Quantcast
Channel: 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・
Viewing all 323 articles
Browse latest View live

『探偵はBARにいる』★映画のMIKATA【35】橋本一監督★映画をMITAKA…

$
0
0

◆映画情報
配給: 東映/上映時間: 125分/

オフィシャルサイト
http://www.tantei-bar.com/


キャスト
大泉洋=札幌のススキノで活躍する探偵。いつも行きつけのバーのカウンターで酒を飲みながら客からの依頼電話を待つ。/松田龍平=大泉とコンビで空手の師範の腕前で、探偵の相棒兼運転手をする高田。/小雪=桐島の愛妻である沙織。実は探偵に調査依頼をする「コンドウキョウコ」と名乗るナゾの女でもある。/西田敏行=元左翼の実業家の桐島。/マギー/榊英雄/本宮泰風/安藤玉恵/新谷真弓/街田しおん/桝田徳寿/野村周平/

カルメン・マキ/中村育二/阿知波悟美/田口トモロヲ/波岡一喜/有薗芳記/竹下景子/石橋蓮司/松重豊/高嶋政伸/
◆スタッフ
監督: 橋本一/原作: 東直己/脚本: 古沢良太、須藤泰司/音楽: 池頼広/エグゼクティブプロデューサー: 平城隆司/企画: 香月純一、森田潔/プロデューサー: 須藤泰司、上田めぐみ、今川朋美/音楽プロデューサー: 津島玄一/撮影: 田中一成/照明: 吉角荘介/美術: 福澤勝広/装飾: 大庭信正/録音: 田村智昭/整音: 室薗剛/ 編集: 只野信也/



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


9月に入って、学生は夏休みが終わり、また楽しくも辛い学校の授業が始りました。サラリーマンも、お盆休みに帰省したり、家族サービスにくたくたになり、そして元の日常生活に戻ってほっとしているかもしれません…。独身の皆さんー、夏のムチムチ美女との楽しいアバンチュールを堪能できましたか…?ひと夏の終わりは、人生の終りではありませんよ。また、めぐりめぐって夏が来ますー!


それにしても、9月に入って連日の残暑ですね…。熱帯夜から開放されて涼しい朝になったと肌に初秋を感じていたのですが、また夏に戻ったような暑さです…。


気候温暖化は、初夏とか初秋とか初冬とか初春とかの、季節の移り変わりの間の微妙な季節感がなくなって、いきなり「秋」や「冬」が到来するようです。それにしても、関東地方に大地震が来たら恐いな…。


今のところ9月に見た映画は4本でした。『ミケランジェロの暗号』や『ゴーストライター』や『サンクタム』や『アンフェア』等、見たい映画が目白押しの9月ですが、まとめの特選映画に譲って、ここでは途中報告いたします。

1本目の映画は、製作に6年を費やし総製作費35億円を投入したイギリスBBCが製作したネイチャードキュメンタリーの「ライフ ―いのちをつなぐ物語―」(マイケル・ガントン/マーサ・ホームズ 監督)。自然と生きものの生態をリアルな映像でドキュメントにした映画は、これまで「アース」や「オーシャンズ」がありました。今回は、海も野山も空も地球の全てに生息する生き物たちの本能と生活圏を映像にしています。日本版ナレーションを松本幸四郎と松たか子が担当しているのがセールスポイント。


ただ率直に言えば、私は動物園に行ってプールの中の哺乳類や檻の中のゴリラを見ていたほうが、もっと楽しいです。詮ずる所、生きもの達を自然の中で直に観察しないならば、動物園で観察した方が、映像よりももっとリアルで驚きが大きいではないでしょうか…!さらに言えば、映像では、「センス・オブ・ワンダー」は味わえないよ。こんな映像で命や生きものや自然が解ったつもりで居るならば、映画人の傲慢ですよ…!

2本目は、雪深い人里はなれたフィンランドの山奥で元CIA工作員の父親エリック(エリック・バナ)から人を殺す特訓を受けた16歳の少女・ハンナ(シアーシャ・ローナン)が主人公です。彼女はCIAの秘密計画によって遺伝子操作され、「殺人マシーン」として育てられる。痛みと感情を持たないまま成長した「ハンナ」( ジョー・ライト 監督)は、自分の出生の秘密に疑いを持ち、CIA捜査官マリッサ(ケイト・ブランシェット)からヒット指令が出されながらも、追跡をかわす…。


ストーリそのものがB級で、二番煎じで面白くなかった。フィルムを無駄に使うなよ…。幼い少女の殺し屋としては、皆さんもまず初めに、フランス映画の「ニキータ」(1990年公開。リュック・ベッソン監督)を浮かべる筈です 。政府の秘密工作員に仕立てられた不良少女(アンヌ・パリロー主演)が印象的でした。少女が暗殺者のプロになるというストーリ設定そのものが、ウハーと驚嘆するひねりの効いたアイデアです。その次に、麻薬を盗もうと銃撃になり警官を射殺してしまったマギー(ブリジット・フォンダ)を主人公にした1993年公開のアメリカ映画「アサシン」(ジョン・バダム監督)は、リメイク版とはいえ「ハンナ」よりもまともなバイオレンス映画でした。そして、1994年には、あの個性的なフランス俳優ジャン・レノ が、凄腕の殺し屋・レオンを演じるフランス・アメリカ映画の「レオン」( リュック・ベッソン 監督)がありました。靜かに綿密に人を殺す、確かにバイオレンスアクション映画なのですが、少女に殺しのテクニックを教えるレオンと12歳の少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)の純愛物語のような映画でした。リュック・ベッソンは才能があるな…!

そう考えると、やはり映画「ハンナ」そのものが二番煎じですよね。

3本目は、ロシア系ユダヤ人としてパリに生まれ、社交界の美女たち、特にB・Bと浮き名を流した希代の天才アーティストの破天荒な人生を描いた「ゲンズブールノと女たち」( ジョアン・スファール監督)を見ました。恥ずかしながら、私はゲンズブールという芸術家を知りませんでした。アニメを交えた映像が、少しお洒落な演出だなと思いました。彼にもっと興味のある人は、「良くぞ、こんな素敵な映画を製作してくれた」ーと言うだろうが、私は、可もなく不可もない映画かなーという感想です。ただ、彼がロシア系ユダヤ人という背景を持つことに、彼の既存の文化を何かしら挑発する才能に関係があるのか…と、関心を持ちました。山口昌男は彼についてどう書いているかなー、中沢新一は、彼をどのように評価しているのかなー。フランス国家と国歌をレゲーにして歌う顛末で、「フランスへの冒瀆」と、報道陣の前でガンガン批難を浴びる場面は面白かったです。誰か「君が代」をシャンソン風に歌う反逆者がいるだろうかー、ロック風に歌えるシンガーは居るのだろうかー?恐らくその位のインパクトがあったのだろう。

4本目は、「探偵はBARにいる」(橋本一監督)です。流石にテレビの≪相棒≫シリーズの監督だけあって、ストーリの見せ所と盛り上がり、泣き笑いがよく演出してあるなー、原作をパワーアップした映画に仕上げているなー、と思いました。


大泉洋と松田龍平と小雪と西田敏行が共演するハードボイルドで、サスペンスの要素があって、ややバイオレンスな雰囲気も持っている、しかも探偵物語です。でも海外作品も含めて探偵小説とハードボイル小説と、アクションでバイオレンスな映画は数々の名作とヒット作品が既に残されています。いまさらそんな映画を製作してヒットするのか…と、正直私も初め疑問視してました。


しかも、原作を書いた東直巳の作家デビュー小説の「探偵はバーにいる」は、私は既に以前読んだことのある原作で、ただ、文章が下手くそで下らないストーリ…という程度の感想の記憶しか持ってなかったかな…。ただ今回、映画を見た結果、無性に面白い…!もう一度映画を見たくなったー、もう一度原作を読み直してみたくなった程です。私は一押しのいい映画だな、という感想です。


主人公の探偵役を大泉洋が演じ、その用心棒のような相棒を松田龍平が演じるー。大泉洋の映画とは、「もしドラ」で野球監督役を演じたこの映画以来の出会いです。相変らず軽妙で洒脱でお調子者で、軽口の連続だなーという演技で、やはりこの探偵にピッタリのはまり役なのです。松田龍平とは、「まほろ駅前多田便利軒」の 行天春彦役以来の出会いです。相変らず一抹の闇を抱えたような、捉え処のない広大無辺の北海道の大地のような「青年」の演技がピッタリです。 ただ、バタバタと右翼のゴロツキと格闘して、空手であっという間に倒すインテリの武道家という風貌と役柄は、やはり父・松田優作譲りの演技力と、ハードボイルドの血筋かなと感嘆しました。プラス小雪の冷ややかでエレガントなボディースタイルと表情がありました。松山ケンイチが惚れるのはわかるな…。さらにプラス、「星守る犬」以来のご対面である西田敏行の、満面笑みのこぼれる笑いの演技と存在感が、やはりこの映画をさらに魅力的なものにしています。


カルメンマキのテーマソングを聴いて、「エーエエエ」と聞き惚れました。熟女の彼女の素顔を見てまたまた驚嘆しました。でも、テーマソングを歌う彼女の声質があの「時には、母のない子のように…」の昔と違う、まるでブルースっぽい歌声と雰囲気に、生の歌声をもっとジックリ聞いてみたくなりました。


私の推す、今年の日本アカデミー賞の候補作品です。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

『アンフェア』★映画のMIKATA【36】佐藤嗣麻子監督★映画をMITAKA…

$
0
0

◆映画情報
上映時間109分/ 劇場公開(東宝)/ 2011年9月17日公開/

オフィシャル・サイト
http://unfair-movie.jp/

◆スタッフ
監督: 佐藤嗣麻子/ 製作: 堤田泰夫。亀山千広、瀧藤響孔、 山田良明。市川南/プロデューサー: 吉條英希。種田義彦。豊福陽子。稲田秀樹/エグゼクティブプロデューサー: 臼井裕詞 /ラインプロデューサー: 森太郎/原作: 秦建日子 『推理小説』(河出文庫刊)/脚本: 佐藤嗣麻子/撮影: 佐光朗 /美術: 林田裕至/ 編集: 穂垣順之助 /音楽: 住友紀人/音響効果: 柴崎憲治 /主題歌: 中島美嘉 『LOVE IS ECSTASY』/VFXスーパーバイザー: 石井教雄/スクリプター: 巻口恵美/照明: 加瀬弘行/製作担当: 有賀高俊 /装飾: 坂本朗/録音: 阿部茂 /助監督: 山本透/
◆キャスト
篠原涼子= 雪平夏見/ 佐藤浩市= 一条道孝/ 山田孝之= 村上克明/ 阿部サダヲ =小久保祐二/加藤雅也= 三上薫/吹越満= 武田信彦/大森南= 結城脩/寺島進= 山路哲夫/香川照之= 佐藤和夫 /


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


9月に入って、ひと夏の楽しくも儚い悦楽の終わりを記憶の中で反芻しているプレイボーイが居るかもしれません。或いは、この夏が人生の最後の瞬間であるかのように悲嘆しながら、世界の終りと失恋をかみ締めて居る人も居るかもしれません。円高に便乗して海外の避暑地のビーチで、真っ黒に日焼けして成田空港のゲートを降りた人も居るかもしれません。ただ、快楽と歓喜のエネルギーの放出のもう一方のマイナス極には、忘れられないこの夏の「祈り」と慟哭があった。恐らく、本当の悲劇もこんなものではないだろうー。東日本の大地震大震災大津波と、「福島原発」の放射能汚染ー、日本列島をこれでもかと襲来する台風の渦と、紀伊半島を襲った激甚災害ー、そしていつ関東平野を揺すぶるかもしれない大震災の暗い予感で、ナイーブな空想を充満させているかもしれません…。少なくても、私にとってもいつもの「summer」とは異なる忘れられない夏です。兎も角も誰にとっても、後で振り返って見て忘れがたい夏であることに変わりはないでしょう。


ここでは再び9月の映画鑑賞の途中報告をいたします。 今のところ9月に見た映画は3本でした。『ミケランジェロの暗号』や『ゴーストライター』等既に上映されているが、しかし未だ見ていない映画、これから近々上映予定の見たい映画等、今月も面白い映画は山ほどあるのですが、それらは9月末にアップロードする予定の「映画特選」に譲ります。この3本以外にもアニメを何本か見ましたが、いつもどおり割愛いたします。

1本目の映画は、「サンクタム」(アリスター・グリアソン 監督。アンドリュー・ワイト製作。ジェームズ・キャメロン 製作総指揮)です。


ストーリは、パプアニューギニアの密林地帯の奥地、世界最大級の洞窟「エサ・アラ」が大空に巨大な口を広げていた。その人跡未踏の洞窟を調査するために、洞窟探検家が潜水調査を続けていた。折悪しくも巨大サイクロンが密林を直撃襲来、突然の大雨によって洞窟内に豪雨が流れ込見み、地上へ脱出する出口が濁流によって塞がれるー。生き残りを賭けて冒険家たち5人は、未知の地底洞窟のトンネルを海へ通じている可能性を信じて、洞窟の暗闇を先へ先へと進む。探検チームは、ベテラン洞窟探検家のフランク・マクガイア(リチャード・ロクスバーグ)と、調査チームのスポンサーであり、大富豪の冒険家カール・ハーリー(ヨアン・グリフィズ)と、フランクの17歳の息子ジョシュ(リース・ウェイクフィールド)と、カールの恋人である女性登山家のヴィクトリア(アリス・パーキンソン)と、フランクの洞窟探検の相棒の5人が最後に残る。


確かに、『アバター』で3D映画の新しい境地を開拓したキャメロンが製作総指揮を務める冒険映画であり、脱出に伴う生死を掛けた人間ドラマは、暗闇の洞窟と未知の迷路を立体化することで、映像感覚がより刺激的でスリリングで、映画をより迫力満点な効果を演出しているー。しかし、映像の臨場感ゆえにストーリの平板さが気になりました。脳内を抑えきれずに走り回る視覚感覚ー、撹乱する極彩色のイマジネーションー、ぶっ飛ぶような想像力の興奮がありませんでした。


これでは、映像は「文学」の創出するイマジネーションに完敗していルのではないだろうか…。私は退屈を免れませんでした。これでは、フランス人ジュール・ヴェルヌやイギリス人H・G・ウェルズの19世紀から20世紀初頭の想像力の水準を超えていないよ! もしかして、水中探検家アンドリュー・ワイトの体験談に頼りすぎているのではないかー?最後に現れた洞窟の水底に沈んだ日本の戦車の登場シーンなど、蛇足も蛇足、余計なおまけで、何の意味も持たないお粗末な結末でした。

2本目は「グリーン・ランタン」( マーティン・キャンベル監督)。ハリウッド映画はこれまでさまざまなヒーローをコミック紙から拝借して、映画のヒット作品を作り上げてきました。スーパーヒーロ第一号の「スパーマン」も然り、バットマンやスパイダーマン等々もそのパターンです。コミカルなヒーロー達に共通しているのは、悪を懲らしめ、弱きもの愛するものを助ける≪勧善懲悪≫のストーリです。グリーン・ランタンもまた、「キック・アス」と同様に、この勧善懲悪の新しいヒーローの一人になるかどうか。またまたハリウッドは新しい「ヒーロー」を模索しているなーと思いました。


それにしても私たち日本文化は、幕末の「時代劇」やスポーツアニメやヤクザ映画を除外して、勧善懲悪の現代版ヒーローをなかなか持てないようです。持てたとしても社会の底辺で負の刻印が押されたマイナスのヒーローでした。例えば、ダイハードのマクレーンや、ランボーやロッキーのような、拍手喝采で迎えられる、正義の味方と革命のヒーローを持てない文化です。何故ならば、ヒーローを生み出す巨大な救済願望を強力に吸引する不可思議な「文化装置」があるのかもしれない…と、私は思ってます。


ただ今までのハリウッドのヒーロー達と比較したとき、「グリーン・ランタン」は、心なしか今ひとつパワーがないなー、ヒーローのヒット映画にはならないなーという印象を持ちました。恐らくこの「グリーン・ランタン」の続編はないだろう。

3本目は、「アンフェアthe answer」( 佐藤嗣麻子監督)です。検挙率ナンバーワンの美人刑事、雪平夏見が、北海道の紋別警察署に異動となり、連続殺人事件の捜査を始める。警察内部の「隠し資金」を暴露する1本のUSBをめぐり元夫、同僚、上司、検察、凶悪犯罪者らが雪平に接近する。途端に彼女は、巨大な陰謀と罠にはまり、その事件の容疑者にされる。私の感想としては、前作「アンフェア the movie」 (2007年公開)よりも、現実の警察組織の犯罪がより身近にあるので好かったです…。


警察組織の不祥事は数々有りますが、社会面を飾った大きな事件の一つは、依然結審していない2009年4月の「大阪地検特捜部」の証拠改竄事件でしょうか…。障害者団体の郵便料金割引制度を不正利用したとして、偽証明書発行の嫌疑で厚生労働省の官僚が逮捕されました。それ自体がセンセーショナルな事件でしたが、さらに捜査を指揮してた大阪地検特捜部のエリート主任検事が証拠品のフロッピー文書を改竄して、犯罪をでっち上げた容疑で逮捕されました。検察組織や司法制度への不信感と疑惑を募らせました。まだ記憶に新しい警察組織の黒い犯罪でした。


今回の「アンフェアthe answer」や前作品の「アンフェア the movie」のストーリの背景にもなっている事件に、 「北海道警裏金事件」がありました。事件の核は、以前から組織ぐるみで隠蔽されてきた捜査報償費の裏金・不正経理問題です。2003年11月に北海道警察旭川中央警察署でそれが発覚、さらに道警全体、あちこちの警察組織で同じ事が行われていたことが、さらに事件の波紋を広げました。大量の警察幹部が懲戒処分を受けることで、警察の汚点、司法の不祥は幕を下ろしました。いわば再び国家機密の闇に閉ざして曖昧なままになりました。


今回の「アンフェア」の見どころの一つは、やはり結婚し、最近、妊娠発表した雪平夏見役の篠原涼子の女性らしい強さと弱さの微妙な表情の反転、一瞬、考えるようなミステリアスな黙考の演技がなんどかありましたが、これまでにない彼女の魅力的な新しい素顔です。もう一つは、彼女の大胆なヌードシーンとボディーラインでしょうか…。彼女のインタビューで発言している通りに、もっと綺麗なヌードを大胆に披露してもいい気がしました。以前にない「女」の色気と魅力を篠原涼子は放ち始めました。この辺りは逆に女性監督ゆえに撮れないシーンでしょうか…!


今回の雪平は、これまでの冷徹で強いイメージよりも、人間としての弱さや女性らしさを強調しているのですが、それは女性監督だったからだと思います。脚本を手掛けてきた嗣麻子さんは、雪平を誰よりも知っているから、指示も具体的でわかりやすいんです。体を露出するシーンもありましたけど、女性の体をどう撮ったらきれいに見えるのか、同性だからこそわかっていてくださる部分もあって、すごくやりすかったです。…シャワーシーンも、「もっと大胆に見せてもいいんじゃないかな」って思いました。あのシーンでは、もちろん下着だけは着けているんですけど、あとは全部脱いでいるんです。もちろん、せっかくあそこまで脱いでいるのだから、背中などももっとバーンと見せちゃっていいのに、と思ってしました



この映画が従来の「アンフェア」の路線と一線を画して、刑事ドラマ要素ブラス、おどろおどろしいサイコサスペンスの映像になっているかどうかは、この映画の面白さと声価を決定するのではないでしょうか。そのためには、「悪」と犯罪異常者と凶悪犯罪者の演技力次第です。偏執狂のように美しい蝶や昆虫標本が並び、毒蜘蛛がガラスケースを這い回り、建築用の釘打機で不気味な殺人を続ける、古い洋館の殺人鬼の俳優(あの俳優はなんと言う人なんでしょうか?)の演技は、サイコドラマにピッタリでした。素晴らしい雰囲気を持っていました。


反対に、映画では雪平の恋人役であり、ベッドシーンもあった同僚の刑事の一条道孝は、国家機密の隠蔽に協力する裏切り者の顔を持つ、本来はもっと陰影があり裏表分裂した深みのある役柄の筈なのだが、佐藤浩市はどうしょうもなく平板なテレビドラマの三文役者になって居ます。彼の姿は、「陽はまた昇る」の警察学校の指導教官であり元警視庁捜査一課刑事の遠野 一行とダブってしまいます…!テレビドラマに頻繁に出演しすぎるのも問題がありますねー。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

「ワイルド・スピード」★映画のMIKATA【37】ジャスティン・リン監督★映画をMITAKA…

$
0
0

◆映画情報

上映時間 130分/アメリカ映画/東宝東和/2011年10月1日公開/


オフィシャル・サイト
http://mega-max.jp/

◆キャスト
ヴィン・ディーゼル (Dominic Toretto)/ポール・ウォーカー (Brian O'Conner)/ジョーダナ・ブリュースター (Mia Toretto)/ドウェイン・ジョンソン (Luke Hobbs)/タイリース・ギブソン (Roman Pearce)/エルサ・パタキ (Elena Neves)/クリス・リュダクリス・ブリッジズ (Tej Parker)/サン・カン (Han Lue)/ガル・ギャドット (Gisele Harabo)/マット・シュルツ (Vince)/テゴ・カルデロン (Tego Leo)/ドン・オマール (Rico Santos)/ ジョアキム・デ・アルメイダ (Hernan Reyes)/
◆スタッフ
監督 ジャスティン・リン/製作総指揮 ジャスティン・リン。アマンダ・ルイス。サマンサ・ヴィンセント/製作 ニール・モリッツ。ヴィン・ディーゼル。マイケル・フォトレル/脚本 クリス・モーガン/キャラクタ創造・原案 ゲイリー・スコット・トンプソン/撮影 スティーヴン・ウィンドン/美術 ピーター・ウェンハム/音楽 ブライアン・タイラー/編集 クリスチャン・ワグナー。ケリー・マツモト。フレッド・ラスキン/




流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・



書きかけたコメントを少し中断して、何冊か本を読んでいたので、掲載が遅れて10月に入りました。でも9月の「特選映画」を掲載する前に、今まで見た映画のコメントを簡単に掲載します。その中でも取分け「「ワイルド・スピード MEGA MAX」は、今まで数多く製作された「バイオレンスアクション」の中でも、ベスト10に数えてもいい位に秀作でした。ハラハラドキドキの激しい銃撃戦と、脳髄が疼く超迫力のストリートレースとカーチェイス…。ギョギョギョーの逆転トリックは圧巻でした。再び前作第4弾の「ワイルド・スピード」(脚本:クリス・モーガン。 2009年公開)をテレビで見ましたが、ストーリ展開がさらに格段に面白くなってます。「ウーンー、好かったねー」とハッピーな気分にさせてくれる結末のラブストーリは、どの恋愛ドラマよりも胸を熱くさせくれました。


