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Channel: 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・
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2月上旬特選映画【4】★映画のMIKATA「THE PROMISE」★映画をMITAKA

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 いよいよ今週末、2月9日から17日間、冬季オリンピック「平昌オリンピック」が開催されます。既に、7日に北朝鮮のオリンピック委員会委員長(体育相)や美女応援団「モランボン(牡丹峰)楽団」、テコンドーの演武団、記者ら計280人が韓国入りしました。


それに対して、韓国・ソウルでは、北朝鮮の参加に反対する大規模な集会が開かれ、保守系団体が4000人余りが、金正恩の肖像や国旗を焼いたりして、北朝鮮との混合チームの結成や開会式での合同入場の隊列を決めた文在寅(ムン・ジェイン)政権批判を絶叫しました。

「平昌オリンピック」のここ数日のニュースを見ると、スポーツ選手が政治の場の広告塔に演出されているナ、スポーツが政治宣伝に利用されている…ナ、こんな政治セレモニーは中止にした方がいいーナ、と痛感します。北朝鮮の高官級代表の一員として、金正恩委員長の妹・与正氏を派遣するとか…、開会式前日の今日、北朝鮮では最新の大陸間弾道ミサイルなどを公開する軍事パレードを平壌で行うようです。。2020年開催の東京オリンピックの経済効果が、今から32兆円など皮算用が発表され、TVCMもニュースのスポーツの話題も、マスメディアの沸騰した、この興奮した空騒ぎは何だろうか…と胡乱に感じます。国外にも国際社会でも、スポーツ以外に大事なことがあるだろうよ、平昌オリンピック以外にもっと話題にしなくてはならないニュースがあるだろう…ヨ!!!

 


 さて、2月上旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞しました。選んだ特選映画1本は、『THE PROMISE/君への誓い』でした。1994年、ルワンダで勃発した「ルワンダ虐殺」によりフツ族過激派が同族の穏健派やツチ族を120万人以上虐殺するジェノサイドを映画化した『ホテル・ルワンダ』(2004年、テリー・ジョージ監督)と同じ監督だというので、期待していましたが、期待通りの作品でした。この作品がオスカーの監督賞・作品賞が取れなかったというのも変だな。絶えず世界のどこかで戦争と紛争が勃発しているこの地球ですが、紛争と闘争と戦争の先に、人間はどんな平和論を見つけられるのかーナ…と、考えさせる作品でした。私はハリウッドで今度こそこの作品がオスカーのトロフィーを手にしてほしいです。少なくても、核兵器による力の均衡論という「核抑止力」の陳腐な平和論だけは、いい加減に廃絶してほしいですね。勿論、『羊の木』も見応えがありました。日本アカデミー賞の最優秀作品賞ものです。公開時期を外したということは、配給会社の策略カナ、そう勘繰ってしまいます…ネ。


そろそろ日本でもハリウッドでも「アカデミー賞」にノミネートされた作品が順次映画館で上映されている時期です。特に海外作品は、いち早くアメリカで話題になっても、日本ではまだ未公開作品が多いです。その分、2月は外国映画を鑑賞するのが忙しいです…ネ!!!


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1本目は、ニューヨークに暮らす少年ジェイクは、毎夜おなじ悪夢にうなされていた。それは巨大な暗黒の塔を舞台に、それを守る拳銃使い(ガンスリンガー)の戦士と、それを破壊しようとする黒衣の男の戦いが繰り広げられているというもので、屹立する塔の破壊が現実世界を破壊しようとする黒衣の男の目論見にがあるようだ。毎夜自分のベッドの中で見る悪夢をスケッチして、絵を見せても誰にも信じてもらえず、両親にさえに精神異常と見られていた。そんなある日、ジェイクはこの世界と夢で見た「中間世界」と呼ばれる異次元の彼岸とを繋いでいるホールを発見する。そして中間世界で最後のガンスリンガー、ローランドと出会うジェイクだったが…。元々は全7部構成の長編の幻想文学であったが、それを短いファンタジ映画にした『ダークタワー』(2017年、ニコライ・アーセル 監督)でした。


でも私がこれまで見たスティーブン・キングの作品群…キャリー Carrie (1976年)、シャイニング The Shining (1980年)、炎の少女チャーリー Firestarter (1984年)、キャッツ・アイ Cat's Eye (1985年)、スタンド・バイ・ミー Stand by Me (1986年)、ペット・セメタリー Pet Sematary (1989年)、ミザリー Misery (1990年)、IT It (1990年)、ショーシャンクの空に The Shawshank Redemption (1994年)、
グリーンマイル The Green Mile (1999年)、ミスト The Mist (2007年)、キャリー Carrie (2013年)、IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年)等々…のホラーとミステリーとヒューマンストーリのS・キングの、作品群とはやや逸脱しているようですーね。S・キングファンの私ですが、この作品は駄作だなーと思いました。脚本が悪いのかな、監督が悪かったのかな。見方としては、昨今のディズニー系の幻想映画の人気に引きずられて模倣しているとも言えますーネ!!!。

 

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2本目は、山上たつひこ&いがらしみきおによる、第18回文化庁メディア芸術祭優秀賞に輝いた問題作のマンガを実写化した『羊の木』(2017年、吉田大八監、香川まさひと脚本)でした。漫画をほとんど読まない私なので初めて知りましたが、元々漫画連載の時から大変に話題になっていたようです。架空の寂れた田舎の港町・魚深市に、いずれも元殺人犯で刑期を務めていた元受刑者が、新仮釈放制度により男女6人が移住してくる。この新しい刑事制度そのものが斬新な発想ですーネ。海外では刑務所が満杯なので逃亡しない装置を付けて自宅軟禁したり、死刑の殺人犯を処刑にしないで孤島に幽閉するシステムなど、マイケル・ムーアのドキュメンタリー映画『世界侵略のススメ』では、そんな新しい社会システムを取材しています。人により賛否両論ありますが、確かに新しい法制度ですーネ。詰まる所、性善説に立つか、性悪説に立つかー、人間を信じられるかー、罪と罰を宗教的な規律と見るか、社会的刑罰と見るか…の人間観の相違なのかな。

シャッター街の商店と若者が町から逃げていく活気のない漁港を活性化する為に、元殺人犯だった新住人を自治体が受け入れるため、彼らの世話と受け入れ担当を命じられた市役所職員の月末(錦戸亮)と、彼ら6人が、この映画の主人公です。それぞれの過去の犯罪を抱えながら平穏無事の日常と平凡な生活を始めたのだが…、ところが、旧い先祖代々から伝わる「のろろ祭」を境に、この静かな港町に異常な心理が爆発し、突然の殺人が起きる…。

その一人、依然荒くれのやんちゃな性格を拭い切れない杉山勝志(北村一輝)は、釣船の業者として船の操舵の仕事を始めました。太田理江子(優香)は介護施設の老人たちの面倒を見て、月末の父・亮介と知り合い、介護士する内に身体障碍者の彼の親老人と結婚する約束をする。酒乱の夫をビール瓶で殺した栗本清美(市川実日子)は、清掃員として几帳面に、実直に淡々と掃除をこなしていた。死への畏敬から死んだ生き物を庭に埋める奇妙な習慣を持っていた。徒弟時代にいじめられた末にナイフで先輩の首を切った福元宏喜(水澤紳吾)は、元懲役者だった床屋のオーナー雨森(中村有志)からその腕を認められた実直ものでした。元組ヤクザの大野克美(田中泯)は、抗争相手の組長の首を針金で絞め殺したが、組織から足を洗い、クリーニング屋でこまごました雑用をこなしていた。過去に何人も殺人を犯した宮腰一郎(松田龍平)は宅急便の仕事をしていた。ジキルとハイドのような二面性をもつ彼も、月末が組んでいる復活したバンドの練習に参加する。月末の高校時代のバンドメンバーの一人で、都会からユータウンしてきた看護師の石田文(木村文乃)と付き合い始めていた…。非常に多彩な出演者が、得意な性格を演じきった「人物犯科帳」のような映画でした。

 

原作のマンガは、講談社の雑誌『イブニング』で2011年から2014年まで連載されたようです。いろいろな漫画好きの方の感想を聞くと、原作と映画はだいぶ違うようですーネ。特にこの作品は、漁港に古くから伝わる伏線の伝統的な奇祭「のろろ祭」…、祭りの日に2人の生け贄がそこから飛び込むと、一人は助かり、もう一人は沈んだまま死体が揚がらない…、という話が言い伝えられている。日本の祭りには「奇祭」と呼ばれる、奇妙な起原の良く分からない祭りが地方にあちこちあります。最後のシーンに岬にそそりたつ埴輪のような形の「のろろ様」の巨大な像の頭部が転げ海に落下するシーンは、恰ものろろ様の祟りのようでした。この街の奇祭が作品をより一層ドラマチックにしていますーネ。


映画タイトルの「羊の木」は、果て何の意味なのかな?と胡乱に思う人も居るでしょうーネ。私もその一人です。原作を読んだ人によれば、「ウール(羊の毛)」に似ているという感覚からコロンブスの時代には、ヨーロッパの人々は木綿は羊のなる木からとれると思っていたようです。

何処かの地方に先祖代々伝わる、日本の神話と、少子高齢化によって過疎化した漁港と、元殺人犯の移住者たちという、三つの要素が絡まった、劇画ならではの興味津々なストーリを完成させた…と言えます。邦画にしてはよく練りあがった脚本、現代に現れた新しい神話的フィクションを映像化してました。単に「限界集落」の問題を映像化した映画ではありません―ヨ、漫画だ借りではなくて映画としても結構、面白いです。


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3本目は、村の医師になるためにイスタンブールの医学大学に入学したアルメニア人・青年ミカエル(オスカー・アイザック)と、彼が恋したフランス育ちのアルメニア人女性のアナ(シャルロット・ル・ボン)と、彼女が付き合っていたアルメニア人への虐殺を取材していたアメリカ人ジャーナリストのクリス(クリスチャン・ベイル)との間の、恋愛関係を一方で描き、他方でその時代に生きた3人を巻き込む、オスマン帝国のアルメニア人虐殺事件を描き、映画を通して今世紀の知られざるジェノサイドを訴えた歴史&恋愛&ヒューマン映画『THE PROMISE/君への誓い』(2016年、ジョージ 監督)でした。


1994年、フツ族過激派が同族の穏健派やツチ族を120万人以上虐殺するアフリカ・ルワンダで勃発した大量虐殺「ルワンダ虐」を描いた映画『ホテル・ルワンダ』を制作したテリー・ジョージ監督が描いた今回のヒューマン映画は、1915年から1916年にかけて青年トルコ党政権によって、長年住み慣れた伝統的なアルメニア人居住地で、オスマン帝国領のアナトリア東部(西アルメニア)にいたアルメニア人をシリア砂漠へ強制移住させた歴史的事実をドラマ化したものでした。その強制移住の際、容赦ない死の行進を強制させられ、食料も水もなく、多くの人は行き倒れて150万人のアルメニア人を虐殺したジェノサイド事件は、今のトルコ政府と、アメリカのブッシュ大統領やロバート・ゲーツ国防長官など、その他イスラエルなど数カ国は、100年余り経過した今でも政治的忖度から認めていないようです…ネ。


トルコと言えばイスタンブールの観光とか、日本とトルコの友好125周年を記念して制作された映画『海難1890』(田中光敏監督、2015年)ぐらいしか、私は知りません。その映画の中では、トルコと日本との関わりが、1890年に起きた、日本近海のエルトゥールル号遭難事件と、1985年のイラン・イラク戦争勃発時に、テヘランに取り残された日本人の救援のため、トルコ政府が救援機を飛ばして帰国させた救出劇を描いていました。そんな歴史があったのかーと驚きました。しかし、この映画を通して今世紀のジェノサイド「アルメニア人虐殺事件」などは初めて知りました。反ヒューマニズムを告発するジョージ 監督の執拗な追及は、この映画でも感じられます。是非次回作に、イスラム教徒「アイシス」の暴挙と虐殺とテロも描いてほしいですーネ。

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4本目はミズーリ州エビングという架空の田舎町を舞台に、古い付き合いの住人ばかりの小さな町で、娘をレイプされ殺され焼かれた母親ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人を逮捕できない警察署長のウェルビー(ウディ・ハレルソン)に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を道路わきに設置する、いわば犯人捜しのミステリー&人種差別告発の映画〚スリー・ビルボード』(2017年、マーティン・マクドナー監督)でした。

 

日本では相当の田舎道か高速道路の脇とかではないと、畳より広く大きな目立つ広告看板は観られないが、広大な大地が広がるアメリカの地方都市には、道路沿いに広告看板を3枚も並べて建てるスペースがあるのだろう・・・。それにしてもTV電波で商品広告も政治的広報も影像で流すマスコミニケーションの時代に、ましてパソコンによるインターネットでSNSで流言飛語が拡散する時代に、何とも広告看板で警察署を告発するというのは、ある意味時代遅れの広告方法だろうーネ…。しかし、不特定多数に一瞬に流れるこの時代の広告媒体とSNSへの痛烈な批判が、この映画の本意するなのかもしれませんーネ。痛烈なマス媒体批判の作品です。


この作品は、ハリウッドのアカデミー候補と騒がれている話題作なので見てみました。人種差別のミズーリ州南部で、黒人を警棒で殴る白人主義の巡査ディクソンと、娘をレイプされ殺されたミルドレッドの二人が、娘の復讐のために疑惑の犯人の元に殺しに行く途中で作品は終わりました。エ~、ナンカ結末のない映画だなと、やや物足りませんでした。

 



 


是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


2月上旬特選映画【6】★映画のMIKATA「」★映画をMITAKA

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2017-01-14  本能寺ホテル*
 2017-03-04  しゃぼん玉 * *

2017-05-13  映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ **
2017-05-20  たたら侍*

2017-06-03  海辺のリア*

2017-06-03  武曲 MUKOKU*
2017年7月28日 君の膵臓をたべたい*

2017-07-29  東京喰種 トーキョーグール*

2017-10-07  あゝ、荒野 前篇*
2017-10-07  あゝ、荒野 後篇**(但し、公開は2017/10/21)


2月下旬特選映画【5】★映画のMIKATA「グレイテスト・ショーマン」★映画をMITAKA

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韓国の冬季オリンピック「平昌オリンピック」が閉幕しました。フィギュアスケート男子で羽生結弦が金、宇野昌磨が銀メダル…、スピードスケートの高木美帆が女子団体パシュートで日本(高木美帆、佐藤綾乃、高木菜那)では金メダルを獲得!高木美帆は1500メートルで銀、1000メートル銅、金・銀・銅全てのメダルを獲得しました。スピードスケート女子500mでは小平奈緒選手が金メダル、カーリング女子チーム(吉田夕梨花、鈴木夕湖、吉田知那美、藤澤五月、 リザーブ:本橋麻里)が銅メダル、女子マススタートで髙木 菜那が金メダル…を手にしました。日本中が2月9日開催から25日の閉会式まで、冬季オリンピックのテレビ中継に釘づけになり、「がんばれ!いいぞ!}…と興奮していました。日本国民の4割は沸いていました。熱しやすく冷めやすい日本人の国民性をよく表していました。ヒトラーとヒムラーが目論んだ1936年のベルリンオリンピックに民族が一致団結して一体感を感じながら興奮したドイツ人と似てますーネ。その間に、「共謀罪」「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が15日朝の参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数により可決されました。安倍晋三総理の国会答弁でのデータ改ざん問題を発端に、「働き方改革」関連法案の柱の一つ、現在、一部の専門職のみに適用されている裁量労働制を営業職などにも拡大しようする労働法案が、野党からサラリーマンの労働環境が悪くなる懸念と、企業の働き蜂の働き過ぎを却って自重する…と非難され、野党からから法案撤廃を求められています。スポーツ観戦も楽しいが、生活に密接した国会観戦も興味津々、目が離せませんですーネ。 


さて、2月下旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、今月2月は通算で、『ダークタワー』『羊の木』『THE PROMISE/君への誓い』『スリー・ビルボード』等々の8本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、『グレイテスト・ショーマン』でした。P・T・バーナム役のヒュー・ジャックマンの朗々とした歌とダンスは素晴らしかったです。ミュージカル映画を過去に、『サウンド・オブ・ミュージック『マイ・フェア・レディ』『オペラ座の怪人』などを私は見ましたが、新しいミュージカル映画の代表作となりそうな秀作でした。綾瀬はるかの『今夜、ロマンス劇場で 』も楽しい映画でした。この映画の初日舞台挨拶で、「実現させたい夢」の質問に綾瀬は「オリンピックも開催中ですし…世界平和です…みなさんがいつも笑顔で健やかに過ごせる、そんな世の中がいいです」と挨拶したそうです。それに対して、彼女の「世界平和」発言を、彼女の天然キャラ発言であるかのようにオリコンと毎日新聞が恰もそれをバカにしたそうです。昨年10月に、私は終活的社会見学の一つとして、広島の原爆記念館に初めて行ったのですが、ガイド役のボランティアの叔母さんが、綾瀬はるかさんの家は私の住んでいた隣町にいたのですーよ…と、誇らしげに語っていました。被爆何世かが女優として活躍しているのは、広島の被曝者にとっては自慢の存在です。以前より戦争反対の平和番組に積極的に顔を出していた彼女ですが、決して「世界平和」発言は世間知らずのバカな発言ではありませんーネ…!!!私は以前、是枝裕和監督と綾瀬はるかがナレーターとして参加したドキュメンタリー映画『いしぶみ』を見ました。1969年に広島テレビが制作した原爆ドキュメンタリー「碑」を映画にした作品でした。是非彼女の真面目な一面を見てください。


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1本目は、売れっ子作家・西村寿行の小説を高倉健主演で映画化された『君よ憤怒の河を渉れ』(1976年公開、佐藤純彌監督)をジョン・ウー監督が、リメイクしたアクション&ハードボイルド映画『マンハント /MANHUNT』(2017年、ジョン・ウー監督)でした。この作品の来歴には、やや深い意味と歴史がありました。1979年に文化大革命後に『追捕』という題名で文革後の初外国映画であった。40年前に、無実の罪で連行される青年の姿が、毛沢東死後の文革の巻き起こった政治運動にシンクロナイズしたようです…。中国政府に不当拘束不当逮捕された、理不尽な政策に不満を持った中国人の共感を呼び、中国での公開は観客動員数が8億人に達する一大ブームを火をつけた作品であった。私は中国版映画『追捕』を鑑賞したいと思ったのですが、監督や俳優その他に関しての資料もDVDも見つかりませんでした。

強盗傷害容疑の逃亡者として東京地方検察庁刑事部検事役・杜丘冬人を高倉健が演じたが、リメイク版「マンハント」では、逃亡する容疑者は、製薬会社の顧問弁護士で国際弁護士のドゥ・チウ役にチャン・ハンユーが…、それを執拗に追いかける、かつて原田芳雄が演じた孤独な敏腕刑事役・矢村を福山雅治が演じる。

どうもこの映画を見乍ら私は率直に行って、臭い台詞ばかりーだな、昭和のかび臭い犯罪映画ー、歯の浮くような田舎芝居だな…と感じてしまいました。今時、高倉健主演の『君よ憤怒の河を渉れ』のリメイク版を上映する意義があるのかな…と、私は些か鼻白みました。私は自分自身の直感を確認する為に、レンタルDVDを懐かしくもう一度見ました。が、チャン・ハンユーと福山雅治が主演の『マンハント /MANHUNT』は、『君よ憤怒の河を渉れ』の高倉健の放っていた凄みと華、原田芳雄の持っていたデカらしい渋みと粘着質のこもった演技力と迫力が、2人にはないな…、だから、旧作のオーラと人気を越えてないな…と感じました。
 
確かに製薬会社が、アンダーグラウンドに合成麻薬を開発して、スーパーマンのような殺人的肉体能力を見につける結末は少し違うのだが、そんなストーリが果たして中国の今の時代性をもっているのだろうかな…???中国で文革当時盛大な拍手で『君よ憤怒の河を渉れ』が迎い入れられたのは、政府による不条理な逮捕に対して、毛沢東死後の新しい政治指導者と政治体制に抗議する意味があった筈です。ジョン・ウー監督はハリウッドで映画に夢中になっている内に、依然不寛容で思想の自由さえ許されない中国の若者達の無念と憤怒を忘れてしまったのだろうかーネ…!!!とても『レッドクリフ』赤壁の戦いでヒーロー劉備と孫権の連合軍が、強大な権力を持っていた曹操の軍を破った正義の戦いを現代的にアレンジした監督だからこそ、私たちは日本人もまた、中国と監督に拍手を送ってたはずですーネ。

ジョン・ウー監督がもしも、中国やアメリカの現状を憂慮しているならば…、アメリカの下層階級の人格を破壊する麻薬の蔓延や、製薬会社の市場独占や横暴、金儲け主義の寡占医療システムを訴える映画を制作してほしいですーネ。
 
この作品の唯一の収穫と愉悦は、最近とんと見なくなり、彼女はもう女優を引退して結婚でもしたのだろうか…と心配していたが、清楚な女優・桜田ななみが矢村刑事の相棒・新米女刑事の百田里香役で出演していたことです。『最後の忠臣蔵』(杉田成道監督、2010年)で大石内蔵助の隠し子「可音」 役で、神々しく初々しい演技を見せて以来、鮮烈な印象を私に残していた彼女の顔が見れたことが嬉しかったです。彼女はもう25歳か、10代のあの頃の幼さと初々しさはすっかり消えていましたが、ただ神々しい純白さだけは残っていました。できたらもっと演技に磨きをかけてくれる監督に巡り合って、映画ファンの印象にいつまでも残る名作の主役としスクリーンに出演してほしいですーネ。名監督と出会って名作に出演しないと女優として大成しないーよな。私は平成の吉永小百合だと思っていますので、女優として頑張ってください…!!!

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2本目は、撮影会社の映画監督を志望する青年で、今は雑用ばかりの助監督の健司(坂口健太郎)は、旧い街の旧い映画館「ロマンス劇場」に通い詰めて、もう廃版になった古いフィルムを誰もいない薄汚れた映画館のスクリーンに投影して、そこに映されたスクリーンの中のモノクロのお姫さま・美雪(綾瀬はるか)に恋い焦がれていた。雷の鳴り響く深夜に、テレビの普及によって、最早映画が娯楽の頂点から時代に取り残された映画館で、美雪がモノクロのスクリーンの向こうの世界から抜け出して、健司の目の前の現実の世界に現れた…というお伽話のような『今夜、ロマンス劇場で 』(2018年、武内英樹監督、宇山佳佑脚本)でした。
 

この作品を見乍ら私は、時代に取り残された映画館を舞台にした作品、洋画では往年の名作『ニュー・シネマ・パラダイス/NUOVO CINEMA PARADISO/CINEMA PARADISO 』(1989年公開、ジュゼッペ・トルナトーレ監督&脚本)を、邦画では加瀬亮と宮沢りえが主演する、旧い映画館「オリヲン座」を引き継いで経営するという傑作『オリヲン座からの招待状』(2007年公開、三枝健起監督、浅田次郎原作)をまず初めに思い浮かべました。日本では、映画が娯楽の頂点であった時代がありました。それが、テレビの出現と共に、茶の間で簡単に映像が楽しめるようになり、「3Ⅽ」が出現した高度経済成長のはじまりで、欲望の経済が日本で膨張した時でもありました。1964年の東京オリンピック開催時には、白黒テレビからカラーTVが爆発的に売れ、茶の間で競技を観戦したテレビ時代の始まりでもあり、戦後の経済的繁栄を支えました。『オリヲン座からの招待状』も『今夜、ロマンス劇場で 』も、テレビ時代の始まりと共に映画が娯楽の座から消えてゆく時代を社会背景にしていました。

 

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3本目は、19世紀半ばのアメリカで、オペラや演劇などの芸術とは全く違った、肌の色、ルックス、声帯、身長体躯、特技等々の人と違って、今まで敵意と差別と興味本位の目で見られ、世間から隠れて暮らしていた人間ばかりを集めた見世物ショーで、大評判大成功を収めた実話のようで、実在の興行師、P・T・バーナムを主人公にしたサクセスストーリをミュージカル映画にしたグレイテスト・ショーマン』(2017年、マイケル・グレイシー監督)でした。劇中で使われている音楽は、第89回アカデミー賞歌曲賞を受賞した『ラ・ラ・ランド』のスタッフ、ベンジ・パセックとジャスティン・ポールがこの作品でも作曲作詞を担当してます。


夢想家のバーナムは貧しい家に生まれ育ち、親子で身分の高い屋敷の雑用係りをしていた。幼なじみのその家の令嬢チャリティと結婚し、二人の娘の父となった彼は、船舶会社に勤務していた。が、突然船舶が座礁する海難事故で会社は倒産する。暖かい家族とはいえ、妻・チャリティと子供たちの生活は、古びた狭い粗末なアパートに住む貧しい生活であった。家族を幸せにするため野心に燃える彼は、挑戦と夢だけはいつまでも持ち続け、世界中のあらゆる珍品を展示した「バーナム博物館」をオープンする。が、町の人々の関心は薄く閑古鳥であった。そこで、世間で日陰に生きてきた人々、小人症や全身入れ墨の異人やサーカスの曲芸師などを集めたショービジネスを始める。珍しもの好きの観客でショーは満員の大成功をつかんだのだが、ところが、貴族ぶった一部の人々から低俗で卑しいショーであると非難を浴び、荒くれ者たちから妨害され小屋は燃やされてしまう。P・T・バーナム役にヒュー・ジャックマン、彼が生涯をかけて愛し続けたバーナムの妻チャリティ役にミシェル・ウィリアムズが、情熱的な歌を披露していました。映画の主題歌「THIS IS ME」は、第75回 ゴールデングローブ賞を受賞しています。心が躍るミュージカル映画でした。ハリウッドのアカデミー賞トロフィーに相応しい作品の一本でした。

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4本目は、7世紀(延暦23年/804年)を舞台に、弘法大師として知られる真言密教の開祖・空海が遣唐使として中国へ渡った若き日の姿を描いた歴史スペクタル&幻想映画『空海―KU-KAI―/妖猫/LEGEND OF THE DEMON CAT』(2018年、チェン・カイコー 監督&脚本、夢枕獏原作)でした。空海が遣唐使の留学僧として中国に渡って密教を学んだ中国は、玄宗帝の時代でした。若き日の空海(染谷将太)を主人公に、首都・長安で黒猫が人間の言葉を話し、人を襲い、眼玉を食いちぎる妖猫が跋扈する事件が起きていた…。詩人・白楽天(ホアン・シュアン・中国語版。日本語吹き替え・高橋一生)とともに空海も、皇帝が寵愛した楊貴妃(チャン・ロンロン・中国語版。吹き替え・吉田羊)が権勢を持っていた時の長安の都に関係がある…、謎の事件に黒猫が関係していることを解こうと推理を始める。

その他に、安倍仲麻呂役に阿部寛、白玲役に松坂慶子、大師役に火野正平が演じているが、中国人俳優と見分けがつかなかったです。私は日本語吹き替を見たのですが、幻想皇帝役の声にイッセー尾形、李白役に六角精児など名のある俳優が声優を務めているので驚きました。

中国と日本の7世紀の歴史が舞台なので、遣唐使として中国に渡った空海や安倍仲麻呂や、玄宗皇帝と楊貴妃、俳人李白(後の白居易)など当時の歴史的人物が登場します…。従って、背景を知らないとやや映画が楽しめないかもしれません。

玄宗皇帝が楊貴妃を寵愛しすぎたために安禄山で「安史の乱」が起き、洛陽が陥落する。楊貴妃の親族の楊国忠と激しく対立した玄宗皇帝の配下の陳玄礼と兵士達は、楊国忠と韓国夫人たちを殺害し、玄宗に対して楊貴妃を殺害することを要求する。が、玄宗は「楊国忠の謀反とは関係がない」と言って擁護したが、楊貴妃に自殺を命ずる。いまだに中国では楊貴妃死後50年が経った今でも、楊貴妃の死の真相が疑われているという。死後806年(元和元年)頃に、玄宗と楊貴妃の物語を題材にして、白居易が長編の漢詩である『長恨歌』を制作した。空海の解き明かした黒い妖猫の謎は、石棺に収められた楊貴妃の遺体は本当は仮死状態で死んだと見せかけて納められ、石棺の中で息を吹き返した…。閉じ込められた楊貴妃はもがき苦しみながら石棺の蓋を指で引っ掻き、息絶えたことを解き明かした。長安の都に出没する猫は楊貴妃の飼っていた猫が、楊貴妃の怨念の魂を宿して妖怪になったという…謎であった。

空海と言えば、未だ謎の多い生涯で、私は映画の原作、夢枕獏の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』を読んだことがありませんが、司馬遼太郎の歴史小説『空海の風景』を以前私は読んだことがあります。この本の読後に、私は空海の遺跡を辿りたくて四国一周のツアーに参加したことさえがありました。土木知識と医術と天文と地勢学を身につけ、途方もない知識と能力の持ち主であり、悟りを開いて高野山を開基した…大変不思議で魅力的な宗教家です。この映画でどのような空海像が描かれているのだろうかと、楽しみにしていました。まあ、やはり歴史小説とは一味違った夢枕獏流の、妖術と幻想の空海でした。ただ私は楽しめました…。


是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…

 




3月上旬特選映画【6】★映画のMIKATA「シェイプ・オブ・ウォーター」★映画をMITAKA

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第41回日本アカデミー賞授賞式が行なわれ、2日にTV放送もされました。でも、今回出演俳優ばかりがスポットを浴びて、どうも「作品賞」に対して注目されないのがいつもと違うな…と感じました。まあね、俳優を舞台に乗せた邦画方がいかにも「受賞」ショーらしく華やかだがネ。でもよ、俳優が先行して、それに沿って他の賞がおまけに決められたようでした。『君の膵臓をたべたい』『三度目の殺人』『関ヶ原』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『花戦さ』がノミネートされましたが、どれもこれも、私は、最優秀作品賞を手にするほどの作品ではなかった、と思っています…。理由は、それぞれ過去のブログでコメントを載せています。本当は、なぜこの作品が選ばれたのか、協会から入賞のコメントがあっていいよな…。それが司会者の坂上忍から先に適当な賛辞とともに明かされるのも、尚更にお手盛りの授賞式だな!!!と感じました。映画に無縁な坂上ナンカ司会者に相応しくないですよ!!!


最優秀作品賞は法廷サスペンスをテーマとした三度目の殺人」(是枝裕和監督)、最優秀監督賞は是枝裕和(「三度目の殺人」)、最優秀脚本賞は同映画(是枝裕和)、最優秀主演男優は菅田将暉(「あゝ、荒野 前篇」)、最優秀主演女優は蒼井優(「彼女がその名を知らない鳥たち」)、最優秀助演男優は役所広司(「三度目の殺人」)、最優秀助演女優は広瀬すず、が受賞しました。ただーネ、私は最優秀作品賞の「三度目の殺人」と、最優秀監督賞の是枝裕和監督に異議ありでした。だいたいさ、ベテラン俳優の役所広司さんに今更、優秀助演男優のトロフィーを贈り表彰するのは失礼ですーヨ!これを見ると日本の映画界が大変保守的な体質を持っているナ…と見ざる負えません。私は作品と脚本と監督がいて初めて、次に主演俳優の演技が光るのではないかーと確信しています。

 もう一つ「日本アカデミー賞」に付け足したいことがあります。それは、わたくしは素晴らしいドキュメンタリー映画だ思った『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』を顕彰するドキメンタリー部門がないことです。何故ないのかな?このドキュメンタリー部門を作るべきデスーよ!!!


