唯一、槙山秀雄原作のドラマ映画だけは例外ですかーネ。私は竹内結子が刑事役の、誉田哲也の警察小説シリーズ「姫川玲子シリーズ」を映画化した『ストロベリー・ナイト』が一番好きですが、やはり日本の放送局には、こんなお色気コンビとミステリーのアイデアは、まねできない面白さです…ネ。特に、最近お昼の連ドラになっているテレビ朝日、倉本聰脚本の『やすらぎの郷』は、がっかりする内容です…!!!今、なんでどうして俳優の老後生活を深刻に描く必要があるのですかーネ、理解しがたいです。

さて、5月上旬の特選映画をアップロードします。今回邦画3本を映画館で観賞、今月5月は通算で3本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、『追憶』でした。取り上げる作品が少ないですが、漸くコメントするに値する映画が公開された…と喜んでいます。洋画も既に公開された他の新作、例えば「カフェ・ソサエティ」(ウディ・アレン監督)、「ノー・エスケープ 自由への国境 」(ホナス・キュアロン監督)、「スプリット SPLIT」(M・ナイト・シャマラン監督)などを見ましたが、どうもコメントを書く気が起こらないのです。というのも、いくつか年内にビル設備管理の資格試験の準備゛のために「お勉強」しているので、時間の余裕がないからかもしれません。今予定しています建築物環境衛生管理技術者「ビル管」の試験は中々の難関です。のでだから、5月下旬に廻します。下旬には洋画も邦画も面白そうな邦画洋画が公開されるので、上旬はややアップがまた遅れるかもしれません。


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1本目は、謎の老人から永遠の命を与えられ、死ぬことのできない無限の肉体を持つ不死身の剣士・万次(木村拓哉)が、剣客集団・逸刀流の首領である天津影久(福士蒼汰)に二天一流の道場主の父を殺された少女・浅野凛(杉咲花)から復讐のために用心棒として雇われ、壮絶な戦いに身を投じる姿が描かれる『無限の住人』(2017年、三池崇史監督)でした。


久々の邦画、時代劇の映画の案内です。今作は、謎の老人から永遠の命を与えられ、死ぬことのできない不思議の虫を体内に宿され、無限の肉体を持つ不死身の剣士・万次(木村拓哉)が、剣客集団・逸刀流の首領である天津影久(福士蒼汰)に二天一流の道場主の父を殺された少女・浅野凛(杉咲花)から復讐のために用心棒として雇われ、壮絶な戦いに身を投じる斬りあいの格闘シーンが続く漫画時代劇『無限の住人』(2017年、三池崇史監督)でした。木村拓哉主演の時代劇といえば、山田洋次監督の『武士の一分』(2006年公開)は傑作でしたが、同じ時代劇とは言え期待外れの似て非なる時代劇でした。