これまで映画館で観賞した映画は全部で3本でした。


1本目の映画は、大根仁監督の「モテキ」です。ハッピを着た可愛い娘、グラマーな美女たちが、お祭の神輿をワッショイワッショイと担いで、「モテキー」、「モテキー」、「モテキー」と粋でエロチックな掛け声を叫ぶこの映画の番組宣伝が頻繁にテレビに流れ.るので、元元は深夜のやや悩殺的なテレビドラマを単に映画化した劇場版に否応なく、断片的なサワリに好奇心が湧きます。これは何のバカ騒ぎなんだーと、映画観賞というよりも、早速「現場検証」に行きました。ここまでノリノリに浮かれ、担いで持ち上げ、「ワッショイ」と騒がれると、もはや草食系男子の≪童貞≫を捨てることは、一代センセイショナルな≪社会現象?≫なのか、と疑問符をつけたくなりました。


でも思ったよりも観客席は空いていました。それもそうです、あれだけ再放送をすれば余程斬新な設定で、新しいキャストでないと、見る前から見たような錯覚に陥ります。さらに、年代的にはまだ恋愛経験も男も知らない、想像したとおり「ガキ」ばかりでした。


以前に「電車男(」という映画がありました。気の弱い、いかにも女性にモテナイ草食系男子が主人公で、≪モテキ≫と同様に流行語にもなりました。

そこで、映画「モテキ」を熟考するに、男の『童貞』がキーワードになるなと思っていました。東京大学教育学の博士課程の論文である渋谷知美著『日本の童貞』(文春新書)はとても面白い本で、大変参考になりました。


女性の≪処女≫と同じく、男性の≪童貞≫もまた時代の流れによってさまざまに変遷しているようです。特に戦前から戦後に掛けての≪貞操≫と≪童貞≫の意義と価値は大きく変転しています。1920年代までは男子の≪童貞≫は美徳とされていたが、男性雑誌が好く売れる1960年代には、「処女は減り、童貞増える」という風説が瀰漫した。著者の皮肉なコメントいわく・・・その背後には、自分は性経験がないのに女性が性経験を積んで行くことへの、童貞男性の不安が垣間見える・・・と。70年代には、「童貞はカッコ悪い」という風聞が広がった。80年代に入ると、ソープランドなどのクロウトを相手に童貞を喪失する性体験を見下す傾向ー、20歳過ぎの童貞をバカにする傾向ー、童貞をマザコンや包茎・インポなどの病気と看做する傾向ー、童貞はその姿かたちによって外見の特徴で見分けられるとする傾向ーが、蔓延した。90年代になるとその反動で、童貞の価値を見直し、童貞=恥に疑いが起こる。


そこで著者は、・・・現代は「童貞受難の時代」である。程度の差はあるにせよ、童貞であることは「悩ま」しく、「後ろめた」いことであり、「童貞の地位というものはきわめて低い」のが現状だ。このような現状は、いつからはじまったのか。・・・童貞に好奇の視線をそそぎ、童貞であることに恥じらいをおぼえるような、社会とはいかなる社会なのか?・・・と、疑問を投げかける。


そこで、結論として、・・・女性が絶対的な審判者となり、童貞に容赦なくダメ出しをする。いわばこの社会は、男性が女性に値ぶみされる社会である・・・と答えています。私は加えて、童貞と同じく、流行語の≪モテキ≫や≪草食系男子≫もやはり、今まで封建的男性社会より女性が値踏みされていた長い歴史の逆転現象ではないのかなー?!と思っています。「電車男」から「モテキ」に流れるモテナイ草食系男子の姿と「流行語」は、女たちの積年の抑圧された「女性蔑視」「男尊女子」への逆襲です。


2本目は)。「セカンドバーパージン」(黒崎博監督。大石静脚本)です。これもまたNHKの連続ドラマで放映され、改めて映画化された劇場版です。この作品も中年女性の不倫願望とセックスを巡る静かな流行現象となっているドラマです。


「セカンドバーパージン」と並んで、中年女性の「性」の束縛から開放された自由奔放な「女」を描いたアメリカ映画の最近の話題作を2本だけ挙げたいです。1本は「セックス・アンド・ザ・シティ」(マイケル・パトリック・キング監督)で、もう1本はジュリア・ロバーツの「食べて、祈って、恋をして」ー。アメリカの中年女「性」の悦びと悩みをストレートに描いているのではないだろうかー?と思います。


セックス・アンド・ザ・シティ」(2008年公開)「セックス・アンド・ザ・シティ2」(2010年公開)は、キャリアウーマン4人の、大都会ニューヨークの女の恋と仕事と男と家族の日常をコミカルに描いた映画でした。主人公の一人、キャリー・ブラッドショーは「ニューヨークスター」新聞に≪SEX and the CITY≫というコラムを連載する人気コラムニストで、身辺の恋愛ネタからセックスネタまで赤裸々に掲載しています。シャーロット・ヨークは、アート・ギャラリーのディーラー。ミランダ・ホップスは、ハーバード大学出身の弁護士。サマンサ・ジョーンズは、PR会社の社長ー。 アメリカ資本主義で、男たちと互角に働き、自律的独立的に生きている「女」たちを描いています。法律とPRと美術とマスコミのいかにもアメリカらしい仕事分野の一線で女性が活躍している、その伸び伸びした女性たちのシティーライフの恋と性のドタバタ劇に、私たちは、彼女らの自由で奔放な私生活に羨望と喝采の拍手を送りました。


さらに昨年、ニューヨークのジャーナリスト・リズが、離婚と失恋に疲れ、自分探しのためにイタリア、インド、バリへ1年間の放浪の旅に出る、ライアン・マーフィー 監督の「食べて、祈って、恋をして」(2010年公開)が公開されました。この映画は、都会のルーチン生活に倦んだ女性たちには、主人公を演じジュリア・ロバーツの束縛から解かれた恋と味覚と癒しの旅は、自分の悩ましい姿を投影する合わせ鏡のようで、身をよじる様な親近感と、中年女性の自由な心に羨望を感じた映画だったかも知れません。


さて、邦画の「セカンドバーパージン」に象徴される日本の事情と、ハリウッドの「セックス・アンド・ザ・シティ」と「食べて、祈って、恋をして」を比較した時、大きな違いは、日本の中年女性たちが悩む夫婦の「性」は、結婚制度の関係にがんじがらめに束縛され、依然、女の自由な性は、≪スキャンダラスな不倫愛≫と映り、夫婦間の一番大きな性の悩みは、夫との長い「セックスレス」な関係であり、この映画もそんな視点で「女」をクローズアップしていました。


日本人の「性」の問題を巡ってウロウロするためにチョット読書しました。一冊は佐野眞一の『東電OL殺人事件』(新潮社)、一冊は最近続編が刊行された工藤美代子の『快楽』(中央公論社)。一冊は大橋希の『セックスレスキュー』(新潮社)です。


『東電OL殺人事件』は、慶応大学卒業の美人で、しかも東電エリートOLが、昼間は真面目で勤勉で優秀なOL勤め、夜は渋谷・円山町で立ちんぼの売春婦をしていたー。近くの古い木像アパートでネパール人に絞殺された殺人事件をルポした本です。世間は、奇異でセンセーショナルな事件と同時に、この「東電美人OL」の女の「性」と価値観と交際関係と家庭生活に対して好奇心の目を向けました。著者は今、この事件の犯人として逮捕された外人の冤罪事件に関心を持っているようです。が私は依然、現代日本の女性『性』と通底するこの女性の精神構造と「性」に興味を持ちます。工藤美代子と大橋希の本に共通するのは、中年女性のセックスレスの冷たい夫婦関係に悩む相談者に、キム・ミョンガンが始めたセックスカウンセリングで、セックスフレンドの「男」を治療の一環に紹介するセックスカウンセリングのルポです。


やや曖昧な言い方で申し訳ないが、映画「セカンドバーパージン」を了解する視点と手がかりを得た気がします。この続きはまた次のブログに譲ります。


3本目は、「ワイルド・スピード MEGA MAX」( ジャスティン・リン監督)です。形容矛盾するようだが、邦画には、ジョニー・デップ扮するキャプテン・ジャック・スパロウが演じる「パイレーツオブカリビアン」のように、冷酷に人殺しをしながら、素敵な正義を貫く孤独でニヒルな海賊もギャングもいないー、「ワイルド・スピード」のように、靜かに綿密に金を強奪して、胸のすくような派手な銃撃戦をして逃走する憎めない強盗もいないー、ショーン・コネリー扮する美術専門の泥棒が登場する「エントラップメント」(1999年公開)や、ジョージ・クルーニー扮するダニー・オーシャンたちが演ずる「オーシャンズ13」(2007年公開)のように、見事なトリックと仕掛けで人を騙して不可能な強奪を可能にする魔術師のような詐欺師や泥棒もいないですね。


この映画を見ながらつくづく、銀行強盗や名画の泥棒や血の染込んだ汚い泡銭を掠める映画が少ない…、と、私は邦画の貧弱な娯楽性を情けなく思いました。それほどまでに「ワイルド・スピード」は面白く後味の好い、胸がスカートする娯楽映画でした。これは小説や文字表現では得られない、映像表現だけが出来る独檀の領域です。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・












流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・






特選映画『セカンドバージン』★映画のMIKATA【38】監督★映画をMITAKA…

$
0
0


配給 松竹 /2011年9月23日公開/上映時間 105分/

オフィーシャルサイト

http://www.secondvirgin.jp/pc/

◆キャスト

中村るい - 鈴木京香/鈴木行 - 長谷川博己/鈴木万理江 - 深田恭子/

◆ スタッフ

監督 - 黒崎博/脚本 - 大石静/音楽 - めいな Co/企画・製作 - 中沢敏明、軽部淳/エグゼクティブプロデューサー - 松本寿子、厨子健介、池田史嗣/プロデューサー - 青木信也、佐倉寛二郎/ライン・プロデューサー - 岡林修平/キャスティング - 空閑由美子/撮影 - 笠松則通/照明 - 渡邉孝一/録音 - 弦巻裕/美術 - 小川富美夫/編集 - 森下博昭/スクリプター - 西岡容子/助監督 - 遠藤健一/制作担当 - 松井聡子/主題歌 倖田來未 「愛を止めないで」


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


9月は公開された映画が多くて、連日忙しく映画館に通いつめました。9月の特選映画「セカンドパージン」をアップロードします。映画館で観賞した映画は8本でしたが、どれを特選映画に選ぶかを迷いました。今月は秀作話題作が多くて、「サンクタム」、「セカンドバーパージン」、「ワイルド・スピード MEGA MAX」の3本を並べました。


特に中年女性の「性」は、社会学では封建的家族関係や、社会のくびきから開放された「女」の地位として頻繁に分析されてきましたが、こんな明け透けでポルノ映画ギリギリの映像作品で表現されたことに、やや興奮しています…!ちなみに、私はこの鈴木京香のセミヌードの映画ポスターが気に入ってます。

1本目の映画は、「サンクタム」。2本目は「グリーン・ランタン」。3本目は、「アンフェアthe answer」。4本目は、「モテキー」。5本目は「セカンドバーパージン」。6本目は、「ワイルド・スピード MEGA MAX」。 7本目は「僕たちは世界を変えることができない」。8本目は、「親愛なるきみへ」でした。

さて、1本目の映画「サンクタム」(アリスター・グリアソン 監督。アンドリュー・ワイト製作。ジェームズ・キャメロン 製作総指揮)は、既に9/21号でコメントを掲載しています。私はこう見ました。確かに、『アバター』で3D映画の新しい境地を開拓したキャメロンが製作総指揮を務める冒険映画を見て、退屈することはないのだがー。脱出に伴う生死を掛けた人間ドラマは、暗闇の洞窟と未知の迷路を立体化することで、映像感覚がより刺激的でスリリングで、映画をより迫力満点な効果を演出しているー。がしかし、、映像の臨場感が素晴らしいゆえにストーリの平板さが気になりました。


ジェームズ・キャメロンに望むならば、映像のイマジネーション創作者において、21世紀のジュール・ヴェルヌやH・G・ウェルズでなければならない筈なのですがー。その私の期待の地平から言えばこの作品はやや失望でした。

2本目の「グリーン・ランタン」( マーティン・キャンベル監督)もまた9/21号でコメントを掲載しています。 ハリウッド映画はこれまでさまざまなヒーローをコミック紙から拝借して、映画のヒット作品を作り上げてきました。コミカルなヒーロー達に共通しているのは、悪を懲らしめ、弱きもの愛するものを助ける≪勧善懲悪≫と、市民に平和な日常と希望を与えることです。グリーン・ランタンもまた新しいヒーローの登場として製作されましたが、果たしてヒット作品になるかどうかは疑問です。


日本文化は、勧善懲悪で、平和と希望を与える現代版ヒーローをなかなか持てないようです。何故ならば、ヒーローを生み出す巨大な救済願望を強力に吸引する不可思議な「文化装置」があるのかもしれない…と思ってます。ちょっとしたらそれは『天皇制』なのかもしれません…。東日本大地震の天皇陛下の被災見舞いの光景と、東北人たちの救われたような安堵の表情を見て、私は漠然とそう思いました。

3本目は、「アンフェアthe answer」( 佐藤嗣麻子監督)です。これもまた9/21号でコメントを掲載しています。今回の「アンフェアthe answer」や前作品の「アンフェア the movie」のストーリの背景の事件に、 「北海道警裏金事件」がありました。警察幹部の懲戒処分で再び警察の汚点、司法の不祥事は国家機密の闇に閉されましたが、曖昧なまま強引に国家規模の隠蔽工作は、逆にサスペンスドラマやバイオレンスアクションや刑事ドラマの格好の素材ではないでしょうか…。


この映画から私は、主人公雪平夏見役の篠原涼子のファンになりました。アクションと女のお色気をもっと露出して、是非とも日本の『アンジェリーナ・ジョリー』になって欲しいです。

4本目の「モテキ」(大根仁監督)は、これも既に10/3号でコメントを掲載しています。この映画を熟考する時、男の『童貞』がキーワードになると思ってます。渋谷知美著の『日本の童貞』(文春新書)は、とても参考になりました。


女性の≪処女≫性と同じく、男性の≪童貞≫もまた時代の流れによってさまざまに変遷しているようです。著者は、童貞に好奇の視線をそそぎ、童貞であることに恥じらいをおぼえるような社会とはいかなる社会かと、疑問を投げかけます。そして結論づけて、女性が絶対的な審判者となり、童貞に容赦なくダメ出しをする、男性が女性に値ぶみされる社会であると、答えています。私は加えて、童貞と同じく、流行語の≪モテキ≫や≪草食系男子≫もやはり、今まで男性社会より女性が値踏みされていた長い歴史の逆転現象ではないのかーと思っています。「電車男」から「モテキ」に流れる「流行語」現象は、女たちの積年の抑圧された「女性蔑視」「男尊女卑]への逆襲ではないだろうか。

5本目の「セカンドバーパージン」(黒崎博監督)も既に10/3号でコメントを掲載しています。この作品も中年女性の不倫願望とセックスを巡る静かな流行現象となっているドラマです。 邦画の「セカンドバーパージン」に象徴される日本人の「性」の事情と、ハリウッドの「セックス・アンド・ザ・シティ」や「食べて、祈って、恋をして」を比較した時、大きな違いは依然、日本の中年女性たちが悩む夫婦の「性」の問題は、結婚制度の関係にがんじがらめに束縛され、女の自由な性が結局、≪スキャンダラスな不倫愛≫としか騒がれず、夫婦間の一番大きな性の問題は夫との長い「セックスレス」な関係であり、この映画もそんな視点で「女」をクローズアップしていました。


私たち日本文化は依然、封建的家族制度の残滓に縛られて居るのかもしれません…?

6本目の「ワイルド・スピード MEGA MAX」( ジャスティン・リン監督)もまた既に10/3号でコメントを掲載して、そのコメントに大きな追加はありませんでした。邦画には、ジョニー・デップ扮するキャプテン・ジャック・スパロウが演じる「パイレーツオブカリビアン」のように、「エントラップメント」(1999年公開)や、「オーシャンズ13」(2007年公開)のように、素敵な詐欺師や泥棒や海賊や犯罪者もいないですー。


この映画を見ながらつくづく、邦画には銀行強盗や名画の泥棒や血の染込んだ汚い泡銭を掠める娯楽性が横溢している「悪人」と「犯罪者」がいないことを情けなく思いました。それほどまでに「ワイルド・スピード」は面白く後味の好い、胸がスカートする娯楽映画でした。

7本目は葉田甲太が医学生の時に体験したボランティア体験を映画化した「僕たちは世界を変えることができない」(深作健太監督)です。ストーリは、漸く入学できた大学に「物足りなさ」を感じていた向井理(1982年生まれ29歳)演ずる医大生・コータが、カンボジアの子どもたちのために150万円で学校を建てられるパンフレットを見て、資金集めに奔走するヒューマンドラマです。同じ医学生の芝山と矢野、出会い系パーティーのイベントプロデューサーである学生の本田を誘い、「そらまめプロジェクト」を立ち上げる。


大学生が禁欲的な受験勉強を終えてやっと大学の門をくぐって入学した途端に、気力と意欲と目的を失い、空しい時をかみ締める「五月病」なるものは、大学生活を経験したものならば少なからず味わう空漠さです。私にとっては、単なる暇つぶしのために見た映画でしたが、この映画は意外や意外、結構感動してしまった。大学生コータの虚無感に共感をまず覚えました。さらに訥弁で、人前でスピーチなど苦手なコータtが、言葉に詰まってとうとうパンツ一枚になって訴えるシーンにもジーンと来ます。その上、ブルーハーツの「青空」を、カンボジアのあどけない子供たちー、完成し校舎の前で歌うシーンもまたジーンと来ました。


映画タイトル「僕たちは世界を変えることができない」は、たかが学校を建てるだけで世界を変えることは出来ないが…、しかし先進国では善意の僅かな小銭の募金によって手の届く学校建設の夢は、アフリカの子供たちの悲しみや苦悩を、喜びや笑顔に帰られ原るーという反語的な意味を持っています。手の届く小さな善意の提供によって、善意で実現できる小さな夢を戴こうーというのが≪ボランティア≫の真髄でしょう。


これはこれで新しい「青春」ドラマになっているな…と思いました。こんな大学生の青春ものの映画には、あの純粋で童顔の向井理の雰囲気はピッタリの配役なのですが、しかしそんな素顔の喜怒哀楽の自然体で何歳まで演じられるのかなーと皮肉なことを思いました。彼が老成した年齢になったときに、丹波や三船や滝沢のような円熟した演技ができるのだろうかな、と想像しました…。


8本目は「親愛なるきみへ」(ラッセ・ハルストレム監督)です。この映画も空いている時間の単なる暇つぶしのために見た作品でしたが、この「甘マーイ」ラブロマンストーリに辟易しました。特にコメントの必要はないでしょう、ただ、私にはこのアメリカ映画は、徴兵制PRか、兵士の勧誘映画のようにしか見れませんでした。古い戦争映画の『コンバット』も確かにそんな要素が認められました。邦画の『麦と兵隊』に代表されるような軍隊映画も軍国主義の体制翼賛のようにも見れます。が、それらには、恋物語を絡ませて「戦争」と「戦場」を恋敵のようには描きませんでした。逆に戦争と戦場の無残さを描いていました。その辺りが私の嫌悪です。
私の映画観賞眼は変でしょうか…?



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

「ミケランジェロの暗号」★映画のMIKATA【39】ムルン監督★映画をMITAKA…

$
0
0

◆映画情報
上映時間・106分/製作国・オーストリア/劇場公開・クロックワークス/初公開・2011年9月10日/
オフィシャル・サイト
http://code-m.jp/
◆スタッフ
監督: ヴォルフガング・ムルンベルガー/製作: ヨゼフ・アイヒホルツァー/脚本: ポール・ヘンゲ/脚色: ヴォルフガング・ムルンベルガー/撮影: ペーター・フォン・ハラー/音楽: マシアス・ウェバー/
◆キャスト
モーリッツ・ブライブトロイ=ヴィクトル・カウフマン/ゲオルク・フリードリヒ=ルディ・スメカル/ウーズラ・シュトラウス=レナ/マルト・ケラー=ハンナ・カウフマン/
ウーヴェ・ボーム=ヴィドリチェク親衛隊大佐/ウド・ザメル=ヤーコプ・カウフマン/ライナー・ボック=ラウター親衛隊大尉/メラーブ・ニニッゼ=モーリッツ・ハイデン/
カール・フィッシャー=マイヤー親衛隊中佐/クリストフ・ルーザー=ウェーバー親衛隊軍曹/セルゲ・ファルク=ノルドナー親衛隊大佐/


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


10月の上期に今まで見た映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は全部で3本でした。


1本目の映画は、「スリーディス」(ポール・ハギス 監督)。2本目は「ミケランジェロの暗号」( ヴォルフガング・ムルンベルガー監督)。3本目は、「ファイナル・デッドブリッジ」(スティーヴン・クエイル監督)。


1本目の映画「スリーディス」は、ある日突然、愛する妻ララ(エリザベス・バンクス)と幸せに生活していた平和な家族が崩壊する。妻が身に覚えのない殺人罪で逮捕され、裁判でも有罪となる。冤罪を訴えたがどうにもならないー。獄中で希望を失った妻はとうとう自暴自棄になり自殺を図る。大学教授のジョンは、持てる財産を全て売リ尽くし金に変え、全知全能を注いで命懸けの脱獄計画に挑む。高速道路を車で疾走ー、混雑する空港から飛行機で逃げるー、警察の追及をかわし、アメリカの警察が手を出せない国外へ逃亡する。


インテリの大学教師が、偽造パスポートをならず者から手に入れたり、収監されている妻の面会のときに、刑務所の合鍵を試したり、脱獄のために刑務所に出入りする医療検査車両の鍵を偽造したり、警察の検問をすり抜けるために綿密な逃亡ルートを計画したりする。手に汗握る脱獄シーン逃走シーンの凄い連続でした。反面、ズブの素人にそんな脱獄計画の実行が出来るのかなーという疑問も沸きました。アメリカ警察もそんなに甘く杜撰でもないでしょう…。いかにもフィクションの面白さと映画ならではのサスペンス仕立ての逃亡ドラマです。他の刑務所に移送されるまでの猶予が三日間が、逃亡計画の実行期限ー。


邦画でも「板尾創路の脱獄王」(2008年公開。板尾創路監督)がありました。拘置所を何度も脱走した囚人の鈴木雅之(板尾創路)を主人公に。、脱獄・逃亡・追跡・逮捕の失敗のくり返しですが、脱獄への凄まじい執念、自由への飽くなき挑戦に見応えがありました。「スリーディス」と比較したとき、もう一方が、警察の裏の裏をかいくぐるまるで知的な「脱獄ゲーム」のようでしたが、同じ脱獄ドラマでも、これもまたいかにも邦画的で面白かったです。


ララの殺人罪の担当刑事が現場をもう一度捜査したときに、彼女の供述通りにオーバーのちぎれたボタンが排水溝にあったにもかかわらず見逃したシーンは、アメリカ連続ドララマ、科学捜査のプロたちを描いた「CSI」のファンの一人である私は、ありえないミスだな、と思いました。アメリカの犯罪捜査ってあんなにイージーではないでしょう…。