彼女がその名を知らない鳥たち」を見てから後、再びアカデミー賞受賞作のコメントを続編としてブログに掲載したいです。


さて、3月上旬の特選映画をアップロードします。今回3本を映画館で観賞、選んだ特選映画1本は、『シェイプ・オブ・ウォーター』でした。この作品もオスカーの作品賞にノミネートされていますが、ファンタジーと、両生類のような怖恐ろしいグロテスクが混じった映画で、確かに面白いです。ミュージカル映画グレイテスト・ショーマン』と同じく、社会の陰で生きる少数派「マイノリティー」が登場する映画が特徴ですーネ。やはり、邦画の作品レベルの上をいく、社会性と時代性を奥に孕んだ作品ばかりでした。日本アカデミー賞授賞式の作品と俳優を眺めていて、日本の映画界はこれでいいのかな…と嘆きました。





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映画の舞台は、黒人奴隷制の温存を主張するアメリカ南部11州が合衆国から離脱後に、「アメリカ連合国」を結成、リンカーン大統領率いる北部23州との間で戦争となった南北戦争(1861年~1865年)の時代です。世間から隔絶されたアメリカ南部バージニア州にある奥深い森の中に建つ敬虔なカソリック系の女子寄宿学園「マーサ・ファーンズワース女子学園」の園長(ニコール・キッドマン)と、教師のエドウィナ(キルスティン・ダンスト)と、戦争によて家に帰ることができないエイミー(ウーナ・ローレンス)、アリシア(エル・ファニング)、ジェーン(アンガーリー・ライス)、エミリー(エマ・ハワード)、マリー(アディソン・リーケ)の5人の生徒が質素な共同生活をしていました。1本目は、その生徒の一人・幼いエイミーが、森の中でキノコ狩りをしていた時に、戦争で足に傷を負った北軍兵士マクバニー(コリン・ファレル)を木陰で偶然発見、敵方ではあるが怪我を負った北軍兵士に憐憫愛を感じ、学園まで連れ帰り、園長のマーサは大怪我を負った伍長を屋敷の音楽室に運んで、せめて怪我から回復するまで南軍警備隊には秘密にして介抱しようとする…。思春期の女生徒も園長のマーサも教師のエドウィンも、日頃男性に縁のない閉鎖的な学園で看病されるマクバニー伍長に対して、女性の性が目覚め、伍長にキスを求める生徒、マクバニ―の肉体に情欲を感じる先生、それに嫉妬する早熟な生徒・・・、男のフェロモンに兄の姿を回想する園長など、女たちの欲望がむき出しになる、静かな学園内の騒動と混乱を描いたThe Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(2017年、ソフィア・コッポラ監督&脚本、トーマス・カリナン原作小説『The Beguiled』)でした。


フランシス・フォード・コッポラを父に持つソフィア・コッポラ監督の『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は、クリント・イーストウッド主演の映画『白い肌の異常な夜』(1971年公開。ドン・シーゲル監督、ジョン・B・シェリー&グライムス・グライス脚本、トーマス・カリナン原作)のリメイク版です。私はもう一度この作品のDVDを観賞してみました。日本の題名を見ると恰もポルノっぽいですが、内容は口の巧いスケコマシの伍長が男だけの学園寄宿舎の女性たちを籠絡する、結婚を約束するなど、文字通り騙す…だから「Beguiled」かな。


韓国の少女像が問題になってますが、戦争での兵士の「性の処理」は、戦場で敵国女性をレイプする、戦争花嫁と売春の問題・・・が、この作品には隠されているのかーナ。結末は壊死になりそうな伍長の片足をのこぎりで切断した後、足を失った彼が暴れるために、森の毒キノコを食べさせて殺すことは共通していました。ドン・シーゲル版との大きな違いは、園内で雑用をするメイドの黒人が消えていることですーネ。もう一つは、ソフィア・コッポラ版では、園長と行方不明になった兄との情事をあまり描いていないこともあるかな…。ひょっとすると、兄も、黒人メイドの恋人も園長が闇に葬ったのかな…、それではホラー映画になってしまうか???


イタリアの遺伝子を持つフランシス・コッポラが「ゴッドファーザー」シリーズに固執するのは分かります。が、コッポラの娘の彼女が、何故?今、南北戦争の女たちの情念と欲望を敢えてリメイク版を製作するのか?…コッポラの遺伝子を持った彼女はただものではない、だから、この作品の駄作に近いリメイク版の制作理由と意義は何か…?何かががあるのかな…と私は疑念を持ち探りたくなりました。「所詮、女は男の肉体に欲望を感じる性欲の塊さ」…いやいや、そんなテーマではないな!?私の深読みかもしれませんが、詰まる所南北戦争は、イギリスから始まった19世紀の産業革命はアメリカにも影響を与え、中央集権化と工業化を進める北部の工業経済の発展へ波及し、黒人奴隷を収穫に使い、奴隷制度なしに成立しない綿花栽培の南部の古い農業経済との間の亀裂、南北の政治経済体制の対立から戦争が起こった…とも言えます。ソフィア・コッポラ監督は、現在のトランプ大統領の「アメリカファースト」を支持した、工業生産に従事するプアーホワイトの経済没落と、鉄鋼石炭自動車等を背景とした重工業の凋落と、それに対するサービス産業と金融市場など金融資本主義との対立を南北戦争の政治経済体制に投影しているのではないでしょうかーネ…!!!

南北戦争を舞台にした映画は数々の名優の名作があります。私がこれまで見た好きな作品は、インマン役にジュード・ロウ、エイダ・モンロー役にニコール・キッドマン が出演している『コールド マウンテン』(2003年公開。アンソニー・ミンゲラ監督、アンソニー・ミンゲラ脚本。チャールズ・フレイジャー原作)です。最早古典になっている、スカーレット・オハラ役にヴィヴィアン・リーとレット・バトラー役にクラーク・ゲーブルが主演している『風と共に去りぬ』(1939年公開。ヴィクター・フレミング監督。シドニー・ハワード脚本。マーガレット・ミッチェル原作)は、何度見ても飽きない作品です…ネ。やはりそれが古典の真骨頂です。ヒョトしたら、ソフィア・コッポラ監督が園長マーサ役にニコール・キッドマンを起用したのも、若き日の隠されたエロチズムのニコール・キッドマンの『コールド マウンテン』での名演技が印象に強く残っているのかも知れませんーネ。


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政府の極秘研究所にアマゾンの奥地から現地では「神」と崇められていた、水中に生息する「両生類」のようなグロテスクな生き物が運ばれる。ここに掃除婦として勤めるイライザ(サリー・ホーキンス)は、その異様な海獣が閉じ込められている水槽の部屋の掃除もしていた。言語障害のイライザは、その全身が鱗に包まれたグリーンの甲羅で覆われた半魚人のような水中海獣を気味悪がるどころか、次第に心惹かれていった。

何度か実験室で海獣を手で触れ、手話を交えて会話しているうちに、海獣の管理責任者であった元軍人のストリックランド(マイケル・シャノン)が、電気棒で虐め、実験のために生体解剖を提案していることを知る。そこで、イライザは、その海獣を盗んで海に逃がすことを企てる。2本目は、グロテスクで不気味な怪獣と女性との間に恋が芽生え、二人で海の中で暮らすた幻想的でエロチックなお伽噺のようなファンタジー&恋愛映画シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年、ギレルモ・デル・トロ監督&脚本、ヴァネッサ・テイラー共同脚本)でした。

 

アマゾンで「神」と崇拝されていたこの海獣には、人間の病んだ肉体を癒やす超能力があった。ストリックランドに拳銃で撃たれたイライザの瀕死の銃創は不思議にも彼の力で癒えていた…。私はこの映画から、魔女に呪いをかけられて醜い野獣に変身したディズニー映画「美女と野獣」を思い出しました。


特に、劇場の上にあるイライザのアパートに連れてきて、初め浴槽に水を張って浸けていたが、海獣との間に愛情を感じ、浴槽の中に

彼女は全裸で浸かり身体を抱きしめ、浴室全体を水を満たし、水中でタユタエナながら抱擁するのであった…。


 聾唖口のイライザ、ゲイである隣室の絵描き・ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)、同じ清掃婦の同僚の黒人・ゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)など、ここに登場するイライザの周囲の人間は、黒人と白人との間の人種差別、LAGPなどの性の問題、個人の特性が豊かであればあるほど人間の愛は多様であっていいのだ…という、アメリカ社会が目指すものが見えてきますーネ。全て社会から疎外されたマイノリティたちが登場する理由でした。実験室の科学者・ホフステトラー博士さえ、ソ連に情報を提供するスパイであった。


私は、メキシコ人のギレルモ・デル・トロ監督がスペインを舞台としたファンタジー映画『バンズラビリンス』(2006年公開)を参考に観ましたが、軍事独裁主義の恐ろしい大尉と、仕立て屋の父の死後に再婚した母と暮らす娘・オフェリアが主人公でした。迷宮を導く羽根の生えた昆虫のような妖精や、不思議な迷宮に現れるこわ恐ろしい奇怪な守護神パンの姿など、確かに、グロテスクな異形の存在は、『シェイプ・オブ・ウォーター』の海底の半魚人と一脈通じるストーリでした。私も半信半疑で見たのですが、この作品も監督の傑作でした。


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2015年8月21日、554人の乗客が同乗したアムステルダム発パリ行きの高速鉄道列車タリスに、武装したイスラム過激派が乗り込み、無差別テロを企てた男を、剛力で取り押さえ、銃弾に倒れ大量出血で瀕死の乗客一人に緊急応急手当てを施し、一命を救った奇特な青年たちがいた。3本目は、イタリア旅行中のアメリカ空軍兵スペンサー・ストーンとオレゴン州兵アレク・スカラトス、彼らの学校時代の友人・アンソニー・サドラーたちは、危機一髪で無差別大量虐殺を未然に防いだ功績を称えてフランス政府より、青年3人と救助に手を貸した医師にレジオン・ドヌール勲章を授与された事件を描いた映画『15時17分、パリ行き』(2018年、クリント・イーストウッド監督)でした。

 

エ~ワン~、これがクリント・イーストウッド監督の作品なの・・・あまりに平凡で真面過ぎるストーリだ???と疑いそうな映画でした。だってさ、『許されざる者』、『パーフェクト・ワールド』、『マディソン郡の橋』、『スペース カウボーイ』、『ミリオンダラー・ベイビー』、『グラン・トリ』、『バード』、『ミスティック・リバー』、『父親たちの星条旗』、『硫黄島からの手紙』、『メリカン・スナイパー』、『ジャージー・ボーイズ』…等々を監督兼俳優出演も含めて、アメリカの現状を政治的に社会的に問題視した作品が大半を占めたいるのに、勿論、『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』や、『ダーティハリー・シリーズ』に代表されるような「悪」に立ち向かう孤独でダンディーな勧善懲悪のストーリの主人公に繋がる映画もあります。が、公開のそのたびにその都度、話題になった作品が数々あるのにな・・・!!!ただこの作品に関しては、単に人命救助の映画かーヨ、と思わせる地味で平凡な映画で、過去のどの作品に繋がるのかな…と頭をひねりました。

 

敢えて言えば、小学生時代に学校から厄介者として睨まれ、落ちこぼれの劣等生と看做され、それでも「人の役に立ちたい」と思い、軍隊に入り、軍隊でも自分の希望とは外れた部隊に配属されて、それでもメゲズに身につけた格闘技と救急医療技術を、テロリストに襲われ傷ついた人を助けるのに役立てる…、敢えて言えば、アメリカ人の「良心」を表現したかったか…ナ、と私は感じました。と言うのも、先月14日に米フロリダ州ブラワード郡の高校で退学処分になった19歳の元生徒の乱射事件があり、17人が死亡した事件がありました。が、そんな事件があったので、尚更にこの作品での青年たちの、捻くれもせず社会を恨みもせず、まっとうに生きようとする善良な「良心」を感じました。2018年に入って死傷者の出た無差別銃乱射事件は6件目という銃社会アメリカ独特の惨事でした。しかも、学校内での生徒が犯行する殺戮が多いです。そんな、10代の未成年の無差別銃乱射事件に対する、クリント・イーストウッド監督のアメリカ社会に向かっての主張が含まれているのかな…と、私は思いました。




是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


3月下特選映画【7】★映画のMIKATA「ニッポン国VS泉南石綿村」★映画をMITAK

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さて、3月下旬の特選映画をアップロードします。今回3月上旬に3本、『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』『シェイプ・オブ・ウォーター』『15時17分、パリ行き』などを映画館で観賞、3月は通算で7本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、原一男監督のドキュメンタリー映画『ニッポン国VS泉南石綿村』でした。


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1本目は、撮影のモデル女性を焼き殺した猟奇殺人事件の容疑者カメラマンの木原坂雄大(斎藤工)の絡むスクープ記事を狙った、ルポライター耶雲恭介(岩田剛典)の取材活動を廻る殺人事件&サスペンス映画『去年の冬、きみと別れ』(2018年、瀧本智行監督)でした。芥川作家・中村文則原作で、瀧本智行監督が制作に関わっている映画なので、私は観に行きました。昨今、映画「64」とか殺人&サスペンスの作品が多くで辟易していたのであまり期待してませんでしたが、予想以上に面白かったです。少なくても、『三度目の殺人』よりも、私はスリリングなスプロットであり、最後の逆転劇とカラクリもよく練られている作品だナ…と思いました。


週刊誌編集者・小林良樹(北村一輝)の元にカメラマン・木原坂雄大の焼死事件の真相のネタを持ち込んだルポライター耶雲恭介の企画には、事件の真相の二転三転するトリックが隠されていた…。実は耶雲恭介は、昔、金沢のローカル出版社で、童話の翻訳本を発行していた。金沢時代に会った、盲目の美女・吉岡亜希子(土村芳)は彼の本の点字本を熱心に読んでいて、それをきっかけに彼女と交際していた。ところが、突然彼の元から消えてしまった。

真相は、東京でカメラマン・木原坂雄大のモデルになって、彼の屋敷に囚われ?身を置いていた。で、その家で謎の火災と焼死事件があった。彼の罪状は、扶助が必要な人物(老年いた者、幼年者、身体障害者、病人)を置き去りにする犯罪「保護責任者遺棄罪」を裁判で問われ、罪状は殺人罪であった…。 盲目の美女の焼死の真実を究明するために、今の婚約者の松田百合子(山本美月)を餌にして、お金で雇った松田百合子と結託して木原坂を罠に嵌めるために、偽装婚約、偽装誘拐をさせていたのだった・・・。木原坂雄大と彼の姉・木原坂朱里(浅見れいな)との間の近親関係、その姉朱里と編集者・小林良樹の間にあった殺人ほう助と恋愛関係、家庭内にあった父と幼少期の姉との間ドメスティック暴力と、2人の幼少時代の殺人事件・・・等々、まだまだ隠されたカラクリと謎の複雑な糸は、映画を見て解いてください。

最近よくTVドラマや映画やCMに頻繁に顔を出す週刊誌編集者・小林良樹役の北村一輝に注目でした。ア~人格破綻した知識人の役も演技できるんだ…と驚きました。つい先日観賞した『今夜、ロマンス劇場で』の道化た映画スター俳優役の演技も面白かったですーネ。


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明治時代以来より約一〇〇年間にわたり、大阪・泉南地域にアスベストを原料とする紡織産業(自然素材の石綿と綿を撚り混ぜて糸にする生産)が、最大で二〇〇社以上もの中小零細の石綿工場が盛んに操業していました。安くてしかも断熱性と耐火性などに優れた素材と言われて、戦前は富国強兵策に乗った軍需産業で潤い、戦後は自動車や建築部材などに使われたので、高度経済景気の中で急速に普及しました。特に、この地域の経済と景気を支える地場産業でした。肺がんで亡くなったとされた、神戸製鋼の元労働者の家族が「労災認定」の申請をするトラブルをきっかけに、「泉南アスベスト国賠訴訟団」つまり、アスベスト工場の元労働者とその家族、周辺地域の住民らは、アスベスト曝露で肺ガン、中皮腫など深刻な健康被害の原因が石綿だと気付きました。そして、その実情を知りながら、国はアスベストの経済効果を最優先して、人体への危険性と環境汚染に対して、規制や対策を放置、国民を見殺しにする国の経済優先の犯罪に賠償を求めました。損害賠償を求める訴訟の争点もそこにありました。3月の2本目の映画は、肉身を次々に病死させながら、「政治」がアスベスト被害者を棄民する姿を追いかけた215分の長編ドキュメント映画『ニッポン国VS泉南石綿村』(2017年、原一男監督)でした。

 
しかし各地で継続している国家賠償を求めるアスベスト裁判の判決を始め、問題は依然尚残されています。泉南アスベスト国賠訴訟は、「石綿被害の責任は国にある」と最終的に判決で勝訴しましたが、近隣住民の健康被害と賠償は認められませんでした。経済成長と環境破壊と公害が各地で国民の健康を害していることが国民の関心の的となり、漸く、二〇〇六年九月、日本で石綿の使用が禁止されました。がしかし、首都圏でも築40から50年の耐用年数ギリギリの老朽化したビルには、健康被害の危険性がありながら、依然アスベストを使った建物が残されています。アスベストは発病までに長い潜伏期間があるので、アスベストはいつ病苦を発症するかもしれぬ「時限爆弾」とも言われています…。今も各地でアスベスト被害と補償を国に求める裁判が継続しているようです。(アスベストについては傍記サイトを参考にさせていただきました。関係資料はサイトにたくさんあります。「アスベスト訴訟、和解手続きわずか180人…泉南訴訟から3年、進まぬ救済、賠償対象者の1割未満」「アスベスト訴訟 元作業員の救済を」(時論公論)」「国が国賠訴訟促す通知、アスベスト被害の2300人」等々)
 
 
 
私は設備管理の仕事をしているので、旧いビル内に天井や壁などの建築部材にアスベストと疑わしい内装を見かけた経験があります。建設業や電気工事関係者ばかりでなく、設備管理の従事者にも健康被害がおよんでいるかもしれませんーネ。
3.11から7年経過した先日、大津波に巻き込まれ未だ行方不明の被災者や、倒壊した家屋の下敷きになった悲しみの遺族を映していました。慰霊式典はニュースで報道され、東日本大震災で倒壊した建物や家屋などの復旧作業に、自衛隊や全国のボランティアが被災地域に手を貸した善意は称賛されていますが、しかし、倒壊した地方のビルの瓦礫からアスベストが飛散 し、被曝して隠れた健康被害の可能性があるのではないかという疑惑は何処も報道しなかったですーネ…!!!。もう少し隠れた社会の底流にも報道は目を向けてほしいですーネ。私たちの身の回りに存在する今も未処理で残されたアスベストの建築部材の潜在的影響を受けた健康被害が後々顕在化することもありえます。恐ろしいですーネ、怖いですーネ…。
  
原一男監督と言えば映画現場にまつわる数々の伝説と、その果実としてのドキュメント作品が数多あります。このブログでも一度取り上げた身体障碍者を主人公にしたドキュメント「さようならCP」 (1972年)、彼の同棲相手・武田美由紀の性を赤裸々に撮った「極私的エロス 恋歌1974」 (1974年)、天皇制と戦争に翻弄された元兵士・奥崎謙三が戦争責任を追及するために軍隊関係者を訪ねるドキュメント「ゆきゆきて、神軍」 (1987年)、小説家・井上光晴の文学塾で、生きることと生活と「書くこと」の創作イデアを模索するドキュメントした「全身小説家」 (1994年)など、これらこれまでの作品をその時々にDVDなどで観賞した私としては、今回の作品「ニッポン国VS泉南石綿村」は見逃せませんでした。のでまたもや中区の「ジャック&ベティ―」の座席に座りました。もしもハリウッドのオスカーのように、日本アカデミー賞にドキュメント部門があればこれまでの作品は受賞しても良い映画でした―ネ!!!
«障害者»«男と女の性»«戦争と天皇制»«環境破壊»etc…原一男監督のこれまでのドキュメント映画を俯瞰してみると、映像による記録と映画とは何なんだ???と、私は如何しても考えてしまいます。松本清張の「昭和史発掘」ではないが、原一男監督のドキュメント映画は、近代の陰になっている故、時代の大きな流れと時間と共に風化しまう…、だが決して公の「歴史」の記録から脱色してはならない近代と昭和の淀みを映像記録として残しているの…カナと思いました。一番気づいたことの一つに、市民の声を遮り政治の前に立ち塞がる血の通ってない官僚制度と、官僚の形式合理性と事務的な対応カナ…。あの映像を見乍ら「あーこれはホロコースト裁判の時のアイヒマンだな、ただ上からの命令に従っているだけ・・・」という弁解と同じだな、と感じました。近代の官僚制度の孕む問題も映していましたーね。昨今、国会を騒然とさせている安倍自民党保守政権を廻る財務省官僚の文書改ざんも、根は同じでしたーネ。
  
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バイク便のライダーとして生活費を自力で稼いでいるララ・クロフトは、父リチャード・クラフト卿の一人娘であり、父の築いた巨大な複合企業・クラフト社の遺産相続人でもあったが、父の死を意固地にを認めず、クラフト社の経営権さえ引き継ぐサインさえしなかった。父は何処かで生きている…私を一人置いていくわけがない…と信じていた。クラフト社の総帥で、父の代わりに経営の采配を振るい、クラフトの良き庇護者であったハナは、「あなたは働く必要なんてないのよ、早く遺産相続にサインしなさい・・・」という。弁護士がララに渡した父リチャードの遺品のカラクリ箱の中には、メモ書きの紙切に書かれた、ララへのメッセージと謎が残されていた。クラフトの館の壁の奥には秘密の地下室があり、そこには「彼の最後の目的地」を示したクラフトの手帳と地図と手紙が隠されていた。そこには父のビデオレターがあった。父が企業の経営と共にもう一つ彼の生きる目的は、日本のどこかにあるとされる神話上の島、さらにその島には世界を滅ぼすほどの邪悪な力が封印されている女王の墓があることが記されていた。

 記憶を手繰りながら、ついついストーリを書いてしまった。が、さほど屈折した推理、斬新なストーリではないですーネ。A・ジョリーを一躍アクション女優にした『トゥームレイダー』(2001年公開、サイモン・ウェスト監督)、シリーズ第2弾でララ・クラフト役をA・ジョリーが演じたダイナミックで大胆な冒険、格闘技で敵対する「悪」との戦い、柔軟で身体能力に優れたトレジャー・ハンターのイメージを不動のものにした『トゥームレイダー2(200年公開、ヤン・デ・ボン監督 )』は、私の記憶の中では逸品のアドベンチャ映画でした。だから、これらの作品から比較したら、今回公開の第3弾の作品は、アリシア・ヴィカンダー主演のリブート版である『トゥームレイダー ファースト・ミッション(2017年、ローアル・ユートハウグ監督)で、何とも二番煎じで、A・ジョリーには及ばなかったです・・・ヨ。
  
A・ジョリー主演の『トゥームレイダー1&2』のストーリにあった、亡父の隠し部にあった「イルミナーティ=光の人々」という秘密結社が時空の扉を開ける鍵を見つけるために必要な«星座表»…、人類に壊滅的な災厄をもたらすギリシャ神話伝説の遺物≪パンドラの箱≫…何もかもが、A・ジョリ版の『トゥームレイダー1&2』を越えていない糞面白くないで同工異曲の映画ストーリばかりでした。ナンカ、次回作も制作されそうな終わり方でしたーネ。彼女の良き見方だと思っていたナナが実は彼女の…、この先は映画で堪能してください。

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4本目は、吉永小百合の主演で、北海道の大地を舞台とする北海道の厳しい自然に生きる戦中戦後の人々を描いた人間ドラマ&戦争映画『北の桜守』(2017年、滝田洋二郎監督)でした。明治期の北海道開拓を描いた『北の零年』(2005年公開、行定勲監督、那須真知子脚本)、戦後の混乱期の影を落とすソ連領となった極寒の離島の分校を描いた『北のカナリアたち』(2012年、阪本順治監督、那須真知子脚本、原案湊かなえ)に続く「北の三部作」シリーズの第3弾です。私は早速公開初日に見に行きました。

1945年ソ連軍が侵攻してきたために、敗戦濃厚な戦況の8月に、父親・江蓮徳次郎(阿部 寛)の出征によって樺太で暮らす江蓮てつ(吉永小百合)と2人の息子、長男の正太郎、次男の修二郎は、ソ連戦闘機の爆撃と射撃によって、樺太の故郷を捨て雪に埋まる極寒の大地を飢えと疲労と寒さの中を歩き続け、親戚の住む網走まで身一つで逃げるストーリです。網走でも貧しさと空腹で辛酸を舐め尽くす戦後を経験した・・・。長男の征太郎は樺太から本州へ渡航する船の沈没に巻き込まれて水死する、それが「てつ」の記憶の中でいつまでも戦争のトラウマとなって苦しめていた...。1971年、アメリカで成功を収め、社長の娘を妻・真里(篠原涼子)とともに、次男の修二郎(堺雅人)は夫婦で日本初のホットドッグ店の社長として帰国する。
戦中戦後の日本人が等しく味わった戦争による堪えがたい苦痛・・・、外地の戦場で、敗戦後にはシベリアの抑留地で身内を戦死させた悲しみと、家を焼かれ食べるものもない内地の飢餓と不安は、この作品の通奏低音ですーネ。吉永小百合さん、堺雅人さん、滝田洋二郎監督有り難う・・・。戦争を体験した日本人の心の底にたまっていた悲しみと痛みの「澱」のような戦中世代の心情をよく表現してくれてました・・・。戦後まもない昭和世代の自民党議員にはまだ多少、多くの日本人を犠牲にした…という痛恨と懺悔と、「あんな戦争は二度と味わいたくない…」という苦渋の体験と後悔が多少ありました。が、今の2世議員、平和を政治理論で語り、武力均衡論で論じるパワーゲームの政治家には、この日本人の共有する「痛恨」がなくなりましたーネ…!!!


 一番気になったのが、映像シーンの途中で舞台の上で、江蓮てつの周辺の人間や椅子やテーブルなどの小道具が、シルエットのように現れ、映像が中断される挿入の舞台シーンです。これは、「てつ」の心象風景を舞台で表現しているようです。ある場合には、てつが行方不明になった時に、雨の降りしきる桜の木の下で、樺太の「江蓮製材所」の近くにあった北国で初めて咲いたの桜の木の記憶に残る、傷ついた桜の幹に糊に溶かした墨を塗りこんでいた姿から、疲弊したてつを発見した病院に担ぎ込んだ時にこの舞台風景が現れました…。てつの記憶の中の戦争の傷の「心象風景」を幻想的に演出しているようですーネ。えー、滝田洋二郎監督は舞台演出もするのかーナ、とそのマルチな才能に驚きましたが、これはケラリーノ・サンドロヴィッチ( 劇団「 ナイロン100℃」主宰。本名は小林 一三)の舞台演出だったようです。私の印象としては、映画のストーリをブツブツと寸断する舞台風景の挿入によって、映像から喚起されるカタルシスを壊してしまう気がしました・・・。


もう一つ気になったのが、次男の修二郎が妻・真里と共にアメリカから帰国して、生き残った網走時代の人たちの無事を感謝するのに、修験道のように長い急な階段を上り、鎖につかまりながら険しい坂道と断崖の岩を攀じ登って、その先の山頂にあった小さな祠へ参拝するシーンがありましたーネ。あのロケ現場は何処かな…???意外と私は神社やお寺や墓地が好きなんで、私も参拝したいと感じ、あちこちネットを探しましたが、分かりませんでした。日本全国彼方此方に点在する、古く神道の源流とも言われ、古事記で伊邪那岐命と伊邪那美命が天照大御神の次に産んだ弟の「月読命」を祀った神社の大元とされる長崎県の離れ島にある「壱岐」を訪れたこともあるモノ好きなので、あの映画に刺激されて、是非一度参拝したくなりました。

 
★是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。 
尚、ここでは邦画しかコメントしてませんが、私の洋画も含めたブログも読みたい人は下記アメーバブログを閲覧ください。最新映画情報が読めます。  
https://ameblo.jp/sasuganogyosui/entry-12356201202.html
★以前に掲載した昨年の記事は下記サイトにアクセスして読んでください。  
★是非、コメントを下記メールアドレスにお寄せください。必ずご返事させていただきます。 sasuganogyosui@yahoo.co.jp

  

 





 

3月特選映画「医療の映画】【8】★映画のMIKATA「孤高のメス」★映画をMITAKA

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映画は、今日の現実と悲劇と喜びと笑顔を映す鏡です。と同時に、現実の医療の社会的病根を映像のメスで切り取り、社会問題として映像化し、現実の矛盾と闇に光を当てて、現実を変える力の視点=支点を与えることです。


邦画でも洋画でもたくさんの医療映画が制作されました。その中で私は≪医療の映画»としては、臓器移植をドラマ化した「孤高のメス」を選びました。

 

 

この作品では市長の大川が末期の肝硬変で倒れ、彼を救済する唯一の手段は日本の法律ではまだ認められていない「脳死肝移植」手術でした。市民病院に勤務する外科医・当麻鉄彦(堤真一)は生体肝移植を決断した…。 この映画を理解するためには、国内の移植医療・臓器移植に関する知識と理解が多少必要です。臓器移植を必要とされる臓器は、肝臓、腎臓、心臓などの内臓疾患でした。1968年8月に札幌医大胸部外科の和田寿郎教授が日本で初めての心臓移植を行いました。この日本初の心臓手術は、当時非常にセンセーショナルに報道されました。「エ~心臓が悪くなったら、他人の心臓を機械部品のように交換できるのか、エ~、ならば私がもしも心臓が悪くなっても、死んだ人の臓器と取り換えられるのかな」…と、感嘆こもごも驚嘆しました。だとすると、「人間は永遠に死ぬことがなくなるのかな」…、想像もとすると当然、医療現場の手で自由に人間の生命と寿命が左右できるのならば、臓器をお金で買える金持ちは、いくらでも命を延ばすことができる…のだ。移植の必要とされる致命的な臓器疾患に対して、和田教授の心臓移植の後に、1997 年10月に国内では「臓器移植法」が成立し、脳死した人の臓器を摘出して移植できる「脳死移植」が可能となりました。これまで国内法で移植手術を受けられない内臓疾患の重い病人で、富裕層は東南アジアやアメリカへ渡って施術してきました。「脳死移植法」前後で、臓器提供者の「死の判定」がまず初めに重要な問題となり、安楽死や臓器売買などの「命の問題」が一斉に吹き出しました。


命にかかわる心臓や肝臓、腎臓などの臓器の致命的な機能不全で、移植を必要とする患者に対して、脳死判定を受けた臓器ドナーから善意による延命の道が開かれました。しかし、臓器移植に関しては「人間の死の判定=脳死」や「臓器ドナー不足による臓器売買」等の命の複雑な問題が、今日でもまだ依然残されています。

 

例えば最近、運転免許証の裏に「臓器提供」に関する意思表示を確認するドナー表示が印刷されています。が、「臓器移植法」が施行された後でも、善意の脳死ドナーの登録は大変少なく、脳死ドナーは2015年10月現在で僅か46人です。日本臓器移植ネットワークのサイトによれば、臓器提供を待つ待機患者の登録者は、心臓で423人、肺で258人、肝臓で380人、腎臓で12.572人いるそうです(2015年7月現在調べ)。昨今、糖尿病は国民病と言われるくらい患者が急増して、糖尿病性腎症まで抉らせて、人工透析から更に、腎移植をしなければ命さえ危ない患者によって臓器ドナーを待つ待機患者は増えています…。


腎臓の次に多い肝臓移植オペを待つ患者は、多くは「B型慢性肝炎」なのでしょうーカ。木村良一産経新聞論説委員は「臓器漂流」(2008年ポプラ社刊行)で、プロレスラー・ジャンボ鶴田がB型肝炎ウィルスによる肝硬変で、フィリピンの国立肝移植研究所で2000年5月に肝移植の手術中に亡くなったことを伝えています。B型肝炎ウィルスのキャリアは、国内に100万人以上いるといわれています。肝細胞が破壊され、肝硬変や肝がんでなくなっていくようです。今新たにE型肝炎ウイルス(略HEV)に警告が発せられています。腎臓器移植をドラマ化した「孤高のメス」では、こんな臓器提供を廻る問題のドラマでした…。 

 

ただ此処では「肝臓移植」というよりも、腎臓移植に伴う臓器移植の問題提起の本『だれが修復腎移植をつぶすのか 日本移植学会の深い闇』(東洋経済新報社、)で、ノンフィクションライター・高橋幸春氏のルポに目を向けたいと思っています。


 

日本の血液人工透析患者数は、現在31万4.180人(2013年現在)、毎年約3万8024人の透析患者が増え、その中で、亡くなる透析患者は3万0708人います。ところが、2010年に「臓器移植法」が改正されて、臓器提供が本人意思でなくても、家族の同意があれば移植できるようになった。とは言えそれでも、2010年以降、心停止(67体)、脳死(88体)による死体肝移植総数は、年間1.431体(日本移植学会2013年)で、透析患者約31万人に対して圧倒的に少ないです。特に大人ではなくて、子供の臓器提供が少ないといわれてますが、脳のない胎児の臓器提供にも注目が当たっているようです…が、やはり少ないデス。

 

p23…透析患者約31万人を超えたにもかかわらず移植を希望する者は約1万3000人にすぎない。…患者が透析に満足しているからではない。…移植希望者の登録者数が少ないのは、経済的負担のためというよりも、あまりに移植の確率が低く最初から諦めているからです。…腎臓移植を望んでいる人の1パーセントしか移植手術を受けられないのが現実だ…。

 

修復腎移植」とは何か? がんにかかったドナーの臓器を移植に用いるのはレシピエントにがんが転移する恐れがあり、従来より医学界ではタブー視されていました。がそれを破って、4センチ未満の小径腎癌から、がんの部位を切除した腎臓「修復腎」を、慢性腎不全の患者に移植することです。それを、宇和島徳洲会病院の万波医師と瀬戸内海グループの医師集団がタブーを破り、実績を挙げていました。それに対して、2005年に9月に臓器売買による腎移植手術として万波医師たちが警察沙汰となりました。更に医師会や移植学会から、肝臓の全摘は倫理違反だ…、移植後にがん細胞が転移する…、臓器売買の反倫理的な商売が横行する…とか、様々な中傷や虚偽の発言を浴びました。それでも万波医師の下には、最後の命の綱と延命の望みを托して、多くの透析患者が修復腎を求めて集まり、万波医師復権のために「修復腎」支持しました…。実際、臓器移植された腎移植患者でがんが転移した症例は、41例中に1件だったようです。

 

透析患者は、一級障害者として認定され、一人が使う国庫負担の年間医療費は、約500万円。国内の人工透析医療患者に投入する医療費は、約2兆円と言われています…。この二兆円市場に絡み、敢えて万波医師の「修復腎移植」を違法と非難しそれを妨害し、告発をする医学界には≪深い闇≫横たわると高橋幸春氏は告発します。

 

p154…透析患者を多く抱えることは安定した病院経営に直結する。…この巨額の医療資金は、「透析医療」の最終消費地である透析病院で吸い上げられ、関係者間で分配されます。分配先は透析病院、医師、医療者、医療関係会社、銀行、そして、間接的に大学医学部の寄附金、研究費、政治家の政治資金、マスコミへの広告費などとしてその資金は社会の隅ずみにまでゆきわたっています。…移植医療の発展は、透析医療の2兆円市場の拡大を確実に阻み、萎ませていく。その思惑が万波バッシングの背景に潜んでいる…
p192…現在の腎移植希望登録者数1万0849人。修復腎移植移植が認められれば、6年ほどの期間内で移植が受けられることになる。…移植を望む透析患者の大部分は移植がうけられずに死亡していると言って過言ではない。修復腎移植が認められれば、その多くの命が救われるのだ。…

 
 臓器移植の周辺に、安楽死とか脳死判定とか臓器売買の問題があります。それらに肉迫する「医療の映画」に、周防正行監督の『終の信託』や阪本順治監督の『闇の子供たち』などがありましたが、でもーネ私は、人間の≪死≫を臓器移植の問題に絡ませて映像化してほしかった…!!!。けれど残念ながら『それでもボクはやってない』の監督も、社会の闇を映像化しきれなかった…!欲を言えば、ミドリ十字の≪薬害エイズ≫事件などに光を当てた映画を制作してほしかったですーね。だからまだまだ、この「医療の映画」になっていない社会的事件がたくさんあります。例えば、群馬医大の腹腔鏡手術で30人余りの多数の患者が死亡したことや、再び製薬会社のデータ偽装の「化血研究所」の事件なども、映画化してほしいものでした。


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★以前に掲載した昨年の記事は下記サイトにアクセスして読んでください。  

4月上旬特選映画【9】★映画のMIKATA「ペンタゴン・ペーパ」★映画をMITAKA

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4月上旬の特選映画をアップロードします。今月4月は通算で4本…、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 』『レッド・スパロー』、『トレイン・ミッション』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』を映画館で観賞しました。その中かで私が選んだ特選映画1本は、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』でした。


今回このブログでコメントしたいずれの作品も、今年第90回アカデミー賞にノミネートされた作品や受賞作品、その他も秀作傑作の話題作ぞろいの作品で、過去にこのブログでコメントした作品が多く含まれています。作品賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督のファンタジーロマンス「シェイプ・オブ・ウォーター」も…、主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドの「スリー・ビルボード」も…、主演男優賞を受賞したゲイリー・オールドマンの「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」も、(付言すれば、彼のメイクを担当した辻一弘のメイクアップ&ヘアスタイリング賞)既にこの欄でコメントしています。今後も恐らく国内で上映されるだろう、或はまだ未鑑賞である作品、脚色賞の「君の名前で僕を呼んで」、外国語映画賞の『ナチュラル・ウーマン』(チリ)、特に長編ドキュメンタリー賞の「イカロス」はコメントしたいです…ネ!!!