数少ない時代劇の中で、久々にしかも木村拓哉主演の時代劇です・・・。TVでも頻繁に映画宣伝を流していました。が、鳴り物入りの時代劇にしては、GW中に私は見に行きましたが、館内は閑散としていました、人気は今一つ低迷しているように思われますーネ。単に斬り合いと殺戮だけの映像の連続で、私も観賞後に胸糞悪い後味しか残りませんでした。舞台は時代劇ですが、戦争映画や西部劇と同じで、幕府の役人を相手に万次と逸刀流の天津影久が、バッタバッタと着られる映像が続くだけです…。どうしてこんな面白くもない胸糞悪い映像を長々と流すのかなー、何故なのか不思議でした?西部劇でも、インディアンと軍隊の襲撃と打ち合い殺し合いがありました、マカロニウエスタンでも、拳銃の打ち合い殺し合いを続けましたが、時代劇のあのチャンバラの斬りあいは、残酷で凄惨でーネ。監督は言わずと知れた三池崇史です。ホラーコメディーバイオレンス初め幅広い作品を制作するエンターティナーですが、過去の時代劇には、『十三人の刺客』(2010年公開)に次いで、今回で時代劇第二作目です。この作品は、1963年(昭和38年)の工藤栄一監督、片岡千恵蔵主演『十三人の刺客』のリメイク版でした。将軍の異母弟にあたる暴虐・無法の明石藩主松平斉韶を討ち取ることを決意した御目付役の島田新左衛門は多勢の侍を従える松平斉韶一行が通過する寂れた小さな村・落合宿で、集められた13人の刺客が迎え撃つ少数対多勢の集団抗争時代劇でした。暴力団同士の抗争と同じで血みどろの殺陣が続くシーンの連続です。三池崇史監督はこの時代劇の手法をそのままこの作品でも踏襲したようですーが、元々は沙村広明のコミック時代劇が原作なので、たいしたストーリも変化にとんだ仕掛けも伏線のある絡繰りも、テーマなどある訳がないです。だから、テーマなき漫画的ハチャメチャのドタバタ喜劇で、時代劇のぬいぐるみを被った、乱闘劇でした。しかもまだアイドルを脱皮できないキムタクの拙い演技のため、映画は従来の時代劇の体裁さえ持たないです…ヨ。今年最低最悪の作品かもしれません。最近の三池崇史監督の映画は、制作すれば金が儲かる…式の、金儲けの道具に映画が貶められているーナと思います。

 
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富山県警捜査一課の四方篤刑事(岡田准一)と、富山の漁港町で土建屋を経営している田所啓太(小栗旬)と、東京でガラス屋の娘と結婚して後を継いでいる川端悟(柄本佑)の3人が旧友で、ガラス店の赤字経営のためお金の工面をするために故郷の富山に帰っていたが、殺害現場で刺殺体となって発見された。2本目は、養護施設の孤児たちが旧友で、共通の旧友3人と、ヤクザの愛人だった仁科涼子(安藤サクラ)の封印された過去が次第に明かされるサスペンス&殺人捜査の絡んだ『追憶』(2017年、降旗康男監督、青島武脚本、)でした。

主人公の刑事・四方には、離婚中の元妻と自殺未遂をするノイローゼ気味の祖母がいるー、田所啓太は順風満帆の土建会社経営者で、妊娠中の身重の妻がいて、新しい海岸の海の見える土地に新しい家を建築中でした。そして、遺体となった川端達3人は、赤字のガラス屋のために田所から借金をしに来た。幼なじみの3人は、昔々のヤクザの刺殺事件をきっかけに、それぞれはバラバラに連絡も取らず顔も合わせない他人として遠ざかっていた…が、それを破って殺される前日に川端は田所に会っていた。そこから田所も容疑者の一人として四方も疑ってたいた。もんもんを体に入れ墨したヤクザとセックスする安藤サクラの汚れ役もまた演技に力を入れた役者として好感が持てました。


デモね、また岡田准一主演の映画か、彼の時代劇もアクションも人生ドラマもあきたよね…と思うほど、岡田准一主演の映画が話題として頻繁に登場するようになりました。それ程最近の映画俳優としては異色です。演技上手とは言えないが演技の幅が広いというのでしょうか…ね。出光興産創業者の出光佐三氏をモデルにした主人公を演じた『海賊とよばれた男』( 2016年12月公開、百田尚樹原作、山崎貴監督)は、つい先日私は映画館で観た記憶があります。つい先日TVでも放映されていた、ネパールの首都カトマンズで山岳カメラマン・深町誠を演じた『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016年3月公開、夢枕獏原作、平山秀幸監督)もありましたーネ。国家による思想検閲とメディア規制が強制される近未来日本で活躍する図書隊隊員を演じる、童話なのか小説なのかよく分からないが、明らかに子供向け映画『図書館戦争 THE LAST MISSION』( 2015年10月公開)『図書館戦争』(2013年4月公開、有川浩原作、佐藤監督)も話題作でした。10年後に切腹を命じられ、その日まで幽閉されて藩の歴史「家譜」を執筆する戸田秋谷を演じた『蜩ノ記』 ( 2014年10月4、葉室麟原作、小泉堯史監督)は、本格的な時代劇でした。太平洋戦争で零戦に乗り特攻戦死した宮部久蔵を演じた『永遠の0』( 2013年12月公開、百田尚樹原作、山崎貴監督)は、戦争映画で数々の賛否のあった作品でしたが、第38回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞ほか8部門を受賞しました。天文暦学者・渋川春海を演じた『天地明察』(2012年9月公開、冲方丁原作、滝田洋二郎監督)は、原作そのものも今まで日本史から忘れられた江戸時代の天文学という分野の、ドンナ人物なのか役作りが難しい小説でした。ここ4-5年間でもこんなにいろいろな映画で主役を演じているのです…チョット驚異的ですーネ。

