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Channel: 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・
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2月推奨「ドラゴン・タトゥーの女」★映画のMIKATA【4】★映画をMITAKA…

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■映画情報
ドラゴン・タトゥーの女(2011)THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO/上映時間 158分/劇場公開(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)/公開2012年10月 /
オフィシャル・サイト


http://millennium.gaga.ne.jp/


■スタッフ
監督: デヴィッド・フィンチャー/製作: スコット・ルーディン、オーレ・ソンドベルイ、ソーレン・スタルモス、セアン・チャフィン/製作総指揮: スティーヴン・ザイリアン、ミーケル・ヴァレン、アンニ・ファウルビー・フェルナンデス/原作: スティーグ・ラーソン 『ミレニアム』/脚本: スティーヴン・ザイリアン/撮影: ジェフ・クローネンウェス/プロダクションデザイン: ドナルド・グレアム・バート/衣装デザイン: トリッシュ・サマーヴィル/編集: カーク・バクスター、アンガス・ウォール/
音楽:トレント・レズナー/
■キャスト

ダニエル・クレイグ:ミカエル・ブルムクヴィスト/ルーニー・マーラ: リスベット・サランデル/クリストファー・プラマー: ヘンリック・ヴァンゲル/スティーヴン・バーコフ: ディルク・フルーデ/ステラン・スカルスガルド: マルティン・ヴァンゲル/ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン: ニルス・ビュルマン/ベンクトゥ・カールソン: ホルゲル・パルムグレン/ロビン・ライト: エリカ・ベルジェ/ゴラン・ヴィシュニック: ドラガン・アルマンスキー/ジェラルディン・ジェームズ: セシリア/ジョエリー・リチャードソン: アニタ/インガ・ランドグレー: イザベラ・ヴァンゲル/ペル・ミルバーリ: ハラルド・ヴァンゲル/マッツ・アンデション: グンナル・ニルソン/ イーヴァ・フリショフソン: アンナ・ニーグレン/ドナルド・サンプター: 警部補グスタフ・モレル/エロディ・ユン: ミリアム・ウー/ヨセフィン・アスプルンド: ペニラ/エンベス・デイヴィッツ: アニカ/ウルフ・フリベリ: ハンス=エリック・ヴェンネルストレム/



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


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2月上旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は6本でした。1本目の映画は、1989年にヤングアニマルで連載を開始した、三浦建太郎原作漫画「ベルセルク」の映画アニメ「ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵」(窪岡俊之監督監督)です。黄金時代篇3部作の第1弾で、懐かしさが半分あるので続編が楽しみです。2本目は、ニューヨーク・マンハッタンの超高級マンション「ザ・タワー」の最上階のペントハウスに住む大富豪に全財産を詐取されたタワーの従業員たちが、黄金のクラッシックカーを強奪する映画です。「ナイト・ミュージアム」のコメディー俳優ベン・スティラーと、エディ・マーフィが初めて共演した「ペントハウス」( ブレット・ラトナー 監督)です。3本目は、元傭兵のハンターのマーティンが、バイオテクノロジー企業の依頼で幻の野生動物「タスマニアタイガー」を仕留め、サンプルを採取する「ハンター」(ダニエル・ネットハイム 監督)です。4本目は、スウェーデンの作家、スティーグ・ラーソンの長編ミステリー小説を映画化したスウェーデン映画1作目『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』を、なんとハリウッドのデヴィッド・フィンチャー監督がリメイクしました。 私は リスベット・サランデルの背中に彫られたタトゥーが強烈な印象を残しています。5本目は、再開発のために荒川の河川敷に棲みついた奇妙で風変わりな若者たちの共同体に、大企業の坊ちゃん・市ノ宮行が偵察に来て、漫画チックな体験する「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」(飯塚健監督)です。6本目は、人気ゲーム「逆転裁判」()を映画化した作品で、 3日間で判決を下す≪序審裁判≫制度を導入した近未来の裁判の弁論を、弁護士と検事の弁舌対決で描いています。率直に言って三池崇史監督が何を?映像表現しているのかーが関心でした。やや幻滅です。私は推奨映画に「ドラゴン・タトゥーの女」を選びました。


1本目の映画は、1989年にヤングアニマルで連載を開始した、三浦建太郎原作漫画「ベルセルク」のアニメ映画化です。「ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵」(窪岡俊之監督監督)は、黄金時代篇I3部作の第1弾で、私も学生の頃に深夜のテレビに噛付いてよく見ていたアニメですから、再び映画で見れるとは驚きで懐かしかったです。DVDをレンタルして観たいなと思っていたくらいですが、昔の感動は甦りませんでした。ちょっと映像が余りに綺麗すぎるからだろうかな?


2本目は、ニューヨーク・マンハッタンの超高級マンション「ザ・タワー」の最上階の「ペントハウス」( ブレット・ラトナー 監督)に住む大富豪に全財産をだまし取られたタワーの従業員たちが黄金のクラッシックカーを強奪するコメディーですが、「ナイト・ミュージアム」の俳優ベン・スティラーと、エディ・マーフィの共演を観て、ベン・スティラーの演技に対していつものエディ・マーフィ風のオチャラケのセリフと演技が妙に大袈裟で不自然に見えました。これは「コメディー」そのものに対して異質の解釈を二人が別々に持っているということなのかな…?


3本目は、元傭兵のハンター主人公のマーティンがバイオテクノロジー企業の依頼で幻の野生動物「タスマニアタイガー」を仕留め、サンプルを採取しようとする「ハンター」(ダニエル・ネットハイム 監督)。オーストラリアタスマニアの静かで神秘的な自然が印象的な映画でした。女性監督独特に映像表現を感じました。それは、そうですね…、「殯の森」等の河瀬直美監督に感得した≪自然と人間への柔和な感触≫と言い換えられます。


4本目は、スウェーデンの作家・スティーグ・ラーソンの長編ミステリー小説の3部作の1作目『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』のスウェーデン版映画を、ハリウッドのデヴィッド・フィンチャー監督がリメイクした「ドラゴン・タトゥーの女」です。私は改めてスウェーデン映画の『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』をもう一度見て、デヴィッド・フィンチャー作品と比較しました。彼独特の映像表現が随所にあり、最後の姪ハリエットがロンドンで生存していて登場するストーリの予想外の解釈もありました。特に リスベットの背中に象徴されるような反キリスト教的な「悪」の個性と、射撃されて頭部に銃弾の傷を負ったミカエルを甲斐甲斐しく手当てし、彼の愛情に報いるように皮革の上着をプレゼントする彼女の女らしい「善」の個性を見事に屹立させて描いているパーソナリティー表現は流石だなーと思いました。さらに、バックから流れるサウンドがまた衝撃的でした…。


音楽担当はナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーとアティカス・ロスです。映画の予告編映像には、レッド・ツェッペリンの「Immigrant Song」のカヴァーがフィーチャーされていて、その重厚なサウンドが映像を更に強烈に揺すぶっていました。トレント・レズナーは、1993年と1996年にはグラミー賞のベスト・メタル・パフォーマーに選出されており、1997年タイム誌の特集で「最も影響のある25人のアメリカ人」の一人にも選出されています。第83回アカデミー賞では、やはりアティカス・ロスと組んだ『ソーシャル・ネットワーク』のサウンドトラックが作曲賞でオスカーを受賞しました。 是非とも予告編映像に収録されている音楽を観賞してください。強烈 なインダストリアル・ロックがビンビン響いてきます。

http://www.youtube.com/watch?v=oaFyp3jdlYE&feature=fvwrel


5本目は「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」(飯塚健監督)です。荒川の河川敷に共同生活する人たちは、誰も彼もバカバカしくもヘンテコリンで漫画チックな個性の集まりです。金星から来たという美少女ニノ(桐谷美玲)、かっぱの着ぐるみを着ている村長(小栗旬)、星の黄色いマスクから両眼を覗かして「ロックだぜー」を連発するミュージシャン(山田孝之)…。私もこんな変わり者が居る村ならば一度出会いを体験したいな…。


6本目は、「逆転裁判」(三池崇史監督)です。 累計売上400万本を超える大人気ゲーム「逆転裁判」を映画監督の三池崇史が映像化したー、私にはこれだけで一度見る価値があると思いました。私はこのゲームの存在を知りませんが、恐らくサスペスとトリックと起承転結のストーリがあり、ストーリを担う個性的な登場人物が活躍するロールプレーゲームなんでしょうか…?。ゲームの魅惑的な興奮を映像化する映画監督に当初首を傾げていた私ですが、それが意外に面白い。これからは、人気ゲームを映画化する映画監督が、それぞれ趣向を凝らして次々に出現しそうです。



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・




2月推奨「ものすごくうるさくて」★映画のMIKATA【5】ダルドリー監督★映画をMITAKA…

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流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


上映時間 129分/ 劇場公開(ワーナー)/初公開 2012年/2月18日/
オフィシャル・サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/extremelyloudandincrediblyclose/


監督: スティーヴン・ダルドリー/製作: スコット・ルーディン/製作総指揮: セリア・コスタス、マーク・ロイバル、ノラ・スキナー/原作: ジョナサン・サフラン・フォア
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(NHK出版刊)/脚本: エリック・ロス/ 撮影: クリス・メンゲス/プロダクションデザイン: K・K・バレット/編集: クレア・シンプソン/音楽: アレクサンドル・デプラ/

トム・ハンクス *トーマス・シェル/サンドラ・ブロック* リンダ・シェル/トーマス・ホーン* オスカー・シェル/マックス・フォン・シドー* 賃借人/ヴァイオラ・デイヴィス* アビー・ブラック /ジョン・グッドマン* スタン/ジェフリー・ライト* ウィリアム・ブラック /ゾー・コードウェル* オスカーの祖母/

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待ちに待った第84回米アカデミー賞授賞式がロサンゼルス時間の26日に開催され、オスカー作品賞は、フランスの無声白黒映画「アーティスト」が受賞しました。主演女優賞に「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」のメリル・ストリープが、助演女優賞にはオクタビア・スペンサー(ヘルプ 心がつなぐストーリー)がスカーを獲得しました。


「アーティスト」は、サイレントからトーキーに移り変わる時代のハリウッドを舞台に、時代の変転に翻弄されるスター俳優たちの動揺を白黒無声映画で描きました。サイレント映画が作品賞を受賞するのは、カラーで3Ð映像が全盛時代の今日、83年ぶりのフランス映画受賞は、稀有であり快挙でもありました。再びフランス映画が映画ファン人気を引きつけるのかー?


私などは、マーティン・スコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』か、スティーヴン・スピルバーグ監督の『戦火の馬』かの、どちらかだと予測していたのですが、すっかり当てが外れました。


また、第35回「日本アカデミー賞」の授賞式も2日、東京のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、テレビ中継もされていました。不倫、妊娠、流産、誘拐、母性、子供、家庭、宗教、逃走、犯罪、逮捕…、女と時代が抱えるあらゆる問題を映像が表現していた「八日目の蝉」が最優秀作品賞に輝きました。


今年の日本アカデミー賞の注目点は、昨年7月に亡くなった俳優の原田芳雄さん(享年71歳)が、最優秀主演男優賞に輝いたことがまず一つ挙げられます。故人が同賞を獲得するのは初めてです。二つは、作品賞がその他の最優秀賞最多部門を占めるのは初めてではありませんが、「八日目の蝉」が同監督賞(成島出監督)、最優秀主演女優賞(井上真央)、助演女優賞(永作博美)など10部門ー最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞・最優秀脚本賞・最優秀音楽賞・最優秀撮影賞・最優秀照明賞・最優秀録音賞・最優秀編集賞ーを制しました。私は、≪母性≫や≪女性性≫が映画のテーマになっていることに注目したいです。やはり近代日本の母性や女性の≪役割と性≫の軸がブレて来ている証拠です。その他、助演男優賞に「冷たい熱帯魚」の「でんでん」が選ばれました。

は最優秀賞です。

◆優秀作品賞
「大鹿村騒動記」「最後の忠臣蔵」「ステキな金縛り」「探偵はBARにいる」「八日目の蝉」

◆優秀監督賞
「阪本順治(大鹿村騒動記)」「新藤兼人(一枚のハガキ)」「杉田成道(最後の忠臣蔵)」「成島 出(八日目の蟬)」「三谷幸喜(ステキな金縛り)」
◆優秀脚本賞
「荒井晴彦/阪本順治(大鹿村騒動記)」「奥寺佐渡子(八日目の蟬)」「古沢良太/須藤泰司(探偵はBARにいる)」「田中陽造(最後の忠臣蔵)」「三谷幸喜(ステキな金縛り)」
◆優秀主演男優賞
大泉 洋(探偵はBARにいる)堺 雅人(武士の家計簿)原田芳雄(大鹿村騒動記)三浦友和(RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ)役所広司(最後の忠臣蔵)
◆優秀主演女優賞
井上真央(八日目の蟬)長澤まさみ(モテキ)中谷美紀(阪急電車 片道15分の奇跡)深津絵里(ステキな金縛り)宮﨑あおい(ツレがうつになりまして)
◆優秀助演男優賞
伊勢谷友介(あしたのジョー)岸部一徳(大鹿村騒動記)佐藤浩市(最後の忠臣蔵)でんでん(冷たい熱帯魚)松田龍平(探偵はBARにいる)
◆優秀助演女優賞
麻生久美子(モテキ)小池栄子(八日目の蟬)永作博美(八日目の蟬)満島ひかり(一命)宮本信子(阪急電車 片道15分の奇跡)

*

さて、2月下旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は6本でした。1本目の映画は、余命と寿命が貨幣のように富裕層に蓄積され、貧民層に時間が売買されていて、25歳で死ぬ運命を受け入れている近未来のある都市生活者の時間社会を描いたサスペンスドラマ「TIME/タイム」(アンドリュー・ニコル監督)です。2本目は、高校を中退してトンネル工事で働いている「彼女いない歴24年」のアフロヘアーの主人公・田中(松田翔太)が、彼女を作ろうと悪戦苦闘するコメディー「アフロ山田」( 松居大悟監督)です。3本目は、アメリカの9.11同時多発テロで突然父を亡くした少年が、父親の遺品の中に鍵を発見、父の記憶を辿り寄せながら、ニューヨーク中を歩く「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(スティーヴン・ダルドリー監督)です。4本目は、宇宙へ飛び立った惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」の微粒な塵のような地質を採集して、総距離60億キロの彼方から地球へ帰還するサイエンスドラマ「はやぶさ 遥かなる帰還」の(瀧本智行監督)です。5本目は、木こり(役所広司)と新人映画監督(小栗旬)が、ゾンビ映画を撮影するため森林の村で奇妙で不思議な出会いをする「キツツキと雨」(沖田修一監督)です。6本目は、目が赤く濁った怪しい美男子のヴァンパイア・エドワードと、警察官の美貌の娘・ベラとのラブロマンスを描いた「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン PART1」(ビル・コンドン監督)です。 シリーズ第4弾で、最終章の前編です。今回推奨映画に「トワイライト・サーガ」かなーと迷いましたが、やはりヒューマンムービーのものすごくうるさくて、ありえないほど近い」を選びました。

*

1本目のサスペンス映画TIME/タイム』(アンドリュー・ニコル監督)は、裕福な者は永遠に生きられる=永遠の時間を体内に持ち、一方、貧しき者は「25歳」で肉体生命が停止する有限な生と死の時間を生きていた。スラムに住む貧しい人々は、寿命のために時間を「貨幣」のように稼ぎ、時間を「消費」していた。人間は、生きられる命の時間=寿命を売買し、右腕の余命が0になったときに死ぬーという未来社会に生きていた。時間で生産物と交換し、腕の寿命数字で支払い、数字を増やすために働き続け、それが0になった時に、野垂れ死にした。寿命数字は、酒と交換され、ならず者に略脱され、スラムの街角には、命を消費し尽くした貧者たちがこと切れて死んでいた。時間が貨幣であり、時間が社会のシエラルキーを構築していたこの近未来社会を描いたものですー。それに叛旗を翻したのが、貧しい青年・ウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)でした。資産家の父親の時間銀行から時間を強盗し、貧しいスラムにばら撒き、「時間階級社会」に時間の平等を復権させようと、時間を盗み、時間を配り、「時間革命」をもたらそうと、彼とともに次々と叛乱を起こす令嬢・シルビア(アマンダ・セイフライド))もまた、この作品のストーリ以上に不思議な存在でした。


物理的で機械的で無機質な『時間観念』ではなくて、つまり、過去から未来への「時」の単純な連続ではなくて、生物的で人間のイキイキとした積極的で、紆余曲折のある不連続で複雑な「心」の刻む「生の時間観念」の復権を哲学の中で提唱したのが、精神病理学や人間の生命観や宗教観にも大きな影響を与えた、フッサールの「現象学」であり、ベルグソンやサルトルやハイデガーの「実存主義」でした。


時間はどんな未来社会でも、恰も貨幣のように物々交換の媒体物の「貨幣」の代わりには、恐らく成立しないだろうー。いくら生命科学が進歩しようとも、どんなに遺伝子操作と遺伝工学が発達しようとも、永遠不滅の人の生命なぞは不可能でしょうねー。あるいは、アンダーグラウンドで金と臓器が不合法に売り買いされ、合法的に富裕層が貧民層の臓器を金で買取り、金で略奪搾取しようとしても、納得づくで臓器売買で多少寿命が延びても、やはり永遠の生命など不可能ではないのかなー!私は祈ります、何時までも何処でも、「命は誰にも平等」であって欲しいと…。また、実存主義の時間観念は、ひとつの世界観として許されるが、本来「時間」は、場面と時間が不即不離で、タイムマシンのように現在のこの「場」と「時」が切りとられ、空間と時間を過去や未来ー飛び越えることは出来ないでしょう…?


新しい視点で「未来」を預言したような映画ですが、私はこの映画には、毀誉褒貶の評価を持ってます。人間の「時間」を金で収奪する映画『タイム/TIME』への人気と関心は、昨今の所得格差の生れている、アジアの中の日本も例外ではないが、特にアメリカやヨーロッパ社会の現状ー、つまり、金持ちの横暴と失業して貧乏人たちの生活格差が極まり、抗議のデモ行進に見られるような、貧富の格差への関心だろうー。映画のヒットは、いつも社会と連動しています。映画は社会を動かし、社会的関心は、映画製作に影響を与えますー。

*

2本目のコメディー映画アフロ山田』( 松居大悟監督)は、「週刊ビッグコミック」で連載されていたギャグマンを実写映画化した作品です。髪の毛がフワッとふくらんだ天然アフロヘアーの、落ちこぼれで小心者でやんちゃな主人公・田中広を松田翔太が好演しています。


24歳の青春の「性」への過剰な欲望を、笑いの種にしているストーリですが、それを松田翔太が、三枚目のお調子者のキャラクターを見事に演じています。喜劇的な仕種と言葉の演技が素晴らしいです。兎も角も、ゲラゲラとよく笑えた映画でした。近頃見た三谷幸喜監督の「ステキな金縛り」や三池崇史監督の「逆転裁判」を凌ぐ、徹頭徹尾「笑い」のギャク映画です。それにしても、性欲と女への妄想ではちきれそうな純情な青年、24歳になっても彼女さえできない童貞の田中の「現実」は、結構、映画「モテキ」の延長にある現代の若者像と意識を如実に描いていて、意外と笑えない青春「惨酷」ギャク映画なのかもしれませんー。
*

3本目のヒューマン映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」原題ÈXTREMELY LOUD AND INCREDIBLY CLOSE (スティーヴン・ダルドリー監督)は、 911の同時多発テロで、あの崩壊した世界貿易センタービルにいて、大好きな遊び相手であった父(トム・ハンクス)を亡くした、アスペルガー症候群の少年オスカー(トーマス・ホーン)の物語です。9.11のテロは多くの命をうばいましたが、追悼以上の大きな「祈り」の映画を残しました。


少年オスカーと妻リンダ・シェル (サンドラ・ブロック)の二人の、哀しくも胸を打つ追想のヒューマンドラマで、9.11の喪失と再生をテーマに作家ジョナサン・サフラン・フォアの小説を、「愛を読むひと」のスティーヴン・ダルドリー監督が映画化しました


同じ監督の作品で『愛を読むひと』は、ユダヤ人収容所の女看守であった市電の車掌と法学教授の息子との青い性を描いた問題作でしたが、これは勝らずとも劣らないいい作品でした。


アメリカ同時多発テロで最愛の父を失った少年オスカーは、直後には悲しみから立ち直れずにいました。ある日、父の面影を探して記憶の中の「父」を部屋の遺品に探してました。彼は、物置の中の棚の上の、花瓶の中から偶然に封筒に入った一本の鍵を見つけました。そこにあった名前「ブラック」と鍵に、最愛の父の最後のメッセージが託されていると確信して、母親にも隠してニューヨークを「ブラック」探しに熱中する。その謎を解き明かそうしていると、祖母のアパートに間借りしていた失言症で、筆談する風変わりな老人が、オスカーの鍵穴探しの旅を手伝うようになる…。


少年オスカーの日常の心と行動は、アスペルガー症候そのものです。知的関心が旺盛で、膨大な知識を記憶して整理する能力、一度身につけた方法や手順を正確無比に根気よく作業する性癖を持っています。視覚での認知と感覚的な表現に天才的な才能を発揮する彼の特異な能力は、電話帳から「ブラック」を抽出して、ニューヨークの地図に細かく印をつけて、紙の検索ファイルまで作ってしまう。


何時しか彼は、父を失った代わりに、ニューヨークの「ブラック」さんたちとコミュニケーションを持つようになる。ニューヨーク中の「ブラック」たちには、貧しい黒人も居れば、優しいオカマも居たし、年老いた東洋人も居ました。しかし、テロルで「父」を失ったニューヨークには、少年オスカーをシッカリと優しく包みこむ人種も貧富も年齢も越えたユニバーサルな人の繋がりがあったーという結末で終ります。

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4本目のサイエンスドラマ『はやぶさ 遥かなる帰還』(瀧本智行監督)を初め公開されたときに、以前見た『はやぶさ/HAYABUSA』(2011年10月公開。堤幸彦監督)の二番煎じなのかと疑いましたが、「はやぶさ  遥かなる帰還」の方が、よりサイエンスフィクション性と映画らしいドラマ性を多く持っていました。映画としては、原作( 山根一眞著 『小惑星探査機 はやぶさの大冒険』マガジンハウス刊) がシッカリしているせいか、こちらの作品の方が完成度が高かったです。


私は、宇宙探査や天文科学には人類や地球の誕生の秘密など神秘のロマンはあるのですが、難解であることはいがめないと思ってます。この映画は、宇宙科学や天文学や宇宙など手で届かない「宇宙」や難解な「科学」ををより身近に感じさせくれました。そらに、宇宙といえば、私はアメリカの天文学者でSF作家、NASAの惑星探査をリードしたカール・セーガン原作の映画「コンタクト」をすぐに思い浮かべます。しかし、こうした「探査機」の成功談の映像を見ると、日本にもとうとう面白いサイエンス・ドラマが誕生したなーと、いう意外な感動がありました。
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5本目のコメディー映画『キツツキと雨』(沖田修一監督)の面白さは、 小さな山奥の山村にやって来たゾンビ映画の撮影隊ときこりとの心のふれあいのドラマなのだが、特色のない映画でした。原作がハッキリしませんが、脚本に沖田修一監督
と「南極料理人」出演の元助監督の経験を持つ守屋文雄の名前が載ってますので、二人がストーリを合作して書いたのでしょう。でも、森林伐採で大水が流れるとー、役所広司に言わせておきながら、何故もっと突っ込んで書かなかったのかなーと映画を見ながら、残念ですが脚本が「浅いー」と感じました。

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6本目のラブロマンス『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン PART1』(ビル・コンドン監督)は、シリーズ最終章でありながら、前編のパート1と後編のパート2に分かれてしまった。ベラとエドワードは結婚式の後、ベラはハネムーンの最中に南の島で体の異変に気付く。パンパイアーのエドワードの子どもを早々と懐胎し、しかも日に日に刻々と胎児は急速に成長している異常を知るー。胎児が母親の肉体を殺そうとしている危険な存在であることを疑う…。ベラは、パート1の最後に胎児の出産に母体が耐え切れずに心停止するー。エドワードは慌ててベラをヴァンパイアへ転生するが、果たしてベラの命は再びパンパイアーとして命をき返すのかー。ベラのやせこけた肉体が艶を取り戻し、濁った目が赤く光り終るー。こんな終わり方は、なんとも続編の鑑賞を誘うようで、金儲けの中途半端な幕テスね…。後味が悪かったです。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・








流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

2月特選「ドラゴン・タトゥーの女」★映画のMIKATA【6】★映画をMITAKA…

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流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


2月の特選映画をアップロードします。デヴィッド・フィンチャー監督の「ドラゴン・タトゥーの女」を選びました映画館で観賞した映画は12本でした。


1本目の映画は、1989年にヤングアニマルで連載を開始した、三浦建太郎原作漫画「ベルセルク」の映画アニメ「ベルセルク 黄金時代篇 覇王の卵」(窪岡俊之監督監督)です。黄金時代篇3部作の第1弾です。ただ、根強い人気とファンが依然多くいるとはいえ、こんなに何度も映画館に足を運ぶ価値のある映画かなーと疑問に思いました。懐かしさが半分あるので続編は多少楽しと期待がありますが、私は続編を見に行きません。こんな映画の作り方は映画ファンをナメテいます。


2本目は、ニューヨーク・マンハッタンの超高級マンション「ザ・タワー」の最上階の「ペントハウス」( ブレット・ラトナー 監督)に住む大富豪に全財産を詐取されたタワーの従業員たちが、黄金のクラッシックカーを強奪する映画です。「ナイト・ミュージアム」のコメディー俳優ベン・スティラーと、エディ・マーフィが初めて共演した映画ですが、ベン・スティラーとエディ・マーフィの笑いの波長がどうも合ってないーと思いました。


3本目は、元傭兵のハンターのマーティンが、バイオテクノロジー企業の依頼で幻の野生動物「タスマニアタイガー」を仕留め、サンプルを採取する「ハンター」(ダニエル・ネットハイム 監督)です。


4本目は、スウェーデンの作家、スティーグ・ラーソンの長編ミステリー小説を映画化したスウェーデン映画1作目『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』を、なんとハリウッドのデヴィッド・フィンチャー監督がリメイクしました。 私は リスベット・サランデルの背中に彫られたタトゥーが強烈な印象を残しています。


5本目は、再開発のために荒川の河川敷に棲みついた奇妙で風変わりな若者たちの共同体に、大企業の坊ちゃん・市ノ宮行が偵察に来て、漫画チックな体験する「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」(飯塚健監督)です。


6本目は、人気ゲーム「逆転裁判」( 三池崇史監督)を映画化した作品で、 3日間で判決を下す≪序審裁判≫制度を導入した近未来の裁判の弁論を、弁護士と検事の弁舌対決で描いています。率直に言って三池崇史監督が何を?映像表現しているのかーが関心でした。でもやや幻滅です。


7本目の映画は、余命と寿命が貨幣のように富裕層に蓄積され、貧民層に時間が売買されていていた、25歳で死ぬ運命を受け入れている近未来のある都市生活者の時間社会を描いたサスペンスドラマ「TIME/タイム」(アンドリュー・ニコル監督)です。

8本目は、高校を中退してトンネル工事で働いている「彼女いない歴24年」のアフロヘアーの主人公・田中(松田翔太)が、彼女を作ろうと悪戦苦闘するコメディー「アフロ山田」( 松居大悟監督)。