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1本目は、第2次世界大戦下のヨーロッパを舞台に、ウィンストン・チャーチルの英国首相就任の1940年5月10日からドイツ軍のヨーロッバ各国への攻撃と侵略のおよそ1か月の激動の時期を描いた映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 』(2017年、ジョー・ライト監督、アンソニー・マクカーテン脚本)でした。


イギリス軍は1939年9月より22万5000人余りをフランスに上陸させ、フランス・ベルギー北部に展開させていたが、1940年5月10日にフランスを陥落させるドイツ軍の侵略作戦は、ベルギーとオランダへ侵攻を開始、ヒトラーの軍門に下った。イギリスもイタリアを仲介して条件を提示されながら降伏を迫られていた。海外派遣のイギリス軍は、ドーバ海峡まで到達したドイツ軍によってダンケルクに追い込まれた。ドイツ軍によってイギリス軍とフランス軍部隊の33万8000人が全滅を迫られた緊迫した時期でした。5月29日から5日間にわたって救援部隊の戦艦を派遣する余裕を持たないイギリス軍は、民間人に小型ボートをダンケルクまで救助のために協力を呼びかけた…。この状況を描いたのがクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルル/Dunkirk』 (2017年) の«ダンケルクの撤退≫でした。


降伏を迫られていましたイギリスが、ドイツの侵略を受け入れるか、ヒトラーに反撃するかどうか…の苦渋の選択を迫られる英国首相就任のウィンストン・チャーチルの、ダンケルクの戦いと撤退までを映画化したものです。なりよりも、ゲイリー・オールドマンを日本人メイクアップ・アーティスト・辻一弘が太っちょチャーチルに変身させたて、アカデミー賞主演男優賞およびメイクアップ&ヘアスタイリング賞を獲って話題を呼んだ作品でした。

 

2


ボリショイ劇場でプリマドンナとして踊るバレリーナのドミニカ・エゴロフ(ジェニファー・ローレンス)が、相手役の男性ダンサーの陰謀で、脚の再起不能の複雑骨折を負い、劇場から提供されている家と金銭援助を失い、病身の母を世話している彼女は仕方なく叔父・イヴァンの斡旋で、スパイの訓練所「スクール14」に入り、ロシア政府直属の諜報機関が特訓する女工作員の一人になる。元軍人たちから選ばれた訓練生の前で、男女を全裸にさせて、皆の視線の前で男を喜ばせろ…、前線から帰った兵士の弱点を透視して、兵士の欲望を手玉にとれ…性的異常者を相手に性交せずに男のペニスを勃起させろ・・・その訓練は凄まじいですーネ。2本目は、女性の魅力を武器に男から情報を盗むためのありとあらゆる手練手管、ハニートラップと男を虜にする心理操作の駆け引きを習得するスパイ&アクション映画『レッド・スパロー』(2018年、フランシス・ローレンス監督)でした。彼女のコードネームが「レッドスパロー」、赤いスズメだった。

 

元CIAエージェントの作家のジェイソン・マシューズの小説が原作

のようです、ロシアのスパイ訓練は流石にリアルです。チョット以前に、イギリスの南西部ソールズベリーで元ロシア人の二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリアさんが化学兵器の神経剤「ノビチョク」という毒薬で暗殺された…今現在、意識不明の重体になったという事件がありました。ノビチョクは、北朝鮮の金正男氏暗殺に使用されたVXガスよりも毒性が5〜8倍も強いといわれているロシアが開発した軍事化学兵器です。元KGBのスパイ活動をしていたプーチン大統領らしいです。ジョージア紛争、ウクライナ騒動、シリア内戦などなど軍事介入、トランプと蜜月によりサイバー攻撃を仕掛けたり大統領選妨害など、EU諸国に対して牙をむいているロシアの敵対意識があるので、映画はよりリアリティーがありました。

メイ首相は駐英のロシア大使館職員23人を国外追放する措置を発表した。これに対して、ロシア側は、反対にロシア駐在のイギリス外交官23人を国外追放とする報復措置を発表した。
 

依然まだまだ、対ロシアとのスパイ合戦は継続している、と言えます。ドミニカに与えられたミッションは、ロシアの機密事項を探るCIA捜査官ナッシュ(ジョエル・エドガートン)への接近を命じら、ロシア政府内に潜むスパイの名を聞き出すことであった。CIAのスパイ・ナッシュに加えられた拷問・・・、ヤケドで爛れた皮膚を電気カミソリのような道具で薄く削る医療用器具で、スパイの皮膚を剥ぐ拷問は惨たらしく凄惨でした…ネ。 私の読書体験では、村上春樹の小説の中で、モンゴルの牧草狩猟民たちが獣の皮をナイフで剥ぐのと同じ方法で、戦場で捕えた敵兵捕虜へ加えられる拷問にそんな描写があった記憶があります…。私なんか、そんな拷問をされたら、怖くて痛くて意識を失い、あることないこと皆白状してしまいそうだーナ、拷問は怖いですーネ。 


3


ジャウマ・コレット=セラ監督とリーアム・ニーソン主演のアクション映画は『アンノウン』『フライト・ゲーム』『ラン・オールナイト』など数多くありますが、今回のム・ニーソンの『トレイン・ミッション』が、私が観賞した限りでは列車ミステリーの最高傑作でした。3本目は、『トレイン・ミッション』(2018年、ジャウマ・コレット=セラ 監督)でした。

マイケル・マコーリー(リーアム・ニーソン)の郊外の自宅の朝は、息子の大学進学と住宅ローンの話題で、妻と出勤間際まで喧々諤々の会話が交わされていた。刑事を退職して、現在は「UCI」保険のセールスマンとして働いてマイケルは、仕事場へは毎日電車で通勤していた。ところが、10年間勤勉に働き続けた保険会社を突然60歳でリストラされる。リストラ解雇への憂慮で頭は一杯、そんな岐路の車中で彼の前にジョアンナ(ヴェラ・ファーミガ)と名乗る見知らぬ女が接近、この電車が終着駅に着くまでに、乗客の中に紛れ込んでいる「プリン」客?の手荷物からある持ち物を発見できたならば、「10万ドル(着手金2万5千ドルと成功報酬7万5千ドル)を渡す」と言った…。


高額の報酬に釣られついフラフラ、元警官のスキルを駆使してその乗客?「プリン」を探し始めるが、帰宅ラッシュ時の車内で、見知らぬ乗客を特定する謎の女の不可思議なミッションは、困難を極めた…。その「プリン」とは何なんだ? 人の名前か、物を指しているのか…。市職員の恋人を殺された若い女性の目撃者であり、その証拠品の入ったバッグであった。ア~結末を書いちゃった…でも、「トレイン・ミッション」はそんな簡単な謎解きとアクションとトリックで終わりではありません―ヨ。


4


4本目は、ベトナム戦争を分析・記録したアメリカ国防総省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在を「The New York Times」と「ワシントンポスト」が新聞記事にその劣勢の戦況と、それでもベトナム戦争を長引かせ泥沼化させるアメリカの正義の虚偽を暴露する政治&社会派映画ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017年、スティーヴン・スピルバーグ監督)でした。メリル・ストリープがワシントン・ポスト社主・発行人を演じ、トム・ハンクスがワシントン・ポスト編集主幹を演じる。映画の舞台は、アメリカ国内で反戦運動が盛り上がりを見せていたベトナム戦争の最中だった1971年でした。


そんな中で、シンクタンクのランド研究所に勤務する軍事アナリスト・ダニエル・エルズバーグ(マシュー・リス)はベトナム戦争に従軍、ベトナム戦争当時の国防長官ロバート・ マクナマラの指示で、戦況を取材記録分析していた。マクナマラがアメリカ国民とマスコミに対してベトナム戦争を粉飾する虚偽の発表に、彼は失望し、「アメリカ合衆国のベトナムにおける政策決定の歴史1945-1966年」という調査レポート・・・、その内容はトルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソンと4人の大統領政権にわたる過去20年余りのベトナム戦争の経過を記録した機密文書のコピーを「The New York Times」と「ワシントンポスト」にリークする…現ニクソン大統領の地位を揺るし、アメリカ軍の撤退につながるセンショーナルな暴露が起こった。ここから1974年のニクソン陣営の«ウォーターゲート事件≫が続いた。映画は、1972年6月17日の、ワシントンD.C.にあるのウォーターゲート・ビル内にある民主党全国委員会本部オフィスへの不法侵入事件さえエンデングに描いていた...。

 

過去にはさまざまな権力に立ち向かうジャーナリズムを描いた傑作映画がありました。報道の自由と、それを隠蔽・妨害する政治権力との終わることのない戦いのドラマがハリウッドにはありました。その一つ、記憶に新しいのは「The Boston Globe」紙の記者たちが、カトリック教会牧師の少年への性的醜聞を暴いた、宗教権威のタブーを暴く社会派作品『スポットライト/SPOTLIGHT 世紀のスクープ 』(2015年、トム・マッカーシー監督)でした。また、古くはウォーターゲート事件の真相を突き止め、ニクソン大統領を失脚にまで追い込んだ『大統領の陰謀/ALL THE PRESIDENT'S MEN』(1976年、アラン・J・パクラ監督) 等がありました。今回のスティーヴン・スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパ』は、これら過去の名作を勝るとも劣らぬ傑作でした。
 
なぜこの時期にこの作品が制作され公開されたのか…???スティーブン・スピルバーグ監督の最新作「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」の狙いは、トランプ大統領の報道の自由を干渉侵害する1971年の事件…、報道の自由を封じ込めようとするニクソン政権に立ち向かう米紙ワシントン・ポストの≪ジャーナリズム≫の戦いを通して、報道機関を「フェイクニュース」と中傷するトランプ大統領の攻撃にさらされる、今そこにあるジャナリズムと報道の自由の危機の現状と瓜二つの事件だからでしょうーネ…。権利章典以来、
民主主義社会では何よりも重んじられる権利がひとつに「言論の自由」がうたわれ、合衆国憲法でも保障されています。そうなんです、アメリカは国家の最高権威である大統領のマスコミ批判と言論の自由の問題に今ぶち当たっているのです。

それはアメリカだけのことではなくて、安倍総理大臣・麻生太郎財務相による「森友・加計問題」を廻る報道攻撃は同じ状況に置かれています…ネ。麻生太郎財務相が「森友の方がTPP11より重大だと考えているのが日本の新聞のレベル」と述べ、新聞報道を批判した。果たして日本の新聞社・マスコミは、アメリカのジャーナリストのように政治権力に果敢に立ち向かうことができるのだろう…カネ???





是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…

12月DVD特選映画【31】★映画のMIKATA「ナチズムとホロコースト」★映画をMITAKA

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(赤文字は既に映画館で、その他はDVDで観賞した作品と映画ブログで紹介した作品です。が、記入忘ればかりで申し訳ありません。映画ブログの中で必ず取り上げています。)

①『ミケランジェロの暗号』(2011年公開、ヴォルフガング・ムルンベルガー 監督)
②『黄金のアデーレ 名画の帰還』(サイモン・カーティス監督、2015年公開)
③『ミケランジェロ・プロジェクト』(2013年公開、ジョージ・クルーニー監督。)
④『アドルフの画集』 (2002年公開、 メノ・メイエス監督)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・映画ブログに掲載

⑤「顔のないヒットラーたち」 (2014年公開、ジュリオ・リッチャレッリ 監督)
⑥「スベャリスト/自覚なき殺戮者」(1999年公開、エイアル・シヴァン監督)
➆『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』(2015年公開、ポール・アンドリュー・ウィリアムズ監督)
⑧『愛を読むひと』(2008年公開、スティーヴン・ダルドリー監督、ベルンハルト・シュリンク原作。デヴットヘア脚本)
⑨『ハンナアレント』(2012年公開、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・映画ブログに掲載

星の子供たち」 (2010年公開、ローズ・ボッシュ監督)
⑪「サラの鍵」(2010年公開、ジル・パケ=ブランネール監督)

⑫「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年、ロベルト・ベニーニ監督)
⑬「縞模様のパジャマの少年」(2008年、マーク・ハーマン監督)
⑭「さよなら、アドルフ」 (2012年公開、ケイト・ショートランド監督)
⑮「悪童日記」 (2013年、ヤーノシュ・サース監督)
⑯「バティニョールおじさん」 (2002年公開、ジェラール・ジュニョー 監督)

⑰『ソハの地下道』(2011年公開、アグニェシュカ・ホランド監督)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・映画ブログに掲載

⑱「あの日のように抱きしめて」 (2014年、クリスティアン・ペッツォルト監督)

⑲「シンドラーのリスト」 (1993年公開、スティーヴン・スピルバーグ 監督)
⑳「アンナとロッテ」 (2002年公開、ベン・ソムボハールト監督)

㉑「ヒトラーの贋札」 (2007年公開、ステファン・ルツォヴィツキー 監督)

㉒「ホロコースト -アドルフ・ヒトラーの洗礼- (2002年公開、コスタ=ガヴラス監督)

㉓『ワルキューレ』(2008年公開、ブライアン・シンガー監督)

㉔『杉原千畝 スギハラチウネ』 (2015年公開、チェリン・グラック 監督)

㉕『ヒトラー暗殺、13分の誤算』 (2015年公開、オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督)

㉖『帰ってきたヒトラー』 (2015年公開、ダーヴィト・ヴネント監督)

㉗『奇跡の教室/受け継ぐ者たちへ』 (2014年公開、マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール 監督)
㉘『栄光のランナー/1936ベルリン』(2016年公開、スティーヴン・ホプキンス 監督

㉙『ソフィーの選択』(1982年公開、アラン・J・パクラ監督)

㉚『手紙は憶えている』 (2015年公開、アトム・エゴヤン監督)

㉛「わが教え子ヒトラー」(2007年公開、ダニー・レヴィ 監督)

㉜「ディファイアン」(2008年公開、エドワード・ズウィック 監督)
㉝「アイアン・スカイ」( 2012年公開、ティモ・ヴオレンソラ監督)

㉝「善き人」(2008年公開、ヴィセンテ・アモリン監督)

㉞「サウルの息子」 (2015年公開、ネメシュ・ラースロー監督)
㉟『戦場のピアニス2002年公開、ロマン・ポランスキー監督)
㊱『夜と霧』(1955年公開、アラン・レネ 監督)
㊲「灰の記憶」(2002年公開、ティム・ブレイク・ネルソン 監督)

㊳「謀議」 (2001年公開、フランク・ピアソン監督) 

㊴「ナチスが最も恐れた男」(2008年公開、エスペン・サンドベリヨアヒム・ローニング 監督)

㊵「囚われのサーカス」(2008年公開、ポール・シュレイダー監督)

㊷「アウシュヴッツ行最終列車~第三帝国ホロコースト」(2006年公開、 ダーナ・ヴァヴロヴァ、ヨゼフ・フィルスマイアー監督)

㊸「消えたその声が、その名を呼ぶ」(2015年公開、ファティ・アキン 監督)
㊹『白バラの祈り』(2005年公開、マルク・ローテムント監督)

㊺「エリート養成機関 ナボラ」(2004年公開、デニス・ガンゼル監督)

㊻「ヒットラー最後の12日間」(2004年公開、オリヴァー・ヒルシュビーゲル 監督)

㊼「カティンの森」(2007年公開、アンジェイ・ワイダ監督)

㊽「あの日あの時愛の記憶」(2011年、アンナ・ジャスティス監督)

㊾「誰がために」(2008年公開、オーレ・クリスチャン・マセン 監督

㊿「ブラックブック/ZWARTBOEK/BLACK BOOK」 (2006年、ポール・ヴァーホーヴェン監督)


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51≫「アイヒマンの後継者/ミルグラム博士の恐るべき告発}(2015年マイケル・アルメレイダ監督)

52≫「ナチス、偽りの楽園/ハリウッドに行かなかった天才」(2011年マルコム・クラーク監督)」

53≫「愛の嵐」(1974年、リリアーナ・カヴァーニ監督)

54≫ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』(2016年、ショーン・エリス監督)

55≫少女ファニーと運命の旅』((2016年、ローラ・ドワイヨン監督)

56≫ヒトラーへの285枚の葉書』(2016年、ヴァンサン・ペレーズ監督)

57≫「ローゼンシュトラック」(2003年マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)

58≫「敵こそ、我がとも~戦犯クラウス・バルビー」(2007年ケヴィン・マクドナルド&ケヴィン・マクドナルド  )
59≫「ナチスの犬」(2012年ルドルフ・ファン・デン・ベル&ルドルフ・ヴァン・デン・ベル監督)
60≫「聖なる嘘つき」(1999年ピーター・カソヴィッツ監督)
61≫「マラソンマン」(1976年ジョン・シュレシンジャー監督)
62≫「偽りの忠誠 ナチスが愛した女」(2017年、デビッド・ルボー監督)
63≫「やさしい本泥棒」(2013年ブライアン・パーシヴァ監督)
64≫「狼少女ミーシャミーシャ/ホロコーストと白い狼」(2007年ヴェラ・ベルモン監督)
65≫「シャトーブリアンからの手紙」(2011年フォルカー・シュレンドルフ監督)

66≫否定と肯定』(2016年、ミック・ジャクソン監督)

67≫ユダヤ人を救った動物園(2017年、ニキ・カーロ監督)

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この映画ブログで前回「ユダヤ人を救った動物園』(2017年、ニキ・カーロ監督)をご案内しました。他にもポーランド内でもドイツが侵略した町で、ユダヤ人を擁護した人たちを作品にした映画は数々あります。映画ブログでも、少し敷衍して関連作品をご案内したのですが、あれもこれも言及したくなり、長くなるので断念しました。例えば「シンドラーのリスト」 (1993年、スティーヴン・スピルバーグ 監督) や『杉原千畝 スギハラチウネ』 (2015年、チェリン・グラック 監督)がよく話題にされる代表作でしょうーネ。でも余り紹介されていない名作傑作もたくさんありますから、もう少し視点を広げて、≪ナチズムとホロコースト≫の映画を、これは観賞してほしい作品を、それぞれ状況ごとに私がDVDや映画館で見た限りで一部簡単にご紹介します。以前このブログでコメントを掲載したものと重複します。

 

私がこのテーマに拘泥する理由は、一つは、ヨーロッパでもアメリカでも日本でも≪ネオナチ≫や≪白人至上主義≫や人種差別の「ヘイトスピーチ」が横行する昨今だからです。尚更に、こんな「ホロコースト」映画の価値が光ってくる21世紀だからなのでしょうーネ。もう一つは、昨今の邦画に平和のための名作、反戦映画の傑作が少なく、金儲けのチャラチャラシタやっつけ仕事の作品が多いからです…!!!テーマにしても、人間の本質を抉る映画、幸福とか平和とかに正面から向き合う作品が少ないからです。勿論私は、映画の娯楽性も了解してますーヨ。ナンセンスのギャクや喜劇ストーリに大笑いして終わる映画、ストレスが消えて満足する映画、勿論、エロい場面に性的興奮する映画でも、でもねー、名作は見終わって何かを考えさせる作品ですーよ。 




 
ユダヤ人を匿った映画は、その他にもたくさんあります。ゲットーから抜け出したユダヤ人を地下道のマンホールに隠した映画に「ソハの地下道』(2011年公開、アグニェシュカ・ホランド監督)がありました。ラストでソ連軍の戦車がドイツ軍のいなくなった町を制圧した時にマンホールの蓋から首を覗かせた子供たちの姿は感動的でした...ネ。初めは金儲けのためが、ユダヤ人の命を救う使命に燃えてくる…。





ドイツ系ユダヤ人で、オランダ劇場支配人のウォルター・ススキンド(ユルン・スピッツエンベルハー)の劇場は、ドイツ軍によってユダヤ人500人を収容する待機場所に接収され、ドイツに侵略されたオランダ国内15万人のユダヤ人リストを作らされ、ナチス将校の手先のようにユダヤ人移送の管理を任される、『ナチスの犬』(2012年、ルドルフ・ファン・デン・ベル&ルドルフ・ヴァン・デン・ベル監督)とがありました。ウォルターは同胞から誹られるが、しかし、ユダヤ人たちの輸送先が収容所の毒ガス室だと知った彼は、仲間の子供たちを救おうと、移送のリストの人数と移送者の数を騙して、子供を地下や物置に隠したりなどする。時には、ドイツ将校に高級なお酒を贈って機嫌をとりながら画策するのだが…。無理矢理に子供から引き剥がされ母が、子供を返して…と屋根に上り瓦を下のドイツ将校に投げつけて抗議する、最後に屋根から身を投げるシーンは、無惨ですーネ。余りネットで解説されませんが、これも実話に基づいた実在の人物で、1000人の同胞の命を救ったようですよ。





もう一作。第二次世界大戦中、やはりナチスの占領下にあったポーランドのユダヤ人居住区「ゲットー」内の不自由で、いつ殺されるかもしれない不安は「聖なる嘘つき」(1999年ピーター・カソヴィッツ監督)でよく描かれています。有刺鉄線と柵で囲まれたゲット内に強制収容されていた元パン職人のジェイコブは、風に舞う新聞を追いかけている夜間に、外出禁止時間の夜8時を過ぎていると咎められ、ドイツ軍の監視兵によって司令部の士官室へ連行される。その場に流れていた部屋のラジオ放送を偶然耳にする。そのラジオは、ソ連軍の攻撃でドイツ軍の戦況が不利になってることを伝えるものだった。そのジェイコブの小耳にはさんだニュースが、ゲット内に解放が近い朗報として広がり、噂はより大きな期待を膨らませ、ゲットー内に希望を与えたと同時に、不確かな伝聞は「聖なる嘘」としてユダヤ人の大胆な行動さえ誘発した。ユーモとはまた違うな…ナ、緊迫した状況では「嘘」さえ希望の光となる…ゲットーの極限の悲喜劇とでも言おうかーナ。




 
次の一作。アウシュヴィッツ強制収容所へ移送される貨物列車のユダヤ人家族たちの恐怖は、『アウシュヴッツ行最終列車~第三帝国ホロコースト』(2006年公開、 ダーナ・ヴァヴロヴァ、ヨゼフ・フィルスマイアー監督)で、列車の止まる行着く先がガス室の「死」である戦慄をまじまじと描いてます。この作品だけで、ホロコーストがどれほど残酷な過去の歴史かがよく分かります。私は最早、生き残りの証言者が少なくなっている現在、この作品に正確なリアリティーと過剰な演出を求めるのは、エセ映画批評家の戯言でしょうーヨ。特に、水がなくて身につけている宝飾と交換に停車駅でホースで浴びせられる水に群がる姿や、列車の床に穴をあけて、途中駅に停車した時にそこから子供たちを森に逃がすシーンは 、私自身は、DVDを見ている途中でもその先の映像の結末が怖くて、一時画像を止めたくらいの戦慄でした。

この映画ブログでコメントを前回載せたホロコーストの映画「否定と肯定」(2016年、ミック・ジャクソン監督) がありました。「アウシュヴッツ」のユダヤ人虐殺はなかった…というこの裁判映画とともに、「ホロコースト -アドルフ・ヒトラーの洗礼-」 (2002年、コスタ=ガヴラス監督)…即ち、ナチスのために水の殺菌駆除と騙されて障害者絶滅計画T4に使う青酸毒ガス「チクロンB」の開発に携わり、ドイツ軍の親衛隊中尉でもあった衛生学の権威者のクルト・ゲルシュタインを主人公に、可愛がっていたダウン症の姪をガス室で殺され、さらに、強制収容所でその毒ガスがユダヤ人を殺戮するガス室に撒かれるのを目撃したことに衝撃を受け、 リカルド神父と共にこのホロコーストをカトリック教会や教皇など、ナチスと対立する国際社会にこの犯罪を告発しようと試みる…この映画は、是非見てほしい作品ですーネ。教皇庁の秘書官の息子リカルドは、ローマ法王にユダヤ人の惨状を訴えたが、世界のクリスチャンに向けたクリスマスの講話は、世界平和を表明するだけで、ナチのユダヤ人虐殺に一言半句も触れず、ドイツ軍の蛮行を阻止する声明さえしなかった。信仰に絶望して、自らアウシュヴッツ行きの移送列車に同乗して、ユダヤ人と共にガス室に消えていった。





ホロコースト -アドルフ・ヒトラーの洗礼-」 でクルト・ゲルシュタインの上司としてたびたび戦況を計算しながら、冷めたナチスとしてファシズム体制を巧みに泳いでいた得体のしれない親衛隊の医学者は、ドイツ軍の敗戦が濃厚となった時に教皇庁の枢機卿の手引きで、南米へと逃亡するする為にカトリックを訪れていた…。実は、ナチズムの逃走を助けていたのは、カトリックの教皇庁であったという歴史があった。この問題に関して下記サイト≪ナチスとバチカン≫をご覧ください…。「キリスト教という宗教的な厚い土壌があったからこそ、ヒトラーの反ユダヤ主義は、枯れ野に火を放ったように爆発的に広がり、根づいていったのである。」「バチカンとナチスの関係は戦後もひそかに続いていた。戦犯ナチスの逃亡をバチカン組織が助け、アメリカや南米に送った。」と、暴露しています。大変優れたサイトです。

http://inri.client.jp/hexagon/floorA6F_hb/a6fhb400.html#05

 




ナチスの親衛隊に所属し、フランスのリヨン市の治安責任者となり、そこで多くの共産主義者やユダヤ人に対して残酷非道な行為を行い「リヨンの虐殺者」と呼ばれる22歳の若いクラウス・バルビーという男がいた。彼もまた、ナチスの戦犯でありながら不思議にもドイツが敗戦した時に裁かれることなく、立場を隠し巧みに逃亡した一人でした。彼の戦後はある時は、アメリカ陸軍情報部のために保護され、対ソ連のスパイ活動を行ったエージェント・バルビーの姿に変身、米国陸軍の反共産運動専門の工作員として暗躍する。またある時は、南米ボリビアで軍事独裁政権の誕生に関わったクラウス・アルトマンとして、歴史の影で暗躍を続けたバルビーの姿もあった。 転々とした3つの変身した姿で人生を生きたバルビーのドキュメンタリー風の映画「敵こそ、我がとも~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生」(2007年ケヴィン・マクドナルド&ケヴィン・マクドナルド  )は、「ナチズムとホロコースト」の戦犯を告発する作品でした。1983年に、フランス領ギアナでフランス当局に逮捕され、1987年に、戦時中の17におよぶ人道に対する罪で終身禁固刑を宣告され、1991年に病死した。





もう一作。ナチス高官ラインハルト・ハイドリヒは「金髪の野獣」と呼ばれ、ヒムラーに次ぐ親衛隊の実力者であり、虐殺の限りを尽くした残虐者でした。ユダヤ人問題の「最終的解決Die Endlösung der Judenfrage」、つまり、ユダヤ人種に対してヨーロッパに住む全てのユダヤ人を根絶させるホロコースト(大量虐殺)を行うナチスの計画は、1942年1月20日にベルリンのヴァン湖の畔にあた、没収したユダヤ人富豪の別荘で「ヴァンゼー会議」が開かれました。そこでホロコーストが決定されました。2001年にアメリカ合衆国のケーブルテレビ局・HBOが歴史映画として、『謀議/Conspiracy』(フランク・ピアソン監督、ロリング・マンデル脚本)というタイトルで公開しています。その会議で、ナチスの高官がここに集まり、その一人としてラインハルト・ハイドリヒも参加していました。SSのナンバー2であるヘルマン・ゲーリングは、ハイドリヒに「ユダヤ人問題の最終的解決を望ましい形で実行するために必要な行政的なシステムと金銭的な方策の計画を可能な限りすぐ自分に提出するように」命令したと言われています。






ラインハルト・ハイドリヒは、戦争中にチェコ統治の責任者でした。イギリス政府とチェコスロバキア亡命政府の指令で、ヨゼフとヤンたち7人の暗殺部隊が彼を葬るためにチェコ領内に落下傘で潜入した。暗殺計画は移動中のハインリヒの車を襲撃して重傷を負わせた。この傷が元で彼が死亡した結果、現地のレジスタンスと無関係なボーランド市民への壮絶な報復が始まった。ハイドリッヒ暗殺計画の顛末と最期を描いたナチズムの映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』(2016年、ショーン・エリス監督)という作品がありました。





ポーランドのゲットーから、、欧州各地からトラックに押し込められ、貨物列車にすし詰め状態で載せられ、ほとんど飲まず食わずでアウシュヴッツ収容所に集められた。ナチス ・ドイツの占領下にあったヴィシー政権下のフランスでユダヤ系フランス人を迫害した映画に『サラの鍵』(2010年公開、ジル・パケ=ブランネール監督)という名作映画がありました。1942年の「ヴェル・ディヴ事件」で大量検挙されナチスに引き渡され、ユダヤ人をガス室に送ったフランスのこの歴史は、フランスの恥部としてフランス史に未だ語り継がれています。ドイツに侵略されたイタリアでのユダヤ系イタリア人への迫害を描いた『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998年、ロベルト・ベニーニ監督)は、悲劇を残酷なシーンばかりで映すのではなくて、イタリア人らしい少しのユーモラスと陽気な気質を表現した作品です。子煩悩で楽天的で愉快な性格のグイドは、母と引き離される息子・ジョズエに対して「…これはゲームなんだ。いい子にしていれば、本物の戦車に乗っておうちに帰れるんだ…」と、嘘をつく。ナチスの撤退後の朝に、ゴミ箱に隠れていたジョズエが出てくると、収容所を開放する連合軍の戦車が現われ、若い兵士がジョズエを戦車に乗せて、ジョズエを抱きかかうえヘルメットをかぶせて凱旋してくれる…というストーリでした。もう一作。ナチス・ドイツの占領下ベルギーのユダヤ人迫害を映画化した『狼少女ミーシャミーシャ/ホロコーストと白い狼』(2007年ヴェラ・ベルモン監督) は、恰も狼に育てられた少女のような狼と少女の物語でした。8歳の幼いミーシャの両親はユダヤ人であることを隠し、支援者の屋根裏部屋に潜んでいたが、ある日一斉検挙で連行された。彼女だけは森に逃げて、 たった一人でベルギーから実家のおじいちゃんの居るウクライナまで、3000マイルもの旅を続ける。幼いミーシャが寒さで雪の中で動けなくなり倒れていると、飢えと寒さを救ったのは、 昔、実家の田舎で買っていた白くて大きい犬に似た一匹の白い狼「ママ・リタ」でした。イノシシやウサギの生肉をかじり飢えをしのぎながらウクライナまで歩き続ける、意外に名作でした。


 昔私が学生の頃、アルバイト先でフランクルの体験記を読んでいたら、その本の挿絵写真の中の一枚にあった、女性たちが全裸で収容所の広場を走っている姿を見て、その場にいたある男がそれを盗み見て、「勿体ないな…」と感嘆していました。恐らくその意味は、グラマーな女性の裸を見て愛撫もせずセックスもせずにムザムザ殺すなんて、「勿体ないな…」という感想なのでしょうーネ。今私は、みすず書房の新版「夜と霧」(池田香代子訳、2002年発行)を再び買って手にしてます。以前の霜山徳爾訳の「夜と霧」はボロボロだったので、引っ越しの時に捨ててしまいました。でもね、その旧訳本の裏表紙と本文の間には、アウシュヴッツ内の写真が数枚挿入されていました。が新版には全て削除されていました。あーと驚き、女性翻訳者の細やかな配慮なのかなーと思いました。でも私はその挿入の写真を残しておいてほしかったですーネ。その写真は、全て惨いシーンばかりです。でも、ドイツ兵によって男も女も子供も老人も非人間的に、毒ガスの充満するガス室で、苦しみもがき無差別に殺された証でもありますからーネ。私は日本人ならば、広島長崎の原爆資料館を一度は社会見学に行くべきだと思っています。中学高校でも卒業旅行や修学旅行に学校で、文部省が義務教育の必須課程に組み込んで旅費を無料で提供して、先生が引率すべき場所ではないのかナ…!!!と思っています。


少なくても大学生は、理系も文系でもポーランドの「アウシュヴッツ」の紀行文と感想を卒論の課題に含ませるべきだと思っていすます。だから、世界史の教科書にもホロコーストの写真を掲載して、国語の教科書からも広島長崎の被爆者の証言と物語は削除してはいけないのです、歴史の「残酷さ」から目を背けてはいけないのですーヨネ。…!!!