今作では、原作小説はないようです。原案&脚本が青島武と瀧本智行の二人が載っているので、ストーリもこの二人が作ったものなのでしょうかーネ。特に青島武は今まで数々のヒット作品の脚本を手掛けているので、まあ、彼のオリジナル作品と言って良いのでしょうか。松本清張張りのドロドロした社会性と、お金と貧困と幼児期の暗い体験を持つ殺人事件が絡んだ謎解きのストーリで、見応えがありました。私には社会派の推理小説で、戦後の貧困の時代を生きる逃れられない犯罪を描いた日本人の原風景のような水上勉原作の古い邦画『飢餓海峡』(1965年公開、)を観ているようでした。

 
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3本目は、総理大臣になっていつか己の国を作り上げるという政治家への野望を抱いて国内屈指の名門校である海帝高校へ入学した赤場帝一(菅田将暉)を主人公にした、生徒会長の座を廻る学園コメディー映画『帝一の國』(2017年、永井聡監督)でした。この海帝高校の生徒会長の卒業生は、東大への推薦入学が可能で、OBは日本政治の中枢へ登りつめていた。

 

古屋兎丸の人気漫画を映画化した作品ですが、漫画を読まない私は全くの初体験のゲラゲラ笑える、俳優の大げさな台詞や演技自体が、まるで劇画のコメディーの吹き出し文字を読むようで、昨今こんなに手放しで笑えた映画は久しぶりでした。ただ、この荒唐無稽な政治コメディー映画が、私には現代政治の風刺しているかのように映りました。


帝一は、「政治は血を流さない戦争だ…」と言う。海帝高校の生徒会長となり、東大法学部に入学し、己の国を作り上げる野望のため内閣総理大臣を目指して政治家になる…。しかし、帝一の己の国を作り上げるという野望は、父親の代理戦争のために母親譲りのピアノの才能を封印されて、ひたすらエリートを目指していた、その最後の目標には、己の好きなピアノを弾きたいという念願でした。何か、今の保守政権の「政治」を嘲笑うかのようなコメディーでした。

 

(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)




5月下旬特選映画【15】★映画のMIKATA「メッセージ」★映画をMITAKA

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5月下旬の特選映画をアップロードします。今回下旬で5本を映画館で観賞、今月5月は通算で8本、邦画3本『無限の住人』『追憶』『帝一の國』、洋画5本『カフェ・ソサエティ』『ノー・エスケープ/自由への国境』『スプリット/SPLIT』『メッセージマンチェスター・バイ・ザ・シーを観賞しました。選んだ特選映画1本は、『メッセージ』でした。