2本目の「ミケランジェロの暗号」は、第80回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『ヒトラーの贋札』(2008年1月公開。ステファン・ルツォヴィツキー 監督)のプロデューサーとスタッフが、脚本家・ポール・ヘンゲの実体験の原作(『僕を愛した二つの国/ヨーロッパ・ヨーロッパ』)を映画化した作品です。収容所の残酷さと悲惨さを描くだけでなく、そこに幻のミケランジェロの絵画の行方の謎を挿入することで、サスペンス性を加味させ、面白が増幅しています。また≪ナチズム≫の映画に名作が1本加わったなー、と思いました。


ストーリは…。第二次大戦下のウィーンで、ナチズムが政権を掌握した時代を背景に、ユダヤの圧政が始まり、裕福なユダヤ人美術商の一家が収容所に送られる。ところが、この画商はミケランジェロの一枚のデッサン画を秘蔵していた。この幻の素描画を巡って、絵画を政争の取引道具にしようとヒットラーやヒムラー、イタリアのムッソリーニが登場する。主人公の画商の息子・ヴィクトールは、ナチの親衛隊を相手に、ミケランジェロの絵を収容所の母をスイスに逃亡させる駆け引きにする…。


収容所で亡くなった父は、「私の肖像画を…」という謎のメッセージを息子に残していた。偽物tがあふれるミケランジェロの絵画だが、本物は何処にあるのかが、この「ミケランジェロの暗号」というテーマの由来でした。


3本目の、「ファイナル・デッドブリッジ」は、 巨大つり橋の崩落事故を予知したサム(ニコラス・ダゴスト)は、彼の警告によって8人の親しい同僚が難から逃れる。しかし、彼らは葬儀で会った謎の男から「死神は決してだまされない」と宣告され、死の恐怖に取り付かれる。生き残った友人たちは次々に不慮の事故によって不自然な死にかたをする。私は「ファイナル・デッドブリッジ」を見ながら、以前見た映画にどこか似ているなと気になりました。ロドリゴ・ガルシア 監督 の「パッセンジャーズ 」(2008年公開)の二番煎じの映画ではなかろうかと思います。こちらの作品は、飛行機事故で奇跡的に生還した5人の乗客が次ぎ次に謎の死をとげる、やはり心理サスペンスストーリでした。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

「猿の惑星創世記ジェネシス」★映画のMIKATA【40】監督★映画をMITAKA…

$
0
0

         
◆映画情報
上映時間 106分/2011年10月7日公開/


オフィシャル・サイト
http://www.foxmovies.jp/saruwaku/

◆スタッフ
監督: ルパート・ワイアット/製作: リック・ジャッファ。アマンダ・シルヴァー。ピーター・チャーニン。ディラン・クラーク/ 製作総指揮: トーマス・M・ハメル/脚本: リック・ジャッファ。アマンダ・シルヴァー/撮影: アンドリュー・レスニー/プロダクションデザイン: クロード・パレ/衣装デザイン: レネー・エイプリル/編集: コンラッド・バフ。マーク・ゴールドブラット/音楽: パトリック・ドイル/シニア視覚効果監修: ジョー・レッテリ/

◆キャスト
ジェームズ・フランコ =ウィル・ロッドマン/フリーダ・ピント =キャロライン/ジョン・リスゴー =チャールズ・ロッドマン/ブライアン・コックス =ジョン・ランドン/トム・フェルトン =ドッジ/アンディ・サーキス =シーザー/デヴィッド・オイェロウォ/タイラー・ラビーン/ジェイミー・ハリス/デヴィッド・ヒューレット/タイ・オルソン/マディソン・ベル/マケンナ・ジョイ/カリン・コノヴァル/テリー・ノタリー/リチャード・ライディングス/

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石に芸術の秋ですね、見応えのある映画が今月も盛りだくさんでした。10月上旬もまた見たい映画のために時間を惜しみながらも無理を重ねて、足繁く映画館に通いました。それでも時間が足りなくて未だ見れない映画、近隣に上映映画館がなくて見逃した映画か多々ありました。仕方なく、それらはレンタルショップの棚にDVDで並ぶのを待ち遠しくも待つほかはありません。それはそれでまた、もどかしくも楽しい待ち時間です。


しかし、古い名作名画は、VHSからDVDにならずにそのまま記憶の底に埋もれたままの状態の作品が、なんとたくさんあることか…。黒部ダムを旅行すると必ず石原裕次郎の「黒部の太陽」を見たくなりますー。さまざまな理由からDVD化が無理のようです。親しい人が不慮の事故で死んだときなどは、熊井啓監督の「深い河」をもう一度みたくなりますー、でも名作にもかかわらずDVD化されてないですね。今井昌平の「黒い雨」なども終戦記念日になると必ずもう一度ジックリ見たくなります。井伏鱒二原の小説で満足するほかありません。特に、原発事故があってからは、尚更に見たいと思いました。


テレビ放映の映画解説も、批評性や社会性が欠落して何かしっくり来ないですー。上映される邦画の選択は、若手のディレクターが増えたせいなのでしょうかー、「今この時代に」見せたい名作は、どこかピントが外れてるー。「東京国際映画祭」など、あちこちで映画祭が盛んに開催されてる昨今、映画にとっての芸術性、映画の批評性や社会性が強調されてもいいなーと思います。


再び掲載がワンテンポ遅れてますが、今回は10月上旬の映画をご案内します。映画館で観賞した映画は全部で3本でした。1本目は「猿の惑星創世記(ジェネシス)」(ルパート・ワイアット 監督)。2本目は「ツレがうつになりまして」(佐々部清監督)。 3本目は「はやぶさ/HAYABUSA」(堤幸彦監督)です。

これらのうちで、ストーリの時代性と奇抜性ー、映像でしか演出できない圧倒的な迫力、本物の猿と思わせる見事なメイクアップを見せてくれたのが「猿の惑星創世記(ジェネシス)」でした。1本目に紹介するのは、今年のアカデミー作品賞にノミネートしてもよい白眉の映画は、シリーズ第6作目に当る「猿の惑星」(ルパート・ワイアット 監督)です。


さて、これまでのシリーズにはどんな作品があったのだろうか…。第1作の「猿の惑星」(PLANET OF THE APES。1968年公開。フランクリン・J・シャフナー監督)は、地球をから飛び立った宇宙船が1年余りの後にある惑星に不時着するシーンから始りまります。ところが、その未知の惑星は、猿たちが人間狩りをする、猿が支配する驚愕の惑星でした。ところがそこは、実は人間が自ら核ミサイルのボタンを押して崩壊させた地球でした。自由の女神がニューヨークの岸辺に打ち寄せられるシーンは、ショッキングなラストでした。第2作目の「続・猿の惑星」(BENEATH THE PLANET OF THE APES。1970年公開。テッド・ポスト監督 )は、、放射能の影響によってミュータント化し、コバルト爆弾を神と崇める、地下で細々と生存する人類と猿との闘いを描く続編でした。第3作目の「新・猿の惑星」(ESCAPE FROM THE PLANET OF THE APES。1971年公開。ドン・テイラー 監督)は、カリフォルニアの沖合に着水した宇宙ロケットのカプセルから現れたのは、猿のジーラとコーネリアスとマイロでした。彼等は未来の地球からやって来たのだった。第4作目の「猿の惑星・征服」(CONQUEST OF THE PLANET OF THE APES。1972年公開。J・リー・トンプソン監督)は、前作で誕生したコーネリアスとジーラの子供マイロは、猿を率いて人間へ叛旗を翻し、シーザーと名乗るまでを描く作品でした。第5作目の「最後の猿の惑星」(BATTLE FOR THE PLANET OF THE APES。1973年公開。J・リー・トンプソン監督)は、シリーズの完結編となる映画でした。前作で猿が人間に反乱を蜂起したシーザーが主人公となり、地球は猿と人間が共存していた。ところが再び、人間は猿攻撃を始め、戦闘が始まる。そして、2001年にティム・バートン監督が68年作品「猿の惑星」のリメイク版「PLANET OF THE APES 猿の惑星」を製作する。


ざっと、「猿の惑星」シリーズの長い映画の歴史を簡単におさらいしましたが、今回のシリーズ第6作「猿の惑星創世記(ジェネシス)」は、全く新しい斬新なストーリ設定でした。映画の時代背景は、製薬会社の研究所でアルツハイマー治療の新薬研究をする近未来社会。主人公の科学者ウィル・ロッドマンは、アルツハイマー治療開発中の新薬が、チンパンジーの知能を驚異的に発達させることを発見する。ところが実験半ばで、その被験チンパンジーは突然凶暴に暴れ回り射殺される。プロジェクトは中止されるが、射殺されたチンパンジーのお腹には赤ん坊がいた。ウィルは秘かに被験チンパンジーの遺伝子を引き継ぐその猿を自宅に引き取る。シーザーと名付けて、アルツハイマー症状が昂進する高齢の父親と共に猿の赤ん坊を家族同然に育てる。シーザーは次第に人間の知能と並ぶような「知」脳を発達させ、人間の知識を旺盛に学び初め、とうとう「自我」に目覚める…。そして、シーザーは他の猿人類たちの先頭に立って人間に叛旗を翻す。


アメリカ映画にサルが手話で人間と会話するサスペンスベンチャー映画「コンゴ」(1995年。フランク・マーシャル監督。マイケル・クライトン原作)という映画がありました。私はこの「猿の惑星創世記(ジェネシス)」を見ながら、あの古い映画もまだ、この「猿の惑星」創世記に勝るとも劣らない名画だなーと思い出しました。


ダイヤモンドを採掘するため中央アフリカのコンゴに調査隊を派遣したトラビコム社の人間が、怪しいゴリラの影らしき映像と共に襲撃の形跡を残して行方不明になる。この中に、手の動きを言葉にする特殊な装置を着用させ、人間と手話で会話できるゴリラ「エイミー」が登場します。映画の結末は、コンゴの奥地にソロモン王の幻の都「ズインジの遺跡」があり、ゴリラがダイヤモンド採掘で働く奴隷たちを監視する…というストーリでした。素晴らしい映画だなーと、拍手したい映画で、一見の価値ありです…。


時として、「サイエンス・フィクション」は人間社会の危機を先取して重大な問題に対して警醒を発するものです。ただ私は単純に、この映画から「貧困大国アメリカ」の利益優先の巨大医療機関や製薬企業の傲慢さを感じてしまいました。医療も軍事と同じ様に、コングリマリットとなってアメリカ政治を左右して、利益誘導しています。今、各国で軍事政権を倒すクーデターや、貧富の差を公然と容認する所得格差社会に不満を叫ぶデモが起こっています。猿のシーザーの叛旗の姿とダブってしまいました。

2本目の「ツレがウツになりまして」(佐々部清監督)は、漫画家・細川貂々のコミックエッセイを映画化したものです。近頃、女性漫画家の私生活を描いた漫画風のエッセイが映画化され、それがまた時代を映す心温まるドラマとなっています。そして、それが同時に漫画家のサクセス・ストーリとなっている映画が頻繁に登場しています。私には、何かしら特徴的な社会現象に思えます。


1本の漫画が週刊誌や漫画本に掲載され、大ヒットする。今までは漫画好きでただの漫画オタク、変わり者の地味な女の子が、半分趣味で書いていた劇画が、ある日、一攫千金の富を生む。日本は世界に人気漫画を供給する漫画王国です。下積みの私生活や夫婦生活や、奇抜なアイデアと、たった1本の鉛筆で描いた「女の子」の劇画が、魔法の杖のように、ある日、作家先生と賛美され、億万長者の有名人になる。漫画家になるということは、今では立派なステイタスを確立し、セレブの夢の生活を実現させるサクセスストーリになっています…。これは日本独特のジャパニーズ「ドリーム」でしょうか。


近頃、私の見た映画でも劇画の映画は夥しいです。「 20世紀少年」、「クローズZERO」、「ROOKIES」( 森田まさのり)、 「 MW 」、「ごくせん」( 森本梢子)、 「カムイ外伝」、 「カイジ 人生逆転ゲーム」、 「のだめカンタービレ」(二ノ宮知子)、「ダーリンは外国人」(小栗左多里)、「猿ロック」、 「ライアーゲーム」、 「ソラニン」、 「君に届け」(椎名軽穂)、 「大奥」(よしながふみ)、 「ヤマト」、「GANTZ」、 「毎日かあさん」(西原理恵子)、 「あしたのジョー」、 「 岳 -ガク- 」、「星守る犬」、 」「こち亀」、「極道めし」等、枚挙したらいとまがありません。特に、「ダーリンは外国人」(小栗左多里)、「毎日かあさん」(西原理恵子)、「ツレがうつになりまして」(細川貂々ホソカワ テンテン)などは女流漫画家の私生活がそのまま劇画になり、ストーリがそのまま映画の原作になっています。


漫画家が私生活を観察し、表現するのが巧みであるということが一つ言えます。劇画のキャラクターやストーリを製作する仕事が、自分そのものを客観的に観察するし、身近な自分を笑を誘い出す姿に作画する特別な才能を磨いたー。、ルーチンな日常生活を劇画化し、脚色化する才能に繋がっているとも一つ言えます。


ストーリは、外資系コンピュータのサラリーマンの夫「ツレ」(堺雅人)が、ある日突然にうつ病に罹る。妻の晴子(宮崎あおい)は、律儀な夫のサラリーマン生活が原因であることに気付き、ツレに退職を勧める。j毎日ブラブラ生活をする「ツレ」の欝は次第に回復する…。その「ツレ」の欝からの回復生活を漫画化する。漫画家ならではの「欝生活記」だな、と思います。特に、これまで映画の中で犯罪にかかわりのある可也シリアルな役柄が多かった堺雅人が、三枚目のコミカルな演技を見せている映画なのでめずらしく思いました。

3本目の「はやぶさ/HAYABUSA」(堤幸彦監督)は、時間の余裕があったので見た映画でした。2003年に地球を発射した小惑星探査機「はやぶさ」の科学ドラマですが、ドキュメント映画というよりも、小惑星からサンプルを採取して、探査機の故障や燃料漏れなどの想定外の失敗を乗り越えて、地球に帰還するまでにかかわった宇宙科学研究所(JAXA)のスタッフや科学者達の人間ドラマに仕立てています。最近、≪ニュートリノ≫など宇宙に関するサイエンスティックで話題とニュースがよく流れますが、ニュースの次元で終るのが通例でした。探査機「はやぶさ」のニュースもまた、日本発の微笑ましい科学ニュースでしたが、それが物語りになったー。宇宙探査や宇宙科学という、ロマンはあるが理解するのが難解で、未知の科学的世界であるが映像ストーリに製作しにくいテーマでした。が、竹内結子と西田敏行が演じた「研究者」の姿は、それらをより身近に感じさせました。


宇宙科学」といえば、私はアメリカの天文学者でSF作家、NASAの惑星探査をリードしたカール・セーガン原作の映画「コンタクト」をすぐにイメージします。しかし、日本にもとうとう面白いサイエンス・ドラマが誕生したなーという意外な感動がありました。

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


PR: Hulu 待望の日本上陸!

「一命」★映画のMIKATA【41】監督★映画をMITAKA…

$
0
0

■映画情報
上映時間 126分/劇場公開(松竹)/ 2011年10月15日/
オフィシャル・サイト
http://www.ichimei.jp/

■スタッフ
監督: 三池崇史/プロデューサー: 坂美佐子。前田茂司/エグゼクティブプロデューサー: 中沢敏明。ジェレミー・トーマス/ラインプロデューサー: 小松俊喜/原作: 滝口康彦『異聞浪人記』/脚本: 山岸きくみ/撮影: 北信康/美術: 林田裕至/編集: 山下健治/音楽: 坂本龍一/音響効果: 柴崎憲治/衣裳デザイン: 黒澤和子/殺陣: 辻井啓伺/照明: 渡部嘉/装飾: 坂本朗。籠尾和人/録音: 中村淳/助監督: 兼崎涼介/キャスティングプロデューサー: 北田由利子/
■キャスト
市川海老蔵・津雲半四郎/瑛太・千々岩求女/満島ひかり・美穂/竹中直人・田尻/青木崇高・沢潟彦九郎/新井浩文・松崎隼人正/波岡一喜・川辺右馬助/天野義久・佐々木/ 大門伍朗・和尚/平岳大・井伊掃部頭直孝/笹野高史・宗祐/中村梅雀・千々岩甚内/役所広司・斎藤勘解由/


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・



また:掲載が遅くなりまして申し訳ありません。「なんだー、今更そんな古い映画は興味ないなー」などと呆れないで下さい。映画だけは頻繁に足繁く映画館に通い、公開早々に観賞するように努めています。10月の下旬に見た秀作・名作・駄作・失敗作・話題作をご案内します。映画館で観賞した映画は、掲載を6本でストップしました。でも、一日2本3本映画を見るのって、シンドクて忙しいですよー。今週末もまた新作公開にあわせて、「三銃士」と「金縛り」と「ミッション8M」は観賞する予定です。また次回、このブログでご紹介します…。


さて、1本目の映画は、アメリカの若い男女の恋と、友情と、セックスとアーバンな文化が分かる「ステイ・フレンズ」(ウィル・グラック監督)。2本目は古くて新しい男女の不倫をミステリックに描いた「夜明けの街で」(若松節朗監督)。3本目は、市川海老蔵が主役で、貧しくも凛々しい浪人を演じるだけでも話題になる時代劇の「一命」( 三池崇史監督)です。4本目はエイリアンと地球人との戦争映画の「世界侵略:ロサンゼルス決戦」( ジョナサン・リーベスマン監督)。5本目いかにもアメリカの正義の味方、アーミー・ヒーローが登場する戦争映画「キャプテン・アメリカ」(ジョー・ジョンストン監督)です。6本目はカウボーイの時代にエイリアンと対決する荒唐無稽な西部劇ー。いくらスピルバークとはいえストーリ設定がやや無茶苦茶だなと呆れた「カウボーイ&エイリアン」(監督)です。これ以外にも既に「ブリッツ」や「スマグラー」や「三銃士」等を見ているのですが、何時アップロードできるか分かりません。次回の『10月特選映画』に廻します。兎も角、一時にまとめて書くとコメントが平板になるんでね…。


1本目の映画「ステイ・フレンズ」は、「ブラック・スワン」で華麗なバレリーナを演じた女優ミラ・クニスが、ニューヨークの辣腕ヘッドハンティングの仕事をしているジェイミー役をー。「ソーシャル・ネットワーク」に出演していたジャスティン・ティンバーレイクが、ロサンゼルスのアート・ディレクター(ディラン役)を演じています。2人の関係が、仕事上の付き合いから、徐々に引かれる男女のセックスフレンドになり、そして、忘れられない恋人同士へと恋心に次々に変化する。男と女の恋は、セックスから始まり、恋愛になる…という愛の三段論法と変化が面白いですねー。恋人映画、ラブコメディーが盛んなハリウッドですが、男も女も老いも若きも、ニューヨークって元気な街ですね。


2本目の「夜明けの街で」は、東野圭吾の小説を映画の原作にしているのでストーリは確かに、引き込まれるような面白さがありました。父親の愛人であり、女性秘書が、マンションで自殺するなどミステリックなストーリ展開もありました。あの如何にも真面目そうなイメージの岸谷五朗が、大手建設会社の課長で、不倫サラリーマンの「渡部和也」を演じていました。岸谷は、結構女好きのすけこましなのかもしれないなー。彼の不倫相手に、豪華マンションの一室に住み、謎を秘めた派遣女子OL「仲西秋葉」を深田恭子が演じていました。深田恭子といえば、「セカンドバージン」の彼女を思い浮かべますが、この映画では、濃厚なベッドシーがありました。深田恭子も、もう清純派のアイドルではないな…と痛感しました。清純派アイドルが、清純派女優になり、何時、演技派女優になるのだろうか?恐らく、男を知り尽くし、ベツドシーンを迫真の演技で演じる時から「女優」に脱皮するものなのだろう。堀北真希が主演した東野圭吾の小説を映画化した「白夜行」で大胆なヌードを見せたときも、そんなことを感じました。


滝口康彦原作の「異聞浪人記」を基に、『人間の条件』の小林正樹監督が時代劇の傑作『切腹』(1962年公開。橋本忍脚本)を製作しました。私は既にこのブログの2010年9月に掲載しています。…日本経済は高度成長の絶頂期であり、時代は明るい雰囲気と新しい社会に脱皮しようとしていた。そんな背景の中で、日本人の精神的なバックボーンであり、唯一残された日本的なもの≪武士道≫に対して、見事に疑いのアンチテーゼを突きつけ、もはや先祖帰りで出来ないほど粉々に武士道を粉砕している作品でした。…と、コメントを書いています。「切腹」はいまでもやはり完成度の高い時代劇の傑作と、私は思っています。


三池崇史監督の『十三人の刺客』は、戦国時代の「戦場」のような修羅場を連続させた殺陣・殺陣・殺陣のチャンバラ映像でしたが、ところが、恰もヤクザの抗争のような殺し合いに撮った実験的で斬新な時代劇シーンを、さらに再び壮絶な時代劇「切腹」でも同じ様に製作しました。3本目の「一命」は、三池崇史監督のまた新しい傑作時代劇でした。確かに、名優たちが入り乱れるモノクロの映像と、3D撮影システムによる臨場感溢れるカラー映像との大きな違いはありますが、私は時代劇はモノクロの方が陰影の奥行きと殺陣の動きがよりシリアルに見えました。リメイク版と謗りを受けかねない小林正樹版「切腹」と原作とストーリ設定を同じくしながら三池崇史版「切腹」ー、映画タイトル「一命」は、一体全体≪何を表現したかったのか≫を熟考したい作品でした。


小林正樹版「切腹」は、明るく楽天的な未来を確信させた高度経済成長の絶頂期に、企業戦士たちの誇りの原動力と、日本人の敗戦後唯一残されたプラスの文化的価値観≪武士道≫を粉砕した「切腹」のアンチテーゼに対して、三池崇史版「一命」は、≪現代≫に何をを突きつけようとしているのか…。


小林正樹版「切腹」では、主人公の元芸州福島家の浪人・津雲半四郎を仲代達矢が熱演し、その貧しく磊落した浪人の娘で、若侍・千々岩求女(石浜朗)の妻・美保を岩下志麻が演じていました。そして、名門・井伊家の門前に現れ、切腹を懇願した浪人侍・津雲半四郎に対して「武士道」の切腹で冷遇した、彦根藩家老の斎藤勘解由を三國連太郎が演じていました。それに対して、「一命」では 主演の津雲半四郎を歌舞伎役者の市川海老が熱演しました。ただ申し訳ないですが、私は津雲半四蔵役の仲代達矢の立会いの迫力と凛々しさに軍配を挙げたいです…!千々岩求女を瑛太がー、妻・美穂を満島ひかりをー、斎藤勘解由を役所広司郎が演じていました。でも、満島ひかりのファンの一人である私は、乳呑児を抱えた病弱な妻・美穂役の満島ひかりの演技を見て、「うー、岩下志麻と勝るとも劣らない演技。わー、女優として成熟したなー。演技の幅が広がったー」と思いました。満島ひかりの演技に、これも拍手喝采です。