欧州各国から貨物列車に載せられて事務的にリストに従って移送されアウシュビッツ強制収容所内に収容され、害虫を消毒するためのシャワー室と騙されてガス室に送られるまでの機械的で淡々とした様子、男も女もゾンダーコマンドたちの指示でガス室の扉の前で服を脱がされ、身につけた時計や宝飾品を外させ、ガス室で殺され死体になるまでの阿鼻叫喚の姿、それがドイツ兵ではなくて同じユダヤ人の同胞たちの手でガス室から運び出され、中を清掃し焼却炉に投げこみ処理して灰となた遺体のシーン…、銃殺されそのまま地面の穴に投げこまれた死体…の凄惨な姿は、「サウルの息子」 (2015年公開、ネメてシュ・ラースロー監督) と「灰の記憶」(2002年公開、ティム・ブレイク・ネルソン 監督)と『夜と霧』(1955年公開、アラン・レネ 監督)を見ていただければ、随所でそんなシーンが映されています。


サウルの息子」でゾンダーコマンドのサウルは、ガス室で死んだ少年が息子のように思え、ユダヤ人の牧師によってユダヤ人葬儀に則って弔いをしようと死体を布にくるんで担いで逃げる…。「灰の記憶」では同じゾンダーコマンドのホフマンは、ガス室で死体処理中に、奇蹟的にまだ息のある少女を発見、収容所内のユダヤ人医師の手当で一命を取り留め、その少女を匿うのだった…。「夜と霧」の原作者フランクルは、アウシュヴッツから生き残って生還した心理学者です。間近な「死」を待っている収容所という絶望的な環境の中で希望を失わなかった人たちが生き残った…という言葉は、絶望の中で最後まで人間の持つ「希望」の意義を考えさせました。福祉切り捨て、社会保障削減の生き甲斐のない安倍自民党政権に生活している皆さんー、絶望の時代にせめて「希望」を捨てないで2018年の日本の残酷政治に沈まずに生き残りましょう…!!!


是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…
 

  








 

 


4月特選DVD【10】映画のMIKATA「ブルーム・オブ・イエスタディ―」★映画をMITAKA

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(赤文字は既に映画館で、その他はDVDで観賞した作品と映画ブログで紹介した作品です。が、記入忘ればかりで申し訳ありません。映画ブログの中で必ず取り上げています。)

①『ミケランジェロの暗号』(2011年公開、ヴォルフガング・ムルンベルガー 監督)
②『黄金のアデーレ 名画の帰還』(サイモン・カーティス監督、2015年公開)
③『ミケランジェロ・プロジェクト』(2013年公開、ジョージ・クルーニー監督。)
④『アドルフの画集』 (2002年公開、 メノ・メイエス監督)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・映画ブログに掲載

⑤「顔のないヒットラーたち」 (2014年公開、ジュリオ・リッチャレッリ 監督)
⑥「スベャリスト/自覚なき殺戮者」(1999年公開、エイアル・シヴァン監督)
➆『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』(2015年公開、ポール・アンドリュー・ウィリアムズ監督)
⑧『愛を読むひと』(2008年公開、スティーヴン・ダルドリー監督、ベルンハルト・シュリンク原作。デヴットヘア脚本)
⑨『ハンナアレント』(2012年公開、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・映画ブログに掲載

星の子供たち」 (2010年公開、ローズ・ボッシュ監督)
⑪「サラの鍵」(2010年公開、ジル・パケ=ブランネール監督)

⑫「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年、ロベルト・ベニーニ監督)
⑬「縞模様のパジャマの少年」(2008年、マーク・ハーマン監督)
⑭「さよなら、アドルフ」 (2012年公開、ケイト・ショートランド監督)
⑮「悪童日記」 (2013年、ヤーノシュ・サース監督)
⑯「バティニョールおじさん」 (2002年公開、ジェラール・ジュニョー 監督)

⑰『ソハの地下道』(2011年公開、アグニェシュカ・ホランド監督)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・映画ブログに掲載

⑱「あの日のように抱きしめて」 (2014年、クリスティアン・ペッツォルト監督)

⑲「シンドラーのリスト」 (1993年公開、スティーヴン・スピルバーグ 監督)
⑳「アンナとロッテ」 (2002年公開、ベン・ソムボハールト監督)

㉑「ヒトラーの贋札」 (2007年公開、ステファン・ルツォヴィツキー 監督)

㉒「ホロコースト -アドルフ・ヒトラーの洗礼- (2002年公開、コスタ=ガヴラス監督)

㉓『ワルキューレ』(2008年公開、ブライアン・シンガー監督)

㉔『杉原千畝 スギハラチウネ』 (2015年公開、チェリン・グラック 監督)

㉕『ヒトラー暗殺、13分の誤算』 (2015年公開、オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督)

㉖『帰ってきたヒトラー』 (2015年公開、ダーヴィト・ヴネント監督)

㉗『奇跡の教室/受け継ぐ者たちへ』 (2014年公開、マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール 監督)
㉘『栄光のランナー/1936ベルリン』(2016年公開、スティーヴン・ホプキンス 監督)

㉙『ソフィーの選択』(1982年公開、アラン・J・パクラ監督)

㉚『手紙は憶えている』 (2015年公開、アトム・エゴヤン監督)

㉛「わが教え子ヒトラー」(2007年公開、ダニー・レヴィ 監督)

㉜「ディファイアン」(2008年公開、エドワード・ズウィック 監督)
㉝「アイアン・スカイ」( 2012年公開、ティモ・ヴオレンソラ監督)

㉝「善き人」(2008年公開、ヴィセンテ・アモリン監督)

㉞「サウルの息子」 (2015年公開、ネメシュ・ラースロー監督)
㉟『戦場のピアニス2002年公開、ロマン・ポランスキー監督)
㊱『夜と霧』(1955年公開、アラン・レネ 監督)
㊲「灰の記憶」(2002年公開、ティム・ブレイク・ネルソン 監督)

㊳「謀議」 (2001年公開、フランク・ピアソン監督) 

㊴「ナチスが最も恐れた男」(2008年公開、エスペン・サンドベリヨアヒム・ローニング 監督)

㊵「囚われのサーカス」(2008年公開、ポール・シュレイダー監督)

㊷「アウシュヴッツ行最終列車~第三帝国ホロコースト」(2006年公開、 ダーナ・ヴァヴロヴァ、ヨゼフ・フィルスマイアー監督)

㊸「消えたその声が、その名を呼ぶ」(2015年公開、ファティ・アキン 監督)
㊹『白バラの祈り』(2005年公開、マルク・ローテムント監督)

㊺「エリート養成機関 ナボラ」(2004年公開、デニス・ガンゼル監督)

㊻「ヒットラー最後の12日間」(2004年公開、オリヴァー・ヒルシュビーゲル 監督)

㊼「カティンの森」(2007年公開、アンジェイ・ワイダ監督)

㊽「あの日あの時愛の記憶」(2011年、アンナ・ジャスティス監督)

㊾「誰がために」(2008年公開、オーレ・クリスチャン・マセン 監督

㊿「ブラックブック/ZWARTBOEK/BLACK BOOK」 (2006年、ポール・ヴァーホーヴェン監督)

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51≫「アイヒマンの後継者/ミルグラム博士の恐るべき告発}(2015年マイケル・アルメレイダ監督)

52≫「ナチス、偽りの楽園/ハリウッドに行かなかった天才」(2011年マルコム・クラーク監督)」

53≫「愛の嵐」(1974年、リリアーナ・カヴァーニ監督)

54≫ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』(2016年、ショーン・エリス監督)

55≫少女ファニーと運命の旅』((2016年、ローラ・ドワイヨン監督)

56≫ヒトラーへの285枚の葉書』(2016年、ヴァンサン・ペレーズ監督)

57≫「ローゼンシュトラック」(2003年マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)

58≫「敵こそ、我がとも~戦犯クラウス・バルビー」(2007年ケヴィン・マクドナルド&ケヴィン・マクドナルド  )
59≫「ナチスの犬」(2012年ルドルフ・ファン・デン・ベル&ルドルフ・ヴァン・デン・ベル監督)
60≫「聖なる嘘つき」(1999年ピーター・カソヴィッツ監督)
61≫「マラソンマン」(1976年ジョン・シュレシンジャー監督)
62≫「偽りの忠誠 ナチスが愛した女」(2017年、デビッド・ルボー監督)
63≫「やさしい本泥棒」(2013年ブライアン・パーシヴァ監督)
64≫「狼少女ミーシャミーシャ/ホロコーストと白い狼」(2007年ヴェラ・ベルモン監督)
65≫「シャトーブリアンからの手紙」(2011年フォルカー・シュレンドルフ監督)

66≫否定と肯定』(2016年、ミック・ジャクソン監督)

67≫ユダヤ人を救った動物園(2017年、ニキ・カーロ監督)

68≫『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 』(2017年、ジョー・ライト監督)

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申し訳ないが4月下旬は「見たい知りたい」と知的興味に魅かれる作品がなかったので、緊急回避う回路として「ナチズムとホロコースト」のテーマをDVDから選びました。春休みの時季なので子供向きの映画が多いですーネ、でも、私にはちっとも映画館へ行くだけの魅力はありません…。
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69≫「ブルーム・オブ・イエスタディ―」(2016年、クリス・クラウス監督)。


 第29回東京国際映画祭のコンペティション部門で最高賞の東京グランプリおよびWOWOW賞を受賞したという«ナチズムとホロコースト»の映画「ブルーム・オヴ・イエスタディ」を見たいと思っていたのですが、見逃していた映画でした。ただ、これまでのこのテーマの映画にしてはこの作品の舞台は、直接に1940年代の戦争を背景にした、ヒトラーとナチズムと収容所とユダヤ人を描いた作品ではなくて、祖父がナチスの軍人の戦犯で、その罪に向き合うためにホロコースト研究をし、分厚いナチズムの本も書いている現代史研究者の「トト」と、祖母がナチスの犠牲者となってガス室に消えた若いユダヤ系のフランス女性で、家族が収容所で死んだナチズムの犠牲者遺族でもあり、ホロコーストが一つのトラウマにもなっているが、その悲劇の記録と解明に情熱と執念を燃やす「アウシュビッツ会議」のインターンの「ザジ」…、いわば«ナチズムとホロコースト»の犠牲者の第二世代が主人公で、した。一見お笑いたっぷりのコメディーぽい二人の恋愛劇でもあり、私としては、笑いを誘う二人のユーモアたっぷりの会話と、恋愛ゲームのような2人の口論は、やや期待しただけに肩透かしを合った、些か異色の新しい傾向の«ナチズムとホロコースト»の映画でした…。率直に行って、最早ホロコーストの悲劇を重く引きずっているドイツのイメージに辟易している生粋の現代ドイツ人もいますーネ。ただ私は、「ブルーム・オブ・イエスタディ―」に不満を感じました!!!


ドイツ人にとって、或は収容所で殺されたユダヤ人にとって「ナチズムとホロコースト」とは何かな…?ドイツ人でなくても、私は一度ホロコーストの現場の「アウシュヴッツ」収容所を見て、その意味を確認したいな…、経験したいな…と思っています。「クラウドファンディング」で旅行資金を集めて見ようかな




 «ナチズムとホロコースト»の犠牲者の第二世代が主人公の映画はいろいろありました。例えば古い作品で、大学院生ベイブ役のダスティン・ホフマンが収容所のユダヤ人から略奪したダイヤを廻って、アウシュヴィッツ収容所で囚人に人体実験を繰り返した、白い悪魔といわれた歯科医ヨーゼフ・メンゲレ」のような医師が登場し、突然に襲われるサスペンス作品がありましたーネ。SSの制服と白手袋を着用して作業にあたったと伝えられてます。ナチス戦犯としてブラジルに逃亡隠遁していたが、逮捕された。




5月上旬特選映画【11】★映画のMIKATA「レディ・プレイヤー1」★映画をMITAKA

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5月上旬の特選映画をアップロードします。今回3本を映画館で観賞、今月5月もまた観賞数が少なかったです。選んだ特選映画1本は、『レディ・プレイヤー』でした。ハリウッドの映画界はどうして、アニメ原作の、しかもヒーロものが多いのかな???、私はお金と時間の無駄なので一切見ません…でした。スピルパークさえ「レディ・プレイヤー」のようなアニメっぽい映画を制作し始めたからな。最早、現実をリアルに描かなくなったのかな…と思わざる負えません。或は心情をプラスに憶測すれば、地球の悪と戦う英雄に、アメリカを救う願望を投影しているのかな、とも考えます。それにしてもこの作品はお勧めの一本でした。流石にスピルパーク監督だなと感嘆しました。今の時代の娯楽と意識を支配する三次元のバーチャルリアリティーとゲームの世界に関しては、本論で彼の意見を載せておきました。

 

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1本目は、『君の名前で僕を呼んで/CALL ME BY YOUR NAME』(2017年、ルカ・グァダニーノ監督、ジェームズ・アイヴォリー脚本)でした。第90回のハリウッドのアカデミー賞を初め、数々の脚本賞を受賞した映画なので、鑑賞してみました。『眺めのいい部屋』『モーリス』『日の名残り』などの名作映画を監督したジェームズ・アイヴォリーが脚本を書いた功績なのかな…ナ。


舞台は、北イタリアの避暑地を舞台に、共に自転車で村を散策したり、林の中を流れる川で泳いだり、ピアノで音楽を引いたり、時にはフランスから来た若い恋人と熱いセックスをしたするのだが、ストーリの本流は、17歳の文学と詩と音楽を愛する知性豊かな少年と、ギリシャ文化と彫刻を研究している大学院生の二人が、田園風景の中で惹かれあう男性同士のひと夏のエピソード、長閑で美しい同性愛を描いたラブストーリーです。

本作はアンドレ・アシマン(英語版)が2007年に上梓した小説『Call Me by Your Name』を原作として、ルカ・グァダニーノ監督が制作したもの。映画は、原作の物語の途中までしか描かれず、監督は、続編を作ることを考えているようです。原作は、フリーセックと同性愛に対して人類の堕落と業病のように、エイズが世界で蔓延して大きな社会問題になる前を描いているため、映画では二人の同性愛を17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)と、大学教授の父が招待した大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)との間の、誠に長閑な田園の中の抱擁のように描いています。がただ、続編では、エイズ問題について触れるようです。むしろ、続編のエイズと同性愛の作品の方を私は観たかったです。


私がこれまで見た映画の中で記憶に残る「LGBT」の作品は、『ミルク』2008年『チョコレートドーナツ』2012年『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』2014年『リリーのすべて』2015年 『ムーンライト』2016年、邦画の 『カケラ』2009年『彼らが本気で編むときは、』2017年等々辺りかな…。まだ漏らした作品があるかも知れないが、結構見ているものですーネ。でもそれらの作品と比較した時、面白い映画、傑作名作とは思いませんでした。どちらかというと同性愛を描いた映画は、フロイドの性科学の自伝的映画『危険なメソッド』(2011年、デヴィッド・クローネンバーグ監督)などで象徴的に描かれたように、特にアメリカやイギリスなどでも、ぞれぞれの文化の中では「同性愛」は精神病院に閉じ込められ、恰も左利きを右利きに強制されるように、男と女の異性愛を無理矢理に強制され、法律で禁じられる犯罪者扱いをされ、薬によって化学的に去勢されさえしました。だから、これまでの映画は、社会の同性愛に対する偏見と「性」への自由の闘いの主張とが、痛烈に練りこまれていました。が、この『君の名前で僕を呼んで』には、«LGBT»への戦いのイデオロギーが無かったですーネ。やや期待外れの不満がありました。そう言えば、同じアカデミー賞外国語映画賞を受賞したトランスジェンダーの話題作『ナチュラルウーマン』を見逃したーナ。

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2本目は、東野圭吾原作のミステリー小説を映画化したという、それだけの期待惑でこの作品『ラプラスの魔女』(2018年、三池崇史監督)を見に行きましたが…。「ヤレヤレ、思惑通りの駄作だなー」と退屈そのものの映画でした。三池崇史監督作品に今まで面白い印象と、傑作の映画を観た経験がなかったので、「退屈で駄作かな…」と懸念していたが、憂慮した通りでした…!!!

雪深い山中で硫化水素中毒死の死体が事件の発端で、妻と温泉地を訪れた初老男性の中毒死亡は、さらに、再びもう一つの硫化水素中毒死の死亡事件が連続して発生した。不信を抱いた警察は、両方の自然現象の下での「死」を不審に思い、地球化学の大学教授・青江(櫻井翔)に捜査協力を依頼する…、というストーリなのだが。事件捜査に動き始めた。青江の推理は、もしも2つの中毒事故を連続殺人事件と仮定するのであれば、犯人はその場所で起こる「硫化水素中毒」の発生という自然現象を事前に予測をしていたことになる筈だ…と推理する。青江の前に予知能力を持つ謎の女・羽原円華(広瀬すず)が現れる。彼女は事件の秘密を握る青年・甘粕謙人(福士蒼汰)を探していたのだった…。原作小説を読んでないので、何とも言えないが、この殺人事件の謎ときとミステリーはどうもストーリに無理があるのではないのかな…???


もう一つ、櫻井翔は大学教授という役は合わなかったな、更に広瀬すずの「魔女」という役柄のイメージは尚更にはずれでした。人気の俳優を登場させて観客を惹きつける映画製作はもう止めてほしいな…。

 

ハワイのキラウエア火山で山林火災が伝えられていましたが、昨今日本でも、箱根の強羅や熊本の阿蘇山付近を初め、御嶽山山頂付近や、群馬・長野県境の草津白根山の火口などで噴火活動が起こって、二酸化硫黄が噴出しているニュースなども流れています。そこから、二酸化硫黄によって死亡する殺人事件は現実味を帯びているだが・・・、でもね、ミステリーとしてはやや無理がある気がしましたーネ。


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2045年の近未来の地球ー、環境汚染や気候変動などによて世界は荒廃、多くの人間がスラム街で暮らし、人々は希望のない生活と日常を送っていました。唯一、人々の生き甲斐と息抜きは「オアシス」と呼ばれるゴーグルを付けて現実を忘れる「オアシス」という仮想現実の世界に没我し、夢と希望を貪って、荒廃した日常に安らぎを見いだしていました。3本目は、主人公のアメリカ・オハイオ州のスラム街に住む貧しい青年「ウェイド・ワッツ」は、現実を包括するような「オアシス」というコンピュータ上の仮想現実の創成者、ジェームズ・ハリデーが亡き後に残した莫大な遺産を狙っていた。それをわが物にする権利は、オアシス内に隠したと噂されるイースターエッグと、それを手中に収めるための3つの鍵を探したものに譲渡する…と言い残されていた。そこで、若者たちと大企業IOI社のノーラン・ソレント社長が、激しい争奪戦を繰り広げました。それを獲得した勝者には、「オアシス」の所有権と5000億ドルといわれるハリデーの遺産が授与されるという遺言であった。「オアシス」を掌握することは膨大な財産ばかりでなく、人々を夢中にする意識の全世界を支配することでもあった。夜ごと日ごとに、仮想現実の中のゲーム「アノラック・ゲーム」の中で車を走らせ、ゴールをめぐりレースに凌ぎを削っていた。ゲーマ達は一攫千金と現実の悲惨を忘却するレースに熱中するという、アドベンチャーゲームそのものー、映画の中のゲームを映画化した『レディ・プレイヤー1/READY PLAYER ONE』(2018年、ィーヴン・スピルバーグ 監督、アーネスト・クライン原作、ザック・ペン脚本)でした。


日本でも本離れが進んでいるようです。文化庁によれば、年齢層では60代の本好きの読者は月に3冊以上読むが、一冊も読まない本の嫌いな10代は2冊以下の読書量のようです。ディスプレーに一日座りコントローラーの操作レバーを指で動かすことに夢中になる、本など無縁な若者は、月に一冊も読まないだろうーナ。視力の落ちた私なども、小さな活字に集中できなくて、ゲームでは遊ばないが映画ばかり見ています…。私なども「ライト読者層」の一人だろう。コンピュータエンターテインメント協会(CESA)によれば、「家庭用ゲーム」「パソコン用ゲーム」「スマートフォン/タブレット用ゲーム」etcなどに熱中するゲームプレイヤーは4,336万人もいるそうです。私なども任天堂のファミコンが市場に現れた幼少の頃は、スーパーマリオに夢中になって、ゲームソフトをプレーしたくってウズウズシテ、真っ先にパソコンを買った世代ですからーネ。ゲーム機やソフトの歴史を調べると却って懐かしいぐらいです。今更、ニンテンドウDSで遊ぶ世代ではないですが…。それを考えると、70歳を超えたスティーヴン・スピルバーグ監督がゴーグルを覗きながら3次元の仮想現実の世界を映画化したと言うのは、驚きでした…。インタヴューでも、…プレイステーションで「マリオ」などをやりました。最初にやったときはゴーグルを外したくありませんでした(笑)。ゴーグルを外したときの「何だ地球じゃないか」というがっかりする感じが嫌でしたね…、と答えています。

私なども3Dのバーチャルリアリティーが工業系の展示会に参考出品として現れた時に、このゴーグルを顔に掛けて不思議な世界を体験して驚きました。それが、実用化されたのは、ゲームではなくてまず、松下が台所のレイアウにこのツールを使い、サンゲツが内装のカーテンなどの部屋の装飾に、ショールームの代わりに仮想現実の価値を利用しました。

今月見た『レディ・プレイヤー1/READY PLAYER ONE』も、先月観賞してこの映画ブログでも紹介した政治&社会派映画で『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』もスティーヴン・スピルバーグ監督の作品でした。娯楽映画から社会派映画までスピルバーグ監督の映画は幅広いデスネ…。才能以上の、天才的な知的好奇心です。まあ、旺盛な想像力なければ「 ジョーズ」「ET」「インディ・ジョーンズ」シリーズ「ジュラシック・パーク」シリーズは製作できないだろうーネ。それぞれの映画に作品のテーマを探るのは、映画の楽しみをは半減するのだが、まあ映画ブログのコメントだから、この映画の「テーマは何なのかな…」「監督の制作の狙いは…」「アドベンチャーゲームの映画に何を言わせようとしてるのか…」などを推測してしまいます。ワッツが「イースターエッグ」を手にした最後のシーンで、「オアシス」の創始者・ハリデーが、美味しい食事は現実が一番おいしいね…と、笑いながら言います。夢は仮想現実の世界の中では、所詮、意識の中の手に掴めない幻であり、それは貨幣によって操作され操られた現実に支配されている…のだ、悲惨な現実から逃げて現実の代償として仮想現実のユートピアに逃げてはいけない…という主張なのだろうかな…、と私は考えました。ワッツは獲得した財産を、3つの鍵を見つけるために最後まで一緒に戦い協力したゲームのレース仲間とみんなで分けた…。最後の最後はハッピーエンドでした。それにしてもアメリカの80年代は、そんなに魅力的だったのかな…???

あるインタヴューの中でこう話しています。…この映画はあくまでフィクションです。ディストピアに向かっているとは思いません。ただ、今はとても好奇心が強く、シニシズム(冷笑的)な時代だと思います。80年代と比べると、人が人を信用しなくなっています。そして今のアメリカは思想的にも半分に分かれ、信頼や信用がなくなってきています。この映画を作りたかった大きな理由の一つは、そうしたシニシズムから逃げたかったから。皆さんを、空想と希望のある世界にいざないたかったのです…と。(https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1147818より引用)




是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


5月中旬特選映画【12】★映画のMIKATA「蚤とり侍」★映画をMITAKA

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さて映画の前に一つだけ、いつも行っている横浜・都筑区のセンター北のイオンシネマについて苦言を呈しておきます。横浜に住んでいる映画ファンはよくご存じかも知れませんが、1000円で映画鑑賞ができるというので、私は改めてイオンカードを作る手続きをしました。「ITの時代」なので紙での申請はもう時代遅れなのかもしれませんが、申請は全てスマホ・パソコンしか手段がありませんでした。中高年には残酷な限定ですね。私は、劇場のクレジットカウンターにお願いして、係員に懇切丁寧に登録手続を代行してもらいました。でもーネ…、いざカードが手元に届き、それを窓口に提示すると、さらにネットで映画の登録手続きをしないと使えなーい…とのことを初めて知りました。いつも使い慣れている自宅のパソコンで利用登録を始めましたが、大変分かり難くて「GiveUP」しました。30分かけて有料のコールセンターで、直に声で指示され乍ら完了しましたが…。でもまだ何か不十分らしくって未だカードが使えず1000円で見れません…。果たして何時1000円で私は映画が見られるのかナ、ナントなんと複雑怪奇なカード作成なのかナ、もっと簡素化できないのかナー…と、呆れました。公的申請もパソコンで・・・という手続きが増えてきました。ペーパレスもいいけれども、高齢化社会の現状を考えてほしいよな。環境問題に配慮した商いの姿勢もイイけれども、私は一方的でこんな過剰にして煩雑な顧客サービスのシネマ劇場にはもう行きたくないな!!!



5月中旬の特選映画をアップロードします。今回『孤狼の血』『ラブ×ドック』『モリーズ・ゲーム』『とり侍』、邦画3本洋画1本、計4本を映画館で観賞しました。従って、5月は今の所通算で7本を観賞しまして、その中で選んだ特選映画1本は、『蚤とり侍』でした。作品の出来不出来という観点から言えば、玉石混交でした。『蚤とり侍』は、最高傑作の時代劇コメディーに仕上がっていました。私は今からでも「アカデミー賞最優秀作品賞」にノミネートしたい秀作です。『孤狼の血』も見応えがありました、私はもう一度東映のやくざ映画「仁義なき戦い」シリーズを観たくなりました。勿論、『モリーズ・ゲーム』は実話だけに、賭博社会への日本の舵取りの危険性を予見する面白い映画でした。日本人は何時からギャンブラー気質になったのかな…国会議員その人がそもそもプロのギャンブラー気質なのかな???。賭博場が、果たして「観光立国」の魅力的な表看板になるのか…ナ???いろいろ考えされられました。

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1本目は、昭和63年の広島の呉原を舞台に、アウトローの刑事役大上省吾、通称「ガミサン」に役所広司が…、その相棒で若い広島大学出身の「学士様」の刑事役に松坂桃李が演じる、広島の組織暴力団の、五十子会系「加古村組」と地元ヤクザの組織「尾谷組」の抗争に、警察組織が絡んだヤクザ映画『孤狼の血2017年、白石和彌監督、柚月裕子原作、池上純哉脚本)でした。


映画の冒頭シーンでは、丸々太った豚と糞の中を這い回る加古村組系の金融会社経理社員が養豚場で殴られ上に、仕舞には指を一本二本と切断される凄惨なリンチのシーンから始まった。いかにもやくざ映画らしいシーンの連続です。彼は後々離れ島で首と胴体を切断されて埋められていた…。私は監督がどのよなシーンからフィルムを回し、どのような場面で一本の映画の幕を降ろすのか…に監督の才能を計ります。山田洋次監督の家庭内のホンワカムードの家族ドラマとは一味違った過激なバイオレンスそのもの、リュック・ベッソン監督のスパイが命がけの肉体を衝突させ拳銃の打ち合いをするアクションサスペンスでもない、何か陰惨で憎悪と復讐と怨念と金で黒く塗りつぶされた、かつての「東映」邦画文化を彷彿とさせる独特の、懐かしくも本格的なヤクザ映画でした。


広島県呉市のヤクザの抗争を描いた映画と言えば、言わずと知れた、菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫、田中邦衛などの名優たちが熱演した深作欣二監督の「仁義なき戦い」シリーズ(1973年、笠原和夫脚本、飯干晃一原作)が有名です。が、白石和彌監督の、『孤狼の血』は、ヤクザ同士の広島抗争の二番煎じではないのか…ナと思いましたが、警察とヤクザの抗争と言っても良い、むしろアウトローのマルボウ刑事の対ヤクザ抗争で、昔懐かしい東映のやくざ映画を久々に観たようでした…、まあ、北野武監督のやくざ映画『アウトレイジ』シリーズよりも、やくざ映画らしい凄まじい迫力でした。

一度、イタリアの暴力団「マフィア」を執拗に撮り続けたコッポラ監督の『ゴッドファーザーシリーズをまとめて見たいですーネ。暴力と肉体と拳銃でヤクザ映画は、人間の何を表現したいのか…を分析したいです。


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モーグルのオリンピック代表の選考大会で競技中に致命的な骨折からモリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)は、アスリートとして再起不能となり選手を引退した。ありとあらゆるアルバイトで働き、ロサンデルスでデーンの経営する不動産投資会社の雑用係に勤務、彼から違法ポーカーゲームのアシスタントを頼まれる。巨額の金を賭けるハリウッドスターや企業経営者や億万長者の投資家などを相手に見事な采配ぶりを見せる。チップだけでも今までの給与以上の資金を貯める。2本目は、やがてデーンの裏切りによって解雇され、ニューヨークでホテルのスイートルームを借りて自分の賭博ルームを構えて成功を収める。が、10年後に突然マネーロンダリングなどマフィアとの違法ギャンブルによりFBIに告発され逮捕される『モリーズ・ゲーム』(2017年、アーロン・ソーキン監督)。今まで蓄財した全財産500万㌦を没収され、 あわや刑務所に投獄されそうになる。裁判には25万㌦の高額の弁護料を要求する弁護士(イドリス・エルバ)に依頼する。彼は、モーリが持っている賭博の金銭の流れのデータを交換に司法取引を勧めるが、彼女は裁判でそれを拒絶して、有罪を告白する。結末の判決は、実刑を逃れ、20万㌦の罰金と200日の奉仕活動と保護観察処分であった…。

 

裁判長は、ウォールストリートには、彼女以上の法律を犯している投資家がいます。敢えて彼女を拘束する重大な罪を犯しているとは思わない…という判決文でした。ポーカー賭博に対して、カジノという巨大な賭博場を抱え、尚且つ、ウォール街という巨額の現金が一瞬の内に浮き沈む株式投資のアメリカらしい、アメリカならではの判決セリフだな…と思いました。


主役のモリーは、『女神の見えざる手』で政治という男性優位の社会で、ロビーストという政治の駆け引きと騙し合いと、貪欲な権力と金が渦巻くど真ん中で、見事な采配と計略を振るって狡猾な政治家たちを出し抜いたタフな女性を演じてたジェシカ・チャステイン…でした。原作は実在の人物であるモリー・ブルームが2014年に出版した自叙伝『from Hollywood's Elite to Wall Street's Billionaire Boys Club, My High-Stakes Adventure in the World of Underground Poker』を元に、第90回アカデミー賞でこの作品で脚色賞にノミネートされたアーロン・ソーキンが監督&脚本を担当しています。彼にとっては初監督、でも映画界では、言わずと知れた数々の名画名作の脚本・・・『ア・フュー・グッドメン』1992年『冷たい月を抱く女/ Malice』 1993年『アメリカン・プレジデント』1995年『ソーシャル・ネットワーク』 2010年『マネーボール』2011年『スティーブ・ジョブズ』 2015年etcなどを書いたベテランの脚本家です。


日本は今、カジノを解禁しようとしています。この映画では富裕層を狙った賭博場を個人がオープンした。がでも、ナンカ日本のカジノの近未来が見る気がしました。今まで隠れて開帳する暴力団の裏賭博が、「いいではないの、公営ギャンブルが堂々とあるんだから、明るい私設賭博も認めろよ…」と言い訳して、あちこちに開かれそうではないのかナ…。自民党が満場一致で決議した「IR推進法」では、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」、つまり、カジノ賭博場を核にホテル会議場、劇場テーマパーク、ショピング施設など整備して海外からの賭博と観光客を集めようとしている「統合型リゾート」センターの構想なのですが、街のパチンコ屋に入りびたりになっている時間を持て余したギャンブル狂の中高年や年金生活者が蝟集しそうだナ…。しかも、ロシアマフィアではなくて、アンタダーグラウンドな暴力団が大物政治家への政治献金を餌に潜り込みそうな気がします。中華街の裏通りで、ルーレットやポーカーのギャンブル場が賑やかにオープンしそうでは…ワハハハ。私には、自民党議員は今から政治献金がいくら入るか皮算用し、街のギャンブル依存症が集る姿しか想像できません…。


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放送作家の鈴木おさむが映画監督での初デビュー作、吉田羊がパティシエの剛田飛鳥役として、これも初の映画主演らしい…。3本目は、詰まる所深夜23時にTV放送されるチョッピリエッチなラブコメディー映画…私には1800円で見る価値のない『ラブ×ドック』(2017年、鈴木おさむ監督&脚本)でした。飛鳥が恋する相手は、独立前に務めていた大手パティシエオーナー・淡井淳治(吉田鋼太郎)とのドロドロの不倫恋愛、高校・大学と長い間友人関係だった細谷千草役(大久保佳代子)が密かに思いを寄せるトレーニングジムトレーナーの野村俊介(玉木)との片思い相手、けれど千草の恋愛を横からかすめ取った略奪恋愛だった・・・、巣鴨に独立して店を構えるオーナーになってからは、店で働く一回り以上も若い年下のパティシエ・花田聖矢(野村周平)から恋を告白されるなど、35歳を過ぎてからの複雑なハートブレイクと悲嘆な恋愛を思い返すストーリでした。

35~41歳の間の盛んな失恋経験の後、剛田飛鳥は、遺伝子検査で恋にまつわることがすべてわかるというインチキ恋愛診療所を訪れる。この診察所の偽医師冬木玲子(広末涼子)の登場とエピソードの挿入がいかにも「ラブドック」を120分の映画らしい長尺にしています。飛鳥の3人の恋愛相手とのキスと抱擁は、大人のラブコメディーらしい笑いとエッチなストーリで、TVドラマならば本当は、深夜にクスーと笑い、TVを消してグッスリ眠る60分のドラマなのだが…。でも敢えて言えば、映画にしなくても抱腹絶倒の中高年のエッチをクスグル60分のTVドラマで十分でないのかな…と思いました。私も時間潰しに見た映画なのですが、大人の娯楽映画の価値しかないよーナ!!!