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1本目は、1930年代の都会、野心的な成功を秘めてニューヨークの青年ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は、ハリウッドで映画業界の敏腕エージェントで活躍している叔父フィル(スティーヴ・カレル)のもとで働き始め、ハリウッドの社交界(カフェ・ソサエティー)にデビューする。そこでフィルの秘書・ヴォニー(クリステン・スチュワート)の美しさに心を奪われ結婚まで空想するが、彼女は彼女で密かに交際中の別の男性がいた。さらに、ボビーはボビーでもうひとりの美女ヴェロニカ(ブレイク・ライブリー)と出会い、恋の行方に戸惑うという、いかにも男と女の社交界のロマンティックコメディ映画『カフェ・ソサエティ』(2016年、ウディ・アレン監督)でした。


ミッドナイト・イン・パリ(2011年)、『マジック・イン・ムーンライト』(2014年) など、ウディ・アレン監督の作品は何本か見ているのだが、ほとんど見ていないも同じなので、率直に行ってウディ・アレンの作品は、よく分からないのです…しかも、さほど私は面白いと見たことがないですーネ。それがフランス映画だ、男と女の洒落た縁と繋がりを描くことがフランス映画の真骨頂さ…と言われると、面目ないです。誰か?ウディ・アレン作品の面白さを教えてください…。
 

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メキシコとアメリカの国境地帯を密入国しようと、ひたすら灼熱の砂漠を歩き続けるメキシコ移民たちを、何者かが次々とライフルで狙撃する気味悪い映画です。2本目は、ただただ生き延びるためにアメリカを目指して逃げ惑うサバイバル映画『ノー・エスケープ/自由への国境』(2015年、ホナス・キュアロン監督)でした。ちょうど、メキシコ人や中東移民に限らず、アメリカの移民たちが置かれた今の絶望的な状況を映画化したと言って良いです。それこそ、映画は今の現実を映す映像です。


『ゼロ・グラビティ』で宇宙空間の狭間で人間存在の生きる意味を覚醒する映画を製作したアルフォンソ・キュアロンがプロデュース、息子のホナス・キュアロンが監督を務めた今作では、砂漠の懸命に生きるサバイバルスリラーを制作した。でも、そこから伝わるメッセージは、アメリカは、果たして未だ命を懸けて国境の砂漠を不法入国するほどの、魅力的で自由で、可能性を秘めた国家なのか…という、疑問を持たざる負えないです。自由と平等と平和と博愛を掲げる移民にとっても、アメリカ人にとってもアメリカ建国の存在意義を根底から揺るがす作品ですーネ。

 

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高校生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)と、クラスメートのクレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)と、クレアの親友マルシア(ジェシカ・スーラ)は誕生パーティーの帰りに、駐車場から見ず知らずの男(ジェームズ・マカヴォイ)に拉致・誘拐、監禁され、三人は、薄暗く狭い密室で目を覚ます。頓珍漢で奇妙な会話する男がドアーを開け、誘拐されたことを知る。3本目は、時にデザイナー、時に少年、時に女性などの複数の人格を共有する多重人格の男(ジェームズ・マカヴォイ)に幽閉される誘拐&スリラー映画『スプリット/SPLIT』(2017年、M・ナイト・シャマラン監督)でした。
 

さてさて、シックス・センス』を製作したM・ナイト・シャマランが、新しくどんなスリラーを監督したのか興味津々でした。が、つまらなくはないが、私にはとても傑作とは言えないな…と見ました。多重人格の誘拐映画か…と、チョットまあーネ、ナイト・シャマランの映画の限界を見たような気がしました。


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世界各地12か所に正体不明の未知の円錐状卵型の宇宙船が地球外から現れ、世界中を震かんさせ、地球を謎の混乱に陥れた。4本目は、地球外生命とコンタクトを取るために言語学者のルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)と、数学者のイアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)が、アメリカ軍大佐のウェバー(フォレスト・ウィテカー)より宇宙人の正体を解明する密命を受ける『メッセージ/ARRIVAL』(2016年、ドゥニ・ヴィルヌーヴ 監督)でした。