4本目は「世界侵略:ロサンゼルス決戦」。まるで今、エイリアンの「世界侵略」が始ろうとしているかのような「2011年8月12日」という日付は、映画を見ていて、私はドキーとするような「現在」でした。世界各地の主要都市に流星群が接近、やがてエイリアンが人類攻撃を開始する。映画の舞台は、ロサンゼルスのサンタモニカ空港の前線基地から、警察署内に取り残された民間人救出命令を受けた小隊が、エイリアンと激しい戦闘を展開する。最後には、前線基地全滅の後、家族のため地球のためにエイリアン撃退の攻撃までを描く…。私には、これまでの夥しいエイリアンと人間との、変哲もない戦争映画のように見えました。「見る価値がない」といえば、見る前から観賞意欲を減滅してしまいそうですが、これまでのエイリアン映画と比較したとき、さほどの特徴のない映画でした。

5本目は、いかにもアメリカ独特の正義の味方、アーミー・ヒーローが登場する3Dの戦争映画「キャプテン・アメリカ(ザ・ファースト・アベンジャー)」。劣勢気味のアメリカ軍の起死回生の超人秘密兵器として活躍する人造人間のヒーローストーリです。


第2次世界大戦中に、病弱で小柄なスティーブ(クリス・エヴァンス)は、アメリカの入隊テストを何度志願したが何度も不合格であった。ドイツの「ヒドラ党」は世界侵略、世界制覇をたくらんで、戦火はますます激しくなっていた。アメリカ軍が秘密兵器として開発していた「スーパーソルジャー計画」の研究責任者に、彼の誠実な忠誠心と正義感を認められて、実験一号に選ばれた。そして、彼は、強じんな肉体を持つ「キャプテン・アメリカ」へ変貌した。私は、駄作だと思いました。


6本目の「カウボーイ&エイリア」は、カウボーイの時代にエイリアンと対決する荒唐無稽な西部劇ですー。製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグの名前が出ていたので、百聞は一見にしかずと見てみました、がいくら主演にハリソン・フォード、スピルバーグ総指揮とは言え、ストーリ設定が余りにも無茶苦茶だなと呆れた西部劇でした。私は、失敗作だと思いました。



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


特選映画「ステキな金縛り」★映画のMIKATA【42】三谷幸喜監督★映画をMITAKA…

$
0
0

◆映画情報上映時間 142分/劇場公開(東宝)/初公開 2011年10月29日/
オフィシャル・サイト
http://www.sutekina-eiga.com/


◆スタッフ

監督: 三谷幸喜/製作: 亀山千広。島谷能成/プロデューサー: 前田久閑。土屋健。和田倉和利/ラインプロデューサー: 森賢正/企画: 石原隆。市川南/脚本: 三谷幸喜/撮影: 山本英夫/美術: 種田陽平/編集: 上野聡一/キャスティング: 杉野剛/音楽: 荻野清子/VFXプロデューサー: 大屋哲男/スクリプター: 山縣有希子/
衣裳デザイン: 宇都宮いく子/照明: 小野晃/装飾: 田中宏/録音: 瀬川徹夫/
助監督: 片島章三/

◆キャスト

深津絵里=宝生エミ/ 西田敏行= 更科六兵衛/ 阿部寛= 速水悠/ 竹内結子= 日野風子・矢部鈴子/浅野忠信= 木戸健一/草なぎ剛= 宝生輝夫/中井貴一= 小佐野徹/市村正親= 阿倍つくつく/小日向文世= 段田譲治/小林隆= 管仁/KAN= 矢部五郎/木下隆行= 工藤万亀夫/山本亘= 日村たまる/山本耕史= 日野勉/戸田恵子= 猪瀬夫人/浅野和之= 猪瀬/生瀬勝久= 占部薫/梶原善= 伊勢谷/阿南健治/近藤芳正/佐藤浩市= 村田大樹/深田恭子= 前田くま/篠原涼子= 悲鳴の女/唐沢寿明/

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


10月の上旬・下旬の映画特選
をアップロードします。映画館で観賞した映画は、アップロードを16本に止めました。
1本目の映画は、「スリーディス」(ポール・ハギス 監督)。2本目は★★「ミケランジェロの暗号」( ヴォルフガング・ムルンベルガー監督)。3本目は、「ファイナル・デッドブリッジ」(スティーヴン・クエイル監督。4本目は、「猿の惑星創世記(ジェネシス)」(ルパート・ワイアット 監督)。5本目は、「ツレがウツになりまして」(佐々部清監督)。 6本目は、「はやぶさ/HAYABUSA」(堤幸彦監督)。7本目は、「ステイ・フレンズ」(ウィル・グラック監督)。8本目は、「夜明けの街で」(若松節朗監督)。9本目は、★★★「一命」( 三池崇史監督)。10本目は、「世界戦略:ロサンゼルス決戦」( ジョナサン・リーベスマン監督)。11本目は、「キャプテン・アメリカ」(ジョー・ジョンストン監督)。12本目は、「カウボーイ&エイリアン」(ジョン・ファヴロー 監督)。13本目は、 「ブリッツ」(エリオット・レスター 監督)。14目は★★★「スマグラーおまえの未来を運べ 」(石井克人 監督)。15本目は★★★「ステキな金縛り」(三谷幸喜監督。 16本目は「シャッフル」(及川拓郎監督)です。


「ミッション:8ミニッツ」(ダンカン・ジョーンズ監督)と「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」(ポール・W・S・アンダーソン 監督)は、既に10/30に見終わっていするのですが、またコメントが多くて煩雑な上、尚且つ平板なコメントでお茶を濁して、「ハイ、終わりー」となりそうなので、11月上旬に棚上げアップロードします。実は、私まだ「三銃士」を読んだことがないんですよー。そこで、これからブックオフでデュマの原作小説を探して読もうかと思ってます。またしばらくお待ち下さい。


今月は秀作・名作・駄作・失敗作・話題作が多く、公開された映画も夥しくありました。どの作品を特選映画にするかを迷いに迷い、三本の映画に絞るのが困難でした…。そこで、邦画3本を3星★★★ にしました


1本目の「スリーディス」(ポール・ハギス 監督)のコメントは既に2011年10月6日号 で掲載しています。インテリの大学教師が、殺人の冤罪で裁判も有罪となった妻ララを脱獄させ、国外逃亡にまんまと成功する映画です。警察の裏の裏をかいくぐり、マフィアのボスを厳重な刑務所から脱獄させる映画は今までありましたが、まるで知的な「脱獄ゲーム」のように、善良なインテリが妻を脱獄させるこの映画は、脱獄ドラマとして、ストーリ設定が凝っていて面白かったです。S・キング原作の映画『ショーシャンクの空に』(1994年公開。フランク・ダラボン監督・脚本)がありますが、やはり冤罪によって投獄された銀行員アンディ・デュフレーン(ティム・ロビンス)が、残酷で腐敗した刑務所を脱獄する作品でした。それにしてもアメリカ映画には、黒人の冤罪映画や刑務所脱獄映画が多いですね…。



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


2本目の★★ミケランジェロの暗号」( ヴォルフガング・ムルンベルガー監督)も、10月6日号でコメントを掲載しています。幻のミケランジェロの素描画の行方をめぐって≪ナチズム≫が暗躍する、ユダヤ人迫害の映画なのですが、単に収容所の凄惨さを描くだけではなくて、絵画の行方の謎とサスペンス性が加味されて、面白さが増幅しています。また≪ナチズム≫の戦争映画に名作が1本加わったなー、と思いました。


ちなみに私は、生きることの数奇な運命と≪奇跡≫を見事に映像化した戦争映画の名作「セントアンナの奇跡」(「マルコムⅩ」のあのスパイク・リー監督作品です)を彷彿とさせました。もしも時間があるようなら一度観賞して下さい…!


3本目の「ファイナル・デッドブリッジ」(スティーヴン・クエイル監督)の「ファイナル・デッドブリッジ」(スティーヴン・クエイル監督)も、10月6日号でコメントを掲載しています。以前見たロドリゴ・ガルシア 監督の作品ー、飛行機事故で奇跡的に生還した5人の乗客が次ぎ次に謎の死をとげる心理サスペンス映画の「パッセンジャーズ 」(2008年公開)によく似た二番煎じの映画でした。私は駄作だと思います。

4本目の「猿の惑星創世記(ジェネシス)」(ルパート・ワイアット 監督)は、2011年
10月27日号にコメントを掲載しています。「猿の惑星」シリーズの第6作で、これまでとは連続性のない全く新しく斬新なストーリ設定でした。アルツハイマー治療薬開発中の新薬が、チンパンジーの知能を驚異的に発達させることを発見したことから映画は始jまります。被験ゴリラの遺伝子を引き継ぐその赤ちゃんを秘かに自宅に引き取る。シーザーと名付けられたこの成長したゴリラは、次第に人間の知能と並ぶような「知」脳を発達させ、人間の知識を旺盛に学び初め、とうとう「自我」に目覚める…。そして、シーザーは他の猿人類たちの先頭に立って人間に叛旗を翻す。


時として、科学的虚構「サイエンス・フィクション」は、人間社会の問題と危機を先取して、人類の破滅な破綻に対して重大な警告を発するものです。ただ私はこの映画から単純に、今、アメリカ社会の内部からクリティカルな叫びが起こっているように、「貧困大国アメリカ」の、利益優先の巨大医療機関や製薬企業の傲慢さを感じました。医療も軍事と同じくコングリマリットとなって、利益を誘導しながら権力中枢の政治組織を左右する力を持つようになりました。各国で軍事政権を倒すクーデターや、貧富の差を公然と是認する所得格差社会と既成政治体制に対して、不満を叫ぶデモのニュースが流れています。猿のリーダ・シーザーの叛旗の姿とダブってしまいました。
流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

5本目の「ツレがウツになりまして」(佐々部清監督)も、10月27日号にコメントを掲載しています。下積みの貧乏生活や奇妙な夫婦生活を奇抜なアイデアと、たった1本の鉛筆で描いた「女の子」のステキな劇画が、魔法の杖のように、ある日、共感され賛美され、億万長者の有名人になる…。売れっ子の漫画家になるということは、今では立派なステイタスを確立しています。セレブの夢の生活を実現させるサクセスストーリがドラマの骨子です…。これは漫画大国・日本独特の「ジャパニーズ「ドリーム」でしょうかー。


特に、「ダーリンは外国人」(小栗左多里)、「毎日かあさん」(西原理恵子)、「ツレがうつになりまして」(細川貂々ホソカワ テンテン)などは、女流漫画家の私生活がそのまま劇画になり、そのまま脚色化されて映画になっています。「だから、ドウナンダー」と言われれば、困るのだが。日本独特の「ジャパニーズ「ドリーム」であり、日本独特の経済現象ですねーと感じました。


6本目の「はやぶさ/HAYABUSA」(堤幸彦監督)も、10月27日号にコメントを掲載しています。天文科学はとかく退屈な科学ドキュメントの映画でしたが、とうとう日本にも面白いサイエンス・ドラマが誕生したなーという意外な感動がありました。


本目の「ステイ・フレンズ」(ウィル・グラック監督)は、既に2011年10月30号にコメントを掲載していますニューヨークの辣腕ヘッドハンターのジェイミーと、ロサンゼルスのアート・ディレクタの2人の関係が、初めは仕事上の交際から、徐々に引かれ始め、時々楽しみと時間を共有するセックスフレンドになり、そして、忘れられない恋のパートナーへと変化する。愛の変化が面白い映画でした。


ハリウッドのラブコメディーは盛んに製作されています。特にマスコミ業界や社会の花形職業に就く男女の恋愛ドラマは、頻繁に映画化されているテーマです。例えば、「セックス&ザ・シティーズ」や「恋とニュースのつくり方」や「KISS&Kill」「男と女の不都合な真実」等々、最近見た映画だけでもチョット面白く、チョットHで、娯楽映画としてチョット見応えがあります。男も女も老いも若きも、ニューヨークって、本当に元気な街ですね。


本目の「夜明けの街で」(若松節朗監督)も10月30号にコメントを掲載しています。豪華マンションの一室に住み、謎を秘めた派遣女子OL「仲西秋葉」を深田恭子が演じていましたが、深田恭子といえば、「セカンドバージン」を思い浮かべます。この映画では、岸谷五朗との濃厚なベッドシーがあり、彼女はもう清純派のアイドルではないな…と痛感しました。清純派アイドルから清純派女優へ。さらに何時のまにか、演技派女優になる頃には、男を知り尽くし、ベッドシーンの濡場を迫真の演技で演じられれば、もう一流の「女優」に脱皮しています。ただ、ポルノ映画とは違います…ので、濡場だけを見ているわけではありません。


9本目の★★★「一命」( 三池崇史監督)も10月30号にコメントを掲載しています。オリジナリティーの少ない、名作のリメイク版と謗りを受けかねない危険を冒して、三池崇史版「切腹」ー、映画タイトル「一命」を製作したのは、一体全体この映画で≪何を表現したかったのか≫を熟考したい作品でした。時代劇としては完成度の高い小林正樹版「切腹」と原作とストーリ設定を同じくしながら、そこにプラスされた「もの」、マイナスになった「もの」とは…?


2011年の≪貧困≫と、1960年代の≪貧困≫との違いなのかな、と漠然と思いました。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


10本目の「世界侵略:ロサンゼルス決戦」( ジョナサン・リーベスマン監督)も10月30号にコメントを掲載しています。私には、これまでの夥しいエイリアンの侵略と、人間の戦闘映画とを比較したとき、なんの特徴も変哲もない戦争映画のように見れました。


11本目の「キャプテン・アメリカ」(ジョー・ジョンストン監督)も、いかにもアメリカ独特の正義の味方、貧弱で小柄な愛国者が、強じんな肉体を持つアーミー・ヒーローへと変貌する戦争映画です。私は、駄作だと思いました。徴兵制か戦争宣伝のPR映画ではないのかな…?


12本目の「カウボーイ&エイリアン」ジョン・ファヴロー 監督(監督)も10月30号にコメントを掲載しています。カウボーイ時代にエイリアンと対決する荒唐無稽な西部劇ですー。製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグ、主演にハリソン・フォードとは言え、ストーリ設定が余りにも無茶苦茶だなと呆れた西部劇でした。私は、失敗作だと思いました。 拳銃を腰にぶら提げた「女ガンマン」がいつの間にか、未知の惑星から来たエイリアンになってしまうのだからー、こんなコジツケのほころびだらけのストーリはないだろうと思いました。


そて、ここからが初めて掲載する映画のコメントです。13本目の「ブリッツ」(エリオット・レスター 監督)主役のジェイソン・ステイサムと言えば、既にこのブログでも紹介した「トランスポーター」と、「アドレナリン」をすぐにも思い浮かべます。彼の魅力は、激しいアクションと、華麗な格闘を見せてくれる肉体派の演技でしょうか…。今回の作品でも、ロンドン市警の凶暴な刑事・ブラントを演じます。犯罪者には容赦なく拳と蹴りを入れる正義漢で、、それがまた警官を次々殺害する殺人鬼の憎悪と恨みと犯行を誘発するー。追いつめて逮捕するが、犯罪を立証できずに釈放する。法律では裁けない殺人鬼を、最後に私的制裁をくわえるラストは、如何にもジェイソン・ステイサムらしい結末…という思いました。こんな映画の主演は、今のところ彼がうってつけの適役です。


14本目の「スマグラーおまえの未来を運べ」(石井克人 監督)は、私は漫画を全然読まないので真鍋昌平というコミックの作者を初めて知りましたが、映画は彼の原作のようです。善良で真面目な青年という配役がピッタリの妻夫木聡が、意外や意外、前衛劇団の俳優の道に夢破れー、パチスロ店でつまらない儲け話に乗り、無茶な言いがかりに引っかかりー、多額の借金を背負い、日給5万円の秘密の運送屋・スマグラーのアルバイトー。彼には本来似合わない「汚れ役・砧涼介」を演じています。


その他、出演者には、謎の過去を持つ粗野でヤクザなならず者で、スマグラーを仕切るジョー役の永瀬正敏ー、派手な伊達メガネを掛け、金に汚い裏社会の便利屋・山岡を演じる松雪泰子ー、やけにハードボイルドで拳銃を振り回すヤクザの派手な愛人役の満島ひかりー、狂気の拷問シーンを演じる、ややゾッーするマゾヒストのヤクザ役の高嶋政宏ー。原作がコミック故なのか、全ての配役が意表をつく俳優の抜擢であり、先入観を裏返す演技と役柄でした。この既成概念を打ち砕く石井克人 監督の、俳優の使い方は、それだけでも映画を見る価値があります。


15本目★★★「ステキな金縛り」(三谷幸喜監督)は、久々のコメディー映画のヒット作に数えられそうです。今年の5月23日に、いつも監督作品のパートナーであった妻・小林聡美と突然の離婚…がありました。これも喜劇映画の宣伝かな…と勘繰らせるほどの離婚騒動でした。


ただ、正直言って彼が自らメガホンを取って製作した第一作目の「ラヂオの時間」(1997年公開、脚本・監督)も、第3作目の≪映画喜劇≫「THE 有頂天ホテル」(2006年1月公開、脚本・監督)も、第4本目の映画作品「ザ・マジックアワー」(2008年公開、脚本・監督)も、私にはちっとも笑えない退屈な喜劇でした。けれども、三谷幸喜監督作品、第5作目「ステキな金縛り」で、私は映画を見ながらゲラゲラ笑い転げながら見ました。コメディーは手放しで笑を誘わなければ≪喜劇映画≫ではないね…。今回の「ステキな金縛り」は、正真正銘の喜劇映画でした。私は今年の日本アカデミー賞の候補作品に、「探偵はBARにいる」(橋本一監督)の次に挙げたい作品になりました。


笑の種は、ダメ弁護士のエミ(深津絵里)と落ち武者の幽霊・六兵衛(西田敏行)が、ある殺人事件に関りを持って登場します。被告人の無実とアリバイをめぐって、法定の証人席に立つ幽霊と、無罪を弁護する弁護士との、ボケと突っ込みとの掛け合いで、まるで漫才を見ているようでした。旅館の一室で金縛で動けなくなったと被告無実を証言する、前代見聞の荒唐無稽の裁判になりました。そのアリバイを裏付ける立証のために落ち武者の幽霊がー。エミの弁護士事務所の阿部寛がー、検事役の中井貴一が、被害者の妻であり姉妹の竹内結子ーが、彼らの一言一言、ちょっとしたセリフもまた大きな「笑」を誘いました。


特に西田敏行のセリフがなんとも可笑しくも、弾けるような笑を誘い、イキイキしたセリフが多かったです。どうやらその秘密は、彼独特のアドリブのようです。インタビューで次のように語ってます。


…:Q:今回は西田さんのアドリブ禁止令が解除されたそうですが、その結果はいかがでした?

(三谷監督)僕は台本を書くときに、西田さんが言いそうなアドリブもセリフとして入れていくんですけど、それを超えることをおっしゃるんですよね。六兵衛が検事(中井貴一)の犬を天国から連れて来るシーンで、西田さんが「すぐに見つかりましたよ! ハチ公の隣にいました!」というアドリブをされたのですが、悔しいくらい面白かった。でも、観客の皆さんは僕が書いたセリフだと思ってくださるので、得をしているような気もするんですけどね(笑)。

Q:ちなみに、深津さんが入れたアドリブなどもあるんですか?

(深津)わたしのセリフはほぼ台本通りです。

(三谷監督)基本的に、西田さん以外の方は台本通りです(笑)。

深津: みんなが言いたいことをしゃべったら、大変なことになっちゃいますからね(笑)。

Q:幽霊が見える人と見えない人がいる設定なので、西田さんの存在感でご苦労される「見えない人役」の方も多かったのでは?

(西田)僕は重量感もありますからね(笑)。特に中井貴一さんが大変だったと思います。見えているのかいないのか、という芝居がすごく良かった! 彼の表情を見ているだけで面白かったです。

(三谷監督)西田さんは中井さんを本気で笑わそうとしていましたよね!

(西田)そう、どうにかして笑わそうと思ったんだけど、手ごわかったなあ。笑いをこらえている中井さんの顔がなんともチャーミングでした(笑)。  …


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・










16本目のシャフル」(及川拓郎監督)は、私には難解であり、今公開されている映画「カイジ2」や「インシミテル 7日間のデスゲーム」と似たりよったりの二番煎じの作品ではないか…という幻滅感もありました。恐らく、劇団スパイスガーデンの既に上演でこなれた舞台を映画化したようですから、ストーリ設定にどんでん返しや、ストーリの流れに複線・伏線が込み入っていて複雑な映画になった原因の一つに挙げられます。狭い密室のような部屋で映画が展開され、謎解きの要素が多いという理由も、一度舞台で上演され、舞台の演出が基になっているせいだろうかなーとも思いました。

日給200万円のモニター調査の案内状が届き、記憶喪失に悩む戸辺(金子ノブアキ)、轟(賀来賢人)、堺(鎌苅健太)、物部(ムロツヨシ)、モニター担当者を名乗る神宮寺(市川亀治郎)が現われ、集まった参加者が次々と謎解きのキーとなってくる…。
私には、なんとも観賞しながらドキドキするようなサスペンスも、心理劇にある映像の幻想に引き込まれる不思議な人間関係のどろどろした魅力も、探偵映画のような謎解きとトリックの面白さもなかったですー。映像効果を活かせていない難しい映画でー、率直に言って失敗作かな…と思わざる終えません。

推奨映画「三銃士」★映画のMIKATA【44】監督★映画をMITAKA…

$
0
0

■映画情報
上映時間: 111分/製作国: フランス/アメリカ/イギリス/ドイツ/公開情報: 劇場公開(ギャガ)/初公開:2011年10月28日/

オフィシャル・サイト
http://34.gaga.ne.jp/

■スタッフ
監督: ポール・W・S・アンダーソン/製作: ジェレミー・ボルト。ポール・W・S・アンダーソン。ロバート・クルツァー/製作総指揮: マーティン・モスコウィック/
原作: アレクサンドル・デュマ/脚本: アレックス・リトヴァク。アンドリュー・デイヴィス/撮影: グレン・マクファーソン/視覚効果監修: デニス・ベラルディ/プロダクションデザイン: ポール・デナム・オースタベリー/衣装デザイン: ピエール=イヴ・ゲロー/編集: アレクサンダー・バーナー/音楽: ポール・ハスリンジャー/
■キャスト
ローガン・ラーマン=ダルタニアン/ミラ・ジョヴォヴィッチ=ミレディ/オーランド・ブルーム=バッキンガム公爵/クリストフ・ヴァルツ=リシュリュー枢機卿/マシュー・マクファディン=アトス/レイ・スティーヴンソン=ポルトス/ルーク・エヴァンス=アラミス/マッツ・ミケルセン=ロシュフォール隊長/ガブリエラ・ワイルド=コンスタンス/ジェームズ・コーデン=プランシェ/ジュノー・テンプル=アンヌ王妃/フレディ・フォックス=ルイ13世/


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

再び遅くなりました、たびたび申し訳ない…。でも週末には必ず新公開映画を見に映画館へ通ってます。今週末も「マネーボール」と「コンテイジョン」と「インモータルズ」と「恋の罪」を、ばっちり堪能してきました。見応え充分な映画でした。ただ、あくまで前置きの率直な感想ですが、園子温監督作品には、見る前から可也の期待感で観賞したのですが、ややガックリしました。渋谷・円山町で殺害された立ちんぼの娼婦、実は昼の顔は大企業のエリート女子社員であった「東電OL殺人事件」の被害者を映画化したー、、主婦売春と女性の「性」と、男と女と家族制度に肉薄した作品であるーと思い、どこまで女の心と性の襞まで視覚化してるかーを見たかったのだがー。このコメントの続きは次回にします。