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剣の使い手で剛のサムライ、越後長岡藩藩士小林寛之進(阿部寛)は、下手くそな戯言の和歌を詠みあげる藩主・牧野備前守忠精(重松豊)の蚤の句を、一茶の盗作と口を滑らしたせいで、藩主の逆鱗に触れて「猫の蚤とりで一生無様に生きろ」と、身分を落とされて左遷される…。表向きは猫の蚤とりを商売にしつつ、実態は床で女性の相手をする売春の裏稼業「のみとり」を命じられる。市井の長屋に住み巷を徘徊しつつ「蚤とりでございー」と女の手招きを待っていた。4本目は、時代劇コメデー映画『蚤とり侍』(2018年、鶴橋康夫監督&脚本)でした。原作は小松重男の時代小説「蚤とり侍」の、私が昨年のアカデミー賞最優秀作品賞に挙げた『後妻業の女』を制作した名監督・鶴橋康夫です。ストーリは結末でもう少し錯綜して、10代将軍家治の老中田沼意次の政治から、次の11代将軍に徳川家斉が就任し、老中も松平定信へ政権交代する江戸時代の混乱と激動の歴史が絡まっていました。


長屋の浪人・佐伯雄之助役に斉藤工、最初の「のみとり」稼業の床のお客・おみね役に寺島しのぶ、田沼意次(桂分枝)の妾で、亡き妻にそっくりな女でした。でも、女の喜ばせ方が「下手くそ!」と罵られ、元々は貧乏侍で商家の入り婿になった伊達男の清兵衛・豊川悦司から愛撫の仕方を教わり腕を磨いていく。どの出演俳優も芸達者が顔をそろえて、最高傑作の時代劇コメディーに仕上がっていました。私は今からでも「アカデミー賞最優秀作品賞」にノミネートしたいです。


時代劇コメディーには今まで私が観賞した作品では、『超高速!参勤交代』(2014年、本木克英監督、土橋章宏脚本)、『駆込み女と駆出し男』(2015年、原田眞人 監督&脚本、井上ひさし『東慶寺花だより』原作)、『殿、利息でござる!』(2016年、監督中村義洋監督、鈴木謙一脚本、磯田道史原作)等々が過去にありましたが、今まで以上にコメディーとしても名作でした。

 

政治家学者の丸山眞男が、武士の腰の刀が切るためのものではなくて、士農工商の武士階級の象徴であると喝破しましたが、歴史学者の磯田道史は、武士は刀を差して武ばっていただけではない…と、算盤をはじく侍など、武士たちの日常の裏側を滑稽に描き始めました。この作品もそんな刀を差した「侍」の裏のドラマを喜劇にしました。でもーさ、この作品は司馬遼太郎の書く歴史小説とは違って、江戸時代を舞台に時代劇コメディーだから完全にフィクションなのでしょうか…。が本当に蚤とりや稼業というのはあったのでしょうか?私はそちらの方の疑問が湧いてきました、原作者の小松さんは何と言ってるのでしょうーネ。

 


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6月上旬特選映画【13】★映画のMIKATA「モリのいる場所」★映画をMITAKA

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6月上旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、選んだ特選映画1本は、『モリのいる場所』でした。万引きを「SHOPLIFTERS」を初めて知りました是枝裕和監督の『万引き家族』も犯罪映画として面白かったですが、ナンカもう一度見たいと思わなかったのです。私は、あれそれあの場面をもう一度見たいとボンヤリと浮かぶシーンのある映画が好きです。『モリのいる場所』には、家の庭から出て近所をうろつくだけで急いでもう一度家に帰ってくる山崎努演じる熊谷守一の滑稽な行動はクスクスと笑えました。主婦には『妻よ薔薇のように/家族はつらいよ III』は共感を呼んだと思います。

 

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1本目は、老画家・熊谷守一(山崎努)を主人公に、その妻・秀子(樹木希林)を囲む家の中、ほとんど30年間に縁側の一間と、季節の草木と蟻やトカゲなどの生きものが動く庭の生活を続けた夫婦のエピソードを描いたユーモラスなスローライフ映画『モリのいる場所』(2017年、沖田修一監督&脚本)でした。


芸術家の生きざま死にざまというのは、情念を創作のために燃え尽きた生涯、愛と女性と家族に揺れ動いた愛好憎悪の感情生活、時代と国家と体制に苛まれる矛盾と苦悩のドラマチックな一生がメインテーマとなりますが、いやそれらがないと芸術家の自伝的映画の価値がないかのように錯覚します。例えば、あのロシアの文豪トルストイが悪妻の代名詞のように言われる妻ソフィアから82歳の時に逃げだした家出を描いた自伝的映画『終着駅 トルストイ最後の旅』(2009年、マイケル・ホフマン監督)は、むしろ偉大な文豪ゆえに、何か人生の大問題・・・、却って滑稽な夫婦げんかにも思えました。例えば、バイオリニスト・デビッド・ギャレットがストラディバリウスの演奏と俳優を演じた19世紀イタリアの天才バイオリニスト・パガニーニの自伝的映画『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』(2014年、バーナード・ローズ監督)は、超絶技巧のバイオリン演奏と、女性との放蕩磊落な私生活を送る音楽家の映画は、デビッド・ギャレットの演奏だけでも魅了されました。私などこの映画の後に彼のCDを2枚借りたほどでした。天真爛漫で卑猥で下品な冗談さえいう天才作曲家ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトの波乱万丈な自伝的音楽映画『アマデウス』(1984年、ミロス・フォアマン監督、ピーター・シェーファー 脚本)は、宮廷音楽家だったサリエリとモーツァルトとの角逐が、よりモーツァルトの死の謎が深まった作品でした。


沖田修一監督の描いた『モリのいる場所』の老画家・熊谷守一には、そんな波乱万丈な生涯とシーンはなく、どちらか言うと淡々とした人間観察と情景が真骨頂のようです。実は私はこれまでの作品鑑賞歴を閲すると監督の作品のファンのようです。『モヒカン故郷に帰る』2016年、『横道世之介』2013年、『キツツキと雨』2012年、『南極料理人』2009年・・・等々を見ていました。 


私が以前観賞した邦画で直ぐに思い浮べるのは、家と重い障害を持つ子供さえ捨てて、放浪の旅に流れ、新劇女優と同棲する作家・壇一雄の自伝的小説を深作欣二監督が映画化した『火宅の人』(1986年、深作欣二監督&脚本)を観賞した後に、私は檀一雄の小説のファンになりました。また、小さな畳の部屋で夫婦二人が顔を近づけ、夫・トシの浮気を正面から責める精神の危機にいる妻・ミホの精神錯乱を描いた島尾敏雄の自伝的小説を映画化した『死の棘』(1990年、小栗康平監督)は、男女という夫婦の不思議な絆のドラマを皮膚で感じました。私はこの作家の小説にもまたこの映画をきっかけに虜になりました…。ここまで破天荒な私生活と自分の心情を曝け出す私小説作家が、日本にはいなくなったナ…。日本の文壇では私小説も作家も少なくなり、とうとう「絶滅危惧種」になったのだろうか、いやいや、映画にもなった車谷長吉の私小説が原作になっている『赤目四十八瀧心中未遂』(2003年、荒戸源次郎監督)があった…ナ。


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チョット迂遠になりますけれども、山田洋次 監督の古い作品『故郷』(1972年)から映画コメントを始めます。瀬戸内海の小島・倉橋島で小さな古い砂利運搬船を川に浮かべ、採石石を運びにて細やかな暮しを立てていた石崎家は、古くなったエンジン故障などの多額に及ぶ船体の修理を諦めて、親戚を頼って鉄工所で働くために故郷を捨て、広島・尾道市の都会生活へ移往する。精一役の井川比佐志、民子役の倍賞千恵子の夫婦の揺れ動く心と、その不安な心と迷いに対して重しのように「長男のお前がしっかりしろ―ヨ」と息子をドヤシて励ます一家の家父長的存在の石崎仙造老人役の笠智衆の演技は、つくづく味がありましたーネ。日本の家族制度の崩壊をテーマとして映画化した山田洋次 監督ですが、今まで土地に縛られた古い家族制度の地縁と血縁に縛られた前近代的な「家」が、「工業化」の波と経済制度の変遷によって故里から移住を余儀なくされ、最早封建的「家」制度も雲散霧消した1960年代の昭和期経済成長の中、家が崩壊しても依然、家父長的存在の石崎仙造老人が、危機の中で家族の絆を危うく支える「家長」の意味が濃厚に映っていました。

小津安二郎監督の名作『東京物語』(1953年、笠智衆と原節子が主演)をモチーフに山田洋次監督がリメイク制作した『東京家族』(2013年)は、1973年の『故里』の延長でもあります。尾道に暮らす周吉と妻・とみが子供たちが住む東京に出掛けるが、ところが東京に住む子供たちから歓待をされずに尾道に帰っていったが、間もなく…帰郷して数日もしないうちに、とみが危篤状態であるとの電報が子供たちの元に届き、子供たちが尾道の実家に到着した翌日の未明に、とみは死去した。。映画の舞台は広島と東京に住む昭和の「家族」と家族の絆を描いてました。


 

さてさて、ホームドラマ「家族はつらいよ」シリーズでは、三世代が一緒に暮らす平田家がシリーズのベースになっています。一家の家長で既に隠居している平田周造役の橋爪功、その妻で小説を書く市民講座にも参加する活発な女性・富子役の吉行和子、長男・幸之助(西村まさ彦)と嫁の史枝(夏川結衣)、彼らの子供である男の子二人総勢6人が同居する大家族の周辺にさまざまな騒動が惹起する、山田監督独特のペーソスを含んだホームドラマ「家族はつらいよ」シリーズの第三弾『妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III』(2018年、山田洋次 監督)です。第一作の『家族はつらいよ』(2016年公開)、第二作の『家族はつらいよ2』(2017年公開)に続く今作も、山田洋次監督の原作&脚本で、いつもの出演メンバーも金太郎飴のように橋爪功 吉行和子 西村まさ彦 夏川結衣 、蒼井優、妻夫木聡が顔をそろえてます。昨今希になった祖父夫婦、長男夫婦と孫たち3世代が同居する大家族をコメディー風に問うホームドラマ『妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III』もまた、山田洋次ならでは作品でした。寧ろ、「核家族化」、「無縁社会」ゆえに膨張させている近代の家族の難題を、地縁血縁の中で解決する昔ながらの大家族を理想としているのかな…と思いたくもなります。


ストーリは、主婦の史枝は夫に内緒で貯めていた40万円余りのへそくりが空き巣泥棒に盗まれ、怪我も何事もなく、お金が盗まれただけで済んだ盗難事件に安堵していたが、夫の幸之助は妻の「へそくり」に怒る…。史枝はそれを理不尽に感じ実家に帰ってしまう。彼女がいなくなり、その上、富子も腰痛がぶり返しベットで安静状態。仕方なく周造が掃除洗濯子供の弁当や朝食の支度まで四苦八苦でやることになる…。今作の近代的家族の視点は、改めて妻の役割と家族の問題、家事に追われる妻の家事労働の価値、自分の夢を捨てて小さな家庭内の雑用に追われる「妻」の生き甲斐と存在価値を問題にしたテーマと言って良いだろうか。

私は昨今、子供の虐待が問題になって、幼い子供たちが犠牲になっている事件を見ると、地域社会から孤絶した核家族化した小さな家庭独特の新しい問題が今、現代家族の危機を迎えている気がします…がね!!!山田監督よ、もしもシリーズ第四弾があるとするならば「子供の虐待」を通して、子供への愛情をテーマを選んでください。丁度、今作でピアノ調律士の平田家三男の庄田の妻で、看護婦の憲子が妊娠をして、二人に赤ん坊が誕生しそうではないですーか。


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3本目は、 金属加工の現場作業員として働き始めた益田(生田斗真)と、同時入社の鈴木(瑛太)の二人が主役。2人のバックボーンは、中学生の頃に体験した学友への苛めから友達を救えずに友だちの苛めから逃げていた、自分の良心に「卑怯」な過去を悔み贖罪の罪のようにトラウマになっていたジャーナリスト志望の夢を持っていた益田純一と、もう一人の主人公・鈴木は、原作小説『友罪』の著者・薬丸岳が1997年に起きた神戸市須磨で起きた連続児童殺傷事件の未成年加害者少年À「酒鬼薔薇聖斗」から着想をえていたという犯罪映画『友罪』(2017年、瀬々敬久監督&脚本、薬丸岳原作)でした。

映画を見ていてのまず浮かんだ印象は、メインテーマの周辺に無関係な幾つかの事件とストーリが複雑に絡まっていて、チョット映画の主旋律、つまり犯罪者の«罪»と、人の命を奪ったという殺人への≪贖罪≫…が、それをより丹念に分かりやすく強調する為に、同列の猟奇殺人事件を挿入する余りに尚更に余計に分かり難くなっているナ…と感じました。薬丸岳の原作小説『友罪』を読んでいないので、何とも言えないが、監督が脚本も兼ねているので、ストーリ映像に伏線が多いことによって複雑で難解にになっているーナと感じました。


例えば、過去に犯した息子の交通事故によって子供を3人事故死させた事件を機に、夫婦は離婚、一家を離散させて、ひたすら息子の罪を贖罪し、タクシー運転手で稼いだわずかな賃金を遺族に送る山内修司役佐藤浩市のストーリ映像の挿入などは、贖罪への伏線とは分かるが、映画そのものを却って複雑で分かり難くしていているのではないですかーネ。息子の結婚と妊娠と神前結婚のシーンなども無駄なシーンではないかと感じました。例えば、通販のオペレータとして働く藤沢美代子役を演じる夏帆は、AVへの出演を強要された過去を持つ女性役で出演しています。別れたくて逃げまわる元恋人に執拗につきまとわれ、鈴木に助けられたことで、彼に対して好意を抱いていくストーリ映像でした。何のための伏線かな…と胡乱に感じた部分でした。恐らく鈴木が女性に関心を持たないー、性に無関心であるーという、鈴木が幼児から培われた精神の偏重と性癖のベクトルを表現するための挿入だと思いますが…ね、只ね、ナンカ猟奇的な犯罪に関して一般論としてどうも「性」とか「発達障害」で結論を出してしまいがちですが、もっと別の概念装置はないものなのだろうかと思いました。


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老婆初枝(樹木希林)のたった7,8万円の年金を頼りに生活する柴田治(リリー・フランキー)と息子役の祥太(城桧吏)、妻のような役割の信代(安藤サクラ)と妹役の亜紀(松岡茉優)、近所のたちマンションのベランダで薄着で寒さに震える、ネグレクトされていた5歳の女の子じゅり(佐々木みゆ)など、6人の擬似家族柴田家が一緒に生活する。親子は時々スーパーで食料品を盗み、子供たちは駄菓子屋でお菓子を万引きする不思議な家族でした。日雇い仕事の建築現場で働く父・柴田治、クリーニング工場で働く信代、風俗店で男たちに裸を見せて稼いでいた亜紀たちは、わずかな収入で一家を支えていた。4本目は、死んだ親の死亡を隠して年金を不正受給していた家族の事件に着想を得たという是枝裕和監督の『万引き家族/SHOPLIFTERS』(2018年、是枝裕和監督)は、既に日本公開前に今村昌平監督作品「うなぎ」(1997年)以来、日本人監督として21年ぶりに受賞した第71回カンヌ国際映画祭「パルム・ドール賞」の舞台がTVニュースで大々的に宣伝されていたので、どんな作品なのか...、私はかなり期待して映画館へ見に行きました。


擬似一家の子供たちは、パチンコ屋の駐車場で蒸し暑い車内に置き去りにされていた子供を助けて連れ帰った祥太、激しい夫婦喧嘩の堪えないマンションの外のベランダで一人育児放棄されていたじゅりたちの存在もまた、日本国内で起こった子供の受難と犠牲になった過去の事件にヒントを得たものでした。いやてや、私はそれがあまりに安易な映画製作の手法だというのではなくて、寧ろ、私には山田洋次監督の『妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III』シリーズの根幹のテーマ…近代の「家」制度、現代の家族形態…男女の二人の夫婦と血縁で結ばれた子供が構成する家族制度、「核家族」、「無縁社会」を超える続編のように思えてなりません。


でもしかしながら・・・、6人の擬似柴田家は最後に解体されます。誘拐された、或は虐待の末に殺されたーと騒がれた「じゅり」は元の夫婦に返され、祥太は養護施設に収容され、信代は誘拐や死体遺棄によって懲役5年の刑で投獄され、布団の中で老死した一家の長老初枝を埋めた死体は警察によって掘り返された。現代の憲法と法律体系の中で、擬似形態の「家族」はバラバラに解体された。私としては、未来に開かれた「家族」形態は、残念ながら解体され先に、希望のかけらもなく閉じられてしまった…とやや失望しました。


是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)

6月特選映画特別編【14】★映画のMIKATA「モーリス・ゲーム」★映画をMITAKA

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アメンバー限定公開記事です。

6月下旬特選映画【14】★映画のMIKATA「ワンダー 君は太陽」★映画をMITAKA

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ロシアワールドカップのサッカーの試合で西野監督率いる対日本戦の試合の行方を見るファンが、寝不足を覚悟で深夜まで見る人が多いのではないか…ナ。コロンビア戦、セネガル戦、そして28日のポーランド戦で日本代表が決勝戦に勝ち進めるかどうかで、日本中が熱くなっていました。ポーランドに後半1点の先制点を取られながらも最後の10分間でゆっくりパスを続け、イエローカードに気を付け乍らフェアプレーの差でポーランドに決勝トーナメントに勝ち抜きました。さて次は7月2日27時からのベルギー戦です。でもーネ…私は、今回のポーランド戦で疑問が2つありました。

 

このポーランド戦にまつわりポーランドの面積だとか観光名所だとか有名な文人だとかサッカーの強敵選手だとか、さまざまにTVのワイドショーで紹介していました。しかし、どのポーランド紹介にもポーランドの「アウシュヴィッツ」に触れて紹介していた番組がありませんでした。「何と無知で」「呆れた無視なのか」と思いました…!!!ナチス・ドイツが第二次世界大戦中にユダヤ人への人種差別によりユダヤ人種を絶滅しようとした「ホロコースト」(ユダヤ人殲滅)政策で、ドイツ占領地のポーランド南部オシフィエンチム市ポーランドにユダヤ人を強制収容する施設を作り、そこで150万人、全体で600万人のユダヤ人が無惨に殺害されたといわれています。ポーランドには、サッカーよりもキューリ夫人よりも、ポランスキーやアンジェイ・ワイダ監督よりも何よりも「負の遺産」・アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所があるのです…。日本人も決して忘れてはいけない歴史ですーネ。

 



昨今、スポーツの中継が熱く盛んですーネ。サッカーのロシアワールドカップの前は、確か2018年2月に韓国開催の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックでワイドショーは毎日スペシャル番組を組んでいました。スピートスケートとかフィギュア―の熱戦があり、日本中が羽結弦に声援しました。3月には大相撲春場所は千秋楽で鶴竜が優勝した熱戦は手に汗握りました。ナンカ、日本中がその都度スポーツの観戦に夢中になり、ニュース報道もワイドショーも「政治と生活」を忘れてしまったような気がしました。渋谷の交差点で踊り狂い奇声を上げる若者たち、暑い体を持て余して大阪道頓堀の川に飛び込む若者たち・・・、それを見ると日本は狂っているとしか思えません。もうじき消費税が10パーセントになりますよ、働いても残業手当が出ない会社が大手を振って増えますよ、医療費も福祉手当も失業給付も、あらゆる公共サービスが削減されてますよ。新聞を読まない人ばかりでなくて、私はスポーツに狂っている人も自民党支持者ではないかと思います…ネ。wahahawahahaワハハ・・・。

 

6月下旬の特選映画をアップロードします。今回下旬に4本を映画館で観賞しました。上旬で鑑賞した『モリのいる場所』『妻よ薔薇のように/家族はつらいよ III』『友罪』『万引き家族』など、今月6月は通算で8本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、『ワンダー 君は太陽』でした。三菱自工製(三菱ふそう)のトラック事故とリコール隠しを描いた空飛ぶタイヤ』は、執拗に真実を追求する運送会社社長・赤松徳郎役の長瀬智也の演技は迫力がありました。でも流石に財閥系の会社ですね、お金も組織も政治力もあるので、絶対倒産しませんでした。依然三菱自動車は今も健在です。『ゆずりは』も良かったです。形態模写の芸人・コロッケがアンナ涙を流しながらの演技ができるとは思いませんでした。私は死にまつわる映画が好きなので尚更に良かったです。

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«生まれつき顔立ちが人と違う»と言っても何のことを言っているのか理解できないでしょうーネ。昨今、女性でも男性でも美容整形外科が繁盛しているようで、瞼を二重にしたり豊胸手術を受けたり、芸能人でなくても見た目を気にしているようですーネ。私は毎朝7時に、堀潤がMCを務める、東京MXテレビの報道番組「モーニングCROSS」を見ていて、その番組の中のコメンテーターが紹介してくれた一冊の本『顔ニモマケズ』(水野敬也著、2017年文響社刊行)と一本の映画を紹介していたのがきっかけで、この映画を見ました。民放他社のニュース番組は、吉本のお笑い芸人だとかテレビドラマに出演しているタレントだとかナンカ怪しいIT系の経営者だとか官僚出身の選挙活動の前宣伝をするような政治家だったり・・・いつも同じ顔で同じニュースばかり話題にするばかりで、一辺倒ですが、この人誰?「おやー」と思うコメンテーター一出演するので、面白い意見が聞け点がイイですーネ。

 

この本の中では«生まれつき顔立ちが人と違う»人たち、つまり、顔に関して醜形恐怖を与え、それによって偏見を持たれ差別されていることを、「見た目」問題と言っています。私はこの「醜形恐怖」という言葉を医師で作家の町澤静夫さんの本『醜形恐怖/人はなぜ「見た目」にこだわるのか』(1997年マガジンハウス刊行)で以前から知っていました。医師ゆえの豊富な臨床経験と実例があり、私はたいへん参考になりました。実を言うと私は過去に「口唇口蓋裂」俗にいう「ミツ口」(これは今、差別用語になってます)の人を身近に対面したことがあり、この時の嫌悪感に気付きまして、この本を手にしました。調べて見ると、この先天性遺伝子異常は1000人中1人~4人程度発症するようで、西部劇で有名なガンマンのドク・ホリデイも口蓋裂だったようです。


ただ、この本『顔ニモマケズ』で取材されている人たちは様々で、「リンパ管腫」「動静脈奇形」「口唇口蓋裂」「全身型円形脱毛症」「アルビノ」「単純性血管腫」「ロンバーク病」「トリーチャーコリンズ症候群」などなど、私は今まで聞いたこともない病名が付いていました。この本の中で«生まれつき顔立ちが人と違う»人たちが、先天的に与えられた外見への醜形恐怖と劣等感とどう向き合い折り合いをつけてきたか…の困難な運命との戦いかが語られていました。別の機会にこれらの本について紹介したいです。折があったら是非読んで見てください…!!! 


昨今、映画は猟奇殺人事件の映画化とか、裁判と検事の司法の矛盾と葛藤を描いた映画とか、アイドルの主演する若い男女の淡い青春恋愛ものとか・・・なんか映画のスタイルがワンパターンで、ストーリが日常に転がっている紋切り型でつまらない平板な現象を映像にしているに過ぎないな…と感じていましたが、この映画は、隠れた日常の裏にある人間存在の価値と脆さを模索するテーマと次元を映像化しているナ…と感じました。こんな作品を制作できるというのは、流石にハリウドの映画だな、決して日本の映画監督が対象化できない映像次元だーナと感じました。この映画に久しぶりに喜びの感動を覚えました…!!!


1本目の『ワンダー 君は太陽』(2017年、スティーヴン・チョボスキー 監督&脚本)という作品は、«生まれつき顔立ちが人とちがう»少年オギー(ジェイコブ・トレンブレイ)を主人公に、幼少より自宅の中でかなり高学歴で知識の深い母・イザベル(ジュリア・ロバーツ)を家庭教師にして勉強してきたが、10歳になり私立の小学校に通い始め、学級内で同級生から特異な顔立ちをじろじろ眺められたり貶されたり避けられたりしながら、成長するかなりヒューマンな作品でした。件の本『顔ニモマケズ』ではオギーと同じ生まれつき遺伝子異常による先天的な病気「トリーチャーコリンズ症候群」というという病名の方のインタビューもありました。




日本にもたくさんの私立学校があります。日本の右翼化を陰でけん引し、大物国会議員地方議員や財界人など政治的圧力を持った人たちが会員として加盟している「日本会議」もバックアップする私立の学園の中でも・・・、教育勅語を幼い幼稚園生に唱和させて、今国会で安倍総理の妻「安倍昭恵」夫人が名誉校長に就任していた森学園がもっとも有名だろうかーナ。その結果として、大阪府の国有地を安く払い下げした件でもっとも有名な私立学園「瑞穂の国記念小学院」は、国粋主義の教育を積極的に教育方針とする私立教育です。イヤイヤ、私が書きたいのはそんなことではないです。10歳の少年オーガスト・プルマン、愛称オギーが入学したヘンリー・ウォード・ビーチャーが19世紀にコネティカット州ハートフォードに創設した私立学校「ビーチャー」です。彼の姉・ハリエット・ビーチャー・ストウが著した『アンクル・トムの小屋』が有名ですが、彼も含めて牧師一家で、彼もまた牧師であり乍ら奴隷制度廃止や女性参政権など社会活動の運動家でもありました。この教師方針に感心しました。オギーの担任教師で教室の先生は子供たちに「正しいことと親切なこと、どちらを選ぶ・・・」と問いかける、すると生徒たちは「親切なこと」と一斉に答える…、この教育理念は面白いですーネ。オギーは初め「スター・ウォーズ」のファンで、将来宇宙飛行士になるんだ…と宇宙に憧れ、でも、遺伝子の先天性疾患で、生まれた時からすぐに27回の整形手術を受けたが、ソレデモその変形した歪んだ顔を隠す為に宇宙飛行士のヘルメットを脱ぎたがらなかった。映画の中にスターウォーズのキャラクター「チューバッカ(Chewbacca)」がオギーの隣に登場していました。しかし最後には、仲良しの友だちに囲まれて、オギーは卒業の時にクラスの友だちの心の中に太陽のように輝きを照らした・・・という理由で校長から「ビーチャー」賞を授与される。

 

日本にも私立学校も数々あります。私は「自由学園」だけは知ってますが、もっとたくさんある筈です。それこそ、ワイドショーで取り上げてほしいテーマですーネ。戦前戦中の軍国主義につながる一世万系の天皇制の「王制復古」しか「日本的なるもの」の復元復古しかないのかな…封建的家族主義と家父長主義や、軍国主義が利用した教育勅語と天皇制度にヒューマニズムはありましたか???毀誉褒貶はあるのだが、やはりアメリカのキリスト教系の影響なのか、ヒューマニズムは文化の基盤にある宗教の長い歴史の成果なのかーな!?