果たして地球への飛来の目的は何か、地球侵略のためなの…か、宇宙人の船体内部に入り探索、黒い煙のような円環を恰も文字のように吐き出す、未知の得体のしれない言語を持つ生物とコミュュニケーションをとり始める。テッド・チャンのSF短編小説『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫SF、公手成幸 翻訳)を基にしたSF映画なのだが、最後の「理由と目的」、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と目的、人類に向けられた驚愕のメッセージだと判明した時に、私はエ~と啞然としながらも、原作者とドゥニ・ヴィルヌーヴ 監督の鬼才ぶりに感心しました…。 今迄にない未知との遭遇の映画と、従来の宇宙人対地球人の出現は、『インデペンデンス・デイ』(1996年、ローランド・エメリッヒ監督)に代表されるに地球の侵略でした。『世界侵略: ロサンゼルス決戦』(2011年、ジョナサン・リーベスマン監督)も『第9地区』(2009年)も敵対する宇宙人の侵略戦争でした。侵略戦争の既存の通念を覆して、地球人の一体感を演出していました。ところが、『メッセージ/ARRIVAL』の真相は、彼らは3000年後に人類から助けられたため、贈り物をするのだというメッセージをルイーズに告げる…もので、した従来の宇宙人の侵略戦争映画と比較した時に、「ET」だけが例外でした。その意味は、冒頭の娘の誕生と病死のルイーズの過去の悲しい生活史の映像のストーリによってはじめて分かりました。バンクス博士は、結婚し妊娠する以前から娘と自分と人生の全てを、現在いま、時間的に未来の時制に属するイメージを、宇宙人よりメッセージとして受け取っていたのでした…。チョット、原作の翻訳を読みたくなった作品でした。

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5本目は、ボストン郊外で暮らす便利屋リー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョー(カイル・チャン
ドラー)の急死を機に帰郷し、16歳の甥パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人として一度離れた故郷に戻り、世話をする内に、子供たちの焼死の悲劇と、家族を一瞬で失った自身の抱えるトラウマと向き合う家族ドラママンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016年、ケネス・ロナーガン監督&脚本)でした。


リーの心の奥に秘められた心理的な謎解きのこの映画製作にマット・デイモンがプロデューサーとして参加している、ということ以外、大して特徴のない作品でした。敢えて見どころを挙げるとするならば、友達とバンド演奏を楽しみ、ガールフレンドを何人も持ち、バンドのボーカルの女の子とセックスを楽しみ青春を満喫している甥のパトリックに対して、子供たちを焼死させた罪悪感と、生き残った酒浸りの妻だった家族を捨てて故郷を離れて孤独な生活に自分を閉じ込めた暗い人生観との対比と映像描写は、見事だなと感心しました。






下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。 6/8の放送では、『メッセージ/ARRIVALのようです。木曜日を楽しみに待っています。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 




(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)

6月上旬特選映画【16】★映画のMIKATA「ちょっと今から仕事やめてくる」★映画をMITAKA

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映画館は、この時代には結構安くて手頃な娯楽ですーネ。デートに映画、年金生活の老夫婦には、余生を生きるいい時間の過ごし方です。中学生高校生には、情操教育に役にたってます。だから、姿勢をただしてかしこまって静粛に観賞しろ・・・とはまで言わないが、煎餅をバリバリバリと音を立てて食べながら観てる人は、苦言を呈したくなります。気になりますーネ、静かにしてほしいですーネ。しっとりと盛り上がったシーンの名場面も興ざめしてしまいます。隣席にお煎餅でなくても、袋をガサガサ、ポリポリサクサクお菓子を食べる紛らわしい雑音が聞こえたら、迷惑かナと少し想像を働かせてほしいですーネ。友達同士で上映中もヒソヒソコソコソおしゃべりしている一団も、恋人同士仲睦まじくしゃべっている囁きも、また「場所をわきまえろ―ヨ」と怒鳴りたくなります。そもそも、映画館の売店で売っている出来立てのポップコーンから匂うバターの風味は、密閉された館内に充満すると、私は吐き気をもよおします…!!!ハリウッドの映画の雰囲気をそのまま日本の映画館でまねしてるのかな…。もっともっと席と席との間隔は、ゆったり空けてもいいのではないのではないのかな…。だって、ウィークデーの昼間の座席は、がら空きの時間帯もありますよーネ。まあ、おやつを食べながら、観賞したい人は、どうか家の一室のTVで孤独に見てほしいな。