さて、ブログに掲載するときに、さらっと書いてサッサと載せればいいのですが、「さてー、なんと書こうかな」とこんな風に逡巡し、コメントに行き詰まります…。これから観賞予定している「アントキノイノチ」などを見たら尚更にどんなコメントを書こうか、と迷う筈です。


11月の上旬の観賞映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は4本でした。1本目は、「三銃士」です。17世紀初頭のフランスと若きルイ13世とアンヌ王妃の時代のフランスの歴史と街並みを、「バイオハザード」のポール・W・S・アンダーソン監督が、宇宙に飛び出したような3Dの立体的な冒険映画にしました。2本目は、既にこのブログ(2011年1月15日号で紹介している「月に囚われた男」を監督したダンカン・ジョーンズが、空軍エリートパイロットの死者の、列車爆発で絶命直前の8分間の仮想現実の現在過去の記憶と、現存在時間を1本の時間軸へ接続した「ミッション:8ミニッツ」は、量子力学の次元を超えた空想科学ロマンでした。3本目は、ラスベガスの「ギャンブル映画」を凌ぐドラマ性と、コミックを超えた面白さと、カジノのゲーム感覚と比肩できる賭博映画を佐藤東弥監督が「カイジ2」で映像化しました。ただ、私は森巣博の『神はダイスを遊ばない』(飛鳥新社)を読んだ限りでは、現実の≪カジノ≫賭博場は、さらにもっともっと大きなドラマと巨額なお金と人間の運命が蠢いているな…と、思いました。4本目は、NHKの「サラリーマンNEO」をつまらないと敬遠していた人を見事に唸らせる劇場版でした。背広にネクタイをしめて企業に忠勤を励むサラリーマンを徹頭徹尾にコミカルに笑い飛ばした「サラリーマンNEO」でした。そして、推奨映画に「三銃士」を選びました。


1本目は、「三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」」(ポール・W・S・アンダーソン監督)です。舞台に、アトス(マシュー・マクファディン)、ポルトス(レイ・スティーヴンソン)、アラミス(ルーク・エヴァンス)の三銃士と青年ダルタニアン(ローガン・ラーマン)が活躍するアレクサンドル・デュマの「三銃士」を、3Dのアドベンチャー・ヒーロー映画として現代風に脚色したものです。古典文学が、ロマンチックで現代風なアドベンチャー映画になった…。映画好きの悦びに答えて、さらに見るもの全ての眼が映像に釘付けです…。


:原作に「現代」というフィルターをかけて、映画をより面白くするために脚色したキャラクターがスクリーンの中を縦横無尽に動き回っています。「三銃士」の活躍に目を奪われれば、この映画は「冒険」に満ちています。若きダルタニアンの初々しくも無鉄砲な言動に目を奪われれば、。この映画はいかにも「青春」の輝きを映像化しています。「悪役」のバッキンガム公爵(オーランド・ブルーム)とリシュリュー枢機卿(クリストフ・ヴァルツ)、謎めいた二重スパイの美女、ミレディ(ミラ・ジョヴォヴィッチの権謀術数と策略に目を奪われれば、「三銃士」は、よりどろどろした人間ドラマ色を濃くします。もう一つの要素は、ダ・ビンチが発明した飛行船の設計図を元に建造される空母のようなが巨大飛行船同士の、大砲を放って闘う空中戦を繰り広げる場面は、まさに、「バイオハザード」のバイオレンスアクションの世界でした。ポール・W・S・アンダーソン監督らしい冒険的バイオレンスアクションに満ちた、恋と冒険とのワクワクする映画かな…。これだけ褒めれば充分かなー。


2本目の「ミッション:8ミニッツ」( ダンカン・ジョーンズ監督。脚本:ベン・リプリー)は、「月に囚われた男」を製作した監督第2作にあたるラブロマン+サイエンス+恐怖映画の傑作です。


快適な客車の座席で突然に目覚める男がいた。「彼」の意識実体はコルター・スティーヴンス(ジェイク・ギレンホール)で、目の前の女性は、彼に恋人のように親しげに会話する…。次に、列車内を検札のために巡回して来る黒人の車掌が、キップの提示をコルターに催促する…。眼前の女性・クリスティーナ(ミシェル・モナハン)は彼の胸ポケットの中にあることを示唆する…。通路を歩き側を通過した女性が彼の靴にコーラを数滴こぼす…。彼が彼であるためには、コルター・スティーヴンスの周辺は全て≪未知数≫の認識できない状況が広がっていた。ボンヤリした意識をハッキリさせようとして数秒後、突然の大爆発と爆破の炎が彼を襲い、彼と列車を爆死へと包み込み飲み込んでいった。


列車爆破事件が発生したのであった。次にコルターが意識を取り戻したのは薄暗いカプセルの密室の中であった。まるで宇宙空間を浮遊するカプセルのように、前にモニターが画面があり、彼に「包囲された城」と呼び掛け、この不思議な空間に呼びかけ指示を出す軍服女性「グッドウィン大尉」(ヴェラ・ファーミガ)が液晶画面の向こう側にいた。


コルターの任務は、乗客である別の肉体「ショーン」となって車内を刑事のように爆発物を捜査し、爆弾魔を突き止めることであった…。そして彼の意識は再び爆発8分前の列車の座席に戻される。


彼が所持していた身分証明書から、彼の肉体と身体は、「ショーン・フェントレス」で教師であることを証明していた。彼の実体と任務は、乗客全員が死亡する連続爆破事故の、爆破魔を逮捕し、爆破を未然に防ぐことであった。そして彼はそのために、死亡する8分前の意識と虚体に属する「時間」にタイムスリップするエリート軍人のスティーヴンス(ジェイク・ギレンホール)であった。


映画の結末はー。下半身のない彼の肉体は、研究室の棺のようなカプセルの中に横たわって意識だけが、過去と現在の時間軸を人工的に往復捜査されていた。だが彼の意識は、過去の中で恋人のクリスティーナとデートする「生存」を続けていた。彼の虚体「意識」が、過去の彼とその時代を変えてしまったのだ…。


『月に囚われた男』(原作: トルーマン・カポーティ/脚本: リチャード・ブルックス)では、人類にとって「宇宙」とはなんなのだろうか…というサイエンスティクなテーマを秘めていましたが、この映画では、人間にとって「時間」とは何なのでしょうか…?という問いを投げかけています。

3本目の「カイジ2」(佐藤東弥監督)は、「ギャンブル映画」です。日本の「賭博」といえば、ヤクザの打った張ったの「丁半博打」ー、盆の上のサイコロの目に命の駆け引きをする渡世の世界を描いた映画が主流であった。私は依然、ギャンブル映画の傑作を阿佐田哲也原作の『麻雀放浪記』(1984年、和田誠監督)だと思っていますが、丁半博打からブロの雀士の世界をカジノの「ブラッククジャック」や「ボーカ」のように、ギャンブル映画の持つ大きな魅力である「サイコドラマ」のように描いた邦画史上の名作ではなかったか…。


年間の自殺者が三万人を超えいる平成ニッポンは、もはや平凡に淡々と生活出来ない社会になったのか…?私は、金だけが人間の幸福を決め、強運の持ち主でなければ^平々凡々な「幸福」を味わえない社会はギャンブル化した社会であると思います。私はそれを「ギャンブル社会」と呼びたいです。この映画は、「負け組」が生死を掛けて金を摑むかー、奈落に落ちるかー、「幸運・不運」のギャンブルに託す「ギャンブル映画」ですが、現代を風刺した映画だとも感じました。


『カイジ2』は、優勝劣敗のアメリカ的社会がヒタヒタと押し寄せている昨今、「平成ニッポン」らしい映画です…。私は、映画化第1作目の「カイジ」も映画館ですぐ見ましたが、パート2の方が、よりギャンブル映画としてハラハラするシーンが多かったです。それだけニッポンがギャンブル社会へ近づいていることでもあります。ところで、「TTP」はどうなったのかな…?


「週刊ヤングマガジン」で連載されたコミックが原作で、これまでに1000万部以上を売り上げている福本伸行漫画『カイジ』を実写化した「ギャンブル」映画なのですが、ラスベガスの「カジノ」を舞台にした、「金運」を引き寄せようとするギャンブル映画があり、『麻雀放浪記』やベガスを舞台とした数々のギャンブル映画の名作と比較したとき、私はやはり遜色を禁じえませんでした。


例えば、ラスベガスで夫のいるダイアナ(デミ・ムーア)にひと目惚れをして、一夜を過ごせられれば100万ドルをあげようと 億万長者のジョン(ロバート・レッドフォード)が持ちかける「幸福の条件」(1993年、エイドリアン・ライン監督)がありました。ヤクザなカジノ経営者をロバート・デ・ニーロが演じる「カジノ」(1995年、マーティン・スコセッシ監督)がありました。 抜群の記憶力を持つ自閉症の青年がカードで大金を得る名優ダスティン・ホフマン主演の「レインマン」(1998年、バリー・レヴィンソン監督)がありました。青年のマット・デイモンが名ギャンブラー扮する「ラウンダーズ」(1998年、ジョン・ダール監督)はギャンブル映画の傑作でした。マサチューセッツ工科大学の学生がブラックジャックで医学部の学費を儲けるという「ラスベガスをぶっつぶせ」(2008年、ロバート・ルケティック監督監督)も賭博の持つ魔力をよく描いていました。25セントを投入したカジノのスロットマシンで300万ドルもの大金を当てる、キャメロン・ディアス(ジョイ)とアシュトン・カッチャー(ジャック)が共演するロマンティック・コメディ映画の「ベガスの恋に勝つルール」(2008年、トム・ヴォーン監督)等々ありました。


実というと、カジノの映画を資料として5~6ー本見ている内にすっかり虜になってしまい時間をとってしまいました。だがそれにしても名作の薫のする映画ばかりです…。


2作目「カイジ」も福本伸行のコミックtの原作「欲望の沼」を基に、多額の借金を背負った主人公が再び命懸けのゲームに挑み、再び勝負に勝って大金を手に掴み、再び騙されて無一文になる顛末を描いています。この辺りが、いかにもコミックらしいストーリで、「」数々のカジノ映画の名作と比較したときに、私はどうしても幼稚でコミカルな映画と見えてしまいます。


4本目の「サラリーマンNEO」は、サラリーマンの勤勉さ真面目さ、企業戦士としての忠勤の姿を、よくぞここまで笑い飛ばしたものだーと称賛したいです。これまで、サラリーマンのそれらの悲哀を映画化した作品は数々ありましたが、それを喜劇化する映画は少なかったです。これも、これまで日本社会の中核であったサラリーマンの終身雇用も年功序列も年金制度も消滅し、サラリーマン的価値の崩壊故のサラリーマン喜劇ともいえるのでしょうか…。


2004年に単発番組としてスタートし、2006年にレギュラー化されたNHKのコント番組「サラリーマンNEO」の劇場版です。実は私は一度もテレビ番組を見たことがなかったので、「えー、面白いのかな…」と、いう半信半疑で見ました。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・



推奨映画「恋の罪」★映画のMIKATA【45】監督★映画をMITAKA…

$
0
0


◆映画情報

上映時間 144分/公開(日活)/初公開2011年11月12日/
オフィシャル・サイト
http://www.koi-tumi.com/

◆スタッフ

監督: 園子温/製作: 鳥羽乾二郎。大月俊倫/プロデューサー: 千葉善紀。飯塚信弘/企画: 國實瑞惠/脚本: 園子温/撮影: 谷川創平/編集: 伊藤潤一/音楽: 森永泰弘/照明: 金子康博/録音: 渡辺真司/

◆キャスト

水野美紀*吉田和子/冨樫真*尾沢美津子/神楽坂恵*菊池いずみ/児嶋一哉*正二/二階堂智*吉田正男/小林竜樹*カオル/五辻真吾*木村一男/深水元基* マティーニ真木/内田慈*土居エリ/町田マリー*マリー/岩松了*スーパーの店長/大方斐紗子* 尾沢志津/津田寛治*菊池由紀夫/


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


またまた、お待ちどうさまでした。11月下旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は5本でした。1本目の映画は、「1911」(チャン・リー監督)。2本目は「マネーボール」(ベネット・ミラー 監督。脚本;アーロン・ソーキン)。3本目は、「コンテイジョン」(スティーブン・ソダーバーグ監督)。4本目は、「インモータルズ -神々の戦い-」(ターセム・シン監督)。5本目は「恋の罪」(園子温監督)でした。

1本目の映画は、「1911」(チャン・リー監督)です。辛亥革命100周年、ジャッキー・チェン映画出演100本記念の歴史巨編にあたります。ジャッキー・チェン自身が総監督を務め、孫文参謀の黄興を熱演しています。今までの彼の映画と雰囲気はガラリと異なり、おどけた笑い危ないスタントシーンもない、かなりシリアルな革命と戦場の映画です。孫文を「孫文-100年先を見た男-」のウィンストン・チャオが演じ、黄興の妻役に中国女優のリー・ビンビンが演じています。 監督は、『レッドクリフ』シリーズで撮影監督のチャン・リー。革命に犠牲はつき物だが、衰退する清王朝を武力で倒そうとする中国の歴史が大きく動くときの激動をよくここまでリアルに映像化しているなーと、私は感動しました。


孫文達を支援して、辛亥革命を支えた日本人・宮崎 滔天(みやざき とうてん)の名前も映画には忘れられていませんでした。だがしかし私には、辛亥革命を映像化しながらもここには、中国の官製歴史観ではなくて、ジャッキー・チェン自身の歴史観がないなーと、批評的に見ました。今までのジャッキー映画のように、ただ単に「辛亥革命」をバイオレンス・アクションドラマとして製作しているとならば、彼は中国歴史ドラマなど製作すべきではないなーと批判して見たくもなりました。


ハリウッドの映画文化の中で数々の名作を製作した中国人監督・ジョン・ウーが、敢えて「赤壁の戦い」を長編映画の『レッド・クリフ』(パート1・パート2)で製作したかった意図は、既にこのブログの2009年4月10日号より4回連載でコメントしています。ジョン・ウー監督の「戦争」に対する解釈は、圧倒的な大軍で攻撃を今まさに開始しようとする時に、曹操軍に和議を申し入れた美女「小喬」の洩らした言葉に表れています。民衆と兵士のためにこう呟きます。…戦争は勝っ方も、負けた方も大きな痛手を負う。…国は荒廃し、民衆が苦しむのものだ。…


ここに私は、戦乱と虐殺と貧困と政情不安の長い歴史の苦渋を飲んできた民衆の苦難を知っている中国人としてのジョン・ウーの歴史観と、アジアや中東に戦争や紛争の火種を蒔いて来たアメリカの映画監督としてのジヨン・ウーの゛愛と平和゛の人間観を垣間見た気がしました…。


率直に言って、「1911」を見ていて残念ながら革命家・孫文の歴史観も、参謀の黄興の民衆論も見えてこなかったなーという感想です。結局総監督を務めたジャッキー・チェン自身には、ジョン・ウー監督のような歴史観がないな…と思います。歴史観を持たない監督は、歴史ドラマを制作してはいけないよね…!

2本目は「マネーボール」(ベネット・ミラー 監督。脚本;アーロン・ソーキン)です。折りしも巨人軍の清武英利球団代表と、読売新聞社主で巨人軍オーナーの渡辺恒夫との間の騒動が真っ盛りなので、野球をめぐるこの映画は、あたかもこの映画のための絶好の宣伝のような気がしました。


騒動の中身は、江川をコーチにするのどうのという巨人軍のスタッフ人事に渡辺恒夫が大上段から横やりを入れて、それに「取材会見」という公の場で叛旗を翻したのが発端でした。それに対して、読売巨人軍の桃井恒和オーナー兼球団社長は、人事をめぐって渡辺恒雄球団会長を批判した清武球団代表の全ての役職を解いたと発表しまし。おまけに、長嶋終身名誉監督も、清武氏の言動は、巨人軍の長い歴史の中で、このようなことは酷いー今までなかったーと、コメントを発表した。これでチャンチャンと幕を閉じるのだろうかな…?


さて、映画「マネーボール」のストーリはこうです。メジャーリーグの貧乏球団「アスレチックス」のゼネラルマネージャーであるビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、貧乏球団のために年俸の高い優秀なプロ選手を雇えない。尚更にチームの連敗低迷は続くー。そこに、野球経験はないものの、エール大学を卒業した野球の未経験な経済理論家のピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)という若者と出会う。彼は、野球選手データを≪出塁率≫という独自の視点で野球選手の評価・価値を分析する野球理論≪マネーボール≫を持っていた。ゼネラルマネージャーのビリー・ビーンは、ピーター・ブランドを球団に引き抜き、選手発掘の古株のスカウトマンや、球団監督アート・ハウ監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)たちの反対を抑えて、≪マネーボール理論≫でメジャーリーグ優勝まで球団を育て上げる…胸の熱くなるスポーツ映画です。


巨人軍人事騒動の顛末を見るときに、日本の球団組織とアメリカのメジャーリーグの違い、オーナと球団ゼネラルマネージャー(球団代表)との関係の違いはあるとはいえ、ここでGMがオーナと電話で直接交渉しながらも、球団と選手に対して全責任を負いながらも、野球人事の全てを握っていることが、驚きでした。GMが恐れるのは、オーナと神だけだよーという映画の言葉は印象的でした。

3本目は、「コンテイジョン」(スティーブン・ソダーバーグ監督)です。地球全体を未知の強力な新種のウィルスが接触によって感染して、ウィルスの抗体も感染を抑えるワクチンも開発されない状態で、社会が混乱し行く恐怖を描くサスペンス・パニック・ムービーです。


ストーリは、ミッチ(マット・デイモン)の妻・ベス(グウィネス・パルトロー)は、香港への出張後にせきと熱の症状が出始め、子供にも感染する。そして香港、ロンドン、東京でも似たような正体不明の病状で亡くなる人が続出する…。恐怖の未知のウィルスが靜かに世界に蔓延し始める。


感染するウイルスが世界各地に拡大していく中で人々が異常なパニック状態に陥っていく「伝染病映画」は共通しています。これまで数々の名作がありました。例えば、「アウトブレイク」(ウォルフガング・ペーターゼン監督)は有名で、エボラ出血熱を連想させる致死率100%の殺人ウイルスが引き起こすパニックを描きました。先日もテレビで放映されていました。 このブログでも過去に『ハプニング』(2008年公開。M・ナイト・シャマラン監督)や『28日後』(2002年公開。ダニー・ボイル監督)、ゾンビ映画で知られるジョージ・A・ロメロがアメリカ軍の細菌兵器の事故による混乱を描いたパニック・ホラーをリメイクした『クレイジーズ』(2010年公開。ブレイク・アイズナー監督)もありました。それらから比較したときに、私はさほどの名作だとも特徴のある映画だとは思いませんでした。

4本目は、「インモータルズ -神々の戦い-」(ターセム・シン監督)。ストーリは、邪悪な王・ハイペリオン(ミッキー・ローク)が出現して、ギリシャを残酷無残に制覇し、世界をわが手におさめようとする。ハイペリオンの野望を阻止するためにゼウスに選ばれた若者が勇者テセウス(ヘンリー・カヴィル)であった。さらに、人間世界の命運を揺るがす人間と神々との戦いへと発展していく。


光の神である天上のオリンポスの神々と、闇の神タイタン族との壮大なスケールの戦いは、娯楽映画として楽しめた映画でした。ギリシャ神話の神々が主人公になった映画もまた数々の名作があります。「神話」が観客の想像力をかきたてる集合意識の≪根≫担っていて、映像化の貴重な共有財産にもなっているのではないでしょうか…!日本にも「古事記」等で表現されたアジア独特の神話や物語があります。近々公開を予定されている紫式部原作の『源氏物語』をサスペンス風に映画化した作品がありますが、日本の古典文学なども、ギリシャ神話のようにもっともっと映画の素材として映像化されてもいい気がします。

5本目は「恋の罪」(園子温監督)です。園子温監督作品は、既にこのブログでも、「冷たい熱帯魚」(2011年公開))や「愛のむきだし」(2008年公開)のコメントを載せています。新作が公開されるたびに、彼の映画テーマと、それを映像化する手法と脚本に、いつも魅力と関心を感じる私なので、お馴染みの監督の話題作には、見る前から可也の期待感で観賞しました。がややガックリしました。


映画のネタは、1997年5月21日に渋谷区円山町で立ちんぼの娼婦が殺害された、しかも容疑者としてネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリが逮捕されたー、という殺人事件でした。佐野眞一さんは、この殺人事件について『東電OL殺人事件』(新潮社2000年刊行)、『東電OL症候群』(新潮社2001年刊行)と続けて二冊のドキュメンタリー風のエッセイを発行しています。DNA鑑定による証拠再分析により再び「冤罪事件」として最近も話題になりました。センセーショナリーナな話題の焦点は、昼の顔は慶応大学卒業の大企業「東京電力」のエリート女子社員であり、夜は通りかがりのサラリーマンを相手に男達の一時の気まぐれな好奇心と欲望の対象である、渋谷の売春婦という、被害者の余りに想像を絶する逆転した「女の二重の顔」であった。


この「東電OL殺人件」を映画化したーと、先入観を持っていたので、プロットも主婦売春と女性の「性」と、家族制度に肉薄した作品であるーと思い、そこに園子温映画が、どこまで女の「心と性」の襞を視覚化出来るものなのかなー、を見たかったのですが…。私の採点と評価はやや厳しいです。悪くすると「ポルノ映画」になり、贔屓めに見ても週間大衆的な「ゴシップ映画」ではないのかなー、という感想です。そこに、映像による園子温風の視点と主張と「思想」がないな…という率直な不満があります。


特に後半の官能小説作家の妻であった純粋無垢であどけない主婦・いずみ(神楽坂恵)が、性の開放感に悦びを覚え、AV映画にのめり込むー。自分の存在証明を求めて堕ちて行き、自己喪失した彼女は、昼は日本文学のエリート助教授、夜は渋谷の立ちんぼの娼婦に変身する良家の令嬢・美津子(冨樫真)と巡り会うー。最後に港町の娼婦に転落するストーリは、どうも私には長編ゆえの蛇足にも思えました…!もう一つ、廃アパートで起きた女性変死体バラバラ殺人事件の担当刑事の和子(水野美紀)の、幸せな家庭を持ちながらも愛人との不倫関係もまたストーリを複雑というよりも、映画の焦点をボヤケさせる蛇足になっているのではないだろうかなな…。さらに敢えて言えば、詩人・田村隆一の「言葉なんか覚えなければ好かった…」とくり返し表現され、いずみと美津子の恰も映画の主旋律のような反復の呟きは、なんか詩でありながら言葉がチクハグで、違和感を感じました。なんかもっと映画にピッタリのフレーズがあったのではないでしょうか…。私にはこの田村隆一の一遍の詩のONEフレーズさえ蛇足に思えました。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・