9本目は、アメリカの9.11同時多発テロで突然父を亡くした少年が、父親の遺品の中に鍵を発見、父の記憶を辿り寄せながら、ニューヨーク中を歩く「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(原作:ジョナサン・サフラン・フォア 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(NHK出版刊)。スティーヴン・ダルドリー監督)です。原作者のジョナサン・サフラン・フォア は、裕福なユダヤ系アメリカ人ですが、映画監督のスティーヴン・ダルドリーはイギリスのCrucible Theatreで舞台製作に携わったヨーロッパの舞台監督です。映画製作は{リトル・ダンサー」 (2000年)、「めぐりあう時間たち」 (2002年)、「愛を読むひと」(2008年)、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」 (2011年)と、四本目です。この9.11の映画がハリウッドの映画監督の手で製作できなかったのが残念です。


10本目は、宇宙へ飛び立った惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」の微粒な塵のような地質を採集して、総距離60億キロの彼方から地球へ帰還するサイエンスドラマ「はやぶさ 遥かなる帰還」の(瀧本智行監督)。


11本目は、木こり(役所広司)と新人映画監督(小栗旬)が、ゾンビ映画を撮影するため森林の村で奇妙で不思議な出会いをする「キツツキと雨」(沖田修一監督)です。


12本目は、目が赤く濁った怪しい美男子のヴァンパイア・エドワードと、警察官の美貌の娘・ベラとのラブロマンスを描いた「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン PART1」(ビル・コンドン監督)です。 シリーズ第4弾で、最終章の前編です。

PR: レノボ DO.プロジェクト

3月推奨「ヒューゴの不思議な発明」★映画のMIKATA【7】スコセ監督★映画をMITAKA…

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◆映画情報
上映時間 126分/公開情報 劇場公開(パラマウント)/初公開 2012年/3月/1 日/オフィシャル・サイト
http://www.hugo-movie.jp/

◆スタッフ
監督: マーティン・スコセッシ/製作: グレアム・キング、ティム・ヘディントン、マーティン・スコセッシ、ジョニー・デップ/製作総指揮: エマ・ティリンジャー・コスコフ、デヴィッド・クロケット、ジョージア・カカンデス、クリスティ・デンブロウスキー、バーバラ・デ・フィーナ/原作: ブライアン・セルズニック 『ユゴーの不思議な発明』(アスペクト刊)/脚本: ジョン・ローガン/撮影: ロバート・リチャードソン/視覚効果監修: ロブ・レガト/プロダクションデザイン: ダンテ・フェレッティ/衣装デザイン: サンディ・パウエル/編集: セルマ・スクーンメイカー/音楽: ハワード・ショア/音楽監修: ランドール・ポスター

◆キャスト
ベン・キングズレー: パパ・ジョルジュ/ジュード・ロ: ウ ヒューゴのお父さん/エイサ・バターフィール: ド ヒューゴ・カプレ/クロエ・グレース・モレッツ: イザベル/レイ・ウィンストン: クロードおじさん/エミリー・モーティマー リゼット/ヘレン・マックロリー: ママ・ジャンヌ/クリストファー・リー: ムッシュ・ラビス/マイケル・スタールバーグ: ルネ・タバール/フランシス・デ・ラ・トゥーア: マダム・エミール/リチャード・グリフィス: ムッシュ・フリック/ サシャ・バロン・コーエン: 鉄道公安官/

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


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3月上旬推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は4本でした。第84回アカデミー賞の後なので、名作話題作、ノミネート候補作品が多かったです。1本目の映画は、かずかずのスパイ映画のヒット脚本を書いているマイケル・ブラントが、もはや既に古色蒼然とした冷戦時代のアメリカに潜入し、既に死んでいるソビエトの伝説的なスパイ、通称「顔のないスパイ」」(マイケル・ブラント監督)を製作しました。2本目は、第1次世界大戦中に軍馬に徴用され名馬「ジョーイ」と、その愛馬を友とする、アルバートと動物の心の交流を描いた戦争映画「戦火の馬」( スティーヴン・スピルバーグ監督)です。3本目は、1930年代パリの駅舎を舞台に、孤児になったヒューゴが、父の遺した機械人形の秘密を求める「ヒューゴの不思議な発明」(マーティン・スコセッシ監督)です。この作品は、視覚効果賞、録音賞、音響編集賞、美術賞、撮影賞等を獲得しました。4本目は、お馴染みのアーサー・コナン・ドイルの探偵小説を映画化したもので、ロバート・ダウニー・Jrがシャーロック・ホームズを、ジュード・ロウがジョン・ワトソンに扮するシリーズ第2弾の「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」(ガイ・リッチー監督)です。迷った末、今回の特選映画に「ヒューゴの不思議な発明」を選びました。

1本目の映画は、「顔のないスパイ」(マイケル・ブラント監督)。マイケル・ブラントの手がけた脚本は、この「顔のないスパイ」を初め、アンジェリーナ・ジョリーが謎の美女であり華麗な暗殺者を演じる「ウォンテッド」 (ティムール・ベクマンベトフ監督)、米フロリダ州マイアミの夜に派手な改造車を限界ギリギリのスピードでストリート・レースを繰り広げるカー・アクションの「ワイルド・スピードX2 」(ジョン・シングルトン監督。2003年)等々のヒット映画が並んでいます。この映画は二つの事を私に示唆しています。


やはり脚本がしっかりしていると映画は見応えがあります。原作ストーリの面白さと脚本家の手腕が、映画の真価を支えていることを思い知らされます。昨今の漫画を原作とする、性的で暴力的なストーリ、アイドルを主役に抜擢して、俳優の人気を売り物にした演出、安易な「笑い」だけしかない邦画の傾向に、「ダメだし」をする映画でした。


もう1つは、ベテラン脚本家が何故、映画のメガホンをとるのだろうかー?と考えさせられました。日本でも小説家&原作者が自ら監督の仕事までする映画がありました。私は、逆にこの原作と監督を兼ねた映画製作手法は、映画の面白さを半減していると思います。映像が3Dまで進化している現在、映像技術も映画製作も、複雑・高度になってます。そこまで作家は手が届かないでしょうー。やはり映画は分業になるでしょう…!それでも、マイケル・ブラントがスパイ映画の監督をした真意は、スバイものを作る監督がいなくなったのだろうかーというハリウッドの裏事情が知りたくなりました。


2本目の「戦火の馬」( スティーヴン・スピルバーグ監督)に対して、スピルバークよ、お前もかー、といいたくなる程の戦争美化の映画なのかーと感じました。私は、戦争美談のストーリが嫌いです。フランス戦場でドイツ人とイギリス人が敵対している前線を挟んで、名馬ジョーイの体が鉄条網でカゼンジガラメに絡まって泥濘の大地に倒れ、立ち往生ているシーンがありました。一頭の馬を助けるために敵同士の兵隊が最前線まで歩み寄り、動物の命を助け合う姿は、確かに、ヒューマンで感動的なのですが、ただそれがそのまま、「人間同士を結び付ける」「動物の力」のメッセージとは、私は率直に受け取れなかったです…!やはり、動物にせよ、馬にせよ、犬にせよ、≪戦争≫を美化するようなヒーロ映画としてしか見れませんでした。


スティーヴン・スピルバーグ監督の単独インタビューで次のように「戦火の馬」について語ってます。 ここから少し引用します。
http://movies.yahoo.co.jp/interview/201202/interview_20120223001.html


■戦争映画ではない、きずなの物語

Q:本作は小説が原作ですが、映画化にあたって最も心惹(ひ)かれたことは何でしょうか?

馬との出会いによって生まれる人間同士のきずな……つまり、世界大戦の最中、敵対して戦う者たちさえも結び付け、それによって一種の平和をもたらす動物の力に心動かされたんだ。人間は、互いを信用してコミュニケーションをすることをためらいがちだけど、動物は人間同士を結び付ける存在になり得る、というメッセージだ。

Q:第1次世界大戦の騎兵隊のストーリーが描かれている点が、新しい試みだと感じました。

第1次世界大戦は、騎兵隊がその役割を終えた戦争として知られている。マイケル・モーパーゴによる原作はその点をしっかりと描いていて、その後、舞台劇として描かれることになった。でも僕は第1次世界大戦にそれほど注意を払っていない。そもそも『戦火の馬』を戦争映画としてとらえていないんだ。さまざまな人と一頭の馬のつながりが生み出す、奇跡に関する映画だ。戦争は舞台背景として緊張感を生み出してはいるけれど、『プライベート・ライアン』のように前面に出ているわけではないんだよ。


3本目「ヒューゴの不思議な発明」(マーティン・スコセッシ監督)でスコセッシ監督は、柔らかくも脆い音と光の「夢」のような幻想的な映像を「映画」という表現手段として確立した手品師、ジョルジュ・メリエスの不遇な人生と映画史の原点をストーリの横糸に織り込んでいます。そして、科学技術の世界観、時計の歯車のように世界は小さな目的を持った部品が相互に連動しながら、この世界は巨大な機械のように部品と部品、パーツとパーツの集積が世界を作動させている。つまり、世界は大きく正確で精密な機械という世界観と、孤児となった「子供」の心の世界をストーリの横糸にして描いています。縦糸と横糸が織り成したスコセッシ監督の大きな布は、映像の銀幕でした。


この作品の舞台となった1930年代のフランスには、まだ子ども時代は、大人になる未熟な過程、その先に成長して大人になる段階があり、教育と訓練によって未熟な子ども時代の先に完成され成熟した大人の世界があると考えられていました。15才からフランス各地を放浪した自由人のジャンジャック・ルソーは、子供の心を開放しました。現在、当たり前に考えられていますが、決して子供は子供独特の心の世界があり、独走的な子供の小宇宙があるとは扱われてませんでした。マーティン・スコセッシ監督の「ヒューゴ」は、最新の映像技術でしか表現しか出来ない子供の精緻な精神的な「小宇宙」を3Ðの音と光で美しく描きました。いわば自分の子ども時代の心の世界を映画にしたといっても好いです。


マーティン・スコセッシ監督の単独インタビューで次のように「ヒューゴの不思議な時計」について語ってます。 ここから少し引用します。
http://movies.yahoo.co.jp/interview/201203/interview_20120301001.html

■寂しい少年時代だったスコセッシ監督

Q:本作は、監督の個人的な映画のようにも思えますが?

マーティン・スコセッシ監督(以下、スコセッシ監督): この映画を作ることについては、ヘレン(スコセッシ監督夫人)や周囲の人々から話を聞いて決めたことだから、わたし自身はそうは思わなかった。このヒューゴ(エイサ・バターフィールド)という少年の孤独に惹(ひ)かれたことを除いてはね。孤独というのはわたしの人生の中でも大きい部分だ。特に3歳くらいのときは、いろいろな面で切り離されていたよ。そういう意味では、自伝的な映画といえるのかもしれないね

Q:劇中には、ずいぶん懐かしい映画も出てきますね?

スコセッシ監督: 父親に連れられて、よく映画を観に行ったものだよ。そういえば、自伝的な部分といえば、父親とのきずなを描いている部分もそうだね。1940年代後半くらいからだよ、父親に映画に連れて行ってもらえるようになったのは。初めて自分で映画を観に行ったのは1950年代に入ってからだった。


「戦火の馬」の原作はもともと童話が演劇で演じられた作品です。「ヒューゴの不思議な発明」の原作は絵本作家の著書です。劇画の次に、童話と絵本を基にして映画の脚本が書かれるというのもまた、これからの映画のひとつのベクトルを示している気がしました。


4本目の「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」(ガイ・リッチー監督)は、今回も映画でしか味わえない娯楽性に充ちた場面がたくさんありました。ホームズがライヘンバッハの滝からモリアーティ一教授を道連れに滝つぼに転落して、失踪するホームズの最後のシーンから、彼が再びワトソンの部屋にある椅子の二色の生地に同化して隠れ、突然に現れ、タイプライターの原稿の「the END」の後に「?」をこっそり悪戯に付け加えるシーンなどは、小説にはない脚色と演出で、私は思わずニッコリとしました。


最近、古典的な名作小説を映画化する作品が増えてきました。先日上映のアレクサンドル・デュマ原作の「三銃士」(ポール・W・S・アンダーソン監督。2011年) を見事にエンターティメントの3Dの冒険映画に脚色・演出した「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」がありました。バーチャルリアリティーの中で疑似体験できる映像は、小説にない新しいイマジネーションを掻き立てました。ギリシャ神話や旧約聖書の説話をそのまま映像の中で疑似体験できる映画を初め、古典的な名作を再び迫力ある映像で脚色演出するこの「シャーロック・ホームズ」は、映像の進化の1つのベクトルを示している気がしました。



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


推奨「僕達急行 A列車で行こう」★映画のMIKATA【8】森田芳光監督★映画をMITAKA…

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◆映画情報
上映時間 117分/劇場公開(東映)/初公開2012年3月24日/ 
オフィシャル・サイト
http://www.boku9.jp/

◆キャスト
監督: 森田芳光/プロデューサー: 白倉伸一郎。三沢和子。川田亮/ラインプロデューサー: 木次谷良助/脚本: 森田芳光/監督補: 杉山泰一/撮影: 沖村志宏/美術: 和田洋/衣装: 宮本まさ江/編集: 川島章正/音楽: 大島ミチル/音響効果: 伊藤進一/主題歌: RIP SLYME『RIDE ON』/スクリプター: 森永恭子/照明: 渡邊三雄/装飾: 湯澤幸夫/録音: 高野泰雄/助監督: 増田伸弥/キャスティングプ/プロデューサー: 杉野剛/
◆スタッフ
松山ケンイチ: 小町圭/瑛太:: 小玉健太/貫地谷しほり: 相馬あずさ/ピエール瀧: 筑紫雅也/村川絵梨: 日向みどり/星野知子: 日向いなほ/伊東ゆかり: 大空ふらの/ 菅原大吉: 谷川信二/三上市朗: 由布院文悟/松平千里: 大空あやめ/副島ジュン: アクティ/デイビット:矢野 ユーカリ/笹野高史: 小玉哲夫/伊武雅刀: 早登野庄一/ 西岡徳馬: 天城勇智/松坂慶子: 北斗みのり/
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3月下旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は5本でした。1本目の映画は、イギリス初の女性首相、マーガレット・サッチャーの幻聴と幻影に悩ませながらも、威厳と名誉を崩さない晩年を、私たちには『プラダを着た悪魔』でお馴染みのあの意地悪婆さん、メリル・ストリープが仕草も言葉使いも演説もソックリさんに演じる政治ドラマ「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」(フィリダ・ロイド  監督)です。2本目は「マリリン 7日間の恋」( サイモン・カーティス監督)です。率直に言って、私は退屈なのですっかり眠ってました。3本目は森田芳光監督の遺作となった「僕達急行 A列車で行こう」です。松山ケンイチ扮する不動産デベロッパーのサラリーマン・小町圭と、瑛太が扮するコダマ鉄工所の跡継ぎ息子・小玉健太が、無類の鉄道オタクを演する青春コメディーです。4本目は、今アメリカは大統領予備選挙の真っ最中で、デモクラシーと選挙の本場のアメリカで、お祭り騒ぎのような大統領選挙戦の、陰謀と策略の渦巻く政治の裏側を描いた政治ドラマをジョージ・クルーニーが演じる「スーパー・チューズデー」(ジョージ・クルーニー監督)です。5本目は、小畑友紀のベストセラー少女コミックスを映画化した青春ラブ・ストーリー「僕等がいた 前篇」(三木孝浩監督)。主演は北海道釧路の女子高校生の高橋七美を吉高が演じ、同級生の矢野元晴に生田斗真が演じる。互いに惹かれ合い、成長していく純愛をするドラマです。私は迷わずに森田芳光監督の『僕達急行 A列車で行こう』を選びました。軽い暇つぶし映画かなと思いましたが、意外と現代若者の断面を捉えています。

1本目の映画は、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」(フィリダ・ロイド 監督。脚本:アビ・モーガン )です。まず初めに、私は政治家の晩年、認知証になった元首相、しかも女性政治家の晩年は、映画にする価値があるだろうか…?と思いました。特に日本の政治家であったならば、恐らく日本の監督は製作できるかな…と思いました。私は、この一点だけでもフィリダ・ロイド 監督に拍手を送りたいです。次に、歴代総理大臣、例えば田中角栄の晩年は?、池田勇人の晩年は?、岸信介の晩年は?鳩山一郎の晩年は?吉田茂の晩年さえも、伝記風に描いた映画は、果たして映画的価値と魅力はあるだろうか…とも思いました。

認知症で夫の幻影と幻聴に苦しむ老いた元女性首相の老醜を、演劇演出も手がけたご存知「マンマミーヤ」でヒットを飛ばした女性監督、フィリダ・ロイドは、ガードマンやボディーガードを振り切って内緒でスーパーに買い物に行くサッチャー、小銭を財布から取り出して物価の値上がりに呪詛するサッチャー、夫との懐かしい出会いを回想するサッチャー、亡くなった夫のスーツを処分しようとしても捨てきれない愛着を示すサッチャーのディテールとルーチンを描く…。確かに政治の難局であった1982年のフォークランド紛争の決断も描かれていたが、どちらかと言うと老いてもお洒落に着飾ってディナーテーブルにつくサッチャーの姿であり、女らしい気遣いを夫に示す普段着のサッチャーを描くことに重点を置いてます。フィリダ・ロイド監督は、老いても尚、「女性」であり有り続けたサッチャーを映画に描きたかったのか…!伝記的な映画とはいえ、見応えがありました。

2本目の「マリリン 7日間の恋」( サイモン・カーティス監督)は、ローレンス・オリヴィエ(ケネス・ブラナー)が監督と主演を握る「王子と踊子」の映画撮影のために英国を訪れたマリリン・モンローと、その撮影現場に立ち会った助監督のコリン(エディ・レッドメイン)とのつかの間の恋のエピソードを映画にしたものです。確かにセックスシンボルのような豊満な肉体を露骨にスクリーンで曝すお色気女優でも、乙女のような羞恥心や淡い純愛を心の奥底に秘めているかもしれません。或はそんな恋や純な心に憧れるかもしれない。がしかし、その虚飾のセクシャルな肉体表現も、男を手玉に取る大胆なポーズも、世間の注目を自分の体ひとつで向けさせるセンセーショナルな言動もー、それら全てが彼女の意識的で策略的な演技でないとするならばー、彼女は大女優として今まで世界中にそのような名声を残さなかっただろう…。そこにマリリンの真の姿などをあれこれと忖度する価値など愚の骨頂ではないかと、私は思います。だから私は、特にマリリンにも映画にも感想はありません。

3本目は、「松山ケンイチ扮する不動産会社の小町と、瑛太が扮するコダマ鉄工所の息子二人が鉄道オタクを演する青春コメディー「僕達急行 A列車で行こう」(森田芳光監督)です。「あなたの趣味はなんですか…」と聞かれることがあります。履歴書などにも必ず「趣味」を書く欄があります。日本にもいろいろと変てこな≪オタク≫たちが居ます。明けても暮れても鉄道のことを、熱ぽく語る「鉄道マニア」は、それでも最近市民権を持ってきたが、その特異な趣味によっては依然変わり者扱いされかねないオタクもさまざまにあります。古くはオーソドックスな切手マニアやキーホルダーを集めるマニアがありましたが、「AKB48」を追いかけるアイドルファン、「スニーカー」に狂奔するマニア、ファンシーな文房具に目を輝かせるマニアなども、百人百様の「オタク」たちは、少しは一般的になりました。

ひとつの奇異な趣味やマニアも10年間ジッと続けると世間は認めるものですねー。そんなの儲からないよ…と揶揄される「虚業」も10年間ジッとコツコツ続ければ世の中が動いて社会に貢献できる利益のでる「実業」になるものです。

時代の最先端な「もの」は、郷愁と変わり、新しい世代の新しいものの出現によりやがて古くなり、古臭いものとして否定されます。新しいものは初め特異で異端な「もの」に見えて、マニアやオタクと嘲笑されますが、やがて「最先端」の「流行」となります。これが森田芳光監督の残したメッセージです。

ただ望みらくは、彼は中年の爛熟した愛を『失楽園』で見事に映画化しましたが、まだ若者の「性」を描いていないと思いました。余りに古典的な「恋と愛」過ぎてはいませんか?恐らく、園子温監督ならば下着泥棒マニアとか、アイドルの追いかけだとか、女装趣味とかーを登場させるだろうなと思いました。もはや、次作に期待したいとはいえないのが残念です。ご冥福をお祈りいたします。

4本目の「スーパー・チューズデー」(ジョージ・クルーニー監督)では、主役はどちらかというと大統領選の候補者・ジョージ・クルーニー扮するマイク・モリス知事というよりも、大統領選挙キャンペーンで選挙戦略を練るスティーヴン(ライアン・ゴズリング)のような気がします。スティーヴンは、敵陣営の選挙参謀からのヘッドハンティングに疑惑を持たれ、忠誠心の欠如を理由にも解雇宣告されていました。ある時、選挙スタッフの若い女性インターン(エバン・レイチェル・ウッド)とマイクとの間に起こった女性スキャンダルー、スタッフの自殺事件の隠匿をネタに選挙参謀のトップに躍り出る。言わば、スティーヴン主役の政治ドラマといってもいいです。今、アメリカは大統領予備選挙の真っ最中です。お祭り騒ぎのような大統領選挙戦の裏に渦巻く陰謀と策略の政治的駆け引きは、金で権力を買う薄汚く醜い「非デモクラシー」「非理想」で満ちた醜悪は、目の前の現実政治を見る思いです。

日本でも自民党が政権奪取にために仕掛けた情報戦略、マスコミ操作、世論大衆誘導、司法権への圧力…があるなと気付きます。政権交代の後のスキャンダラスな政治家の汚職裁判、偽情報による落とし穴、政治資金疑惑の偽装…、いろいろな醜聞が浮かんできます…。今年予想される日本政治でも、お金と権力欲が渦巻く選挙戦ー、数の論理だけが先行する国会、主権在民や市民の公僕を忘れたアジテーションだけの維新、関西勢力から吹く強権政治の風、衆議院選挙での熾烈な選挙運動がいよいよ始まるぞー。アメリカ以上の政治ドラマが期待できそうです。さて、日本政治の選挙参謀・スティーヴンは誰なのかな?と新しい好奇心が湧きます。アメリカでコミュニケーション論を勉強した世耕かな…???

5本目の「僕等がいた 前篇」(三木孝浩監督)は、いまどき珍しい一途な女の純愛と男同士の友情の青春ドラマだなと思いました。でも、七美をセックスへと誘惑する矢野が「お互いをもっと知るためにー」と口説くベッドシーンに、映画館内に「フゥー、キャー」という幽かな少女たちのため息が漏れていました。昔、お菓子のコマーシャルに「女って、リリックなのよーね」、「パロール…パロル…パロール…」というセリフがありましたが、女心は本当に言葉、コトバ、ことば、詞が女心の天地創造の初めにアリキで、言葉に反応し動くのですね・・・!

ただ、テレビドラマではないんだから、映画を前編後編に分けて上映するなー、私はパート1とパート2に分ける映画は大嫌いです。こんな姑息な上映方法で観客の気を引くなよーと言いたいです。でも、話題作を見逃しては拙いと思って一応見ました。見たものの率直な感想としては、こんな純愛ドラマをいまさら映画で長々と見たくなかったです…!テレビドラマで十分です。

それにしても、私は女高校生役の吉高のカワイコぶりっ子に、ついつい笑いをこらえられません。だって、彼女の「蛇にビアス」で演じた背中の刺青と大胆なヌードを思い浮かべてしまうし、矢野に扮する生田斗真とて、「源氏物語」で女を弄ぶ言わばブレーボーイを演じる彼を思い浮かべてしまいます。互いに惹かれ合い大人になっていく純愛ドラマには、ミスマッチでした。

 

特選映画「戦火の馬」★映画のMIKATA【9】S・スピルバーグ監督★映画をMITAKA…

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上映時間 146分/劇場公開(ディズニー)/初公開 2012年3月2日
オフィシャル・サイト     http://disney-studio.jp/movies/warhorse/

監督: スティーヴン・スピルバーグ/製作: スティーヴン・スピルバーグ/キャスリーン・ケネディ/製作総指揮: フランク・マーシャル/レヴェル・ゲスト 
原作: マイケル・モーパーゴ/脚本: リー・ホール。リチャード・カーティス/撮影: ヤヌス・カミンスキー/プロダクションデザイン: リック・カーター/衣装デザイン: ジョアンナ・ジョンストン/編集: マイケル・カーン/音楽: ジョン・ウィリアムズ/

ジェレミー・アーヴァイン: アルバート・ナラコット/エミリー・ワトソン: ローズ・ナラコット/デヴィッド・シューリス: ライオンズ/ピーター・ミュラン: テッド・ナラコット/ニエル・アレストリュプ: エミリーの祖父/トム・ヒドルストン: ニコルズ大尉/パトリック・ケネディ: ウェイバリー中尉/デヴィッド・クロス: ギュンター 
 
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漸く桜の満開の季節になりました。
3月の特選映画をアップロードします。これまで3月の推奨映画で紹介した9本の映画に追加する作品は、残念ながらありませんでした。映画館で観賞した映画は9本から、特選映画にスティーヴン・スピルバーグ監督の戦火の馬」を選びました。申し訳ないですが、特に付け加えるコメントもないので、ブログの掲載一覧の体裁でそのままの再掲載でお茶を濁します。

1本目の映画は、かずかずのスパイ映画のヒット脚本を書いているマイケル・ブラントが、ソビエトの伝説的なスパイ、通称「顔のないスパイ」」(マイケル・ブラント監督)を製作しました。

2本目は、第1次世界大戦中に軍馬に徴用され名馬「ジョーイ」と、その愛馬を友とする、アルバートと動物の心の交流を描いた戦争映画「戦火の馬」( スティーヴン・スピルバーグ監督)です。

3本目は、1930年代パリの駅舎を舞台に、孤児になったヒューゴが、父の遺した機械人形の秘密を求める「ヒューゴの不思議な発明」(マーティン・スコセッシ監督)です。

4本目は、お馴染みのアーサー・コナン・ドイルの探偵小説を映画化したもので、ロバート・ダウニー・Jrがシャーロック・ホームズを、ジュード・ロウがジョン・ワトソンに扮するシリーズ第2弾の「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」(ガイ・リッチー監督)です。

5本目の映画は、イギリス初の女性首相、マーガレット・サッチャーの幻聴と幻影に悩ませながらも、威厳と名誉を崩さない晩年を、私たちには『プラダを着た悪魔』でお馴染みのあの意地悪婆さん、メリル・ストリープが仕草も言葉使いも演説もソックリさんに演じる政治ドラマ「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」(フィリダ・ロイド  監督)です。

6本目は「マリリン 7日間の恋」( サイモン・カーティス監督)です。率直に言って、私は退屈なのですっかり眠ってました。

7本目は森田芳光監督の遺作となった「僕達急行A列車」です。松山ケンイチ扮する不動産デベロッパーのサラリーマン・小町圭と、瑛太が扮するコダマ鉄工所の跡継ぎ息子・小玉健太が、無類の鉄道オタクを演する青春コメディーです。

8本目は、今アメリカは大統領予備選挙の真っ最中で、デモクラシーと選挙の本場のアメリカで、お祭り騒ぎのような大統領選挙戦の、陰謀と策略の渦巻く政治の裏側を描いた政治ドラマをジョージ・クルーニーが演じる「スーパー・チューズデー」(ジョージ・クルーニー監督)です。