 

6月上旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞しました。今月はいい邦画が待ちに待って、漸く公開されました、私としては、どの作品を特選映画に挙げるか迷いました。選んだ特選映画1本は、自殺映画『ちょっと今から仕事やめてくる』でした。『』は河瀬直美監督しか撮れない映像だなーと想わせる作品でした。山田洋次監督の『家族はつらいよ2』も、山田作品らしい喜劇だなーと思います。私は、角田光代による原作小説、家族&誘拐映画『八日目の蟬』の成島出監督にもう一度この作品で、日本アカデミー賞の作品&監督賞他を獲ってほしいですーネ。良い映画を制作する監督だな…!!!自分の実体験を「経験」に昇華させてからイデアを映像に作る監督は、名作を生み出すーネ。


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1本目は、永瀬正敏が演じる弱視のカメラマン雅哉と、視覚障害者向けに映画の音声ガイドを制作する美佐子(水崎綾女)が主演するヒューマンドラマ『』(2017年、河瀬直美監督)でした。私、この作品ですぐに水崎綾女のファンになりました。卵型の顔立ちにナントも知れない愛らしい魅力を感じました・・・。こんな女性と付き合ったら、毎日楽しいだろうな!!!


症状が悪化し、次第に視力が衰え光を失いつつある雅哉は、かつては既に離婚した妻の映像を光の中で捉えようとしていた…。それを身近に傍観する美佐子自身も、生きる希望の光を求めていた。小さいころに父親が失踪し、田舎に認知症の母親を抱える都会の孤独な娘は、夕日の日没の光に浮かぶ父親の姿を求めていた…。河瀬直美の映画の面白さは、常に使われる緑の自然、人間を包む自然の優しさですーカネ。


殯の森』(2007年)では、失踪した認知症の老人と、行方を懸命に探す女性介護士が出逢った場所が、緑に包まれた森林の中でした。緑は人と人が交わる優しさの色であると同時に、人間を包む癒しの風景でもありました。「光」でも同じような似た緑の風景と風に揺れる竹の葉群れの情景がありました。


日常の千変万化を盲人でもわかるように「コトバ」で描写する音声ガイドの美佐子は言葉がどうしても包摂できない言外の「現実」をもどかしく思い、光の中に浮かぶ現実を撮影できなかった雅哉は、光を失いつつあった…。それが、一本の映画のナレーションと共に進むのが、大変斬新な構成でした。


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ノルマが厳しい広告代理店に大学新卒で入社した青山隆(工藤阿須加)は、部長の山上(吉田鋼太郎)から叩かれ誹られ怒鳴られ罵詈雑言を浴びされて、仕事のストレスは限界に達し、心身共に疲れ果てた青年タカシは、深夜まで一人続けたサービス残業の帰り、プラットホームで失意のどん底から意識を失い、寸前で電車に飛び込もうと体が線路に傾斜した。はねられそうになる瞬間をヤマモト(福士蒼汰)と名乗る青年に助けられる。明るく活発で屈託のないヤマモトは、タカシの命を支えた…。2本目は、小学校の幼なじみを名乗り、仕事に疲弊して絶望の淵を彷徨、命を捨てようとするタカシの自殺願望を引き止めるヤマモトは、青山との交流を通じて再び生き方を見詰め直させ、生きる目的を探すことを諭しはじめる、チョット特異な自殺映画『ちょっと今から仕事やめてくる』(2017年、成島出監督)でした。