「アントキノイノチ」★映画のMIKATA【46】瀬々敬久監督★映画をMITAKA…

$
0
0



上映時間 131分/劇場公開(松竹)/初公開 2011年11年19日/

オフィシャル・サイト
http://www.shochiku.co.jp/movie/antokino-inochi/

◆スタッフ
監督: 瀬々敬久/プロデューサー: 上田有史。辻本珠子/エグゼクティブプロデューサー: 田代秀樹。関根真吾/企画プロデュース: 平野隆。下田淳行/原作: さだまさし/脚本: 田中幸子。瀬々敬久/撮影: 鍋島淳裕/美術: 磯見俊裕/編集: 菊池純一/音楽: 村松崇継/主題歌: GReeeeN 『恋文~ラブレター~』/VFXスーパーバイザー: 立石勝/スクリプター: 中西桃子/照明: 三重野聖一郎/録音: 白取貢/
助監督: 吉村達矢/
◆キャスト
岡田将生=永島杏平/榮倉奈々= 久保田ゆき/松坂桃李= 松井新太郎/鶴見辰吾= 古田/檀れい= 岡島あかね/染谷将太= 山木信夫/柄本明= 井上正志/堀部圭亮= 大沢稔/吹越満= 永島信介/津田寛治= 萩原先生/宮崎美子= 美智子/原田泰造= 佐相/


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


再び掲載が遅れました。土・日・祝日しか休みがなくて、旅行や何やらと雑用が多くて、しかも休みは必ず映画を頻繁に見るのですが、書く時間がありませんでした。今日も映画「源氏物-千年の謎-」と「リアル・スティール」を見て楽しんできました。

11月の上旬・下旬映画特選をアップロードします。映画館で観賞した映画は10本で 、特選映画に「アントキノイノチ」を選びました。

1本目は、「三銃士」です。17世紀初頭のフランスと若きルイ13世とアンヌ王妃の時代のフランスの歴史と街並みを、「バイオハザード」のポール・W・S・アンダーソン監督が、3Dの立体的な冒険映画にしました。


2本目も、既にこのブログで紹介している「月に囚われた男」の監督、ダンカン・ジョーンズが、死者の列車爆発8分間の仮想現実の記憶と、現存在時間を1本の時間軸へ接続した「ミッション:8ミニッツ」。


3本目は、佐藤東弥監督が製作した、ラスベガスの「ギャンブル映画」を凌ぐ家と思われたゲーム感覚の賭博映画「カイジ2」。


4本目は、NHKの「サラリーマンNEO」の劇場版で、背広にネクタイをしめた忠勤に励むサラリーマンを徹頭徹尾にコミカルに笑い飛ばした「サラリーマンNEO」でした。


5本目の映画は、ジャッキー・チェン自身が総監督を務め、孫文参謀の黄興を熱演している「1911」(チャン・リー監督)。


6本目はメジャーリーグの貧乏球団「アスレチックス」のゼネラルマネージャーのビリー・ビーン(ブラッド・ピット)を主人公に、≪出塁率≫という野球理論でメジャーリーグ優勝まで球団を育て上げるスポーツ映画「マネーボール」(ベネット・ミラー 監督。脚本;アーロン・ソーキン)です。


7本目は感染するウイルスが世界各地に拡大していく中で人々が異常なパニック状態に陥っていく伝染病映画の「コンテイジョン」(スティーブン・ソダーバーグ監督)。


8本目は、光の神である天上のオリンポスの神々と、闇の神タイタン族との壮大なスケールの戦いで終るギリシャ神話を基にした「インモータルズ -神々の戦い-」(ターセム・シン監督)です。


9本目は1997年5月21日に渋谷区円山町で立ちんぼの娼婦が殺害された事件ー、昼の顔は慶応大学卒業の大企業「東京電力」のエリート女子社員であり、夜は通りかがりのサラリーマンを相手に売春婦という、被害者の余りに想像を絶する逆転した「女の二重の顔」を素材に、園子温監督が製作した「恋の罪)です。


10本目は、遺族に代わって遺品を整理する仕事ー、遺品整理業の「クーパーズ」で働く暗い過去のある若い二人ー、杏平(岡田将生)とゆき(榮倉奈々)を主人公に、死と隣合わせの仕事を通して「命」の大切さを描く瀬々敬久監督の「アントキノイノチ」です。私は11月の特選映画に、この「アントキノイノチ」を選びました。


恐らく「死」と向き合う職業は数々あるだろう。一番初めに脳裏に浮かぶのは死者を回向し埋葬する僧侶が伝統的な死と関りの深い身分だろうか…。近頃は、お寺の僧侶が葬儀と戒名と念仏で金を儲け、キンピカな袈裟で墓地と墓石の分譲販売でするお寺はさらにポロ儲けをするので、葬式仏教と悪口を言われるくらいです。仏教に限らず宗教が現代人の「死」と向き合わなくなった所以なのだろう…。

映画の中で「死」と向き合う作品として『おくりびと』がありました。私は既に2009年3月14号でコメントを載せています。やや長い引用になりますが、依然、私の視点は変わらないので、このブログの中では重複しますが、引用させていただきます。そこでは、 …現代人の老後は、ある人は介護施設で生涯を全うし、ある人は病院の一室で息をひきとり、ある人は誰にも知られず孤独な死を迎えます。凡そ、人が人の死を見取る事が少なくなり、人の死は個人に属する「死」になり、社会から遠くなったと言えます。だが本来、「死」は共同体の中で共有すべき「死」であり、共同体の儀礼にしたがって「死体」は葬られて来ました。しかし近代になって、個々人の死は家族から隔離された病室で物々しい延命装置に囲まれ、個人の死の瞬間は家族の手を離れた施設でひっそり送られるようになりました。個人の晩年は、肉親縁者とも共同体とも無縁な孤独な時間となり、隠蔽される時間と存在になりました。…本来それぞれの文化の中で、「死」は村落共同体の共通の問題であり、共同体の構造の中には、死の恐怖や恐れを癒す再生の物語や、個人が生の終焉を運命のように受容する文化(儀式と神話)が有りました。… 近代人の「死」は、自分とは無縁な機械的な時間の終わり、無機質で非神話的・日常的な存在となりました。…医療技術の進歩は人の寿命を無理やり延ばし、人の死でさえも恰も風邪薬を飲むように治癒できるのではないかとさえ錯覚させています。
 
 しかしながら、一方で癌による避けがたい病死や、急な事故死も増え、運命的な「死」や突然の「死」が都市の孤独な個人を襲う機会が増えました。「死」が家族たちの視線に見守られ、身近な肉親たちと共に語られ、「死」の不安と恐怖が自然や植物や動物たちと一体化した宇宙の永遠の時の中で神話化される事はなくなりました。私たち都会生活者は、死の実相が見え難くなっています。そうした時代に、現代人は、自分の死とどのように向き合う会えるのだろうか…? 都会に住む寄る辺ない孤独な老世代たちは、「死」をどのように受容はしていいのだろうか…?果たして、葬儀会社の葬祭デレクターによる「死」の演出や、納棺師・湯灌師たちの「死」のセレモニーに満足して生を終えるのだろうか
…と書いています。

この現代人の「死」と向き合う新しい職業として伝統的な僧侶や医者や看護士に加えて古くて新しい「葬祭デレクター」や「納棺師・湯灌師」に、新しい仕事としてこの映画に登場する「遺品整理業」も、もう一つ加えたいです。現代の新しい現象を見事に映像化している、とおもいました。

私は今年の日本アカデミー賞の候補作品に挙げたい作品、「探偵はBARにいる」(橋本一監督)、「ステキな金縛り」(三谷幸喜監督)についで、三番目に挙げたい秀作映画でした。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


「リアル・スティール」★映画のMIKATA【47】ショーン・レヴィ監督★映画をMITAKA…

$
0
0

◆映画情報
上映時間 128分/.劇場公開(ディズニー)/公開 2011年/12月/9日
ジャンル ドラマ/アクション/ファミリー
オフィシャル・サイト
http://disney-studio.jp/movies/realsteel/
オフィシャル・サイト

◆スタッフ
監督: ショーン・レヴィ/製作: ドン・マーフィ。スーザン・モントフォード/製作総指揮: ジャック・ラプケ。ロバート・ゼメキス。スティーヴ・スターキー。スティーヴン・スピルバーグ。ジョシュ・マクラグレン。メアリー・マクラグレン/原案: ダン・ギルロイ。ジェレミー・レヴェン/脚本: ジョン・ゲイティンズ/撮影: マウロ・フィオーレ/音楽: ダニー・エルフマン/

ヒュー・ジャックマン=チャーリー・ケントン/ダコタ・ゴヨ= マックス・ケントン/エヴァン/ジェリン・リリー= ベイリー/アンソニー・マッキー= フィン/ケヴィン・デュランド= リッキ/
カール・ユーン= タク・マシド/オルガ・フォンダ= ファラ・レンコヴァ/ ホープ・デイヴィス= デブラ/


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・



年末になると私も「2011年の映画ベストテン」にどんな作品を選ぼうかと考え始めます。勿論、自分が映画館で観賞したものの中から選考しますが、少なくても見逃した映画もありますので、それらはレンタルショップのお店の棚に並んだDVDをその前に見たいと思うのですが…、なかなかDVDでリリースされませんね。その中でも特にロマン・ポランスキー監督の『ゴーストライター』を見逃したのが残念でした。それにローズ・ボシュ監督の「黄色い星の子供たち」という映画もどこかで上映していたのならば、是非見たかったです…DVDはもうリリースされてますか。この映画の情報があったらメール下さい。


新年早々に「2011年、邦画・洋画ベストテン」をアップロードするつもりで居ます。さて、12月上旬の推奨映画特選をアップロードします。映画館で観賞した映画は4本でした。推奨映画に「リアル・スティール」を選びました。

*

1本目の映画は、長年勤めた鉄道を定年退職する運転手・滝島徹(三浦友和)と、癌検診をきっかけに看護婦にカンバックして、ターミナルケアーの仕事に就いたその妻・佐和子(余貴美子)との、哀しくも愛おしい行き違いを描いた「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」(蔵方政俊監督)です。前回掲載の「アントキノイノチ」が、東日本大地震で不条理にも命を失った多くのヒトの無残で無念な「死」といやがおうにも向き合った震災の暗い影を色濃く反映しているのと同様に、この作品もまた、いかにも「高齢化」社会に相応しい夫婦や家族に渦巻き燻る問題の濃淡を敏感に反映したものではないでしょうか。アイドル・山口百恵の歌『ひと夏の経験』とともに青春を過ごした世代にとっては、その夫が定年退職する運転手の役を演じ、熟年世代の「余生」をテーマとする映画に出演するとは、これは私たちの世代を描いた身近な映画だな…という感慨深い内容でした。

*

2本目は、2020年という近未来に、ロポットを大型トレーラーに乗せて対戦相手を求めて各地を転転と賭け興行する元ボクサーの父・チャーリー・ケントン(ヒュー・ジャックマン)と息子・マックス(ダコタ・ゴヨ)の「ロボット」+「ボクシング」+「家族愛」の物語「リアル・スティール」(ショーン・レヴィ 監督。原作:リチャード・マシスン)です。シネマには「ロポット」をテーマとする機械文明への警告や、人間の肉体労働を代行するロボット社会への警醒や、インテリジェンスロボットが人間社会に叛旗を翻して人間を支配するという近未来社会への挑発的な預言映画もありました。ボクシングの名作・傑作スポーツ映画もまた夥しくありました。離婚した家族の抱える子供の親権問題の映画も多くありました。しかし、「ロボット」+「ボクシング」+「家族愛」の映画を私は初めて見ました。ここには、映画が提供する映像の至高のエレメントがフルハウスのように揃っています。即ち≪愛≫と≪希望≫と≪未来≫に充ちた映画です。

*

3本目は、一条帝の心を娘の彰子(蓮佛美沙子)に向けさせようと企む権力者・藤原道長(東山紀之)は、紫式部(中谷美紀)に『源氏物語』を書くように命じる。高山由紀子の原作を元に鶴橋康夫監督が平安王朝の絢爛豪な時代を描く「源氏物語ー千年の謎ー」です。光源氏に生田斗真、紫式部に中谷美紀、 桐壺/藤壺に真木よう子、葵の上に多部未華子、夕顔の君に芦名星…が演じている、美男美女たちの豪華絢爛でキラビヤカな映像です。が、もう一方の、魑魅魍魎の蠢く平安王朝の時代の怪奇で、どろどろした情念の魔界的映像が希薄だなー、という率直な感想を持ちました。安倍晴明役の窪塚洋介や藤原道長役の東山紀之に、悪霊・妖気と闘う神秘的な魔性も、愛欲も権勢欲も感じられませんでした。失礼だが、鶴橋康夫監督は、平安王朝や日本古代史をどう捉えているのだろうかー?映画に「視点」が感じられませんでした。キャストの美男美女で糊塗するような映像ばかりで、物足りなさが多分に残りました。
*

4本目は、ロシア・クレムリン爆破事件の犯行容疑がかけられたイーサン・ハント(トム・クルーズ)たちに、アメリカ大統領から組織抹消の「ゴースト・プロトコル」が発令されました。ロシア側から追跡されるながらもロシアミサイル発射の陰謀を阻止しようと、地上800メートルのドバイの超高層ホテルの壁面をよじ登るシリーズ第4弾の「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 」(ブラッド・バード督。原作:ブルース・ゲラー )。


スパイ映画の原型は、米ソの冷戦時代の軍事戦略と核装備をめぐる、共産圏と資本主義圏との相手国の動向を探るスパイ映画が大半でした。私が、この「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」を推奨映画に挙げなかった理由は、古いスパイ映画のストーリに先祖がえりしてしまったな…という脚本家・原作者への些かの恨みからでしょうかー。しかし原作者のブルース・ゲラーは、この「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」 を初め、往年のシリーズ「M:i:III」 (2006年)、「M:I-2」 (2000年)、「新スパイ大作戦」、「スパイ大作戦」 (1966年~1973年)のTVドラマの製作総指揮を担当しています。スパイ映画の原作・企画・制作の世界で銭を稼いで、ヒットを飛ばしてきたプロです。ただ、いくらトムクルーズが49歳の肉体を酷使しても、原作者達のスパイ映画への古い発想では、早晩「ミッション:インポッシブル」は古色蒼然たる映画に転落するのでは…。


とはいえ、ペルシャ湾のアラブの首都「ドバイ」やインドの「ムンバイ」を舞台とするイーサン・ハントたちの足跡は、娯楽映画としてまたまだ新鮮な魅力がいっぱいありました…。ても、スパイ映画の代表作「007」は北朝鮮を舞台とする作品がありましたからね…、それから比較するとまだ新奇さが足りないな、と思います。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・




「ニューイヤーズ・イブ」★映画のMIKATA【48】ゲイリー・マーシャ監督★映画をMITAKA…

$
0
0

◆映画情報
上映時間 118分/劇場公開(ワーナー)/初公開 2011年12月23日/

オフィシャル・サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/newyearseve/

◆スタッフ
監督: ゲイリー・マーシャル/製作: マイク・カーツ。ウェイン・ライス。ゲイリー・マーシャル/製作総指揮: トビー・エメリッヒ。サミュエル・J・ブラウン。マイケル・ディス。 ジョシー・ローゼン/ダイアナ・ポコーニイ/脚本: キャサリン・ファゲイト/撮影: チャールズ・ミンスキー/プロダクションデ/デザイン: マーク・フリードバーグ/衣装デザイン: ゲイリー・ジョーンズ/編集: マイケル・トロニック/音楽: ジョン・デブニー/音楽監修: ジュリアンヌ・ジョーダン/
◆キャスト
ハル・ベリー= エイミー看護師/ジェシカ・ビール= テス/ジョン・ボン・ジョヴィ= ジェンセン/アビゲイル・ブレスリン= ヘイリー/クリス・“リュダクリス”・ブリッジス= ブレンダン/ロバート・デ・ニーロ= スタン/ジョシュ・デュアメル= サム/ザック・エフロン= ポール/ヘクター・エリゾンド= コミンスキー/キャサリン・ハイグル= ローラ/アシュトン・カッチャー= ランディ/セス・マイヤーズ=グリフィン/リア・ミシェル= エリーズ/ サラ・ジェシカ・パーカー= キム/ ミシェル・ファイファー= イングリッド/ティル・シュヴァイガー= ジェイムズ/ ヒラリー・スワンク= クレア/ソフィア・べルガラ= エバ/


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


12月下旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は3本でした。1本目の映画は、「山本五十六」(成島出 監督)。2本目は「ワイルド7」( 羽住英一郎監督)。私は、3本目の「ニューイヤーズ・イブ」(ゲイリー・マーシャル監督)を推奨映画に選びました。


12月8日は真珠湾攻撃の日でしたが、1本目の映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」は、まさかPearl Harborを忘れるな、という警醒の映画ではないだろうーが、今この時期に何故なのかー。「山本五十六」の真珠湾攻撃と太平洋戦争開戦の映画を製作することの「意味」が何かあるのだろうか…。私が映画を見ながら思った疑問です。


確かに、昨今の日本の政治指導者の不甲斐無さと体たらくに腹を立てている人にとては、山本五十六は外交交渉と政治戦略家に長け、その生き方と死に方に拍手して迎えたい英邁な指導者に映るかもしれません。が、しかし私には、「昔の軍人は立派で偉かったー」などという賛美を導くのが一番恐ろしいです。さらに私には、山本五十六の遺した多彩な語録にー、例えば、…やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。…心酔の余り軍人を賛美する風潮がもっと恐怖です。


民主党の何某が「自衛隊は暴力装置ー」といって自民党とマスコミのゴウゴウたる批難を浴びましたが、所詮兵器を保持している自衛隊は、災害救助をどんなに一生懸命しようとも「軍隊」に変わりはありません。軍隊である限り人殺し集団です。例え山本五十六が、開戦に反対する立場を貫き、戦略上では講和のための「戦争」を作戦したとしても、軍人です。私には、この映画が余りにも「軍人」を称賛しすぎるだろうと、思えました。


2本目の「ワイルド7」は、極悪な犯罪者の中から選ばれた「7人」が、法律で裁けない「悪人」に容赦なく超法規的な処罰を下すアクション映画です。原作が「週刊少年キング」に連載され漫画なので、ストーリもB級、映画としてもB級です。漫画の人気をそのまま素材にして製作する安易な映画化が多い昨今、すぐに忘れられるまたもう1本「駄作」が増えたなーという感想です。


ワイルド・スピード MEGA MAX」( ジャスティン・リン監督)のような素敵な正義を貫く「悪人」、孤独でニヒルで胸のすく「ギャング」の登場する映画が、もうそろそろ制作されてもいいものだがな…!


3本目の「ニューイヤーズ・イブ」を12月24日のクリスマスに見ましたが、映画館はクリスマスイブで一夜を過ごしたカップル達が甘い雰囲気を引きずって、その余韻で翌日にラブロマンスを見に来た熱気のある盛況ー、ラブロマンスにしては驚く程の満席した。私としては、いくらクリスマスとはいえ、こんなロマンス映画に人気があるとは予想しませんでした。


ストーリは、NYのタイムズスクエアで大晦日に行われるカウントダウンのイベント「ポール・ドロップ」に集まるさまざまな家族愛と男と女の絆と連帯の物語です。


もう余命短い病院の老父(ロバート・デ・ニーロ)と娘クレアの家族愛がありました。カウントダウンと共にファーストキスをしたいと母親を振り切ってタイムズスクエアのボーイフレンドの元に走る高校生の家族愛もありました。「ポール・ドロップ」のカウントダウンコンサートに出演するロック歌手(ジョン・ボン・ジョヴィ)と女性料理人の愛と絆もありました。そのコンサートのバックコーラスに出演する売れない女性ミュージシャンと売れないヒゲ゜モジャの冴えないイラストレータ青年の愛と絆もありました。去年の大みそかに遭遇した女性を忘れることができずに、再び同じ場所に同じ時間に駆けつける男女の愛と絆がありました。レコード会社の社長秘書を辞めて紙片に書いた一杯のやりたいことを実現する中年女性と自転車配達人の愛と絆がありました…。


一人一人、一つ一つの愛と絆ですが、NYのタイムズスクエアで行われる大晦日のカウントダウンイベント「ポール・ドロップ」を媒介にして、他人が結びつき全体が大きな心温まるストーリを一日に凝縮させた映画でした。悪く言うと「夢」の大安売りー、だが、この映画は、本当に本当は、絶望にうち塞ぎ失意でうな垂れる人に「希望と夢」を与えることが出来るのかな…?