9本目は、小畑友紀のベストセラー少女コミックスを映画化した青春ラブ・ストーリー「僕等がいた 前篇」(三木孝浩監督)。主演は北海道釧路の女子高校生の高橋七美を吉高が演じ、同級生の矢野元晴に生田斗真が演じる。互いに惹かれ合い、成長していく純愛をするドラマです。3月の特選映画を「」に選びました。

4月特選「HOME 愛しの座敷わらし」★映画のMIKATA【10】監督★映画をMITAKA…

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愛しの座敷わらじ

■スタッフ監督: 和泉聖治/製作: 平城隆司。遠藤茂行。木下直哉。小林昭夫。水谷晴夫。山本晋也。町田智子。椎名康雄。岩本孝一。樋泉実。笹栗哲朗。宇留間和基。/プロデューサー: 遠藤英明。西平敦郎。栗生一馬。/エグゼクティブプロデューサー: 桑田潔/製作総指揮: 早河洋/アソシエイトプロデューサー: 岸本隆宏/ラインプロデューサー: 今村勝範/協力プロデューサー: 朝妻秀明/原作: 荻原浩『愛しの座敷わらし』(朝日文庫刊)/脚本: 金子成人/監督補: 東伸児/撮影: 会田正裕/美術: 近藤成之/編集: 只野信也/音楽: 池頼広/音楽プロデューサ/: 津島玄一/音響効果: 佐々木英世/スクリプター: 唐崎真理子/照明: 泉田聖/制作担当: 金井光則/装飾: 大庭信正/録音: 舛森強/助監督: 安養寺工/キャスティングプロデューサー: 福岡康裕/
■キャスト
水谷豊: 主人公の食品会社サラリーマンの高橋晃一/安田成美: 妻の高橋史子/橋本愛: 高橋梓美/濱田龍臣: 高橋智也/草笛光子: 高橋澄代
 飯島直子/草村礼子/佐々木すみ江/沢木ルカ/菅原大吉/長嶋一茂/高島礼子/ベンガル/梅沢富美男/石橋蓮司/岡部珠奈/段田安則/ 
■映画情報
上映時間 110分/劇場公開(東映)/初公開 2012年/4月/28日/
オフィシャル・サイト
http://www.warashi.jp
/
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 ゴールデンウィークの後半が始まりましたが、関東太平洋沿岸は大雨が続きます。皆さんはロングホリデーをどのようにお過ごしですか?  まだ海外でバカンスを楽しんでいる人、国内の高速道路の渋滞を漸く抜け出して、ほっと温泉の湯ぶねに手足を伸ばしている人ー、近くのバイキングレストランや食べ放題のお店でササヤカな贅沢と満腹感を楽しんでいる人ー、リストラ解雇と失業無職と再就職のために図書館で資格取得のためにひたすらお勉強をしている無職無銭の倦怠感に充ちた独身貧者がいるかもしれません…。そして私のように、恐ろしく過酷な雑踏に心身をすり減らすレジャーを避けて、近隣の静かな映画館の座席で話題映画を鑑賞していてる映画三昧の人もまたいるでしょう。
ゴールデンウィークを今、どう過ごしているかで、その人の人生の一コマの明暗が分かりそうです。「余暇」をどう生きるかーは、いまや「どう生きるか」に等しい大切な問題になりつつあります。

私は、28日から30日のゴールデンウィーク前半の月末に5本の映画を連日鑑賞して、まさしく映画三昧でした。何よりも、公開直後の「テルマエ・ロマエ」(武内英樹監督)が、超満員なのでびっくりしました。主役の阿部寛の人気なのかー、TVでくり返されるテレビ宣伝の効果なのかー。

 さて、4月の特選映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は 9本でした。

1本目の映画は、第84回アカデミー賞の作品賞、主演男優賞、監督賞など5部門を受賞したモノクロサイレントの映画、しかも、フランス人監督よる異色作品「アーティスト」(ミシェル・アザナヴィシウス監督)です。チャップリンのモノクロ無声映画を随所に髣髴させるシーンがあって、日本上映を待ちに待ってました。確かに、ハリウッドの映画製作は3D化など最先端の映像技術へ進化している昨今なので、逆に「アーティスト」のサイレントモノクロ映画は、とても衝撃的で斬新な映画に見えました。

2本目は、ハワイでの合同軍事演習中に謎のエイリアンの母船に遭遇して、アメリカ海軍と日本自衛艦などが地球存亡の危機を救うために地球侵略者と壮絶な海戦を展開するする「バトルシップ」( ピーター・バーグ監督)。これまで、数々のエイリアンの地球侵略映画がありましたが、単にエイリアンと闘うだけのストーリではなくて、ラブロマンスが挿入されていて、ちょっと見応えがありました。リタイア後に岸壁に鎖で繋がれた古い戦艦「ミズリー」が、退役した軍人たちの手で復活して、UFOに向けた巨砲を轟かす最後のシーンは、ワクワクしました。あれ戦艦って、大形ボイラーが原動力なのかな…と想像しました。

3本目は、矢野(生田斗真)と七美(吉高由里子)との純愛物語「僕達がいた」(三木孝浩監督)です。後編では、矢野が母の仕事の都合で北海道・釧路から東京に転校して、魅かれながらも遠くに離れ離れに去り、携帯で愛を確かめ合う二人の絆が突然、矢野の音信不通、消息不明によって恋の行方は脆くも壊れそうになるー。前編はいかにも少女向けで、やや甘くコミック色の強い純愛物語でしたが、後編はまともなラブストーリでした。見まいと固く決めてましたが、ととう見てしまいました。破綻しそうな恋がハッピーエンドに終ってよかったです。でも、男の心の成熟と独立は、肉親の「死」と女性との別離と離婚で始まり、仕事の成功で成就すると思っていた私です。一方、女心の成熟と成長って、恋の成就と出産だと思っていました。が、こんな七美の恋の軌跡と経験でいいのかなーと、やや納得できない結末でした。この映画には、不思議に、教養小説「ビルドゥンク・ロマン」のテーマ、人の成長と成熟が描かれていました。

4本目は、CIAエージェントのFDR(クリス・パイン)とタック(トム・ハーディ)の二人が、出会い系サイトで知りあったローレン(リース・ウィザースプーン)をめぐり、恋の争奪を繰り広げる三流の恋愛コメディー「ブラック&ホワイト」(監督)です。この映画のタイトル「Black & White/ブラック & ホワイト」の意味がよくわからなかったです。余り見る価値のない映画でした。

5本目は、父親を亡くした心の敏感な11歳の少女≪もも≫を主人公とするファンタジーアニメ「ももへの手紙」(安藤雅司監督)です。原則的にはアニメは見ない主義なのですが、このアニメはちょっと特別でした。東京から瀬戸内の母の故郷の島へ引っ越してくるももには、喧嘩して仲直りもせずに、突然に事故で亡くなった父からのたった一行の書きかけの手紙の言葉、「ももへ」とだけ書かれた手紙が遺(のこ)されていた。藤原道真によって妖気を封じられた妖怪たちが、父を懐かしむももの心の声を父の魂に届ける。ここにも都市空間に突然出現する「妖怪」が登場する。東日本の震災と津波の後、魂の再生のために日本人の精神構造に深く根ざしている「妖怪たち」が、都市空間に徘徊する映画が増えそうな気がします。

6本目は、エドガー・ライス・バローズの小説「火星のプリンセス」を映画化したディズニーのアドベンチャーファンタジー「ジョン・カーター」(アンドリュー・スタントン監督)です。 突然、1881年のニューヨークから時空間を飛越えて、主人公ジョン・カーターは火星「バルスーム」にワー゜して迷い込む。冒険とアドベンチャーとアクションとサイエンスフィクションとラブロマンス…の要素が荒唐無稽にチャンボンされた映画でした。観客を退屈させない娯楽映画なのですが、本来、ディズニー映画が持っていた弱き者たちへ手を差し延べる「優しさ」と、絶望して落胆しているものへも希望を灯す「慈愛」がないーと思いました。

7本目の「HOME 愛しの座敷わらし」(和泉聖治監督)は、食品会社の製品開発にいた父親の晃一(水谷豊)が、東京本社から岩手県盛岡の支社に左遷され、山奥の藁葺屋根の古民家に引っ越すことになった。高橋一家と、その古い田舎に棲み付いていた座敷わらしとの不思議なファンタジーに、「あー、日本アカデミー賞候補になりそうなー」秀作だなと思いました。水谷豊の演技は、刑事ものだけではありませんよーと、彼独特の優しくシナヤカな人間味と、信念のある深みのある演技にやや感動しました。

8本目は、古代ローマ帝国の浴場設計技師ルシウス(阿部寛)が、現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう、これもまた荒唐無稽なストーリの「テルマエ・ロマエ」(武内英樹監督)です。ヤマザキマリの人気コミックを映画化したものですが、元売れっ子のスタイリスト・阿部寛のファンには、彼の美しい筋肉質のヌードが堪能できて、こたえられない程の楽しい映画ですねー。でもどうして、こんな三流映画に観客が押し寄せるのかなーと不思議でした。

9本目は、小説家・井上靖が家族内の血縁関係を著した自伝的小説を映画化した「わが母の記」(原田眞人監督)です。主人公の小説家伊上洪作を役所広司が、小説家の母・八重母に樹木希林が、娘には宮崎あおいが扮する重厚な文学映画といってもいい作品でした。井上靖といえば私たちには、戦国時代小説の「風林火山」や「真田軍記」や「淀どの日記」、中国歴史小説でも」「敦煌」や「楼蘭」や「天平の甍」など、数々の作品が映画化されています。さらに、この「わが母の記」と同じ井上靖自身がモデルと成っている伊上洪作が登場する自伝的要素の強い小説には、「しろばんばんば」「北の海」などがあります。今何故、この作品をあえて映画化するのかなーという疑問もわきました。

  今回4月の特選映画には、
HOME 愛しの座敷わらし」(和泉聖治監督)を選びました。原作の荻原浩の小説は、以前にもハリウッドの渡辺::謙が若年性アルツハイマー役で主演した『明日の記憶』(堤幸彦監督。2006年公開)が映画化されました。私は原作を読み映画も見ましたが、「愛しの座敷わらし」も物語の骨格がちゃんとして見応えがありました。また、この映画の脚本家は、テレビドラマ、特に刑事ものや向田邦子のホームドラマや「鬼平」など時代劇の脚本も書いている国内屈指のベテラン脚本家の 金子成人の手によるものです。好い脚本に共通なのですが、背後にテーマの輪郭がハッキリしていて、+αプラスアルファで、茫漠としているが「透き通った迷宮」の問題へ思念を導いてくれます。勿論、映画化に際しては、監督の手腕に全てが掛かってます。和泉聖治監督は、テレビドラマの「相棒」シリーズの劇場映画版を製作して、見事に成功させた監督です。退屈させない娯楽性とストーリ性、ドラマの盛り上がり展開と起承転結のドラマ構成、俳優の個性と配役の演技をスクリーンに輝かせる演出力が巧みな監督です。

また、荻原浩の小説はいつも「今何が問題なのか…」の時代性を強く感じさせます。「明日の記憶」では、人間の「老い」や「生病老死」を強く感じました。今回の「HOME 愛しの座敷わらし」では、バラバラだったサラリーマン一家・高橋家の家族の絆が、東北地方の素朴な田舎の人情に触れて再生する、都市生活における崩壊した「家族」の再生というものを強く感じさせました。そして、そこに日本古来の妖怪「座敷童子」の存在が、私たちを茫漠として透き通った迷宮に誘い込みました。舞台は岩手県盛岡の山の中の、太い柱や梁ががっちり組まれている古い田舎屋-、日本人の心の深層を伝承する遠野物語の、見えないフォークロア的世界が映像のバックグラウンドに伏在しています。「座敷童子」のいる家には富と繁栄をもたらす福の神、「座敷童子」の去った家は衰退する悪戯好きの精霊と伝承されています。一家の盛衰を司る古来から残る日本の土着的、民俗学的な「精霊」です。でも、荻原浩の原作小説は、都市生活の「家族の絆」の再生に、こうした前近代的な、既に超克している心の深層に棘の様に刺さった神話的「妖怪変化」の力が必要とでも言うのだろうか・・・?

妖怪やオカルトや心霊スポットが、突然高層ビルの林立する都市空間に噴出する「神話的世界」は、現代人の心に何をもたらしているのだろうかー?私たち現代人は、未だにこんな未知で未解決で前近代的な問題を抱えています。これがこの映画が提示する「透明な迷宮」です。


5月特選「ポテチ」★映画のMIKATA【11】中村義洋監督★映画をMITAKA…

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■映画情報
上映時間 68分/公開劇場公開(ショウゲート)/公開 2012年5月12日/

オフィシャル・サイト
http://potechi-movie.jp/
■スタッフ
監督: 中村義洋/プロデューサー: 若林雄介/企画・プロデュース: 松本整。宇田川寧/原作: 伊坂幸太郎『ポテチ』(新潮文庫刊『フィッシュストーリー』所収)/
脚本: 中村義洋/撮影: 相馬大輔/美術: 尾関龍生/衣裳: 西留由起子/編集: 李英美/音楽: 斉藤和義/主題歌: 斉藤和義『今夜、リンゴの下で』/VFXスーパーバイザー: 大萩真司/ヘアメイク: 池田美里/照明: 佐藤浩太/整音: 石貝洋/録音: 小林圭一/助監督: 平林克理/ポストプロダクションプロデューサー: 篠田学/企画協力プロデューサー: 遠藤日登思
■キャスト
濱田岳= 今村忠司/木村文乃= 大西若葉/大森南朋= 黒澤/石田えり= 今村弓子/中林大樹/松岡茉優/阿部亮平/中村義洋/桜金造/


新しいパートの仕事に就いたので、映画を見る時間がまったくなくなりました。アップロードが遅れて申し訳ありませんでした。日曜日週一回という時間では、せいぜい2~3本が限度でしょうかー。映画館での新作中心のプログから、DVDを見て感想を掲載するような「マイ・フェバリット・シネマ」の名画紹介を混載するブログに変更する必要も検討していたところです。

実は、折角就いた仕事を再び昨日辞めました。水道の検針会社で水道料金の未納督促業務に就いたのですが、その実態は、市民あっての地方自治なのにを市民を斬り捨てる「政治」の惨憺たる実態を見ました。小泉政権によって推進された「民営化」の欠点が見えました。昨今、会社をリストラ解雇されー、会社が倒産してお金が無くなったー、子供を抱えてパートの主婦労働だけではお金の余裕がないー、失業していて依然無職で収入がないー。様々な理由で、水道料金を払えない、或は、健康保険の保険料が捻出できない人が増えています。水道は各自治体が管理していて、尚且つ浄水場などの社会資本は老朽化しています。政令都市でさえ財政難に苦しんで昨今、そこで、健康保険費の滞納者や水道料金の未納者に対して、」「国保」保険証没収とか水道の給水停止とかの厳しい措置を取っていますー。これは実態を知れば知るほど大変なことになったなーと痛感します。皆さんも是非一度、こんなライフラインを止めてしまう「政治」の実態を考えて欲しいです。

さて、
5月の特選映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は 9本でした。1本目の映画は、ジェイソン・ステイサムのアクションが炸裂する「キラーエリート」(ゲイリー・マッケンドリー監督)。2本目は、ジュリア・ロバーツが教師役を、トム・ハンクスがリストラスーパー店員役を務める「幸せの教室」( トム・ハンクス監督・脚本)。3本目は、ジョニー・デップとティム・バートン監督が今度はドラキュラ映画を製作した「ダークシャドウ」(ティムバートン監督)。4本目は、ハワイのカメハメハ大王の直系の子孫をジョージ・クルーニーが演じる「ファミリーツリー」(アレクサンダー・ペイン監督)。5本目は、小栗旬と岡田将生が主演になって宇宙飛行士役になる「宇宙兄弟」(森義隆監督)。6本目は、伊坂幸太郎の短編小説を映画化した「ポテチ」(中村義洋監督)。 7本目は、スティーヴン・スピルバーグの製作総指揮、ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズのコンビが復活した「メンインブラック3」(バリー・ソネンフェルド監督)は、8本目は、キャメロン・ディアスが女教師役で主する恋愛コメディーの「バッドティーチャー」(ジェイク・カスダン 監督)。9本目は、奥田英朗の小説を映画化、香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏など美女女優たちが演じている「ガール」(深川栄洋監督)。 今月は小粒だがピリリと辛い邦画が二本ありましたが、その中で特選映画に「ポテチ」を選びました。 
 
1本目の「キラーエリート」の主役・ジェイソン・ステイサムといえば、「トランスポーター」シリーズの華麗でど派手のアクションにはいつも、映画ならではの醍醐味を堪能させてくれます。近作の「アドレナリン」(2006年)、「ブリッツ」 (2011年)「メカニック」 (2011)を見た映画ファンならば、いつもながらの飽きさせない彼のアクションに感嘆します。が、しかし、次第次第にステイサムのアクション映画がワンパターンで、以前に見たシネマと区別がつかなくなる程、類似しているように見えてくるのもまたいがめません。これは「007」シリーズの共産圏の悪者スパイや、時代劇の「水戸黄門」の印籠と同じ単調さなのかもしれません…。ストーリは、拘禁された暗殺の相棒・ハンター(ロバート・デ・ニーロ)を助けるために、アラブのオマーン首長の息子を殺した英国特殊部隊SASの元隊員に復讐するいつもながらの鬼気迫る迫力のアクションですー。

トム・ハンクスの映画の役柄といえば、代表作「フォレスト・ガンプ/一期一会」 (1994年) や、「ターミナル」 (2004年)、「グリーンマイル」 (1999年)に象徴されるように、私には常に≪弱きもの≫≪少数者≫を演じ続けてきたように思えます。2本目の「幸福せの教室」でも、スーパーを解雇され、妻と離婚された孤独な中年失業者・ラリークラウンを演じています。しかも監督、脚本も務めています。私は、アメリカ社会で片隅に置かれた≪弱きもの≫≪少数者≫を演じる彼に拍手したいです。邦画で言えば、山田洋次監督の「フーテンの寅さん」を演じた渥美清だろうかなー。

これまでの映画史で吸血鬼・ドラキラを演出した作品は数々有ります。その中でも取分け近作≪トワイライトサーガ≫シリーズ「ブレイキングドーン」は、ドラキュラやヴァンパイアといえばホラー映画なのだが、その既成概念を見事に覆した美男美女の若者二人の特異なラブストーリの設定でした。そして、ジョニー・デップとティム・バートン監督のコンビもまた同様に、これまでのホラー映画の既成のオドロオドロシイ吸血鬼・ドラキュラ・ヴァンパイア映画を覆し、魔女によってヴァンパイアにされ200年もの間生き埋めにされていた男と、威厳と誇りと資産を失った子孫たちを主人公にしました。前作の「アリスインワンダーランド」(2010年)は失敗作でしたが、3本目の「ダークシャドウ」は、ややコメディーで幻想的なホラー映画で、楽しく鑑賞できました。

ハワイ・オアフ島の土地不動産専門の弁護士・マット・キング(ジョージ・クルーニー)は、カメハメハ大王の直系の子孫にしては、ハワイ原住民の血を一滴も感じさせない西洋人なのでやや違和感を受けました。4本目の「ファミリーツリー」は、一方で、妻のエリザベスがボート事故に遭遇して、植物人間状態で病院のベッドで死を待っている。妻は同じ不動産業者の妻子ある男と不倫していたようだ。他方で、カウアイ島にある先祖代々の広大な自然を受け継き、管理している土地を売却するかどうかという問題を抱えていた。本来、安らぎと慰安の美しいハワイの海と自然も、温かく心を包むいき甲斐の家族団らんも、マッドの身を苦しめる矛盾の板ばさみに置いた。最後のシーンでマットは、二人の娘と共に家族と自然を守ろうとするストーリで結ばれる。ハワイを舞台とするこの映画は、ある意味で、自然と家族を至高の価値と看做している顛末は、ハリウッド映画にしては珍しいなーと思いました。しかし、ハワイの海と自然を愛し、リゾート地としてハワイのロッジやホテルに宿泊する日本人も増えています昨今、見方によっては、この映画の背景に、観光地とリゾート地として乱開発され、ハワイの海と自然の破壊が起こっているーという深刻な事態があるのだろうかー。

5本目の「宇宙兄弟」は、週刊「モーニング」で連載中の小山宙哉のコミックが原作のようです。いつもながら恥ずかしいのですが、私はマンガ・コミックを一切読みませんので、原作の存在を初めて知りました。つい先日も、アメリカの民間企業が、宇宙飛行を格安で提供するニュースが流れていました。既に巨額を投資しなければ宇宙ロケットを打ち上げられないアメリカは、スペースシャトルの打ち上げを中止し、宇宙ステーションへの輸送を民間会社に委託する、さらに有人輸送までも民間に委託するNASAの方向転換が活発に報道されている。民間企業の商業通信衛星の発射から、宇宙旅行や、小惑星の鉱物資源探索や新薬品開発等々、宇宙空間を商業利益の追求にする目論見は果てしなく広がっています。「コスモス」は人類にとっては、究極の神秘の世界と存在であった。「宇宙兄弟」のストーリは、子ども時代にUFOを偶然見たムッタとヒビトの兄弟は、将来、宇宙飛行士になることを誓い合う。そして2025年、弟のヒビト(岡田将生)は、夢を現実に摑み、NASAの宇宙飛行士となる。兄ムッタ(小栗旬)は、自動車車体のデザイン開発の会社を解雇され、失業していた。弟は月面のクレータに落下して危機一髪の事故に遭遇する。兄はJAXAの宇宙船搭乗員募集に応募して、適正試験を受けていたー。その兄弟が最後に共に宇宙飛行士としてNASAのロケットに乗り込む。こんな映画が製作されるとは、既に「月」への宇宙飛行から「火星」旅行プランへと関心が移っている現実の科学技術の飛躍を垣間見ました。それにしても、昔、「ホリエモン」が宇宙事業に関心を持っているとーと話している姿に、何を大風呂敷を広けるんだーと思っていましたが、まんざら夢物語でもなくなったな…。

5月の特選映画に「ポテチ」を選びました。原作小説は伊坂幸太郎の「フィッシュストーリー」に収録された短編小説ー、主演の濱田岳ー、「ゴールデンスランバー」 (2009年) 、「フィッシュストーリー」 (2009年)、「アヒルと鴨のコインロッカー」( 2006年)と、伊坂と4作目の共同制作とも言っていい中村義洋監督が映画化しているー。主題曲主題歌が斉藤和義ー。山椒は小粒でもピリリと辛い邦画でした。ちょっと間の抜けた空き巣狙いのこそ泥の若者・今村(濱田岳)と、たまたま侵入した結婚詐欺師に騙され弄ばれた女が掛けてきた自殺予告の受話器を取って以来、相棒のように恋人のようにいつも一緒に居る若葉(木村文乃)と、今村の空き巣狙いの師匠であるプロのこそ泥・黒澤(大森南朋)と、生年月日がピッタリ同じの地元のプロ野球選手(阿部亮平)が絡んで、ストーリは軽妙洒脱な笑いを作り出している。濱田岳のかん高い声とちょっと味のある惚けておっちょこちょいの演技が冴えている映画でした。「アンフェア the answer」(2011年)で見せたどこかとらえどころのない闇を抱えた猟奇犯罪者の大森の演技に注目していたが、最近よく見かけるようになりましたねー。特に大きな時代性や人間社会に関る重要なテーマを孕んだ映画でもなく、映像表現や映像技法のために、製作費用に莫大なお金を使っている壮大なスクリーンでもないが、 スクリーンの幕が降りた時に、えもいわれぬ余韻の残る映画でした。

7本目の「メンインブラック」は、姿を人間として変身させて地球で暮らすエイリアンたちが悪さをしないように常に監視する秘密組織MIB所属のエージェントJ(ウィル・スミス)とK(トミー・リー・ジョーンズ)のコンビが、いつもながら人類と地球に不穏な動きをするエイリアンとクールに戦い、何事もなかったかのようにエイリアンを後始末をする奮闘が、この『メン・イン・ブラック』の第3弾でも爆笑を誘っています。大法螺吹きの大間抜けの荒唐無稽なコメディーがこの「MIB」の真骨頂です。ゲラゲラ笑えば、それ以上もそれ以下でもないー、それで十分な映画です。

8本目の「バッドティーチャー」は、キャメロン・ディアス主演の恋愛コメディーです。同僚教師のスコット(ジャスティン・ティンバーレイク)が大企業の御曹司だと知り、玉の輿に乗ることに闘志を燃やす女教師エリザベス(キャメロン・ディアス)の、ハチャメチャドタバタ恋愛コメディーです。最後に、金持ちの二枚目のスコットではなくて、彼女に求愛を続けていた体操教師の「愛」に気付いた結末は、何か微笑ましかったです・・・。

9本目の「ガール」は、女による女のための女たちの「映画」といって過言ではないです。いまどきの日本の「女」の群像をスライスして、女の意識の標本を映像化しているのかなーと、興味津々に見ました。出演者は、大手広告代理店でデパートの女性ファッションの宣伝企画を担当指定する29歳独身の滝川由紀子(香里奈)。その恋人役のがさつな森本蒼太(向井理)は、造船会社のエンジュニアー。大学時代以来の友達で、由紀子のよき理解者であったー。大手不動産デベロッパーでキャリアウーマンとして男たちを部下に従えてバリバリと仕事をする武田聖子(麻生久美子)。いわば彼女の収入に寄生している夫が 武田博樹(上地雄輔)。社内で上役の女課長聖子と対立する営業マンに今井哲夫(要潤)。30歳を前に仕事と結婚に焦り始めていたー。文具メーカー勤務の小坂容子(吉瀬美智子)は、新入社員の新人研修をしている内に、一回り年下の青年・和田慎太郎( 林遣都)に微妙に心ときめき始めたー。夫のたった一回の浮気を理由に離婚したシングルマザーの平井孝子(板谷由夏)も同じように、子育てと仕事と:結婚に悩んでいた。四人が知り合うきっかけは「ソフトヨガ教室」で、今現在は「パン作り教室」に通っています。麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏の美女四人の女優たちが共演しています。それだけでも、目の保養なのかな…。特に、吉瀬美智子は「死刑台のエレベーター」(2010年)以来-注目していた女優だが、結婚出産した「小雪」の代わりに最近、松下電気の白物家電のコマーシャルに出演しているが、爽やかで透明感のある彼女の存在は目立っていました。

ここに現代日本女性たちの意識の実態が表現され反映しているのだろうかー。私は、「否」という印象を持ちました。例えば、ハリウッド映画の「セックス&ザ・シティー」や、キャメロン・ディアスの「バッドティーチャー」の女たちは、もっと自由に仕事に就き、金を稼ぎー、もっと「女」の性を大らかに開放し、人生の余暇を楽しみ、男の肉体と心と交わり遊んでいますよね…。日本の女性たちが、この映画のように、男と恋愛と結婚と仕事と家庭に、こんなにも悩んでいるばかりでは、つまらないや・・・!日本の女たちの21世紀の≪性と心の自由開放曲線≫は、ここで終わりなのかー、暗澹としました。

 