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トラックの脱輪事故で主婦が亡くなり、整備不良を疑われた運送会社社長・赤松徳郎(長瀬智也)は、神奈川県警の刑事から執拗に追及され捜査を受ける。得意先からは仕事を断られ、メインバンクであるホープ銀行からは経営の運転資金の融資を断られ、赤松運送は倒産寸前に追い込まれた。赤松はトラックの欠陥ではないかと疑い、製造メーカのホープ自動車の販売部カスタマー戦略課長
・沢田 悠太に再調査を要求、事故原因に関する疑念を問い合わせるが、いつも居留守を使い問い合わせになしの礫であった。

2本目の『空飛ぶタイヤ』(2018年、本木克英監督、林民夫脚本、主題歌/ サザンオールスターズ「闘う戦士たちへ愛を込めて」)は、2002年1月10日に神奈川県横浜市瀬谷区下瀬谷2丁目交差点付近の中原街道を走行中の綾瀬市内の運送会社が所有する三菱自工製(三菱ふそう)の大型トレーラートラックのトラクター(ザ・グレート、1993年製)の左前輪が外れて、道路脇をベビーカーを押しながら歩道を歩いていた大和市在住の母子3人を直撃、母親が死亡した実際の事故を元に、トラックに装着されているハブの欠陥を整備不良事故と糊塗する三菱ふそうのリコール隠しをネタにベストセラー作家・池井戸潤の書いた小説『空飛ぶタイヤ』(実業之日本社刊行)が映画化したものでした。

トラックの脱輪事故で主婦が亡くなり、整備不良を疑われた運送会社の赤松徳郎(長瀬智也)は、神奈川県警の刑事から執拗に追及され捜査を受ける。トラック事故により得意先からは運送の仕事を断られ、メインバンクであるホープ銀行からは経営の資金繰りの融資を断られ、赤松運送は倒産寸前に追い込まれた。その上事故の被害者家族から損害賠償請求をされる…。赤松はトラックの欠陥ではないかと疑い、製造メーカのホープ自動車の販売部カスタマー戦略課長・沢田 悠太に再調査を要求、事故原因に関する疑念を問い合わせるが、居留守を使われてなしの礫であった。


三菱ふそうは、1992年に東京都内の左前輪脱落事故以来、57件の事故を起こし、うち51件が車輪脱落事故であったが、それを巧く整備不良として誤魔化していた。ここに三井財閥からの政治的圧力はなかったのかな…?映画ではそこははっきりしませんでした。大手財閥の三菱系列の自動車会社と銀行が絡んだ「リコール隠し」を告発した現実の事故死だけあって、大変迫力がありました。私は社会批判の映画は大好きです。2009年に60分5話で、仲村トオルが赤松運送社長役でWOWOW(麻生学&鈴木浩介監督、前川洋脚本)でテレビドラマ化されただけあって、そのリメイク版なので如何かな…と思っていました。が、主演の長瀬智也の体当たりの熱演がよかったです、映画は映画の良さがありましたーネ。

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3本目は、高校の時にピアノの調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)の調律の仕事で、板鳥の調律したピアノの音色に出会った外村直樹(山崎賢人)は、それがきっかけで調律師を目指す為に専門学校終了後に板鳥のいる楽器店で調律師として働き始める『羊と鋼の森』(2017年、橋本光二郎監督、金子ありさ脚本)でした。

 
原作の宮下奈都の『羊と鋼の森』は2016年の本屋大賞の大賞作品に選ばれました、人気のある小説です。脚本家がいいのか、流石にストーリがしっかりしていました。題名の「羊」はピアノの弦を叩くハンマーの先に付いている羊毛で制作されたフェルトから、「鋼」はピアノ線の弦から、「森」はピアノの木材から由来しています。ただ、私は映画のワンシーンが気になって仕方ありません。外村の田舎が北海道の生まれで、父の稼業も林業で、森林の中で育った。その祖母が亡くなった時の葬儀に、森林原野の中の平地に棺桶を置き、お経を読み、手を合わせる…そんな葬送儀礼が北海道にあるのかなーと見ていました。どなたか知ってる方は教えてください!!!まあ、娯楽映画としては飽きさせなかった作品でした。

 今までピアノの調律師が主役の映画は初めてだろうと思います。ドキュメンタリー映画に『ピアノマニア』(2009年、ドキュメンタリー映画リリアン・フランク、ロベルト・シビス監督 )というのがあったが、でもドキュメンタリー映画だからな…。

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4本目は、葬儀社「安宅」のベテラン社員で、社長・松波(松波平二郎)の娘・直子の婿である水島正二(滝川広志)と、新人の教育係として新しく入社した高梨歩(柾木玲弥)を任される二人を中心に、盲目の夫と死別した妻が喪主の葬儀、学校での虐めが原因て自殺をした13歳の娘を亡くした夫婦の葬儀・・・など、肉親を失た人々とその遺族との交流を通して生と死に向き合うさまが描かれる葬儀社の人間ドラマの映画『ゆずりは』((2018年、加門幾生監督、吉田順&久保田昌脚本、新谷亜貴子原作)でした。

 

死と向き合う葬送儀礼にまつわる映画は、元チェロ奏者で交響楽団を失業した小林大悟役を本木雅弘が演じ、山形へ帰省して気軽に納棺師になる主人公にした『おくりびと』(2008年,滝田洋二郎監督、小山薫堂脚本)は、人間のご遺体を湯灌させ、死装束を着せる死出の旅立ちを準備する特殊な職業「納棺師」の死の儀式と風習と作法の風景は、人の死に涙するというよりも、まず人が死ぬときの伝統的な儀式に好奇心を覚えました…ネ。身寄りのない孤独死の葬儀を行うロンドン市内の民生係の公務員・ケニントンが主人公の『おみおくりの作法』 (2013年、ウベルト・パゾリーニ監督&脚本)などに、私は今まで自分が観賞した映画の中で、これらの作品は強く記憶に残ています。最後にケニントン自身が孤独死する結末は物悲しかったですーネ。昨今、「納棺師」の代わりに葬儀社の職員が一切合切するようです。『ゆずりは』でも家庭を訪問した時に、故人に悪霊などが憑りつかないようにようご遺体の上に『守り刀』を置いていましたネ。日本ではこんな古くから伝わる死の風習がたくさん残っています。源氏物語などにも登場する日本古代の儀式、梓の枝に弓を張ってビューンビビ―ンと鳴らす悪魔祓いのシャーマン的な風習も死者の遺体の儀式にあったようです。



是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…

 

7月上旬特選映画【17】★映画のMIKATA「ウィンチェスターハウス」★映画をMITAKA

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夏本番ですね、私の住む神奈川県も連日30度を超える猛暑が続きます。一雨降った次の朝、熱帯夜を冷やす小雨の天候にホッとします。でも、毎朝起きると下着と布団が寝汗でびっしょりです。夏は体調を崩しやすい訳です。ただ、西日本を襲った豪雨災害は、死者189人を、復興が進むにつれて数字が累増しています、安否不明者62人超を数える激甚災害に指定されました。雨が降って心地よい涼しさ・・・などと呑気なことを言ってもいられません。サッカーの決勝戦で渋谷や道頓堀で大騒ぎしている若者のエネルギーの発散先に、ボランティアの救援などどうですかーネ???横浜や渋谷など首都圏から無料救援活動の送迎バスを走らせてほしいな…。自民党は参議院選挙の流動票集めのためと政治宣伝のために、そのくらいの知恵を巡らせよ。

酷暑対策と夏の直射日光からの避難は、まあーネ、クーラの効いた自宅でTVを見る?…でもねそれではつまらないよ。私は、映画館でホラーを見て熱暑を忘れます。か或は、もう一つは緑に囲まれた公園のベンチでそよ風にあたりながら昼寝をするのもいいですーネ。もっともビルが密集するアスファルト道路の都会に緑の木陰を見つけるのも難しいですーネ。兎も角毎日熱いデス。以前、私は横浜市旭区にあるズーラシアに茂る広大な動物園の、木陰のベンチで私は昼寝をしていたことがありました。自動車で走り、緑を探し、ガラス窓をオープンして昼寝をするのは、昨今、ガソリンが高騰しているのでお金がかかりますからね…。


さて、7月上旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、その中から選んだ特選映画一本はホラー映画の『ウィンチェスターハウス/アメリカで最も呪われた屋敷』でした。私はホラーが大嫌いです、特に血と暴力と殺戮で恐怖をそそるホラーを軽蔑していました。でも、この作品は、アメリカの銃社会の歴史と、銃社会ゆえに頻発するアメリカの無差別殺人を批判する運動と呼応しているホラー仕立てになっているのではないでしょうか。大変面白かったです。単にコメディーめいたカンフーの作品かな…と先入観があったが、在日朝鮮人の問題をシリアルに描いた扱った『焼肉ドラゴン』も見応えがありました。特に成熟した朝鮮の女を演じていた桜庭ななみの女優としての成熟の姿を見れてよかったです…。 


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1本目は、現在もアメリカ・カリフォルニア州に現存する幽霊屋敷「ウィンチェスター・ミステリーハウス」の実話を映画化した幽霊屋敷にまつわるホラー映画『ウィンチェスターハウス/アメリカで最も呪われた屋敷』(2018年、スピエリッグ兄弟監督)でした。

ウィンチェスターと言えばオリバー・ウィンチェスターによって19世紀にウィンチェスター銃を開発した一族で、ライフル銃の改良に改善を重ねたウィンチェスター銃によって莫大な財を築いた一族であった。しかし、ウィンチェスター銃によって命を亡くした亡霊たちの恨みと哀しみを祖先に至るまで呪われ、一族は、娘と夫を突然の病気で相次いで亡くした。一族の祖母サラ・ウィンチェスター夫人(ヘレン・ミレン)は、人々の亡霊の呪いから逃れるため、霊媒師の助言によってカリフォルニア州サンノゼに莫大な資産を注ぎ込んで亡霊を閉じ込めるために亡霊にまつわる模造の部屋を屋敷内に次々に作り、亡くなるまでの38年間に増改築を繰り返して、その部屋の入り口を13本の釘で閉じ込めていた…。

 
精神科医エリックは、ウィンチェスター会社の株の半分を所有し、ウィンチェスター社の経営権を握る創業者一族の祖母サラ・ウィンチェスターの経営者としての信頼性を回復する精神鑑定のために、「ウィンチェスター・ミステリーハウス」を訪れた。

 

ウィンチェスター銃の人気と特徴は、レバーアクションによって連射できる機構を持ていたことです。ライフル銃の引き金の下側に突き出た金属レバーを下に引き、それをまた戻すことで薬室から空の薬莢を排除すると同時に、弾を装填する機構を持っていた。それまで1発発射するたびにその都度弾込めが必要であったライフル銃は連射できるようになった。西部劇でもこのウィンチェスターライフル銃と、腰のガンベルトにぶら提げたコルト社のコルト銃が最もポピュラーですーネ。もともとコルト銃の開発者は、陸軍大佐サミュエル・コルトが1836年に創業した銃器メーカーで、こんな幽霊伝説はないようです。

2018年2月にフロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で起きた銃乱射事件(死者17人、負傷者14人)を引き金に、銃規制強化を訴えるなどの運動がダグラス高校を中心に米国会議事堂へ反対運動を始めた。それに全米3000以上の高校が呼応、市民団体も巻き込んで、約18万人が銃規制を叫んだ。こんな時節と世論の高ぶりがあるゆえに、この映画は衝撃的ですーネ。

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2本目は、1970年代の日本、在日朝鮮人の集落、大阪国際空港横の伊丹市中村地区の朝鮮人部落を舞台とした、バラックの小さな焼肉屋「ドラゴン」の一家、父親の龍吉(キム・サンホ)と母親の英順(イ・ジョンウン)、一人息子の時生(大江晋平)と3人の娘たちー、長女の静花(真木よう子)、梨花(井上真央)、美花(桜庭ななみ)を描いた在日朝鮮人の慟哭の映画『焼肉ドラゴン(2018年、鄭義信監督&脚本)でした。


内容を知らずに見始めたのですが、私はコメディーぽい作品かな…と思ていましたが…、日本での差別とか国籍の問題とか、北朝鮮へ渡航する船に乗船して故郷に帰る在日朝鮮人の戦後をシリアルに描いていました。日本の新国立劇場と韓国の芸術の殿堂にて、在日3世の鄭と梁正雄の演出により2008年に両劇場で上演された。その後韓国と日本で映画化された…ものです。

焼肉ドラゴン』を初め映画館で観た時に脳裏に映画『血と骨』(2004年公開。ビートたけし主演。崔洋一監督、1鄭義信&崔洋一脚本)を浮かべました。1930年代の大阪を舞台に、済州島出身の朝鮮人・金俊平(キム・しゅんぺい)を主人公に巨漢と暴力によってのし上がった男の生涯の映画でした。朝鮮部落のセットがよく似ていました。


率直に行って私はこの作品の登場人物での一人、美花役の - 桜庭ななみがどんな演技をするのか見たかったのです。時代劇の『最後の忠臣蔵』(2010年、杉田成道監督)で大石の隠し子役可音を演じた女優だが、成熟した朝鮮の女を演じていたのは予想外でした。


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3本目は、『スター・ウォーズ』シリーズのキャラクターの一人、ハン・ソロを主人公にしたスピンオフストーリ『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年、ロン・ハワード監督)でした。前回第一弾『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』では、父親が開発した帝国軍の最終兵器「デス・スター」の設計図をヒロインの「ジン・アーソ」が、反乱軍の仲間とともに、デス・スターの設計図を奪う激しいバトルが描かれる。第二弾の今作では、若き日のハン・ソロの誕生と冒険と成長が描かれる。

帝国軍が支配する時代にハン・ソロは、宇宙船の造船で知られる工業惑星コレリアで生まれ育ち、帝国軍の部隊が駐留するその惑星で、盗みと略奪を繰り返してで生き抜いてきた。ハン・ソロは幼なじみの恋人・キーラ(エミリア・クラーク)と一緒に宇宙に飛び出す夢を抱いていた。ある時、貴重な燃料の「コアキシウム」を盗み出し、ランドスピーダーに乗り、追われながらも空港にたどり着き、盗んだコアキシウムを賄賂に使いソロはゲートを通過したが、キーラは逮捕されてしまう。物語は、そこから始まる…。

帝国軍の検問から逃れるために目に留まったのが「帝国軍兵士募集ゲート」で、窮余の一作は追手から逃れるために帝国軍に入隊します。兵士募集の係官との会話で、名前を聞かれ、「名前はハンだ。それ以外は知らない」と言うと、勝手に「そうか…じゃあお前は天涯孤独の一人・ソロ(SOLO)だな…」と決めてしまう。今作では帝国との戦いに加わる前の若き彼の冒険のストーリを描いています。帝国軍の地下牢に投げ込まれた時に、相棒チューバッカと出会う。ギャング団のボス、ドライデンからの依頼で、盗賊ベケット一味と共に宇宙燃料「アクシウム」を帝国の輸送列車から強奪する仲間となる。しかしそれに失敗して、生き延びるためにドライデン「惑星ケッセル」に貯蔵されている未精製で不安定なコアクシウムを盗み出す。それをサヴァリーンで精製を行い、ドライデンに届けるという新しい危険な冒険を引き受けることになる。ランド・カルリジアンにカードゲームランド・カルリジアン(ドナルド・グローバー)からファルコンを入手するなど、今までにシリーズで登場した人物との出会いと冒険が映像化しています。

 

2012年にジョージルーカスが彼の映画製作会社ルーカスフィルムを40億5千万㌦で譲渡して以来、いわば「スターウォーズ」を売り渡して以来、私は最早「スターウォーズ」を見ない…と倦厭していました。何故って、「スターウォーズ」シリーズを打ち出の小槌のように続編続編と、永遠に続く物語のように監督を変えて製作する映画に辟易したからです。その一つがスピンオフストーリでもあります。今回何故どうしてロン・ハワード監督が制作を引き受けたのか…良く分かりませんでした。

監督のロン・ハワードは、 『コクーン』、 『バックドラフト』、 『アポロ13』、 『ビューティフル・マインド』、  『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズなどの数々の名作を制作した実績を持っています。名匠ロン・ハワードがどうしてこの『ハンソロ』の仕事を引き受けたのか、良く分かりません…。ただ、今までの«スター・ウォーズ»と違う点は、単に帝国軍と反乱軍との壮絶な宇宙戦争に終わらずに、惑星コレリアから3年前に脱出する時に別れたキーラと再会する恋愛ストーリが含まれているところではないのかな…と思いました。でも予想外に、このラブストーリの要素が「ハン・ソロ」の新しい魅力ではないかと思います。

TV放送の「シリーズ1」を見ていて気が付つぃたのですが、これまでのシリーズでは、ハリソン・フォードがソロ役を演じていたが、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』では新しい主役の、オールデン・エアエンライクが演じている点が大きな違いでしょうーネ。


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 4本目は、若きマルクスとエンゲルスの伝記的映画『マルクス・エンゲルス/LE JEUNE KARL MARX/THE YOUNG KARL MARX』(2017年、ラウル・ペック監督)を新百合ヶ丘の映画館«川崎市アートセンター»を久々に観に行きました。この映画館はシニアが1000円なので気に入ってます。それにしても日本全国どの映画館でも示し合わせたように1800円というのは「独占禁止法違反」ではないのかな…???。


今年はマルクス生誕200年(Karl Heinrich Marx, 1818年5月5日 - 1883年3月14日)だというので、「マルクス・エンゲルス」の社会背景と思想活動、「ライン」新聞社での言論活動とドイツ政府の検閲と弾圧、フランス亡命時代(1843年10月~)、若き日のマルクスとエンゲルスの出会いと親交、「共産党宣言」と「資本論」の思想家・マルクスばかりでなく、それらを醸成した思想家の私生活・・・ユダヤ教のラビの司祭家族と弁護士の実家、雑誌に投稿しながら生計を立てていた貧困生活の姿、貴族出身の妻・イェニーなどのマルクス周辺の私情、紡績工場の経営者の子息であったエンゲルスのアイルランド人女工の妻たち(メアリー・バーンズ、リディア・バーンズ)などを描いました。


1843年にフランス・パリに移住、亡命中に国民経済学のアダム・スミス、リカードや、無政府主義者や自由主義者の本と論文を漁り勉強した。この時期に『経済学・哲学草稿』の第一稿を執筆した。マルクス没後、未発表だった膨大な草稿をエンゲルスが遺志をついで整理編集した。『資本論』2巻3巻はエンゲルスによって出版された。残された悪筆の未完のノートや草稿はまだまだそのままあった。それらの一部がソ連のマルクス・エンゲルス・レーニン研究所の金庫の中の奥で『経済学・哲学草稿』が眠っていた。マルクスの死後49年後に、それも草稿の一部が喪失され、未完成の形で発見され、1932年に編集されました。特にマルクスが26歳の時に構想したこの『経・哲草稿』には、ヘーゲルのドイツ観念論やフォイルバッハの宗教論などから影響を受けた哲学的側面、イギリスフランスから生まれた自由主義に満ちた視点、アダムスミスやリカードなど工業化しつつある資本主義の矛盾を抱えた経済批判を貪欲に摂取した経済学へのアプローチなど、これまでマルクス・レーニン主義の社会主義では忘れられていた、豊かな思想が含まれていました。例えば、マルクスの哲学概念«類的存在»や≪疎外≫など・・・、「自由」「平等」などのリベラルでヒューマンな新しいマルクスの思想的発見に、世界の思想家が驚いた・・・。

この青年マルクスの草稿は、既にレーニンの革命によって成立した社会主義国家、スターリンによって継承されたソ連型の、官僚的経済統制や政治的粛清と独裁が支配する社会主義によって随分と歪められてしまっていたからです。本来、マルクス・エンゲルスが理想とした社会主義そのものが歪められ、反人間的で不自由で歪な制度のイメージが固着してしまっていたからです。その歪みをこの映画が開放してくれているかに、私は興味がありました。 

 

この映画を鑑賞する前から、こうした若きマルクスの柔軟な思想が映画でどのように表現されているか興味がありました。一本の映画にそんな多様なマルクスエンゲルスの姿を盛り込むのは無理というものですが…。映画は、エンゲルスの父が経営する紡績工場の過酷で低賃金の労働を批判する女工たちの不満から始まった。その時解雇された女工を追いかけ、その女工をエンゲルスは妻としたようです。後々マルクスは、エンゲルスにどうして下層階級の労働者の生活をよく知るのか…という質問に対して、工場の女工と生活しているから・・・と答えていました。こんな映像の一片は青年期のエンゲルスを如実に知る一面でしょう。また、無政府主義者のプルードンの街頭演説を夫婦で聴講していた時、マルクスの妻は、「あなたの批判は抽象的で具体性がない…」と辛辣に批判する。マルクスその人がライン新聞時代から、大変辛辣な言葉で論客たちを罵倒していたといわれています。こんなシーンは、二人三脚でマルクスを支えていた妻の姿がよく分かりました。映画ならではのドラマで描かれた生身のフィクショナリーな人間像ですーネ。今更、マルクスを勉強するつもりはないのですが、パリ時代のマルクスエンゲルスに特化したリアルなドキュメント本がないですね。いや、翻訳されてないのかも知れませんが、哲学も含めたマルクスの生活、「彼らはどんな人間なのか」を追跡した本が読みたいですーネ…、どなたか詳しい人は教えてください。昔読んだ城塚登先生の『若きマルクスの思想』(1970年、勁草書房)を読み返してみましたが、でもパリのマルクスに焦点を絞った記述の収穫がなかったです…よ。 

 

私は黒人の監督をこれまで『マルコム✕』のスパイク・リー監督しか知らなかったが、ラウル・ペック監督も、日本でも首都圏でもうすぐ公開される、ジェームズ・ボールドウィンの原稿を元にして制作したドキュメンタリー『私はあなたのニグロではない』もまた彼の監督作品なのを初めて知りました。黒人のメッセージを積極的に発信する黒人監督ですーネ。ちょっと注目したい監督です。

 

 

 

 

 

是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…)

 


7月下旬特選映画【18】★映画のMIKATA「30年後の同窓会」★映画をMITAKA

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TVドラマについてチョット書きたくなりました。今月7月17日からフジテレビ系、毎週火曜夜9時の連続ドラマで「健康で文化的な最低限度の生活が始まりました。原作はビックコミックに連載された柏木ハルコの漫画のようです。小説でもない、評論でもない、漫画で描かれた表現の中間領域のアニメは、タブーとされていた「生活保護」が、TVドラマになりました。第一話は、生活保護者の相談に乗る生活課ケースワーカーに配属された主人公・吉岡里帆が演じる「義経えみる」が、大卒後に公務員に就職したが、今まで経験のない生活苦のどん底にいる人たちを相手にする役所の現場で悪戦苦闘する青春像です。


ご存じのように「健康で文化的な最低限度の生活」と言うのは憲法25条の触りの文言です。憲法9条はよく話題にされますが、25条と言うのは余り国会で討議されない、馴染のない憲法の条文ではないでしょうかーネ。寧ろ国会議員はこの25条ナンカ憲法から消してしまいたいGHQ占領軍の押し付け憲法と言いたいのではないのかな・・・。国家が、国民の最低限の生活を保障しているにも関わらず、職員の対応と支給条件と資格原則と生活形態への意識は、依然「国民の税金」を使っているのだから不正を許すな、賭博や贅沢はしていないか監視しろ・・・、まるで生活保護が旧態依然の恰も国家による「慈悲と恩恵」のような意識、それが国家の義務、国民の権利として認められていない点が、どうも気になりました!!!

 


7月下旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、今月7月は通算で、『ウィンチェスターハウス/アメリカで最も呪われた屋敷』『焼肉ドラゴン』『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』『マルクス・エンゲルス』など8本を観賞しました。下旬に選んだ特選映画1本は、『30年後の同窓会』でした。溺酔して病院内を暴れる『劇場版コード・ブルー』のアル酎の母親役を演じていたかたせ梨乃の熱演はよかったですーネ。動物アドベンチャーの『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は、今回も楽しめました。もう続編はないだろうな…。思春期を過ぎて子供がハイテーンの娘を持つ女性か、或は東京の大学で下宿している女子大生を持つ父親という視点から見るとまた別の想像が湧き上がるかも知れないレディ・バード』でした。30年後の同窓会/ LAST FLAG FLYING』を見終わった後、私の脳裏に浮かんだのは、イラク戦争で米軍史上最多の160人を射殺したスナイパー・カイルが除隊して帰国した後に、戦争の記憶にノイローゼになり、傷痍軍人たちとの交流で傷を癒そうとしていた最中、射撃訓練先で皮肉なことに射殺される顛末を描いたクリント・イーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』(2014年)でした。戦争の英雄が最早アメリカでは、個人の高揚と名誉にならなくなった…、イースウッド独特のアメリカの社会性の表現で、印象的でしたーネ。

 

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コスタリカ沖のイスラ・ヌブラル島火山活動が始まり、噴火の予兆に対して、テーマパークが閉鎖された後に島に残された恐竜たちを見殺しにするのか、彼らを救うべきか…が迫られる状況からシリーズ第5弾の続編が始まる。1本目は、大富豪ジョン・ハモンドの依頼で、前編『ジュラシック・ワールド』シリーズから3年後の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018年、J・A・バヨナ監督)では、テーマパークの運営責任者だったクレア(ブライス・ダラス・ハワード)と、恐竜パークで知能の発達した2足歩行の恐竜「ヴェロキラプトル」を生まれた時から飼い慣らしていた「ブルー」の飼育担当者だったオーウェン(クリス・プラット)と探検隊は、恐竜救出のためにイスラ・ヌブラル島へ向かう。


恐竜を島から脱出させる為に派遣されたロックウッド財団のイーライ・ミルズが手配した傭兵部隊の狙いは、恐竜を捕獲して恐竜売却を目的としていた。火山の噴火で島全体が溶岩に包まれる寸前で、捕獲された恐竜は島からアメリカの北カリフォルニア州にあるロックウッド財団の広大な邸宅の地下施設に運ばれる。そこで、オーウェンとクレアは恐竜救助計画の探検の目的が恐竜の保護とは裏腹に、恐竜たちを競売にかける金儲けのためと知る。しかも、シリーズでも既に登場したアジア人遺伝子学者、ヘンリー・ウーが、インドラプトルと呼ばれる新しい遺伝子組み換えのハイブリッド恐竜を作っていることも発覚する。遺伝子学者、ヘンリー・ウーの登場と新しいハイブリッド恐竜の獰猛な殺戮は、これまでのシリーズの続編のようですーネ。


勿論、娯楽映画としてスティーヴン・スピルバーグ監督が生み出した「ジュラシック・ワールド」

は、琥珀の中に結晶化した古代の恐竜の血を吸った昆虫から遺伝子を培養して、バイオ技術で現代に培養させた恐竜たちのストーリは、原作者「マイケル・クライトン」の遺伝子科学の未来と可能性を暗示しているのだ…が、娯楽映画ではない、もう一つの私の興味は、そこにテクノロジーもふんだんに取り入れられている生命科学の未来像が描かれていることです。一般にテクノスリラーと呼ばれるジャンルの映像で、科学とテクノロジーとスリリングなストーリで構想されたヒット作と名作が数多あります。『ジュラシック・ワールド』シリーズでも、人類滅亡の危険因子に繋がるのか、人類発展の繁栄の因子になるのか…どちらなのか続編に続く危ういアドベンチャーで終わっています。でも確実に、ジュラシック・ワールド』も含めてシリーズには、遺伝子操作の近未来像がそこに描かれている気がします。特に、医療の特選映画をあれこれ観賞している中で、医療TVドラマの「ER緊急救命室」を見ていて、これもマイケル・クライトンの原作であることを知りました。マイケル・クライトンはかなりヒーマンな医療ドラマの原作も書いているのです。でもーネ、その中に遺伝子操作の科学技術を応用した作品があったかな…。是非、遺伝子工学によって人間の生命の未来に関する大胆で希望に満ちた作品を観て見たいと思いました。


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2本目は、アメリカの女優グレタ・ガーウィグが自らの故郷、カリフォルニア・サクラメントでの高校生活を舞台に、田舎の街から父親母親から、ハイスクールの友だちから、母親にも隠したコロンビう大学の補欠合格のチャンスに喜び、18歳の自分から飛び出して、大都会ニューヨクの大学へ進学するクリスティン(自称「レディ・バード」シアーシャ・ローナン)を主役にした自伝的青春映画『レディ・バード』(2017年、グレタ・ガーウィグ 監督&脚本)でした。

このテイーンエイジャーの女の子の青春映画のコメントを書くには、私は余りに遥か昔のことのように思えて仕方ないです。本来は私が背を向ける作品でしたが、鑑賞してしまいました。恐らく地方から首都圏の大学に進学して、大学4年間を下宿して、青春を過ごした女性ならば、恐らく身に染みてクリスティンの心情を共感できたかも知れませんーネ。クリスティンの喜怒哀楽は、若い女性には誰もが経験する通過地点なのではないのかーナ。私には、どちらかと言うと、クリスティンの父親、失業してあちこちの会社の面接を受けている老いた父親、大学院を卒業してMBA(経営学修士)を取得した学識のある父親役のラリー・マクファーソン(トレイシー・レッツ)の姿・・・娘への親身で優しい相談相手として接する姿に共感を感じました。

クリスティンは母親に電話しましたが、この父親ラリーの立場に近い私としては、最も心配なことは、都会の学生活をしていてきちんと勉強をしているのかー、毎日3食ちゃんと食事を摂っているのかー、卒業した後の就職は…何よりも、同棲する彼ができて、深夜まで遊び呆けてないかー、マリファナや麻薬に手を出していないかー、都会の犯罪に巻き込まれたりしないかー、彼と別れた後、結婚する前に妊娠して赤ちゃんを抱えて帰ってこないかー、未婚の母で子供を育てていけるのか…まで、恐らく父親は心配してしまいますーネ。母親とは違う娘と父親の関係は、そんなものです。私は、この作品の続編のような映画が見たくなりました。

この家族構成ですが、成人男子2人と妹のような女性1人、よく分かりませんでした。原作を読めば詳しく分かるのだろうが、人種の違った家族3人は養子をもらったのかな…、映画の中ではその辺りの説明がなかったです。

クリスティン役を演じているシアーシャ・ローナンが主役の映画『ブルックリン』( 2016年公開、ジョン・クローリー監督) もまた、アイルランドから未知の土地ニューヨーク・ブルックリンにやってきた移民の少女の青春ストーリでした。私の見た映画で、まずは私はこの映画を類似のストーリだな…と浮かべました。


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30年前にベトナム戦争で戦友だった3人が主人公の映画です…。ラリー・シェパード(ドク)は友人のサル・ネルソンが経営する酒場を突然訪れ、彼の息子はイラク戦争で落命した。「1人じゃ心細い。だから、2人に付いてきて欲しい」と頼み込んだ。過去を捨てて牧師になったミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)と、酒ばかり飲んでいる酒場のオーナのサル(ブライアン・クランストン)、1年前に妻に先立たれ、2日前に中東で戦死した海兵隊員で、息子の亡きがらを故郷に連れ帰る旅に同行を依頼する。30年間音信不通だった旧友のドク(スティーヴ・カレル)の懇願で始まった、奇妙な友情を描いた戦友たちの映画『30年後の同窓会/ LAST FLAG FLYING』(2017年年、ダリル・ポニックサン原作&脚本、リチャード・リンクレイター監督&脚本)でした。

 

それにしても、3本目のストーリはもっと錯綜しているーナ。ドクは戦死した息子が英雄として埋葬される「アーリントン墓地」に葬ることを拒否して故郷のポーツマスで葬儀して、妻の隣の墓に埋葬することを望んでいた。その一心で息子の遺体をトラックと列車で運ぶことになったのだが…。バージニア州ノーフォークから出発した彼らの旅は、時にテロリストに間違われるなどのトラブルに見舞われながら、故郷のポーツマスへと向かう。が、途中、レンタカーで棺を運ぶ引っ越しのトラックをレンタカーを借りるときに、テロリストと間違われFBIと憲兵に逮捕される…トラブルも抱えた。

アメリカの英霊と「英雄」が眠る名誉のアーリントン墓地の埋葬を拒否することは、アメリカの戦争を否定することであり、つまり、その葬送を父親が前線の戦地で親しかったベトナム戦争の仲間たちと共に・・・、息子が戦ったイラク戦争の戦友とともに軍人としての「死」を選ばずに家族と親戚と友だちが列席する葬儀をする決断は、アメリカの国家的「英雄観」「正義」を選ばずに、何物にも替えがたい尊い命の重さと大きな価値感を揺るがした二つの戦争を否定することでもあった。

日本文化で言えば、戦争で死んだ兵隊の戦死者の御霊を「靖国神社」に英霊として合祀することを拒んだこと言うことです。キリスト教徒なのに神道の神社に葬られるのを拒んだ家族はいました、或は、望まない兵士として強制的に国家から徴兵され、さらに命をむざむざ天皇陛下のために捧げた戦死、それを肯定して靖国に葬ることを拒否した家族もたくさんいます。

これをベトナム戦争と中東戦争後の反戦映画と言うほど単純ではないーナ。その後にアメリカ市民の体験したイスラム社会への反感と憎悪の原因となった2001年9月11日のニューヨーク・世界貿易センタービルへの同時多発テロがあった。だからだから、この作品のストーリの中で茫漠と原作者と監督が主張するメインテーマであり、心に訴えているテーマは・・・。この作品の中て柔らかにアメリカの戦争に隠された「嘘」と、正義に隠された「経済」の虚像さえも問いを投げかけている映画ではないですーか…ネ!!!