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・



12月特選「ミッション:インポッシブル/」★映画のMIKATA【49】★映画をMITAKA…

$
0
0

■映画情報
上映時間 132分/
劇場公開(パラマウント)/初公開2011年12月16日/

オフィシャル・サイト
http://www.mi-gp.jp/

■キャスト
トム・クルーズ~ イーサン・ハント/ ジェレミー・レナー~ ウィリアム・ブラント/ サイモン・ペッグ~ ベンジー・ダン/ ポーラ・パットン~ ジェーン・カーター/ ミカエル・ニクヴィスト~ ヘンドリクス/ ウラジミール・マシコフ~ シディロフ/ ジョシュ・ホロウェイ~ ハナウェイ/アニル・カプール~ ナス/ レア・セドゥー~ サビーヌ・モロー/ ミラジ・グルビッチ~ ボグダン/サムリ・エーデルマン~ ウィストロム/トム・ウィルキンソン~/ IMF長官/ヴィング・レイムス~ ルーサー/ミシェル・モナハン~ ジュリア/

■スタッフ
監督: ブラッド・バード/製作: トム・クルーズ。J・J・エイブラムス。ブライアン・バーク/製作総指揮: ジェフリー・チャーノフ。デヴィッド・エリソン。ポール・シュウェイク。
デイナ・ゴールドバーグ/原作: ブルース・ゲラー/脚本: ジョシュ・アッペルバウム。
アンドレ・ネメック/撮影: ロバート・エルスウィット。プロダクションデ。ザイン: ジム・ビゼル/衣装デザイン: マイケル・カプラン/編集: ポール・ハーシュ/音楽: マイケル・ジアッキノ/



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


2011年も終わりに近づいてきました。映画の「ニューイヤーズ・イブ」のようにドラマチックな物語が私にも起こるといいのです。残念ながら甘いラブロマンスも一年を惜しんでカウントダウンする、いつまでも記憶に残るニューイヤーズイベントも、ニューイヤーの熱い抱擁とファーストキスもなさそうです。いつもいつも、年越しは「せめては…」ということになってしまいます。


今年2011年はまたまた残念ですが、日本にとっても私にとっても余りいい年ではありませんでした。大雨大洪水やら、東日本大震災があったり、その後の空前絶後の「津波」と、福島第一原発の放射能汚染で、依然、日本は大混乱が続いています。私生活においても失業状態が続いています。「せめては」、いい映画とステキな感動をーと思って、なるべくたくさんの映画を見るように務めました。


さて、12月の特選映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は7本でした。全ての映画は既にコメントを掲載しています。1本目の映画は「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」。2本目は「リアル・スティール」。3本目は「源氏物語ー千年の謎ー」。4本目は「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」で、この作品を12月の特選映画に選びました。5本目は「山本五十六」。6本目は、「ワイルド7」。 7本目の「ニューイヤーズ・イブ」です。


・1本目の映画は、長年勤めた鉄道を定年退職する運転手・滝島徹(三浦友和)と、癌検診をきっかけに看護婦にカンバックして、ターミナルケアーの仕事に就いたその妻・佐和子(余貴美子)との、哀しくも愛おしい行き違いを描いた「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」(蔵方政俊監督)です。


滝島徹役の三浦友和の中年サラリーマンも板についた役柄で、妊娠した娘役の小池栄子もまた演技を必要としない見飽きた役柄でした。ただ、余貴美子の中年の主婦役が、一人で強く生きる孤独な女性という役柄が、私には一番見応えがありました。葬儀社に勤める事務員の役柄の彼女も「おくりびと」では脇役でしたが、孤独な中年女性の雰囲気が、独特のものがありました。


そう言えば「ニューイヤーズ・イブ」にも、仕事に追われ私生活を楽しむことがなかった孤独で真面目そうな女性がいましたが、世の中にはこんな陽の当らない孤独な独身女性がたくさんいるのではないでしょうか…。映画ではまだカメラと照明が当ってませんねー。


・2本目は、2020年という近未来に、ロポットを大型トレーラーに乗せて対戦相手を求めて各地を転転と賭け興行する元ボクサーの父・チャーリー・ケントン(ヒュー・ジャックマン)と息子・マックス(ダコタ・ゴヨ)の「ロボット」+「ボクシング」+「家族愛」の物語「リアル・スティール」(ショーン・レヴィ 監督。


国内のドラマでは「家政婦のミタ」の最終回が高視聴率40%超える数字を記録したというので話題になりましたが、三田役の松嶋菜々子のロボットのように笑わない無機質の表情と仕草の演技もさることながら、阿須田家の子供たちの「子役」たちの演技も、恰も名作ミュージカル『サウンドオブミュージック』の家庭教師(ジュリーアンドりュース)と悪戯っ子たちのような関係に似た演技と家族関係で、ドラマチックで素晴らしかったです…。特に子役の希衣役の本田望結チャンの愛らしくあどけない質問と演技は、思わすぜ微笑んでしまいそうなシーンがたくさんありました。子役も確かに映画の重要な人気の要素になりましたね…。


「リアル・スティール」でも息子・マックス役のダコタ・ゴヨの子役の演技も、自律した意志を持ったしっかり者の「子供」役がこの映画の人気の大きな要素でした。


・3本目は、一条帝の心を娘の彰子(蓮佛美沙子)に向けさせようと企む権力者・藤原道長(東山紀之)は、紫式部(中谷美紀)に『源氏物語』を書くように命じる。高山由紀子の原作を元に鶴橋康夫監督が平安王朝の豪華絢爛な時代を描く「源氏物語ー千年の謎ー」です。


・4本目は、クレムリン宮殿の爆破事件の犯行容疑がかけられたイーサン・ハント(トム・クルーズ)たちに、アメリカ大統領から組織の存在を抹消する「ゴースト・プロトコル」が発令されました。ロシア側から追跡されるながらもロシアミサイル発射の陰謀を阻止しようと、地上800メートルのドバイの超高層ホテル「ブルジュ・ハリファ」の壁面をよじ登るシリーズ第4弾の「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 」(ブラッド・バード督。原作:ブルース・ゲラー )です。


この映画でも49歳のトム・クルーズは超高層のホテルのガラス張りの壁面をスタントマンを使わずに、自らが危険でハラハラするアクションに挑んでいます。その臨場感は3Dでなくても観客に伝わってきました。昨今、3Ð映画が増えていますが、映像の立体感によってより迫力を増幅するに3Ðが必要条件ではないことは、この、「ミッション:インポッシブル」を見る限り、それは副次的な手段であって、やはり映画の迫力も醍醐味も主演俳優のアクションに取り組む意気込みであることが分かります。

・5本目の映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」(成島出 監督)は、まさかPearl Harborを忘れるな、という警醒の映画ではないだろうーが、今この時期に何故なのかー、軍人を余りにも美化しすぎてはいないか…、というのが私の率直な感想です。


映画の中で山本五十六が家族団らんで朝食の食卓を囲む風景がありました。一人一人の皿に魚の身を箸で取分けて、まずは味噌汁をひと口啜るものだと子供に行儀を諭すシーンがありました。日本の家族から消えた風景です。これが一家の家父長的存在の威厳と役割なのか、と感心しました。


・6本目の「ワイルド7」( 羽住英一郎監督)は、極悪な犯罪者の中から選ばれた「7人」が、法律で裁けない「悪人」に容赦なく超法規的な処罰を下すアクション映画です。


・7本目の「ニューイヤーズ・イブ」(ゲイリー・マーシャル監督)は、NYのタイムズスクエアで大晦日に行われるカウントダウンのイベント「ポール・ドロップ」に集まるさまざまな家族の愛と、世界でただ一人、唯一の愛する男と女がめぐり合う美しい絆と愛の物語です。わたくしもこんなステキな年越しを迎えたいですが…。「せめて」私は、近くのお寺で、除夜の鐘でも一つ撞きますか。



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・




PR: オリコンで好評の婚活支援サービス

$
0
0
結婚情報サービス顧客満足度ランキング30代部門2年連続No.1!まずは資料請求を

「2011年映画ベストテン」★映画のMIKATA【50】★映画をMITAKA…

$
0
0

2011年の「映画特選ベストテン」をアップロードします。2011年に映画館で観賞した映画は数えるのが面倒でしたから数えませんでしたが、でも100本程度は見ているのではないでしょうか。このブログでも映画は見たが映画のタイトルさえ書かなかった作品も数多くありました、特にアニメは省きました。


邦画10本、ベストテンの枠からはみ出した作品を秀作映画として14本挙げました。洋画10本で同じく秀作映画15本を挙げました。いずれも、私が映画館で観賞したものばかりです。見逃した作品もありますので、改めて来年レンタルDVDのリリースを待って、コメントをブログに掲載したいと思ってます。


さらにこの中から全く私の独断的な趣向で邦画から5本、洋画から5本、全部で10本選びました。1本目の映画は「一命」。2本目は「探偵はBARにいる」。3本目は「ステキな金縛り」。4本目は「冷たい熱帯魚」。5本目は「アントキノイノチ」、6本目は「英国王のスピーチ」。 7本目は「わたしを離さないで」。8本目は「ヒア アフター 。9本目は「猿の惑星創世記(ジェネシス)」。10本目は「ワイルド・スピード MEGA MAX」。これらの映画のキャスト・スタッフ・ストーリ等の詳細と私のコメントは、バックナンバーをお読み下さい。


私は可能な限り翻訳と原作を、映画の脚本家監督の視点まで遡及できるように、その時々に読むように努めているのですが、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』(早川文庫。土屋政雄訳)等々、未だに{積読}状態の本が多いいです。本と映画の両立はなかなか難しいようです。


*もしも感想があるならばコメント欄にご意見を下さい。必ずご返事いたします。

邦画ベストテン

「一命」( 三池崇史監督)。

探偵はBARにいる」(橋本一監督)

「ステキな金縛り」(三谷幸喜監督。

「スマグラーおまえの未来を運べ 」(石井克人 監督)。

「セカンドパージン」(黒崎博監督。大石静脚本)。

「軽蔑」( 廣木隆一監督)。

「冷たい熱帯魚」(園子温 監督)

「日輪の遺産」( 佐々部清監督)

「アンフェアthe answer」。」( 佐藤嗣麻子監督)。

10

「アントキノイノチ」(瀬々敬久監督)。

洋画ベストテン

「英国王のスピーチ」(トム・フーパー監督)。

「リアル・スティール」( ショーン・レヴィ監督)。

「マネーボール」(ベネット・ミラー 監督。脚本;アーロン・ソーキン)。

「わたしを離さないで」(マーク・ロマネク 監督)。

「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」( ブラッド・バード監督)

「ブラック・スワン」(ダーレン・アロノフスキー監督)。

「ヒア アフター」( クリント・イーストウッド監督)。

「ワイルド・スピード MEGA MAX」(ジャスティン・リン監督)。

「ツーリスト」( フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナー監督)。

10

「猿の惑星創世記(ジェネシス)」(ルパート・ワイアット 監督)。


今年の邦画秀作映画

「大鹿村騒動記」(阪本順治監督)

・「僕と君の1778の物語」( 星護監督) 。

・「恋の罪」(園子温監督) 。

・「うさぎドロップ」(SABU監督)。

・「岳ーガクー」( 片山修監督)。

・「八日目の蝉」( 成島出監督)。

・「漫才ギャング」(品川ヒロシ監督)。

・「SP革命編」( 波多野貴文監督)。

・「あしたのジョー」(曽利文彦監督)。

・「モテキ」(大根仁監督)。
・「カイジ2」佐藤東弥監督)。

・「星守る犬」( 瀧本智行監督)。
・「アンダルシア」(西谷弘 監督)。

・「洋菓子店コアンドル」(深川栄洋監督)。

今年の洋画秀作映画

・「ミッション:8ミニッツ」(ダンカン・ジョーンズ監督)。

・「モールス」(マット・リーヴス監督)。

・「ミケランジェロの暗号」( ヴォルフガング・ムルンベルガー監督)。
・「サンクタム」(アリスター・グリアソン 監督。ジェームズ・キャメロン 製作総指揮)。

・パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉」(ロブ・マーシャル監督)。

・「スリーディス」(ポール・ハギス 監督)。
・「恋とニュースのつくり方」(ロジャー・ミッシェル 監督)。

・「ウォール・ストリート」(オリバー・ストーン監督)。

・「X-MEN ファストジェネレーション」(マシュー・ヴォーン監督)。

・「RED/レッド」(ロベルト・シュヴェンケ 監督)

・「アンストッパブル」(トニー・スコット監督)。

・「ミックマック」( ジャン=ピエール・ジュネ 監督)。

・「ソーシャル・ネットワーク」(デヴィッド・フィンチャー 監督)。

・「三銃士」(ポール・W・S・アンダーソン監督)

・「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」(マイケル・ベイ監督・スピルバーグ製作指揮)。

・「スーパーエイト」( J.J.エイブラムス監督スティーブン・スピルバーグ製作指揮)。


本年もブログへの関心有り難うございました。よい新年をお迎え下さい。

2012年の新春第一弾の★映画のMIKATA★映画をMITAKA…を何にするか、今思案しています。見逃し映画の、例えば「一枚のハガキ」や「ゴーストライター」が見れればそれを掲載したいし、レンタルショップの棚に魅力的な名作DVDが目に留まれば、それを紹介したいです。さて、お正月は映画三昧で過ごしましょうか…。

1月推奨「ヒミズ」★映画のMIKATA【1】園子温監督★映画をMITAKA…

$
0
0

■1月16日に東京・グランドプリンスホテル新高輪にて、第35回日本アカデミー賞優秀賞のノミネート作品が発表されました。選考対象作品は、2010年11月28日 ~2011年12月10日に公開されたもので、主な候補作品を下記に転記しておきました。これら作品からどれが最優秀賞の栄誉を摑むか、3月2日の授賞式が楽しみです。詳細は宜しかったら下記ホームページをご覧下さい。もしも私が選考委員の一人だったら、一票を投じたい作品に印をつけました。これもほんの座興です。

http://www.japan-academy-prize.jp/index.php



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・



◆優秀作品賞
「大鹿村騒動記」「最後の忠臣蔵」「ステキな金縛り」「探偵はBARにいる」「八日目の蝉」
◆優秀監督賞
「阪本順治(大鹿村騒動記)」「新藤兼人(一枚のハガキ)」「杉田成道(最後の忠臣蔵)」「成島 出(八日目の蟬)」「三谷幸喜(ステキな金縛り)」
◆優秀脚本賞
「荒井晴彦/阪本順治(大鹿村騒動記)」「奥寺佐渡子(八日目の蟬)」「古沢良太/須藤泰司(探偵はBARにいる)」「田中陽造(最後の忠臣蔵)」「三谷幸喜(ステキな金縛り)」
◆優秀主演男優賞
大泉 洋(探偵はBARにいる)堺 雅人(武士の家計簿)原田芳雄(大鹿村騒動記)三浦友和(RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ)役所広司(最後の忠臣蔵)
◆優秀主演女優賞
井上真央(八日目の蟬)長澤まさみ(モテキ)中谷美紀(阪急電車 片道15分の奇跡)深津絵里(ステキな金縛り)宮﨑あおい(ツレがうつになりまして)
◆優秀助演男優賞
伊勢谷友介(あしたのジョー)岸部一徳(大鹿村騒動記)佐藤浩市(最後の忠臣蔵)でんでん(冷たい熱帯魚)松田龍平(探偵はBARにいる)
◆優秀助演女優賞
麻生久美子(モテキ)小池栄子(八日目の蟬)永作博美(八日目の蟬)満島ひかり(一命)宮本信子(阪急電車 片道15分の奇跡)

///////////////////////////////////////////////////////////////////////

■キネマ旬報社による2011年度キネマ旬報ベスト・テン(第85回)が、16日に発表されました。序でにどんな作品が受賞したのか、転載しておきます。

作品賞の1位は、新藤兼人監督(99歳)の『一枚のハガキ』。主演男優賞は原田芳雄(『大鹿村騒動記』)、主演女優賞は永作博美(『八日目の蝉』)、助演女優賞は小池栄子(『八日目の蝉』『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』)、助演男優賞はでんでん(『冷たい熱帯魚』)、日本映画監督賞は、園子温監督(『冷たい熱帯魚』『恋の罪』)らが受賞した。

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


【2011年日本映画ベスト・テン】
1位 一枚のハガキ
2位 大鹿村騒動記
3位 冷たい熱帯魚
4位 まほろ駅前多田便利軒
5位 八日目の蝉 (蝉の文字は旧字です)
6位 サウダーヂ
7位 東京公園
7位 モテキ
9位 マイ・バック・ページ
10位 探偵はBARにいる
【2011年外国映画ベスト・テン】
1位 ゴーストライター
2位 ソーシャル・ネットワーク
3位 英国王のスピーチ
4位 無言歌
5位 ブラック・スワン
6位 マネーボール
7位 トゥルー・グリット
8位 ヒア アフター
9位 灼熱の魂
10位 家族の庭
///////////////////////////////////////////////////////////////////////


◆映画情報
上映時間 129分/劇場公開(ギャガ)/初公開2012年1月14日/
オフィシャル・サイト
http://himizu.gaga.ne.jp/

◆キャスト
染谷将太・住田祐一/二階堂ふみ・茶沢景子/渡辺哲・夜野正造/吹越満・田村圭太/神楽坂恵・田村圭子/光石研・住田の父/渡辺真起子・住田の母/黒沢あすか・茶沢の母/でんでん・金子/村上淳・ 谷村/諏訪太朗・まーくん/堀部圭亮・茶沢の父/ 川屋せっちん・藤本健吉/窪塚洋介・テル彦/吉高由里子・ミキ/モト冬樹・てつ/西島隆弘・YOU/鈴木杏・ウエイトレス/
◆スタッフ
監督: 園子温/アクション監督: 坂口拓/製作: 依田巽。吉岡富夫/プロデューサー: 梅川治男。山崎雅史/エグゼクティブプロデューサー: 小竹里美/ラインプロデュー
サー: 鈴木剛/共同プロデューサー: 國實瑞惠/原作: 古谷実/脚本: 園子温/撮影: 谷川創平/美術: 松塚隆史/編集: 伊藤潤一/音楽: 原田智英/音響効果: 齋藤昌利/
スタイリスト: 村上利香/ヘアメイク: 本田真理子/照明: 金子康博/録音: 深田晃/助監督: 木ノ本豪/


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


さて、一月ももう半ばを過ぎましたが、漸く見応えのある作品が公開されましたので映画館へ足が向きました。掲載が遅くなりましたが、2012年初めての掲載となります。本年も引き続き映画のMIKATA【1】監督映画をMITAKA…の購読をお願いします。それにしても、たいしたことを書けないな…。


2012年1月上旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は5本でした。1本目の映画は、吉本の板尾創路が再び監督主演を演じる、落語家の戦争体験をパラドキシカルに描いた「月光ノ仮面」( 板尾創路 監督)。2本目は、ミッキーカーチス(五十嵐信次郎)の惚けた老人役が笑を誘う喜劇「ロボジー」( 矢口史靖 監督)。3本目は、日本統治下の一人の朝鮮人(チャン・ドンゴン)と、一人の日本人( オダギリジョー)が戦争に翻弄される激動の歴史と運命を描いた「マイウェイ 12,000キロの真実」( カン・ジェギュ 監督。4本目は、津波に襲われ瓦礫だらけの東日本大震災の荒涼とした風景を暗喩する街並みが印象的な「ヒミズ」園子温(監督)。5本目は、イラクの独裁者サダム・フセインの長男・ウダイ・フセインの影武者を引き受けたラティフ・ヤヒアの自伝を映画化した「デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-」」(リー・タマホリ監督)でした。私は1月上旬の推奨映画に「ヒミズ」を選びました。


1本目の「月光ノ仮面」( 板尾創路 監督)は、既に『板尾創路の脱獄王』(2010年1月公開)に於いて刑務所からの脱走をくり返す≪脱獄王≫を主人公にした、人間の飽くなき開放への茫洋とした執念と衝動を一種独特のタッチで描いた板尾創路が、再び監督・脚本・主演で製作した映画です。彼の意図が分かりやすい映像構成だなーという感想を持った一面で、何故ここまでアナーキーな欲望や衝動に拘泥するのかなーという、彼の創作執念と、表現の才能に改めて驚嘆します。、


敗戦まもない昭和22年の満月の夜iに、ボロボロのズタ袋のような軍服に身を包み、顔の半分に包帯を巻いた帰還兵(板尾創路)が寄席小屋へふらりと現われ、そのまま高座に上がってしまう。男は森乃家一門の天楽師匠(前田吟)の娘の弥生(石原さとみ)によって、結婚の契りを交わし、戦死したと思われていた「森乃家うさぎ」と間違われ、一門の世話になるー。


敗残兵は最後に高座から機関銃で寄席のお客や落語家仲間たちを皆殺しに殺戮する。「笑」に対するこの記憶喪失男の破壊衝動と怒りはなんなのだろうか…?アナーキーな怒り、もしかして記憶の中で途切れ途切れに現れる戦争体験への悪夢かも知れませんが、兎も角も、その無秩序な怒りのトンネルの先に、明るい未来が待っているとでも言いたいのか…、板尾創路監督作品は、ここでも再び底なしに深い≪執念と衝動≫が表現されています。


2本目の「ロボジー」は、ローカルな家電メーカの木村電器が人工知能を持った二足歩行ロボット「ニュー潮風」を開発したが、実はロボットの中には73歳の爺さん、鈴木さんが着ぐるみの様に忍んでいるインチキロボットだったという爆笑喜劇です。ロボットを配役の中心に置く喜劇・コメディー映画は初めてではないだろうかー。


「喜劇」として見事な配役です。ロボットの中で滑稽な仕草をするミッキー・カーチスの老人役に爆笑しました。『蛇にピアス』で背中に蛇の刺青を彫った吉高由里子のお転婆な女子大生役も爽やでした。『鴨川ホルモー』で荒唐無稽な京都の神話世界を「笑」に変えた濱田岳の小骨のある青年エンジュニア役も個性的な適役でした。Wエンジンのチャンカワイも、額から汗の吹き出るような滑稽でヒューモラスな表情と演技でした。三谷幸喜監督の「ステキな金縛り」も館内は爆笑に包まれていましたが、思わずに噴き出してしまいそうな「笑の映画」も時々みたいですね…。


3本目は、日本統治下の朝鮮人・チャン・ドンゴンと、日本人・ オダギリジョーの二人が歴史に翻弄される激動の運命を描いた「マイウェイ 12,000キロの真実」( カン・ジェギュ 監督)です。


日本占領時代の朝鮮に日本人少年の長谷川辰雄と、朝鮮人下僕の息子のキム・ジュンシクが映画の主人公です。二人はマラソンでオリンピックを目指すライバルとして青年まで成長していく。が、キム・ジュンシクは反乱罪で逮捕され、天皇の兵士として徴兵されて満州とソ連の国境前線へ強制的に駆出される。1939年、ノモンハンで辰雄は冷酷非情な指揮官としてキム・ジュンシクの前に現われる。その後、ソ連軍に敗北し捕虜となった2人は、極寒のシベリヤで強制労働をさせられる。さらにドイツ軍の捕虜となり、ノルマンディー上陸作戦で、連合国軍に捕らえられたる…。映画は波乱の二人の運命を可也壮大で、なおかつシリアルな戦争映画としても描いています。


近頃、朝鮮人従軍慰安婦への補償問題で、韓国の大使館前でひと騒動あった。歴史的にも文化的にも朝鮮半島の民族と日本は因縁が多い。最も近く最も親しくなれる民族なのだが、海底資源をめぐって領土問題でも揉めているー。日韓を代表するチャン・ドンゴンと オダギリジョーの共演は、それでも日本と朝鮮は理解しあわなくてはならないなーと、共感を呼ぶ映画でした。


私はこの映画に関して二つのことを感じました。一つは、戦争の中で戦場の「友情」や人間同士の「愛」など描くなーと、やや怒りました…。戦争にそんなものはないよ…!全てはアメリカ映画、例えば古くは「コンバット」から新しくは「キャプテンアメリカ」まで、戦争を美化して、正当化し、更に徴兵拒否しないようなアメリカ社会の若者向けの洗脳の映画に、日本の若者も感化されすぎています…。ドイツ人が≪アウシュヴッツ≫を原点とし、文化と倫理と政治と人間を出発点させているように、日本人は、少なくても}≪戦争≫に関して広島長崎の原爆体験を基準点としなくてはならんのではないのかなー。もう一つは、これまで日本と日本人と戦争を描いた韓国映画は、少なくとも多くが「ルサンチマン」に満ちていましたが、その意味で、日本と朝鮮半島を含めたアジア圏の新しい戦争映画になるな、と思いました。


4本目は、「冷たい熱帯魚」「恋の罪」…と、社会的事件を次々と映画化して、衝撃的な問題作を製作している園子温監督の「ヒミズ」です。この作品もまた刺激的な映画でした。彼の映画は、見終わった後に「何を表現したいのかなー」と、深く考えさせる作品が多いです。「ヒミズ」はある部分で、15歳の孤独な少年・住田祐一(染谷将太)と、クラスメイト・茶沢景子(二階堂ふみ)の、思春ドラマとしても観賞できます。


が、津波に襲われ瓦礫だらけの東日本大震災の荒涼とした風景をところどころ挿入している映像と、保険金のために「早く死ねー」と酔払って毒づく住田の「父」像と、見縛り首ロープが垂下がった死刑台を自宅に作り、赤イペンキで塗る茶沢の「母」像と、川の近くに建つボートハウスと河原に住む避難民・ホームレスたちの青テント姿は、ある部分で、家庭と家族の絆を失い、コミニケーションと希望さえも失った後に、絶望の先に「現代」には何が残されているのだろうかーと問いを投げ掛けているのかな…と、私は推測しました。


川の中で「父親殺し」の悪夢を清算しようとヤクザの親分からもらったピストルで自殺しようとした住田祐一が、茶沢景子の「スミダクンー、スミダクンースミダクンー」と連呼する叫びに、川の水面から生還するシーンは、絶望の先に夜明けの薄明かりの中に何かしらの≪再生の出発≫を感じさせました…。率直に、私など「死ななくてー、好かったー」と安堵しました。絶望から再生と出発を支えたサムシングは何かな?…と、私はまた沈考してしまいます。


5本目の「デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-」」は、イラクの独裁者サダム・フセインの長男ウダイの替え玉だったラティフ・ヤヒアの自伝を、『007/ダイ・アナザー・デイ』のリー・タマホリ監督が映画化したものです。民衆からかけ離れた独裁者の奢りや、権力を持った為政者の腐った独裁政治は、いつかは倒されるものです。ウダイが酒と女に溺れて、狂気を失って行く姿は、独裁政治の恐ろしさと顛末を充分見せてくれた映画でした。


2011年に打倒されたリビアの最高指導者カダフィ政権なども独裁者でしたが、その最期は悲惨でした。先頃亡くなった金正日総書記の北朝鮮も独裁者でした。恐らく北朝鮮の独裁政権もサダム・フセインやカダフィ政権のように、民衆の手で倒される日がいつか来ると信じたいです…。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


















1月推奨「麒麟の翼 」★映画のMIKATA【2】土井裕泰監督★映画をMITAKA…

$
0
0

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・



第84回アカデミー賞のノミネート作品が1月24日に米ロサンゼルスのサミュエル・ゴールドウィン・シアターにて発表されました。近頃、映画のアカデミー賞の話題がワイドショーやテレビのニュース番組に取り上げられるようになりましたが、映像表現が社会を動かす「力」となってきたのかなーと喜んでいます。iマーティン・スコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』にも、スティーヴン・スピルバーグ監督の『戦火の馬』にも、デヴィッド・フィンチャー監督の『ドラゴン・タトゥーの女』にも、人の心を感動させることは、社会を重心移動させる力を充分持ってい.ると予感させます。映像表現は両刃の剣です、人間をいとも簡単に洗脳することが出来るし、特定の政治的イデオロギーを批判フィルターを容易にすり抜けて、脳髄の奥深く注入させることも出来ます。反面、雷の電流のように感動に打たれ、胸にこみ上げる突然の感涙の涙を誘い、憎しみのしこりも、ウジウジした嫉妬も、むかつく怒りも、どろどろした原初的な情念を綺麗に浄化することも出来ます。さらに、平和や愛のイデーを魂の土壌に植えつけられます…。第84回アカデミー賞授賞式は、現地時間2月26日に米ロサンゼルスのコダック・シアターにて行われる。主な賞のノミネート作品を転記しておきます。候補作品のほとんどを私は観賞していませんが、日本での公開が待ち遠しい映画ばかりですー。映画って媚薬ですねー!