★My Favarite Cinema「スタンド・バイ・ミ」【12】  ロブ・ライナー 監督★

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6月の≪My  Favarite Cinema≫をアップロードします。新しい映画紹介の企画として特選映画の中に、≪My  Favarite Cinema≫というコーナを作りました。DVDで観賞した私の好きなマイベスト映画の第一弾は、スティーブン・キング原作の名画「スタンドバイミ(Stand by Me)」( ロブ・ライナー 監督) です。原題は、彼の短編集『恐怖の四季』の中に収められた一編「THE BODY死体」です。

あいま合い間に、連続してS・キングの映画を取り上げる予定でいます。ベスト5ぐらいは掲載できるでしょうかー。

子供は否応なしにやがて大人になり、時代は変わり「夢」は破れ子供の頃の記憶だけが懐かしく残る大人が大半でしょうー。或は、親からバカにされ揶揄された性格や癖や趣味や遊びや執着心や希望が、小さな才能となって「夢」の職業になった大人も居るでしょうー。大人はやがて自分の子ども時代を回想するきっかけともなる、自分の「利己的遺伝子」DNAを受継ぐ子供を持ち、そして、子供は親の死を看取り、子供はやがて大人になるー。こう考えると、人間の「ひと世」も少年から大人になる永遠回帰の神話のようです。少年時代には懐かしい思い出と記憶の間に、少年であることよって大人たちから不条理な軋轢と屈辱の忌まわしい記憶も埋まっていますー。1人の「男」の生と死の間には、少年時代特有の多くの冒険と体験があり、その地域と文化特有の背景を持ったさまざまな後悔と事件があり、何よりも少年時代という永遠不滅の心の揺籃期特有の屈辱と欲望に充ちた、他愛無く小さく些細な「少年の世界」がありますー。しかし、全ての大人は、それを生涯iにわたる根深いトラウマとし、教養も知識も地位も権力も全て捨てた後にも燦然と残る「誇り」とし、死ぬまでバラの棘のように深層心理に疼き、生き方を左右する原型となるのではないのだろうかー。

作家のゴードン・ラチャンスはトラックの中で、オレゴン州の小さな街キャッスルロックの少年期の親友だった弁護士・クリストファー・チェンパーズが刺殺されるーという新聞記事に目を留める。そして、12歳のころに味わった懐かしくも恐怖に満ちたひと夏の冒険と体験を突然回想する。

作詞作曲のベン・E・キングが歌う主題歌は、今でもメロディーが心地よく耳に響き、リフレインされる歌声が懐かしく記憶によみがえります。是非一度、主題曲を聴きながらお読み下さい。
When the night has come / And the land is dark / And the moon is the only light we see /
No, I won't be afraid /  Oh, I won't be afraid /  Just as long as you stand / stand by me,/  So, darling darling /  Stand by me / Oh stand by me /  Oh stand / Stand by me / Stand by me /
Darling darling /Stand by me/Oh stand by me / Oh stand now / Stand by me / Stand by me /…

キャッスルロックの近所の悪ガキ達4人で、森の奥で列車に轢かれ行方不明になった少年の死体を発見すれば一躍街の有名人になれる…と、食料と毛布と拳銃と背伸びした「勇気」を持って線路づたいをてくてく歩く、肝試しの「旅」に出る。少年4人は、兄を交通事故で亡くした主人公の「ゴーディ」と、アル中の父と不良の兄がいる貧しい家庭の、後に弁護士になった「クリス」と、ノルマンディー上陸で軍人として勇敢に戦った父を誇りにしているが、精神を病んでいる父を持つテディと、デブでのろまで臆病なテシオー。結局、少年の頃の「夢」を大人になつて実現したのは、作家になった空想好きで物語り好きのゴードン・ラチャンスと、智恵があり正義感旺盛なガキ大将だった、弁護士のクリストファー・チェンパーズだけであったー。

フランス人にとってルソーは、少年時代を開放したが、アメリカ人にとっての「ハックスベリーフィンの冒険」や「トム・ソーヤーの冒険」は、少年だけしか味わえない少年の世界を描いてくれました。マーク・トウェインにとってはミシシッピー川流域でしたが、「スタンドバイミー」では、少年たちの遊び場と未知の世界に通じる「道」は、鉄道でした。ここに「少年時代の原風景」があると同時に、少年自体にもアメリカという「時代性」があったということを教えている。
こうした少年の世界の描き方に、S・キングがアメリカ人の教養小説であるマーク・トウェインの影響を受けているだろうー。さらに、彼が最愛の妻に様々な少年時代のエピソードや、昔、母に語り聞かせたと同じ様に、その目の輝きにそわそわうきうきして話したのだろうー。

漆黒の森の夜に心細く、長い夜の暇を持て余した時に、少年達がたき火を囲んで、ゴーディに得意な何か面白い架空な物語を聞かせてくれと頼み、彼は奇抜な空想を織り込んだ「パンくい競争」の滑稽な物語を話す。彼は『小説作法』(アーティストハウス刊)で、作者はひたすらただ一人を思って書く…作者を自分の殻から誘い出し、読者の目で進行中の作品を見返す手伝いをしてくれる理想の読者をIR「Ideal reader」と想定しています。S・キングは学生友達から妻となり、彼を支えるよきパートナの「タビー」を指しているようです。恰も、彼は自分の少年時代を妻にかたり聞かせるようにこの作品を書いたのだろうー。

子ども時代は、映画の永遠不滅のテーマでもあります。あなたは、≪少年時代≫の名作にどんな作品を推挙しますか…? 私は、「スタンドバイミー」をその代表作だと思います。

6月推奨「ミッドナイトインパリ」★映画のMIKATA【13】ウ・アレン監督★映画をMITAKA

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◆映画情報
上映時間 94分/劇場公開(ロングライド)/初公開 2012年/5月/26日/
オフィシャル・サイト
http://midnightinparis.jp/
◆スタッフ
監督: ウディ・アレン/製作: レッティ・アロンソン/スティーヴン・テネンバウム/ジャウマ・ロウレス/共同製作: ヘレン・ロビン。 ラファエル・ベノリエル/製作総指揮: ハビエル・メンデス/脚本: ウディ・アレン/ 
撮影: ダリウス・コンジ/プロダクションデザイン: アン・シーベル/
衣装デザイン: ソニア・グランデ/編集: アリサ・レプセルター/キャスティング: ジュリエット・テイラー/ パトリシア・ディチェルト/ステファン・フォンキノス/ 
◆キャスト
 キャシー・ベイツ* ガートルード・スタイン/ エイドリアン・ブロディ* サルバドール・ダリ/ カーラ・ブルーニ *美術館ガイド/マリオン・コティヤール *アドリアナ/レイチェル・マクアダムス *イネズ/マイケル・シーン *ポール/オーウェン・ウィルソン *ギル/ニーナ・アリアンダ *キャロル/


6月上旬の推奨映画をアップロードします。今の所、映画館で観賞した映画は8本でした。1本目の映画は、特殊能力を持った変てこな国家転覆を目論む凶悪なテロリスト集団に立ち向う、これもまた奇妙奇天烈な超能力捜査官の2人、当麻紗綾(戸田恵梨香)と瀬文焚流(加瀬亮)が活躍するテレビドラマの劇場版「SPEC 天」(堤幸彦 監督)です。2本目は二流のハリウッド脚本家ギルが、第一次大戦前夜の1920年代のパリにタイムスリップする幻想的映画で、爛熟した文化の香気と、サロンの雰囲気を味わえる「ミッドナイトインパリ」(ウディ・アレン 監督)です。3本目は、あのヴァンパイアと狼男がハイスクールの美女に恋する「トワイライト」シリーズで、狼族の筋肉隆々の青年ジェイコブを演じたテイラー・ロートナーが主役で登場する「ミッシングID」(ジョン・シングルトン監督)です。4本目は、たまたま愛を語り合っていた雪降る路上で追突事故に遭遇ー。結婚指輪をはめた婚約者は恋人との記憶を失ってしままベットの上で意識を取り戻すー。そこから「君への誓い」(マイケル・スーシー監督)は始まる。5本目は、NHKテレビドラマの劇場版「外事警察」(堀切園健太郎監督)です。6本目は、仕事と妻を失い意気消沈しているLAの新聞社に勤めていた突撃ルポライターのベンジャミン役に太って老いた主人公のマット・デイモンが演じる幸せへのキセキ」(キャメロン・クロウ監督)。 7本目の「シグナル・月曜日のルカ」(谷口正晃監督)は、古い映画館から3年間一歩も出ずにいる美少女のミステリアスな映写技師に新人女優の三根梓が起用されている。彼女とストーカ役の高良健吾とアルバイトの大学生役の西島隆弘が絡んだ青春ラブストーリです。8本目は、ホタル役の綾瀬はるかが「部長、ブチョー」と夫の高野(藤木直人)を呼ぶカワユイセリフがなんとも言えない。イタリアロケいっぱいの観光映画のような「ホタルノヒカリ」(吉野洋監督)。6月の推奨映画にミッドナイトインパリを選びました。

 1本目の「SPEC 天」の当麻紗綾(戸田恵梨香)と瀬文焚流(加瀬亮)の超能力捜査官が「悪人」と闘うストーリ設定です。もともと漫画が原作なので、余りにストーリが荒唐無稽でマンガチックと非難してもしかたないのだろうがー、映画館で見る価値のない作品でした…! ハリウッドの超能力の主人公の系譜は、思い出してみても数々様々に登場しています。スーパーマンやスパイダーマンやバットマンやアイアンマンやバイオハザードや✕-MENのミュータントー…とバラエティーに富んでいますが、この「超能力」映画の想像と創作の源泉はなんなんでしょうか?内にある物は外に在り、外にある物は内にあるー。現代人の心の中に「超能力」を誕生させる人類的な「欠乏感」に満ち満ちているのだろうか?そこには、例えばスティーブンキングの「グリーンマイル」の黒人死刑囚のコーフィのように苦痛と痛みでもがき苦しみ、生きる悦びと希望を消滅させ、命を蝕む病気を癒すような神の存在のような「超能力」の主人公は登場しなくなった。もはや「病」は、紙の癒しをj待つのではなくて、医学と医薬とサイエンスの「救済」を待つ苦しみとなったということなのかな…?「癌」の苦しみは、恐らく医学と医薬とサイエンスが解決する問題となったのかなー。

 私は、「SPEC」のテレビドラマスペシャル版も見たが、率直に言って近頃、テレビはクイズ番組とお笑い芸人のどんちゃん騒ぎと「食べ物」の娯楽中心でつまらないー、たまたまテレビドラマが放映されて、「高」視聴率を取る人気だと直に映画化されるー。映画化の要望がなくても、、儲かれば「劇場版」が製作されてしまう。こんなの、えーという映画が多いですねー。「こち亀」に代表される人気マンガの映画化され、「外事警察」が代弁するシリアルでよく出来たテレビドラマが映画化されるー。まあ織田祐二主演の「踊る大捜査線」シリーズや水谷豊主演の「相棒」シリーズまではいいですが、その後、続々と劇場版がシリーズ化されてますー。「テレビでヒットしたんだから、映画でも稼げるぜー。配役、セット、音楽、脚本、ストーリ、監督ー、全て横流しで節約できるー。」こんなテレビ関係者の声が聞こえてきそうです。私は、こんなイージーな利益追求のためのテレビドラマの映画化に不満一杯です…! 止めてくれ、安易な映画化、二番煎じの二匹目のドジョウの劇場化をー。

 2本目の「ミッドナイトインパリ」は、第84回アカデミー賞作品賞にノミネートされ、脚本賞を獲得した映画ですが、日本上映が遅かったー。スピルバーグ監督「戦火の馬」や、マーティン・スコセッシ監督「ヒューゴの不思議な発明」などの話題作が多かったので、地味な映画で話題作として余り注目されなかったのも一因。オスカー作品賞を獲得したジャン・デュジャルダンの「アーティスト」も更にもっと地味でしたがねー。今頃やっと鑑賞できましたが、評判どおりに素晴らしかったです。
 夜の酒場を飲み歩き、夜な夜な文人達が屯するサロンに迷い込む。そこで、文化と芸術を語り合い談笑する「失われた世代」のヘミングウェイ、フィッツジェラルド夫妻、ガートルード・スタイン、ドガ、マティス、ピカソ、ダリ、ゴーギャン、ブニュエルなどの煌びやかな作家達と多彩な画家や文化人たちに出会うー。爛熟したフランスのワインと芳醇な文化を楽しめる1本です。
 ストーリは、そこそこ仕事のあるハリウッド映画の脚本家のギルは、婚約者イネズと共に旅先のパリのホテルに宿泊する。作家への転身を望む彼は、処女小説原稿も携え、パリに移住して小説に専念したいと夢見ていたー。そんなギルが、酩酊故の夢見心地で、現実のパリから1920年代のパリに時間を飛び越えた街角に迷い込む。
第1夜でギルは、ワインの試飲会に参加した後、ほろ酔いで真夜中のパリをぶらついていたところ、ホテルへの帰道に迷ってモンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ通りの広場で逡巡していた。そこに黄色いクラッシックカーのプジョーが走って来るー。誘われるままに乗り込んだ彼は、古めかしい社交クラブの、モンパルナスのカフェ「ラ・ロトンド」かもしれないパーティに参加する。 そこにはなんと、フィッツジェラルド、そばでピアノ弾を轢いているのがコール・ポーター、パーティのホスト役はジャン・コクトー、ヘミングウェイにも紹介される…。ギルは、1920年代のパリのサロンの中の夢か幻なのか、驚き興奮し酔いしれるー。第2夜では、あの華やかな夜が夢幻なのかどうか確めようと、 再び昨夜のモンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ通りに佇んでいた。そして再び現れたプジョーに乗り、ヘミングウェイの案内でルリュース通り27番にあるガートルード・スタイン女史のサロンに招かれる。そこには、ドガ、マティス、ピカソ、ダリ、ゴーギャンなどの多彩な画家たちが屯していた。第3夜にもまたー。冒頭写真の女史がガートルード・スタインで、S・キングの映画「ミザリー」で倒錯したファン心理を好演したキャシーベイツです。

 3本目の狼族の青年ジェイコブ役のテイラー・ロートナーが、この映画「ミッシングID」(ジョン・シングルトン監督)の主役・高校生ネイサンで再び登場する。意外や意外で、子供のときより空手の修行をしている武道家ー、12歳の時にはジュニア世界選手権に出場する腕前です。学校の課題レポートを書くためにネットで、幼馴染でほのかに恋している近所の同級生・カレン(フィル・コリンズの実娘で女優のリリー・コリンズ)と一緒に調べていたところ、幼いころに誘拐されたのではないかという疑いを抱く。その幼児誘拐のサイトの真相を追い掛けるうちに国家規模の陰謀に命を狙われる。疑惑に包まれたまま「父」から教えられた破壊的な格闘技が「敵」の包囲を破るー、サンテイラー・ロートナーのアクションが素晴らしかったです。

 4本目は、たまたま愛を語り合っていた雪降る路上で大型トレーラーに追突され、結婚指輪をはめた婚約者は記憶を失って、病院のベッドの中で意識を取り戻すー、そこから「君への誓い」(マイケル・スーシー監督)は始まる。実在するある夫婦のエピソードがベースになっているようですーが、ハリウッドはラブストーリ過多だね。

5本目はNHKテレビドラマの劇場版の「外事警察」(堀切園健太郎監督)。既に核兵器保有国はアメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮の8か国がる国際社会で、核技術や核兵器が盗まれた、輸出された、売買されたーという事件や問題が何時あっても可笑しくない時代です。東日本大震災で政治の混乱が続く社会背景で、国内大学の原子力研究機関から警備の緩んだすきを狙って原子爆弾の起爆装置の設計設計データが盗まれるー。日本と朝鮮半島が絡んだ事件なので対国際テロ捜査に奔走する日本警視庁のCIA「警視庁公安部外事課」の住本(渡部篤郎)が探索と、原爆奪回に動き出す。バックのオーケストラの音楽がシーンを演出していて素晴らしいー、銃撃シーンのある韓国ロケも経費が掛かっているー、重厚感のある渡部篤郎の渋い演技も迫真に迫っているー、カメラ撮影はドラマを盛り上げているー、でも、暗いスクリーンが作品全体を暗くしていて、まるで凶悪な犯罪捜査のニュースを見ているようで、何か映画そのものが平板で面白くない…というのが率直な感想です。

6本目は、心機一転、14歳の息子と7歳になる娘のために新しい環境と土地と家を求めていた男が、閉鎖した動物園付きの家を買う「幸せへのキセキ」は、心温まるアットホームなドラマでした。、

7本目の「シグナル・月曜日のルカ」(谷口正晃監督)は、若く謎に満ちた映写技師役の新人女優・三根梓の、なんとも神秘を湛えたミステリアスな雰囲気がいいですねー。谷口正晃監督の演出が悪いのかー、脚本家(小林弘利 、鴨義信)の脚色が下手なのかー、原作は読んでませんが小説家・関口 尚のストーリ展開がつまらないのかー、あえて褒めれば 新人女優・三根梓のオーラのようなミステリアスな素顔です。

 8本目は、綾瀬はるか主演の「部チョー」と夫を呼ぶかわゆいセリフがなんとも言えない魅力の「ホタルノヒカリ」(吉野洋監督)です。綾瀬フゥァンの一人なので、余り悪口雑言は言いたくないが、一言、キスのシーンがギコチなく下手でした。清純派のハリウッド女優を見習ってください。「清純」であることも、ひとつの演技であり、女優のポーズです。それにしても、最近の堀北真希のキスもベッドシーンも巧いのは、余程女優修行をしていそうですよー。でも、全裸の沢尻エリカの「ヘルタースケルター」のように濃厚なキスシーンで、ベッドシーンが迫真の演技で艶めかしいのも綾瀬はるからしくないよなー。 

6月推奨「ワン・デイ」★映画のMIKATA【14】ルネ・シェルフィグ監督★映画をMITAK

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スタッフ
監督: ロネ・シェルフィグ/製作: ニーナ・ジェイコブソン/製作総指揮: テッサ・ロス/原作: デヴィッド・ニコルズ『ワン・デイ』(ハヤカワ文庫刊)/脚本: デヴィッド・ニコルズ/撮影: ブノワ・ドゥローム/プロダクションデザイン: マーク・ティルデスリー/衣装デザイン: オディール・ディックス=ミロー/編集: バーニー・ピリング/音楽: レイチェル・ポートマン/音楽監修: カレン・エリオット/主題歌: エルヴィス・コステロ/
キャスト
 アン・ハサウェイ: エマ/ジム・スタージェス: デクスター/パトリシア・クラークソン: アリソン/ケン・ストット: スティーヴン/ロモーラ・ガライ: シルヴィ/レイフ・スポール: イアン/
シネマ情報
上映時間 107分/劇場公開(アスミック・エース)/2012年6月23日初公開/
オフィシャル・サイト
http://oneday.asmik-ace.co.jp/

 6月下旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は8本でした。1本目の映画は、オーケストラチェリストの愛妻が夜の街路でレイプされた高校教師が、病院でレイプ常習犯へ≪復讐≫を代行する秘密組織から協力を囁かれ、復讐を遂げた後に、その代償の共犯を強要される「 ハングリー・ラビット」(ジャニュアリー・ジョーンズ監督)です。2本目は、イラク戦争を舞台とする神経症になった帰還兵の歪曲したラブストーリで、私の嫌いな戦争映画「一枚のめぐり逢い」( スコット・ヒックス監督)です。3本目は、19世紀のドイツのグリム童話「白雪姫」を現代的解釈でリメイクした映画「スノーホワイト」( ルパート・サンダース監督)です。4本目は、1980年代にリリースされた人気アニメのリバイバル劇場版で、明らかに熟年男子たち、団塊の世代を狙った昔懐かしいアニメ映画「ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略」(窪岡俊之監督)です。パート1を見た後に、「もう見ないー」と決めたのですが、再び観てしまいました。5本目は、巨大なサメに襲われ左腕を食い地切られた、ハワイの海が大好きな13歳の少女サーファー・ベサニーが、再び立ち直る葛藤と苦闘を描いた「ソウルサーファー」(ショーン・マクナマラ監督)です。6本目は、ある日高校生のピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)は、失踪した父の仲間だった遺伝子研究のオウソリティー・生物学者カート・コナーズ博士(リース・イーヴァンズ)のいるオズコープ社を訪ねる。が、そこで遺伝子操作実験中の蜘蛛に噛まれてしまう。その日以来、ピーターの身体内で異種の蜘蛛遺伝子が移植され、人間でありながら蜘蛛の糸を吐き出すスパイダーマンへ異変する、シリーズ第3作目の「アメイジング・スパイダーマン」(マーク・ウェブ監督)。 7本目は、アメリカ海軍特殊部隊「NAVY SEALS」が活躍する「ネイビーシールズ」(スコット・ウォー 。マイク”マウス″マッコイ 監督)です。私の嫌いな戦争映画です。8本目は、同じ大学を同時に卒業したエマとデクスターの男女がいた。テレビ番組の人気司会者となり、浮名を流してモテモテの有名人となった恋多き活発な男はデクスター。一方、詩と小説を書き、「文学」を愛していて、地味だが才能のある美貌の女がエマ。大学を卒業した7月15日に男女は出会い、一晩の快楽を与え合い、その後の23年間の出会いと別れの紆余曲折を描いた「ワン・デイONE DAY 23年のラブストーリー 」(ルネ・シェルフィグ監督 )。今回の特選映画にワン・デイONE DAY 23年のラブストーリー」を選びました。

1本目の ハングリー・ラビット」は、暴行を受け妻の痛々しい傷跡とレイブ後の心のトラウマに対して、非合法の≪復讐≫殺人に揺れる高校教師にニコラス・ケイジが主人公を演じます。いかにも優しく非暴力で気の弱い夫に、彼は適役です。空腹のうさぎ「ハングリー・ラビット」が合言葉で、警察組織の中枢刑事までが、この符丁を囁いたのは衝撃でした。はてはて、この言葉の出典はルイスキャロルなのかなー? どこから引用されたひねりの言葉なのかな・・・とずっと頭をひねっていましたー。誰か知ってますか・・・・? 近頃、リメイク版が多いので、この映画もまた、以前に何処かで見た映画かなーと錯覚しそうな手垢のついたストーリなのですが、やや残念な仕掛けと展開でした。

ある時期、ハリウッドの戦争映画の舞台はベトナム戦争でしたが、近頃は中東のイラン・イラクのオイル戦争前線を舞台とする、歪曲したヒューマンな戦争翼賛の悲喜劇戦争映画が多くなりましたねー。これもその一本と思います。砲弾と弾丸が飛び交う戦場で見知らぬ「女性」の一枚の写真を拾ったお陰で、主人公の軍曹・ローガン・ティボー(ザック・エフロン)が数々の命の危険と危機から救われるという、屈折したラブストーリ一枚のめぐり逢い」です。私達日本の皇軍陸軍兵士ならばきっと、「千人針」や愛妻のお守りの「陰毛」や神社の「お守り」なのだろうがー、ここではベス(テイラー・シリング)の写真が≪お守り≫でした。私の嫌いな戦争映画ですが、ならば、「一枚のめぐり逢い」を戦争映画として嫌うならば、戦場の殺戮の悲惨さを描き、人間を交戦させる戦争を美化するあらゆるナショナリズムとイデオロギーと男らしさのヒロイズムの虚飾を空しいと暴く、例えば、コッポラの『地獄の黙秘録』も、スピルバーグの『シンドラーのリスト』も、ウィンクラーの『勇者たちの戦場』も、邦画の『レイテ戦記』等々の反戦映画・・・も、戦争翼賛の映画というのかーとなじられそうですね!でも私は、多くのハリウッド映画は、アメリカの若者を戦場で国家のために死ぬ勇気を鼓舞し、徴兵へ掻き立てる作品と看てます。

3本目は、ルイスキャロルの『アリスの不思議な国』に続いて、ティムバートン監督がまた「白雪姫」のグリム童話的世界を現代的に解釈して、新しい映像技術を駆使して、極彩色の光の帯が飛び出す3Ⅾの幻想的な演出手腕を揮った作品かなと先入観がありましたが、「スノーホワイト」のルパート・サンダース監督は、CM界でキャリアを積んだCMデレクターのようです・・・ね。ただ、私の率直な感想は、最後に優しく美しい白雪姫が勇敢な馬上のジャンヌダルクに化けてしまい、小人たちがお城の攻撃に参加する裏工作兵になってしまうー、納得のいかない結末でした。結局、「悪」と対決して「悪」と闘うためには、「善」の白雪姫は、魔術を使う「悪」に立ち向うために、殺し滅ぼす剣の「悪」にならなければ勝てないーという暗喩なのかな・・・?戦乱の後に平和があり、平和の後に抑圧と圧政があり、暗黒政治の後に再びヒーロかヒロインかが、王剣をかざす「善」が出現するー。童話的世界は、「善&悪」のヤヌスの顔を持つものですねー。

4本目は、明らかにマーケッテングした末に、そこそこの興行成績を収めるには≪団塊の世代≫を狙えーという分析結果の製作だろうと憶測してしまう、昔懐かしいアニメ映画「ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略」(窪岡俊之監督)のパート2です。オジサンたちには子供の頃に熱中したアニメは、懐かしさ以上に仕草や言葉使いや友達付き合いや考え方に至るまで意識に浸透しているのではないかと思いますー。「明日のジョー」」も「巨人の星」も「銀河鉄道」も「宇宙戦艦大和」も「ドラゴンボール」も「妖怪人間ベム」も「愛と誠」も「るろうに剣心」も、みんな皆、オジサンたちのためのリバイバルですね。三部作のパート3は観ないつもりでいますが、しかし、傭兵集団「鷹の団」から離脱して再び放浪の旅に出た長大な剣を肩に乗せて振り回す孤独な剣士ガッツはどうするのか・・・?、シャルロット王女の寝室に忍び込み姦通して国王の逆鱗に触れ、地下で拷問を受けるグリフィスはどうなる・・・?、さらに、貴族の称号まで授与され優遇された鷹の団が、ミッドランドから弓矢で追われ、再び傭兵の残党としてどう生きてゆくのか・・・。この先の残された顛末が些か気になりますがー。

5本目のソウルサーファー」の主人公役のベサニーは、実在の少女のようですねー、公開直前の5月23日に有楽町で開催されたジャパンプレミアの舞台挨拶に「プロサーファー、ベサニー・ハミルトン」(22)がハワイから来日というニュースが流されていました。ハワイのカウアイ島に住む少女ベサニーは、サーフィンが自分の全てのような毎日だったが、片腕を失った事故で奇蹟的に一命をとりとめたけれども、サーフィンが出来なくなり失意の中にいた。その時に、タイのプーケットで起きた津波の被害救済のためにキリスト教のボランティアで現地を訪れ、海と波に恐怖心を抱き、元気を無くした子供達に胸を痛め、サーフィンで励まそうとするー。
 この津波被害は、2004年12月26日にインド洋を震源とするM9.0の地震が発生、大津波がインドネシア、マレーシア、タイ、ミャンマー、スリランカ、インド、モルディブ、ソマリア、ケニアなどを襲った。この津波により死者約22万人、行方不明者7万7千人、負傷者13万人という大惨事になった。その後に、2012年3月11日に東日本大震災と大津波と原発汚染が襲った・・・。一度は観ておきたい映画の1本でした。
 以前にこのブログで「ファミリーツリー」(アレクサンダー・ペイン監督)をコメントしましたが、あの映画もハワイが舞台でした。ハワイにすっかり魅了されてしまいまして、私は、この映画を観ながらまだ一度も訪れたことが無いハワイのビーチにすっかり憧れ、老後はハワイのビーチのコテイジで余生を過ごしたいと憧れました・・・。ハワイで生活する市民は、あんなにも身近に海と波と太陽があり、素晴らしい環境だな・・・と心底憧れました。そこで私は今、池澤夏樹の『ハワイ紀行』(新潮社刊行)を読み始めました。でも、ハワイの別荘で老後の年金生活を出来る日本人がどれだけいるのでしょうか・・・ね?