 

私は『30年後の同窓会/ LAST FLAG FLYING』の前編ともいえる

原作者ダリル・ポニックサンの小説『さらば冬のかもめ』の小説を読んでみたくなりました。 

 

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4本目は、今現在も再放送が頻繁に放映中のTVドラマの映画化『劇場版コード・ブルー/ドクターヘリ緊急救(2018年、西浦正記監督、安達奈緒子脚本)でした。いつもの救急救命のメンバー、藍沢耕作役の山下智久、白石恵役の新垣結衣、緋山美帆子役の戸田恵梨香、冴島はるか役の比嘉愛未、藤川一男役の浅利陽介らが出演する医療ドラマです。

全国で出演メンバーが映画の公開前に宣伝のイベント活動を各地で精力的に開き、テレビ番組でもゲストに山下智久が出演したり、「コードブルー」の番宣を流し、再放送のTVを盛んに放送している。流石にフジテレビのテレビドラマを専門に手掛ける演出家だけあって。可なり力を入れてますーネ。私は公開初日に見に行って客席を見まわしたが、横浜市都筑区の映画館は、まああまの混み具合でした。

人気TVドラマを今更、「映画化する必要があるのか…???」などという愚問は取りあえず控えましょう。ましては「アイドルの出演する映画に何の価値が有るんだ…!!!」などという嫌悪感は、まずは脇に置いておきましょう。ただ、私はこの作品を純粋に「医療映画」として論じて評価したいです。果たして、この映画は、日本の「医療映画」の核心をテーマとしているのだろうかな…???勿論、日本の医療にとって、アメリカ・欧州と同じく高齢化社会を迎えている現状では、在宅の高齢者が突然、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞や心臓欠陥で倒れることは頻発しています。まして、東日本大震災や熊本地震、近頃の高知、鳥取、広島、岡山、京都、兵庫、愛媛など西日本を襲った異常気象による豪雨災害をはじめ、地震、台風、津波等、多くの自然災害が頻発していますので、尚更に救急搬送・救急救命など救急医学の重要性とERの体制整備が、日本では遅れている故に、喫緊の問題ともなっていることは十分に認識しています…ヨ。このTVドラマの人気もこうした日本の救急医療の必要性と遅れを心配するからかもしれません。


映画は、明日の現実と悲劇と喜びと笑顔を映す鏡です。邦画でも洋画でもたくさんの医療映画が制作されました。DVD特選映画というタイトルで、「医療の映画」の名作傑作と私が独断的に評価する医療分野の作品をDVDで観賞してコメントを書きました。洋画邦画に分けて、洋画では、「レナードの朝」(1990年公開。 ペニー・マーシャル監督)、「ロレンツォのオイル/命の詩」(1992年公開。監督:ジョージ・ミラー 。脚本:ジョージ・ミラー、ニック・エンライト )、「パッチアダムス」(1998年公開。トム・シャドヤック 監督)、「シッコ」(2007年公開。マイケル・ムーア監督)、「ジョンQ -最後の決断-」(2002年公開。ニック・カサヴェテス監督)、「小さな命の呼ぶとき」(2010年公開。監督:トムボーン。脚本:ロバート・ネルソン・ジェイコブス 原作:ジータ・アナンド)、「コンテイジョン」 (2011年公開。スティーヴン・ソダーバーグ監督」・・・等がありました。 


邦画では、「赤ひげ」(1965年公開。黒澤明監督。山本周五郎原作『赤ひげ診療譚』。小国英雄他脚本)、「白い巨塔」(1966年公開。山崎豊子原作、山本薩夫監督。橋下忍脚本)、「華岡青洲の妻」(1967年公開。有吉佐和子原作。増村保造監督。新藤兼人脚本、震える舌」(1980年公開。 野村芳太郎監督)、「孤高のメス」(2010年公開。成島出監督。大鐘稔彦原作。加藤正人脚本)・・・等を鑑賞しました。

 

洋画邦画含めて約11本~余の«医療の映画»と比較した時、『劇場版コード・ブルー』は、・・どんなコメントと評価が下せるだろうか・・・ナ???すでに書いたように日本の救急救命の必要性と整備不足は承知の上で書きますと・・・。

映画のシーンは幾つか盛り上がりがあった。成田国際空港に航空機が緊急着陸する事故現場がひとつ発生した。成田国際空港の事故現場に、翔陽大学附属北部病院救命救急センターのドクターヘリと救急救命医が到着する。既に日本へ帰国していた、脳神経外科専門医の藍沢耕作が成田空港から直行して診察を始めていた。更にその後で、東京湾の海ほたるに巨大なフェリーが衝突するという事故が連続して発生する。この二つの大事故の負傷者の救命活動から派生した医学問題として、この映画では、海面に落下した14歳の男の子が亡くなって死亡が確認された。その子は臓器提供の意思表示のカードを持っていて、親の承諾があれば、臓器提供することができた・・・。これは、救急救命とはまた別の、日本の医療が遅れている「臓器提供」の問題を扱ったシーンでした。ただーネ…、肉親の「死」と、善意の「臓器提供」の問題を、涙ぐんだ人情劇で描いただけで、本当の「臓器提供」の核心の問題を抉っていなかったーナ!!!


日本は既に「皆保険制度」が整っているので、)、「ジョンQ -最後の決断-」のような作品は生まれないですーネ。寧ろ日本では臓器提供」が漸く始まったばかりで遅れているので、反対にハリウッドの「孤高のメス」のような作品は制作されないですーネ。公害が企業に隠され、利益が優先された時、アメリカで住民から反対運動が起こり問題になったときには、企業利益を優先する権利と戦う市民運動の映画は盛んでした。巨大医療システムを牛耳じ、市民の生計と生活を崩壊させる医療企業へ抵抗する作品もたくさんありましたーネ。それに反して、邦画では、「赤ひげ」に繋がるような、日本の医療制度と日本医師会に対して反旗を翻し矛盾を抉り出し、抵抗するような作品が生まれないですーネ。


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8月上旬特選映画【19】★映画のMIKATA「告白小説、その結末」★映画をMITAKA

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8月上旬の選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞しました。上期に観賞した映画は全て洋画でした。スパイ&アクション映画としては代表作の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は外せないよな…。スターリン体制ばかりでなく、現在のソ連独裁者プーチンの姿を彷彿とさせる『スターリンの葬送狂騒曲/THE DEATH OF STALIN』は政治映画としては拍手したい秀作でした。泥棒映画として痛快な窃盗団を描いたこのシリーズの『オーシャンズ8/CEAN'S 8』は、ダイヤモンドや金塊が人間の命より貴重で経済と政治を動かすこのバカげた倒錯した世界がある限り、泥棒映画は永遠の命を持つでしょうーネ。謎の余韻を残して終わる新しい独特のサスペンス映画『告白小説』は、流石にロマン・ポランスキー監督だな、この作品は見逃せない魅力がありました。つまりどれもこれも秀作ばかりなんです…よ。

しかしどの作品を特選映画として選んデモ可笑しくない中で、仕方なく特選映画1本を『告白小説』にしました。

 

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1本目は、3つのプルトニウムを盗んだ正体不明のテロリスト、は三つの都市を標的にした同時核爆発の計画を画策していた。誰が何のためにどのように世界を破壊しようとしているのか…???一瞬にして都市を破壊する核爆弾のテロリズム、爆発計画の陰謀を阻止するのがイーサン・ハント(トム・クルーズ)が率いるIMFチームの新しい『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年、クリストファー・マッカリー監督、ブルース・ゲラー原作『スパイ大作戦』)でした。小学校の頃にこのTV放送されていた昔の「スパイ大作戦」はよく見てました。この核爆弾を使ったテロリストの正体は、シリーズの第5弾の前編『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(2015年公開)で姿を現したシンジケートを壊滅すべくミッションに挑むのでした。エリート・スパイたちによって組織された謎の組織「シンジケート」が第6弾でも、暗躍する。シリーズ第六弾では、レギューラ―メンバの、ヴィング・レイムス(ルーサー・スティッケル)、サイモン・ペッグ(ベンジー・ダン)、レベッカ・ファーガソン(イルサ・ファウスト)、アレック・ボールドウィン(アラン・ハンリー)らが共演する、加えて、新たにCIAの敏腕エージェント役でヘンリー・カヴィル(オーガスト・ウォーカー)が、イーサン・ハントの監視役に登場、更に加えて、謎の女役のホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)の協力の交換条件で、収監中の「シンジケート」の元リーダー、ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)の脱獄に手を貸す…。

 

核爆弾を廻るスパイアクションと核兵器機器は、過去にさまざまな映画が制作されました。今更スパイアクション映画として二番煎じのような核爆弾強奪と都市爆発計画の映画は余りに月並みですーネ。

 

まあそれでもイーサン・ハントのアクションは、いつも通りの派手で危険に満ちた華やかなシーンの連続でした。ヘリコプターを操縦したアクロバット飛行は危険一ぱいのスタントアクションも満載で、この作品でトム・クルーズは怪我を負ったようですーヨ。恐らく、ストーリは月並みですがアクションはいつも通り渾身のスタントで、このシリーズも楽しませてくれました。

 

日本が現在国内外に保有しているプルトニウムの総量は約48トン「原爆6000発分」といわれています。「原子炉級プルトニウム」とPu239の純度が高い「兵器級プルトニウム」とは違うといわれていまずが、大変な保有量ですーネ1。

 

 

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その日、独裁者スターリン(アドリアン・マクローリン)と彼の秘密警察が牛耳っていた共産党委員の中枢にいた人々など・・・、中央委員会第一書記のフルシチョフ(スティーヴ・ブシェミ)、秘密警察の警備隊長ベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)、スターリンの右腕マレンコフ(ジェフリー・タンバー)らがスターリンを囲んで夕食に集い、翌朝近くまで西部劇を見たり飲んだりして愉快に夜を楽しんでいた。8月に紹介する2本目はソ連を20年間支配した独裁者スターリンが1953年3月に死去したスターリン体制の崩壊を皮肉くる政治的なコメディー映画『スターリンの葬送狂騒曲/THE DEATH OF STALIN』(2017年、アーマンド・イアヌッチ監督)でした。むしろ私はスターリンを描くと同時に、今のソ連の独裁的な指導者・プーチンの政治体制を批判しているように見ました。

 

私にはレーニンから・・・、ニコライ2世のロシア帝国終焉、ウラジーミル・レーニンがシベリア流刑終了後にスイス亡命から帰国、1917年のペテルブルクの暴動をきっかけにロシア革命が勃発し、レーニンがボリシェヴィキによるロシア共産党を宣言し独裁体制を敷いた。1922年5月にレーニンが脳出血で倒れた死後、直ぐにスターリンが党書記長に就任、レーニンの側近たちを党から次々に除名すると共に反対勢力を大粛清、有力党員や軍人を冷徹に処刑し、シベリアの強制収容所に送った。レーニンとともに1917年のロシア十月革命の指導者の1人であり共産党政治局員の1人でもあった永久革命論のトロツキーも、共産党を除名されメキシコに亡命したが、1940年にスターリンの刺客ラモン・メルカデルによって暗殺された。

党中央委員会書記長として粛清を続けながらスターリンがロシアの最高指導者として政治体制を維持した。スターリンが突然に死去、この時の政変をドラマ化したのがこの作品です。この異変にたいして、国家元首としてはミハイル・ゴルバチョフが大統領制を導入して最高会議幹部会議長に座り、その次に、党書記長にニキータ・フルシチョフが第一書記に就任して、ロシアの政治指導者になった・・・私は、フルシチョフのスターリン批判とアメリカとの共存路線、ゴルバチョフのペレストロイカと経済政策まで近代現代までのロシア史を論じる歴史知識の力量がないのでロシア史の軌跡を詳らかに書くことができません。ただ、この映画『スターリンの葬送狂騒曲/THE DEATH OF STALIN 』の裏側にあるロシアの歴史を知らないと、映画に内在する「ブラックコメディー」を堪能できないのではないでしょうか-ネ。私もお勉強のつもりでネット上の「世界史の窓」https://www.y-history.net/appendix/wh0602-052.html#wh1501-118

を読みました。

 

スターリンの突然の死後に巻き起こったスターリン側近の政治体制内の動揺と、次期政治指導者の継承権力争の騒動がこの映画の真骨頂でしょうーネ。この映画はソ連国内では上映を禁止されたようです。私自身は大変面白かったです。この映画の上映に関して下記ウィクペディアの「スターリンの葬送協奏曲」のサイトが詳しいデス。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%91%AC%E9%80%81%E7%8B%82%E9%A8%92%E6%9B%B2#

 

 

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8月に紹介する3本目は、恰も泥棒と詐欺とトリックを貴族のゲームのように、イヤ、精密機械の歯車のように犯罪仲間がセキュリティーを破り、人の錯覚と警備を欺き成功させる犯罪映画『オーシャンズ11』(2001年、スティーヴン・ソダーバーグ監督)、『オーシャンズ12』(2004年、スティーヴン・ソダーバーグ監督)、『オーシャンズ13』(2007年、スティーヴン・ソダーバーグ監督)から、丁度今作で第4作目の、オール女性キャストでリブートした犯罪映画『オーシャンズ8/CEAN'S 8』(2018年、ゲイリー・ロス監督、原案&脚本ゲイリ-・ロス)でした。ニューヨークで開催される世界的ファッションイベント「メットガラ」で、ハリウッド女優(アン・ハサウェイ)が胸に飾る1億5000万ドルの宝石を痛快に盗む・・・ストーリでした。窃盗団「オーシャンズ」を率いる主犯はダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)を兄に持つ、生粋の強盗ファミリーの妹、デビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)。

刑務所の独房で考え抜いたデビーのプランを実行にうつすために彼女の右腕・ルー(ケイト・ブランシェット)は、共に個性豊かな犯罪のプロたちを集め、新しく女性だけの窃盗団を結成する。ゲイリー・ロス監督に何か大胆な発想を探すとするならば、やはりセクシャルハラスメントの反動・・・カナ…「ME TOO」運動が吹き荒れるハリウッドらしい女性だけの窃盗団は、何を置いてもこの作品の大胆な設定です―ネ。その他に、監視カメラを乗っ取る天才ハッカーのナインボール(リアーナ)、ジルコニアの偽造のダイヤを制作するジュエリー職人のアミータ(ミンディ・カリング)、盗品ディーラーのタミー(サラ・ポールソン)は平凡な主婦で一児の母ではあるが、組織に潜り込む引き込み役の天才であった。観光客から財布や時計を盗む神業のスリで、東南アジア人、コンスタンス(オークワフィナ)・・・が集められた。

ストーリの骨子を書くと此処までなのだが、それはそれ『オーシャンズ』シリーズ独特の最後の最後にどんでん返しがありました…。アン・ハサウェイ演じるハリウッドの人気女優、ダフネ・クルーガーが、この作品では1億5000万㌦の宝飾を盗まれる窃盗の「ターゲット」なのだが、最後にはデビー・オーシャ達の仲間の一人として分け前を受け取る…奇想天外のラストになる。更に、宝石に掛けられた保険会の捜索を逃れるために欺くトリックがあった。首飾りをバラバラにして、その全体の10%を返却することで、犯罪の刑罰を免れる交換条件を画策練っていた。詳しいストーリは映画館で堪能してください。まあまあ、楽しいお盆休み過ごすのには、いい時間です・・・。

 

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精神を病み自殺した母親を描いたデルフィーヌの私小説がベストセラーになる。だか、今はスランプに陥っている。そこにサイン会に、愛読者だと言う謎に満ちた女性・エルが現れる…。計略なのか偶然なのか、エルは向かいのアパートに住み、家主から追い出しを食らったと説明して彼女の部屋に同居を頼んだ。やがて、扉のカギを持ち、パスワードを管理して、彼女の代わりにパソコンメールの返信を勝手に送っていた。何のためなのか、デルフィーヌを創作に向かわせるためと言う。仕舞には、彼女に代わって学校の図書館司書からの依頼の講演さえ代役で出席した。デルフィーヌは階段から落下した時に足を骨折、その療養のためにエルの田舎の実家で共に暮らすことになった。彼女は知らず知らずに殺鼠剤を飲まされていることに気が付き、エルから逃げようとして、道端に倒れ込み村人に助けられた。が、いつの間にか、彼女の名前で出版社へ原稿を送って、彼女の名前で本が一冊出版された…。不思議なラストシーンのサスペンス映画『告白小説、その結末/D'APRES UNE HISTOIRE VRAIE/BASED ON A』(2017年、ロマン・ポランスキー監督)でした。

 

私はこの映画の始まりからー、さて名監督ロマン・ポランスキーは映画のラストでどんな結末で終わらせようとするのか…ナと興味深々でした。何のためにエルはデルフィーヌの身代わりで私小説を書こうとしたのかな…。ラストシーンでエルの所在が解らぬまま幕が下りましたが、彼女はどこへ行ったのかーナ。すべてが推理小説の愛好者ならば、欲求不満になりそうな、燻ったもやもやが残ります。殺鼠剤による殺人未遂なのだから、警察が介入して捜査する筈だ…という探偵小説愛好者がいる筈です。刑事小説の好きな読者ならば、探偵社にまずは早速身元調査を依頼するな…。一冊の本がいくら人気の作品となってファンの期待に応えたといったとしても、他人が書いた作品が自作として勝手に出版されたのだから、自分の名誉にかかわるだろうーヨネ。私が文筆業ならば、盗作したエルを主人公にした小説を書きな…。こんなにも色々な思惑と推理が渦巻く作品でした。寧ろこんな未知数のまま謎の余韻を残して終わった映画ではあるが、これこそこの作品のブラックボックスの未知数の空間を残すのが魅力なのかもしれませんーネ!!!。映像だが、起承転結のストーリではなく、原因と結論の形式論理にも当てはまらないストーリ・・・、新しい高等数学の難問のような映像なのかなナ、人間心理の歪んだ歪んだ鏡像と錯覚と言いますかーネ。原作小説ではどうなっているのか、私は原作を身読みたくなりくした。私としては、過去の名作に類推を求め、作家とファンとの変態関係に置き換えると、人気作家ポールシェルダンを主人公にした元看護婦のアニーの執着的関係を描いたスティーブンキングの『ミザリー』かな…。多岐亡羊とした結末と余韻から類似する邦画には、私は『羊の木』(原作:山上たつひこ、いがらしみきお、吉田大八監督、香川まさひと脚本)を連想します…。

 

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小中学生が夏休みのせいか、邦画はガキ向きの作品かアニメか、高校生向きのり初恋の純愛映画ばかりで、8月上期に紹介する映画は結局洋画が4本を掲載することになりました。8月は敗戦の日なのに、邦画では反戦を扱った戦争映画が全く放送がありませんです、呆れました。憲法9条の改憲の世論を高めるために、敢えて世論操作のために戦争映画は故意に上映を避けているのか…ナ。更に15日のTV放送は、戦争を描いた特集も戦争映画の放映もありませんーネ。日本はどうしたのだろうか…ナ???

 

「gyao」の案内を見ていたら15日の敗戦・終戦日に見てほしい無料鑑賞の映画がありました。映画館に行くのもイイですが、自宅で『日輪の遺産』『終戦のエンペラー』を見るのもいいですーネ。欲を言えば、過去に私が見た映画で、レンタルショップで借りて8月15日は戦争映画三昧で過ごしたいものです…。例えば、若松孝二監督の軍神を描いた『キャタピラー』、五味川純平原作小林正樹監督の『人間の条件』、片淵素直監督の『この世界の片隅に』、大宅壮一/半藤一利原作岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』(1967年版)、小林正樹監督の『東京裁判』、野間宏原作山本薩男監督の『真空地帯』等々などもイイ作品でした。特に、私は井伏鱒二原作、今村昌平監督の『黒い雨』をもう一度見たいですが、絶版でレンタル店にも置かれてない作品でしたが、『黒い雨』を探したら、YOUTUBEで無料で鑑賞できました。特に、『キャタピラー』ぱ、国民もまた戦争に加担した戦争協力者であった庶民の「戦争」意識を見事に映像化した、これまでの戦争映画の地平を越えた作品でした―ネ。靖国神社に祀られている戦没者の御霊を祈る…などと平気で言っている無能な国会議員にも見てほしい映画です。

 

 

昔は、8月6日とか9日にTVで必ず原爆投下とか戦争映画を放映していたのですが、近頃は民放も安倍政権の体制翼賛に組したか…ナ。東京大空襲も憲法9条も広島長崎の被曝もひめゆりの塔も、戦争の惨い敗戦の記憶も遠くなりました。『戦争の声は映画で追体験再体験できますーネ・・・。

まだ『カメラを止めるな』まだ未鑑賞なので評価は未知数ですが、観賞したら下期に載せます。

 

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8月下旬特選映画【20】★映画のMIKATA「検察側の罪人」★映画をMITAKA

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8月下旬の特選映画をアップロードします。今回3本を映画館で観賞、今月8月下旬は、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』、『スターリンの葬送狂騒曲/THE DEATH OF STALIN』、『オーシャンズ8/CEAN'S 8』、『告白小説』…など通算で7本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、『検察側の罪人』でした。

 

ただね、監督が脚本も兼ねているようですが、私は原作小説の作家が脚本を書くか、或は、ベテランの脚本家が書いて欲しいですーネ。場合によると、映画のために監督が良く分からないシーンを勝手に作ってしまうことがあるからです。今作でもヤクザのブローカで最上に拳銃を渡した諏訪部利成の父親の戦地体験とその戦争小説、最上の祖父の戦中体験シーンが、映画では補助線のように何度もクロスしていました。あれは何のためなのかな…???この辺りは完全に監督が咀嚼しきれてない映像の挿入なのかな・・・と感じました。私も文庫本を一冊書店で買いましたが、まだ読み切ってません。原作小説を読まないと理解できない部分なので、ここに疑問を持った人はいなかったのかな、どなたか原作を読んだ方は教えてください…!!!殺人事件に時効が廃止された司法制度の問題以外に、もう一つこの作品には「戦争と政治」というテーマが隠れているのではないのかな…???

 

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1本目はベルリンの街中でホロコーストを免れて国家秘密警察「ゲシュタポ」の捜査を逃れ、市民の密告や監視から隠れ、ソ連軍がベルリンに進軍するまで地下で生き延びたユダヤの若者たちがいた。一人は潜伏生活を送りながら、ユダヤ人のために身分証の偽造をしていたユダヤ人の青年ツィオマ、一人は反ナチスのビラ作りを手伝うオイゲン、髪を金髪に染めて監視の目を逃れるハンニ、一人はドイツ軍将校のメイドに雇われた女性・ルート・・・それぞれ4人の潜伏生活を描いた証言を基にした

ナチズムの時代を生き抜いた作品『ヒトラーを欺いた黄色い星/THE INVISIBLES/DIE UNSICHTBAREN 』(2017年、クラウス・レーフレ監督)でした。

 

久しぶりに横浜市中区の「ジャック&ベティ―」でみました。お盆休みのせいか、、或は敗戦日に近い戦争意識とナチズムへの強い関心なのか、ミニシアターは超満員で座り心地の悪い補助椅子で見ている人もたくさんいました、いやや、私は吃驚しました。扱っているテーマは「ナチズムとホロコースト」なのだが、私は作品としてはさほど秀作だとは思いませんでした。このテーマで名作ベスト7を敢えて挙げるならば、愛を読むひと』(2008年公開、スティーヴン・ダルドリー監督、ベルンハルト・シュリンク原作。デヴットヘア脚本)、縞模様のパジャマの少年」(2008年、マーク・ハーマン監督)、シンドラーのリスト」 (1993年公開、スティーヴン・スピルバーグ 監督)、『栄光のランナー/1936ベルリン』(2016年公開、スティーヴン・ホプキンス 監督)、『手紙は憶えている』 (2015年公開、アトム・エゴヤン監督)、「サウルの息子」 (2015年公開、ネメシュ・ラースロー監督)、アウシュヴッツ行最終列車~第三帝国ホロコースト」(2006年公開、 ダーナ・ヴァヴロヴァ、ヨゼフ・フィルスマイアー監督)・・・カナ!!!。レンタルショップで借りられるので是非鑑賞してください。

 

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携帯も電波の届かない人里離れ陸軍の山奥の廃墟、元日本軍の死人を生き返す人体実験場だったという山奥の施設で、自主製作の映画撮影クルーがゾンビ映画の撮影中という設定で映画は始まる…。しかもゾンビに今まさにフラフラと両手を前に突き出して襲いかかるゾンビの青年と、壁へと追い詰めるられ叫び声をあげるその恋人の緊迫した瞬間を撮影していた。がしかし、ゾンビに襲われる女性の迫真の恐怖の演技を求める監督からなかなか「OK」のサインが出ない、ダメ出しの連続でいた。再三再四のワンシーンの取り直しでテイク数42を数える。とうとう辟易したスタッフに監督の妻から「休憩」の声がかかりる…。が、その時、突然本物のゾンビが登場して襲撃を受けるというストーリでした。「これはなんだ」と、ゾンビに次ぎ次と襲われる俳優たちの姿に大興奮した監督は、今、目前に起こっている逃げ惑うスタッフと、ゾンビに斧で逆襲する撮影スタッフのテンヤワンヤの現場を撮ろうと、カメラを回し続ける監督たち・・・までが冒頭の数十分のゾンビ映画でした…。
 
余りに喧しいTVでの映画宣伝や映画好きの好評に対して、先入観に惑わされずに自分の眼で鑑賞しました。2本目は、東京都品川区五反田にある作品制作を中心に実践的な授業をしている監督&俳優養成スクール「ENBUゼミナール」が製作する「シネマプロジェクト」第7弾作品『カメラを止めるな!』(2018年、上田慎一郎監督&脚本&編集)でした。初め新宿池袋の2館で単独公開を開始した作品でしたが、マアいわば養成所の無名の新人監督と俳優たち12人のセミプロたちの映画が評判を呼び、今では私が見た横浜の映画館他、都内だけでもあちこちで公開上映され、ほぼ満席の人気です…。この作品のミソは、映画そのものが2重構造になっていて、冒頭のゾンビ映画の数十分と、その後の、撮影クルーのてんやわんやの撮影裏話に相当するドタバタ現場とゾンビ映画の楽屋裏が映画の続編で始まります。ゾンビ映画の企画はTV局の持ち込み企画で、生放送で取り直し撮影中止のないカメラ廻りっぱなしの「take one」というムチャナな放送でした…。俳優の遅刻欠員、酒で溺酔してべろべろによろめく俳優、脚本にない俳優の演技とセリフ、ナニモカモガぶっつけ本番の撮影現場が、この映画が笑いを誘うのかも知れません。この映画の面白さなのかもしれません。ただーネ、この作品を面白かったという人は、イイ作品だ…という先入観によるハロー効果ではないのかな???か或は、あまり映画を見たことのない人ではなかろうカナ…!!!恐らく、舞台の演出ならば恐らくピッタリのストーリだろうな。いやや、元々の舞台脚本に、その舞台裏のドタバタをプラスして映画化したと言ってもいいのかな…。

「芸術」と言うよりも表現手段として映像が国際的に高く認められている現代です。日本国内には俳優や映画監督や脚本家を目指して養成する映画学校がたくさんあります。彼らの制作した映画が、これまでもたくさん劇場公開されて高い評価と好評を呼びました。実は私も映画の脚本家になりたい映画好きなのです…が、それを承知で観賞して評価しました。「日本映画大学」「東放学園」「東京ビジュアルアーツ」「東京工学院」等々たくさんありますーネ。私の知っている親戚の娘は、この中の一校を卒業して、短期のアルバイトを転々としているようです。是非、映像表現を映画に求める若者たちに名作を創作して功成り名を遂げてほしいですーネ!!!私は川崎市麻生区にある今村昌平が開校した映画学校を知っていますが、セミプロたちが制作した作品という先入観で見た私なのですが、私の評価としては、申し訳ないが吉本新喜劇の出演するドタバタ映画としか見れませんでした…!!!もしもこれがホラーでなく、徹底して笑いを誘うコメディー作品ならば、もっともっとばかばかしいシーンがあってもいいな…と感じました。
 
私の映画への視点は、昨日と今日の現実と、歴史の悲劇と、未来の希望を映す鏡です…という所からいつも鑑賞しています。低予算で短期間の撮影とはいえ、もしも私ならば、日本陸軍のゾンビ実験のシーンを挿入すべきだと思いました。ゾンビ映画の歴史は長く古いデス。私自身は、死者復活の伝説を元にしたS・「キング」のホラー映画『ペットセメタリー』が大好きな一人です。生き物への愛情がこの作品にはありました。まあネ、『バイオハザード/Resident Evil 』から始まるゾンビ映画も嫌いではないです。少なくても、「バイオハザート」(2002年公開、ポール・W・S・アンダーソン監督)シリーズには、子供の不治の病気を治す為に開発した新薬によって死者の肉体が甦るーという親心の動機と、それを軍事兵器に応用するという製薬会社の野望と奸計があった。どうせゾンビ映画を作るならば、ゾンビ登場の経緯のシーンが欲しいですーネ。
 
劇団の舞台観賞がこの作品のヒントとなって脚本を書いたようですが、これまで映画の中でこんな2重構造の作品って無かったかな???

 

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3本目は、ある殺人事件の容疑者として浮上した、既に時効が成立した重要参考人・松倉重生(酒向芳)を廻る検察内部の先輩後輩の対立がストーリの骨子である、検察&警察映画検察側の罪人(2018年公開、原田眞人監督&脚本、雫井脩介原作、柴主 高秀撮影)でした。

映画冒頭のキャスティングロールが非常に奇抜で斬新でした。超高層絵の林立する都会の風景を背後に置いたあの冒頭の映像構成はカメラマンの功績ですかーネ。

東京地方検察庁刑事部に配属された検事の沖野啓一郎(二宮和也)と、エリート検事として嘱望されている最上毅(木村拓哉)が主役です。沖野は彼の検察教官時代の教え子でもあった。事件の発端は、大田区蒲田で発生した螺子の町工場を営んでいる金貸しの老夫婦刺殺事件の容疑者・松倉重生を取り調べを任された。彼のサーポート役として事務室には若くて美人の検察事務官・橘沙穂(吉高由里子)がいた。彼女は、法学部時代の最上の学友で、政界の大物議員・高島進国会議員の補佐役の衆議院議員・丹野和樹(平岳大)の収賄容疑のネタを嗅ぎまわっていた。橘は最上と丹野の検察内部の情報漏えいの関係を組織内部に潜入して、この一件でもも書くつもりでいた。元々橘週刊誌の腕利きフリーライターであった。

 

最上と被疑者・大倉重生(酒向芳)とのつながりは、23年前の殺人事件「根津女子中学生殺害事件」の担当検事として以前関わりがあった。既に時効となったこの女子中学生殺人事件の有力容疑者の一人が再び、この大田区の殺人でも被疑者として浮上していた。この事件の被害者は、松倉が昔、北海道の学生寮「北豊寮」で青春時代を過ごした管理人家族の一人娘であった。勉強などを教えていた、いわば妹のような存在の少女・久住由季でもあった。松倉はその殺人の犯行をあっさり自供したものの、今回の老夫婦刺殺の件は、一貫して犯行を否認し続けていた。時効が成立した犯行は認めても、今最上が復讐の念さえ持っている現在立件したい殺人事件に関しては否認していた。最早時効が成立している罪は問えない‥。少女の殺人事件は殺人事件に時効が廃止された以前の殺人事件だった。言わば司法制度の問題点を映画化しているといえます。枝葉末節のストーリの枝を払って残ったこの映画のテーマは、国会議員の収賄事件でも、検察内部の組織上の問題でもなく、既に時効の成立した殺人犯の罪は問われずに、野放でいいのか…と問う司法問題の映画でした。

 

最上はこの時効の壁に阻まれ、既に犯行も自供した松倉の23年前に犯した久住由季の殺人事件を裁くことができずに、新しく浮上した事件の被疑者・弓岡嗣郎(大倉孝二)を、暴力団のブローカ・諏訪部利成から手に入れたロシア製拳銃で、最上の祖父が住んでいた山奥の別荘に通じる林道に誘い込み、拳銃で射殺して埋める…。その上で松倉を今捜査中の松倉の殺人を立件しようとした…。

 

最上と諏訪部の不思議な関係は、原作小説を読んでいないので詳細はよく分かりませんが、戦中時代に諏訪部の父が従軍していた南方の前線インパールで戦死、同じ戦地を体験した最上の祖父がそれを小説にしていた。その読者の一人という不思議な縁のようです―ネ。このシーンは恰も二人の共通体験の記憶のように日本兵の廃残の映像としてが繰り返し流されています。かつて、『日本のいちばん長い日』(2015年版)を制作した原田監督の執着かな…???