映画は昨日と今日の現実と、歴史の悲劇と、未来の希望を映す鏡です。この映画は、2015年に第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞した北川恵海の小説を映画化した作品です。丁度、平成27年3月、24歳東大卒、電通に新卒入社した女性社員・高橋まつりさんが月130時間の残業を強いられ、1日2時間の睡眠不足が続き、「これが続くなら死にたい」「死んだほうがよっぽど幸福」と訴えた結果、自殺した事件をこの映画から私は連想しました。

広告業界ナンバーワンの「電通」がブラック企業とは言いたくないが…、どんなに立派な大手企業も、「働く」ことと社員を金儲けのためと会社の利益のたの「道具」と思いこんでいる企業は、どんな会社もブラック企業に転落します。広告業界の企業間の競争も、社内での生き残りのための競争もますます激しいです…。ただ、私も業界紙に身を置いた人間なので、新聞紙面を埋めるために企業をまわり営業したこともありますし、或は、広告代理店を廻って企画書を渡しながら広告掲載を依頼していたこともありました…。そんな訳で、タカシと同じような苦労も味わったし、失敗もミスも経験したことがあります…ヨ。だから、こんな非人道的でバカらしい広告代理店は、早く辞めてしまえ…!!!と思いました。ホンマニホンマに「電通」って、最低の会社だな!!!


映画の終盤で「流山霊園」行の送迎バスに乗るヤマモトを偶然見かけ、ヤマモト純が既に自殺してこの世にいない事実を知ると、もしやヤマモトはこの世にいない「幽霊」ではないのか???と疑い、ネットを糸口に純の来歴を調べ始める。最後に辿り着いたのが、養護施設長の大場玲子(小池栄子)であった。純と一緒に育ったもう一人の「山本純」に瓜二つの兄「山本優」が自殺したことが分かった…。でも、最後にネ、ボランティアで、子供たちに勉強を教える海外の島国「バヌアツ共和国」の学校にヤマモトを追いかけていく隆のストーリは、いかにも蛇足だな…と思いました。でもこんな、ブラック企業の餌食にならないために若者を覚醒させ、滅私奉「会社」に疑いも持たない新入社員を増やさない為に、こんな映画は必要なのだろう。いいタイミングで公開されました。若者よりも、苦い苦しいサラリーマン生活を強いられてきた中高年の方が、この映画に共感する人が多いのではないでしょうかーネ。日本にはまだまだ日本独特の家族的企業精神「年功序列・終身雇用」はとうに崩壊していると思っていましたが、今だ若者を束縛しているんですーネ。


★★★蛇足になるかもしれませんが下記アドレスで、コブクロの小渕健太郎、黒田俊介、そして映画の主人公・ヤマモトを演じた福士蒼汰、ブラック企業で働く青山隆を演じた工藤阿須加の座談会を掲載しています…。映画への理解を深めるために参考にしてください。

http://natalie.mu/music/pp/choiyame02

  
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平田周造(橋爪功)と妻・富子(吉行和子)との離婚騒動から、山田洋次がまたまたpart2を制作した。今作の騒動は、周造の運転免許証を家長の幸之助(西村雅彦)はじめ家族全員が返上を説得するところが発端となり、偶然巡り合った故郷広島の高校時代の同級生・丸田吟平(小林稔侍)と再会するが、行きつけの居酒屋のおかみ・かよ(風吹ジュン)のお店でとことん飲み、酔いどれて自宅へ一晩泊めた朝、零落して路上の警備員をしていた吟平は孤独に妻のベッドで心停止した姿で発見される。3本目の作品は、山田洋次独特の笑いとペーソスを持った中高年の「ヒトの死」が、ほろりと泣かせ、急死の騒動がまた平田家全員を巻き込むコメディー映画『家族はつらいよ2』(2017年、山田洋次監督)でした。