6本目は、アメイジング・スパイダーマン」(マーク・ウェブ監督。脚本: ジェームズ・ヴァンダービルト、アルヴィン・サージェント、スティーヴ・クローヴス)です。娯楽映画としては退屈しない面白さがあり、観て損は無いでしょう ー。最近、テレビでこれまでの旧作が連続して2本、「スパイダーマン2」【2004年公開。監督: サム・ライミ。 脚本: アルヴィン・サージェント 。 スパイダーマン主演:トビー・マグワイア (ピーター・パーカー)】と、「スパイダーマン3」【2007年。監督: サム・ライミ。 脚本: サム・ライミ、アイヴァン・ライミ、アルヴィン・サージェント。主演: トビー・マグワイア( ピーター・パーカー)】が放映されていましたが、シリーズとしては、今回の「アメイジング・スパイダーマン」は、監督も脚本も異色のようですー。これまでのスパイダーマンのストーリの大枠と軌跡と設定を辿りながら、遺伝子操作による怪物と闘うというストーリでした。これからこのアメリカン・コミックのヒーローはどうなるのか・・・、興味は尽きないです。

7本目は、「ネイビーシールズ」(スコット・ウォー 。マイク”マウス″マッコイ 監督)。女医に扮してコスタリカに潜入していたCIAエージェントが拉致される事件が勃発する。暗躍する黒幕は、麻薬取引や武器密輸で財を成した「クリスト」。アメリカ海軍特殊部隊NAVY SEALSにCIAエージェント奪還命令が下りる。押収した携帯電話の分析から、アメリカ国内に強力な破壊力を持つセラミック粒を織り込んだ爆弾ベストを着たイスラム系テロリストを潜入させるテロ計画を察知するー。ネイビーシールズの精鋭部隊に再び指令が下りる。深夜のテレビでよく放映されていたのを見た記憶があるので、そんなに新鮮でも斬新なストーリでもなかったー。暇つぶし程度の映画です。

8本目のワン・デイONE DAY 23年のラブストーリー 」(ルネ・シェルフィグ監督 )は、余り名作名画の収穫が少ない6月でしたが、唯一の収穫といってよい感動の映画でした。「ウーン、イイナー。人生縮図が好く描かれてるー」と私は、称賛しています。もはやテレビ業界から干されて、失意と落胆と失業の日々を送っていた男がひとりー。子供は誕生したが、自分を絶望のどん底から救ってくれた愛妻は、他の男と不倫した末に離婚をしたデクスター(ジム・スタージェス)が彼の現在でした。ハイスクールの教師をしながら売れないコメディアンと同棲生活をしていたエマ(アン・ハサウェイ)にもまた、ギクシャクした男女関係の不協和音が訪れていた。一人でも寂しい、でも二人でいても楽しくない悩ましい日々を送った末に分かれる女の現在があったー。男と女は、変転の末に再び出会い、いつでも会える「友達」は、魅かれ合う恋の相手と知りー、とうとうかけがいのないパートナーであることに気付きー、それを漸く、離れられない「恋愛」と認めた二人は結婚したー。エマの小説は、ハードカバーの単行本となり、デクスターの子供を妊娠するー!?。遅すぎたが、今が幸福の絶頂にあり、人生の楽しさをかみしめている男と女であった。普通ならばハッピーエンドの最後なのだが、自転車に乗ったエマが大型トレーラーに轢かれる瞬間に、私は図らずも映画のそのワンシーンを見ながら、「ワー」とため息のような驚嘆を洩らしてしまいました。人生とは、なんと惨酷で無常ではないか・・・といわざるおえません。街路に横転して命が事切れたエマの幸福そうな微笑の死顔が、印象的でしたー。「死」が二人を分けたー。デクスターにいつも厳格な態度の父は、エマを失って酒場で泥酔し喧嘩し悲嘆にくれる息子に対して、やはり愛妻を失った同じ境遇にいる父として、「いつもそばに居るように思えばいいのさー」と優しく諭す。「私はそうしているー」と助言する。離婚した妻との間に生れた一人娘との会話シーンもまた微笑ましかったなー。蛇足を書くならば、邦画の「ガールズ」や「フラワーズ」では決して描けなかった女の幸せを求める作品でした。、男と女の「愛」とは何か・・・?7月15日の23年間の人生の縮図で描いたしゃれた映画でしたね・・・。

 

★MyFavarite Cinema「グリーンマイル」【16】フランク・ダラボン監督★

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 コメントの管理をしている内に、不覚にも読書登録している方方を削除してしまいました。折角、読書登録していただいたのに、申し訳ないです。故意ではなくて、手違いによる削除なのです。宜しければもう一度ご登録下さい。・・・・・・・・・急ぎ報告いたします。
 
  7月の≪My Favarite Cinema≫の第2弾をアップロードします。DVDで観賞した特選映画は、再びスティーブン・キング原作の名画「グリーンマイル」(1996年公開。フランク・ダラボン 監督)を選びました。これを書く前に、もう一度鑑賞しましたが、やはり彼の代表作「スティーブンキングベスト10」に挙げてよい作品でした。さて、S・キングの第三弾が7月にアップロードできるかな…?さて、何の作品にするかな…。「ショーシャンクの空に」か、「キャリー」か、「ミザリー」か、「ペットセメタリー」か、「アトランティスの心」かなー。先日アメリカの犯罪科学捜査のテレビドラマ「CIS」でネオナチの犯罪を放映していたが、「ゴールデンボーイ」もイイナー。
 スティーブン・キングの小説は、所謂、恐怖の物語、ゾクゾクするホラーばかりでなくて「グリーンマイル」に代表されるようなヒューマンストーリのドキドキする感動の名画も数々あります。『恐怖の四季』 (1982年刊行)に収められた「スタンド・バイ・ミー」や「刑務所のリタ・ヘイワース」(映画タイトルは1994年公開の『ショーシャンクの空に』The Shawshank Redemption)等 もあります。
 
  しかし単なるヒューマンストーリであるばかりでなく、同時に、「グリーンマイル」には、①死刑制度そのもの賛否に関る大きな問題も含まれています。日本では山口県光市の母子殺人事件を契機に、未成年の少年犯罪に対する死刑判決をめぐって大きな盛り上がりがありました。アメリカ映画でも黒人の人権擁護も含めて黒人死刑囚の冤罪を告発したヒューマンな映画が数々ありますが、「ザ・ハリケーン」はその中の秀作の1本ではないでしょうかー。

 さらに、②人間の「癒し」とは、今現代においてどんな意義を持っているのだろうか・・・?という、やや宗教的な問題も孕んでいます。癌や遺伝的な難病を除いて、医学や科学は、確かに人間を数々の病と苦しみから開放しましたが、それでも他者からの心の「癒しと救済」は必要なのだろうかー。この第2のアポリアはやや難渋なので、スティーブンキングの他の作品で:言及しましょう。 

 さらにさらに、 ③余生を楽しむ介護施設の娯楽室でモノクロ無声映画「トップ・ハット」を見る老人達の中にコールド・マウンテン刑務所の看守のポール(トム・ハンクス)がいました。施設内の親密な老女・エレインに大恐慌下の1935年代の刑務所時代の忘れられない死刑囚の記憶とエピソードを語るラストシーンがあります。そして、近くの小高い丘の山小屋に棲む、曲芸をするネズミを紹介します。108歳になった今も健康で生き続ける自分の「寿命」の秘密を打ち明けます。スティーブンキングがくり返して小説のモチーフにしている独特の「死」生観が、ここでも映像化されています。彼の初期の作品「ペットセメタリー」から「グリーンマイル」にいたるまで脈々と流れている、「人は死すものー」という生命観死生観は、21世紀の現代において、どんな意義を持っているのだろうかーと、私は改めて考えます。どんなに医療技術が高度になろうとも、どんなに生命科学の技術と医学研究が発達しようとも、恐らく臓器移植をしようとも、遺伝子操作をしようとも、≪寿命≫の終わりのない不老不死の人間は誕生しないと思います。、「人は死すものー」という死生観は、古代エジプトから現代に至るまで続く永遠のテーマです。

 そして、④映画のホラーというと、最近、地球外生物やら、謎の宇宙人やUFO、地球の天変地異や気候変動などによる未知の天変地異や地球危機を恐怖の素材とする映画が多いです。が、ヒッチコックに代表する同時代ホラーは、人間の心の中に「恐怖」のモチーフを探す系列が脈々とありますー。スティーブンキングの「キャリー」はそうしたホラーを人間の心の中に求める視点の作品でしたー。脳生理学の発達によって心の中の仕組みは、随分詳しく解析されていますが、ところが、まだまだ脳の中の神秘で複雑な仕組みは、完全に解明されてません。入り組んだ微細な神経細胞と伝達神経、それをコントロールするホルモンや分泌物や脳細胞の機能部位の連結ーが、神の創造物とも思わせる宇宙の広大無辺な神秘と同じ様に、脳の中には広がっています・・・。私など、生物学や脳生理学の本を読んでると、余りに人間の身体機能や生態細胞が複雑怪奇で神秘的なので、まるでホラーを読んでいるようなゾクゾクとした興奮を覚えます。⑤付随的問題なのですが、アメリカの謎と神秘と怪奇の「原風景」として、コーンフィールドがあります。とうもろこし畑の大地は、スティーブンキングも含めて頻繁に登場します。アメリカ人の意識には、特別象徴的な存在感があるのではないでしょうか…?この問題を是非ともこのS・キングの映画論で触れてみたいです。

 どれもこれも大きすぎる問題ですが、チーズを齧るネズミのようにS・キング゜作品から問題を齧りとって、長いフィルムの一コマ一コマの光の映像を私の胃の中で咀嚼したいと思ってます。

 「グリーンマイル」には森と草原の広がる田舎家の双子の幼い姉妹が無邪気に遊ぶシーンと、行方不明になった幼女たちを嗅覚で探す猟犬たちの獰猛な吼え声と、乾いた大地をライフルを手に持った警官達が歩き回る追跡の風景が映り、無残に殺害された幼子達の遺体が発見される…老人ホームの娯楽室で名作「トップ・ハット」の映像と、それを見る老いた看守主任ポールの脳裏に残る60年前の黒人死刑囚コーフィの記憶が重なる…。

  大恐慌下の1935年にポールは、コールド・マウンテン刑務所の死刑囚舎房Eブロックの担当者だった。ある日、死刑判決を受けて投獄されることになったジョン・コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)という黒人の大男が入所するー。幼女姉妹を虐殺した罪で死刑を宣告されたその囚人は、手を触れただけで病に苦しむ患部を癒すという神のような奇跡と「癒し」の力を持っていた。コーフィの癒しの手は、痛みに悶え苦しんでいたポールの尿道炎を治したー、市長の親戚で見習い看守のパーシーの革靴で踏み潰された同舎の死刑囚ドラクロアのペットのネズミ「ミスター・ジングルズ」の小さな命を復活させるー、刑務所長ムーアズ(ジェームズ・クロムウェル)の妻で、死の床にあったメリンダ(パトリシア・クラークソン)の脳腫瘍から患部を吸い取って救うー。そして、メリンダから吸い取った脳腫瘍の毒素をパーシーの口に吹き込んむー。幼女殺しの真犯人だった同房にいたウォートン(サム・ロックウェル)は、錯乱したパーシーによって射殺されるー。黒人死刑囚のコーフィは、それを幼女姉妹を殺した罪びとに天罰を与えたという。。

この映画では、三人の死刑囚がグリーンマイルを歩いて電気椅子に座っている。一人は、インディアンの酋長でウォシタ・チェロキー評議会長老のアーレン・ビターバック。一人は、見習い看守の稚気な悪戯によって天頂に乗せるスポンジに水を含ませなかったために、電気椅子の上で肉体を焼け焦がせながら死んだドラクロア。一人は冤罪の黒人死刑囚コフィー。「死刑」が人種差別的偏見と、アメリカの植民地政策の手段として使われていた典型を描いているー。

 電気椅子の初期の頃の失敗が笑い話のように伝わっています。ニューヨーク州オーバーン刑務所でウィリアム・ケムラーに対して電気椅子による初の死刑執行が行われたが、感電死させられず失敗したという。電気椅子は、2008年のネブラスカ州の最高裁判所が電気椅子による違憲判決を出した為に終焉するまで電気椅子による死刑は続いた。

 大男の黒人コーフィは、まるで子供のように暗闇を恐れ、飲み物のコーヒーと似た発音だが、スペルは違うーと、真面目におどけて言う。ポールの回想は、電気椅子に座るラストシーンの1935年に再び戻る。ポール達がコーフィに最後の「望み」がないか?と訊ねるとー、コーフィは、1935年公開のミュージカル映画『トップ・ハット』を見たいとねだるー。最後に「食べたいもの」はないかー?私は最後の審判のときに、何故、神の子を電気椅子に座らせて殺したんだーと神から天国に入る扉を閉め出される。この監獄から逃がしてやっても好いんだよーとまで言う。「いや、もうこれ以上苦しんで生きたくないー」と、コーフィは答える。ホールの妻が焼いたコーンブレッドを贈られるー。

『グリーンマイル』を廻る4点の問題を全て順番に取り上げたら、膨大なブログになりそうなので、まずは、≪死刑制度≫の賛否に関る大きな問題を「映画論」から触れておきます。

 日本でも、1999年(平成11年)に山口県光市で起きた凶悪犯罪事件がありました。当時18歳の少年Aが山口県光市の社宅アパートに強姦目的で押し入り、主婦(当時23歳)が殺害後屍姦され、乳児(生後11カ月)も殺害された上、財布を窃盗した。少年Aは、強姦致死罪容疑・殺人罪容疑・窃盗罪容疑の罪状で、事件当時18歳1ヶ月の未成年でありながら死刑判決を言い渡される。最高裁判所第一小法廷は、少年の上告を棄却し死刑が確定した。この山口県光市の母子殺人事件で未成年の少年犯罪に対する死刑判決をめぐって、被害者夫である本村洋と元日本弁護士連合会副会長の岡村勲らは、犯罪被害者の会を設立し、その残虐な事件内容に対して少年犯罪者でも死刑にすべきと主張して、大きな論議と大きな盛り上がりを呼んだ。

  この犯罪に関してはまだ「映画」のモチーフになってませんが、「死刑囚」の映画は何本か有ります。私が鑑賞して、名作と思う作品をごく単単に触れておきますろ。現在公開中で、私も先日観たばかりの映画なのですが、「臨場 劇場版」(橋本一監督)は:犯罪映画としても、:警察の鑑識捜査をモチーフとする映画としても、刑事もの弁護士もの科学捜査ものが、大抵は暮ったい人お涙頂戴の情もので終る邦画にしては、たいへん好くできている秀作でした。「相棒」シリーズについでテレビドラマの劇場版の成功例かもしれません。テレビスタッフというのは層が厚いですねー。監督の名前は時代劇でよく見かけますが、ドラマ作りには、観客を引き込む魅力のツボを心得ていますねー。無差別通り魔殺人事件で4人を殺害した未成年が事件当時に心神喪失だとして刑法39条によって殺人罪の:刑罰を免れるという問題を提起しました。その他に、DVD資料として邦画旧作を2本、洋画旧作を3本見ました。吉村昭氏の短編小説を:原作に、:刑務官と死刑囚との交流、絞首刑執行時の彼らの緊迫の様子をリアルに描いている映画「休暇」(2007年公開。門井肇監督)がありますー。刑務官がロープにぶら下がった死刑囚の足を引張るという残忍な事実を初めて知り愕然としました。鉄格子で隔離され死刑囚と面会人のクリスチャン・川原薫との愛情を描いた小嵐九八郎氏:の原作小説を映画化した「真幸くあらば」(2010年公開。御徒町凧監督)もありますー。聖書に書かれた小さな手紙の往復文による心の交流がありました。この作品でも、死刑囚が獄中で命の証として描く筆記具によるリアルな微細画が登場します。公開時に私のブログでコメントを載せていますので、ご参照下さいー。ロサンゼルスのギャング団・クリップの創立メンバーが、獄中で黒人ギャングの暴力と犯罪撲滅のために尽力してノーベル平和賞候補にも推薦されたスタンリー・ウィリアムズと、黒人ジャーナリスト女性との間の交流と支援、死刑執行までの死刑停止の訴えと請願を描いたドキュメンタリー風の映画「クリップス~博愛の死刑囚~( 2004年製作。ヴォンディ・カーティス=ホール監督)もあります。この死刑執行停止にサインしなかったのが州知事のシュワチャンですー。カンザスで一家四人が惨殺されるという殺人事件が発生、それを 作家トルーマン・カポーティがノンフィクション仕立ての小説にしました。犯罪と獄中生活と、ラストで絞首刑シーンを如実に描写するという小説は、斬新で新鮮な小説の試みでした。それを映画化した「冷血
」(1996年公開。リチャード・ブルックス監督)ー 。死刑囚と精神的アドヴァイザーとして付き添ったカトリック修道女の心の交流を綴った「デッドマン・ウォーキング」(1995年公開。ティム・ロビンス監督)がありましたー。彼女も死刑判決に疑問を持ちながら、どうにも手段が見つからずに、薬殺される死刑執行シーンを呆然と眺めるラストが印象的でしたー。邦画の「さらば、わが友 実録大物死刑囚たち」と洋画の{死刑囚2455号(1955年公開)は絶版のようで、あちこち探してみましたが、なかなかレンタルショップでは手に入らずに鑑賞できませんでした。1938年公開のギャングの死刑執行直前の牧師との会話が印象的でした映画「汚れた顔の天使」( マイケル・カーティス監督)は、昔、TVで放映されて、下街の貧しい子供たちの憧れの的だったギャングに、牧師は改悛しろー、死を恐れろー、子供たちに悪の種をまくなー、神を恐れろーと、諭す。私は感動して観た記憶があるので、もう一度観たいと探しましたが、レンタメショップでは残念ですが絶版でした。ツタヤさんよ、いい映画を直に絶版にしないでよ・・・

アメリカ映画では黒人死刑囚の冤罪を告発したヒューマンな映画が数々ありますが、デンゼル・ワシントンが無実の罪によって30年間も投獄された実在の黒人ボクサー、ルービン・ハリケーン・カーターを演じた「ザ・ハリケーン」(1999年公開。ノーマン・ジュイソン 監督)は、
その中の秀作の1本ですー。

 これ以上的確な情報を提供してくれる資料は他に探しても無かったのですがー!フリーの小百科事典≪ウィキぺディア≫の解説iに拠れば、アメリカでは、レイプ犯に死刑判決を下す判例が横行していた。1950年までにレイプを理由に771件が死刑判決を受け、そのうち701人が黒人であったという。1972年にアメリカ連邦最高裁によってレイプ犯死刑判決」は違憲判決とされた。さらに、近年
の犯罪捜査では、DNA鑑定が導入された結果、迷宮入りしていた事件が解決され、1973年から2001年までにアメリカ国内で、DNA鑑定で96人の死刑囚の無罪が判明し釈放されている。特にフロリダ州では21名も釈放されており、フロリダでは5人の死刑執行が行われる間に、2名が無罪放免になったという。冤罪による死刑判決という事実は、全米に大きな衝撃を与えたという。2004年には連邦議会は有罪判決確定後もDNA鑑定を受ける権利を保障した冤罪者保護法を成立させた。死刑制度で一番恐ろしいのは、この冤罪でしょうかー。日本でもこのDNA鑑定によって死刑囚の無罪が証明されて、無罪放免されていますー。

  コーフィの死刑判決と裁判に疑問を抱いたポールは、コーフィの弁護士に会いに行く。結局、弁護士自体も彼の息子が普段おとなしい飼い犬に突然かまれて、片目を失明したことを例に、黒人をおとなしい狂犬のように喩えていたーのが衝撃的でしたねー。

 

7月推奨「崖っぷちの男」★映画のMIKATA【17】A・レス監督★映画をMITAKA

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  7月上旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は4本でした。1本目の映画は、ラブラドール・レトリーバーのまさお君と売れない若手芸人の松本君が全国を旅するテレビ東京の「動物バラエティ番組『ペット大集合!ポチたま』」のドタバタハチャメチャに愛嬌を振り回す犬とスタッフとの実話裏話を映画化した「まさお君が行く」(大谷健太郎監督)です。 2本目は、ニューヨークからカリブ海に浮かぶ南米プエルトリコでアメリカ人ジャーナリストのポール・ケンプ(ジョニー・デップ)が地元3流地方紙で、奔放で磊落で危険な取材を試みる、ハンター・S・トンプソンの著書を原作とする「ラム・ダイアリー」( ブルース・ロビンソン監督)です。最近作『ダークシャドウ』でも奇抜な仮装と凝ったメイクでジョニー・デップは演じていたが、私は個性的な彼の素顔を初めて観ました。彼自身がジャナリストのトンプソンのファンのようですが、彼の魅力が十分に活かされてないー、公開初日にワザワザ見て損したー、彼自らの企画製作のようですが、案外地味な社会派映画ーでした。
 3本目は、テレビ朝日系列で放映された横山秀夫原作小説のテレビドラマを、橋本一監督が映画化した「臨場 劇場版」です。残虐な通り魔殺人者が精神鑑定の医師によって「心神喪失」と認定され、責任能力がないと鑑定されれば刑罰を免れるという「刑法39条」に対する問題提起をしています。テレビとはまた一味違う脚色と迫力の演出で、出色の犯罪事件もの刑事もの映画でした。水谷豊の「相棒」シリーズに遜色ない劇場版でした。
 4本目は、大粒のダイヤモンドを横領した罪で冤罪をきせられ、25年の実刑になった元ニューヨーク市警官ニック・キャシディ(サム・ワーシントン)が、脱獄して高層ビルホテルから飛び降りる自殺を自作自演で偽装する「崖っぷちの男」(アスガー・レス監督)です。親父の葬式に参列するために刑務所を仮出獄したのですが、見事に欺き脱獄に成功する。最後の最後に死んだ筈の親父のー、どんでん返しのトリックーがあります。ベテラン女性交渉人役のエリザベス( リディア・マーサー)が魅力的でした。今回特選映画に崖っぷちの男」を選びました。

1本目の「まさお君が行く」は、SMAPの香取取慎吾のオドケて軽妙で漫画チックな演技力が人気の理由なのか、ラブラドール・レトリーバー・まさお君の見せる愛嬌のある人懐っこく愛らしい表情が秘密なのか、映画観は結構混んでいました。タレントはジャンルも縄張りも無くなった。ドラマに映画に俳優ぞろいのグループ・SMAPの香取取慎吾が松本役で「ずっこけ役」を熱演していました。二人の芝居にニンマリくすくす笑いながら楽しめる娯楽映画でした。

イヌが害のない動物として人の社会:圏に入り、放牧家畜の番犬や、災害や遭難のときの介助犬として協労関係を作り、餌を与え病気を癒し死を哀しむペットとしては、人間との間に信頼関係が家族的輪の中に入り、さらに、大家族から核家族化と、急速に進む無縁社会によって孤独な一人暮らしの老人達を慰めるパートナにまで近づく「愛玩ベット」にまで成った。ラストシーンで、まさお君が病死した事を知った視聴者が、放送局に花束を抱えて押し寄せ、献花台を設えたのには、驚きましたー。あの人間とペットの関係性の進化を見ると、恐らく、愛犬や愛猫の代わりにキャットロボットやマシンドッグーはすくに目の前に近づいています。重たいものを運んでくれるワーキングロボットやマンションの中にお掃除ロボットが動き回り、子供のいない夫婦が国籍のないリカちゃん人形のような赤ちゃんのオムツを取り替えミルクを飲ましー、番犬のように泥棒の侵入を警告してくれるイヌのおまわりさんが登場する未来社会が見えてきます。それを≪代理≫で満足する人間と社会の危機と観るのか、縦横無尽に環境に適応し、科学と技術は適者生存にあわせて環境を人に適応させる、「人間性」の被創造的空間の拡張と、人間の心の不思議と人工的エレクトロニクス社会の進化として眺めたらいいのかな…?

2本目の「ラム・ダイアリー」で一番の注目は、初めて見たジョニー・デップの素顔です。えーえー、彼はこんな素顔ナノ…と驚嘆しました。どちらかというと、素顔の彼よりもやや野暮ったい印象を与えています。これも1つの演出なのかな…? いつも意匠をこらしたコスプレやド派手で奇抜な変装から、ハリウッドの反骨俳優は、「社会派」のシリアルな映画に自作自演したいのか、或は、演技の衣替えしたのかな…?暇で退屈でしょうがないという映画ファンか、或は、ジョニーディプスファンは、時間つぶしに切符を買ってください。
  

   

3本目の「臨場 劇場版」は、S・キングの「グリーンマイル」の死刑制度の映画でも触れておきましたが、「心神喪失」と精神鑑定されれば、刑罰を免れるという「刑法39条」の問題提起をしている映画です。見応えのある社会派ドラマでした。

4本目の「崖っぷちの男」は、数々ある刑事もの映画、夥しく製作された刑務所脱獄映画の中でも上等の1本でした。S・キングの小説で言えば「ショーシャンクの空に」のような、最後の最後のどんでん返しのサスペンストリックと、二転三転する綿密なストーリが素晴らしいです。やはり推理小説独特の醍醐味に似たハッと驚く仕掛けと痛快な伏線に、「シテヤラレター」という脳髄の快感がありました。

 

7月推奨「海猿」★映画のMIKATA【18】 ★映画をMITAKA…

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◆スタッフ
監督: 羽住英一郎/チーフプロデューサー: 臼井裕詞/製作: 亀山千広。加太孝明。水口昌彦。市川南。亀井修。小笠原明男/プロデューサー: 安藤親広。上原寿一。森井輝/ラインプロデューサー: 古屋厚/原作: 佐藤秀峰/原案: 小森陽一/脚本: 福田靖/撮影: 江崎朋生/視覚効果: 石井教雄/美術: 清水剛/編集: 松尾浩/音楽: 佐藤直紀/音響効果: 柴崎憲治/スクリプター: 谷恵子/照明: 三善章誉/制作担当: 阿部豪。道上巧矢/装飾: 小山大次郎/録音: 柳屋文彦/助監督: 川村直紀。細川光信/ 
◆キャスト
伊藤英明: 仙崎大輔/加藤あい: 仙崎環菜/佐藤隆太: 吉岡哲也/仲里依紗: 矢部美香/三浦翔平: 服部拓也/平山浩行: 村松貴史/伊原剛志: 嶋一彦/時任三郎: 下川いわお/矢島健一/ 
◆スクリーン情報
上映時間 116分/公開情報 劇場公開(東宝)/初公開 2012年7月オフィーシャル・サイト http://www.umizaru.jp/
月中旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は4本でした。1本目の映画は、「海猿」シリーズの第4弾「BRAVE HEARTS 海猿」(羽住英一郎監督)です。ジャンボジェット機が東京湾に不時着する映像は迫力がありました。私の実感としては、いままでで一番見応えがあり、観て損のない映画でした。2本目は、お抱え黒人運転手が高級車リンカーン・コンチネンタルで裁判所の前へ乗り付け、その後部座席を事務所代わりにするアウトサイダーの辣腕弁護士ミック・ハラー(マシュー・マコノヒー)が主人公の「リンカーン弁護士」( ブラッド・ファーマン監督)です。3本目は、既に映画公開前から麻薬容疑で週刊誌に騒がれたり、演技にのめり込み過ぎて体調不良で芸能活動休止中ーと、ワイドショーの話題になったり、何かと芸能界と世間をかき回すお騒がせな沢尻エリカが、全身整形によって売れっ子トップモデルにのし上がった「りりこ」を演じる「ヘルタースケルター」(蜷川実花監督)です。4本目は、孤独な日雇いアルバイト生活を送っている北町貫多(森山未來)の19歳の現在ーとりもなおさず、同時代に漂泊する若い派労働者の運命を描いています。ハードな仕事に疲れ、稼いだ小銭を酒場と風俗店に蕩尽する日々。一流大学の学歴もエリート社員の職歴もない、お金も恋人も友達も、将来への選択とか努力して摑む希望もない毎日。惨めな平成枯れすすきの青春を描いた「
苦役列車」(山下敦監督)です。7月中旬の推奨映画に、いろいろ迷った末に、娯楽映画として楽しめた「BRAVE HEARTS 海猿」を選びました。

1本目の「BRAVE HEARTS 海猿」は、新作映画公開にあわせてテレビで過去の第1作~第3作まで一挙に放映されていたので、尚更に、これまでで一番見応えがある作品だなーと、実感しました。羽田空港に着陸予定の飛行中ジャンボ旅客機のエンジンに、不慮の事故が発生する。乗客346名の命の危機が迫ったー。緊急避難として羽田空港への胴体着陸が失敗する、次に、東京湾海上への着水が試みられる。ジャンボジェットには、吉岡の恋人・美香も乗務していた。この作品も、その内にTVでも放映するだろうが、「人命の危機だー」「あ、危ない。危機一髪間に合うかのかー」「救助成功でよかったー」。今回も「特殊救難隊員」になった仙崎(伊藤英明)と吉岡(佐藤隆太)の大活躍で、「愛する人の命が助かったー」というパターンはいつも同じストーリ展開なのですか、本当にこんな人命救助の奇跡が現実でもあってたほしいなーと思います。特に3.11の東北大震災の後には尚更に実感がわきます。でも、こんな映画をくり返し観ていると、災害時に何か現実離れしたドラマチックな「奇跡」の「救い」が起こるものと信じ込んでしまう、奇妙な予定調和の「暗示」にかかります。

自然災害は、何時突然襲うかもしれませんー、しかも時が経ち世代が変わると、大きな災害の悲しみは記憶から忘れられます。姑息な経済利潤の論理に騙されてると、余計に災害は過去の過ぎ去った悲しみとして記憶は薄れ、不思議な楽観が瀰漫します。デモ、災害は忘れた頃に襲いますー。だから、自然災害と防災対策を忘れないようにしたいですねー。映画のような危機を回避する予定調和の「奇跡」は絶対ありえませんー!