 

さてジャニーズ事務所の人気タレント二人が共演するので、映画そのもののよりも以前に話題が沸騰しています。私は他の俳優でも十分ヒットする作品ではなかったかなーと思いました。大変面白い作品でした。TVで繰り返される映画シーンの宣伝で、映画館で観てなくても何か既視感が生まれますーネ。ハリウッドが映画斜陽になった時に導入した映画宣伝です。私は、また木村拓哉はTVドラマの「ヒーロ」のようにアウトローの検事かな???と邪推していたが、ナント今回の検察側検事の最上毅は拳銃で別荘の近くの林道に誘って闇討ちして埋める復讐殺人をした殺人犯でした・・・。新しい被疑者・捜査線上に浮かんだあとでも、彼は松倉を23年前の少女殺人事件の犯人として復讐したいと確信していた検事です。その最上の捜査を疑う検事敵役が沖野でした。映画のストーリはここまでですが、原作では最上毅が逮捕されるようですーネ。

 

ただーネ、ヤクザのブローカで最上に拳銃を渡した諏訪部利成(松重豊)の父親の戦地の戦争体験と、何度か映像になっている最上の祖父の戦中体験シーンが何度もクロスしているのか、映画のストーリの中でどうもギクシャクしているのです。あれは何のためなのかな…???原作小説を読まないと理解できない部分でした。ここに疑問を持った人はいなかったのかな、どなたか原作を読んだ方は教えてください…!!!もう一つ、殺人容疑の晴れ釈放された松倉が、最後に諏訪部の手下のような女性によて自動車事故を装ってひき殺されますが、クルマから運転手として姿を現した中年は誰なのかな…???私の見た印象では、久住由季の父親なのかな、と推理しました。原作小説で確かめたいチョット曖昧なシーンでした―ネ。

 

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9月上旬特選映画【21】★映画のMIKATA「SUNNY 強い気持ち・強い」★映画をMITAKA

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近頃ラジオばかり聞いてます、それもYOUTUBEの中でたまたま発見した武田鉄矢・文化放送の「今朝の三枚おろし」というトーク番組が絶品です。昨今、ラジオ番組は大変退屈で、ジッと耳を傾ける興味をひく、語りの巧いパーソナリティーと番組内容が少なくなりました。特に、吉本のお笑い芸人の話しは身内の話題ばかりで、教養がないので聞くに堪えません…。仲間内の芸能人をネタに突っ込みを入れる明石家さんまのトーク番組など、どこが楽しいのかな…と幻滅します。「今朝の三枚おろし」の話題に魅せられて次から次へネットフーフィンよろしく「ラジオサーフィン」しています。一部は彼の読んだ本を中心に話題を提供しながら、彼独特の講釈師のような「見てきたような…」尾ひれのついた弾みのある冗談と語り口と歴史ストーリが独得の観点です。武田鉄矢の貪欲な読書量には驚嘆しました。特に、司馬遼太郎の本、邪馬台国の古代史とか古代縄文土偶の話題、白川言語学の日本語漢字論、ふうてんの寅さんの映画とイエスの文化論・・・どれもこれも大変面白い珠玉の切り口デス。皆んも一度この「今朝の三枚おろし」というトーク番組を聞いてみてください。参考にここで取り上げた米田彰雄著『寅さんとイエス』の本の話題のyoutubeサイトを下記に載せいおきます。私も山田洋次監督の渥美清演ずるフーテンの寅さんは映画版はすべて見たファンですが、こんな寅さんの映画論を聞くのは初めてです。

https://www.youtube.com/watch?v=rvFwj30OJ1A

 

さてさて、9月上旬の特選映画をアップロードします。今回3本を映画館で観賞、今月9月は通算で3本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』でした。観賞した後で感動の余韻の残る映画でした。この作品の韓国版も観たいと思っています。ツタヤのレンタル作品に入っているので、借りたいです。累 -かさね- 』も意欲的で斬新な作品でしたが、私には理解を超えるやや難解な映画でした。

フォローしてね

 

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1本目は、体長1.5センチになれる特殊なスーツを着用した主人公スコット・ラング(ポール・ラッド)と、アントマンスーツ開発者のハンク・ピム博士(マイケル・ダグラス)と娘のホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)が活躍する、『アントマン』(2015年、ペイトン・リード監督、エドガー・ライト& ジョー・コーニッシュ脚本)シリーズの第二弾『アントマン&ワスプ/ANT-MAN AND THE WASP』(2018年、ペイトン・リード監督、クリス・マッケナ 脚本)でした。前回の騒動で自宅での24時間2年間の軟禁状態でFBIの監視下に置かれることになったスコットは、妻・マギーと新しい夫の刑事・パクストンに阻まれて娘のキャシーとも自由に会えなかった。第二弾はピム博士からアントマンの秘密が詰まった、ある時は移動できるアタッシュケースほどにも縮小する博士の研究所が、あらゆるものをすり抜ける謎の「ゴースト」エイヴァ・スターに狙われているので…という。ピム博士は今、娘ホープと共に量子サイズになった妻・ジャネットを基の世界に帰還させようと試みていた。30年前、ジャネットは発射され弾道軌道を疾走するソ連の核ミサイルを食い止めるために、爆発を阻止する機構内部へと入りこみICBMを停止させた。が、その時に基のた体長サイズ戻れない原子より小さい微細サイズになり、量子世界の迷宮に浮遊して帰還不能となり、尚依然消息不明の状態であった。

 

「マーベル・コミック」のアメリカン・コミックヒーロー『アントマン』の映画化作品である。マーベル・スタジオが製作し、ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズが配給するアメリカ合衆国のスーパーヒーロー映画であるのだが、私の映画館からすれば今まで避けていた映画です。娯楽性100%の映画ですから、そこにイデオロギーも主張など皆無です。観る観ないは好き嫌いだけです。私はついつい見てしまいましたが、面白かったです。

 

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夫と高校生の娘と質素に暮らす40歳の専業主婦・阿部奈美(篠原涼子)は、偶然通院していた総合病院で、ベッドの上で末期がん末に苦しみ七転八倒する余命1か月の高校時代の仲間の一人・伊藤芹香(坂谷由香)に会う。22年ぶりに再会した奈美は、芹香から死ぬ前にもう一度笑いに満ちた高校時代の楽しかった仲良しグループ「SUNNY(サニー)」のメンバーに会いたいと告げられる。2本目の作品は、余命短い奈美の最期の望みを叶える為に梅(渡辺直美)と共に中川興信所(リリーフランキー)に仲間6人の今の所在を調査してもらう…、1990年代のコギャル文化全盛期を背景に駆け抜けた青春の光と影のダンス&ミュージカル感覚の青春映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018年、大根仁監督&脚本、小室哲哉音楽)でした。

 

時は過ぎて22年の歳月の今のSUNNY(サニー)のメンバーたちは、それぞれ複雑な問題を抱えた大人になっていた。美容整形医と玉の輿の結婚をした裕子(小池栄子)は、夫の浮気で離婚の危機を迎えていた。特に、美容室を赤字倒産させて借金も抱え、暴力団男のひものような荒んだ生活をしてスナックの雇われママになっている心(ともさかりえ)、更に、あの時仲間とのいざこざで顔に傷を負った奈菜(池田エライザ)の所在は芹香の葬式の日まで音信不通で見つからなかった…。

 

2011年に韓国で観客動員740万人を記録した「サニー 永遠の仲間たち」(カン・ヒョンチョル監督&脚本)を、大根監督が90年代の珠玉のJ-POPや流行のファッションを挿入しながら脚本まとめ、日本の渋谷などのガングロコギャルの若者風俗を再現するかのように「SUNNY」を完成させた日本版「SUNNY 強い気持ち・強い愛」でした。『モテキ』でも青年の恋心を描いた大根仁監督は、今度は何を描こうとしていたのかな…???寿命100年時代と言われている男と女の青春と人生は、時間と運命に流されるだけなのか…ナ。何時までたっても何歳になってもずっと「コギャル」ではいられない。それぞれの心に夢と希望と計画を将来にもってるだろうが、マア当然です。でもそこに平凡に結婚し家庭に収まる男女、運命に翻弄されて病気で早逝する男女、資本の濁流に流されてマネーを手に掴めずに貧国の下流で溺水溺酔する男女、そんな青春の光と影」を見事に描いてますーネ!!!でも、韓国版ストーリではどうなんだろうか、いくつも会社を経営していた芹香が遺言を残し、昔のSUNNYの仲間たちに、心には新しく美容院を再開できるようにマンションを店を与え、別れ別れになっていた子供と一緒になれるようにマンションの一部屋を譲り...、梅には営業成績を上げるためにビル一棟を契約し…、この辺りが映画のロマンですーネ!!!久々に邦画の傑作を見ました、楽しませていただきました。

 

一言、劇中は安室奈美恵の「SWEET 19 BLUES」「Don't wanna cry」などの小室哲哉プロデュース楽曲、JUDY AND MARYの「そばかす」、CHARAの「やさしいきもち」、そして映画サブタイトルにも使用された小沢健二の「強い気持ち・強い愛」など、90年代の日本を彩ったJ-POPを劇中楽曲として使用していました。音楽と青春は三位一体ですーネ。

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3本目は、唇を接触した相手と顔が入れ替わってしまう口紅を、伝説の名女優の母・淵透世〈フチスケヨ〉(檀れい)から譲り受けた、頬に切り傷があるためコンプレックスに燻っている娘・淵累(芳根京子)と、人気はあるが今一つ才能を認められない舞台女優の丹沢ニナ(土屋太鳳)が主役にー、情念と美を寄り合わせた演劇映画『累 -かさね- 』(2018年、佐藤祐市監督、黒岩勉脚本)でした。淵透世の法事に出席した丹沢ニナの専属マネージャー・羽生田釿互(浅野忠信)が新進演出家・烏合零太(関ジャニ∞横山裕)が手掛ける舞台オーデションへの主役抜擢を画策する。人と人が入れ替わるという不思議な魔力を持った口紅を使って、丹沢ニナと淵累の二人がキスをして、累が身代わりとなってオーデションを受けて、演出家烏合の関心を射止め主役に抜擢される…というストーリ設定が骨子です。

 

映画の劇中劇にはオスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の舞台が演じられる。何でも好きなものを褒美に与えると王に約束させるサロメは、ユダヤの王エロドに預言者ヨカナーンの首を所望するために7つのヴェールの舞を踊る妖艶な姿を、累役は見事に演じる。土屋太鳳の舞踊に、私は魅せられました…。最早、美少女のアイドル女優ではないなーと感じました。ハテな、佐藤祐市監督の演技指導がよかったのだろうか…ナ???私は佐藤祐市監督がプロデュースした誉田哲也原作の刑事役姫川玲子演じる竹内結子のTVドラマと映画『ストロベリーナイト』シリーズの大ファンなので鑑賞しましたが、映画としては大変難しい作品でした。私は今まで読んだことも原作も知らない劇画なので、見ている途中でストーリの細部が「オヤーえー、オヤオヤ」というな映像での説明が不十分な部分がありました。サロメの舞台に力が入り過ぎて、寧ろバランスを欠いてしまたの・・・カナ。でも、あのサロメの舞台も捨てがたい魅力がありました。劇中劇ではなくて、サロメの舞台そのもの土屋太鳳主役で上演してもいいのではないのかな…!?

 

でもねー、口紅によってキスをした二人が容姿ばかりでなく人格まで入れ替わるルージュの起原は?どこでどのようにして手に入れたのか?キスしたことで何故、心身が入れ替わるのか?等々。私は思い浮かびませんが、それが神話的起因ならば、それらしい映像の挿入が欲しかったな…と思いました。そもそも何故、累は子供の頃より頬に疵があるのか???も良く分かりませんでした。回想のようなシーンに子供同士のカッターを持った画像がありましたが、それはそれで余計に矛盾が深まりました

どちらかと言えば、私の願望としては土屋太鳳と「ルージュ」自体を主役にしたもっと幻想的な殺人事件、だから推理小説か刑事もののストーリにしてほしかったな…!!!近代の女性を変革した道具を挙げるとするならば、私は「口紅」と「ピル」、ナンカ女性だけが使う、セクシャルシンボルのような道具を二つ、三つを絡ませた映画が観たいです。私がそんな脚本を書いたら、誰か映画にしてくれないかな…!!!それと再び直観したのですが、羽生田釿互役の浅野忠信は、恐らくニナと累を言葉巧みに操る腹黒いマネージャーならば、もっと悪人らしい、もっともっと悪のイメージの濃い、凄みのあるアクの強い俳優でよかったのではないのかな。私ならば、竹内力のような人が適役だったな。ただ、この羽生田釿互は累の母とも関係が有り、母を女優として売り出した担当者であった。母も同じ口紅を使った身代わり出演して喝采を呼んでいという…。劇画そのものがやや複雑で怪奇さを優先したために、ストーリの一貫性と整合性がないのかも知れませんーネ。

 

フォローしてね…

 

是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…

 

10月特選映画【22】★映画のMIKATA「食べる女」★映画をMITAKA

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10月の初めに設備管理関係の試験勉強のために暫く映画観賞を「封じ手」にしていました。なので、10月の多くの掲載を割愛しました。その後にさらに、手足が痺れる体調に驚き「脳神経外科」で検査・診察したところ、軽い脳梗塞の前兆が見られました。脳の血管の一部に細い部位が発見されましたので、早速不正入試で話題になった横浜の大学病院で1週間あまりの間手術を受け、入院退院を繰り返していました。そんな訳で、再びブログ掲載がストップしました。未だ脳神経外科の治療を残してますが、一段落がつきましたので、今回、未だ劇場で公開中の作品も数多ありますので、過去に公開された映画作品も含めて、掲載しました。映画ファンにはもうとっくに観賞済の映画ばかりで、鑑賞の参考にならないかもしれませんが私の映画鑑賞の備録も兼ねて掲載しました。11月の小康状態を利用して鑑賞した新作公開作品を大幅の遅延で«10月特選映画»としてアップロードしました。11月も観たい映画が、マイケル・ムーア監督の『華氏119 』を初め陸続と公開されますーネ。

 

やれやれやっとのことで、10月の特選映画をまとめてアップロードします。今回5本を映画館で観賞、通算で5本を掲載しました。選んだ特選映画1本は、『食べる女』でした。どのようiにまとめるか…とコメントを書くのに一番悩んだ作品でした。

 

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プレデターシリーズは、『シュワルツェネッガー/プレデター』(1987年、ジョン・マクティアナン監督) 以来、『プレデター2』(1990年、スティーヴン・ホプキンス監督) 、『エイリアンVS. プレデター』(2004年、ポール・W・S・アンダーソン監督) 、『AVP2 エイリアンズVS. プレデター』(2007年、コリン・ストラウス &グレッグ・ストラウス監督) 、『プレデターズ』(2010年、ニムロッド・アーントル監督)とシリーズ続編がいろいろと公開されてきました。宇宙からの無敵の侵略者が地球人とガッチリ戦う戦闘シーンが、仲間が残虐な敵に殺される「味方と敵」の対立パターンにピッタリ嵌る、例えば開拓民の頭の皮を剥ぐ残虐なインディアンと第七騎兵隊、列車を走る強盗団と保安官・ワイアッアープ・・・という西部劇のパターン、腹黒い商人と正義の味方の任侠渡世人、農民をいたぶる悪代官と水戸黄門と言う善と悪の定番のパターンが、アメリカ人や日本人の心さえも恐らくワクワクドキドキスカートする勧善懲悪のストーリに人類が、多種の猛禽類や多種の猿人類から生き残ってきた文化的深層心理を心地よく刺激するからだろう・・・ネ!!!これは『ザ・プレデター』は丁度シリーズ第6弾めにあたる公開でしょうか…ネ。私はどれをシリーズに入れてよいのか迷うほど作品が多かったです。取りあえず、9月にコメントする1本目『ザ・プレデター』(2018年、シェーン・ブラック監督)をシリーズ第6作目に数えました。87年のアーノルド・シュワルツェネッガーが傭兵として主演に登場して以来、地球侵略のSF映画「プレデター」ですが、その都度、プレデターと闘う主役の地球人が監督によってさまざまな俳優が主演しています。

 

前作『プレデターズ』では、地球外生命体によって謎の惑星に拉致され、鬱蒼としたジャングルの中に放置された傭兵のロイス(エイドリアン・ブロディ)たちー、狩猟を楽しむためだけのために拉致され惑星に放置された地球人CIAの凄腕スナイパーやロシア特殊部隊の隊員、日本のヤクザや死刑囚といった戦闘のエキスパートや殺し屋たちが、生き残りをかけてプレデターとサバイバルの戦いを繰り広げる。今作では、 元米兵のスナイパー ・ クイン(ボイド・ホルブルック)と、いずれも元軍人ではあるが、軍事裁判にかけられたはみ出し者の受刑者たちー、ネブラスカ、コイル、バクスリー、リンチ、ネトルズたち5人の「退役軍人受刑者」たちが闘う。そこに生態学者であるケイシー・ブラケット博士と、クインが自宅へ梱包して送った、メキシコで遭遇したプレデターの墜落円盤の宇宙人から手に入れた彼らの装置品を、彼の天才的な息子ローリーが興味本位に起動させ、地球にプレデターの位置を探知させるシグナルを発信する・・・という展開で、プレデターズと戦うことになる。基本的なストーリ設定に沿って、宇宙人「プレデターズ」と5人の地球人戦闘員との戦いです。

 

娯楽映画として私も堪能しました。気にいたならば難しい話は抜きにして西部劇のジョン・ウエインを楽しむように、レンタルショップで他のプレデターシリーズを借りてより楽しみを膨らませてください。

 

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2本目は、『食べる女』(2018年、生野慈朗監督、筒井ともみ原作&脚本、『食べる女』新潮文庫発行)原作)でした。

 

映画の原作の傾向が少し変わったようだ。劇画・漫画が映画監督によって採用され、それを脚本家や映画監督自らが脚本と脚色をする荒唐無稽の時代劇や、人気アイドルを起用したケバケバシイ恋愛映画や淡い初恋物語が作品になっていました。この、『食べる女』日日是好日』などは、エッセイが原作となっています。エッセイを映画化するのは私など映画の新しい流れが始まているとしか思えませんーネ。この作品も筒井ともみのエッセイ的要素を持つ短編集『食べる女  決定版』が原作です。

 

エッセイを映画化するのは難しいと私は思います。エッセイにはストーリがないので、断片断片のエッセイストの心象風景と、それに付帯した視線に広がる流動的な情景から、映画のフィルムに「物語」らせるのは、あふる意味で自由度が高いと同時に、監督の心象と情景を接着するにぱとてつもないエネルギ―と想像力がそつ必要とするのではないでしょうか…。

 

映画の冒頭で、多感な小学生が道路に蹲り、道路に耳を付けて道路の下に隠れた地下水脈の水の音に耳を澄ませている女の子の姿がありました。大地の奥深く流れる生命の音…は、人間の人体に例えるならば、食欲と性欲だろうか。

 

食べることとセックスは人の原初的で根源的な生存本能です。食べなければ生き続けられないし、セックスなしにホモサピエンスは絶滅していただろう。食欲と性欲は人間の生存を支えています。が、本能以上に長い文化さえも形作っているとも言えます。食欲と性欲は、人類の歴史の営みの中で人間らしさの輪郭線をも引いてます・・・。が、私は女性と性について経験を交えて語るほど経験豊富ではないので、あまり多くは語れませんーネ。さてさて、どのようにこの映画を三枚におろしてコメントを書こうかと…と迷っていました。今まで食べた食事の中で忘れられない味覚はー、四季折々の食材を生かした和食で舌鼓した包丁さばきの料理人はー、海外で食べた西洋料理のシェフが皿の上にせた絶品のメニューはー、或は、今まで私か愛撫した女性の肌の感触が手に残こる女はー、見知らぬ街で偶然に出会いその土地の訛りしか覚えてはいない忘れられない女ー、絶頂の快感を味わった肉体の惑溺をもう一度体験したい女・・・などと語るほど、豊穣な女性経験もしてませんからーネ。だから、とてもこんな「食べる女」についてコメントする含蓄のある言葉など持たないといってもいいです。

 

だから、他人の言葉を借りましょう。詩人のアポリネールやピカソとも親交のあったフランスの女性画家・彫刻家であるマリー・ローランサンはこんな詩を残していました。

 

堀口大學 訳

 退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です。

 悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。

 不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です。

 病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。

 捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です。

よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です。

 追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。

 死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。

 

この映画を見た私は、「男に忘れられた女は不幸です。が、

美味しい料理を味わえない女はもっと哀れです。…」と付け加えたいです。

 

小泉今日子、沢尻エリカ、前田敦子、広瀬アリス、鈴木京香ら8人の女優陣が共演する。雑文筆家の餅月敦子役小泉今日子(トン子)は、古びた古書店「モチの家」の女主人で、彼女の元に一癖も二癖もある強烈な性格を持ち、料理をこよなく愛するキャリア女性たちが料理を囲んで夜な夜な集まってくる。一人は、トン子の編集者で男を寄せつけない小麦田圭子役の沢尻エリカ(ドド)、一人は、彼女の飲み仲間でドラマ制作会社勤務の白子多実子役の前田敦子、男から肉体を求められると愛に溺れる古着屋店員の本津あかり役の広瀬アリス、一人は、中年女性のオーラを振りまく料理屋「ごはんや」の女将・鴨舌美冬役の鈴木京香たちが、美味しい料理を食べながら雑談をする食と性の楽しさを謳歌する映画です…。

 

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藩内の一刀流平山道場で剣豪の四天王と言われた扇野藩の勘定方・瓜生新兵衛(岡田准一)が、商人から賂を受けていた藩の重鎮・家老の石田 玄蕃を告発した。3本目は、藩の不正を暴こうとしてた結果、妻・篠(麻生久美子)とともに藩を負われ故郷を放逐された剣客・瓜生を主人公に、篠を奪い合った恋敵でもあった榊原采女(西島秀俊)を巻き込んだ藩内の権力騒動を描いた時代劇『散り椿』(2018年、木村大作監督、葉村麟原作、小泉堯史脚本)でした。地蔵院に妻・篠と身を寄せていた瓜生新兵衛が篠の病死を機に帰郷する。藩の権力争いと内乱が瓜生周辺で再燃する。

 
私は時代劇小説も時代劇映画大好きです。特に、山本周五郎のファンは、現代の普遍的なテーマ、家族的な愛屋や夫婦愛や病気・貧困を描いているので、決して古い昔のドラマではあるが、今でも共通ストーリが多いので、今なお時代劇ファンは根強いですーネ。久々の本格時代劇映画なので、どんな作品なのかと私も期待してみました。昨今特に、劇画の映画化ー、或は劇画の様な荒唐無稽のスーパー侍が主人公の「漫画時代劇」が多いので、尚更に期待していました。


私は、旧い作家としては池波正太郎原作の中村吉右衛門演ずる火付盗賊改方長官・長谷川平蔵の「鬼平犯科帳」シリーズ全26巻や、藤田まこと演じる秋山小兵衛の「剣客商売」シリーズのDVD全22巻は全巻見ている程の愛好家です。もう一人、時代劇小説家と言えば矢張り司馬遼太郎の数々の名作に酔いしれた人は多いでしょうーネ。長編ではあるが『竜馬がゆく』や『菜の花の沖』などに耽読したひとも少なからずいたでしょう…ヨ。次世代の時代劇作家としては、私は火坂雅志、山本兼一、浅田次郎、藤沢周平、乙川優三郎、冲方丁、池宮 彰一郎などなどの原作の時代劇映画は、本も映画も必ず見ています。特に最近は、磯田 道史などの原作・脚本は単に腰に刀を差し剣を振るう幕臣のサムライの一面ではなくて、『武士の家計簿』など地方の藩内の算盤や料理などを専門とする侍が主人公になってマス。

 

葉室麟もまた次の世代の時代劇小説家です。木村大作が映画化した彼の時代小説は、藤沢周平に継ぐ独特の雰囲気を持つストーリ―テイラーの時代小説家です。葉室麟の『蜩ノ記』(2014年公開、小泉堯史監督、役所広司主演)は私も時代劇映画の白眉として以前観賞して感動した記憶があります。

 

『七人の侍』『蜘蛛巣城』『用心棒』『椿三十郎』など時代劇作品も多く製作・監督した巨匠黒澤明の撮影助手として活躍した、伝説さえ持つ木村大作が自ら監督として製作した初監督作品『劒岳 点の記』(新田次郎原作、木村太郎監督&脚本、2009年公開)は、第33回日本アカデミー賞で最優秀監督賞を初め数々の賞を獲った秀作でした。

 

黒澤明監督の数々の時代劇映画の制作にもタッチしていた木村大作監督が第2作目作品は初時代劇映画を監督しました。さてさて、どうだったろうか…ナ???まず原作小説の葉室麟の『散り椿』は一言で言うと藩内のお家騒動です。江戸時代の3大御家騒動と言えば加賀100万石の外様大名・加賀藩の「加賀騒動」、仙台藩の「伊達騒動」、出石藩の「仙石騒動」、福岡藩黒田家の「黒田騒動」が有名ですーネ。「伊達騒動」は、当時は歌舞伎『伽羅先代萩』として上演され、山本周五郎の小説&映画『樅ノ木が残った』の舞台ともなっています。藩を牛耳り藩を乗っ取ろうとする権力者と不正を正そうとする正義感あふれる若侍や伝統的な既存の権力の奪い合いは、テーマとしては手垢のついたチョット月並みなストーリと言えませんかーネ。古い江戸時代の藩の権力争いのテーマでは、いくら時代劇とはいっても古色蒼然で退屈でした。私は原作ストーリの選択ミスだと思っています。それともう一つ、主演の瓜生新兵衛役岡田准一の一刀流の流派が余りに現実離れのした、まるで舞踊なような流麗可憐な剣術の姿は、いくら偽物の模造刀による「時代劇」とは言え嘘っぽく見えました…。黒澤明監督ならば、真剣の人きり包丁を使った、血しぶきの飛び散る刀の斬りあいはこんな美しい舞踏の様な仕草では到底ないよな…と感じました。噂に寄ると殺陣そのものが岡田准一が演出したようです。チョット肩に力が入り過ぎたいるな…と思いました。

 

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4本目は、母親の勧めで茶道教室へ通うことになった大学生・典子(黒木華)が従姉の美智子(多部未華子)と共に、茶道教室の武田のおばさん(樹木希林)から手ほどきをうけ、茶道を通して成長していく姿を描く映画『日日是好日』 (2018年、大森立嗣 監督&脚本)でした。四畳半の「方丈」の茶室から響く静かな茶釜の音、季節の風景の移り変わりにいる典子の時間がゆつくり静かに流れていきます。典子の心と、日本独特の季節の風情を暗示する「立春」「立夏」「立秋」「大寒」などの二十四節気の言葉。日本の四季折々の情景とそれ全体と共にゆっくりと流れる世界の時間が切り取られた風情のある映像でした。この映画から、そこに人が生きて死ぬことの儚さと諸行無常を感じる人も居るだろうーナ…、映画の題名のように、毎日毎日を茶室の狭い空間で一服の茶を味わい、季節の移ろいを肌で感じながら小さな世界に一瞬の楽しみを覚えることを喜ぶ趣味人も居るかもしれないな…。そう、禅問答のように映画から人間の「老病生死」とは何か…???という問いを投げかけるような作品でした。

 

人の一生には男も女もいろいろなことに遭遇し、いろいろな人と交り、万華鏡なような目まぐるしい色と虚しさをの感情を味わうものです・・・ネ。典子の場合、結婚相手の男に裏切られ失意のどん底にいる時や、心機一転家族から離れて一人暮らしをする時や、たった一人の娘とお酒を飲むのを喜ぶ父親が亡くなった時・・・など、その時々の典子の人生が茶室つともに流れていく情景が描かれていました。

 

原作は、森下典子が通った茶道教室での伝統的な日本文化の密室空間をエッセイに綴っ「日日是好日」を映像化したものですが、脚本もまた大森立嗣が書いています。私はエッセイを映像るのは難しいと思っています。この映画に関して、監督がテーマに沿って映像にまとめ上げてないなのではないかな…という感想を持ちました。言葉とセリフがバラバラではない…ノ。映画のラストシーンで、20歳から45歳までの主人公・典子が、人生の数々の遍歴を越え乍ら茶道を続けた典子のセリフに、「セリーヌの道」も分かるようになった…とはまた突然のセリフと呟きではないのか???、それは何なんだと<私はビックリして、鑑賞後まで気になって仕方なかたです。明らかにエッセイの中の言葉をそのまま台詞にした脚本の失敗ですかーネ。

 

大森立嗣監督の映画には、「さよなら渓谷」「まほろ駅前多田便利軒」など話題になった作品もありますが、けれども、私にはいつも焦点とテーマのボンヤリした映画を作る人だな…と先入観がありした。今まで不思議ですが、魅力的で傑作だナーと感じた作品はこれまで何一つありませんでした。でー、今回の『日日是好日』はどんな作品かと、半分は期待して見て見ました。原作のエッセイをどんな風像化するのか、興味津々でした。今公開されている『食べる女』は原作がエッセイですが、エッセイの映像化に可なり成功している映画でしょうーネ。エッセイの映画化に成功している傑作でした。でも、『日日是好日』は、敢えて言えば出演者の樹木希林の遺作になった映画と言うことが特別、観客を惹きつける魅力ではな渇ったのかな…!?依然、樹木希林の演技の魔力に魅せられ居るといえようか…ネ。先行上映とは言え、私の行った映画館は満席でした。一年に数回しか映画を見たことのない人たちが、樹木希林を見に来たのかも知れません。

 

結論から言えば、観る人によって感想は別れる作品ではないでしょうか。老人には禅問答のような人生の問いを投げかける作品かもしれません…ネ。エネルギーあふれた若者には、物足りない薄ぼんやりした、テーマのはっきりしない作品と映るかも知れませんーネ。

 

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5本目は、教誨師・佐伯(大杉漣)を主人公に、6人の死刑囚たちと刑務所内のテーブルを挟んで、個人個人の過去や生活に沿った会話を重ね乍ら、何時死刑がきまるかも知れない彼らの死への不安と罪への後悔などの言葉に耳を傾けて、安らかな死へ導く、キリスト教の牧師の心の救済のストーリで、死刑囚に手を差し伸べる教誨師と死刑囚とのマンツーマンの会話を描いた死刑囚映画『教誨師(きょうかいし)』(2018年、佐向大監督&脚本)でした。6人の死刑囚は高宮真司(玉置玲央)、野口今日子(烏丸せつこ)、進藤正一(五頭岳夫)、小川一(小川登)、鈴木貴裕(古舘寛治)、吉田睦夫(光石研)等が登場しました。

 

それぞれ6人の罪と過去が牧師・佐伯の過去の記憶と交差するのがこの映画の深淵だろえぅな…。6人それぞれの過去よりも何よりも、佐伯の少年時代のある出来事の過去と牧師になった理由がこの映画の真相のテーマの闇に見えます。
 
少年時代の佐伯兄弟の母は子供を捨てて別の男と再婚する。ある日河原で再婚相手とその息子が河原で魚を焼いていた時に、その男の息子が佐伯兄弟と母に対して侮辱的な言葉を発したため、佐伯保は男の息子を殴るのだが、逆に再婚相手の男は馬乗りになり佐伯を殴り始める。それを見た兄は河原の石で何度も男の頭を石で叩いた。その結果、兄は少年院に入り自殺した。後々、佐伯は牧師になる道を選んだ・・・。それが、死刑囚以上の深き悩みを抱えた牧師の闇でした。確か、フロイドの精神分析に「メサイヤコンプレックス」という用語がありました。つまり、他人への救済は、自分が救われたいための魂の行為と祈り…という。
 
2018年2月21日に急逝した名脇役の大杉漣が主演、エグゼクティブプロデューサーも務めたこの作品は漣さんの最後の姿でした。とはいえまだ未公開の彼の映画が残されているようです。ヤクザが性転換&全身整形をして、芸能界にデビューする極道アイドルコメディに大杉漣さんが友情出演する「Back Street Girls」という作品が来年2月頃に公開が予定されているようです。大杉漣ファンにとっては、楽しみですーネ。
 
平成元年の坂本弁護士一家殺害事件、平成6年の松本サリン事件、平成7年の地下鉄サリン事件など、世間を驚嘆させた数々のセンセーショナルな事件を引き起こして、オーム教団によって29人が死亡、およそ6500人が被害に遭ったと言われています。丁度、このオーム真理教のサリン事件に関与した死刑囚が上川法務大臣によって死刑執行を承諾する文書に判を押され7人、その後6人が続けて2回にわたって13人の死刑が執行された時期であったので、映画自体はそのニュースからかなりインパクトを与えました。
 
私など天皇陛下が来年4月30日に退位され、皇太子さまが5月1日に即位されることが正式に決まったので、天皇即位の恩赦によってオウム真理教死刑囚たちの刑罰が軽減されることを恐れて、その前に死刑が急いで執行されたと思いましたーがネ…。
 
刑事裁判による「冤罪事件」も含めて、日本の死刑制度と死刑執行の方法「絞首台」には、いろいろな問題が議論されています。ただ、この映画は死刑制度を問題にしている作品ではない。率直に言って、私はこの映画のテーマは「何なのか?」良く分かりません…。
 
その日、死刑執行が実行されたのは、学生運動家の闘志のような青年でした。つまり社会体制を守るために、政治的断罪と言う「死刑制度」の陰の役割をカッコに入れて、死刑囚に死の安息を解く「教誨師」は偽善ではないか…の問いを投げかけているのではないかと、私は誤解を恐れ乍ら解釈したです。皆さんはどのようにこの作品を鑑賞しましたか???
 
是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…

 

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