これまで日本の近代的家族制度の中で生きる人間像を描いてきた山田洋次監督ですが、時代は、新しい人間と社会の”窮地”を描き始めました。それは、高齢化社会を迎えた近代社会の関係性の「無縁社会」や老人の孤独死、老人だけが残され核家族化された”家”の「老老介護」などです。それに対して、山田洋次監督は前近代的「大家族化」

への方向を示唆しました。 私としては、新しい家族形態として新しい地域「共同体」をテーマとした映画を是非制作してほしいですーネ。敢えて、part3には、介護施設で働く20代の男を主人公に、町内で施設に入れない孤老したが、認知症で徘徊していたストーリの「家族はつらいよ」を望みます。


ここ数か月、笑いを忘れストレスに神経をすり減らしているサラリーマンの皆さまには、この映画はいい精神安定剤になるかもしれませんーネ。それだけゲラゲラ手放しで笑えます。

 


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4本目は、戦国時代の京都の頂法寺の執行として聖徳太子を祀っている「六角堂」の本尊如意輪観音に花を供えていた「池坊」の僧侶・専好(野村萬斎)を主人公に、その時代の権力者・信長秀吉の為政を舞台とした時代劇『花戦さ』(2016年、篠原哲雄監督)でした。時代背景は、織田信長(中井貴一)の威勢が本能寺の変で突然終焉し、信長亡きあと、天下を手中に収めた豊臣秀吉(市川猿之助)の政治が始まる。この時代劇でも、秀吉物語のエポックメーキングの事件、千利休(佐藤浩市)が秀吉によって自害に追い込まれる。その供養と秀吉の傍若無人な圧政を諫めるために、僧侶・専好は松と花を生ける…。


手応えのある時代劇の公開なのかな…と、かなり期待して観ました。池坊専好役の野村萬斎の時代劇出演は、「陰陽師」(2001年)、「陰陽師II」 (2003年)、「のぼうの城」(2012年)等があるが、前作「のぼうの城」での武将・成田 長親役の演技がどうもいかにもお道化た狂言のようで、私としては印象が悪かったです。今回も、池坊専好役の萬斎はやはり、顔の表情セリフ回し所作など、なにもかも「狂言」そのものでした。まるでまるで浅草ロックのエノケンの喜劇を彷彿としました。アンナに大げさにワザとらしく呵呵大笑しなくてもいいものだし、眼を大きくギロギロしなくてもいいものなのにな…と、それはそれで特徴といえば言えるのだが、私はミスキャストだと思いました。能舞台上での伝統的な演技には、定番のことなのだろうが、時代劇の役者としては、私は3流ではないのかな…???


秀吉役の4代目市川猿之助の時代劇出演は、「天地明察」(2012年)、「超高速!参勤交代」(2014年) 、「超高速!参勤交代リターンズ」(2016年)など何本かあるが、流石に時代劇の雰囲気に浮いてはいない、むしろかなり迫力の演技がありました。 十一代目市川 海老蔵の時代劇と比較した時、歌舞伎役者の癖を完全に払拭した演技は優れていましたーネ。





 下記addressは、毎週木曜日の夜20:30~20:56にひっそりと開かれる映画批評シアター、沖縄・那覇からFM電波で放送される「なーりーの星空シアター」のサイトです。映画で毎日の生活がよりキラキラと楽しいものになすように・・・と願いを込めた映画情報で、ポッドキャストでも聴けます。短い時間なので、ほっと一息する仕事の合間、休憩時間にスマホで聴くのにイイです…よ。今週の6/8は映画『メッセージ/ARRIVAL』のコメントが放送されます。最近は、沖縄関連のゲストインタビューが多くなりました。変化があっていいですね。隣の人は、戦略塾主宰の小畠宏さんです。ただね、チョット気になるのは、「戦略」ということば、「戦略」「戦術」「戦火」「戦闘」etc、ついつい「戦争」をイメージさせてしまいます。経済さえも「経済戦争」だからね。沖縄らしくないよな・・・。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68 

 




 

(尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)


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