おやー、自身も弁護士としての経歴を持ち、「評決のとき」「ザ・ファーム 法律事務所」「ペリカン文書」「依頼人」等々の映画化でよく知られているジョン・グリシャムの原作かと一瞬錯覚しましたが、2本目の「リンカーン弁護士」は、アメリカの犯罪小説で、刑事「ハリー・ボッシュ」 シリーズで 多くの読者を持つマイクル・コナリーの小説を映画化したものでした。正直言うと、私は始めて知るハードボイルド作家でした。ただ、映画「評決のとき」(ジョエル・シュマッカー監督。1996年公開)では主人公ジェイク・タイラー・ブリガンス役で マシュー・マコノヒーが同じ弁護士役で出演しているそうです。今一度鑑賞したかったが、ツタヤもゲオも絶版で、残念でした。

これまでスクリーンに数々の名優によるダンディーな弁護士が登場し、難事件を見事に解決し、検事との丁々発止の名弁論の名演技のやりとりが投映された裁判映画が製作されました。
こうした名作の1本といってもいいです。

3本目の「ヘルタースケルター」は、一見、都会の風景の断片をいろいろな角度から、キュビスム風に社会風俗の映像を挿入しています。が、果たして女の「美」が単なる都会の「浮遊層」の≪性≫の発情装置ということを十分に表現できているのだろうかー?と、疑問符を打ちたい映画でした。私の答えと率直な感想は、「否」でした。むしろ、「ヘルタースケルター」の初めも終わりもないメビュウスの輪のような都会生活の豪奢で貧しく、過剰な欲望だけの21世紀の世界を透視し表現できいれば、最高の傑作になっていたなー、という感想を持ちました。むしろ私は、蜷川幸雄監督作品の「蛇にビアス」の初めと終わりに映し出された夜明けの都会を走る始発電車と、夜も昼もなく蠢く雑踏の映像に似ているーことを想起しました。これは蜷川実花がシェークスピア演劇の舞台演出家で、親父の蜷川幸雄の娘だと言う先入観があるからだろうかー?

このブログでも過去に掲載したことがある、桜沢エリカの漫画『LOVE VIBES』 を映画化したレズビアン・同性愛をテーマとする、
奥田瑛二の長女、安藤モモ子の初監督作品「カケラ」と相似形に、私は観ています。いつの時代でも、いつの世紀でも、時代や現代から飛び出そうとするイデアとイマジネーションの「遠心力」が存在します。ある時代にそれは、社会を強く縛り付けるタガのような宗教的なモラルに対して「奔放な愛と性」の形式であったり、ある世紀にそれは、社会を支配するくび木のような支配権力に対して「自由と平等」の形式であったりしました。この二人の映像表現に共通するエレメントは、この時代の現在から飛び出そうとするする「女の遠心力」ですー。それは、生物学的な「XY」の染色体からスピンアウトしようとするXXの遠心力なのだろうかー、あるいは、肉体的な男の「筋肉美と貨幣経済力」からだろうかー、或は、糸のように人の行動を操り、着せ替え人形のファッションのように人の意識を包む情報操作と潜在意識に浸透する「マスコミ」から飛び出そうとする「女の力」だろうかー?ともかくも、いろいろな刺激を与える原色のトリッキーな映画でした。
 

4本目の「苦役列車」は、私小説的「青春」惨酷映画でした。少なくても「青春時代」には、お金はなく貧しいが、明るい「未来」があるー、少なくても老人たちよりも将来に向かって希望を摑む豊富な「時間」があるー、或は、少なくても性欲と体力によって膨張したはちきれる「エネルギーとリビドー」があり、盲目的で持続的な努力にリンクしていたのだが、これが「青春時代」の特権であった筈です。しかしここにあるのは、暗い絶望と、刹那的な暴走と、淡く未熟な恋愛意識と、異性にギコチナイ性欲と、その日暮しの賃金と、肉体に疲労とアルコール臭だけを残す日雇い労働と、陽の差さない孤独で哀しいアパート生活しかない「青春」像でしたー。これはまさしく、自動車工場の社員寮で、時給日給から部屋代光熱費食事代を天引されて、生活ギリギリの賃金で漸く生き、一方的な人員整理で解雇されて、仕事と住む家を取り上げられた現代の若い派遣労働者たちの「実像」ではないのかと思いました。これは、寒い早朝に日比谷のテント村に並んだ若者達の姿ー、何故、俺に恋人がいないのかと自暴自棄になり、無差別殺人にまで追い込まれ、人格崩壊させた現代の青春像そのものです。

お笑い芸能プロ・吉本興業に、東大京大卒業の学歴エリート達が演芸の舞台に立ち、エリート官僚達が公務員を退職して俳優になる昨今、これまでの終身雇用と年功序列の≪職業観≫は一変しました。作家像も随分変わってきました。私には、「小説家」というと、どうしても島尾敏夫のようなの「私小説作家」を思い浮かべてしまいますが、近頃、大卒エリート達が小説を書いて作家生活を始める時代になりました。が、第144回芥川賞を受賞した西村賢太の私小説はそんな生ぬるい「私小説」ではありませんでした。一時期、芥川賞を若い女性作家が受賞して話題になりました。西村賢太の私小説に、ヨクゾこの作品に芥川賞を与えたなーと、私は驚いています。「苦役列車」は、同時代の鬱屈した青春をよく描いています。ただ、私は、この映画にもっと同時代に向かってのアナーキな呪詛と、情念が吹き出す犯罪的咆哮が満ちていてもいいなー、もっともっと私小説的映画であってもいい気がしました。やや上品過ぎる映像表現だなと思いましたー。日雇いアルバイトの専門学校生・日下部正二役に高良健吾を登用させ、古本屋の店番・桜井康子役にAKBの前田敦子を抜擢させるなど、安易な俳優のキャスト選びにも多分に不満がありました。 この人気俳優とアイドルの配役が、この私小説的「毒」を薄めているのではないのかな…!
 


7月推奨「ダークナイト ライジング」★映画のMIKATA【19】★映画をMITAKA…

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◆映像情報
上映時間 164分/劇場公開(ワーナー)/初公開年月 2012年7月/28日/
オフィシャル・サイト
http://www.darkknightrising.jp/

◆スタッフ
監督: クリストファー・ノーラン/製作: エマ・トーマス。クリストファー・ノーラン。チャールズ・ローヴェン/製作総指揮: ベンジャミン・メルニカー。マイケル・E・ウスラン。ケヴィン・デラノイ。トーマス・タル/キャラクター創造: ボブ・ケイン/原案: クリストファー・ノーラン。デヴィッド・S・ゴイヤー/脚本: ジョナサン・ノーラン。クリストファー・ノーラン/撮影: ウォーリー・フィスター/視覚効果監修: ポール・J・フランクリン/プロダクションデザイン: ネイサン・クロウリー/ケヴィン・カヴァナー/衣装デザイン: リンディ・ヘミング/編集: リー・スミス/音楽: ハンス・ジマー/特殊効果監修: クリス・コーボールド
◆ キャスト
 クリスチャン・ベイル:ブルース・ウェイン/ダークナイト=バットマン/マイケル・ケイン:アルフレッド/ゲイリー・オールドマン:ジェームズ・ゴードン市警本部長/
 アン・ハサウェイ:セリーナ・カイル/トム・ハーディ:ベイン/マリオン・コティヤール:ミランダ・テイト/ジョセフ・ゴードン=レヴィット:ジョン・ブレイク/モーガン・フリーマン:ルーシャス・フォックス/マシュー・モディーン:フォーリー市警副本部長

暑いですねー。熱中症にならないようにエアコンで涼しく快適に過ごしましょう。ハワイに行けるお金持ちは避暑地でひと夏をすごすのもいいですねー。近所のプールでひと泳ぎするのも健康と猛暑にはいいですねー。動物園の風通しのいい日陰のベンチで昼寝するのもいいですよー。そうそう、スーパー銭湯で汗を流した後に、リクライニングチェアーでビールでも飲んでオリンピック競技を見ながら寛ぐのもいいですかねー。でも映画好きは、クーラの効いた映画観で2、3本観ましょうー。兎も角も、この夏を快適に自分流に生きましょう。暑中お見舞い申し上げます   ロンドンオリンピックのライブ中継が真っ盛りです。なでしこジャパンのサッカー予選を観戦する声援から始まり、映画監督のダニー・ボイルが演出を担当した開会式典で、エリザベス女王と007のダニエル・クレイグの映像共演に拍手しー、喜劇俳優Mr.ビーンの登場にも抱腹絶倒しましたー。流石にヒューモアの国民性だなーと感嘆しました。女子柔道の激しい気力の衝突もありました。水しぶきと筋肉の緊張が一瞬の勝敗を賭ける水泳競技もありました。これでは、退屈な駄作映画を見ているよりもよほど興奮するー、映画の笑いよりも間髪の技で勝負が決まるオリンピック競技の方が感激するー、という映画ファンも多いのではないでしょうか。私も毎晩深夜までテレビに釘付けです。今回は、夏休みの子供向けアニメ映画が多くて、時間を惜しんで鑑賞する映画が少なかったです。でも、一応評判の高い「おおかみこどもの雨と雪」だけは観ました。ジーとする物語だなー、僕もこんな童話が書きたいと痛感しました。旧作をリライトして「ニッサン童話」賞にでも応募してみますかー。

 7月下旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は 2本でした。1本目は、新しい法王を選出するために各国の枢機卿たちが招集され、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂で投票が行われる、ある意味で厳粛な宗教映画でした。が、選ばれたメルヴィル(ミシェル・ピッコリ)は、法王という地位の重責と、カソリック教徒たちの頂点に立ち、信仰の最高指導者として崇められる自分に心が揺れ、街中へ失踪する、宗教的権威のヒィエラルキーを崩壊逆転させる「ローマ法王の休日」(ナンニ・モレッティ監督)でした。2本目は、「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」に続くシリーズ完結編といえる「ダークナイト ライジング」(クリストファー・ノーラン監督)です。ゴッサムシティを狙う暗闇の悪の象徴・ジョーカーを倒した8年後、再びブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)が、ゴッサム・シティの平和を破壊するベイン(トム・ハーディ)の前に、バットマンの姿で立ちはだかるー。とは言え、ストーリの連続性を、ヤヤもすると失念しそうな第3作目でした。

「ローマ法王の休日」もホンワカやさしいペーソスとヒューマンな温かみを感じさせる味わい深い映画でしたが7月下旬の推奨映画にこの≪バットマン≫シリーズの突出した娯楽性を評価してダークナイト ライジング」を選びました。

 1本目の「ローマ法王の休日」は、どうしたらこんなヴァチカンの権威を覆してヒューモラスな宗教映画が描けるのだろうかと、原作兼脚本と監督を努めたナンニ・モレッティと、法王もまた一人の人間であり、自分の信仰に誠実な聖職者で、気弱で優しげな新法王を演じたミシェル・ピッコリの演技力にもまた感嘆しましたー。ひょっとしたら、ローマ法王の権威をここまで失墜させるようなこのような映画にヴァチカンからクレーム報道が発表されるのではないかと、心配するくらいです。しかし、私には、演劇好きで、信仰とは何かーと自問自答する市井の聖者というイメージは、まるでカロル・ボイチワ枢機卿の再来を望むようなストーリと思えましたー。寧ろ、欧州の政治の混乱を見たときに、この映画には、改めて今世界が法王に求める期待感が描かれているのではないのかな・・・!

ローマ法王が亡くなった後に、次の法王を決めるために、外界と遮断した部屋に籠って行われる法王選挙「コンクラーベ」の厳かな雰囲気と伝統的なセレモニーは、ハーバード大学で宗教象徴学を専門にするロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス主演)が登場する「ダ・ヴィンチ・コード」の続編「天使と悪魔」(ダン・ブラウン原作。ロン・ハワード監督。2009年公開)で精彩に描かれて、未だに私たちの記憶に新しい傑作映画です。

以前にも引用した岩浪新書の「バチカン ローマ法王庁は、いま」(郷富佐子著)には、1978年10月のヨハネパウロ二世の誕生をサンピエトロ広場の信徒達と群集に告げる白い煙の立ち昇る瞬間を描いていますが、バルコニーでポーランド出身の「カロル・ボイチワ枢機卿」が就任の挨拶したとき、群集はドイツ軍の石切り場の強制労働を生き抜き、共産圏で生き残った彼の経験の重みに拍手喝采したー。ミシェル・ピッコリの演技と雰囲気は、ヨハネパウロ二世によく似ていました。

 2本目の「ダークナイト ライジング」は、、クリストファー・ノーラン監督による「バットマン ビギンズ」(2005年公開)「ダークナイト」(2008年公開)に続くシリーズ完結編といえる第3作目の作品です。私は映画を見ながら、ハテ旧作のストーリ展開のつながりはどうであったかなーと混乱しました。そこで、これまでのストーリを簡単にまとめておきます。第一作で、大富豪一族の御曹司に生れたブルース・ウェインは、お屋敷の井戸で体験したコウモリの大群に異常な恐怖心を持ち、さらに両親が眼前で惨殺されることからさらに大きなショックと恐怖心を残した。父の遺した財閥企業を受け継いだブルースではあるが、子供の頃に体験した恐怖心と根深いトラウマ、忌まわしい過去の復讐心と「悪」への憎悪に悩まされていた。そこで、ヒマラヤの奥地に潜む秘密結社「影の同盟」の中で心身を鍛え、自分の心の弱さと心の闇から自分を解放しようとする。そして再び彼は新しい人格でゴッサム・シティへと舞い戻って来る。街は犯罪と暴力がはびこってたいた。ブルースは、恐怖心の元凶であったコウモリを「悪」への武器にして、黒いこうもりのマントを身に纏い、コウモリの羽ばたく仮面をかぶった「バットマン」姿に変装して、悪の組織と戦いを始めるー。

第2作で゜はバットマンは、ゴッサムシティの警察組織のゴードン警部補と手を組み、闇の世界で暗躍する白塗りの化粧に裂けた口に血のように赤いルージュを塗った「ジョーカー」との戦いを始める。バットマンと平和なゴッサムシティには、次々と凶悪事件が巻き起きていた。そんな中で、新しく街にi赴任した正義感に燃える地方検事・デントもまた、バットマンの悪との戦いに協力しあう一員となる。ジョーカーは街を混乱に陥れ、バットマンたちを破滅の窮地に追い込むー。今回の「ダークナイト ライジング」はその続編になります。

第3作のこの作品にこれまでにない何か新しい魅力的要素があるとすれば、セクシーな肉体でバットマンを翻弄する魅力的な悪役の「アン・ハサウェイ」の登場でしょうかー。他の映画で登場した魅力的な悪役を様々な場面に起用する≪バットマン≫シリーズもまたステキな映画を想像できます。魅力的な悪役はバットマンの敵でなくて、パートナーなんですねー。単純に楽しみ、映画で時間を忘れるというのが「娯楽映画」の真骨頂なのですね。今回の表の悪役「ベイン」(トム・ハーディ)と、一夜をバットマンと共にした身近な女という意外な影の悪の「ミランダ・テイト 」(マリオン・コティヤール) もまた魅力的な悪役でした。これまでにない優れたストーリトリック、逆転劇の伏線です。私としては、結局、アメリカ人の本質、アメリカの≪正義≫がよく表出されている作品だなと思います。「悪」との戦い、滅ぶか滅ぼされるかの闘いしか「正義」は決着がつかないー、ということですかね。

私としては、『ドラゴンタトゥーの女』のように、シリーズ3作品を違う監督が新しく製作して、一本にまとめた3時間程度の長編映画「バットマン」が見たいです。バットマンは、最後に原子爆弾を抱えて海上に消え、ゴッサムシティの破滅を救いました。そして、銅像と墓石が建てられました。がでも、ウェインは生きていそうですねー、これは続編がありそうだなーと予感しました。まるで「シャーロックホームズ」のような終わりかたでした。

★My Favorite Cinema 『ショーシャンクの空に』【20】フランク・ダラボン監督★

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まだまだ猛暑が続きます。暑中お見舞い申しあげます。皆さん、如何お過ごしですかー。お盆休みに入り帰省して兄弟や両親の団欒に囲まれ、家族の温かさを噛締めている人も居るでしょう。オリンピック競技が閉幕した後に、「これで寝れる」と、ホーと一息ついていると同時に、「夢中になれる番組がないー」とテレビ画面の空漠さと静寂の恐怖を感じている人も想像できます。湘南海岸のビーチで肌を焼きながらビキニと女性の肉体に悶々としながら、ナンパゴッコを楽しんでいる若者も居るかもしれませんねー。大きなヒマワリ畑の中で原色の自然に幻惑されていたり、ラベンダーの紫の中で、自然の香りに陶酔している人もありえそうですねー。ひと夏の記憶は、意外とその人の血気盛んな上昇人生と、余生に過去を振り返りながら楽しい想い出を反芻している下降人生に、後々、その人の人生の価値判断に微妙な影響を与えるかもしれませんー。

今年のロンドンオリンピックもいつの間にか、いやや、やっと閉幕しましたー。メダルを獲得するたびに、「これで日本が手にしたメダルは何個ー」と興奮して大騒ぎするオリンピック番組は、もう終わりです。ただ、1964年の東京オリンピックを小学生のときに観戦した世代としては、日本人の経済復興を世界に開陳し、日本人と日本文化の素晴らしさ世界に見せつけー、ルールを守りるフェアープレーのオリンピック精神と肉体の限界に挑戦する選手の汗と気力が美しかった過去のオリンピックには、全く「疑惑」などを挟む余地などなかったな・・・。今回のロンドンオリンピックは「疑惑」だらけで、スポーツのフェアプレーと選手の栄光を汚す「疑惑」の百貨店でしたー。男子バンタム級の清水聡と対戦したアゼルバイジャンボクサーから6回のダウンを奪いながら17対22の判定で敗れたインチキ試合審判ー。 バドミントン女子ダブルスの1次リーグで、準々決勝の対戦相手の組み合わせを考えて故意に負けようと無気力試合をした韓国、中国、インドネシアのバドミントン選手ー。海老沼と対戦した韓国チョ選手との柔道試合は、とうとう「負け」が「勝ち」となる逆転判定でした。柔道の「勝ち負け」の判定の仕方自体の問題が残りました。サッカーの韓国選手が「竹島」の領土主張するアジチラシを掲げて競技場を走り回った政治問題は、その後も尾を引いています。競技の勝敗以外に、オリンピックは完全に国威発揚の場、ナショナリズムが競い合う場となりました。もはや、金銀銅のメダルは、何か開催国の小銭の「コイン」でもしたら如何ですか!

 「夏」はやはり背中がゾクゾクとする、唇がスーとヒンヤリ血のひく「ホラー」が夏らしい映画なのでしょうかー。今日は丁度終戦記念日なのですが、S・キングの中でも、元ナチの強制収容所の所長で逃亡中の、近所に住む老人の戦争犯罪の秘密を握ったハイスクールの少年の「狂気」を描いた『ゴールデンボーイ』もまた面白いなーとも思いました。が、今回の≪My Favorite Cinema≫は、現代ホラーの巨匠、スティーブン・キング原作映画でも、もう1つの非ホラーの系譜、人気ナンバーワンのヒューマンドラマを選びました。

私の信念として、ホラー小説の傑作を書けるクリエイターは、或は、ホラー映画を製作できる監督は、人間心理に通暁していて、尚且つ人の深層に潜む心の闇を暴くことに巧妙で、同時に人間と社会の表層に映る希望の光に注視すことにも巧みです。「希望」とは、喩えて言えば、阿鼻叫喚の中に聴こえる救いのメロディー、雲に翳った月明りに逆照射される淡い光、生きる望みの仄かな幻想ですかねー。:地獄へ垂れてきた蜘蛛の糸に縋る芥川文学の「カンダタ」のようなものです。その糸が切れそうなときに「恐怖」が生れるのです。ホラーとヒューマンはコインの裏表の関係です。人の心の内にある恐怖心と希望は、心の中の表裏一体、人間のペルソナの表と裏です。摩訶不思議な人間の心の多様なあり方なのですから、希望から恐怖へ、慄きから歓喜へ心の振り子を自在に揺さぶるくらいはたやすいことです。恐怖小説とファンタジーノベル、ホラー映画とヒューマン映画は、クリエイターにとっては表裏一体なのです。

こう考えると、『時をかける少女』(2006年公開)、 『サマーウォーズ』(2009年公開)、そして現在公開中の 『おおかみこどもの雨と雪』を製作した、アニメ映画のヒットメーカ、元宮崎駿のスタジオジブリのスタッフの一人だった売れっ子の細田守監督が、未だにアニメホラーを製作しないのが、私には不可思議で、不甲斐なくも思われます。

例えば、映画の原作ホラー作家の鈴木光司原作に、代表的なホラーのヒット映画「リング」があります。最近またまた「3Ð貞子」が公開されましたが、根強い人気があります。でも私は、彼のホラーよりも寧ろファンタジーノベル「楽園」を大きく評価してます。これを読んだときの感動は大きかったですー。どうしてアニメ映画にしないのかな・・・と残念に思う位です。鈴木光司もまたS・キング同様、ホラーと表裏のヒューマンとファンタジーの領域の傑作作品を創作していますー。

英Total Film誌が、ホラーの人気作家のスティーブン・キング原作の映画およびテレビドラマ50作品をランキングしました。ずらりと彼の作品を眺めていると、よくもこれだけの名作を続けて書けたなーと感嘆します。読者の関心をひきつける起承転結の起伏と弛緩、淡々とストーリを物語る説話的想像力と、ゾクゾクするホラー「小説」にまで言葉を昇華する創作意欲と、「これぞスティーブン・キング」と言わせる涸渇しない奇抜なストーリトリックの才能・・・。日本の現代作家で言うと誰かなー、私は最近、浅田次郎の「降霊会」を読んで、ウーム、浅田次郎かなーと思い、いやいや、鈴木光司のホラー「リング」とファンタジーノベル「楽園」を並べるならば、日本のスティーブン・キングだなと思いました。

多作なS・キングの小説を原作とするたくさんの映像作品のなかから世界のファンが第1位に選んだのは、フランク・ダラボン監督、ティム・ロビンス主演作のショーシャンクの空に」(1994)でした。今回はどちらかというと、ホラーから逆照射される生きる執念の「希望」の名作に触れることにします。

原作の「刑務所のリタ・ヘイワース」は、S・キングの非ホラー系小説を集めた中編集「恐怖の四季(Different Seasons)」の春夏編に収められている小説です。この中編小説集の秋冬編に「スタンドバイミー」が収められていました。

尚、今回の50作品を参考までに列記しておきます。ベスト作品からワースト作品へとランキングされており、ここから再び次回の、≪My Favorite Cinema≫が選ばれる筈ですー。
1.「ショーシャンクの空に」(1994/フランク・ダラボン監督
2.「シャイニング」(1980/スタンリー・キューブリック監督)
3.「グリーンマイル」(1999/フランク・ダラボン監督
4.「スタンド・バイ・ミー」(1986/ロブ・ライナー監督)
5.「ミザリー」(1990/ロブ・ライナー監督)
6.「キャリー」(1976/ブライアン・デ・パルマ監督)
7.「黙秘」(1995/テイラー・ハックフォード監督) 
8.「ミスト」(2007/フランク・ダラボン監督) 
9.「デッドゾーン」(1983/デビッド・クローネンバーグ監督) 
10.「ザ・スタンド」(1994/米ABCのミニシリーズ)
11.「イット(It)」(1990/トミー・リー・ウォレス監督/米ABCのミニシリーズ)
12.「1408号室」(2007/ミカエル・ハフストローム監督)
13.「アトランティスのこころ」(2001/スコット・ヒックス監督)
14.「ゴールデンボーイ」(1998/ブライアン・シンガー監督)
15.「クリープショー」(1982/ジョージ・A・ロメロ監督) 
16.「バトルランナー」(1987/ポール・マイケル・グレイザー監督) 
17.「死霊伝説」(1979/トビー・フーパー監督) 
18.「クリスティーン」(1983/ジョン・カーペンター監督)
19.「ペット・セメタリー」(1989/メアリー・ランバート監督) 
20.「シークレット・ウインドウ」(2004/デビッド・コープ監督) 
21.「キャッツ・アイ」 (1985)
22.「死霊の牙」(1985)
23.「ニードフル・シングス」 (1993)
24.「炎の少女チャーリー」 (1984)
25.「ダーク・ハーフ」(1993)
26.「クジョー」(1983)
27.「フロム・ザ・ダークサイド ザ・ムービー/3つの闇の物語」(1990)
28.「ドランのキャデラック」 (2009)
29.「ナイトフライヤー」 (1997)
30.「クリープショー2」(1987)
31.「チルドレン・オブ・ザ・コーン」 (1984)
32.「痩せゆく男」 (1996)
33.「トミーノッカーズ」 (1993)
34.「バーチャル・ウォーズ」 (1992)
35.「ライディング・ザ・ブレット」 (2004)
36.「地獄のデビル・トラック」 (1986)
37.「チルドレン・オブ・ザ・コーン4 アーバン・ハーベスト2」(1996)
38.「スリープウォーカーズ」 (1992)
39.「ドリームキャッチャー」 (2003)
40.「死の収穫」 (1992)
41.「炎の少女チャーリー・REBORN」(2002)
42.「チルドレン・オブ・ザ・コーン5 Fields Of Terror」 (1998)
43.「マングラー」 (1995)
44.「チルドレン・オブ・ザ・コーン3 アーバン・ハーベスト」 (1995)
45.「キャリー2」 (1999)
46.「チルドレン・オブ・ザ・コーン666 ザ・チャイルド」(1999)
47.「ペット・セメタリー2」(1992)
48.「地下室の悪夢」 (1990)
49.「チルドレン・オブ・ザ・コーン Revelation」 (2001)
50.「マングラー2」 (2002)