■作品賞
『アーティスト』/
『戦火の馬』/『ファミリー・ツリー』/『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』/ 『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』/ 『ヒューゴの不思議な発明』/『マネーボール』/ 『ミッドナイト・イン・パリ』/ 『ツリー・オブ・ライフ』/
■監督賞
マーティン・スコセッシ 『ヒューゴの不思議な発明』/ ミシェル・アザナヴィシウス 『アーティスト』/アレクサンダー・ペイン 『ファミリー・ツリー』/ テレンス・マリック 『ツリー・オブ・ライフ』/ ウディ・アレン 『ミッドナイト・イン・パリ』/

■主演男優賞
ジョージ・クルーニー『ファミリー・ツリー』/ブラッド・ピット『マネーボール』/ ジャン・デュジャルダン 『アーティスト』/ゲイリー・オールドマン 『裏切りのサーカス』/デミアン・ビチル 『明日を継ぐために』/

■主演女優賞
グレン・グローズ『アルバート・ノッブス』/ヴィオラ・デイヴィス『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』/ルーニー・マーラ『ドラゴン・タトゥーの女』/メリル・ストリープ『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』/ミシェル・ウィリアムズ『マリリン 7日間の恋』/
■助演男優賞
ケネス・ブラナー『マリリン 7日間の恋』/ジョナ・ヒル『マネーボール』/クリストファー・プラマー『人生はビギナーズ』/ マックス・フォン・シドー『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』/ニック・ノルティ『ウォーリアー(原題) / Warrior』/
■助演女優賞
ベレニス・ベジョ 『アーティスト』/ジェシカ・チャステイン『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』/オクタヴィア・スペンサー『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』/ ジャネット・マクティア 『アルバート・ノッブス』/メリッサ・マッカーシー『ブライズメイズ(原題)
『idesmaids』/

■脚本賞

ミシェル・アザナヴィシウス『アーティスト』/アニー・ムモーロ、クリステン・ウィグ『ブライズメイズ(原題) Bridesmaids』/ J・C・チャンダー『マージン・コール』(日本未公開)
ウディ・アレン『ミッドナイト・イン・パリ』/アスガー・ファルハディ『別離』


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

■映画情報
上映時間 129分/劇場公開(東宝)/初公開 2012年1月28日
オフィシャル・サイト
http://shinzanmono-movie.jp/
■スタッフ
監督: 土井裕泰/プロデューサー: 那須田淳・伊與田英徳・進藤淳一/エグゼクティブプロデューサー: 濱名一哉/ラインプロデューサー: 橋本靖/原作: 東野圭吾/
脚本: 櫻井武晴/撮影: 山本英夫/美術: 金勝浩一/編集: 穗垣順之助/音楽: 菅野祐悟/主題歌: JUJU『sign』/記録: 鈴木一美/照明: 小野晃/録音: 武進/助監督: 杉山泰一/音楽プロデュスエ/ディット: 志田博英/
■キャスト
阿部寛: 加賀恭一郎/新垣結衣: 中原香織/溝端淳平: 松宮脩平/松坂桃李: 青柳悠人/菅田将暉: 吉永友之/山崎賢人: 杉野達也/柄本時生: 横田省吾/竹富聖花: 青柳遥香/聖也: 黒沢翔太/黒木メイサ: 青山亜美/山崎努: 加賀隆正/三浦貴大: 八島冬樹/劇団ひとり: 糸川肇/秋山菜津子: 吉永美重子/鶴見辰吾: 小竹由紀夫/松重豊: 小林/田中麗奈: 金森登紀子/中井貴一: 青柳武/


寒いですねー。インフルエンザが流行ってます。皆さん、健康ですかー。今年も一年間、漬け物と魚と野菜をモリモリ食べて、映画で感動して、時々神社仏閣の境内や歴史旧跡をウロウロ散歩して、楽しく生き延びましょうー。これ私の今年のモットーです。ところで、「タミフル」は充分在るのかなー。


さて、1月下旬の推奨映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は4本でした。1本目の映画は、VFX技術の得意な山崎貴監督が、西岸良平の人気コミック『三丁目の夕日』を映画化したシリーズ3作目の「ALWAYS 三丁目の夕日‘64」(山崎貴監督)。昭和30年代の東京下町の街並み・風俗をリアルに再現した、ほんのり心に温かい記憶が団塊の世代の脳裏に浮かぶ人情映画です。私は2Ðのノーマルな映像を見ました。2本目は『Mr.ビーン』でお馴染みのコメディアン・ローワン・アトキンソンが、ドジで間抜けでドタバタな爆笑喜劇を演じるスパイ映画「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬}( オリヴァー・パーカー監督)。3本目は、刑事・加賀恭一郎を演じている阿部寛の、容疑者を見つめるあの眼差しが印象的でした「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」( 土井裕泰 監督)。4本目は、再びアメリカの暗部を切り裂くクリント・イーストウッド は、「J・エドガー」で警察権力の頂点にいたFBI長官フーバーの心の襞をとうとう裏返しに赤裸々に描いたかー、と感嘆しました。私は1月下旬の推奨映画に「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」を選びました。娯楽性も満点、ストーリ展開もワクワクしました、配役もピッタリでよかったです…。


1本目の「ALWAYS 三丁目の夕日‘64」(山崎貴監督)は、鈴木オートの六ちゃん(堀北真希)が病院の菊池医師(森山未来)と恋に落ち、とうとう嫁に行きましたー。もし次の『ALWAYS』シリーズ第4作目が有るとするならば、続編はきっと子供が生まれて文化住宅で結婚生活するストーリ設定で、東京を襲った自然災害や、煤煙iによる大気汚染や工場廃液による河川公害の社会問題の映像が現れるはずですがね…。


今回の『ALWAYS 三丁目』もまた昭和30年代の東京下町を舞台として描いているので、社会背景もプロットも映像素材も登場人物もワンパターンですが、この昭和を生きて来た団塊の世代にとっては、東京タワーも東京オリンピックもヌード劇場のステージも駄菓子屋の店先ー、あの映像の断片のどれもが胸に沁みる懐かしい自分の記憶と結びついて、これまでのシリーズの中でも一番面白かったです。


2本目の「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬}( オリヴァー・パーカー監督)は、ユニークなスパイ用の秘密兵器や、美女たちとの諜報活動や華々しく華麗なアクションは、まるでスパイ映画の元祖のあの「007」のジェームスボンドや、「ミッションインポッシブル」のパロディーの連続ですね…。しかし、このショーン・コネリーやトムクルーズを真似るコメディアンのローワン・アトキンソンが可笑しいー。最近公開の『宇宙人ポール』(グレッグ・モットーラ監督)のように、言葉のパロディーー、しぐさのパロディーーもまた「笑」の大きな源泉になるのだが、恐らく邦画には真似のできない「笑」の手法ではないかー。例えば渥美清の≪フーテンの寅さん≫のパロディーを映画の中で登場したら確かに可笑しいだろうー。例えば邦画でピーター・ファークの≪刑事コロンボ≫の物真似を主人公が演じたら可笑しいだろうー。


ただ、「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」や「宇宙人ポール」のようにパロディーの要素一辺倒だけで1本の映画を構成するのは、余りに古い笑の手法で退屈で安易過ぎるだろう…。もともとパロディーの真骨頂は、硬化し権威さえ持った古い「形式」をとことん笑い倒しコケにするところに、破壊的な「笑」があり、新鮮で斬新で攻撃的なコメディーの「笑」と「ショー」につながっていた筈でははなかったのか…?いや否定してすいるのではなくて、真似事のパロディーで終る手抜きの映画が蔓延して大手を振って公開されると嫌だな、と思うからです。


3本目の「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」( 土井裕泰 監督)は、これまで東野圭吾原作の映画は数多くありましたが、東野ミステリーの中で一番見応えがありました。「秘密」(1999年滝田洋二郎監督)、「容疑者Xの献身」(2008年西谷弘監督)、「さまよう刃」(2009年益子昌一監督)、「白夜行」(2011年深川栄洋監督 )、「夜明けの街で」(2011年若松節朗監督)、「麒麟の翼」(2012年)等々と 私のこれまで見た東野ミステリーの魅力は、それぞれの作品の主人公が絡み合った事件の謎を解いていく大胆な推理力と、意外なストーリー展開ではなかっただろうか…。映画では主演俳優の魅力と、登場人物が生きる生活と事件の背景にある≪社会性≫ではなかっただろうか…。


「容疑者Xの献身」の主人公の物理学者・湯川学役の福山雅治も、「白夜行」の主人公・桐原亮司役の高良健吾も、そして、今回の「麒麟の翼」の主人公・加賀恭一郎役の阿部寛も非常に魅力的な人間味を醸していました。これは東野ミステリー小説の構図の特徴なのだろうか、対になる女優たちが必ず主人公と絡んで登場するー。 刑事役の阿部寛の、社会の裏にある真実を懸命に探り、隠された真実をジッと凝視するあの眼がなんとも言えずに輝いていました。彼と対になり、容疑者の青年と同棲する女性・中原香織役の新垣結衣の献身的な「愛」もまた魅力的でしたー。


4本目の「J・エドガー」(クリント・イーストウッド 監督)は、ジョージ・ガーシュインが『ラプソディ・イン・ブルー』を発表し、人種差別が強く残るアメリカ資本主義の揺籃期、1924年にFBI初代長官に任命されたジョン・エドガー・フーバーの半生をとうとうついにクリント・イーストウッド監督が映画にしました。


ニューヨークで株価が大暴落し、アメリカに大恐慌が始った1929年にー、大統領選挙でフランクリン・ルーズベルトが大統領に就任した1932年にー、ギャォングが暗躍した禁酒法時代が終る1933年にー、アメリカが第二次世界大戦に参戦した1941年にー、トルーマンが大統領に就任した1948年にー、「赤狩り」旋風がアメリカに吹き荒れた1953年にー、ジョン・F・ケネディーが大統領に就任した1960年にー、キング牧師が暗殺され、ロバート・ケネディー大統領が銃撃され、リチャード・ニクソンが大統領に就任した1968年にー、数々のアメリカの激動の歴史そのものを彼は生きた。


なんとクリント・イーストウッド 監督は、J・エドガーの実像を弱虫泣き虫のフーバーとして、母親の溺愛に育てられた甘えん坊のフーバーとして、側近との同性愛的関係を続け、女を嫌い独身で終ったフーバーとして、権力を恐れ保身のために歴代の大統領を盗聴して、権力者のゴシップと醜聞をファイルにして秘匿したフーバーとして、輝かしい法と「正義」の功績の裏に隠された彼の生々しい虚飾の私生活を赤裸々に描いた…。政治家と権力者をよく知っているクリント・イーストウッドならでわの映画ではないか。フーバーを描くことで彼は、これまでのアメリカの法と正義が歪んだ虚像であることを投影しているのかな…。



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

1月特選「J・エドガー」★映画のMIKATA【3】クリント・イーストウ監督★映画をMITAKA…

$
0
0

■映画情報
上映時間 137分/劇場公開(ワーナー)/初公開 2012年1月28日/ジャンル ドラマ/伝記
オフィシャル・サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/hoover/

■スタッフ
監督: クリント・イーストウッド /製作: ブライアン・グレイザー/ロバート・ロレンツクリント・イーストウッド/製作総指揮: ティム・ムーア、エリカ・ハギンズ/脚本: ダスティン・ランス・ブラック/撮影: トム・スターン/プロダクションデザイン: ジェームズ・J・ムラカミ/衣装デザイン: デボラ・ホッパー/編集: ジョエル・コックス、ゲイリー・D・ローチ/
■キャスト
レオナルド・ディカプリオ: J・エドガー・フーバー/ナオミ・ワッツ: ヘレン・ギャンディ/アーミー・ハマー: クライド・トルソン/ジョシュ・ルーカス: チャールズ・リンドバーグ/
ジュディ・デンチ: アニー・フーバー/


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

///////////////////////////////////////////////////////////////////////


1月の特選映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は10本でした。一ヶ月に見れる私の鑑賞の限界は、公開映画で月/10本が精一杯のようですー。でも結局、「宇宙人ポール」も「善き人」も「サラの鍵」も見逃しました、DVDのリリースを待ちます。既に推奨映画に書いた作品ばかりなので、新しいコメントがない場合は、特にコメントがないーと書きました。


1本目は、板尾創路が再び監督主演を演じるパラドキシカルな「月光ノ仮面」( 板尾創路 監督)。2本目は、ミッキーカーチス(五十嵐信次郎)の惚けた老人役が笑を誘うロボジー」( 矢口史靖 監督)。3本目は、日本統治下の一人の朝鮮人(チャン・ドンゴン)と、一人の日本人( オダギリジョー)が戦争に翻弄される「マイウェイ 12,000キロの真実」( カン・ジェギュ 監督。4本目は、東日本大震災の荒涼とした風景を暗喩する街並みが印象的な「ヒミズ」園子温(監督)。5本目は、イラクの独裁者サダム・フセインの長男・ウダイ・フセインの影武者を引き受けたラティフ・ヤヒアの自伝を映画化した「デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-」」(リー・タマホリ監督)。6本目は、西岸良平の人気コミック『三丁目の夕日』を映画化したシリーズ3作目にあたる「ALWAYS 三丁目の夕日‘64」(山崎貴監督)。7本目は『Mr.ビーン』でお馴染みのコメディアンのローワン・アトキンソンが、爆笑喜劇を演じるスパイ映画のパロディー「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」( オリヴァー・パーカー監督)。8本目は、刑事・加賀恭一郎を演じている阿部寛の演技が光っていた「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」( 土井裕泰 監督)。9本目は、警察権力の頂点にいたFBI長官フーバーを心の中を赤裸々に映像化した「J・エドガー」。10本目は、仲間由紀恵が男と偽って官吏になって、清国と薩摩藩と外国列強の圧力と支配下に置かれた19世紀幕末の琉球王国の宮殿で波乱を起こす「3Dテンペスト」(監督)。板尾創路 の「月光ノ仮面」を1月特選映画にしようかー、といろいろ迷った末にやはりJ・エドガー」を選びました。

:*

1本目の「月光ノ仮面」に登場する敗戦帰還兵士が「落語家」に向けたアナーキな怒りの理由は何なのだろうかなー、形骸化し権威さえ持った「笑」への破壊衝動は何なんだろうかなーと、ずっと考えて来ました。私の結論は、板尾創路の心底にはひょっとしたらお笑いを組織化し、笑のピラミッドを作った「吉本興業」への怒りであるに違いないーと思いました。板尾創路よー、大衆の「笑」を財界人のようにただ単に金儲けの手段にして、笑いに歌舞伎や能や華道や茶道や柔道や相撲のように、伝統のヒエラルキーを組織したナニワノの吉本興業をトコトン破壊してしまえー、と応援したいです。確かに、近頃の「落語家」は芸を磨くというよりも、金儲けの巧いマルチなタレントが多くなりましたね。高座で落語もせずにテレビの前の茶の間の人気者ばかりです。

*

2本目は、ミッキーカーチス(五十嵐信次郎)の惚けた老人役が笑を誘うロボジー」( 矢口史靖 監督)です。パワーを持った駆動モータによって繊細で巧みに四肢を動かし、驚異的な馬力を具有して人間の作業と労働を代行し、高速に演算する超小型のコンピュータを搭載したロボット、人間以上の知能と判断を具有した擬似人間のロボットは、人間社会の可能性と夢を広げると同時に、人間の未来と社会に恐怖と脅威もまた与えています。一方で食事を配膳したり入浴させたりする介護ロボットや、放射能で汚染された危険地帯を動き回る作業ロボットや、深海に潜って人間の未知の領域を探る潜水探査ロボットも存在します。が反面で、ミサイルやジェットエンジンや翼を搭載した破壊的な戦闘ロボットや、国境に埋められた地雷を発見してし除去したり、テロリストの仕掛けた爆弾を処理する戦場ロボットもありえます。他方では、一軒の家全体を人間にとって心地よい住環境を整えるシステムロボットも存在します。住人の体調や健康や個人の味覚を探索しながら食事を調理し、風呂や洗濯や掃除をするマイホーム…、交通事故を未然にセンサーが感知する車が走り、人間の動きや交通の流れをキャッチしながら信号機を点灯する夢のような部屋や都市を建設することさえ今や可能です。こんな時代にこの映画は、見事に最先端のサイエンスを「笑い」に変換してしまいました。地球と自然と人間が死滅して、ロボットとコンビュナータだけが生き残る未来を作る最先端科学など必要ないよな…!

*
3本目は、日本統治下の一人の朝鮮人(チャン・ドンゴン)と、一人の日本人( オダギリジョー)が戦争に翻弄される「マイウェイ 12,000キロの真実」( カン・ジェギュ 監督です。既に推奨映画に書いたとおりで、新しいコメントは特にありませんでした。

*

4本目は、東日本大震災の荒涼とした風景を暗喩する街並みが印象的な「ヒミズ」園子温(監督)。既に推奨映画に書いたとおりで、新しいコメントは特にありませんでした。

*

5本目は、イラクの独裁者サダム・フセインの長男・ウダイ・フセインの影武者を引き受けたラティフ・ヤヒアの自伝を映画化した「デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-」」(リー・タマホリ監督)。既に推奨映画に書いたとおりで、新しいコメントがありませんでした。

*

6本目は、西岸良平の人気コミック『三丁目の夕日』を映画化したシリーズ3作目の「ALWAYS 三丁目の夕日‘64」(山崎貴監督)。あの映像の断片のどれもが胸に沁みる懐かしい自分の記憶と結びついて、これまでのシリーズの中でも一番面白かったです。既に推奨映画に書いたとおりで、新しいコメントは特にありませんでした。

*

7本目は『Mr.ビーン』でお馴染みのコメディアン・ローワン・アトキンソンが、爆笑喜劇を演じるスパイ映画「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」( オリヴァー・パーカー監督)。既に推奨映画に書いたとおりで、新しいコメントは特にありませんでした。

*
8本目は、刑事・加賀恭一郎を演じている阿部寛の演技が光っていた「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」( 土井裕泰 監督)。私はこれまで、「秘密」(1999年滝田洋二郎監督)、「容疑者Xの献身」(2008年西谷弘監督)、「さまよう刃」(2009年益子昌一監督)、「白夜行」(2011年深川栄洋監督 )、「夜明けの街で」(2011年若松節朗監督)、「麒麟の翼」(2012年)等々と 東野ミステリーの映画を見てきましたが、一番好かったです。彼のミステリー小説の魅力は、作中主人公が推理する事件の謎を解いていく内に、大胆な推理の先に、犯罪の起こった時代と社会に突き当たることだろうか…。この辺りはj、松本推理小説に似ているただろうか…。さらに、映画作品では、主演俳優と、対になる女優がまた彼の原作が映画化されるときの魅力だろう。
*
警察権力の頂点にいたFBI長官フーバーを赤裸々に描いた9本目の、★「J・エドガー」を私は、特選映画にしました。クリント・イーストウッド 監督は、J・エドガーの実像を弱虫泣き虫のフーバーとして描きました。ここには、母親の溺愛に育てられた甘えん坊のフーバーが、側近との同性愛的関係を続け、女を嫌い独身で終ったフーバーが、権力を恐れ保身のために歴代の大統領を盗聴して、権力者のゴシップと醜聞をファイルにして秘匿したフーバーが、輝かしい法と「正義」の功績の裏に隠された彼の生々しい虚飾の私生活があります…。政治家と権力者をよく知っているクリント・イーストウッドならでわの映画ではないか。フーバーを描くことで彼は、これまでのアメリカの法と正義が歪んだ虚像であることを投影しているのかな…。彼がこの次に映画のテーマとして描くとすれば、ハリウッドの俳優達とリント・イーストウッド自身ではないかな…と期待したいです。
*
10本目は、仲間由紀恵が男と偽って官吏になって、清国と薩摩藩と外国列強の圧力と支配下に置かれた19世紀幕末の琉球王国の宮殿に龍の化身として現れる「3Dテンペスト」(監督)です、ユニークな視点で沖縄を描いているのは原作者・池上永一のベストセラーの功績ですね。出演者が豪華です。「ごくせん」で見せた沖縄出身仲間の喧嘩のような格闘シーンはさまになってました。特に清国の宦官役を演じたGackt (ガクト)と仲間との対決格闘場面は、本格的な手技足技の演舞で素晴らしかったです。彼の主演する格闘技と怪しい演技が見たくなりました。ハリウッドの映画に出演するようだけれども、彼の英語力は如何なのかな…。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

Viewing all 323 articles
Browse latest View live