さて、執念の「希望」をテーマとするフランク・ダラボン監督の『ショーシャンクの空に』に戻りましょうか。私は、これを書くために原作の「刑務所のリタ・ヘイスワース」(新潮文庫『ゴールデンボーイ』に所収、浅倉久志訳)を読んで、もう一度映画を観ました。まず、そのストーリ紹介と感想から書き始めましょうかー。

ストーリは、黒人終身刑の調達屋レッド(モーガン・フリーマン)が回想する形式で語られます。1947年に妻とその浮気相手を六連発38口径の拳銃で殺害した、ポートランド大銀行の副頭取だった終身刑のアンディ・デュフレーン(ティム・ロビンス)が、1949年にメイン州のショーシャンク刑務所に収監された。30歳の砂色の髪と小さい器用な手をした小男と表現されてます。第5監房区14号房の壁にはリンダ・ロンシュタットのポスターが貼られ、ロックハンマーで穴を穿ち、その裏に隠されていた。壁に貼られたお色気たっぷりのセクシー女優のポスターは、調達屋レッドによってリタ・ヘイワースからスカートが捲れ上がったマリリン・モンローの『7年目の浮気』になり、縁がボロボロになったマリリンからバストがはちきれそうなジェーンマンスフィールドに張り替えられ、ラクエル・ウェルチが登場し、カントリーロック歌手のリンダ・ロンシュタットに替わった。1957年に長い囚人生活の末に、彼はその穴から夜の点呼の後に450mの古いトイレの下水管を這って、ついには脱獄に成功したー。そして、脱獄後の1975年の夏にレッド゜の元にテキサス州のマクネアリーという小さな町からの絵葉書が届いた。

アンディがまだ脱獄計画を準備しているときに、レッドに太平洋に面したメキシコのシワタネホの海岸で小さなホテルを建て、相棒として一緒に経営しようと、終身刑の二人にとっては実現不可能な夢のような計画を呟いていたー。38年間の申請と却下の末に、1976年にレッド
の仮釈放が許可された。レッドが娑婆に出たときに、彼の脳裏に甦ったのが、「バクストンの町に大きな牧草畑がある、その牧草畑の北の端に・・・その石塀の根この黒曜石に・・・」というアンディーが脱獄前に残した言葉であった。レッドは娑婆の生甲斐のなさに失望し、アンディに繋がる「何か」が埋められている、そこを探すためにヒッチハイクを始めた。目印の黒曜石の下には、ビニール袋に手紙と50ドル札二枚が同封されていて、「あの町の名前をまだ覚えているね?私の計画を軌道に乗せるためにも、腕のいい人間の協力がぜひほしいんだよ。・・・わたくしはきみがこないかと、目を皿のようにして待っている。忘れちゃいけないよ。レッド。希望はいいものだ。」と書いてあった。そして、レッドは、とうとうシワタネホの青いビーチに繋留されたボートのある海岸で再開した。そのときの二人は、懐かしさにあふれた万感のこもった微笑を交わしていた。この辺りのハッピーエンドの場面は、監督の脚色才能がいかんなく発揮されています。これがレッドの回想する脱獄計画の顛末です。

アンディにまつわる伝説は数々残されています。収監1ヶ月後、レッドに鉱物採集の趣味のためにロックハンマーを注文した。そして、あらくれのボグズにシスター役を強要され、トコトン抵抗し、生傷が絶えなかった。アンディのエピソードのひとつは49年に起きた。ある日、屋根の修理作業に駆り出された時、惨酷な監視のハドレー刑務主任が、亡くなった弟の遺産相続問題で愚痴をこぼしているのを聞いたアンディーが、節税の解決策を助言して、税務申告に必要な書類作成を申し出た。その見返りに仲間たちへのビールを報酬に要求ー。そのお陰で囚人たちは夏の炎天下で前代未聞のビールにありついた。レッドにリタ・ヘイワースのポスターを注文した頃、彼にシスター役を強要してしつこくまとわりついていたボグズは、ハドレーに叩きのめされ半殺しにされて病院に運ばれた。歴代の刑務所長に仕えたアンディーだが、サミュエル・ノートン所長はアンディを図書係に回し、看守たちの資産運用や税金対策や税務処理の書類作成をやらせた。彼は州議会に図書予算請求の手紙を毎週一通ずつ書き始め、6年目に200ドルの予算を確保した。中古図書を寄贈された中に『フィガロの結婚』のレコードがあった。ある日、彼はそのレコードを所内のスピーカから流した。ノートン所長は、囚人たちの野外奉仕活動「青空奉仕」を利用して、地元の土建業者たちからワイロを懐に入れ、所得隠しまでも請け負わせた。元銀行屋のアンディには、その金を株や債権に変えて闇から闇へ隠匿することなど訳はなかった。65年、ケチなコソ泥で入所した囚人トミーが、以前いた刑務所で同房だった男が、「アンディの妻と浮気相手を殺した真犯人は俺だ」と問わず語りに話した時、アンディは自分の無罪証明の機会に色めき、再審請求を所長は求めたー。でも所長は相手にしなかった。それどころか、アンディが放釈されると不正の数々が明らかになるのを恐れて、諦めさせようと懲罰房に押し込め、そこから出されると、その間にトミーはハドレーに撃たれて死んでいた。その後、嵐の晩にアンディーは脱獄したー。アンディは更に、所長たちの不正の事実を暴露してハドレーは逮捕、所長は自殺した。これがレッドが回想する、アンディーがショーシャンク刑務所に残した神話の数々です。

 フランク・ダラボン監督は、『グリーンマイル』 (1999年)や『ミスト』 (2000年)などのS・キング原作映画の監督だけでなく、原作を再構成しながら、見事に原作のストーリを忠実に1本の映画に脚色しています。しかも彼は、S・キング作品ばかりでなく、他の映画監督の脚本にも数多く関与しています。映画監督以上に、彼はストーリを再構成する脚色能力の優れた脚本家でもあります。例えば、『エルム街の悪夢3/ 惨劇の館』 (1987年。チャック・ラッセル監督)、『ザ・フライ2 /二世誕生』 (1988年、クリス・ウェイラス監督)、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ドラキュラ』(1992年)、フランシス・コッポラ監督の『フランケンシャタイン』 (1994年)、スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン 』(1998年)等の脚本を書き、さらになんと、ジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002年)の脚本にもアドバイスを与えています。

 『ショーシャンクの空に』が公開された1994年のハリウッド映画業界は、スピルバーグ監督が、ナチス党独裁下のホロコーストの時代に、強制収容所のユダヤ人虐殺に抵抗したドイツ人実業家オスカー・シンドラーを描いた『シンドラーのリスト』を公開し、アカデミー賞12部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、美術賞、作曲賞の7部門でオスカーを受賞、そのヒューマンな内容が賞賛された。『ショーシャンクの空に』は、『シンドラーのリスト』の陰に隠れて、やや興行的には振るわなかったのだが、しかしながら、強制収容所でユダヤ人の最後の支えとなった生きる「希望」という共通のテーマで対抗しているのです。「夜と霧」を書いた精神分析医のフランクルは、ゲットーで「希望」だけが生きるための手段だったと書き残した。1994年前後のブッシュ政権下の保守的なアメリカは、湾岸戦争と経済不況の只中にあり、従軍兵士、退役軍人たちの精神的な心の疲弊がピークだったかもしれませんー、兎も角も「希望」が涸渇し「希望」に飢えていたのだろうかーな。

 スチュアート・ローゼンバーグ監督が元兵士のルーク・ジャクソン(ポール・ニューマン主演)を主人公に「暴力脱獄」(1967年)を製作した。私は、銀行頭取のアンディ・デュフレーンとルーク・ジャクソンがダブってしまいます。ややデカダンスな雰囲気を常に持っている演技が持ち味のポールニューマンですが、執拗に自由を求め、脱獄の先に「希望」を抱く姿は共通しているのではないでしょうか・・・。脱線しますが、「戦火の馬」で戦場の前線に張られた鉄条網が体に巻きついて、疾走する馬が横転するシーン、そうです、非常に印象的なあの場面です。ある映画評論家は確か、スティーブマックイーン主演の名作「大脱走」(1963年公開。 ジョン・スタージェス監督 。脚本: ジェームズ・クラヴェル、W・R・バーネット )で、捕虜収容所からオートバイで鉄条網の柵を飛び越えて脱獄しようとして、バラ線が絡んで転倒するシーンを指して、スピルバーグ監督があのシーンを想定していたとアナロジックな分析をしていました。私は、『ショーシャンクの空に』のフランク・ダラボン監督は、ポールニューマンの「暴力脱獄」を想定していたーと、アナロジックに言いたいのですが…!皆さんは、如何思いますか。

 

8月特選「あなたへ」★映画のMIKATA【21】降旗康男監督★映画をMITAKA

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■スクリーン情報
上映時間 111分/劇場公開(東宝)/初公開 2012年8月25日

オフィシャル・サイト   http://www.anatae.jp/

■スタッフ
監督: 降旗康男 /原作: 森沢明夫「あなたへ」(幻冬舎文庫)
/製作: 市川南。平城隆司。服部洋。見城徹。山本晋也。岩本孝一。冨木田道。宮坂学。吉川英作。笹栗哲朗。樋泉実。中井靖治/プロデューサー: 佐藤善宏。前田光治。小久保利己。進藤淳一/共同製作: 佐々木崇夫。村田正敏。河合隆。横山哲夫。武蔵徹。島倉正。大辻茂。古田栄昭。伊藤裕造。前原晃昭。渡辺興二郎。加藤宏一郎/ アソシエイトプロデューサー: 藤原恵美子/ラインプロデューサー: 傳野貴之/企画: 市古聖智。林淳一郎/脚本: 青島武/撮影: 林淳一郎/美術: 矢内京子/編集: 菊池純一/音楽: 林祐介/音楽プロデューサー: 和田亨/音響効果: 佐々木英世/VFXスーパーバイザー: 立石勝/スクリプター: 阿保智香子/照明: 中村裕樹/装飾: 鈴村高正/ 録音: 本田孜/助監督: 宮村敏正/プロダクションアドバイザー: 山田健一/プロダクション統括: 金澤清美/

■キャスト
高倉健:富山刑務所技官の倉島英二/田中裕子: 刑務所に慰問に来ていた童謡歌手であったが、結婚して妻になった倉島洋子/佐藤浩市: イカめしの実演販売をする南原慎一。平戸の漁港で食堂を営む妻と夫婦であったが、行方不明の失踪者になっている/草なぎ剛:イカめし販売の主任役の田宮裕司。妻が留守の間に男と浮気をしていると悩む。/余貴美子: 食堂を営むおばちゃん役の濱崎多恵子/綾瀬はるか:食堂の娘役の濱崎奈緒子/三浦貴大:釣り船屋の息子で、漁師の大浦拓也。綾瀬はるかと結婚する約束をしている。/大滝秀治:つり船屋役の大浦吾郎で、散骨のために舟を海に出してくれる/長塚京三:刑務所の刑務官役で倉島の親しい同僚役の塚本和夫/原田美枝子:妻役の塚本久美子/浅野忠信:警察官/ビートたけし:杉野輝夫/岡村隆史/石倉三郎/根岸季衣/不破万作/ 山本哲也/掛田誠/井上康/芦川誠 /井上肇/岡田花梨/船木正人/野澤結可/御供信弘/特に、阪神の優勝するシーンに多くのナニワの芸能人タレントが参加していました。



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


宝石紫残暑お見舞い申し上げます。夏休みもそろそろ終わりですね。でもまだ日中は35℃の熱波に歩道が熱せられ、熱帯夜で眠れない不眠が続きます。私は依然、失業状態が続いていますが、私の気分は、日本では≪個人情報保護≫とはどうなっているのーと脳みそが沸騰しています。


さて、特選映画をアップロードします。前半は、お盆休みを挟んで鑑賞する時間が足りなくて、また、子供向け作品が多くて、見た映画(或は、見たい映画)が少なかったです。それでも、後半は力作が続いて次々と公開されました。今回は、いつものペースに戻って、月1回の≪特選映画≫にいたしました。映画館で観賞した映画は8本でした。

宝石緑凄腕の女スパイのナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)、アイアンマン(ロバート・ダウニーJr.)、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)、雷神マイティ・ソー(クリス・ヘムズワース)、バナー博士ことハルク(マーク・ラファロ)たち、それぞれお馴染みのスーパーヒーローたち、特殊な戦闘能力を持つコミックヒーローたちが、ニック・フューリー(サミュエル・L. ジャクソン)が率いる国際平和維持組織シールドの基地団結に集結して、地球の破滅的支配のためにロキが強奪した≪四次元キューブ≫を奪還しようと戦う『アベンジャーズ』(ジョス・ウェドン 監督)です。2本目は、古代遺跡に残された共通する古代文字とサインから物語が始まる『プロメテウス』(リドリー・スコット監督)です。その古代の形象文字が、遠い宇宙空間の果てに存在する未知の惑星から発信された知的生命体の招待状と解釈する考古学者・エリザベス(ノオミ・ラパス)たち科学チームが、人類の永遠なるテーマ・人類の起源「誰が人類を創造したーか」の謎の答えを、遠い惑星の未知の宇宙人・エイリアンに挑んだのですが、私には、「エイリアン」第1一作目の監督であるリドリー・スコット監督の、この二番煎じが許せない。3本目はバレーボール部キャプテンであり、学校の中で仲間の話題にはなるが、しかし≪桐島≫は、シンボリックな存在であり、関係性だけを追いかけられ、姿かたちのない不在者、捕捉できない「桐島」をめぐる不条理劇のような青春ドラマ「桐島、部活やめるって」(吉田大八監督)です。


4本目は、アーノルド・シュワルツェネッガーの主演で大ヒットした『トータル・リコール』(1990年公開。ポール・ヴァーホーヴェン監督)を、主人公ーをコリン・ファレルに変え、近未来の極東的下層社会の貧民街を舞台にして、レン・ワイズマン監督がリメイクした3Ⅾ作品です。5本目は、『ダークマン』(1990年)『シンドラーのリスト』(1993年)『96時間』(2008年)『アンノウン』(2011年)『特攻野郎AチームTHE MOVIE』(2010年)などアクション俳優のリーアム・ニーソンが、凄まじい吹雪の荒れる悪天候の空を離陸する飛行機に乗り込み、アラスカの極寒の山中に墜落してー、生き残ってもその後、原野の雪原の中で凍死するか、餓死するか、クマのように巨大で獰猛な飢えたオオカミの餌食にされるかー、石油採掘現場の生き残った作業員達のサバイバルを描いた「THE GREY 凍える太陽」(ジョー・カーナハン 監督)でした。6本目の「るろうに剣心」(大友啓史監督 )は、週刊少年ジャンプに連載された和月伸宏のコミック「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」を実写映画化したもので、やや世代がずれるのでマンガは未だに読んだことがないので、予断も先見もなく全く新しい作品として鑑賞しました。幕末・明治維新に活躍した薩長の暗殺者「人斬り抜刀斎」が、再び明治11年の東京に、二度と人を殺戮しない緋村剣心「るろうに剣心」として現れる、そのストーリ設定に無理が無いのかな?。7本目の「あなたへ」(降旗康男監督)は、妻(田中裕子)を亡くした:刑務所技官(高倉健)が、故郷の海へ骨を散骨してくださいという妻の遺言で、富山から長崎の平戸の港まで、長旅をワゴン車でひとり旅をするロードムービーです。8本目の「闇金ウシジマくん」(山口雅俊監督・脚本)は、、2010年にはテレビドラマにもなった500万部ベストセラーの人気漫画であり、さらに、2011年には第56回小学館漫画賞を受賞した真鍋昌平のコミックの劇場版です。がただ、DVDに成ったとしても、この同じ映画を二度と見たくないー、という後味の悪い映画でした。そして、今月の特選映画に「THE GREY 凍える太陽」か「あなたへ」かを迷った末に、ベルあなたへ」を選びました。

宝石赤現在上映中の『怪談新耳袋』(井口昇監督) 、ジョン・カーペンター監督が製作したSFホラーの傑作『遊星からの物体X』(1982年)を、CM業界出身のプロデューサ、マシーズ・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr監督がリメイクした 『遊星からの物体X  』、中国の怪異譚 『画皮 あやかしの恋』(ゴードン・チャン監督)等を見逃しました。機会があったらDVDで鑑賞したい作品でした。

11本目『アベンジャーズ』(ジョス・ウェドン 監督。北米での映画タイトルは『Marvel's The Avengers』)は、アメリカのコミック誌・マーベル・コミックのヒットさせた主人公たち、スーパーヒーローたちが活躍するー。それを、『アイアンマン』(2008年)、『インクレディブル・ハルク』(2008年)、『アイアンマン⒉』(2010年)、『マイティ・ソー』(2011年)、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年)等のマーベル・スーパーヒーローたちの映画を、いわばウォルト・ディズニー・スタジオの配給で公開したもので、それが、ディィズニーに買収されたのか資本傘下に入ったのか、アメリカの映画業界の複雑な資本関係はよく分かりませんが、提携したことによってスーパーヒーローたちが一作品に集まった、「ヒーローオンパレード」の映画です。邦画で言えば、『鬼平犯科帳』と『剣客商売』と『座頭市』と『るろうに剣心』等の時代劇の主人公たちを1本の映画にごちゃ混ぜに出演させるようなものですー。映画としては、あっちもヒーローこっちもヒーローで、ハチャメチャで面白いが、余りに漫画的で邪道ですね!もしも、この≪アベンジャーズ≫の続編が製作されたならば、噴飯ものです…。

22本目の『プロメテウス』は、人類の永遠なる疑問≪人類の起源≫の謎解明に挑んだ巨大企業「ウェイランド・コーポレーション」には、ミイラのようによぼよぼの会長が隠れて宇宙船に乗り込み、未知の惑星を目指して出船する。けれどもその目的は、不老不死の願望のために建造を手がけた宇宙船「プロメテウス号」であったーという顛末がいかにも現代的ですかねー。けれどもこの映画のリドリー・スコット監督にオリジナリティーは無いです。

センセーショナルな番組宣伝が流されているので、いやおうなく関心が向く映画でしたが、ただ、私は1994年に公開された映画『スターゲイト』(「Stargate」。ローランド・エメリッヒ監督)のリメイク版とまでは言わないが、ほとんど二番煎じのリバイバル版ではないのかなーという印象です。あるいは、監督が同じなので類似性があるのは当然だが、「エイリアン」(1979年公開。リドリー・スコット監督)シリーズの創作アイデアが似ている野ではないのかなー。特に、人間の姿形と知能を持ち、会長の使命を内在するアンドロイドの「デヴィッド」(マイケル・ファスベンダー)の登場は、あれれ「エイリアン2」のヒューマノイドロボット「ビショップ」の脱出劇のアイデアとストーリよく似ているなーと直感しました。また、エジプトで発見された謎の環状遺跡を考古学者のダニエル・ジャクソンが遺跡の謎を解明して、ゲートを潜った先にある宇宙空間の捜索をする「スターゲイト」のストーリと何か似てませんか・・・。「プロメテウス」は、確かにリドリー・スコットによって可也脚色されていますが、やはり私には二番煎じの映画としか思えませんでした。

33本目の『桐島、部活やめるって』(吉田大八監督監督)は、よく分からない映画でした。原作小説の未熟さゆえに分からなさなのか、吉田大八監督の演出の失敗なのか、脚本家が原作を十分咀嚼していない脚色力不足の作品なのかー。高校生でバレーボール部のキャプテンで学内の人気者の桐島「存在Ⅹ」は、果たして何者なのか?ーが、この映画の特徴でした。第22回小説すばる新人賞を受賞した「朝井リョウ」が早稲田大学在学中に書いた小説を映画化したもので、出版社の仕掛けた人気女子大生作家の商品降臨か?ー とも思いましたが、しかし、≪桐島≫は、何を象徴しているのかーな。≪青春≫そのものが謎で捕捉出来ない不条理なもの、と言ったらきっと格好いい解説になるだろうが、このあたりは、劇作家サミュエル・ベケットの不条理劇の戯曲「ゴドーをを待ちながら」の二番煎じの小説ではないのか?ーな、と率直に思いました。早稲田の文科系の学生ならば、当然知っている作家と作品と「不条理劇」の概念だろうから、ベケットの模倣もどきの小説であっても可笑しくないです。けど、原作の不条理なドラマ性を曖昧にしたまま映画化したので、田舎の一本道を「学校」に、ウラディミールとエストラゴンという浮浪者やポッツォと従者・ラッキを映画部の「前田涼也」やバレーボール部の部活仲間や周辺の女子高校生に置き換えたとしても、「桐島」を≪今日は来ないが明日は来る≫という「ゴドー」というわけではないだろうねー?。未消化の原作と脚本によって、大胆な青春映画の失敗作です。

44本目の『トータル・リコール』ポール・ヴァーホーヴェン監督版は、舞台が火星でしたが、それに対してレン・ワイズマン監督版は、何処か東南アジアの未来都市の下町が舞台でした。バーチャルな体験記憶を人工的に脳に薬物と電気刺激で植えこむ「リコール」社で、自分の望む記憶を脳内に注入するというコンセプトは、旧作と同じなのですが、近未来の人類は、世界が富裕層の「ブリテン連邦」と貧民階層の「コロニー」の二つの地域に分極されて支配されるという未来社会はやや設定が異なっていました。そこに、警察ロボットを製造する流れ作業の工場労働者のダグラス(コリン・ファレル)が、本来の自分に覚醒するというストーリでした。比較の問題ですが、私は、アーノルド・シュワルツェネッガーの主演の旧作の方が好きです。


私の気になることの一つは、最近のハリウッドの近未来社会を舞台とした設定が、富裕層と貧民層の二極分化によって、社会が金で支配するものと金で支配されるものが、完全に分かれている社会形態の描き方です。実社会もまた、この二極分化されていることもまた事実なのだが、私たちの近未来は、少しもパ゛ラ色幸福な社会に向かってないー、むしろ険しく暗澹とした姿ではないか。世界は新しい近未来社会の構想を待っている…。



私たち人間の脳は騙されやすいです。嘘や幻覚ばかりでなく、事実を隠蔽したり、マスメディアが世論を操作したり、「理性」ですら真実と嘘が見極め難くなっています。少なくても、政党や政治家によって支配され操られるのだけはご免です。そんな事を私たちに教えてくれる映画でした。

55本目の『THE GREY 凍える太陽』(ジョー・カーナハン 監督)は、映像とストーリが地味な映画ですが、アラスカの極寒原野の中で凍死するか、餓死するか、巨大で獰猛で飢えたオオカミの餌食にされるかー、ナカナカと見応えがありました。人間のサバイバルを掛けたストーリですが、その相手が自然であると同時に、動物の中で唯一≪復讐≫を本能に持つ、自然の中で獰猛で雄雄しく群れで生きるオオカミでした。逃げて逃げて、オオカミと戦いオオカミを殺し、最後の一人の生き残りとなり生き延びたが、オオカミの群れの縄張りの「巣穴」に入り込んだ主人公が、オオカミの群れに囲まれて、生きるか死ぬかという死闘の直前に、「最後に、最強の敵と戦って死にたいー」という言葉が主人公のオオカミハンターのオットウェイ(リーアム・ニーソン)の脳裏に甦る。彼の父の創作した「詩」であると回想されるが、果たして本当は誰の「詩」なのかな、と、私は最後に思いました。

66本目の『るろうに剣心』(大友啓史監督。大友啓史脚本 )は、悪の権化のような実業家・武田観柳(香川照之)と、麻薬とやりたい放題の暴力を揮うを用心棒と、「人斬り抜刀斎」を名乗る偽者の殺戮者を相手に、斬れない刀で激闘をする、いわば≪勧善懲悪≫の時代劇です。娯楽性の高い面白い映画でした。でも、私たちが拍手する正義の味方は、庶民をイジメ、女子供を踏み潰す悪人たちであり、私たちは、悪人達がメタメタに倒されるシーンに拍手するのですねー。弱いものいじめを懲らしめる方に味方する、或は弱いものに味方する日本文化に根深くある「判官贔屓」の気質と言いたいことです。しかし、流浪の暗殺者にもかかわらず、どうして、あんなにも洒脱な笑いと優しい仕草なのでしょうかーね???。例えば、司馬遼太郎が発掘した維新のスーパースター・竜馬の仲間の一人であった土佐藩郷士「人切り以蔵」といわれた暗殺者・岡本以蔵」ー、るろうに剣心のアイデアの原型は、あんなに優しく明るいしなやかな正義感は盛ってなかったな、という疑問が一点ありました。私にはやはり、日本文化独特の「暗殺者」に投影された文化の≪歪み≫のような気がします。コミックの「ゴルゴ13」にしても、松田優作主演のハードボイルド映画「蘇える金狼」(1979公開)にしても、似たりよったりのパーソナリティーですねー?。これは何を意味するのか…???映画やコミックの主人公は、私たちの文化の鏡です。何方か社会学者は、謎解きをしていませんかねー、私自身の課題とします。



77本目の『あなたへ』(脚本:青島武)は、久々の高倉健主演で、やはり地味ですが重厚な映画でした。実感として、血しぶきと汗の飛び散るヤクザ映画のスターの横顔が余りに「老い」ているので、驚きました。時代は流れ、時代は去ったー、でも、映画は永遠だなー、と寂寞とする。途中さまざまな人たちと旅で出会います。例えば、山頭火の自由詩を口ずさむ元教師、実は車上荒しのビートたけしの演技は、完全に高倉健を食っていました。ビートたけしは、詐欺師という配役がピッタリですねー、私は彼の映画では「教祖誕生」 (1993年公開)が一番好きです。日本全国をイカめしの実演販売をする草なぎ剛、一見穏やかで何の悩みもなさそうですが、妻の不倫に悩む男ー、その同僚の佐藤浩市ー、実は嵐の海に行方不明になって生命保険の掛かった命で借金を返済した保険金詐欺の佐藤浩市も、彼の妻役で、平戸で食堂を営むおばちゃんの余貴美子、娘の綾瀬はるか等、スクリーンにはベテランの俳優達が顔を揃えています。が、何かしら過去に暗い経験をした人たちばかりです。秀作ではないが駄作でもないー、名優達がそろっているが、誰が主役でもないー、平成の世に生きる庶民の何気ない日常がまた味わいのある映画でした。でも、誰も彼もが輝いているが、いびつな真珠のようです…。特に、妻の田中裕子でさえもが、刑務所へ慰問に来ていた童謡歌手ですが、獄中にいる男と会うために慰問に来ていた、いわくありげな過去を持っていたようだ。

劇中で、「旅」と「旅行」の違いは分かりますかーなどと聞くビートたけしの不器用なセリフも演技も素晴らしかったです。私も山頭火が好きなので、旅に目的があるかどうかーとか、旅に帰るところがあるかどうかーの違いですね、などというセリフに「確かにー」と感嘆しました。

88本目の『闇金ウシジマくん』(山口雅俊監督・脚本)は、私にとっては気分の悪い、心を逆なでる出来損ないの映画でした。「世の中は金が全てよー、人間は金を持つものに支配され、金を持つものが、人の欲望を支配する。人間はお金に溺れ、お金で破滅する・・・」。何かしらヤクザなサラ金業者の論理を、無理やりに押し付けられるような後味の悪い映画゜でした。暴力団まがいの暴利な取立てをしていたサラ金の「武富士」が倒産している現在、まさかもうこんな≪闇金≫は居ないと思うが、映画に登場するだけでも薄気味悪いです


最後のシーンで、山林の奥深いの木に裸で縛られ、甘いぶどう酒を全身に浴びされ、一人放置される場面がありました。体全体に昆虫が集まり、這い回るシーンは薄気味が悪かったです。マグロ船で働けとかー、ソープに売られるとかー、内臓売買の人身奴隷にされるとかー、サラ金闇金ヤクザの資金回収やお仕置きは、さまざまに伝わっています。が、あのシーンは、昆虫に肉を齧られて死ぬのかなーと想像しました。こんな無茶は、未だに闇金ヤクザたちのお仕置きの方法なのでしょうかね…???暴利を貪りヤクザな取立てをしていたサラ金の「武富士」が倒産しました現在、もうこんな法律違反の暴力金融「闇金」は、まさか無いでしょうね…ね?


闇金の取り立て屋の餌食となったスナックのママの娘役に大島優子が出演しました。同じAKBの前田敦子の「苦役列車」に続いて女優としての演技が問われる映画でした。可愛いアイドルというだけで、まだまだ、海のものとも山のものともハッキリしない演技力でしたが、主演で個性的な配役で女優としての才能も頑張っていただきたいですねー。その内にAKBは、身内のスタッフだけで映画の≪AKB劇場≫でドラマ製作でもするのではないですかね…。




流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


9月特選「最強のふたり」★映画のMIKATA【22】★映画をMITAKA…

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流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

◆映画情報
上映時間 113分/製作国 フランス/劇場公開(ギャガ)/初公開 2012年9月1日/
◆オフィシャル・サイト
http://saikyo-2.gaga.ne.jp/
◆スタッフ
監督: エリック・トレダノ。オリヴィエ・ナカシュ/製作: ニコラ・デュヴァル=アダソフスキ。ヤン・ゼヌー。ローラン・ゼトゥンヌ/脚本: エリック・トレダノ。オリヴィエ・ナカシュ/撮影: マチュー・ヴァドピエ/編集: ドリアン・リガール=アンスー/音楽: ルドヴィコ・エイナウディ/
◆キャスト
フランソワ・クリュゼ=フィリップ/オマール・シー=ドリス/アンヌ・ル・ニ/オドレイ・フルーロ/クロティルド・モレ/アルバ・ガイア・クラゲード・ベルージ/トマ・ソリヴェレ/シリル・マンディ/ドロテ・ブリエール・メリット/
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「内憂外患」という言葉がピッタリの現在の日本です。「尖閣列島」や「竹島」の領有権をめぐる中国や韓国との領土問題は、誤解と対応の拙さと外交の失敗によっては、一触即発の国際紛争にもなりそうな危険な燻りを見せています。「税と社会保障の一体改革」のスローガンを掲げて、民主党政権を賭して消費税アップを実現しようとしている野田内閣には、コンクリートの水力ダムと地元利権誘導の土建政治を中止して、無駄な空港や役に立たない高速道路計画を廃止して、天下り官僚の蔓延る道路公団の高速道路を無料化して、少子化と所得格差を生み出す教育格差をなくすための教育費と子供手当てを増額して、授業料の無償化、老人が増えて逆ピラミッドとなった人口比率に対して、老後を豊かにする年金を増額して、医療費をもっと安くするよりも以前に、最優先で、東北大震災の復興ー、福島原発事故と放射能汚染によって国民の最大の関心事になった原子力発電なしに「エネルギー」の供給をどうするかー、自殺者や餓死者さえ出現する低所得者や母子家庭や失業対策や経済再建と回復と産業再生ー、特に私などは、若年層と中高年の失業対策と経済的バックアップと手厚い失業給付等は注目したいですー、高齢化社会をさらに昂進している今、福祉の充実をどう進めるかー等々の解決が焦眉の問題となっています、まさに内憂だらけです。

ただ、率直に言うならば、これまでの長い保守政治の反省と失敗、原子力に代替するエネルギー問題や、経済についての将来のプランも政策も持たない自民党に、再び政権と国民をリードする政治を任せたくないです。さらに敢えて言えば、なんだか坂本竜馬の幕末明治維新という、司馬遼太郎の小説と、時代劇ドラマが作った「偶像」を崇拝して、庶民の政治不信と経済的困窮を煽るようなロマンチックな≪船中八策≫をもじった維新八策を大上段にかざして、恰も≪革新≫と≪進歩≫の高級ブランドの商札とタグが付いたコマーシャルソングのように掲げる≪維新の会≫に任せたくないです。危険な少数エリートと職業政治家達による独断的な「革新」と、庶民を幻滅させ踏みにじり、利潤を追求する企業経営・理念と市民自治の赤字をすり替え、「公僕」という公務員の使命を忘れて、地方政治を単に合理性と経済性と生産性だけで運用しようとする、官僚的な「進歩」政治観に政権を握らせたくないですーね。だからもう少し、「福祉」という視点から私は民主党に政治を続けさせ、見守りたいです・・・!ある歴史学者は「歴史の進歩」とは、・・・不条理な苦痛を減らすことだ・・・と書いてます。we want to be Japan, by the people for the people, for that the politics to reduce  the people's absurdity suffering and poverty. 私は頭に「国民の」を添付して、まずは、日本の政治家が出発点にして欲しい信条です!

9月上旬の推薦映画をアップロードします。映画観で観賞した映画は4本でした。1本目は、リック・ベッソンが製作と脚本を担当し、『トランスポーター3 』のオリヴィエ・メガトンが監督を務める、いつものベッソン流バイオレンスアクションの「コロンビアーナ」です。主人公カトレアが少女から成熟して美貌の暗殺者に成長ー、その激しくも華麗なアクション演技に、美しいアクションヒロインだなーと、私は見惚れました。これは、アンジェリーナ・ジョリーの数々のバイオレンスアクション、≪キャットウーマン≫のハリー・ベリー以来、三人目です。2本目は、「踊る大捜査線」シリーズの第4弾にして≪最終章≫となる「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」(本広克行監督)です。湾岸署内に次々と起きる事件の点と線の先に、、事件は現場で起こっているんですーと、警察権力の官僚組織に対して叫ぶ青島俊作の奮闘と、自分の判断で動けーと捜査本部の指揮権を握る警察キャリアの室井と、退職を決意して青島の元を去ろうと故郷・大分行きの深夜遠距離バスに乗る相棒:刑事の「すみれ」の突然の逆襲がありました。3本目は、デンゼル・ワシントンが超一流の元CIAの凄腕諜報員であり、今は古巣CIAの裏切り諜報部員として登場する「デンジャラス・ラン」(ダニエル・エスピノーサ監督)です。二流の刑事映画ではあるが、国家の諜報活動に不信と疑惑を持ったスパイの悲哀をデンゼル・ワシントンが充分見せてくれました。4本目は、全身麻痺の車椅子障害者で、他人の介護なしでは生活できないバリの大富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)と、フィリップの新しい介護ヘルパーとなったスラム街の貧しくもヤクザな、でも、天真爛漫で魅力的な黒人青年ドリス(オマール・シー)との間に芽生えた奇妙な≪友愛≫を描いた「最強のふたり」(エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督)でした。この中で9月上期の特選映画を、邦画ではとてもこんな斬新な≪介護≫の映画は製作できないなと思った最強のふたり選びました。恐らく邦画が介護をテーマにしたら、介護施設の自慢と過剰な宣伝に終るだろうなー。

コロンビアーナ」の1本目は、惨殺され孤児になったあどけない少女がアメリカの叔父にもとで成長し、美貌の暗殺者になり、両親を殺した仇である麻薬マフィアのボスに復讐する映画です。ベッソンの過去の監督映画『ニキータ』『レオン』『アサシン』、それにベッソンの物真似ですが『ハンナ』(2011年公開。ジョーライト監督)も女ヒットマンの系譜に属すると看做していいですねー、を知る映画ファンには二番煎じと言ってしまえば、それだけの映画なのですが、あれれ、キャットウーマンのヒロイン「ハリー・ベリー」かなと、私は危うく錯覚しそうでした。美貌の暗殺者を演じるゾーイ・サルダナが、しなやかで細身の身体を、華麗に自在にシャープに大胆に、踊るようにアクションする姿は、キャットウーマンの後に、また新しくも魅力的なアクションヒロインが誕生したと思わせました。兎も角も、この映画の魅力は、間違いなく暗殺者のヒロイン・ゾーイ・サルダナの美しいアクションです。

日本刀を振り回して敵をバタバタと斬り殺し、ボスのビルに復讐する女殺し屋「ザ・ブライド」が主人公の、二流アクション映画、でも痛快に面白かった『キルビル』(2003年公開。監督・脚本 : クエンティン・タランティーノ)は、アクションヒロインの傑作でした。さらに、私の記憶には未だ新しいのは、先日テレビでも放映された、今ハリウッド女優でもっと輝いている女優・アンジェリーナ・ジョリー が、アメリカ大統領暗殺計画のためにロシアから送り込まれたコードネーム「ソルト」という謎の女スパイー、でも二重スパイとしてCIAエージェントに成りすまして潜入しているというストーリ設定で、主人公イヴリン・ソルトを演じていた『ソルト』(2010年公開。フィリップ・ノイス監督)もまた、アクションヒロインの登場する傑作映画でした。勿論、彼女の『トゥームレイダー』シリーズもたまらなくよかった。ちなみに、今公開中の『バイオハザードV/リトリビューション』(ポール・W・S・アンダーソン監督)で派手なアクションを見せているミラ・ジョヴォヴィッチもまたアクション・ヒロインに相応しい女優ですねー。オマケで、『チャーリーズエンジェル』(マックG監督)のキャメロン・ディアス (ナタリー) 、ドリュー・バリモア(ディラン)、ルーシー・リュー (アレックス)の 美女3人を≪アクションヒロイン≫に入れても疑問はでないでしょうねー。でも、
三人の美女達のアクションは、ややコメディータッチですかねー。

2本目の「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」(君塚良一脚本)では、湾岸署管轄内で開催された国際環境エネルギーサミット会場周辺で事件が次々に起きる。奇妙な誘拐騒動、無罪で釈放された過去の誘拐犯の射殺、警察組織内部の隠れた容疑者、真下署長と雪乃の娘がさらわれるー。事件の点と線の先に、いつも通りのパターンで、:警察組織のヒエラルキーを脱線する織田裕二の演じる主人公・青島俊作と、和気藹々の警官達との奮闘があった。警察組織のキャリア組でエリート官僚の室井(柳葉敏郎)が捜査本部の指揮権を掌握する最後の凛々しい決断と活躍もありました。過去の事件で銃弾を撃たれ身体の痛みが疼き、「もう限界ー」と退職を決意したすみれ(深津絵里)の哀愁もスクリーンにありました。いつも通りのハチャメチャな事件勃発と、警視庁内部に官僚たちが顔を揃えて、「本店」のエリート刑事たちが現場を無視して事件捜査を排他的に独占する、組織の矛盾を露呈するストーリも、個性豊かな現場の刑事たちの登場もー、いつもながらの娯楽性の高い映画でした。最後にスミレが帰省バスでバナナの倉庫に突進するハッピーエンドのシーンを見ると、あれれ、また次作がありそうな雰囲気だなと思わせました。

ハリウッドでも邦画でも主人公が刑事の数々の名作がありました。勿論、これまでの犯罪捜査と謎の事件解決と拳銃の打ち合い、スリルとアクションの刑事もののパターンから、クリント・イーストウッド演ずるハリーキャラハンの『ダーティーハリー』や、ピーターフォーク演ずる『刑事コロンボ』のユニークな事件捜査と個性は大きな影響がありました。しかし思い浮かべて、邦画にもアメリカ映画の亜流ではない個性的な主人公も登場していてます。武田鉄也演ずる形山刑事の『刑事物語』がありましたー、舘ひろしと柴田恭兵演ずる鷹山・大下の刑事コンビの『あぶない刑事』がありましたー、水谷豊演じる特命係杉下右京の『相棒』もありました、そして織田祐二演じる湾岸署青島俊作の「踊る大走査線」があります。洋画の二番煎じではない、個性的なキャラクターが登場する≪刑事もの≫が漸く製作できるようになったかーと、感じさせた作品でした。映画は文化です。それに反して、なんと韓国映画は、物真似二番煎じばかりですかー!。あえて、香取信吾が誘拐犯の脇役で登場することには触れないことにします。

3本目の「デンジャラス・ラン」は、ドイツの諜報機関が暴いた各国の諜報機関内部に潜む二重スパイなどの汚れた裏の国家情報を敵国に売りさばくスパイ情報密売人、CIA反逆者を演じる。新米のCIAエージェント・ライアン・レイノルズとデンゼル・ワシントンが正体不明の暗殺者たちから逃避行する、危機一髪のバイオレンスアクション映画ですが、でも心の駆け引きが面白いスバイ映画です。デンゼル・ワシントンが製作総指揮を務めている。バイオレンス、スパイアクションの面白い映画というよりも、人間の心の駆け引きが面白い映画でした。

4本目の「最強のふたり」で、フィリップは、スラム街の貧しくもヤクザな黒人青年ドリスを新しいヘルパーに採用した理由をこう話す。全身麻痺の車椅子障害者の金持ちの私に対して、へつらうことも臆することもなく、「彼は私に同情しない。私を対等に見ている」と言う。大富豪フィリップの豪邸で仕事にありつこうとする面接者の場面が印象的でした。誰も彼もがフィリップを世話をする弱き障害者としてしか見ていなかった。彼らの全てが介護者として最適であるかを、そのスキルと知識と経験を自慢し吹聴はするが、誰一人としてフィリップ個人を対等に見なかったー。それに対して、ドリスは失業保険を受給するために面接に来たのだった。

この映画は「介護福祉」や「高齢化社会」へ斬新で新鮮な≪視点≫を映像化しているなーと、思いました。痴呆症を「認知症」と言い換えてどうなるというのだろうかーと私は思うのですが、介護施設でヘルパーとして働いたことがあル私は、四肢の麻痺によつて自分で箸も握れずに、食事も出来ないー、自分でトイレへ歩いて排便できない寝たきり老人ー、痴呆が昂進して何処ともなく呆然と街を徘徊するアルツハイマー患者ー、介護なしには1日として生きて生けない高齢者は増加する一方です。日本はもはや、いやや経済先進国の「世界」はと言ってもいいですが、高齢化社会です。しかし、介護は高齢者を手足とベッドと部屋と家に拘束する、安全で問題の起こらないー、介護施設は「姥捨て山」ですが、家族からクレームや訴訟の問題が起こると困るー、だから、危険を回避した管理介護になっています。だから、介護職員たちは、何事もない、トラブルのない事故のないように、慎重に丁寧に穏やかに危険のないようにビクビクピリピリしています。確かに、大富豪フィリップのように絵画と音楽と庭園に囲まれた素晴らしい環境の豪邸に住み、全身マッサージや入浴のリハビリや、きめ細かく受ける医療と手厚い身体と世話の介護は、誰にも受けられるものではないです。だから、気晴らしに飛行機をチャーターして高原でパラグライダーを楽しむことや、管弦楽団の生の演奏を鑑賞し、賑やかな誕生日のお祝いすることや、文通相手の女性とレストランでデートすることなど、確かに、お金持ちしか享受できない介護ですが、管理主義の介護をやめて、人生の最後の瞬間までより輝かしい個人の「生」を提供するーという介護の視点は、お金ばかりでは実現できないものです。介護の現場に何が必要なのか、介護施設にどんな「介護」が必要なのか、介護の周辺にどんな介護職員がいればいいのかー???私は、「黒人青年ドリスのような・・・」としか言えません。介護スキルが優先され、介護経験と知識が豊富であることが最優先するのではなくて、個性的で文化的で自由で芸術的な環境と、職員に十分な待遇と賃金の与えられる介護ですー。漠然としていますが、もう一度触れたいコメントです…!

 

9月特選「ボーンレガシー」★映画のMIKATA【23】トニー・ギルロイ監督★映画をMITAKA…

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◆映画情報
上映時間 135分/劇場公開(東宝東和)/初公開月 2012年9月28日/
オフィシャル・サイト
http://bourne-legacy.jp/
◆スタッフ
監督: トニー・ギルロイ/製作: フランク・マーシャル。パトリック・クローリー。ジェフリー・M・ワイナー。ベン・スミス/製作総指揮: ヘンリー・モリソン/ジェニファー・フォックス/原作: ロバート・ラドラム(ボーン・シリーズ)/原案: トニー・ギルロイ/脚本: トニー・ギルロイ/ダン・ギルロイ/撮影: ロバート・エルスウィット/プロダクションデザイン: ケヴィン・トンプソン/衣装デザイン: シェイ・カンリフ/編集: ジョン・ギルロイ/音楽: ジェームズ・ニュートン・ハワード/
◆キャスト
ジェレミー・レナー=アーロン・クロス/エドワード・ノートン=リック・バイヤー/レイチェル・ワイズ=マルタ・シェアリング博士/ジョーン・アレン=パメラ・ランディ/ アルバート・フィニー=アルバート・ハーシュ博士/デヴィッド・ストラザーン=ノア・ヴォーゼン/スコット・グレン=エズラ・クレイマー/



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・



恋の矢テレビ朝日は先日、10月期の番組改編について発表しました。それによると「日曜洋画劇場」枠にバラエティーやドラマなどを変則的に投入して、「土曜ワイド劇場」枠を15分拡大するとのこと。つまり、「日曜洋画劇場」の時間枠である日曜午後9時~の時間帯に、今年既にバラエティー特別番組を3本放送しており、洋画放映の替わりに、今後は長時間の大型スペシャルドラマ、バラエティー番組などの娯楽色の強い、視聴率のとれるエンターテイメント番組を投入するようです。今回の変更について朝日放送の平城局長は、「他局もそうだが、洋画の安定的なラインアップの配置に苦労している。ここ数年の洋画の興行収入等の成績を見ていると、なかなか難しい」と、この映画からバラエティーへの番組編成の背景をこう説明しているー。映画ファンの一人として、私はこんな映画と娯楽番組を視聴率の天秤にかけて、洋画番組を捨ててしまう番組編成の方針と発言を、大変寂しいと思っています。皆さんもテレビ朝日の番組方針に反対しましょう…。


9月下旬の特選映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は4本でした。


11本目は、アリス役のミラ・ジョヴォヴィッチが「ゾンビ」のアンデッドを相手に派手なアクションをくりひろげる『バイオハザード』シリーズの第5弾『バイオハザードV:リトリビューション』(ポール・W・S・アンダーソン監督)でした。シリーズが長く回を重ねると、私は前作とのストーリ展開の連続性が曖昧になり分からなくなり、スクリーン上の俳優たちの配役とネームを混乱します。歌手・中島美嘉が出演すると聞いたのでテレビ放映を注意していましたが、雨の降る東京の街角で口唇を真っ赤に血で染めてミラを襲っているアンデッド女性が彼女なのかなー。でも私には、「そこそこ惰性で製作してもー、主役にミラ・ジョヴォヴィッチを登用し、ストーリの連続性で、観客は呼べる。そこそこの興行成績は確保出来るな…」という配給会社の薄笑いの皮算用が聞こえてきそうです。いつも通りの派手なアクションはありますが、ここを観て欲しいという演出の工夫がない、やや雑な製作と脚本の駄作と観ました。


22本目は、安井算哲の半生を書いた冲方丁原作の時代小説「天地明察」(平成21年、角川書店発行)を、滝田洋二郎監督が映画化した『天地明察』(滝田洋二監督)でした。刀の切りあいも戦場の勇ましい合戦も登場しない時代劇です。日本独自の暦作りに青春の情熱と生涯を傾けた主人公・安井算哲を岡田准一が演じて、主人公の涼しく理知的なパーソナリティと、白皙の二枚目俳優の岡田の繊細で知的表情は、実物の安井算哲もこんな風情だったかもしれないなーと納得させるピッタリマッチした配役でした。


ただ希望を言えば、祇園神社宮司の家系であった安井算哲の顔、徳川家康の駿府での囲碁相手であつた安井算哲の顔、囲碁の起原であった占星術から数学へ変貌する安井算哲の顔、多様な顔を持つ彼の知識の変転万化の安井算哲にもっと丁寧に描いて欲しかったですー。月と太陽の運動と軌跡に基づいた天体観測が基礎となっている「暦」は、西洋と東洋文明の宇宙観であると共に、その時代の世界観、人間観を支配していました。だから、原作から少し逸脱してでも安井算哲の多様な顔と、「暦」の持つ世界観、宇宙観のようなものを映像化して欲しかったです。また、天体観測と起動測定に不可欠だった数学において、江戸時代に西洋を凌ぐ逸材だった数学者、関考和なども、やや簡単に描きすぎていましたー。やはり、ハリウッドのように脚本は原作と映像と、周辺の歴史と資料を知悉し、咀嚼している脚本家が書いた方が優れた映画が製作できると思います。邦画においても監督は安易に脚本を書くべきではないなーと思います。


33本目は、マット・デイモンが演じるとCIA暗殺者ジェイソン・ボーンが記憶喪失によって失われた過去を取り戻し、自己の存在確認のためにCIAの陰謀と対峙する壮大で激しいスパイアクション『ボーン』シリーズ三部作ー、その第1作「ボーン・アイデンティティー」(2002年公開。ダグ・リーマン監督) 、その第2作「ボーン・スプレマシー」(2004年公開。ポール・グリーングラス監督)、その 第3作の「ボーン・アルティメイタム」(2007年公開。ポール・グリーングラス監督) ーに続く第4作の「ボーンレガシー」です。先日よりTVで放映してましたねー。脚本と監督を務めるトニー・ギルロイは、第4作で新しいスパイキャラクター、主人公アーロン・クロス(ジェレミー・レナー)を生み出しました。ジェイソン・ボーンは、CIAの極秘プログラム「トレッドストーン計画」に関っていたが、暗殺者アーロン・クロスは「アウトカム計画」に関りを持つ人間殺人マシン化計画の犠牲者です。2人はCIAの秘密の陰謀が暴かれることを恐れられて抹殺の運命を共有していたが、2人はこの映画の中では決して顔を合わせるような接触をしていないー。唯一、2人がクロスするのはアーロンが雪深いスパイの連絡山小屋のベッドで、ナイフで彫られて「ジェイソンボーン」のネームを発見したときだけであった。スパイアクションは再び複雑な論理とを持つ新しい伏線と緻密に組み立てられた新しいストーリ展開を見せています。


肉体と脳神経の改造を受け、スパイを殺人マシン化する「アウトカム計画」により、強靭な肉体と敏捷な神経を持つアーロンは、CIAの秘密計画「アウトカム計画」が明るみになる事を恐れ、CIA上層部より関係者抹殺の指示がだされる。もはやアーロンは改造された肉体と精神を維持するために薬なくしてバランスを保てなくなった。生き延びるために、生理学の美人研究者・マルタ博士(レイチェル・ワイズ)を訪ねる。しかし、彼女もまた陰謀隠蔽のために命を狙われ、危機一髪で彼女を助ける。彼の精神と肉体を薬から開放するために東南アジアの工場へ向かうー。スパイアクションは、国家と国家の間の政治的陰謀と、機密情報の操作と略奪と、敵国への政治的ダメージと内政騒乱を狙った役割は、この映画では全く様相を変えてきた。スパイアクションは、「OO7」から「ジェイソン・ボーン」に変わったといえます。これまでの主人公ジェイソン・ボーンと、新しい主人公アーロン・クロスとの間の、ストーリのより合わせの脚本は大変よく計算されていると思いました。


44本目は、アメリカのスーザン・コリンズの書いたベストセラー小説を原作にした、富裕層と貧困層に分断統治された独裁専制国家「パネム」を描いた近未来社会です。そこには、奴隷的貧困層からくじ引きで選出された12地区男女24人が、人工的に造営された森林の中で最後の一人になるまで殺し合うゲームハンガーゲーム」(ゲイリー・ロス 監督)があった。それを富裕層が娯楽として楽しみ、支配制度に対して政治への不満を解消する「ガス抜き」のゲームとなっていまし殺人ゲームでした。それは、恰もローマ時代のコロセウム競技場で奴隷達の中の強いものが最後に勝ち残り、名誉と自由と栄光を勝ち取るサバイバルゲームのようでした。ところが、12地区から選抜された幼い「少女」の代理として、弓の得意な妙齢な姉カットニス(ジェニファー・ローレンス)が互いが武器を持って決死の戦いするゲームに志願したー。


近未来社会への暗くあっけらかんとした奇抜なストーリの映画は、これまで数々ありました。時間によって庶民階級が支配される『TIMEタイム』(2011年公開。監督・脚本アンドリュー・ニコル)などは、まだ記憶に新しい映画です。旧くは全体主義への警告を発したジョージ・オーウェル George Orwellの原作小説『1984年』を映画化したマイケル・ラドフォード監督の作品もありました、フランソワ・トリュフォー監督の『華氏451』(1966年公開)もありました。'優れた近未来社会を描いた映画は、ある種、暗い社会へ暗転する危機接近への予感的警告が含まれ、得体の知れない危機への予感を映像化していました。しかし、「ハンガーゲーム」は、世界を支配している≪今そこにある暗闇≫を映像化していないのではないかーと、率直な不満を持ちました…!適者生存や自然淘汰や人間の野蛮な本能や貧富の差ー等々が、私たちが今抱えている≪闇≫なのだろうか・…? 映像クリエイターたちは、もっともっと得体の知れない近未来への「予感的危機」を映像化しなければならないのではないか…!

恐らく、階級や社会的階層はなくても、持てるものと持たざるものとの格差の大きいアメリカ社会らしいベストセラーですが、貧富の差が教育格差を生み、教育による職業の選別がより大きな階層化を生み、黒人白人やプエリトリコ人やメキシコ人、東洋人等々の人種的階層化を生んでいるアメリカの不満は、決してわらって入られない日本の明日の悲惨でもあります。金が金を生み出し、金が政治と経済を独占し、経済独占が政治的奴隷を生み出し、経済的専制が政治的独裁を生み出す恐ろしい時代が来る…を多少予感させる映画でした。でも、世界の金融資本主義の「現実」は、映画よりもより深刻かもしれません…。


…そして、私は9月下旬の特選映画に、最初はストーリ展開の重層的な複雑さに戸惑いながらも、アクション映像の迫力と、回を重ねたシリーズであるにもかかわらず計算された厚みのある緻密な脚本に軍配を上げて、ベルボーンレガシー」を選びました。



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・




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